Media > AI活用ユースケース > 総務 > 行政書士事務所で作った建設業許可の申請・届出の書類一式を、自治体の手引きの必要書類の一覧に照らして提出前に校正し、補正になりやすい箇所を挙げる

行政書士事務所で作った建設業許可の申請・届出の書類一式を、自治体の手引きの必要書類の一覧に照らして提出前に校正し、補正になりやすい箇所を挙げる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

建設業許可の申請・届出のために作った書類一式を、手引きの必要書類の一覧から作った点検表に照らして校正します。足りない書類、書類どうしの記載の食い違い、手引きの改訂で扱いが変わった確認資料を、補正になりやすい箇所の一覧にします。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
連携・自動化
Google Apps Script/Python
対象業界
士業/建設
対象部門
総務
対象業務
内容確認・チェック/書類作成
主な課題
属人化している/期限・対応漏れが起きる/確認ミスが多い
AIで行う処理
校正
主な効果
入力漏れ削減/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
45h/月
AI導入後
15h/月
想定削減
67%
年間削減
360h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 補助者が、顧問先から届いた決算書・確認資料をもとに様式を埋める
  2. 補助者が、手引きの必要書類の一覧を見ながら書類をそろえ、案件のフォルダに入れる
  3. 行政書士が、フォルダの書類を1つずつ開き、必要な書類がそろっているかを手引きと見比べる
  4. 商号・所在地・代表者・営業所技術者の名前が、どの様式でも同じかを見る
  5. 工事経歴書と直前3年の工事施工金額と財務諸表の数字が合っているかを電卓で確かめる
  6. 確認資料(常勤性の資料、納税証明書など)が、いまの手引きで求められる種類と期限のものかを見る
  7. 直す箇所を補助者に伝え、直ったら提出する
導入後(After)
  1. 人補助者が書類一式を作り、案件のフォルダの「確認待ち」に置く。案件の管理表に申請の区分と顧問先の形を入れる
  2. 自動プログラムが、申請の区分と顧問先の形から、点検表の該当する行を選ぶ
  3. 自動様式の表計算のファイルから、決まった欄の値(商号、所在地、金額など)をプログラムが読む
  4. 自動確認資料のスキャンのPDFを、点検表の行とあわせてAIに渡し、どの書類に当たるか、記載の有無、種類と日付を読ませる
  5. 自動プログラムが、書類どうしの値を照合し、金額の合計を計算して比べる
  6. 自動点検表の行ごとに「そろっている/不足/食い違い/要確認」を付け、補正になりやすい箇所の一覧を作る
  7. 人行政書士が一覧を見て、直す箇所を補助者に指示する
  8. 人行政書士が許可の要件にかかわる書類を自分で確かめ、提出してよいかを決める
各工程の詳しい説明を読む
  1. 補助者が、顧問先から届いた決算書・確認資料をもとに様式を埋める
  2. 補助者が、手引きの必要書類の一覧を見ながら書類をそろえ、案件のフォルダに入れる
  3. 行政書士が、フォルダの書類を1つずつ開き、必要な書類がそろっているかを手引きと見比べる
  4. 商号・所在地・代表者・営業所技術者の名前が、どの様式でも同じかを見る
  5. 工事経歴書と直前3年の工事施工金額と財務諸表の数字が合っているかを電卓で確かめる
  6. 確認資料(常勤性の資料、納税証明書など)が、いまの手引きで求められる種類と期限のものかを見る
  7. 直す箇所を補助者に伝え、直ったら提出する

(a)添付の漏れが窓口で見つかる。 要るかどうかが条件で決まる書類――株式会社だけに要る事業報告書、人数に変更があったときだけ要る健康保険等の加入状況――は、条件を見落とすと、出すべきものが無いまま提出されます。 補正の連絡を受け、顧問先に資料を頼み直します。

(b)書類どうしの数字が合わない。 工事経歴書の業種ごとの合計と、直前3年の工事施工金額の最新年度の欄と、損益計算書の完成工事高。どれか1つを直したときに、ほかを直し忘れます。 電卓での確認は時間がかかり、月末には省かれがちです。

(c)手引きの改訂を見落とす。 去年の案件のフォルダを複製して作り始めると、去年の手引きでよかった確認資料が、そのまま今年も入ります。 改訂を知っている行政書士が見れば気づきますが、見る人によって気づかないことがあります。

(d)確かめ方が人によって違う。 行政書士2名のうち、1名は財務諸表の数字を細かく見て、もう1名は確認資料の期限を細かく見る。どちらも正しいのですが、案件によって見られる場所が違い、補正の傾向も担当で分かれます。

  1. 【人】 補助者が書類一式を作り、案件のフォルダの「確認待ち」に置く。案件の管理表に申請の区分と顧問先の形を入れる
  2. 【自動】 プログラムが、申請の区分と顧問先の形から、点検表の該当する行を選ぶ
  3. 【自動】 様式の表計算のファイルから、決まった欄の値(商号、所在地、金額など)をプログラムが読む
  4. 【自動】 確認資料のスキャンのPDFを、点検表の行とあわせてAIに渡し、どの書類に当たるか、記載の有無、種類と日付を読ませる
  5. 【自動】 プログラムが、書類どうしの値を照合し、金額の合計を計算して比べる
  6. 【自動】 点検表の行ごとに「そろっている/不足/食い違い/要確認」を付け、補正になりやすい箇所の一覧を作る
  7. 【人】 行政書士が一覧を見て、直す箇所を補助者に指示する
  8. 【人】 行政書士が許可の要件にかかわる書類を自分で確かめ、提出してよいかを決める

8番目は、この構成の外に置いています。 経営業務の管理責任者の経験、営業所技術者の資格や実務経験が要件を満たすかは、行政書士が書類を読み、判断することです。 一覧が「そろっている」と言っても、要件を満たしているという意味ではありません。

2番目を機械の規則で行っているのも、意図してのことです。 どの書類が要るかは手引きの注記で決まり、事務所の点検表に条件として書いておけば、AIに判断させる必要がありません。 AIに選ばせると、条件付きの書類を落とすか、要らない書類を要ると言うかのどちらかが起きます。

02今回想定するシステム構成

構成図
案件のフォルダ(様式の表計算のファイル+確認資料のスキャンのPDF)
   │  補助者が「確認待ち」に置く
   ▼【トリガー】フォルダへの保存(数分おきに確認)
Python ── 案件の管理表から申請の区分と顧問先の形を読む
   │      点検表の該当する行を選ぶ/様式の決まった欄の値を読む
   ▼
ChatGPT(OpenAI API・PDF の入力・構造化出力)
   │   確認資料が点検表のどの行に当たるか/記載の有無/種類と日付
   ▼
Python ── 書類どうしの値の照合/金額の合計の計算と比較
   ▼
補正になりやすい箇所の一覧(点検表の行ごとの結果と根拠)
   ▼
【行政書士が確認】→ 補助者が直す → 提出
役割想定する製品代替候補
処理ChatGPT(OpenAI API。最小構成では ChatGPT の画面)Claude、Gemini、Microsoft Copilot
集計Python(点検表の行の選択、様式の値の読み出し、書類どうしの照合、金額の計算)Google Apps Script
点検表手引きの必要書類の一覧から事務所で作る点検表-
保管案件のフォルダと案件の管理表-

新しく足すのは、点検表と、Python の処理と、AIへの指示文だけです。 様式の作り方は変えません。様式のファイルにも、顧問先から届いた資料にも、書き込みません。

点検表の元になるのは、都の「建設業許可 手引、申請書類等」のページです。 新規・業種追加・更新の申請、変更届・廃業届、決算報告、承継等の事前認可の区分ごとに、本冊・別とじ・確認資料等に分けて必要書類が様式の番号つきで並び、「人数に変更があった場合のみ」「株式会社の場合のみ」のような条件が書かれています。 この区分と条件を、そのまま点検表の列にします。

確認資料のスキャンは、OpenAI API に PDF のまま渡します。 公式の説明では、画像を扱えるモデルでは、PDF から各ページの文字とページの画像の両方を取り出してモデルに渡すとされています。1ファイル50MB未満、1回の依頼に含めるファイルの合計も50MBまでです。表計算のファイルは文字の読み出しにとどまるので、様式の値はプログラムが直接読みます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

補助者が書類一式を案件のフォルダの「確認待ち」に置いたことを起点にします。 Python の処理を数分おきに動かし、新しく置かれた案件を順に処理します。行政書士がまとめて見る時間の前に一覧が出ているように、置かれた順に流します。

案件の管理表に、申請の区分と顧問先の形が入っていることを動かす条件にします。 区分(新規、業種追加、更新、決算報告、変更届)と、顧問先の形(法人か個人か、株式会社か、資本金の額、従業員数の変更の有無)が無ければ、点検表の行を選べません。空欄の案件は処理せず、補助者に「管理表の入力待ち」と返します。

同じ案件で直した書類が置き直されたときは、案件全体を点検し直します。 直した1枚だけを見ると、その1枚に連動する別の様式の数字の食い違いを見逃します。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
様式のファイル申請書・届出書、工事経歴書、直前3年の工事施工金額、使用人数、財務諸表、営業所技術者等一覧表など案件のフォルダ
確認資料のスキャン登記事項証明書、納税証明書、常勤性を確かめる資料、資格証の写し、営業所の写真など案件のフォルダ(PDF)
案件の情報申請の区分、顧問先の形、決算期、許可の業種、提出先案件の管理表
点検表区分ごとの必要書類、要否の条件、照合する欄、補正になりやすい点の注記、手引きの版事務所で作る点検表
前回の提出書類前年の決算報告、前回の更新の書類案件のフォルダ(過去分)

質を決めるのは、点検表です。 手引きの必要書類の一覧を写すだけでなく、事務所で過去に補正を受けた点を、行ごとの注記として足していきます。 「工事経歴書:実績の無い業種は1枚にまとめる」のような手引きの注意も、ここに入れます。

前回の提出書類は、前年からの変化を見るために使います。 前年の決算報告と比べて資本金や役員が変わっていれば、決算報告とは別に変更の届出が要る可能性があります。 それを行政書士に知らせる材料になります。

Step3

データの取得方法を決める

様式のファイルは、Python で決まった欄の値を読み出します。 都の様式は表計算のファイルでも公開されていて、欄の位置が決まっているので、商号、主たる営業所の所在地、代表者、許可の業種、各年度の金額を、様式の番号と欄の名前つきで取り出せます。

読むものどこから何に使うか
様式の決まった欄の値表計算のファイル書類どうしの照合と金額の計算
確認資料の文字とページの画像PDF を OpenAI API へどの書類か、記載の有無、種類と日付
申請の区分と顧問先の形案件の管理表点検表の行を選ぶ
前回の値過去分のフォルダ前年からの変化の検出

確認資料はPDFのままAIに渡し、表計算のファイルは渡しません。 公式の説明では、PDF以外の文書は文字だけを取り出し、表計算のファイルは各シートの先頭1,000行までを読むとされています。欄の位置で意味が決まる様式は、プログラムが欄を指して読むほうが確実です。

スキャンのPDFは、1つの書類が1つのファイルになるように補助者に置いてもらいます。 複数の証明書を1つのPDFにまとめると、どのページがどの書類かをAIに決めさせることになり、読み違えたときに「不足」と「食い違い」の区別がつかなくなります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 点検表の行の選択 … 申請の区分と顧問先の形から、要る書類の行だけを選びます。条件付きの行は、条件を満たすかを管理表の値で決めます
  2. 様式の値の読み出し … 様式の番号ごとに、決まった欄の値を取り出します
  3. 表記の正規化 … 商号の「株式会社」の位置、所在地の丁目・番地の書き方、全角と半角をそろえた別の列を作ります。元の値は書き換えません
  4. 金額の単位の確認 … 様式によって千円単位と円単位が混ざるので、点検表に書いた単位で読み、比べる前にそろえます
  5. PDFの確認 … 1ファイル50MB未満であること、パスワードが掛かっていないことを確かめます
  6. ファイル名と点検表の行の対応 … 事務所で決めたファイル名の付け方から、どの行の書類として置かれたかを読みます
  7. 前回の値の付与 … 前年の決算報告の商号・資本金・役員を添えます

3番目で元の値を書き換えないのは、食い違いそのものを見つけたいからです。 正規化した値で比べて一致すれば「表記だけの違い」、正規化しても違えば「中身の違い」と分けます。前者は直すかどうかを行政書士が決め、後者は必ず直します。

4番目の単位を軽く見ないでください。 千円単位の様式の数字を円単位の財務諸表と比べると、すべての金額が食い違いとして出て、一覧が使えなくなります。 単位は点検表の側に様式ごとに書いておきます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、確認資料のPDFを点検表の行に当てはめて、書かれていることを読み出すことです。 判断ではなく、読み出しと当てはめです。

見るものさせること判断できないときの扱い
どの書類か点検表のどの行の書類に当たるか当てはまる行が無ければ unknown_document
記載の有無点検表の行に書いた「あるべき記載」があるか(発行日、証明者、対象の年度など)読めなければ unreadable
種類常勤性の資料が、どの種類の書類か(資格確認書、運転免許証、住民票など)決められなければ uncertain
日付と年度発行日、有効期限、証明の対象の年度を、書かれたとおりに和暦・西暦の換算はしない
名前と所在地書かれた商号・氏名・所在地を、書かれたとおりに一部が読めなければ読めた部分だけ

右端の列で、換算をさせていないのが大事です。 手引きのページには、納税証明書は都税事務所と税務署とで年度の表記が異なると注記されています。AIに年度を換算させると、表記の違いを取り違えたまま「対象の年度が違う」と出します。書かれたとおりに読み出させ、比べ方は点検表の規則で決めます。

種類を読み出させるのは、手引きの改訂に追いつくためです。 令和8年度の手引きでは、常勤性を確かめる資料について、健康保険証とマイナ保険証の表面の代わりに、資格確認書の写し、運転免許証の写し(両面)、発行後3か月以内の住民票(個人番号と住民票コードを省略したもの)のいずれかを出すことになりました。資格確認書については「資格情報のお知らせ」とは異なることに注意するよう書かれています。種類が読めれば、去年のままの資料を規則で拾えます。

させないこと理由
許可の要件を満たすかの判断行政書士の判断。一覧は書類の揃い方だけを見る
要る書類の選択点検表の条件で決める
金額の計算と照合プログラムが同じ規則で行う
記載の補い読めない欄を前年の値や他の書類から埋めない
「補正になる」という断定補正の要否は提出先が決める。一覧は「なりやすい」まで

4行目が、いちばん起きやすい失敗です。 発行日がかすれて読めない証明書を渡すと、前後の書類から日付を推して埋め、その日付で「期限内」と判定されます。 読めないものは読めないと返させ、補助者に資料を取り直してもらいます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは行政書士事務所で、建設業許可の申請・届出の確認資料を点検する補助をします。
渡されたPDFと点検表の行だけを見て作業してください。推測で埋めないでください。

【やること】
1. このPDFが、点検表のどの行(row_id)の書類に当たるかを答えてください。
   当たる行が無ければ unknown_document としてください。
2. その行の「あるべき記載」の項目ごとに、PDFに書かれているかを答えてください。
   - present ...... 書かれている
   - absent ....... 書かれていない
   - unreadable ... 文字はあるが読めない
3. 書類の種類、発行日、有効期限、対象の年度、商号・氏名・所在地を、
   書かれたとおりに写してください。

【厳守事項】
- 日付と年度は書かれたとおりに写してください。和暦と西暦の換算をしないでください。
- 読めない文字を、前後の書類や一般的な書式から補わないでください。
- 常勤性を確かめる資料は、書類の種類をそのまま答えてください。
  「資格確認書」と「資格情報のお知らせ」は別の書類です。
  見分けられない場合は uncertain としてください。
- 許可の要件を満たすか、補正になるかは書かないでください。
- 個人番号(マイナンバー)や住民票コードが見えている場合は、
  値を写さずに visible_sensitive に true を入れてください。
- それぞれの答えに、根拠にしたページ番号を付けてください。

【点検表の行】{checklist_rows}
【PDF】{file}

「資格確認書と資格情報のお知らせは別の書類」と書いているのは、手引きの改訂が名指しで注意しているからです。 名前が似ていて、どちらも健康保険の資格に関わる書類なので、指示に無ければ同じものとして読みます。 種類を取り違えると、改訂への追随がこの1行から崩れます。

個人番号を写させないのは、見えていること自体を知りたいからです。 住民票は個人番号と住民票コードを省略したものとされているので、見えていれば取り直しが要ります。 値を写す必要はありません。

Step7

出力形式を固定する

OpenAI API の構造化出力で、次の形のJSONを受け取ります。

{
  "case_id": "",
  "file_name": "",
  "row_id": "",
  "document_type_as_written": "",
  "required_fields": [
    { "field": "", "status": "present | absent | unreadable", "value": null, "page": 1 }
  ],
  "issue_date": null,
  "expiry_date": null,
  "target_year_as_written": null,
  "names_as_written": [],
  "visible_sensitive": false,
  "uncertain": false
}

公式の説明では、text.format に type: "json_schema" と strict: true を指定すると応答がスキーマに従い、すべての項目を required にし、additionalProperties を false にする必要があります。 値が無いものは null との共用体で表します。

1つ目の理由は、点検表の行の結果に機械的に組み立てられることです。 プログラムは、AIの結果と様式の値の照合と金額の計算を合わせて、点検表の行ごとに次の結果を付けます。

結果付く条件
ok書類があり、あるべき記載がすべて present、照合と計算も一致
missing点検表で要るとされた行の書類が無い
mismatch書類どうしの値、または金額の計算が合わない
outdated書類の種類か日付が、点検表に書いた手引きの版の扱いに合わない
checkunreadable、uncertain、unknown_document、visible_sensitive のいずれか

2つ目は、as_written の値で比べ方を後から変えられることです。 年度の表記の扱いや、日付の期限の数え方は点検表の規則に書くので、手引きが変わっても、直すのは規則だけです。 AIの読み出しはやり直しません。

3つ目は、page で確かめが速くなることです。 一覧の各行から、根拠にしたPDFのページを開けます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
案件のフォルダPython が数分おきに確認「確認待ち」の案件を読み、一覧を同じフォルダに置く
案件の管理表読み取り(区分と顧問先の形)、書き込み(一覧の件数)点検表の行を選び、結果の件数を残す
点検表読み取りのみ行・条件・照合の規則・手引きの版
OpenAI APIAPI呼び出し(PDF の入力・構造化出力)確認資料の読み出し
補正になりやすい箇所の一覧表計算のファイルとして書き出す行政書士が見て、補助者に指示する

様式のファイルは書き換えません。 食い違いを見つけても、どちらの値が正しいかは決算書に戻らないと分からず、直すのは補助者の仕事です。 案件の管理表に書くのは、missing・mismatch・outdated・check の件数だけです。

電子申請でも窓口・郵送でも、この構成の位置は同じです。 都のページには電子申請の案内と注意事項が載っていますが、提出の前に書類一式がそろっているかを確かめる工程は、どの出し方でも残ります。

Step9

人が確認する

行政書士が見るのは、補正になりやすい箇所の一覧です。 ok の行は件数だけを見て、missing・mismatch・outdated・check の行を開きます。

  1. missing を先に見る … 本当に要る書類か、点検表の条件の当てはめが正しいかを確かめます
  2. outdated を見る … 手引きの改訂で扱いが変わった書類です。顧問先に取り直してもらう連絡は、ここから出します
  3. mismatch を見る … どちらの値が正しいかを決算書や登記で確かめ、補助者に直す側を指示します
  4. check を見る … 読めない・見分けられないものを、PDFのページで確かめます
  5. 許可の要件にかかわる書類を自分で読む … 常勤役員等の証明書、営業所技術者等の証明書、実務経験証明書は、一覧の結果にかかわらず行政書士が読みます

5番目は、一覧が ok でも省かないでください。 一覧が見ているのは書類がそろっているかと、数字が合っているかです。経験の年数が要件に届いているかは、見ていません。

目標は、1件15分です。 そのうち5番目の要件の確認に半分ほどを使い、残りで一覧の ok 以外の行を見る想定です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
管理表に申請の区分や顧問先の形が無い処理せず「管理表の入力待ち」と返す
点検表に無い区分(承継の事前認可など)この構成の対象外。行政書士が手引きを見て確かめる
様式が古い版のファイル欄の位置が合わない。outdated として新しい様式で作り直す
PDFが50MBを超える書類ごとに分けて置き直す
パスワード付きのPDF処理できない。顧問先に解除したものを頼む
1つのPDFに複数の書類unknown_document か複数の行に当たる。書類ごとに分けて置き直す
個人番号が見える住民票visible_sensitive。取り直しを頼み、そのPDFは消す
AIが拒否した・応答が無いその書類を check にし、行政書士が自分で見る
手引きが改訂された点検表の版を上げるまで、新しい案件の処理を止める

最後の行が、この構成でいちばん大事な例外です。 点検表が古いまま動くと、一覧は自信を持って去年の基準で ok を出します。 都のページには更新日が出ているので、事務所の担当が毎月それを見て、変わっていれば点検表を直します。

Step11

記録を残す

  • 案件ごとの点検の日時、使った点検表の版、選ばれた行
  • 様式から読み出した値と、正規化した値
  • AIに渡したPDFのファイル名と、返ってきたJSONの全文
  • 照合と計算の結果、行ごとの判定
  • 行政書士が判定を覆した記録(どの行を、何に変えたか)
  • 提出の日と、補正を受けた場合はその内容

最後の行を残すのは、点検表を育てるためです。 補正を受けた内容が一覧で ok になっていた行は、点検表の注記か規則が足りていません。 毎月、補正の記録を点検表の注記に足していきます。

使った点検表の版を案件ごとに残すのは、後から問い合わせを受けたときのためです。 提出した時点の手引きの扱いで確かめたことを示せます。

04実装レベルの3段階

最小構成:点検表の試作と、ChatGPT の画面へのPDFの貼り付けで確かめる / 確認資料の読み出しの試し
半自動化:上記+Python で点検表の行の選択、様式の値の読み出し、照合と計算、AIの呼び出し、一覧の書き出しを行う / 書類一式の揃い方と食い違いの点検
本格構成:上記+案件の管理表と顧問先への資料の依頼を連携し、決算期から届出の期限と必要な資料の依頼を自動で出す / 資料の依頼から提出前の点検まで

本記事の想定は半自動化です。 1件45分が15分になる構成で、行政書士の確認の時間の多くは、要件にかかわる書類を読む時間として残ります。 本格構成は、決算期と期限の管理まで広げる段階です。 決算報告は毎事業年度の経過後4か月以内という期限があるので、決算期から逆算して資料を頼む仕組みにつなげると、届出の遅れを防げます。 ただし、点検表が育って補正の傾向が見えてからでないと、頼む資料の一覧が外れます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
5 名
月間件数
60 件
1件あたり現在時間
45 分
1件あたり導入後時間
15 分
現在  60件 × 45分 ÷ 60 = 45 時間/月
導入後 60件 × 15分 ÷ 60 = 15 時間/月
月間削減時間
30h
削減率
67%
年間削減時間
360h
年間金額換算(時間単価4,000円)
144万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 建設業の顧問先を数十社から百社以上持ち、決算報告の届出(決算変更届)と更新・業種追加の申請を毎月まとまった件数で出している行政書士事務所。書類の作成は補助者が分担し、提出前の確認を行政書士が1件ずつ行っていて、確認が月末に集中している場合。窓口や審査で補正を求められ、顧問先に資料を出し直してもらう往復が続いている場合。手引きが毎年度改訂され、確認資料の扱いの変更を事務所内で伝え漏らしたことがある場合。
向いていない
  1. 建設業許可の取扱いが月に数件で、行政書士が手引きを見ながら確認して足りる場合。許可の要件を満たすかどうか(経営業務の管理責任者・営業所技術者の要件)の判断そのものを短くしたい場合(この構成は要件の判断を行わない)。手引きの必要書類の一覧を事務所の点検表に直す手間をかけられない場合。なお、許可の要件の判断と、提出してよいかの最終的な判断は行政書士が行います。

07最小構成で試す方法

  1. 先月提出した決算報告の届出から10件を選ぶ(うち数件は、補正を受けたものを入れる)
  2. 手引きのページから、決算報告の必要書類の一覧を写し、条件の列を足して点検表の試作を作る
  3. 確認資料のPDFを1つずつ ChatGPT の画面に渡し、点検表の試作を貼って「このPDFが点検表のどの行に当たるか、あるべき記載があるか、発行日と対象の年度を書かれたとおりに答えてください。換算や補いをしないでください」と指示する
  4. 工事経歴書と工事施工金額と財務諸表の数字は、手で表に写して突き合わせる
  5. 出てきた結果を、実際に受けた補正と比べる

10件は必ずやってください。 プログラムを書く前に、点検表の形で手引きを当てはめられるかを確かめます。

出てきた内容判断
実際に受けた補正の箇所が拾われたPython の処理を書く段階に進む
読めない日付を推して埋めた指示の書き方で直る。構成は有効
条件付きの書類の要否が試作の点検表で決まらない点検表の条件の書き方を先に直す

3行目は、たいてい出ます。 手引きの注記は文章なので、「どの値がどうなら要るか」の形に直すところで事務所の解釈が要ります。 そこで行政書士2名の見方の違いが表に出るので、ここで1つに決めます。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
条件付きの書類を落とす要否は点検表の条件で決める。 AIに選ばせない
読めない日付を推して埋める補いの禁止を指示に書き、unreadable を許す
年度の表記を換算して取り違える書かれたとおりに写させ、比べ方は規則で決める
千円単位と円単位が混ざる様式ごとの単位を点検表に書き、比べる前にそろえる
去年の確認資料がそのまま入る種類を読み出させ、手引きの版ごとの規則で outdated を出す
資格確認書と資格情報のお知らせを取り違える指示に別の書類だと書き、見分けられなければ uncertain
1つのPDFに複数の書類書類ごとに1ファイルにする決まりを補助者と作る
様式が古い版欄の位置が合わない。新しい様式で作り直す
手引きが改訂されたのに点検表が古い点検表の版を上げるまで処理を止める
一覧の ok を要件の充足と読む要件にかかわる書類は、一覧にかかわらず行政書士が読む

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、AIに判断や計算や補いをさせたところから起きます。AIの役割を「読み出しと当てはめ」に絞り、それ以外を点検表とプログラムに置くことで、ほとんどが防げます。

下の2行は、時間がたってから効いてきます。 改訂への追随と、一覧の結果の読み方は、運用の決まりとして事務所に書いておかないと、担当が替わったときに崩れます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 顧問先の決算の数字、工事の注文者と工事名、役員と営業所技術者の氏名・住所・生年月日、そして常勤性を確かめる資料(運転免許証や住民票の写し)という本人確認の書類です。

  1. 個人番号の見える書類を受け取らない・残さない … 手引きの改訂後の常勤性の資料では、住民票は個人番号と住民票コードを省略したものとされています。見えていれば visible_sensitive で拾い、取り直しを頼んでそのPDFは消します
  2. AIに渡す範囲を確認資料に限る … 様式の値はプログラムが読み、AIには渡しません。OpenAI の説明では、API に送ったデータは、明示的に共有を選ばない限りモデルの学習に使われないとされていますが、渡さずに済むものは渡しません
  3. 顧問先に、AIを使って点検することを伝える … 委任の範囲で扱う資料なので、確認資料の一部を外部のサービスで読み出すことを、顧問先との取り決めに書いておきます
  4. 公開される書類であることを意識する … 建設業法では、許可申請書や決算に関する書類のうち工事経歴書・直前3年の工事施工金額などを、閲覧所で公衆の閲覧に供するとされています。誤記はそのまま公開されるので、校正の価値はそこにもあります
  5. 要件の判断を一覧に寄せない … 一覧が ok でも、許可の要件を満たすかは行政書士が判断します。事務所の中で一覧の意味を取り違えないよう、一覧の冒頭に「書類の揃い方と数字の照合の結果」と書いておきます

誤りが起きた場合のリスクは、不足を見落として出すことと、古い基準で ok を出すことの2つです。 前者は補正の往復で済みますが、後者は事務所全体の案件に同じ誤りが広がります。 点検表の版の管理を、この構成のいちばんの守りにします。

10まず何から始めるか

1週目:決算報告の点検表を作る

都のページの決算報告の必要書類の一覧を写し、条件の列(株式会社のみ、人数に変更があった場合のみ など)と、照合する欄の列を足します。過去1年に受けた補正の内容を、行ごとの注記に入れます。

2週目:10件で試す

先月提出した決算報告から10件を選び、ChatGPT の画面で確認資料を点検表に当てはめさせ、数字は手で突き合わせます。読めない日付を補っていないか、年度を換算していないかを最優先で見ます。

3週目:新規・更新・業種追加の点検表を作る

申請の区分ごとの点検表を作り、令和8年度の手引きで変わった常勤性の資料の扱いを規則に入れます。 点検表の版と、改訂を見る担当を決めます。

4週目:Python の処理を作る

点検表の行の選択、様式の値の読み出し、照合と計算、AIの呼び出し、一覧の書き出しをつなぎます。この時点では、決算報告だけを対象にします。

2か月目: 申請の区分を広げ、行政書士が判定を覆した行を毎週数えます。3か月目以降: 補正の記録を点検表の注記に足し続け、1件45分が何分になったかを実測します。補正を受けた箇所が一覧で拾えるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-07/最終更新:2026-10-07
確認した内容情報源確認日
都知事許可の新規・業種追加・更新の申請、変更届・廃業届、決算報告、承継等の事前認可の区分ごとに、本冊・別とじ・確認資料等に分けて必要書類が様式の番号つきで掲載されていること。「人数に変更があった場合のみ」「株式会社の場合のみ」などの条件が付いていること。工事経歴書で実績の無い業種は1枚にまとめること。納税証明書について都税事務所と税務署とで年度の表記が異なること。行政書士等の代理人による申請のための代理人記入欄を設けた様式があること。電子申請の案内があること。手引き(令和8年度)が掲載され、ページの更新日が2026年9月10日であること東京都都市整備局: 建設業許可 手引、申請書類等2026-10-07
令和8年度の手引きで、常勤性を確かめる資料が、健康保険証とマイナ保険証の表面の代わりに、資格確認書の写し(「資格情報のお知らせ」とは異なる)、運転免許証の写し(両面)、発行後3か月以内の住民票(個人番号と住民票コードを省略したもの、原本証明)のいずれかに変わったこと東京都都市整備局: 令和8年度手引の主な変更点(PDF)2026-10-07
許可を受けた建設業者が、毎事業年度終了時の工事経歴書・直前3年の工事施工金額などの書類を、毎事業年度経過後4か月以内に提出しなければならないこと(第11条第2項)。許可申請書や第11条第2項の書類などを閲覧所で公衆の閲覧に供すること(第13条)e-Gov 法令API: 建設業法2026-10-07
画像を扱えるモデルでは、PDF から各ページの文字とページの画像を取り出してモデルに渡すこと。1ファイル50MB未満、1回の依頼のファイルの合計が50MBまでであること。PDF以外の文書は文字だけを取り出し、表計算のファイルは各シートの先頭1,000行までを読むことOpenAI: File inputs2026-10-07
text.format に type: "json_schema" と strict: true を指定すると応答がスキーマに従うこと。すべての項目を required にし、additionalProperties を false にする必要があること。値が無い項目を null との共用体で表すことOpenAI: Structured model outputs2026-10-07
API に送ったデータが、明示的に共有を選ばない限りモデルの学習に使われないことOpenAI: Data controls in the OpenAI platform2026-10-07

許可の要件を満たすかの判断と、提出してよいかの最終的な判断は、行政書士が行ってください。 本記事は東京都知事許可の公開資料で確認できた範囲だけを扱っています。他の道府県では必要書類と様式が異なります。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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