死亡保険金の請求で届く死亡診断書の写し・戸籍・請求書を読み取り、死亡日・死因の種類・受取人を査定の入力項目にそろえ、不足書類と食い違いを拾う
生命保険の死亡保険金の請求で届く死亡診断書の写し・戸籍・請求書を読み取り、死亡日・死因の種類・受取人を査定の入力項目にそろえます。書類どうしの食い違いと不足書類を拾い、遺族への案内の下書きまで作ります。
- 生成AI
- ChatGPT/Claude/Gemini
- AIサービス
- Azure AI/Google Document AI
- 対象業界
- 保険/金融
- 対象部門
- カスタマーサポート
- 対象業務
- データ入力・転記/内容確認・チェック
- 主な課題
- 入力作業が多い/期限・対応漏れが起きる/確認ミスが多い
- AIで行う処理
- 読み取り(OCR)
- 主な効果
- 入力漏れ削減/対応スピード向上/工数削減
- 導入難易度
- ★★★☆☆
- 実装レベル
- 本格構成
- 費用感
- API連携(中)
- 人間の確認
- 条件付き
01導入前 / 導入後の業務フロー
- 郵送で届いた書類をスキャンし、Webで提出された書類とあわせて請求番号ごとに保管する
- 担当者が請求の管理の仕組みで請求を開き、書類を1つずつ開く
- 書類ごとに種類を見分ける(請求書、死亡診断書、死体検案書、戸籍、本人確認書類、その他)
- 死亡診断書から死亡したとき・死因の種類を、戸籍から死亡の記載と続柄を、請求書から受取人と振込先を読み、査定の入力画面に打ち込む
- 被保険者の氏名・生年月日と死亡日が、死亡診断書・戸籍・請求書・契約の台帳で合っているかを見る
- 受取人が契約の台帳の受取人と同じ人か、請求書の請求者と同じ人かを見る
- 必要書類の一覧と見比べて、足りない書類を書き出し、受取人に案内を送る
- 人郵送の書類をスキャンし、Webの提出とあわせて請求番号ごとに Cloud Storage に置く
- 自動保存を起点に関数が動き、形式・サイズ・ページ数・解像度を確かめる
- 自動Enterprise Document OCR で全部の書類の文字・手書きの情報・画像の品質の点数を取る
- 自動Claude API が文字から書類の種類を見分ける
- 自動請求書と死亡診断書は Form Parser でも読み、キーと値のペアとチェックボックスを取る
- 自動死亡診断書の「死因の種類」の欄の画像を切り出し、Claude API に○で囲まれた番号を読ませる
- 自動Claude API が査定の入力項目(死亡日、死因の種類、被保険者、受取人)に値をそろえ、根拠の文字列を付ける
- 自動関数が、死亡日・氏名・生年月日・受取人の照合と、必要書類の照合を規則で行い、印を付ける
- 自動Claude API が、受取人への案内の下書きを作る
- 人受付の担当が入力項目の案と印の付いた項目を確かめ、死因の種類は必ず画像で確かめて確定する
- 人担当が案内の下書きを直して送り、請求を査定に回す
各工程の詳しい説明を読む
- 郵送で届いた書類をスキャンし、Webで提出された書類とあわせて請求番号ごとに保管する
- 担当者が請求の管理の仕組みで請求を開き、書類を1つずつ開く
- 書類ごとに種類を見分ける(請求書、死亡診断書、死体検案書、戸籍、本人確認書類、その他)
- 死亡診断書から死亡したとき・死因の種類を、戸籍から死亡の記載と続柄を、請求書から受取人と振込先を読み、査定の入力画面に打ち込む
- 被保険者の氏名・生年月日と死亡日が、死亡診断書・戸籍・請求書・契約の台帳で合っているかを見る
- 受取人が契約の台帳の受取人と同じ人か、請求書の請求者と同じ人かを見る
- 必要書類の一覧と見比べて、足りない書類を書き出し、受取人に案内を送る
(a)手書きの死亡診断書を読むのに時間がかかる。 医師の筆跡は人によって大きく違います。死亡したときの「時分」や、死因の種類のどの番号が○で囲まれているかを読み違えると、査定の前提が変わります。
(b)書類どうしの食い違いを見落とす。 死亡診断書の死亡日と戸籍の死亡日、請求書の被保険者の生年月日と契約の台帳。本来は同じはずの値が、どこか1つだけ違っていることがあります。 写し間違いのこともあれば、別人の書類が混ざっていることもあります。忙しい日は、転記するだけで次に進みます。
(c)不足書類の案内が遅れる。 受取人がすでに亡くなっている、受取人が未成年である、といった事情で必要な書類が変わります。7番目は担当者の経験に頼っており、慣れない担当者は一覧を何度も見返します。 案内が遅れた分だけ、遺族は待つことになります。
(d)読めない書類を「無い」と扱う。 写しが薄い、折り目で文字が消えている。読めないものを「記載なし」として案内すると、遺族は同じ書類を取り直して送ってきます。
- 【人】 郵送の書類をスキャンし、Webの提出とあわせて請求番号ごとに Cloud Storage に置く
- 【自動】 保存を起点に関数が動き、形式・サイズ・ページ数・解像度を確かめる
- 【自動】 Enterprise Document OCR で全部の書類の文字・手書きの情報・画像の品質の点数を取る
- 【自動】 Claude API が文字から書類の種類を見分ける
- 【自動】 請求書と死亡診断書は Form Parser でも読み、キーと値のペアとチェックボックスを取る
- 【自動】 死亡診断書の「死因の種類」の欄の画像を切り出し、Claude API に○で囲まれた番号を読ませる
- 【自動】 Claude API が査定の入力項目(死亡日、死因の種類、被保険者、受取人)に値をそろえ、根拠の文字列を付ける
- 【自動】 関数が、死亡日・氏名・生年月日・受取人の照合と、必要書類の照合を規則で行い、印を付ける
- 【自動】 Claude API が、受取人への案内の下書きを作る
- 【人】 受付の担当が入力項目の案と印の付いた項目を確かめ、死因の種類は必ず画像で確かめて確定する
- 【人】 担当が案内の下書きを直して送り、請求を査定に回す
10番目が、この設計の分かれ目です。 担当は全部の書類を開くのではなく、入力項目の案と、印の付いた項目の根拠だけを見ます。 ただし死因の種類だけは、印の有無にかかわらず欄の画像を見ます。
8番目を規則にしているのも、意図してのことです。 日付と氏名の照合、必要書類の一覧との照合は答えが1つに決まる作業です。AIにさせるのは、読み取った値を入力項目にそろえることと、案内の文面だけです。
02今回想定するシステム構成
郵送のスキャン/Webの提出(PDF・写真)
▼【トリガー】Cloud Storage への保存(object finalized)
Cloud Run functions ── 形式・サイズ・ページ数・解像度の確認
▼
Google Document AI
├─ Enterprise Document OCR(全書類。手書き・画像の品質の点数)
└─ Form Parser(請求書・死亡診断書。キーと値・チェックボックス)
▼
Claude API ── 書類の種類の見分け
── 死因の種類の欄の画像から、○で囲まれた番号を読む
── 査定の入力項目への値のそろえ(根拠付き)
▼
Cloud Run functions ── 死亡日・氏名・受取人の照合、必要書類の照合(規則)
▼
Claude API ── 不足書類と取り直しの案内の下書き
▼
保険金の請求の管理の仕組み(入力項目の案)
▼【人】受付の担当が確定 → 案内を送る → 査定へ| 役割 | 想定する製品 | 代替候補 |
|---|---|---|
| OCR | Google Document AI(Enterprise Document OCR と Form Parser) | Azure AI Document Intelligence |
| 生成AI | Claude API(書類の種類の見分け、死因の種類の欄の読み取り、入力項目へのそろえ、案内の下書き) | Gemini API、OpenAI API |
| 連携 | Cloud Run functions(起動、規則の照合、入力項目の案の書き込み) | Cloud Workflows |
| 保管 | Cloud Storage(届いた書類と読み取り結果) | ― |
| 請求管理 | 既存の保険金の請求の管理の仕組み | ― |
保険金の請求の管理の仕組みと契約の台帳は、新しく足すものではありません。 この構成は入力項目の「案」を書き込むだけで、確定は担当が行います。契約の台帳には書き込みません。
読み取りは2つのプロセッサを使い分けます。 Enterprise Document OCR は200以上の言語の文字を読み、日本語の手書きにも対応しています。Form Parser は、OCRの文字に加えてキーと値のペア、表、チェックボックスなどの選択マーク、一般的なエンティティを取り出し、こちらも日本語の手書きに対応しています。
ただし、Form Parser には○囲みを読む機能はありません。 公式の説明では、チェックボックスの読み取りはラジオボタンに対応しないとされています。死亡診断書の死因の種類は、マニュアルで該当するものを1つ○で囲むと定められた欄で、□に印を付ける形ではありません。そこで、この欄だけは画像を Claude に渡します。 Claude は JPEG・PNG・GIF・WebP の画像を受け取れますが、公式の説明では、画質の低い画像、回転した画像、200ピクセル未満の小さな画像では誤ることがあるとされ、重要な用途では人が確かめるよう求めています。
処理のリージョンには注意が要ります。 Form Parser の対応リージョンの一覧に、日本のリージョンはありません(2026年10月時点)。死因は健康に関わる情報です。 国外のリージョンで処理してよいかを、社内の規程で先に確かめます(第13章)。
03どうやって実装するのか
処理の起点を決める
書類が Cloud Storage の請求番号のフォルダに保存されたことを起点にします。 Cloud Run には、バケットでオブジェクトが作られたとき(google.cloud.storage.object.v1.finalized)に関数を呼び出す仕組みがあり、関数とバケットは同じプロジェクトに置く必要があります。
ただし、1ファイルごとに入力項目の案を作るわけではありません。 遺族は書類を何回かに分けて送ってきます。戸籍だけが先に届いた時点で「死亡診断書が不足」と案内すると、翌日届く書類と行き違います。 ファイルごとの読み取りは保存のたびに行い、入力項目の案と不足の判定は、Webの提出で「提出を完了する」が押されたとき、または郵送の書類をスキャンし終えて受付の担当が「受付完了」を押したときに行います。
経路で処理を分けません。 郵送とWebで別の流れにすると、どちらか一方だけ照合が抜ける期間ができます。受付の順番も経路によらず届いた日で並べます。
入力データを集める
| データ | 中身 | 取得元 |
|---|---|---|
| 請求の書類 | 請求書、死亡診断書(死体検案書)の写し、戸籍・除籍の証明書、法定相続情報一覧図の写し、本人確認書類、印鑑証明書 | Cloud Storage の請求番号のフォルダ |
| 契約の情報 | 証券番号、被保険者の氏名・生年月日、受取人の氏名・続柄、付いている特約 | 契約の台帳 |
| 請求の申告 | 請求者が提出画面や請求書に書いた死亡日と事情 | 保険金の請求の管理の仕組み |
| 必要書類の一覧 | 請求の型(受取人が生存/受取人が死亡/受取人が未成年 など)ごとに求める書類 | 自社で用意する一覧 |
質を決めるのは、必要書類の一覧です。 これが担当者の経験にしか無いと、不足の判定を規則にできません。自社の請求の案内に載っている必要書類を、請求の型ごとに表にしたもので十分です。
受取人が亡くなっている場合は、法定相続情報一覧図の写しが届くことがあります。 法務局の説明では、一覧図の写しは戸除籍謄本等の束の代わりに相続手続に使え、被相続人の死亡に起因する様々な手続に利用できるとされています。必要書類の一覧では、戸籍の束と一覧図の写しのどちらでも可とするように作ります。受け付けるかどうかは、自社の規程で決めます。
データの取得方法を決める
すべてのファイルを先に Enterprise Document OCR に通し、そのあと種類に応じて Form Parser にも通します。
| 取るもの | どこから | 何に使うか |
|---|---|---|
| 全文の文字と位置 | Enterprise Document OCR | 書類の種類の見分け、戸籍の死亡の記載 |
| 手書きかどうか | Enterprise Document OCR(computeStyleInfo) | 手書きの死亡診断書の判別 |
| 画像の品質の点数と欠陥の種類 | Enterprise Document OCR(enableImageQualityScores) | 「読めなかった」の判定 |
| キーと値のペア | Form Parser | 請求書の項目、死亡診断書の氏名・生年月日・死亡したとき |
| チェックボックス | Form Parser | 請求書の □ の欄(振込先の種類など) |
| 死因の種類の欄の画像 | 死亡診断書の該当の位置を切り出した画像 | Claude に○の位置を読ませる |
欄の切り出しは、印刷された見出しの位置から行います。 OCRが返した「死因の種類」という文字の位置を起点に、様式の上で欄が占める範囲を切り出します。切り出した画像が200ピクセルを下回るときは、元の解像度から拡大して取り直します。 小さな画像では誤ることがあるとされているためです。
画像の品質の点数は既定では返りません。 enableImageQualityScores を有効にすると、OCRと同程度の処理時間が足されるとされています。死亡診断書と戸籍では有効にし、本人確認書類の写しでは切ります。
AIへ渡す前に整形する
- 形式の確認 … PDF、GIF、TIFF、JPEG、PNG、BMP、WebP のいずれかであることを確かめます。HEIC の写真は JPEG に変換します
- サイズとページ数の確認 … オンライン処理は1ファイル40MBまで、Form Parser は15ページまでです。戸籍の束で超えるものはバッチ処理(Form Parser は100ページ、Enterprise Document OCR は500ページまで)に回します
- 解像度の確認 … スキャンは200dpi以上が最低、300dpi以上が最適とされています。郵送の書類は300dpiでスキャンします
- 画素数の確認 … 画像は1ページ4,000万画素までです。スマートフォンの写真で超えるものは縮小します
- 向きの補正 … 縦書きの戸籍を横向きにスキャンしたものは、向きを直してから読ませます
- ページの束ね … 複数ページで1つの戸籍のものは、ページの続き番号で束ねます
3番目と5番目を軽く見ないでください。 死亡診断書の写しは、遺族が役所でもらったものをさらにコピーしたものが多く、文字が薄くなっています。
AIに処理させる
| させること | 中身 |
|---|---|
| 書類の種類の見分け | 請求書/死亡診断書/死体検案書/戸籍・除籍/法定相続情報一覧図/本人確認書類/その他 |
| 標題の読み取り | 死亡診断書と死体検案書のどちらが二重線で消されているかを見て、書類の種別を決める |
| 死亡したときの取り出し | 年月日と時分を取り、「(推定)」「(確認)」の書き添えがあれば別の項目に入れる |
| 死因の種類の読み取り | 欄の画像から、○で囲まれた番号を1つ読む。複数・不明なら決めない |
| 戸籍の死亡の記載 | 死亡日、死亡地、届出の記載を取り出す |
| 受取人の情報 | 請求書の請求者の氏名・続柄、戸籍の続柄を取り出す |
| 案内の下書き | 規則が出した不足と取り直しの一覧から、遺族向けの文面を作る |
| させないこと | 理由 |
|---|---|
| 保険金を支払うかどうか | 査定の担当が約款と規程に照らして決める |
| 災害死亡保険金の対象かの判断 | 死因の種類を読むだけ。対象かどうかは査定で決める |
| 死因の種類の推測 | 「死亡の原因」の病名から番号を推し量らない |
| 受取人を誰とするかの判断 | 相続関係の判断は査定と規程の領分 |
| 読めない日付の推測 | 他の書類の日付で埋めない |
「させないこと」の3行目がいちばん起きやすい失敗です。 ○がかすれて読めないと、AIは「死亡の原因」の欄に書かれた病名から「1 病死及び自然死」を選びがちです。その推測が当たっていても、欄に○が無かったという事実が消えます。 死亡診断書の記入マニュアルでは、病死か外因死か判断できない場合は「12 不詳の死」として扱うとされており、医師がどの番号を選んだかは、病名からは決められません。
指示内容を固定する
あなたは生命保険会社の保険金の請求の受付担当です。
死亡保険金の請求で届いた書類のOCR結果と、死亡診断書の「死因の種類」の欄の画像から、
査定の入力項目に値をそろえます。
書類に書かれていることだけを根拠にしてください。推測で埋めないでください。
【死因の種類の読み方】
- 画像の中で○で囲まれている番号を1つ答えてください(1〜12)。
- ○が2つ以上ある、○がどの番号にかかるか決められない、○が見えない場合は、
番号を答えず status を ambiguous または unreadable にしてください。
- 「死亡の原因」の欄の病名から番号を推し量らないでください。
【死亡したとき】
- 年月日と時分を別々に取ってください。
- 「(推定)」「(確認)」と書き添えられていれば time_note に写してください。
【厳守事項】
- 記載がなければ value を空にし、status を missing にしてください。
- 品質の点数が0.5未満の領域から取った値は status を unreadable にしてください。
- 書類ごとの死亡日を1つにまとめないでください。書類ごとに別々に返してください。
- 標題で二重線が引かれている側を確かめ、死亡診断書か死体検案書かを返してください。
- 保険金の支払の可否、災害死亡保険金の対象かどうか、受取人を誰とするかは書かないでください。
- 各項目に、根拠にした書類のファイル名とページ、文字列をそのまま付けてください。
【契約の情報(被保険者・受取人)】{policy}
【請求の申告】{claim_declaration}
【OCR結果(ファイルごと、品質の点数付き)】{ocr_results}
【死因の種類の欄の画像】{cause_type_image}
「病名から番号を推し量らない」を名指しで書くのは、そこが最も推測の起きる欄だからです。 病名が書いてあれば病死だろう、と考えるのは自然ですが、マニュアルでは病死であっても損傷名を書いた場合は外因死の追加事項も書くとされるなど、病名と区分は一対一ではありません。
「書類ごとの死亡日を1つにまとめない」は、照合の材料を残すためです。 まとめさせると、どの書類の日付だったかが消えます。
出力形式を固定する
次の形のJSONで受け取ります。 Claude の構造化出力(output_config.format に json_schema を指定)を使い、項目の名前と型を固定します。
{
"claim_id": "DC-2026-031877",
"documents": [
{ "file": "scan_0003.pdf", "pages": [1], "doc_type": "death_certificate",
"title_selected": "死亡診断書 | 死体検案書", "handwritten": true, "quality_score": 0.74 }
],
"death_dates": [
{ "source_doc": "death_certificate", "date": "2026-09-12", "time": "04:30",
"time_note": "(推定)", "status": "ok | missing | unreadable", "evidence": "" }
],
"cause_type": { "number": "1", "status": "ok | ambiguous | unreadable", "evidence": "" },
"insured": { "name": "", "birth_date": "", "source_docs": [] },
"beneficiary": { "name": "", "relation": "", "source_doc": "claim_form", "evidence": "" }
}
1つ目の理由は、death_dates を書類ごとに並べられることです。 死亡診断書の死亡したとき、戸籍の死亡日、請求書の申告を同じ配列に入れ、照合は関数で行います。
2つ目は、cause_type を他の項目と分けて持てることです。 担当の確認の画面で、この項目だけは欄の画像を横に並べて表示します。
3つ目は、title_selected で死亡診断書と死体検案書を分けられることです。 記入マニュアルでは、標題は交付する書類の種別によってもう一方を二重の横線で消すとされています。どちらを求めるかは自社の規程で決め、ここでは読んだ事実だけを返します。
構造化出力では数値の範囲や文字数の制約は使えないとされているため、番号は文字列で受け、1〜12に入っているかは関数で確かめます。
関数が規則で付ける印は、次のとおりです。
| 確認 | 規則 | 印 |
|---|---|---|
| 死亡日 | 死亡診断書・戸籍・申告の死亡日が同じ日 | date_mismatch |
| 被保険者 | 氏名・生年月日が契約の台帳と一致 | insured_mismatch |
| 受取人 | 請求者が契約の受取人と一致。違えば相続の書類の有無 | beneficiary_check |
| 死因の種類 | 2〜11(外因死)または12(不詳の死)/読み取りが ok でない | cause_review |
| 必要書類 | 請求の型ごとの一覧と doc_type の照合 | missing_doc/retake |
システムへ連携する
| つなぎ先 | 方式 | 内容 |
|---|---|---|
| Cloud Storage | オブジェクトの作成のイベント | 書類の保存を検知して関数を起動する |
| Google Document AI | API呼び出し | 文字・手書き・品質の点数、キーと値、チェックボックスを返す |
| Claude API | API呼び出し | 種類の見分け、死因の種類の欄、入力項目のそろえ、案内の下書き |
| 契約の台帳 | 読み取り | 被保険者・受取人・特約を引く |
| 保険金の請求の管理の仕組み | 入力項目の案と印の書き込み | 担当の確認の一覧に載せる |
入力項目は「案」として書き込み、確定は担当が行います。 確定された請求だけが査定の担当の一覧に出ます。案内も自動では送りません。 遺族への連絡は、言葉の選び方ひとつで受け取られ方が変わります。
人が確認する
- 死因の種類を画像で確かめる …
cause_reviewの有無にかかわらず、欄の画像と読み取った番号を並べて見ます - 印の付いた項目を見る …
date_mismatch、insured_mismatch、beneficiary_checkは根拠の画像を開いて確かめます unreadableを確かめる … 担当が画像で読めるか、取り直しの案内が要るかを決めますmissing_docを確かめる … 不足とされた書類が別のファイルに混ざっていないかを見ます- 確定し、案内を送る … 下書きを直して遺族に送り、請求を査定に回します
1件あたり9分を目安にします。 印の無い請求は死因の種類の確認と流し読みで数分、印のある請求は画像を開いて確かめるので10分を超えます。ならして9分です。
1番目を省かないでください。 外因死の区分が付いていれば、査定では特約の扱いを確かめることになります。読み違えた1件は、遺族への支払の額に直接かかわります。
例外に対処する
| 起きること | 対応 |
|---|---|
| 死因の種類の○が2つある/見えない | 番号を決めず cause_review。担当が画像で確かめ、決められなければ査定に申し送る |
| 品質の点数が低い写し | 欠陥の種類を添えて、取り直しの案内の候補にする |
| 縦書きの古い除籍の謄本 | 読み取りの結果を担当が画像で確かめる前提で、needs_review を付ける |
| 死体検案書が届いた | 種別を記録して担当に回す。扱いは自社の規程に従う |
| 受取人がすでに死亡 | beneficiary_check。相続の書類(戸籍の束または法定相続情報一覧図の写し)を必要書類に加える |
| 死亡日が書類どうしで違う | date_mismatch。どちらが正しいかは決めず、担当が確かめる |
| 書類の種類が決まらない | other にして担当へ。不足の判定には使わない |
| ファイルが40MBや15ページを超える | バッチ処理に回す |
| Document AI か Claude が応答しない | 再試行し、続けて失敗したら担当の一覧に「読み取り未完了」として出す |
1行目は、この構成でいちばん大事な例外です。 ○が2つある死亡診断書は、医師が訂正した跡のこともあります。どちらが有効かを決めるのは、受付でもAIでもありません。
記録を残す
- 届いた書類の原本と、受付の日時・経路(郵送/Web)
- Document AI が返した結果の全文と、切り出した死因の種類の欄の画像
- Claude が返したJSONと、使った指示の版
- 関数が付けた印と、必要書類の一覧の版
- 担当が案を直した記録 … どの項目を、何から何に変えたか。死因の種類は特に別に記録する
- 送った案内の文面と日時、遺族から追加の書類が届いた日時
5つ目で死因の種類の直しを別に数えるのは、読み取りの精度をこの欄だけで測るためです。 直しが多いなら、切り出しの範囲か解像度を見直します。
04実装レベルの3段階
最小構成は、確かめるための段階です。 月400件には使えません。 半自動化で、1件30分が17分程度になります。 種類の見分けと転記は自動になりますが、照合と必要書類の確認は担当が一覧を見ながら行います。本格構成で9分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、照合と案内の下書きが、1件ずつの手作業だからです。
05工数削減シミュレーション
導入後 400件 × 9分 ÷ 60 = 60 時間/月
自社条件で導入効果を整理したい方へ
このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。
06向いている企業・向いていない企業
- 生命保険会社・共済の保険金の請求の受付で、死亡保険金の請求が月に数百件あり、死亡診断書の写し・戸籍・請求書を担当者が読んで査定の入力画面に打ち込んでいる場合。手書きの死亡診断書や古い戸籍が混ざり、読み取りと転記に時間がかかっている場合。不足書類の案内が遅れ、遺族からの問い合わせが増えている場合。Google Cloud を使っている、または使える場合。
- 死亡保険金の請求が月に数十件で、担当者が全件を目で見ても間に合う場合。死亡の事実や相続関係を、書類ではなく他の手段で確かめる仕組みがすでにある場合。健康に関わる情報を国外のリージョンで処理することが社内の規程で認められていない場合(Google Document AI の対応リージョンに日本はありません)。なお、保険金を支払うかどうか、災害死亡保険金の対象になるか、受取人を誰とするかは査定の担当と社内の規程が決めることで、この構成はそれを代わりに判断しません。
07最小構成で試す方法
- 過去の死亡保険金の請求から20件を選ぶ(うち数件は、手書きの死亡診断書、古い戸籍、書類が足りなかったものを入れる)
- その20件について、当時の入力の内容と、送った案内を用意する
- 個人を特定できる部分を伏せたうえで、手元のAIサービスに1件分の書類の画像を貼る
- 「書類の種類を分け、死亡日を書類ごとに、死因の種類で○が付いた番号、受取人の氏名と続柄を取り出してください。読めない部分と書かれていない部分を分けてください。病名から死因の種類を推し量らないでください」と指示する
- 出てきた結果を、当時の入力と見比べる
組む前に、手書きの死亡診断書と○囲みがどこまで読めるかを確かめます。
| 出てきた内容 | 判断 |
|---|---|
| 当時の入力とほぼ同じ値が出た | Document AI と照合の連携に進む |
| 病名から死因の種類を推測した | 指示の書き方で直る。構成は有効 |
| ○の位置を取り違える件数が多い | 欄の切り出しと解像度が先。 拡大した画像で取り直す |
試すときは、社内の規程で外部のAIサービスに死亡診断書を入れてよいかを先に確かめてください。 認められない場合は、本番と同じ契約の環境で試します。
08実装時につまずきやすいポイント
| 問題 | 対策 |
|---|---|
| 死因の種類の○が読めない | OCRでもチェックボックスでも読めない。欄の画像を切り出して読ませ、人が必ず確かめる |
| 病名から死因の種類を推測する | 指示で禁じる。決められなければ ambiguous |
| 小さく切り出した画像で誤る | 200ピクセル未満では誤ることがある。元の解像度から拡大して切り出す |
| 写しが薄くて「記載なし」になる | 品質の点数で unreadable に分け、取り直しの案内にする |
| 書類が分けて届き、先に「不足」と案内する | 案は提出の完了か受付完了のときに作る |
| 死亡日が1つにまとめられる | 書類ごとに返させ、照合は関数で行う |
| 死体検案書を死亡診断書として扱う | 標題の二重線で種別を読み、記録する |
| 受取人が亡くなっている請求で書類が足りない | 請求の型を分け、相続の書類を必要書類に加える |
| 日本のリージョンで処理できない | 対応リージョンに日本は無い。社内の規程を先に確かめる |
| 案内が自動で送られる | 下書きまでにする。 送信は担当が行う |
上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも死因の種類の欄にかかわります。この欄だけは、AIに読ませても人の確認を外さないと最初に決めてください。
09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点
この構成で扱うデータ: 被保険者の氏名・生年月日・死亡日・死因、遺族の氏名・住所・続柄、戸籍の内容、本人確認書類の写し、振込先の口座です。死因と病名は健康に関わる情報で、戸籍は家族の関係そのものです。 社内の規程でも最も慎重に扱う種類の情報に当たります。
- 処理のリージョンを決めてから作る … Document AI の対応リージョンに日本は無いため、国外での処理を社内の規程と個人情報の取扱いの方針で認められるかを、最初に確かめます。 認められない場合は、国内のリージョンで処理できる別のOCRに替えます
- 外部へ渡す範囲を限る … Claude に渡すのはOCRの文字と死因の種類の欄の画像で、本人確認書類の写しと口座の情報は渡しません。 受取人の住所も、入力項目のそろえには要らないので伏せます
- 保険金の支払を判断させない … この構成が出すのは、入力項目の案と不足の一覧までです。支払うかどうか、災害死亡保険金の対象になるか、受取人を誰とするかは、査定の担当が約款と規程に照らして決めます
- 食い違いを不正の疑いとして扱わない … 日付や氏名の食い違いの多くは、写し間違いや書類の混在です。印は確認を促すもので、遺族を疑う材料ではありません
- 案内を自動で送らない … 遺族への連絡は、下書きまでにし、担当が言葉を選んで送ります
- 見られる人を限る … 書類の原本、OCRの結果、切り出した画像は請求番号ごとに置き、読み出せる役割を受付と査定の担当に限ります
誤りが起きた場合のリスクは、死因の種類を読み違えて査定に回すことと、足りている書類を「不足」と案内することの2つです。 前者は○の読み取りを人が確かめないと起き、後者は missing と unreadable を混ぜると起きます。どちらも設計の分け方で防ぎます。
10まず何から始めるか
1週目:必要書類の一覧と処理のリージョンを決める
請求の型(受取人が生存、受取人が死亡、受取人が未成年など)ごとに、求める書類を表にします。 あわせて、健康に関わる情報を国外のリージョンで処理してよいかを、個人情報の担当と確かめます。
2週目:20件で試す
過去の請求から20件を選び、認められた環境で、書類の種類の見分けと項目の取り出しをさせます。死因の種類の○を正しく読めるか、病名から推測していないかを最優先で見ます。
3週目:Document AI の2つのプロセッサと欄の切り出しを作る
Enterprise Document OCR と Form Parser を作り、20件の書類を通します。死因の種類の欄の切り出しが、手書きと印刷の両方の死亡診断書で合うかを確かめます。
4週目:保存から入力項目の案までをつなぐ
Cloud Storage のイベントから関数を起動し、読み取りと項目のそろえを入力項目の案として書き出すところまで作ります。この時点では規則の照合を入れず、担当が直した項目を数えます。
2か月目: 死亡日・氏名・受取人・必要書類の照合を規則として足し、印を付けます。3か月目以降: 案内の下書きを足し、1件30分が何分になったかを実測します。死因の種類の直しが月に数件まで減り、不足書類の案内が受付の日に出せるようになった時点で、この構成は完成です。
11関連ユースケース
12この仕組みを理解するための記事
13技術仕様の確認日・参考情報
| 確認した内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|
| Form Parser がキーと値のペア、表、チェックボックスなどの選択マーク、一般的なエンティティを取り出すこと。チェックボックスの読み取りがラジオボタンに対応しないこと。値の無いキーと値のペアを確実には読めないこと | Google Cloud: Form Parser | 2026-10-07 |
| Enterprise Document OCR と Form Parser の対応言語に日本語が入り、どちらも日本語の手書きに対応すること。Form Parser の対応リージョンに日本が無いこと | Google Cloud: Processor list | 2026-10-07 |
画像の品質を0〜1の点数で返し、0.5未満で8つの欠陥の可能性を返すこと。enableImageQualityScores で有効にし、OCRと同程度の処理時間が加わること。computeStyleInfo による手書きの検出 | Google Cloud: Enterprise Document OCR | 2026-10-07 |
| オンライン処理の1ファイル40MB。画像1ページ4,000万画素。Form Parser のオンライン15ページ・バッチ100ページ、Enterprise Document OCR のバッチ500ページ | Google Cloud: Document AI limits | 2026-10-07 |
| 対応するファイル形式と、スキャンは200dpi以上、300dpi以上が最適とされること | Google Cloud: Supported files | 2026-10-07 |
Cloud Storage のオブジェクトの作成(google.cloud.storage.object.v1.finalized)で Cloud Run の関数を起動できること。同じプロジェクトに置く必要があること | Google Cloud: Cloud Storage triggers | 2026-10-07 |
| Claude が JPEG・PNG・GIF・WebP の画像を受け取ること。画質の低い画像、回転した画像、200ピクセル未満の小さな画像で誤ることがあり、重要な用途では人が確かめるよう求めていること | Claude Docs: Vision | 2026-10-07 |
構造化出力を output_config.format の json_schema で指定すること。数値の範囲や文字数の制約が使えないこと | Claude Docs: Structured outputs | 2026-10-07 |
| 死因の種類は該当するものを1つ○で囲むこと。病死か外因死か判断できない場合は「12 不詳の死」とすること。外因死(2〜11)の場合は外因死の追加事項を記入すること。死亡したときは死亡時刻を記入し、「(推定)」「(確認)」と書き添える場合があること。標題はもう一方を二重の横線で消すこと | 厚生労働省: 令和8年度版 死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル | 2026-10-07 |
| 法定相続情報一覧図の写しが戸除籍謄本等の束の代わりに相続手続に使え、被相続人の死亡に起因する様々な手続に利用できること | 法務局: 「法定相続情報証明制度」について | 2026-10-07 |
請求に求める書類、死体検案書や法定相続情報一覧図の写しの扱い、災害死亡保険金の対象の判断は、自社の約款と規程に従ってください。 本記事は公開仕様と厚生労働省・法務局のページで確認できた範囲だけを扱っています。
実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。
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