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留学生の出願で届く英文の卒業証明書・成績証明書を読み取り、出願データの学歴・成績の項目に転記して、出願資格の確認に要る記載の不足を入試担当へ出す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

留学生の出願で届く英文の卒業証明書と成績証明書を読み取り、学校名・在学期間・卒業日・科目と成績を出願データの項目にそろえます。出願者が入力した学歴と照らし、出願資格の確認に要る記載の不足を入試担当へ出します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
AIサービス
AWS Textract/Azure AI/Google Document AI
対象業界
教育
対象部門
総務
対象業務
データ入力・転記/内容確認・チェック
主な課題
入力作業が多い/期限・対応漏れが起きる/確認ミスが多い
AIで行う処理
読み取り(OCR)
主な効果
入力漏れ削減/判断支援/工数削減
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
40h/月
AI導入後
12h/月
想定削減
70%
年間削減
336h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. Web出願システムに出願が入り、添付された証明書のPDFを共有フォルダへ保存する
  2. 担当者が卒業証明書を開き、学校名・所在国・卒業日・取得した資格の名称を出願データへ写す
  3. 成績証明書を開き、学年ごとの科目と評点、評価の尺度、平均の評点を写す
  4. 出願者が入力した学歴の年月と、証明書の在学期間・卒業日を見比べる
  5. 学校教育の年数の合計が12年に届いているかを、入力された学歴から数える
  6. 足りない記載や合わないところを、出願者へメールで問い合わせる
  7. 証明書の真正性の確認が要るものと、年数が12年に満たないものを入試の責任者へ回す
導入後(After)
  1. 自動Web出願システムに出願が入ると、添付の証明書が出願番号のフォルダ(Amazon S3)に保存される
  2. 自動保存をきっかけに処理が動き、形式・サイズ・ページ数・本文の言語を確かめる
  3. 自動AWS Textract が証明書の構成(題名・節・本文)、成績の表、決めておいた問いへの答えを返す
  4. 自動Claude API が書類の種類を判別し、学歴と成績を出願データの項目へ並べ直す
  5. 自動プログラムが、出願者の入力した学歴と証明書の在学期間・卒業日を照らし、入力された学歴の年数を数える
  6. 自動記載の不足と食い違いを一覧にし、Claude API が出願者への問い合わせの英文の下書きを作る
  7. 人担当者が、不足・食い違い・信頼度の低い項目を原本の画像で確かめる
  8. 人担当者が出願データへの反映を承認し、問い合わせを直して送る
  9. 人入試の責任者が、年数が12年に満たないものと真正性の確認が要るものを見る
各工程の詳しい説明を読む
  1. Web出願システムに出願が入り、添付された証明書のPDFを共有フォルダへ保存する
  2. 担当者が卒業証明書を開き、学校名・所在国・卒業日・取得した資格の名称を出願データへ写す
  3. 成績証明書を開き、学年ごとの科目と評点、評価の尺度、平均の評点を写す
  4. 出願者が入力した学歴の年月と、証明書の在学期間・卒業日を見比べる
  5. 学校教育の年数の合計が12年に届いているかを、入力された学歴から数える
  6. 足りない記載や合わないところを、出願者へメールで問い合わせる
  7. 証明書の真正性の確認が要るものと、年数が12年に満たないものを入試の責任者へ回す

(a)国ごとに違う書式を読んで写す時間が重い。 同じ「卒業日」でも、Date of Graduation、Date of Completion、Date of Issue が並ぶ証明書があります。発行日を卒業日として写す誤りは、ここで起きます。

(b)評価の尺度が分からない。 「85」は100点法の85点なのか、別の尺度なのか。凡例が裏面にあってスキャンされていないこともあります。尺度の無い評点を写しても、選考の資料として使えません。

(c)不足に締切の直前で気づく。 卒業見込みの証明書しか付いていない、成績証明書の最終学年が無い。出願が締切近くに集中するため、確認が後回しになり、問い合わせの返事が締切に間に合わないことがあります。

(d)入力と証明書の食い違いを見落とす。 出願者が入力した卒業の年と、証明書の卒業日が1年違う。名前のつづりが旅券と証明書で違う。写しているあいだは、写すことに注意が向いています。

  1. 【自動】 Web出願システムに出願が入ると、添付の証明書が出願番号のフォルダ(Amazon S3)に保存される
  2. 【自動】 保存をきっかけに処理が動き、形式・サイズ・ページ数・本文の言語を確かめる
  3. 【自動】 AWS Textract が証明書の構成(題名・節・本文)、成績の表、決めておいた問いへの答えを返す
  4. 【自動】 Claude API が書類の種類を判別し、学歴と成績を出願データの項目へ並べ直す
  5. 【自動】 プログラムが、出願者の入力した学歴と証明書の在学期間・卒業日を照らし、入力された学歴の年数を数える
  6. 【自動】 記載の不足と食い違いを一覧にし、Claude API が出願者への問い合わせの英文の下書きを作る
  7. 【人】 担当者が、不足・食い違い・信頼度の低い項目を原本の画像で確かめる
  8. 【人】 担当者が出願データへの反映を承認し、問い合わせを直して送る
  9. 【人】 入試の責任者が、年数が12年に満たないものと真正性の確認が要るものを見る

7番目が、この設計の分かれ目です。 写すのは自動でできますが、出願データに入れるのは担当者が原本を見てからです。 卒業日を1年取り違えると、出願資格の確認そのものが誤った前提で進みます。

5番目をプログラムに置いているのも意図してのことです。 年数の数え上げは、入力された入学と卒業の年月から機械的に出ます。AIに数えさせると、飛び級や留年の書き方で数が揺れます。 数えた結果をどう扱うかは、9番目の責任者が決めます。

02今回想定するシステム構成

構成図
卒業証明書・成績証明書(英文のPDF・画像)
   ▼【トリガー】出願番号のフォルダ(Amazon S3)への保存
AWS Lambda ── 形式・サイズ・ページ数・言語の確認
   ▼
AWS Textract
   └─ StartDocumentAnalysis(LAYOUT・TABLES・QUERIES)
   ▼ 完了の通知(Amazon SNS)
Claude API ── 書類の判別と、学歴・成績の項目への並べ直し(構造化出力)
   ▼
AWS Lambda ── 入力された学歴との照合/年数の数え上げ/不足の一覧
   ▼
Claude API ── 出願者への問い合わせの下書き
   ▼
【担当者が確認・承認】──▶ 出願データへの反映/入試の責任者への回付
役割想定する製品代替候補
OCRAWS Textract(StartDocumentAnalysis の LAYOUT・TABLES・QUERIES)Azure AI Document Intelligence、Google Document AI
生成AIClaude API(書類の判別、項目の並べ直し、問い合わせの下書き)OpenAI API、Gemini API
連携AWS Lambda(保存を起点に処理を動かし、照合と数え上げを行う)Amazon EventBridge
保管Amazon S3(証明書のPDFと読み取り結果)学内のファイルサーバー
通知Amazon SNS(読み取りの完了の通知)Amazon SQS

Web出願システムと入試の管理表は、新しく足すものではありません。 出願システムからの添付の受け渡しと、承認した内容の書き戻しは、出願システムが外部との連携の口を持っているかによって作り方が変わります。 口が無ければ、添付を担当者がフォルダへ保存し、承認した内容を取り込み用のファイルで渡します。その部分は利用環境に応じた個別の作りになります。

読み取りの土台は、AWS Textract の非同期の文書分析(StartDocumentAnalysis)です。 指定できる分析は TABLES、FORMS、QUERIES、SIGNATURES、LAYOUT で、完了は Amazon SNS に通知され、結果は GetDocumentAnalysis で取ります。ジョブの識別子(JobId)の有効期間は7日です。

卒業証明書に効くのは LAYOUT です。 文書の題名(LAYOUT_TITLE)、節の見出し(LAYOUT_SECTION_HEADER)、本文(LAYOUT_TEXT)、表、キーと値の位置などを要素として返し、要素は読む順(左から右、上から下)に並びます。 賞状のような書式でも、題名から「卒業証明書か、在学証明書か、修了証書か」を見分ける手がかりが取れます。

成績証明書に効くのは TABLES です。 表は CELL が RowIndex・ColumnIndex 付きで返り、列の見出しには COLUMN_HEADER、表の下の注記には TABLE_FOOTER が付きます。 評価の尺度の凡例が表の下に書かれている書式では、そこから尺度を取れます。

Textract は、日本語の書類を読めません。 対応は英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・ポルトガル語・スペイン語で、手書きは英語だけ、縦書きは非対応、問いによる取り出し(QUERIES)は英語の書類だけです。 この構成は、英文の証明書か英文の公式な訳文が付く出願に絞っています。 原語だけの証明書は、従来どおり担当者が見ます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

出願番号のフォルダ(Amazon S3)に証明書が保存されたことを起点にします。 出願システムから添付を受け取れるなら自動で、受け取れないなら担当者が保存します。証明書は出願のあとで差し替えられることがあるため、保存のたびにその出願の証明書全体を見直します。

もう1つの起点は、毎朝の定時実行です。 選考の締切の10日前・5日前・前日に、不足が解消されていない出願と、問い合わせの返事が来ていない出願を一覧にして担当者へ送ります。締切に間に合わない失敗は、返事を待っているあいだに起きるからです。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
卒業証明書学校名、所在国、氏名、生年月日、課程の名称、入学日、卒業日、発行日、発行者の役職出願番号のフォルダ
成績証明書学年ごとの科目と評点、評価の尺度の凡例、平均の評点、発行日出願番号のフォルダ
訳文の証明原語の証明書に付く英文の訳文と、訳した機関の名称出願番号のフォルダ
出願者の入力氏名(旅券のつづり)、生年月日、学歴の各行の学校名と入学・卒業の年月Web出願システム
募集要項の条件入学の時期、出願資格の項目、提出書類の一覧自社で用意する表
評価の尺度の一覧国ごとによく使われる尺度と、凡例の書き方の例自社で用意する表

質を決めるのは、出願者の入力です。 照合の相手がなければ、卒業日を写せてもそれが合っているかを見る先がありません。 出願システムの学歴の欄を、年月まで入れる形にしておくのが最初の準備です。

評価の尺度の一覧は、尺度を決めるためではなく、凡例の見落としを減らすために持ちます。 「この国の証明書は裏面に凡例があることが多い」と分かっていれば、裏面が無い出願に先に気づけます。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどの機能で何に使うか
証明書の題名と節LAYOUT(LAYOUT_TITLE、LAYOUT_SECTION_HEADER、LAYOUT_TEXT)書類の種類の判別と、本文の切り出し
決まった項目QUERIES(問いと別名を決めておく)卒業日、入学日、発行日、氏名、学校名
成績の表TABLES(CELL、COLUMN_HEADER、TABLE_FOOTER)科目・評点・学年と、凡例
文字ごとの信頼度すべてのブロックの Confidence人が確かめる項目の選び出し

問いは、別名(Alias)を付けて登録します。 例えば What is the date of graduation? に GRAD_DATE、What is the date of issue? に ISSUE_DATE、What is the date of admission? に ADMIT_DATE を付けます。答えは QUERY_RESULT として信頼度つきで返り、答えが見つからないときは空で返ります。 空のまま後段に渡し、「書かれていない」として扱います。

卒業日と発行日は、必ず別の問いにします。 1つの問いで「日付」を聞くと、目立つ位置にある発行日が答えとして返ることがあります。2つの答えが同じ日付なら、その出願は担当者の確認に回します。

問いの数は、非同期の処理で1ページあたり30、同期で15までです。 卒業証明書は1ページのことが多いので問いを中心に、成績証明書は表として読みます。

訳文のページでは、訳した機関の名称と訳文の日付も問いで取ります。 原語の証明書に英文の訳文が付く出願では、読み取るのは訳文で、原本は原語のページです。 訳文の学校名や卒業日が原語のページとずれていても、この構成では気づけません。訳文から取った項目には「訳文由来」の印を付け、担当者が原語のページの数字と年号だけでも見比べられるようにします。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 形式の確認 … JPEG・PNG・PDF・TIFF であることを確かめます。XFA形式のPDFは扱えません
  2. パスワードの確認 … パスワード付きのPDFは読めません。出願者に解除したものを出し直してもらいます
  3. サイズとページ数の確認 … 非同期の処理で、PDFとTIFFは500MB・3,000ページまでです
  4. 文字の大きさの確認 … 検出できる文字の高さは15ピクセル以上で、150dpiで8ポイントに当たります。スマートフォンで撮った証明書は、凡例の小さな文字が下限を割ることがあります
  5. 言語の確認 … 英文でないページは読み取りに回さず、「原語のページ」として記録します
  6. 書類の種類の判別 … 卒業証明書・成績証明書・訳文・旅券の写しが1つのPDFにまとまって届くことがあります。ページごとに種類を分けてから、問いをかけるか表として読むかを決めます

6番目を軽く見ないでください。 旅券の写しのページに問いをかけると、生年月日や氏名の答えが旅券から返り、証明書と旅券の食い違いが見えなくなります。 旅券の写しは読み取りの対象から外します。

Step5

AIに処理させる

1回目にさせるのは、読み取り結果を出願データの学歴と成績の項目へ並べ直すことです。

項目取り出し元書かれていないときの扱い
書類の種類題名と本文(卒業証明書/在学証明書/見込み証明書/成績証明書/訳文)other
学校名・所在国問いの答えと本文not_stated
氏名・生年月日問いの答えnot_stated
入学日・卒業日・発行日それぞれ別の問いの答えnot_stated。発行日で埋めない
卒業か見込みか本文の「has completed」「is expected to」などの記載not_stated
科目・学年・評点成績の表行ごとに not_stated
評価の尺度表の下の注記か凡例not_stated。評点から推定しない

2回目にさせるのは、プログラムが出した不足と食い違いの一覧から、出願者への問い合わせの下書きを作ることです。 何が足りないか、どの書類を出し直してほしいかを、英語で具体的に書きます。

させないこと理由
出願資格の有無の判断入試の責任者が募集要項と照らして決める
学校教育の年数を数えるプログラムが入力から数える
評点を別の尺度に換算する換算の方法は選考の取り決め。AIに決めさせない
評価の尺度を推定する凡例が無ければ not_stated
証明書が本物かの判断発行元への照会など、別の手続きで確かめる

4行目がいちばん起きやすい失敗です。 評点が「3.6」なら4段階だろうと推定して 4.0 scale と書くのは自然に見えますが、5段階の国もあります。 凡例の無い証明書は、凡例を出してもらうのが答えです。

Step6

指示内容を固定する

あなたは大学の国際入試の担当として、留学生の英文の証明書を
出願データの項目へそろえる立場です。
渡すのは AWS Textract が読み取った結果(題名・本文・表・問いの答え)です。
読み取り結果に書かれていることだけを使ってください。推測で埋めないでください。

【1回目:出願データの項目への並べ直し】
- 各ページの書類の種類を、graduation_certificate / enrollment_certificate /
  expected_graduation / transcript / translation / other から選んでください。
- 卒業日(graduation_date)と発行日(issue_date)は別の項目です。
  卒業日が書かれていなければ not_stated とし、発行日で埋めないでください。
- 卒業したのか、卒業見込みなのかは、本文の記載だけで決めてください。
  決められなければ not_stated にしてください。
- 成績の表は、学年・科目・評点の行に分けてください。評点は書かれた
  文字列のまま入れ、換算しないでください。
- 評価の尺度(grading_scale)は、凡例や注記に書かれている場合だけ
  原文のまま入れてください。書かれていなければ not_stated とし、
  評点の値から推定しないでください。
- 氏名は読み取った文字列のまま入れ、つづりを直さないでください。
- 項目ごとに、根拠にした英文を evidence にそのまま写してください。
- 信頼度は Textract が返した値をそのまま confidence に入れてください。
- 出願資格があるかどうか、証明書が本物かどうかは書かないでください。

【2回目:出願者への問い合わせの下書き】
- 不足と食い違いの一覧({findings})だけを使って、英語で書いてください。
- 足りない書類または記載ごとに、何を、どの形で出し直してほしいかを
  具体的に書いてください。
- 出願資格や合否に触れないでください。

「発行日で埋めない」を明記しないと、卒業日に発行日が入ります。 証明書の下部に大きく書かれた日付は多くが発行日で、何も言わなければそれを卒業日として選びます。

Step7

出力形式を固定する

1回目の出力は、次の形のJSONで受け取ります。

{
  "application_id": "",
  "documents": [
    { "file": "", "page": 1, "doc_type": "graduation_certificate" }
  ],
  "education": {
    "school_name": "",
    "country": "",
    "admission_date": "",
    "graduation_date": "",
    "issue_date": "",
    "completion": "completed | expected | not_stated",
    "items_status": [
      { "item": "graduation_date", "status": "ok | not_stated | low_confidence",
        "confidence": 0, "evidence": "" }
    ]
  },
  "transcript": {
    "grading_scale": "",
    "rows": [
      { "year": "", "subject": "", "grade_raw": "", "confidence": 0 }
    ]
  }
}

1つ目の理由は、照合をプログラムに渡せることです。 出願者が入力した学歴の最後の行と、education の学校名・卒業日を比べ、match / mismatch / certificate_only / input_only の4つに分けます。年数は入力された学歴の各行から数えます。

見るもの不足・食い違いとする条件返す先
卒業日not_stated、または入力と年が違う出願者へ問い合わせ
卒業か見込みかexpected募集要項の扱いに従い担当者へ
評価の尺度not_stated出願者へ凡例の提出を依頼
氏名入力の旅券のつづりと違う出願者へ問い合わせ
学校教育の年数入力から数えて12年に満たない入試の責任者へ
原語のページだけで英文が無い英文のページが無い担当者が原本を見る

2つ目は、grade_raw を文字列のまま持てることです。 「A+」「85」「Excellent」を同じ列に入れても壊れず、換算は選考の取り決めの側で後から行えます。

構造化出力では、スキーマのすべてのオブジェクトに additionalProperties: false を付けます。数値の範囲や文字列の長さの制約はスキーマで書けないため、日付の形の確認はプログラムで行います。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
出願番号のフォルダ(Amazon S3)保存のイベントで AWS Lambda を起動証明書の保存を検知する
AWS Textract非同期のAPI呼び出し完了は Amazon SNS へ通知され、結果を取りに行く
Claude APIAPI呼び出し(2回)項目の並べ直しと、問い合わせの下書き
Web出願システム学歴の入力の読み取り/承認後の書き戻し照合の相手と、学歴・成績の項目
入試の管理表書き込み(不足の列だけ)不足の内容、問い合わせた日、返事の有無

StartDocumentAnalysis には、同じ依頼を二度動かさないための識別子(ClientRequestToken)を付けます。 同じ識別子なら同じ JobId が返ります。JobTag には出願番号を入れ、完了の通知からどの出願の結果かを引けるようにします。結果の出力先のバケットと、暗号化の KMS の鍵も指定できます。

出願データへは、担当者が承認するまで書き戻しません。 出願者へも、自動では何も送りません。

Step9

人が確認する

担当者が見るのは、不足と食い違いの印が付いた項目と、信頼度の低い項目です。

  1. 卒業日と発行日を原本で見る … 2つが同じ日付になっていないか、取り違えていないかを見ます
  2. 卒業か見込みかを本文で見る … 見込みの証明書を卒業として扱うと、入学後に卒業の証明が出ないことがあります
  3. 評価の尺度を見る … not_stated なら、裏面のスキャン漏れか凡例が無いかを原本で見ます
  4. 成績の表は信頼度の低い行だけ見る … 全行を見直すと、写す時間がそのまま戻ってきます
  5. 承認して書き戻し、問い合わせを直して送る … 送るのは人です

1番目を省かないでください。 卒業日の取り違えは、出願資格の確認を誤った前提で進めることになります。 信頼度が高くても原本を見ます。

目標は、60件をならして1件12分です。 それより長くかかる月は、スマートフォンで撮った証明書が増えているか、問いの書き方が合っていない国の書式があります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
パスワード付き・XFA形式のPDF読めない。出願者に出し直しを依頼
英文のページが無い読み取りに回さず、担当者が原本を見る
手書きの記入がある手書きは英語だけ読める。手書きの項目は信頼度にかかわらず担当者へ
卒業日と発行日の答えが同じ担当者が原本で確かめる
評価の尺度が無いnot_stated。出願者に凡例の提出を依頼
年数が12年に満たない入試の責任者へ回す。 不足の連絡は自動で出さない
同時に動かすジョブが多すぎる上限を超えると LimitExceededException。時間をおいて再実行
JobId の期限(7日)が切れた依頼からやり直す
締切が近いのに返事が無い毎朝の一覧で上位に出し、担当者へ通知
氏名のつづりが証明書と旅券で違う国によってはローマ字の書き方が一つに決まらない。食い違いとして出し、どちらかに直さない

6行目は、扱いを決めておかないと事故になります。 12年に満たない場合でも、準備教育課程の修了などで入学資格が認められる道があり、一律に不足として返すと、資格のある出願者を落とすことになります。

Step11

記録を残す

  • 受け取った証明書のPDFと、保存された日時
  • Textract が返した読み取り結果の全文と JobId
  • 1回目のJSON(項目、根拠の英文、信頼度)
  • 照合の結果と、そのとき照らした出願者の入力
  • 担当者が直した項目と、直す前の値
  • 承認した日時と、出願データへ書き戻した内容
  • 問い合わせを送った日と、返事と出し直しの書類が届いた日
  • 国ごとの、not_stated と low_confidence の発生率

4つ目で「そのときの入力」を残すのは、出願者が後から入力を直すためです。 直された後では、なぜ問い合わせたのかを説明できません。

最後の行は、問いと案内を直す材料になります。 特定の国で卒業日の not_stated が続くなら、その国の書式では卒業日が別の言い方で書かれているか、募集要項の提出書類の案内が足りていません。 問いの言い回しを足すか、案内に「卒業日の記載のある証明書」と書き足します。

04実装レベルの3段階

最小構成:PDFを手でAIの画面に貼り、学歴の項目を書き出させる / 1件ごとの項目の書き出し
半自動化:上記+Textract を呼び、学歴と成績を出願データの項目に並べて一覧にする / 読み取りと項目の一覧化
本格構成:上記+保存を起点に動かし、入力された学歴との照合、年数の数え上げ、不足の一覧、問い合わせの下書きまで出す / 転記と記載の確認の全体と、問い合わせの下書き

半自動化で、1件40分が25分程度になります。 成績の表を写す手間は無くなりますが、入力との見比べと問い合わせが手作業で残ります。本格構成で12分になり、この段階が本記事の想定です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の一覧を1か月見ると、問いが合わない国の書式が分かります。問いを直してから照合を足すほうが、空振りの問い合わせが減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
60 件
1件あたり現在時間
40 分
1件あたり導入後時間
12 分
現在  60件 × 40分 ÷ 60 = 40 時間/月
導入後 60件 × 12分 ÷ 60 = 12 時間/月
月間削減時間
28h
削減率
70%
年間削減時間
336h
年間金額換算(時間単価3,000円)
101万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 海外から直接出願する留学生を、年に複数回の入学時期と随時の選考で受け付けている大学・専門学校。卒業証明書と成績証明書が英文(または英文の公式な訳文)のPDFで届き、入試の担当者が出願システムへ学歴と成績を手で写している場合。出願資格の確認で、学校教育の年数や卒業日の記載の不足に締切の直前で気づくことがある場合。
向いていない
  1. 証明書が中国語・韓国語・ベトナム語などの原語のまま届き、英文の訳文が付かない場合(この構成のOCRは英語など6言語しか読めず、問いによる取り出しは英語だけです)。留学生の出願が年に数件の場合。日本語学校を経由した出願が中心で、日本語の書類が大半の場合。なお、出願資格があるかどうかの判断と、証明書が真正かどうかの確認は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 前の入学時期の出願から10件を選ぶ(評価の尺度が無い証明書と、見込みの証明書を入れる)
  2. 10件それぞれの卒業証明書と成績証明書のPDFを用意する
  3. 手元のAIサービスにPDFを貼り、「学校名、入学日、卒業日、発行日、卒業か見込みか、評価の尺度を、根拠の英文とともに書き出してください。書かれていなければ『記載なし』とし、発行日で卒業日を埋めないでください」と指示する
  4. 書き出された値を、当時の出願データと見比べる
  5. 当時問い合わせた出願で、同じ不足が出るかを見る
出てきた内容判断
当時の出願データと同じ値が出たTextract とワークフローの連携に進む
卒業日に発行日を入れた指示の書き方で直る。構成は有効
評価の尺度を推定で書いた凡例を原文で取る作りが要る理由。構成は有効

最小構成では Textract を使いません。 確かめるのは、AIが日付や尺度を推定で埋めないかです。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
卒業日に発行日が入る別の問いにし、同じ日付なら人へ
評価の尺度を推定する凡例が無ければ not_stated。出願者に凡例を依頼
見込みの証明書を卒業として扱う本文の記載で completion を取り、expected は人へ
旅券の写しから氏名を取る旅券のページを読み取りから外す
評点を換算してしまうgrade_raw を文字列のまま持つ
英文の無い出願を読ませようとするTextract は6言語だけ。原語だけの証明書は人が見る
年数の不足を自動で返す準備教育課程などの道がある。責任者へ回す
スマートフォンの写真で凡例が読めない文字の高さの下限を割る。スキャンでの出し直しを依頼
同じファイルを二度読ませるClientRequestToken を付ける

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、AIが空欄をもっともらしい値で埋めるところから出ています。空欄を空欄のまま人へ渡せるかで、運用に乗るかが決まります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 出願者の氏名・生年月日・国籍、学歴と成績です。成績は、出願者にとって選考に直結する個人の情報です。

  1. 外部へ渡す範囲を、学歴と成績の確認に要るページに限る … 旅券の写しや家族の書類が同じPDFに入っていることがあります。書類の種類の判別で other になったページは、生成AIへ渡さない設計にします
  2. 出願資格を判定させない … 外国の学校教育の課程が正規か、何年目に当たるかは各国の大使館に確認が必要とされています。この構成が出すのは、確認に入るための記載の不足までです
  3. 問い合わせを自動で送らない … 出願者は締切の前で、届いた文面をそのまま受け取ります。合否に関わると読める書き方を、人が見て止めます
  4. 証明書の真正性を確かめたことにしない … 読み取れたことは、本物であることを意味しません。真正性の確認は、発行元への照会など別の手続きで行います
  5. 読み取り結果の保管先と期間を決める … Textract の結果は既定でサービス側に保存され、出力先のバケットと暗号化の鍵を指定できます。学内のバケットに出し、選考が終わった出願の保管期間を決めます

誤りが起きた場合のリスクは、資格のある出願者を不足として扱うことと、不足のある出願を通してしまうことの2つです。 前者は年数の不足を自動で返さないことで、後者は卒業日と尺度を原本で見ることで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:出願システムの学歴の欄を見直す

出願者が入力する学歴が、学校名と入学・卒業の年月まで入る形になっているかを確かめます。なっていなければ、次の募集から欄を直します。

2週目:10件で試す

第8章のとおり、前の入学時期の10件で学歴の項目を書き出させます。卒業日に発行日を入れないか、尺度を推定しないかを最優先で見ます。

3週目:不足とする条件を決める

見込みの証明書をどの選考で受け付けるか、年数が12年に満たない出願を誰が見るかを、入試の責任者と決めます。 ここが決まらないと、一覧は出ても使われません。

4週目:保存から読み取りまでをつなぐ

S3 への保存を起点に Textract を呼び、学歴と成績の項目を一覧に書き出すところまで作ります。この時点では照合を作らず、一覧だけを見ます。

2か月目: 入力された学歴との照合と年数の数え上げを足します。3か月目以降: 問い合わせの下書きと毎朝の一覧を足し、1件40分が何分になったかを実測します。証明書が届いたその日に、何が足りないかを出願者へ伝えられるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-06/最終更新:2026-10-06
確認した内容情報源確認日
外国において学校教育における12年の課程を修了した者に大学の入学資格が認められること。12年は正規の学校教育における12年目の課程の修了を意味し、正規の課程か何年目かは各国の大使館に確認が必要なこと。12年に満たない場合は指定された準備教育課程などの修了が要ること。大学が個別の入学資格審査を行えること文部科学省: 大学入学資格について2026-10-06
対応言語が英・仏・独・伊・葡・西の6つで、問いによる取り出しは英語だけ、手書きは英語だけ、縦書き非対応であること。JPEG・PNG・PDF・TIFF に対応し XFA形式は非対応、パスワード付きPDFは不可。非同期でPDF・TIFFは500MB・3,000ページまで。問いは非同期で1ページ30・同期で15まで。文字の高さは15ピクセル以上(150dpiで8ポイント)AWS: Set Quotas in Amazon Textract2026-10-06
TABLES/FORMS/QUERIES/SIGNATURES/LAYOUT を指定できること。完了を SNS に通知し GetDocumentAnalysis で結果を取ること。JobId の有効期間が7日であること。ClientRequestToken で同じ JobId が返ること。JobTag が完了の通知に含まれること。KMS の鍵と出力先を指定でき、既定では結果がサービス側に保存されること。同時実行の上限超過で LimitExceededException になることAWS: StartDocumentAnalysis2026-10-06
LAYOUT が題名・節の見出し・本文・表・キーと値などを要素として返し、読む順(左から右、上から下)に並ぶことAWS: Layout Response Objects2026-10-06
表が CELL(RowIndex・ColumnIndex)で返り、列の見出しに COLUMN_HEADER、表の下の注記に TABLE_FOOTER が付くことAWS: Tables2026-10-06
問いへの答えが別名と信頼度つきで QUERY_RESULT として返り、答えがないときは空になることAWS: Queries2026-10-06
構造化出力がスキーマどおりのJSONを保証し、すべてのオブジェクトに additionalProperties: false が必要で、数値の範囲と文字列の長さの制約が使えないことClaude Docs: Structured outputs2026-10-06

出願資格の扱いは、各校の募集要項と入試の責任者の判断に従ってください。 本記事は文部科学省の大学入学資格のページで確認できた範囲だけを扱っており、専門学校の入学資格の定めは確認していません。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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