Media > AI活用ユースケース > カスタマーサポート > 気象警報の発表を受けて対象地域の契約者と代理店をエージェントが抽出し、事故受付の体制の案と連絡文の下書きを担当に知らせる

気象警報の発表を受けて対象地域の契約者と代理店をエージェントが抽出し、事故受付の体制の案と連絡文の下書きを担当に知らせる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

気象庁が公開する防災情報XMLで警報の発表を拾い、対象の市町村等にある契約と代理店をエージェントが集計します。事故受付の体制の案と、代理店・契約者への連絡文の下書きを担当者に届けます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
不動産/保険/金融
対象部門
カスタマーサポート
対象業務
書類作成/集計・分析
主な課題
人手が足りない/属人化している/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
エージェント
主な効果
対応スピード向上/属人化解消/工数削減
導入難易度
★★★★★
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
30h/月
AI導入後
9h/月
想定削減
70%
年間削減
252h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 気象庁のホームページやテレビで警報の発表に気づく
  2. 警報が出た市町村等を書き出す
  3. 契約管理システムで、その市町村等にある契約の件数を種目ごとに照会する
  4. 代理店の台帳で、その地域の契約を多く持つ代理店を拾う
  5. 過去の同じような警報のときの事故受付の件数を、記録から探す
  6. 体制の基準と照らして、通常・増員・特別体制のどれにするかの案を書き、部長へ報告する
  7. 代理店への連絡文と、契約者向けの案内の文面を前回の文から直して用意する
導入後(After)
  1. 自動数分おきに、ワークフローが気象庁の高頻度フィード(随時)を取得する
  2. 自動前回までに見た電文を除き、大雨・土砂・高潮・暴風・波浪・大雪の警報・注意報の電文だけを残す
  3. 自動電文を読み、警報以上が新しく出た市町村等、切り替わった市町村等、解除された市町村等を分ける
  4. 自動同じ府県の続けて届いた電文を数分まとめ、1つの「発表のまとまり」にする
  5. 自動エージェントが、まとまりごとに契約の集計、代理店の一覧、過去の事例、体制の基準、当日の人員を道具で引く
  6. 自動エージェントが、体制の案と理由、連絡すべき代理店の一覧、連絡文の下書きをまとめる
  7. 自動結果を担当者のチャットへ知らせる。夜間・休日は当番の携帯にも知らせる
  8. 人担当者が体制を決め、部長へ報告する
  9. 人代理店への連絡を送るか決め、下書きを直して送る。契約者への案内は、送る範囲と時期を決めてから別の仕組みで送る
  10. 自動解除の電文が届いたら、まだ送っていない連絡文の下書きを止め、担当者へ知らせる
各工程の詳しい説明を読む
  1. 気象庁のホームページやテレビで警報の発表に気づく
  2. 警報が出た市町村等を書き出す
  3. 契約管理システムで、その市町村等にある契約の件数を種目ごとに照会する
  4. 代理店の台帳で、その地域の契約を多く持つ代理店を拾う
  5. 過去の同じような警報のときの事故受付の件数を、記録から探す
  6. 体制の基準と照らして、通常・増員・特別体制のどれにするかの案を書き、部長へ報告する
  7. 代理店への連絡文と、契約者向けの案内の文面を前回の文から直して用意する

(a)気づくのが遅れる。 夜間や休日に警報が出ると、担当者が気づくのは翌朝のことがあります。 事故の受付は警報の最中から増えるので、体制の判断が後追いになります。

(b)照会と集計が毎回手作業。 警報は市町村等の単位で出ますが、契約管理システムの照会は1回に1つの条件しか指定できず、市町村の数だけ繰り返します。 県の半分に出れば数十回です。

(c)判断が担当者の経験に頼る。 「この地域で大雨警報なら、前回は事故が少なかった」という知識が、3名のうち経験の長い1名に偏っています。 その人が休むと、判断が慎重すぎるか、軽すぎるかに振れます。

(d)解除と更新の追いかけが漏れる。 警報は発表の後に、範囲の拡大、特別警報への切り替え、解除と変わります。準備した連絡文が、送る時点で古くなっていることがあります。

  1. 【自動】 数分おきに、ワークフローが気象庁の高頻度フィード(随時)を取得する
  2. 【自動】 前回までに見た電文を除き、大雨・土砂・高潮・暴風・波浪・大雪の警報・注意報の電文だけを残す
  3. 【自動】 電文を読み、警報以上が新しく出た市町村等、切り替わった市町村等、解除された市町村等を分ける
  4. 【自動】 同じ府県の続けて届いた電文を数分まとめ、1つの「発表のまとまり」にする
  5. 【自動】 エージェントが、まとまりごとに契約の集計、代理店の一覧、過去の事例、体制の基準、当日の人員を道具で引く
  6. 【自動】 エージェントが、体制の案と理由、連絡すべき代理店の一覧、連絡文の下書きをまとめる
  7. 【自動】 結果を担当者のチャットへ知らせる。夜間・休日は当番の携帯にも知らせる
  8. 【人】 担当者が体制を決め、部長へ報告する
  9. 【人】 代理店への連絡を送るか決め、下書きを直して送る。契約者への案内は、送る範囲と時期を決めてから別の仕組みで送る
  10. 【自動】 解除の電文が届いたら、まだ送っていない連絡文の下書きを止め、担当者へ知らせる

8番目と9番目が、この設計の分かれ目です。 エージェントが出すのは、どこにどれだけの契約があり、前回どうだったか、基準に当てはめると何になるかの案までです。体制と連絡は人が決めます。

10番目を自動にしているのは、第3章の(d)を消すためです。 解除が届いた時点で、古くなった下書きが送られないようにします。

02今回想定するシステム構成

構成図
気象庁 防災情報XML(Atomフィード:高頻度・随時)
   │
   ▼【トリガー】Schedule Trigger(数分おき)
n8n のワークフロー
   ├──▶ HTTP Request でフィードを取る → XML ノードで JSON に
   ├──▶ 題名で電文を選ぶ(気象警報・注意報(R06)の大雨・土砂・高潮・暴風・波浪・大雪)
   ├──▶ Remove Duplicates(前回までに取った電文のURLを除く)
   ├──▶ 電文を取り、市町村等ごとの種別と状態を取り出す
   ├──▶ 府県ごとに数分まとめる
   ▼
AI Agent ノード(Tools Agent)+ Anthropic Chat Model
   │  まとまりごとに、道具を選んで使う
   │   ・契約の集計を引く(市町村等×種目の件数)・代理店の一覧を引く
   │   ・過去の事例を引く ・体制の基準を引く ・当日の人員を引く
   │  Structured Output Parser で決まった形のJSONを返す
   ▼
発表の記録(スプレッドシート)→ 担当者のチャット・当番の携帯へ通知
   ▼【人】体制の決定・連絡の判断
役割想定する製品代替候補
ワークフローn8nMake、Zapier、Power Automate
生成AIClaude API(n8n の Anthropic Chat Model ノード)OpenAI API、Gemini API
連携契約管理システムの集計用のAPI(市町村等ごとの件数だけを返す)夜間に書き出した集計表

新しく足すのは、n8n のワークフローと、契約の集計を返す仕組み、市町村等のコードの対応表です。 契約管理システムには、個人を返さず、市町村等ごとの種目別の件数と代理店ごとの件数だけを返す照会を用意します。

入口は、気象庁が公開する防災情報XMLのAtomフィードです。 気象庁のページでは、更新の周期の違う2つのフィードが案内されています。高頻度フィードは毎分更新し、直近少なくとも10分の入電を載せ、長期フィードは毎時更新し、数日間の全入電を載せます。 警報・注意報は「随時」のフィードに入ります。

電文の体系は2026年に変わりました。 気象庁は新たな防災気象情報の運用を2026年5月29日に始めています。警報・注意報の電文は、これまでの1本(VPWW54)から、大雨(VPWW55)、土砂(VPWW56)、高潮(VPWW57)、暴風(VPWW58)、波浪(VPWW59)、大雪(VPWW60)、その他の注意報(VPWW61)に分かれました。 2026年8月6日現在の一覧表では、VPWW54 は令和10年度に廃止予定とされています。新しく作るなら、分かれた電文を前提にします。

新しい体系では、警報の名前にレベルの数字が付きます。 「レベル4大雨危険警報」「レベル3土砂災害警報」のような名前で、レベル4相当として危険警報が新設されています。社内の体制の基準も、このレベルで書き直しておくと、電文の値をそのまま当てはめられます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

Schedule Trigger で、数分おき(例:3分)に動かします。 高頻度フィードは直近少なくとも10分の入電を載せるので、10分より短い間隔で取れば取りこぼしません。 Schedule Trigger はワークフローのタイムゾーンを使い、無ければインスタンスのタイムゾーンを使います。セルフホストの既定は America/New York なので、Asia/Tokyo にします。 保存して公開しないと動きません。

別に、毎時の Schedule Trigger で長期フィード(随時)も取ります。 n8n の停止や通信の失敗で高頻度フィードを取れなかった時間があっても、長期フィードは数日間の全入電を載せているので、後から拾い直せます。 どちらで取っても、電文のURLで重複を除くので二重には処理しません。

1日の取得量に気をつけます。 気象庁のページでは、1日10GB以上のダウンロードを伴うアクセスがあるとIPアドレスを遮断するとされ、一度取得したファイルを再度取得しない改修が求められています。フィードは数分おきでも、電文の本体は新しいものだけを取ります。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
Atomフィード電文ごとの題名、URL、更新日時、発表した気象台、短い内容気象庁
警報・注意報の電文府県・一次細分区域・市町村等ごとの種別の名前とコード、状態、前の種別気象庁
市町村等の対応表電文の市町村等のコードと、自社の契約の所在地のコードの対応自社で作る
契約の集計市町村等ごとの種目別の件数、代理店ごとの件数契約管理システムの集計用のAPI
過去の事例過去の警報のまとまりごとの、地域、種別、事故受付の件数、とった体制発表の記録
体制の基準・当日の人員警報のレベルと契約の件数から体制を決める表、当日の受付の人数損害サービス部の文書と人員の表

質を決めるのは、市町村等の対応表と過去の事例です。 電文の市町村等のコードは7桁で(例:唐津市は 4120200)、契約の所在地を持つ側のコードと桁がそろっていないことがあります。 対応表が無いと、契約の件数が0件と出て、体制の案が「通常」に偏ります。

過去の事例は、この構成を回すほど増えます。 最初の数か月は事例が少ないので、エージェントには「事例が3件未満なら、事例から推し量らない」と指示します。

Step3

データの取得方法を決める

フィードは HTTP Request ノードで取ります。 Response を Text にして、XML ノードの XML to JSON で JSON にします。エントリーの題名で電文を選びます。 題名は「気象警報・注意報(R06)(暴風)」のように全角の文字で書かれているので、題名の比較は、電文のURLの中のデータ種類コード(VPWW58 など)で行うほうが確実です。 URLは .../20261008112622_0_VPWW58_410000.xml の形で、末尾の6桁は府県予報区等のコードです。

新しい電文の検出は、Remove Duplicates ノードの Remove Items Processed in Previous Executions で行います。 Keep Items Where を Value Is New にし、Value to Dedupe On に電文のURLを入れます。履歴は既定で10,000件まで持つとされています。高頻度と長期の2つのワークフローで同じ履歴を使うなら、Scope を Workflow にして1つのワークフローにまとめます。

電文の本体も HTTP Request で取り、XML ノードで JSON にします。 電文には Head の Headline と、Body の Warning があります。使うのは Body の、type が「気象警報・注意報(市町村等)」の Warning です。 市町村等ごとに Item があり、Kind の Name(種別の名前)、Code、Status(解除、発表警報・注意報はなし など)、LastKind(前の種別)が入ります。

Head の Headline だけを読んではいけません。 確認した暴風の電文では、Headline の市町村等の欄には Name が「解除」とだけ書かれ、どの種別が解除されたかは Body の LastKind を見ないと分かりませんでした。種別と前の種別の比較は、必ず Body で行います。 また、1つの市町村等に複数の種別が同時に出ることがあるので、XML ノードの Explicit Array を有効にして、Item も Kind も常に配列で受け取ります。1件のときだけ配列でなくなる形のまま組むと、警報が2つ重なった日にだけ取り出しが壊れます。

契約の集計、代理店の一覧、過去の事例、体制の基準、人員は、エージェントが道具として呼ぶサブワークフローにします。 Call n8n Workflow Tool で渡し、サブワークフローは公開しておきます。公開していないと、本番で呼び出しが失敗します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 電文を選ぶ … データ種類コードで VPWW55〜VPWW60 を残します。VPWW61(その他の注意報)は体制の検討に使わないので外します
  2. 市町村等の行を取り出す … type が市町村等の Warning だけを、市町村等のコード・種別・状態・前の種別の行にします
  3. 変化を分ける … 前の種別が無く警報以上が付いたものを「新たに発表」、前の種別より上がったものを「引き上げ」、Status が解除のものを「解除」、変わらないものを「継続」に分けます
  4. 警報以上に絞る … 種別の名前が注意報だけの市町村等は、体制の検討から外します(記録には残します)
  5. 数分まとめる … 同じ府県の電文が数分の間に続けて届くことがあるので、府県ごとに5分待ってから1つのまとまりにします
  6. コードを結ぶ … 市町村等の対応表で、契約の所在地のコードに変えます

3番目を省くと、継続の電文のたびに同じ案が届きます。 警報が出ている間も、ほかの種別の変化や範囲の変化で電文は何度も届きます。新たに発表と引き上げの市町村等が無いまとまりは、エージェントに渡さず、記録だけ更新します。

Step5

AIに処理させる

させるのは、まとまりごとに、どの道具をどこまで引くかを決め、体制の案と理由、連絡すべき代理店、連絡文の下書きをまとめることです。

手順エージェントがすること使う道具
1新たに発表・引き上げの市町村等と、種別・レベルを確かめるなし(入力だけで判断)
2市町村等ごとの契約の件数を種目別に確かめる契約の集計を引く
3体制の基準に、レベルと件数を当てはめる体制の基準を引く
4基準が増員以上なら、過去の事例と当日の人員を確かめる過去の事例・人員を引く
5連絡すべき代理店を、契約の件数の多い順に選ぶ代理店の一覧を引く
6体制の案、理由、代理店への連絡文、契約者向けの案内の下書きをまとめるなし

手順4を条件付きにしているのが、エージェントにする理由です。 1つの町に暴風警報が出ただけのまとまりで、過去の事例や人員まで引く必要はありません。基準に当てはめて「通常」なら、そこで止めさせます。 引く道具が多いほど時間がかかり、警報の最中の知らせが遅れます。

させないこと理由
体制を決める決めるのは損害サービス部
事故の件数を数値で予測する事例が少なく、数字が独り歩きする
連絡を送る送る範囲と時期は人が決める
警報を自社の言葉で言い換える警報を出せるのは気象庁だけ
契約者の個人の情報を扱う集計の件数で足りる

4行目は法令に関わります。 気象業務法第23条は、気象庁以外の者は気象などの警報をしてはならないと定めています。連絡文には「気象庁が〇〇市に大雨警報を発表しました」と出典を書き、自社が警戒を呼びかけるような書き方にしません。

Step6

指示内容を固定する

あなたは損害保険会社の損害サービス部で、気象庁が発表した警報を
受けて、事故受付の体制の案と連絡の準備をまとめる担当です。
道具で確かめた事実と、入力の電文の内容だけで答えてください。

【入力】
- 府県・まとまりの時刻:{prefecture} / {window}
- 新たに発表・引き上げの市町村等(種別・レベル):{raised}
- 継続・解除の市町村等:{others}

【使える道具】
- get_policy_counts:市町村等のコードで、種目別の契約件数を返す
- get_rule:レベルと件数を渡すと、体制の基準の該当行を返す
- get_past_events:府県と種別で、過去の事例を返す
- get_staffing:日付で、受付の人員を返す
- get_agents:市町村等のコードで、代理店ごとの契約件数を返す

【進め方】
1. 新たに発表・引き上げの市町村等の契約件数を確かめてください。
2. get_rule で基準を当てはめてください。結果が「通常」なら、
   過去の事例と人員は引かずにまとめてください。
3. 「増員」以上なら、過去の事例と当日の人員を確かめてください。
   過去の事例が3件未満なら、事例から推し量らないでください。
4. 連絡すべき代理店を、契約件数の多い順に最大20店選んでください。

【厳守事項】
- 体制を決めたと書かないでください。「基準に当てはめると〇〇」と
  書き、決定は担当者に委ねてください。
- 事故の件数を予測した数字を書かないでください。
- 連絡文では、警報は「気象庁が〇〇に〇〇を発表」と出典を付けて
  書いてください。自社が警報や警戒を出すような表現にしないでください。
- 連絡文に契約者の氏名・証券番号を書かないでください。
  差し込みは {差し込み} の形で残してください。
- 道具が失敗したら、失敗した道具の名前を残し、推し量らないでください。

「結果が通常なら引かずにまとめる」を明記しないと、エージェントは念のためにすべての道具を引きます。 警報の多い日には、それだけで知らせが数分遅れます。

「体制を決めたと書かない」も明記します。 要約が「増員とする」と書けば、チャットを見た人は決まったものとして動きます。

Step7

出力形式を固定する

Structured Output Parser で、次の形のJSONを受け取ります。

{
  "group_id": "410000-2026-10-08T20:25",
  "prefecture": "佐賀県",
  "raised_areas": [
    { "area_code": "4120200", "area_name": "唐津市",
      "kind": "暴風警報", "level": "",
      "policies": { "fire": 0, "auto": 0 } }
  ],
  "rule_result": "normal | reinforce | special",
  "rule_row": "",
  "reason": "",
  "past_events_used": 0,
  "agents_to_contact": [
    { "agent_code": "", "policies_in_area": 0 }
  ],
  "agent_message_draft": "",
  "customer_notice_draft": "",
  "tool_errors": [],
  "needs_human": false
}

1つ目の理由は、rule_result と rule_row で案の根拠が分かることです。 担当者は基準のどの行に当たったかを見て、基準の当てはめが正しいかだけを確かめれば済みます。

2つ目は、past_events_used で事例の数が見えることです。 0件や1件なら、理由に事例の話が出てきても当てにしません。

3つ目は、下書きと集計を分けていることです。 下書きには差し込みの印だけが入り、契約者の個人の情報はエージェントを通りません。 送るときに、別の仕組みが差し込みます。

Structured Output Parser の Generate From JSON Example では、すべての項目が必須として扱われるとされています。空のときは空文字や空の配列を返させます。 $ref は使えないとされています。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
気象庁のフィード・電文HTTP Request ノード+XML ノード新しい電文を取り、市町村等ごとに読む
契約管理システム集計用のAPI(サブワークフロー)市町村等×種目の件数、代理店ごとの件数
Claude APIAnthropic Chat Model ノード道具の選択、体制の案、下書き
発表の記録Google Sheets ノードまとまりごとの結果と、担当者の判断
担当者のチャット・当番の携帯チャットのノードと通知の仕組み案の通知、解除の通知

契約管理システムへは書き込みません。 この構成が読むのは集計だけで、個人の契約の行は読みません。 契約者への案内を送る場合は、担当者が範囲を決めた後に、既存の通知の仕組みが差し込んで送ります。

Step9

人が確認する

人が見るのは、すべてのまとまりの案です。 ただし、見る深さを rule_result で変えます。

  1. special と reinforce を先に見る … 基準の行、契約の件数、過去の事例を確かめ、体制を決めます
  2. normal は件数と市町村等を流し見る … 契約の多い地域が含まれていないかだけを見ます
  3. 代理店への連絡を決める … 下書きを直して送ります。送る前に、警報がまだ出ているかを電文の記録で確かめます
  4. 契約者への案内は別に決める … 送る範囲(市町村等と種目)と時期を決め、既存の仕組みに渡します
  5. 判断を記録する … とった体制、送った連絡、その後の事故受付の件数を、発表の記録に残します

5番目が、次の警報のときの「過去の事例」になります。 記録を残さないと、エージェントはいつまでも事例の少ないまま案を作ります。

夜間・休日は、当番の1名が1番目だけを見ます。 special と reinforce は当番が体制を決め、normal は翌朝の担当者に回します。

目標は、36件をならして1件15分です。 special のまとまりは30分以上かかり、normal は数分で終わります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
フィードが取れない次の回で取り直す。30分続けば担当者へ知らせ、気象庁のホームページを手で見る
高頻度フィードの取りこぼし毎時の長期フィードで拾い直す
電文の形が想定と違う取り出せない電文は、URLと題名を担当者へ回す
市町村等のコードが対応表に無い件数を0件とせず、「対応表に無い」として needs_human
契約の集計のAPIが応答しないtool_errors に残し、件数の無い案として知らせる
案を作っている間に解除が届いた案に「解除済み」の印を付け、下書きを止める
特別警報への切り替え「引き上げ」として、まとめを待たずにすぐ渡す
同じ府県で数分おきに電文が続く5分のまとめで1つにし、まとめた後の変化は次のまとまりにする
Claude API が応答しない契約の件数と基準の当てはめだけを規則で作って知らせる

4行目を0件として扱うと、いちばん危ない失敗になります。 契約が多い地域ほど、合併や区の新設でコードがずれていることがあり、そこで「契約0件・通常の体制」という案が出ます。

最後の行は、エージェントが止まっても知らせを止めないための手当てです。 件数と基準の当てはめは規則でできるので、生成AIが応答しないときも、最小限の案は届きます。

Step11

記録を残す

  • 取得したフィードの時刻と、新しく取った電文のURL
  • 電文から取り出した市町村等ごとの種別・状態・前の種別
  • まとまりの内容と、エージェントに渡した入力
  • 道具の呼び出しの記録(どの道具を、どの条件で引いたか)と結果のJSON
  • 担当者が決めた体制、送った連絡、送った時刻
  • その後の事故受付の件数(翌日以降に追記)

4つ目は、道具の引き方を見直すために残します。 Tools Agent の Return Intermediate Steps を有効にすると、途中の手順を出力に含められます。

最後の行は、次の警報のときの過去の事例になります。

04実装レベルの3段階

最小構成:警報と件数を手でAIの画面に渡し、基準の当てはめと下書きをさせる / 1件ずつの案と下書き
半自動化:上記+n8n でフィードを取り、警報が出た市町村等と契約の件数を記録に書いて知らせる / 警報の検知と集計
本格構成:上記+エージェントが過去の事例・人員・代理店を引いて、体制の案と下書きをまとめる / 検知から案と下書きまで

半自動化で、第4章の①と②がほぼ無くなります。 警報の検知と契約の集計が自動になり、夜間でも当番に届きます。本格構成で③と④が確認の作業に変わり、この段階が本記事の想定です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化を1か月回すと、対応表に無いコードと、継続の電文の多さが分かります。そこを片付けてからエージェントを足します。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
36 件
1件あたり現在時間
50 分
1件あたり導入後時間
15 分
現在  36件 × 50分 ÷ 60 = 30 時間/月
導入後 36件 × 15分 ÷ 60 = 9 時間/月
月間削減時間
21h
削減率
70%
年間削減時間
252h
年間金額換算(時間単価4,500円)
113万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 火災保険・自動車保険などを全国で扱う損害保険会社や、規模の大きい保険代理店で、気象警報が出るたびに担当者が対象の地域の契約と代理店を照会し、事故受付の増員や代理店への連絡を手作業で決めている場合。契約の物件の所在地を市区町村の単位で持っている場合。体制の基準(どの警報でどこまで増員するか)が文書になっている場合。
向いていない
  1. 契約の所在地が数県に限られ、警報の数が少ない場合。気象会社と契約して、契約の地域に合わせた警報の通知と影響の見込みを受け取っている場合。なお、事故受付の体制を決めること、契約者へ連絡を送るかどうか、送る文面の最終的な判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 過去3か月に体制を検討した警報から、10件を選ぶ(増員したもの、しなかったものを混ぜる)
  2. それぞれについて、警報が出た市町村等と種別、そのときの契約の件数、体制の基準を書き出す
  3. 手元のAIサービスに、基準と、1件分の警報と件数を貼り、「基準に当てはめた結果と理由を書いてください。体制を決めたとは書かないでください」と指示する
  4. 代理店への連絡文の下書きも作らせ、「警報は気象庁が発表したものとして出典を付ける」と指示する
  5. 当時の担当者の判断と見比べる

10件は必ず試してください。 ワークフローを組む前に、「基準の当てはめを言葉で説明できるのか」を確かめます。

出てきた内容判断
当時の判断と同じ結果を、基準の行を挙げて説明したワークフローの構築に進む
当時の判断と違うが、基準どおりだった構成は有効。基準と実際の運用がずれている
基準に無い理由で判断した指示の書き方で直る。基準の文書を見直す

2行目が出ることは珍しくありません。 失敗ではなく、経験で基準を補っていた部分が見えたということです。 その部分を基準に書き足します。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
新しい体系の電文を拾えない2026年5月29日から運用。VPWW55〜60 を前提に作る
高頻度フィードを取りこぼす10分より短い間隔で取り、長期フィードで拾い直す
アクセスを遮断される1日10GB以上で遮断。取った電文を取り直さない
解除された種別が分からないHeadline ではなく Body の LastKind で比べる
警報が重なった日だけ壊れるExplicit Array で常に配列にする
継続の電文のたびに案が届く新たに発表と引き上げだけを渡す
契約が0件と出るコードの桁と対応を確かめる。対応表に無いものは needs_human
案が「体制を決定」と書く基準の当てはめとして書かせ、決定は人に残す
連絡文が自社の警報のように読める気象庁が発表したと出典を付ける
解除の後に連絡が届く解除の電文で下書きを止める

上の3行が、検知の失敗のほとんどです。 どれもエージェントとは関係が無く、気象庁の配信の仕組みの読み違いから起きます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 気象庁が公開する電文と、市町村等ごとの契約の件数、代理店ごとの契約の件数、過去の事故受付の件数、受付の人員です。契約者の個人の情報は、この構成の中を通しません。

  1. 個人の情報を通さない … 契約管理システムからは集計だけを返し、氏名・住所・証券番号はエージェントに渡しません。 連絡文の差し込みは、送るときに既存の仕組みが行います
  2. 警報を自社が出したように見せない … 気象業務法第23条により、気象庁以外の者は警報をしてはなりません。連絡文では、警報は必ず気象庁の発表として出典を付けます
  3. 気象庁の利用の条件を守る … 気象庁ホームページのコンテンツには公共データ利用規約(第1.0版)が適用され、出典の記載と、加工したときはその旨の記載が求められています。加工した情報を国が作成したかのように使ってはいけないとされています
  4. 配信の遅れを前提にする … 気象庁のページでは、サーバーの保守などで配信が停止・遅延する場合があるとされ、迅速かつ確実な配信については気象業務支援センターや予報業務許可事業者への問い合わせが案内されています。業務の要になるなら、確実な配信の手段を別に持ちます
  5. 送信は人が決める … 契約者への案内を自動で送らない。範囲と時期は損害サービス部が決めます

誤りが起きた場合のリスクは、契約の多い地域の警報を軽く見ることと、古くなった連絡を送ることの2つです。 前者はコードの対応表の確認と needs_human で、後者は解除の電文で下書きを止めることで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:体制の基準を新しい警報の名前で書き直す

いまの基準を、「レベル4大雨危険警報」のような新しい名前とレベルで書き直します。あわせて、契約の多い府県と市町村等の一覧を作ります。

2週目:10件で試す

過去の警報10件で、手元のAIサービスに基準の当てはめと下書きをさせます。体制を決めたと書いていないか、連絡文に出典が付いているかを最優先で見ます。

3週目:検知と集計をつなぐ

n8n でフィードを取り、警報が出た市町村等と契約の件数を記録に書いて担当者へ知らせるところまで作ります。この時点ではエージェントを入れず、検知の漏れと件数の正しさだけを見ます。

4週目:コードの対応表を固める

件数が0件と出た市町村等、対応表に無かったコードを洗い出して直します。

2か月目: エージェントを足し、基準の当てはめと代理店の一覧、下書きを出します。3か月目以降: 過去の事例と人員の道具を足し、1件50分が何分になったかを実測します。夜間・休日の警報で、体制の判断が翌朝まで遅れた件数が0件になった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
高頻度フィードは毎分更新・直近少なくとも10分、長期フィードは毎時更新・数日間。1日10GB以上で遮断。配信の停止・遅延と確実な配信の問い合わせ先気象庁: 情報の取得方法(PULL型)2026-10-08
フィードのエントリーの題名・URL・発表官署の形気象庁: 高頻度フィード(随時)2026-10-08
電文の構造(市町村等の Warning、Kind の Name・Status・LastKind、7桁の市町村等のコード)気象庁: 暴風の警報・注意報の電文の例2026-10-08
VPWW55〜61 の電文、VPWW54 が令和10年度に廃止予定気象庁: 防災情報XML一覧表(2026年8月6日現在)2026-10-08
新たな防災気象情報の運用を2026年5月29日に開始気象庁: 新たな防災気象情報について2026-10-08
レベルの数字を付けた警報の名前、危険警報の新設、電文の分かれ方気象庁: 気象警報・解説情報XML電文(概要)2026-10-08
公共データ利用規約(第1.0版)の適用、出典と加工の旨の記載気象庁: 利用規約2026-10-08
気象庁以外の者は警報をしてはならないこと気象庁: 気象業務法第23条2026-10-08
タイムゾーンの扱いと、公開が要ることn8n Docs: Schedule Trigger2026-10-08
Response の形式n8n Docs: HTTP Request2026-10-08
XML to JSONn8n Docs: XML2026-10-08
前回までの実行で見た値を除く操作、Scope、History Size の既定n8n Docs: Remove Duplicates2026-10-08
Return Intermediate Stepsn8n Docs: Tools Agent2026-10-08
サブワークフローを道具にすること、本番では公開が要ることn8n Docs: Call n8n Workflow Tool2026-10-08
例から作ったスキーマは全項目が必須、$ref が使えないことn8n Docs: Structured Output Parser2026-10-08

事故受付の体制と契約者への連絡は、損害サービス部で判断してください。 本記事は上記の公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

自社の業務に使えるAI活用候補を整理します

このユースケース(UC-1127)についてのご相談はこちらから。

AI活用について相談する
目次