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自治体の担当課が庁内の各課へ出した照会への回答を集め、回答の要点を一覧に要約して、未回答の課と内容の確認が要る回答を担当に示す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

担当課が庁内の各課へ出した照会について、返ってきた回答のファイルとメールを集め、問いごとの要点を1課1行の一覧に要約します。あわせて、まだ回答していない課と、内容の確認が要る回答を担当に示します。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/Microsoft Copilot
連携・自動化
Make/Power Automate/Zapier
対象業界
医療/教育/自治体
対象部門
経営企画/総務
対象業務
要約/集計・分析
主な課題
人手が足りない/書類作成に時間がかかる/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
要約
主な効果
入力漏れ削減/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
30h/月
AI導入後
10h/月
想定削減
67%
年間削減
240h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 照会の文書と回答様式を作り、30課へメールで送る
  2. 返ってきたメールを開き、添付の様式を照会ごとのフォルダに保存する
  3. 様式の値を、照会ごとの集約表に1課ずつ写す
  4. 自由記述を読み、問いごとの要点を集約表の欄に書く
  5. 問いに答えていない、数字の単位が分からない、といった回答に印を付ける
  6. 期限が近づいたら、集約表の空いている行から未回答の課を数え、督促のメールを書く
  7. 印を付けた課に問い合わせ、直った回答で集約表を書き換える
  8. 集約表から、国・県への回答や庁内の報告の資料を作る
導入後(After)
  1. 人照会を出すときに、照会番号・問い・宛先の課・期限を照会台帳のリストに登録する
  2. 人これまでどおり、照会の文書と回答様式を30課へ送る
  3. 自動共有メールボックスに回答のメールが届くと、フローが動き、件名の照会番号と送り主の課を確かめる
  4. 自動添付の様式を照会ごとのフォルダに保存し、様式の表の行を読む
  5. 自動プロンプトが、問いごとの要点と確認点をJSONで返す
  6. 自動回答一覧のリストに1課1行で書き込み、確認点のある回答に印を付ける
  7. 自動毎朝、照会台帳の宛先と回答一覧を突き合わせ、未回答の課と期限までの日数を Teams に流す
  8. 人担当が、印の付いた回答だけを開いて確かめ、必要なら課に問い合わせる
  9. 人担当が、督促の文の下書きを直して送る
  10. 人一覧の要点を読んで、国・県への回答や庁内の報告を作る
各工程の詳しい説明を読む
  1. 照会の文書と回答様式を作り、30課へメールで送る
  2. 返ってきたメールを開き、添付の様式を照会ごとのフォルダに保存する
  3. 様式の値を、照会ごとの集約表に1課ずつ写す
  4. 自由記述を読み、問いごとの要点を集約表の欄に書く
  5. 問いに答えていない、数字の単位が分からない、といった回答に印を付ける
  6. 期限が近づいたら、集約表の空いている行から未回答の課を数え、督促のメールを書く
  7. 印を付けた課に問い合わせ、直った回答で集約表を書き換える
  8. 集約表から、国・県への回答や庁内の報告の資料を作る

(a)写す作業が回答の数だけある。 10本の照会に30課が答えると、月に300の回答です。1つ開いて写すのに2分かかれば、それだけで月10時間です。 写し間違いも出ます。

(b)自由記述の要点が、担当によって違う。 「内容」の欄には、数行で済む課もあれば、経緯から書き始めて半ページになる課もあります。要点の書き方は担当者ごとに違い、同じ照会の集約表の中でも粒度がそろいません。

(c)問いとずれた回答に、取りまとめの後で気づく。 問2の件数を問3の欄に書いている、件数の単位が「件」か「人」か分からない、「〇〇課に確認中」とだけ書いてある。こうした回答は、集約表を作り終えて合計を出したときに初めて目に付きます。 期限の直前に問い合わせることになります。

(d)未回答の課に、期限の後で気づく。 照会が10本並行していると、どの照会のどの課がまだかを、担当者は覚えていられません。 集約表の空いた行を数えるのは、期限の当日になりがちです。

  1. 【人】 照会を出すときに、照会番号・問い・宛先の課・期限を照会台帳のリストに登録する
  2. 【人】 これまでどおり、照会の文書と回答様式を30課へ送る
  3. 【自動】 共有メールボックスに回答のメールが届くと、フローが動き、件名の照会番号と送り主の課を確かめる
  4. 【自動】 添付の様式を照会ごとのフォルダに保存し、様式の表の行を読む
  5. 【自動】 プロンプトが、問いごとの要点と確認点をJSONで返す
  6. 【自動】 回答一覧のリストに1課1行で書き込み、確認点のある回答に印を付ける
  7. 【自動】 毎朝、照会台帳の宛先と回答一覧を突き合わせ、未回答の課と期限までの日数を Teams に流す
  8. 【人】 担当が、印の付いた回答だけを開いて確かめ、必要なら課に問い合わせる
  9. 【人】 担当が、督促の文の下書きを直して送る
  10. 【人】 一覧の要点を読んで、国・県への回答や庁内の報告を作る

8番目が、この設計の分かれ目です。 担当が開くのは、確認点の付いた回答だけです。 確認点の無い回答は、一覧の要点を読んで終わりにします。全件の様式を開き直すと、30.0時間はほとんど減りません。

7番目の未回答の判定に、AIを使っていないのも意図してのことです。 宛先の30課と、回答が届いた課の差は、リストの突き合わせで決まります。 AIに「まだ答えていない課はどこか」と聞くと、メールの文面から推し量って、答えた課を落とします。

02今回想定するシステム構成

構成図
各課の回答(メール本文、回答様式のファイル)
   ▼【トリガー】照会用の共有メールボックスへの着信
Power Automate(クラウド フロー①:回答の受付)
   ├──▶ 件名の照会番号・送り主の課の確認
   ├──▶ Get Attachment (V2) で様式を取り、SharePoint に保存
   ├──▶ 様式の表の行を読む
   ├──▶ 照会台帳のリストで問いを引く
   ├──▶ AI Builder のプロンプト(プロンプトを実行する)
   │       問いごとの要点・確認点を JSON で返す
   └──▶ 回答一覧のリストに1課1行
   ▼【毎朝8時】クラウド フロー②:未回答の確認
照会台帳の宛先 × 回答一覧 → 未回答の課・期限までの日数
   └──▶ 総務課の Teams チャネルへ
   ▼
【担当が確認点の付いた回答と未回答の課だけを見る】
役割想定する製品代替候補
ワークフローPower Automate(クラウド フロー、Office 365 Outlook コネクタ)Make、Zapier
生成AIAI Builder のプロンプト(「プロンプトを実行する」アクション、JSON 出力)Azure OpenAI(Microsoft Foundry)、Microsoft Copilot
保管SharePoint のリスト(照会台帳、課の一覧、回答一覧)とドキュメント ライブラリDataverse
様式の読み取りExcel Online (Business) コネクタMicrosoft Forms で回答を集める形に変える
通知Microsoft Teams のチャネルOutlook のメール

新しく足すのは、フロー2本と、SharePoint のリスト3つだけです。 メールボックスと回答様式は今のものを使います。回答様式の表の範囲に、決まった名前のテーブルを付けておくのが最初の準備作業です。

トリガーには、Office 365 Outlook コネクタの「When a new email arrives in a shared mailbox (V2)」を使います。 コネクタの説明では、多くのメールが同時に届くと、まれにトリガーがメールを取りこぼすことがあるとされています。期限の日の夕方には回答が集中するので、第7章で毎朝の突き合わせを足します。

様式の表は、Excel Online (Business) コネクタの「List rows present in a table」で読みます。 このコネクタは OneDrive for Business や SharePoint のドキュメント ライブラリにあるファイルを扱い、データがテーブルになっている必要があります。 既定で返す行は256行までで、すべての行を取るにはページ分割を有効にします。照会の様式は数十行なので収まります。

プロンプトは、フローの「プロンプトを実行する」アクションで呼びます。 前のアクションの内容を入力に渡せ、出力を JSON にできます。プロンプトは Azure OpenAI サービスを活用した GPT モデルで動き、一部の地域に限定され、使用制限の対象になる場合があるとされています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

フロー①は、照会用の共有メールボックスに回答のメールが届いたことを起点にします。 担当者の個人のメールボックスではなく、総務課の共有メールボックスを宛先にしてもらいます。担当が休んでも、異動しても、回答の受け口が変わらないようにするためです。

件名に照会番号の書き方を決めます。 「【照会2026-031】」のように、照会を出すときの件名にそのまま入れておき、各課には返信の形で返してもらいます。 フローは件名からこの番号を取り出し、照会台帳と結びます。番号の無いメールは、照会への回答として扱いません。

フロー②は、毎朝8時の繰り返しのトリガーで動かします。 スケジュールされたクラウド フローは、「毎日午前10時」のような定期的なスケジュールで実行でき、作ると繰り返しのトリガーがフローに入ります。メールの着信のトリガーがまれに取りこぼすことがあるので、毎朝、共有メールボックスにある照会番号付きのメールと回答一覧を突き合わせ、一覧に無いものをフロー①に回し直します。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
回答のメール件名(照会番号)、送り主、受信日時、本文、添付の様式照会用の共有メールボックス
回答様式の表問いの番号、該当の有無、件数、単位、内容(自由記述)添付のファイルのテーブル
照会台帳照会番号、件名、問いの文、宛先の課、期限、担当者SharePoint のリスト
課の一覧課の名前、課のメールアドレス、庶務担当のアドレスSharePoint のリスト
前回の同じ照会の回答毎年・毎期くり返す照会の、前回の件数と要点回答一覧のリスト

質を決めるのは、照会台帳の「問いの文」です。 AIが回答を問いごとにまとめるには、問2が何を聞いているかを知っている必要があります。照会の文書の問いを、番号つきでそのまま写して登録します。

前回の回答は、毎年くり返す照会にだけ使います。 件数が前回の10倍になっている、前回は「該当あり」だったのに今回は「該当なし」、といった変化は確認点の候補になります。ただし、変化が正しいかどうかはAIに判断させません。 「前回と大きく違う」と示すだけです。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこからどう取るか
メールの本文と送り主共有メールボックス着信のトリガーの出力
添付のファイル共有メールボックスGet Attachment (V2)
様式の保存SharePoint のドキュメント ライブラリCreate file(照会番号のフォルダ、課の名前のファイル名)
様式の表の行保存した様式List rows present in a table
問いの文・宛先・期限照会台帳Get items(照会番号で絞る)
送り主の課課の一覧Get items(メールアドレスで絞る)

添付は、トリガーで一緒に取らずに、Get Attachment (V2) で取ります。 コネクタの説明では、トリガーで添付を含める設定にすると、添付のある多くのメールが同時に届いたときに、添付のダウンロードで時間切れになることがあるとされ、添付を含めずに Get Attachment (V2) で取る方法が示されています。

様式を SharePoint に保存してから読むのは、コネクタがドキュメント ライブラリのファイルを扱うためです。 保存した様式は、そのまま照会ごとの回答の原本になります。なお、コネクタの説明では、Excel のファイルはコネクタが最後に使ってから最大6分ロックされることがあるとされています。担当が保存直後の様式を開いて直すと、ぶつかることがあります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 照会番号の取り出し … 件名から「【照会2026-031】」の形を取り出します。無ければ、照会への回答ではないとして終わります
  2. 送り主の課の特定 … 送り主のアドレスを課の一覧で引きます。庶務担当の個人のアドレスから届くこともあるので、課のアドレスと庶務担当のアドレスの両方で引きます
  3. 様式の確認 … 添付の形式と、決まった名前のテーブルがあるかを確かめます。無ければ、様式を使っていない回答として扱います
  4. 表の行を文にする … 「問2|該当あり|件数 12|単位 件|内容 …」のように1行1問の文にして、プロンプトに渡します
  5. 本文の整理 … 引用された照会の本文と署名を除き、その課が新しく書いた部分だけを残します
  6. 同じ課からの2通目 … 同じ照会番号で同じ課から2通目が届いたら、「差し替え」として扱い、前の行を残したまま新しい行を正にします

5番目を省くと、要点に照会の文書の文言が混ざります。 返信の形で返してもらうので、本文の下には総務課が書いた照会の文がそのまま付いています。その文を回答として要約すると、どの課の要点も同じ文になります。

Step5

AIに処理させる

させるのは、1課の回答を問いごとに短くまとめることと、問いとずれた回答・確かめが要る回答を見つけて理由を書くことだけです。

させることやり方判断できないときの扱い
問いごとの要点自由記述を80字以内にまとめる記述が無ければ空にする
回答の区分該当あり/該当なし/検討中/回答なし読み取れなければ「回答なし」
件数と単位の写し様式の値をそのまま写す単位が無ければ空にし、確認点にする
確認点決まった理由の中から選び、根拠の文を写す-

確認点の理由は、次の6つに限ります。

理由のコード中身
no_answer問いの欄が空、または問いに答えていない
off_question別の問いのことを書いている
unit_unclear件数はあるが、単位が分からない(件か人か、など)
pending「確認中」「後日回答」とだけ書いてある
refer_other「〇〇課が所管」など、ほかの課に振っている
big_change前回の同じ照会と比べて、該当の有無や件数が大きく変わっている
させないこと理由
回答の内容が正しいかの判断正しいかは回答した課と担当課が確かめる
件数の計算・合計合計はリストの集計で出す。要約の中で足し算をさせない
書かれていない数字の補完自由記述の「約10件」を件数の欄に移さない
未回答の課の判定宛先とリストの突き合わせで決める
国・県への回答の文何を回答するかは担当課が決める

3行目が、いちばん起きやすい失敗です。 件数の欄が空で、自由記述に「年に10件程度」と書いてあると、AIは親切に件数を10として返します。集計に入るのは様式の欄の値だけにし、自由記述の数字は要点の文の中にだけ残します。

Step6

指示内容を固定する

あなたは市役所の総務課で、庁内の各課へ出した照会の回答を取りまとめる担当です。
1つの課の回答を、照会の問いごとに整理してください。
書かれていないことを補わないでください。

【照会の問い】{questions}
【この課の回答(様式の表)】{answer_rows}
【この課のメール本文】{mail_body}
【前回の同じ照会でのこの課の回答】{previous_answer}

【やること】
1. 問いごとに、回答の区分を「該当あり」「該当なし」「検討中」「回答なし」から選ぶ
2. 問いごとに、自由記述の要点を80字以内でまとめる
3. 件数と単位は、様式の欄の値をそのまま写す
4. 確認が要る回答があれば、理由のコードを選び、根拠にした文をそのまま写す

【理由のコード】
no_answer:問いの欄が空、または問いに答えていない
off_question:別の問いのことを書いている
unit_unclear:件数はあるが単位が分からない
pending:「確認中」「後日回答」とだけ書いてある
refer_other:ほかの課に振っている
big_change:前回と比べて該当の有無や件数が大きく変わっている

【厳守事項】
- 件数は様式の件数の欄の値だけを写してください。
  自由記述にある数字を件数の欄に移さないでください。
- 件数の合計や平均を計算しないでください。
- 単位が書かれていないときは、単位を推測せずに空にし、unit_unclear を付けてください。
- 回答の内容が正しいかどうか、望ましいかどうかの意見を書かないでください。
- 要点には、照会の問いの文をそのまま書かないでください。この課が書いたことだけをまとめてください。
- 様式が無く本文だけの回答も、本文から同じように整理してください。
- 回答に JSON マークダウンを含めないでください。

「照会の問いの文をそのまま書かない」を入れているのは、要点が問いの言い換えになるのを防ぐためです。 回答が短いと、AIは「〇〇の実施状況について、該当があると回答」のように、問いを言い直して80字を埋めます。一覧で読むと、どの課の要点も同じに見えます。

プロンプトの温度は、既定の0のまま使います。 公式の説明では、温度は0から1の範囲で、低いほど予測可能で保守的な出力になるとされています。同じ回答を2回まとめさせて要点が変わると、差し替えのたびに一覧の文が揺れ、どこが変わったのかを担当が追えなくなります。 要点に言い回しの工夫は要りません。

最後の1行は、公式の説明にある対策です。 プロンプトのテストで「JSON を生成できませんでした」と出るとき、モデルが JSON をメタデータで囲んでいることがあり、この指示を加える方法が示されています。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。 プロンプトの出力を JSON にし、形式をカスタムで保存します。

{
  "inquiry_no": "2026-031",
  "section": "道路維持課",
  "answers": [
    {
      "question_no": "2",
      "category": "該当あり | 該当なし | 検討中 | 回答なし",
      "count": "12",
      "unit": "件",
      "summary": "",
      "flags": [
        { "code": "unit_unclear", "evidence": "" }
      ]
    }
  ],
  "needs_check": true
}

JSONで受け取る1つ目の理由は、問いごとに列へ分けて書き込めることです。 回答一覧のリストに、1課1行で「問1の区分」「問1の要点」「問2の区分」…と列を並べ、問いごとに縦に読める表にします。国・県への回答を作るときは、この列を上から読むだけです。

2つ目は、needs_check で印を付けられることです。 flags が1つでもあれば needs_check を真にし、一覧の「要確認」の列に印を付けます。担当は、この列で絞り込んだ行だけを開きます。

3つ目は、形式が変わらないことです。 公式の説明では、プロンプトを保存すると形式が固定され、フローで使うときは保存された形式が使われ、変わらないとされています。照会ごとに問いの数が違っても、answers の配列の長さが変わるだけで、フローの側は直しません。

なお、JSON の形式の定義には制限があり、フィールドのキーの無い配列(["abc", "def"] のような形)はサポートされません。 flags をコードの文字列の配列にせず、キーを持つ要素の配列にしているのはこのためです。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
照会用の共有メールボックスOffice 365 Outlook コネクタ回答のメールを受け、添付を取る
ドキュメント ライブラリSharePoint コネクタ(Create file)様式を照会ごとのフォルダに保存する
様式のファイルExcel Online (Business) コネクタテーブルの行を読む
照会台帳・課の一覧SharePoint コネクタ(Get items)問い・宛先・期限・課を引く
AI Builder のプロンプトプロンプトを実行する要点と確認点を JSON で返す
回答一覧SharePoint コネクタ(Create item)1課1行で書き込む
総務課の Teams チャネルMicrosoft Teams コネクタ未回答の課と期限、確認点の件数を流す

各課へは何も送りません。 督促も問い合わせも、フローは下書きまでにします。同じ課に同じ日に2回督促が届くと、照会そのものの信頼が落ちます。 送るのは担当です。

フロー②が Teams に流すのは、照会ごとの3行です。 「照会2026-031:回答22課/未回答8課(期限まで2日)/要確認5課」。未回答の課の名前と、督促の文の下書きは、そのメッセージから回答一覧の絞り込みの画面に飛べるようにします。

Step9

人が確認する

担当が開くのは、要確認の印が付いた回答と、未回答の課だけです。 印の無い回答は、一覧の要点を読んで終わりにします。

  1. 要確認の回答を、理由のコードごとに見る … pending と refer_other は、問い合わせの先が決まっているので先に片付けます
  2. unit_unclear と off_question は様式を開く … 一覧の根拠の文と、保存された様式を見比べます
  3. big_change は、前回の回答と並べて見る … 変化に理由があるか、記入の誤りかを課に聞きます
  4. 督促の下書きを直して送る … 期限まで2日を切った課から送ります
  5. 確かめた結果を一覧に残す … 問い合わせて直った値と、確かめて問題が無かった印を付けます

3番目を省かないでください。 前回と大きく違う回答は、記入の誤りであることもあれば、事業が始まった・終わったという本当の変化であることもあります。どちらかを決められるのは回答した課だけです。

要点が回答の中身とずれていないかは、最初の1か月だけ全件を見ます。 1か月見て、要点の書き方に問題が無ければ、印の無い回答を開くのはやめます。

Step10

例外に対処する

起きること対応
件名に照会番号が無い照会の回答として扱わない。毎朝の突き合わせで、照会の期間中に宛先の課から届いたメールを一覧に出し、担当が結び付ける
様式を使わず本文だけで回答本文から同じように整理し、「様式なし」の印を付ける
様式のテーブルが無い・名前が違う行を読めない。「様式の読み取り不可」として担当へ
同じ課から2通目差し替えとして新しい行を正にし、前の行は残す
庶務担当の個人のアドレスから届く課の一覧の庶務担当の列で課を引く。引けなければ担当へ
1通に複数の照会の回答件名の照会番号が1つでなければ、自動で分けずに担当へ
着信のトリガーの取りこぼし毎朝の突き合わせで拾い、フロー①に回し直す
プロンプトがJSONを返さない1回だけやり直し、だめなら「要約不可」として担当へ
照会の期限を延ばした照会台帳の期限を直す。未回答の通知はその日付で数え直す

上から3行目までで、例外のほとんどを占めます。 どれもAIの問題ではなく、回答の返し方の決まりの問題です。 照会の文書に「件名を変えずに返信してください」「様式の表の形を変えないでください」と1行ずつ書くほうが、フローの例外処理を増やすより効きます。

Step11

記録を残す

  • 回答のメールの受信日時、送り主、件名と、保存した様式のファイル
  • プロンプトに渡した文(表の行を文にしたものと、整理した本文)
  • プロンプトが返した JSON の全文
  • 回答一覧に書き込んだ行と、差し替えの履歴
  • 未回答の通知を流した日時と、督促を送った日時
  • 担当が確かめた結果(問い合わせて直った値、問題が無かった印)

3つ目の JSON の全文を残すのは、要点と元の回答を後から見比べるためです。 国・県へ回答した後に数字の誤りが見つかったとき、どの課の様式のどの欄から来た数字かを、ファイルと JSON でたどれます。

照会ごとのフォルダと回答一覧は、文書の保存年限の規程に合わせて残します。 照会の取りまとめは、国・県への回答の根拠になる文書です。

04実装レベルの3段階

最小構成:回答を手でAIの画面に貼り、問いごとの要点と確認点を出させる / 1課ごとの要約と確認点
半自動化:上記+フローで回答のメールを受けて様式を読み、回答一覧に書き込み、毎朝未回答の課を流す / 受付から一覧と未回答の通知まで
本格構成:上記+確認点ごとの問い合わせの文と督促の文の下書きを作り、担当の承認の後に送る / 問い合わせと督促の送信まで

本記事の想定は半自動化です。 1件6分が2分になる見込みは、この段階で置いています。問い合わせと督促は担当が書いて送るので、課との関係の調整はこれまでどおり人が持ちます。 本格構成に進むかは、半自動化で3か月回してから決めます。 督促の文は照会ごとに言い回しが違ううえ、督促が自動で届くと、各課の庶務担当は「機械からの連絡」として後回しにしがちです。送るのを人に残す価値は、思ったより大きいことがあります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
300 件
1件あたり現在時間
6 分
1件あたり導入後時間
2 分
現在  300件 × 6分 ÷ 60 = 30 時間/月
導入後 300件 × 2分 ÷ 60 = 10 時間/月
月間削減時間
20h
削減率
67%
年間削減時間
240h
年間金額換算(時間単価3,000円)
72万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 国・県からの調査や庁内の実態調査のために、総務課・企画課などが毎月いくつもの照会を庁内の30前後の課へ出し、回答様式のファイルをメールで受け取って集約表に写している市町村。回答の自由記述を読んで要点をまとめる作業と、未回答の課への督促が担当者の手作業になっている場合。庁内のメールとファイルの共有に Microsoft 365 を使っている場合。
向いていない
  1. 照会が月に数件で、回答する課も数課に限られる場合。庁内の照会をすでに電子申請・アンケートの仕組みで出しており、回答が最初から一覧のデータで集まる場合。自団体の情報セキュリティポリシーで、庁内の文書をクラウドの生成AIで扱えない場合。なお、回答の内容が正しいかの判断と、国・県へ何を回答するかの決定は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の照会から1本を選び、30課の回答の様式とメールを手元に集める
  2. 照会の問いの文を、番号つきで1枚の文書にする
  3. 手元のAIサービスに、第7章のプロンプトと問いの文と、1課の回答を貼る
  4. 返ってきた要点と確認点を、当時の集約表と見比べる
  5. 30課のうち、当時問い合わせた課に確認点が付いたかを数える

見るのは、要点のうまさより、確認点の拾い方です。

出てきた内容判断
当時問い合わせた課に、確認点が付いたフローの作成に進む
自由記述の数字が件数に入った指示の書き方で直る。構成は有効
要点が問いの言い換えばかりになった本文の引用を除けていない。前処理を先に直す
様式を使わない課が多く、比べられない照会の出し方の決まりが先。 AIの問題ではない

4行目が出たら、照会の文書の書き方から直します。 返し方がそろわないまま自動にすると、例外の一覧が毎回いちばん長くなります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
自由記述の数字が件数に入る件数は様式の欄だけと指示し、自由記述の数字は要点の中に残す
要点が照会の文の言い換えになる引用された照会の本文を前処理で除く
様式のテーブルが無く読めない様式にテーブルの名前を付けて配り、表の形を変えないよう照会の文書に書く
件名を変えて返信され、照会と結べない照会の文書に「件名を変えずに返信」と書く
回答が集中した日に取りこぼす毎朝、共有メールボックスと回答一覧を突き合わせる
添付の取得で時間切れになるトリガーで添付を含めず、Get Attachment (V2) で取る
保存した様式を担当がすぐ開いて直せないコネクタが使った後、最大6分ロックされることがある。少し待つ
未回答の課をAIに数えさせて落とす宛先とリストの突き合わせで決める
督促が自動で届いて後回しにされる下書きまでにし、送るのは担当にする
確認点が多すぎて読まれない理由のコードを6つに絞り、big_change は毎年の照会だけに使う

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、AIが短い回答を埋めようとして起きます。集計に入る数字の出どころを様式の欄の1か所に決め、要点には課が書いたことだけを残すと、取り違えの出どころがはっきりします。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 照会の問いと、各課の回答です。回答には、事業の件数や実施状況のほか、ときに個別の事案の経緯や、関係する事業者・住民に関わる記述が混ざります。

  1. 住民や事業者の個人に関わる記述を求める照会は、この構成に乗せない … 照会の段階で、個別の事案を書かせる問いがあるかを見ます。乗せる照会を総務課が選びます
  2. モデルの処理の場所を確かめる … 公式の説明では、日本で GPT-4.1 mini などが「GA(クロスジオ)」とされ、クロスジオのモデルはリージョン外でデータを処理する可能性があるとされています。自団体の情報セキュリティポリシーで扱えるかを、情報政策の担当と確かめてから使います
  3. 回答の内容が正しいかは判断させない … この構成が出すのは要点と確認点です。国・県へ何を回答するかは担当課が決めます
  4. 各課へ自動で送らない … 督促と問い合わせは下書きまでです
  5. 回答一覧の閲覧の範囲を決める … 一覧には30課の回答が並びます。照会によっては、各課がほかの課の回答を見られないほうがよいものがあります。 リストの権限を照会の性質で分けます
  6. 入力に指示を含めない … 公式の説明では、セキュリティ上の理由により、プロンプトの入力に指示を含めることは禁止されています。回答の本文は「データ」として渡し、その中の文を指示として扱わない作りにします

誤りが起きた場合のリスクは、誤った数字を国・県へ回答することと、回答した課を未回答として督促することの2つです。 前者は自由記述の数字が件数に入ると起き、後者は未回答の判定をAIに任せると起きます。どちらも設計で出どころを1つに決めて防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:照会の出し方の決まりを作る

件名の照会番号の書き方、回答様式のテーブルの名前、「件名を変えずに返信」の1行を、総務課の照会の文書のひな形に入れます。照会台帳のリストを作り、問いの文・宛先・期限を登録する列を用意します。

2週目:先月の照会1本で試す

第8章のとおり、先月の照会1本の回答を手元のAIサービスに貼り、当時の集約表と見比べます。自由記述の数字が件数に入っていないかを最優先で見ます。

3週目:AIで扱ってよい照会を決める

情報政策の担当と、プロンプトのモデルの処理の場所と、乗せてよい照会の範囲を確かめます。 ここが決まらないうちにフローを動かすと、回答一覧ができても使えない状態になります。

4週目:フロー①を動かす

共有メールボックスの着信から、様式の保存、表の読み取り、プロンプト、回答一覧への書き込みまでを作ります。この時点では、未回答の通知を入れません。 まず要点と確認点の質を見ます。

2か月目: フロー②を足し、毎朝の未回答の通知と、取りこぼしの突き合わせを動かします。3か月目以降: 要確認の割合と、1件6分が何分になったかを実測します。総務課の照会で決まりが定着した時点で、企画課・財政課の照会に広げ、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
「When a new email arrives in a shared mailbox (V2)」のトリガーと「Get Attachment (V2)」のアクションがあること。多くのメールが同時に届くとまれにトリガーがメールを取りこぼすことがあること。トリガーで添付を含める設定にすると添付のダウンロードで時間切れになることがあり、添付を含めずに Get Attachment (V2) で取る方法が示されていることMicrosoft Learn: Office 365 Outlook connector2026-10-08
OneDrive for Business や SharePoint のドキュメント ライブラリにあるファイルを扱うこと。「List rows present in a table」が既定で256行まで返し、すべての行にはページ分割を有効にすること。ファイルがコネクタの最後の使用から最大6分ロックされることがあること。対応する形式と、ファイルの上限が25MBであることMicrosoft Learn: Excel Online (Business) connector2026-10-08
SharePoint コネクタに Get items(OData のフィルター クエリ)、Create item、Create file のアクションがあることMicrosoft Learn: SharePoint connector2026-10-08
フローの中で「プロンプトを実行する」アクションでプロンプトを使い、前のアクションの内容を入力に渡せること。Azure OpenAI サービスを活用した GPT モデルで動き、一部の地域に限定され、使用制限の対象になる場合があることMicrosoft Learn: Power Automate でプロンプトを使用する2026-10-08
プロンプトの出力を JSON にでき、保存した形式がフローで使われ変わらないこと。「JSON を生成できませんでした」のときに「回答に JSON マークダウンを含めないでください」を加える対策。フィールドのキーの無い JSON 形式がサポートされないことMicrosoft Learn: JSON 出力2026-10-08
日本で GPT-4.1 mini などが「GA(クロスジオ)」とされ、クロスジオのモデルはリージョン外でデータを処理する可能性があることMicrosoft Learn: リージョンと更新プログラムによるモデルの可用性2026-10-08
スケジュールされたクラウド フローが定期的なスケジュールで実行され、繰り返しのトリガーがフローに入ることMicrosoft Learn: トリガー2026-10-08
セキュリティ上の理由により、プロンプトの入力に指示を含めることが禁止されていることMicrosoft Learn: プロンプトに入力を追加する2026-10-08
Power Apps・Power Automate でプロンプトを使うとプロンプト ビルダーのクレジットが使われること。温度が0から1の範囲で、低いほど予測可能な出力になり、既定が0であることMicrosoft Learn: モデルのバージョンと設定を変更する2026-10-08

クラウドの生成AIで庁内の文書を扱えるかは、自団体の情報セキュリティポリシーで確かめてください。 本記事は公式の説明で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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