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社員の改善提案・アイデアの投稿を、テーマと担当部門に分類して回し、毎月の件数と検討状況の一覧を作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

社員が投稿フォームに書いた改善提案・アイデアを、AIがテーマと担当部門に分類し、部門の窓口へ回します。回した提案は一覧で検討状況を追い、毎月の件数と止まっている提案を事務局へまとめて届けます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
IT・SaaS/その他/小売/物流/製造
対象部門
経営企画
対象業務
分類・仕分け/集計・分析
主な課題
人手が足りない/属人化している/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
分類
主な効果
対応スピード向上/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
36h/月
AI導入後
8h/月
想定削減
78%
年間削減
336h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 投稿がフォームに届き、回答のスプレッドシートに1行ずつたまる
  2. 事務局の担当者が数日分をまとめて開き、1件ずつ本文を読む
  3. 内容からテーマ(業務改善、職場環境、新規事業など)を決め、一覧の列に書く
  4. どの部門が検討すべきかを決める。迷うものは部門の窓口に電話やチャットで聞く
  5. 担当部門の窓口へ、本文を貼り付けたメールで回す。氏名を伏せるかどうかは担当者が判断する
  6. 回した日と回した先を一覧に書く
  7. 月末に、テーマ別・部門別の件数と、採用・検討中・未着手の数を数え、経営会議の資料にする
導入後(After)
  1. 人社員が Google フォームに提案を投稿する(これまでと同じ)
  2. 自動投稿をきっかけに Zap が動き、部門の受け持ちの一覧を読み込む
  3. 自動AIが本文を読み、テーマと担当部門を区分から選び、1行の要旨を作る
  4. 自動提案でないもの、部門を決められないものに印を付ける
  5. 自動印の有無と担当部門で処理を分ける
  6. 自動通常のものは、担当部門の窓口へ氏名を伏せた回付のメールを送り、一覧に1行足す
  7. 人印の付いたものは事務局が開き、回し先を決めるか、相談窓口の手続へ移す
  8. 人部門の担当者が一覧の検討状況の列を更新する
  9. 自動毎週、回付から30日を過ぎて動きの無い提案を拾い、部門の窓口と事務局へ知らせる
  10. 自動毎月1日に、前月の投稿のテーマ別・部門別の一覧を事務局へまとめて届ける
  11. 人事務局が月次の一覧と検討状況の集計を見て、経営会議の資料にする
各工程の詳しい説明を読む
  1. 投稿がフォームに届き、回答のスプレッドシートに1行ずつたまる
  2. 事務局の担当者が数日分をまとめて開き、1件ずつ本文を読む
  3. 内容からテーマ(業務改善、職場環境、新規事業など)を決め、一覧の列に書く
  4. どの部門が検討すべきかを決める。迷うものは部門の窓口に電話やチャットで聞く
  5. 担当部門の窓口へ、本文を貼り付けたメールで回す。氏名を伏せるかどうかは担当者が判断する
  6. 回した日と回した先を一覧に書く
  7. 月末に、テーマ別・部門別の件数と、採用・検討中・未着手の数を数え、経営会議の資料にする

(a)回す先を決めるのに、部門の受け持ちを知っている人が要る。 「出張の精算が面倒」は経理か総務か、「工場の休憩室が狭い」は工場の総務か本社の総務か。答えは会社の組織の細部にあり、事務局のベテランの頭の中にしかありません。 担当者が替わると、回し先の誤りと問い合わせが一気に増えます。

(b)回した後が見えない。 一覧には回した日はあっても、部門がその後どうしたかは書かれていません。投稿者から「あの提案はどうなりましたか」と聞かれて初めて、誰も検討していなかったと分かることがあります。返事が来ない経験をした社員は、次の提案を出しません。

(c)提案でないものが混ざる。 特定の上司への不満、同僚の言動への申し立て、法令に触れるかもしれない行為の指摘が、提案のフォームに書かれてくることがあります。これを他の提案と同じように部門へ転送すると、書いた人が特定されるおそれのある相手に届いてしまいます。

(d)月末の集計が手作業。 テーマ別・部門別の件数は一覧から数えられますが、検討状況は部門に聞き直さないと分かりません。集計の時期に、事務局が全部門へ状況の確認を回しています。

  1. 【人】 社員が Google フォームに提案を投稿する(これまでと同じ)
  2. 【自動】 投稿をきっかけに Zap が動き、部門の受け持ちの一覧を読み込む
  3. 【自動】 AIが本文を読み、テーマと担当部門を区分から選び、1行の要旨を作る
  4. 【自動】 提案でないもの、部門を決められないものに印を付ける
  5. 【自動】 印の有無と担当部門で処理を分ける
  6. 【自動】 通常のものは、担当部門の窓口へ氏名を伏せた回付のメールを送り、一覧に1行足す
  7. 【人】 印の付いたものは事務局が開き、回し先を決めるか、相談窓口の手続へ移す
  8. 【人】 部門の担当者が一覧の検討状況の列を更新する
  9. 【自動】 毎週、回付から30日を過ぎて動きの無い提案を拾い、部門の窓口と事務局へ知らせる
  10. 【自動】 毎月1日に、前月の投稿のテーマ別・部門別の一覧を事務局へまとめて届ける
  11. 【人】 事務局が月次の一覧と検討状況の集計を見て、経営会議の資料にする

7番目が、この設計の分かれ目です。 事務局が開くのは印の付いたものだけで、通常のものは回付のメールと一覧の行を流し見て終わります。 全件を事務局が確かめる設計にすると、②の時間はほとんど減りません。

6番目で氏名を伏せるのは、規則で決めています。 投稿者の名前を部門に渡すかどうかを、1件ずつ判断しないためです。部門が投稿者に話を聞きたいときは、事務局を通します。

02今回想定するシステム構成

構成図
Google フォーム(提案の投稿。回答はスプレッドシートに保存)
   │
   ▼【トリガー】Google Forms:New Form Response
Zapier の Zap(受付)
   ├──▶ Google Sheets:Get Many Spreadsheet Rows で部門の受け持ちの一覧を読む
   ├──▶ AI by Zapier(Analyze and Return Data)
   │       テーマ/担当部門/要旨/flag(sensitive・unclear・multi)
   ├──▶ Paths:flag の有無で分ける
   │       ├─ flag なし ─▶ Lookup Spreadsheet Row で窓口を引く
   │       │                ─▶ Gmail で回付 ─▶ 提案一覧に1行追加
   │       └─ flag あり ─▶ Gmail で事務局だけに知らせる
   └──▶ Digest by Zapier:月次の一覧に1件を追加(毎月1日に配信)

Zapier の Zap(追跡、毎週)
   └──▶ Lookup Spreadsheet Rows (Advanced) で止まっている提案を拾う ─▶ Gmail
役割想定する製品代替候補
ワークフローZapier(Google Forms、Google Sheets、Paths、Gmail、Digest by Zapier)Make、Power Automate、n8n
生成AIAI by Zapier(Analyze and Return Data)ChatGPT(OpenAI)、Claude、Gemini
保管Google スプレッドシート(提案一覧、部門の受け持ちの一覧)Airtable
メールGmail(事務局の共有アドレス)Microsoft Outlook

新しく足すのは、2つの Zap と、部門の受け持ちの一覧のシートだけです。 フォームと回答のスプレッドシートはいまのものを使います。提案一覧は、これまで事務局が手で書いていた一覧に列を足して使います。

フォームから Zapier へは、Google Forms の New Form Response で受けます。 新しい回答を受け取ったときに動くトリガーです。ただし、Zapier はフォームそのものには直接アクセスできず、回答が Google スプレッドシートに保存されている必要があります。 フォームの回答先にスプレッドシートを設定しておくのが前提です。

AIの処理は、AI by Zapier の Analyze and Return Data で行います。 指示を書き、返してほしい項目を項目名・型・説明・必須かどうかで定義すると、その形で値を返します。Zapier が用意するモデル(Standard・Advanced・Premium)のほか、OpenAI、Anthropic、Google、Azure OpenAI、Amazon Bedrock の自社のAPIキーを使う設定もできます。この題材は区分を選ぶだけなので、Standard(1回の実行で1タスク)で足りるかを最初に試します。

月次の一覧は Digest by Zapier で作ります。 1件ごとに要旨をため、決めた日にまとめて1通で配信します。 ためる操作はタスクの消費に数えられないとされています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

フォームへの投稿を1件ずつきっかけにします。 Google Forms の New Form Response は、新しい回答を受け取ったときに動く即時のトリガーです。1日1回にまとめて処理する形にはしません。 まとめると、部門に届くのが数日遅れ、その間に投稿者が「届いたのか」と気にし始めます。

もう1つ、毎週月曜の朝に動く追跡の Zap を別に作ります。こちらは投稿ではなく、Schedule by Zapier の定時で動き、提案一覧の中から止まっているものを拾います。受付の Zap と追跡の Zap を分けるのは、片方を直しているあいだにもう片方が止まらないようにするためです。

フォームの回答の編集では動かしません。 投稿者が回答を直せる設定にしていると、編集のたびに同じ提案が2回回付されます。New or Updated Form Response ではなく New Form Response を選ぶのはこのためです。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
投稿件名、本文、投稿日時、任意の氏名と所属、匿名を希望するかの選択Google フォームの回答
部門の受け持ちの一覧部門コード、部門名、受け持つ範囲の説明、窓口のメールアドレス、回付してよいか新しく作るシート
テーマの区分7つのテーマと、それぞれに入るものの例指示の中に書く
提案一覧受付番号、テーマ、担当部門、回付日、検討状況、検討結果の一言既存の一覧に列を足す

質を決めるのは、部門の受け持ちの一覧の「受け持つ範囲の説明」の列です。 「総務部」という名前だけでは、AIは出張の精算を経理に回すか総務に回すかを決められません。「出張の手配、社用車、事務所の設備、福利厚生の制度」のように、受け持つものを具体的に書きます。 この列は、これまで事務局のベテランの頭の中にあった知識を書き出したものです。

「回付してよいか」の列は、窓口の準備ができた部門だけを対象にするために持ちます。 窓口が決まっていない部門の提案は、当面は事務局が手で回します。

投稿者の氏名と所属は、AIに渡しません。 分類に要るのは本文だけです。氏名を渡すと、要旨に名前が入って部門へ届くことがあります。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
投稿の件名と本文New Form Response の出力分類の対象
部門の受け持ちの一覧Google Sheets の Get Many Spreadsheet Rows (Advanced)指示に埋め込む区分の候補
回付先の窓口Google Sheets の Lookup Spreadsheet Row(部門コードで引く)回付のメールの宛先
止まっている提案Lookup Spreadsheet Rows (Advanced)(毎週)追跡の通知

部門の受け持ちの一覧は、投稿のたびに読み直します。 Get Many Spreadsheet Rows (Advanced) は最大1,500行を1つのJSONの値として返せるので、部門が30前後の会社なら1回で全部が取れます。組織変更で部門が増減したときも、シートを直すだけで翌日の投稿から反映されます。 指示の文面に部門名を直接書くと、組織変更のたびに Zap を開き直すことになります。

回付先の窓口は、AIの出力ではなく、シートから引きます。 AIが返すのは部門コードだけです。Lookup Spreadsheet Row で部門コードの列を探し、その行の窓口のアドレスを使います。AIがメールアドレスを書く経路を作りません。

止まっている提案の判定は、シートの計算式に持たせます。 提案一覧に「回付日から30日を過ぎ、検討状況が『回付済』のまま」のとき TRUE になる列を作り、追跡の Zap は Lookup Spreadsheet Rows (Advanced) でその列が TRUE の行を拾います。この検索は最大500行までなので、それを超えるほど止まっているなら、通知より先に制度の運用を見直す段階です。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 空の投稿を落とす … 本文が空、または数文字だけのものは分類に回さず、事務局の確認待ちとして一覧に記録します
  2. 氏名と所属を外す … AIに渡すのは件名と本文だけにします
  3. 本文の中の個人名に気づける形にする … 本文に人の名前が書かれていることがあります。外すのではなく、後段の sensitive の判定の材料として残します
  4. 長すぎる本文を確かめる … 新規事業の案などで本文が長いときは、そのまま渡します。要旨は1行に収めさせます
  5. 受付番号を振る … 投稿日時と回答の行番号から受付番号を作り、以降はこの番号で追います
  6. 部門の一覧を整える … 「回付してよいか」が「いいえ」の部門は、候補から外して渡します

3番目で名前を消さないのは、意図してのことです。 消してしまうと、特定の人への申し立てが「職場環境の改善の提案」に見えてしまい、通常の回付に乗ってしまいます。 名前が書かれていることは、分類で見るべき信号の1つです。

Step5

AIに処理させる

させるのは、テーマを1つ、担当部門を1つ選ぶことと、選べないときに印を付けることです。 要旨は、回付のメールの件名と月次の一覧に使う1行だけです。

見るもの判断の仕方判断できないときの扱い
テーマ7つの区分から1つどれにも当たらなければ other
担当部門受け持つ範囲の説明と本文を照らして1つ決められなければ unclear の印
部門をまたぐか実施に2つ以上の部門が要るかmulti の印を付け、主となる部門を1つ書く
提案でないか特定の個人への申し立て、ハラスメントや法令違反の指摘、健康や家庭の事情の相談sensitive の印。部門は選ばない
要旨本文から40字以内の1行個人名を入れない

テーマの区分は7つです。 improvement(業務の手順・書式・ムダ)、it_system(社内のシステム・ツール)、workplace(職場環境・設備・福利厚生)、safety_quality(安全・品質)、customer(顧客対応・サービス)、new_business(新規事業・新商品)、other です。区分を増やしすぎると、AIも人も選ぶたびに迷います。

させないこと理由
提案の良し悪しの評価採否は部門と審査の場が決める
sensitive の内容が事実かの判断申し立ての扱いは相談窓口の手続で人が行う
投稿者の推定匿名の希望を守る。文面から誰かを推し量らない
部門の一覧に無い部門の新設選べなければ unclear にする
回付先のアドレスの記入宛先はシートから引く

2行目がこの構成でいちばん大事な線です。 sensitive の印を付けるのはAIですが、その中身をどう扱うかは、相談窓口や通報窓口の社内の規程に従って人が決めます。 AIの仕事は「通常の回付に乗せない」ことだけです。

Step6

指示内容を固定する

あなたは社内の改善提案制度の事務局で、届いた投稿を担当部門へ振り分ける立場です。
投稿の本文だけを読んで判断してください。推測で補わないでください。

【テーマの区分】次の7つから1つだけ選ぶ
- improvement ...... 業務の手順、帳票・書式、会議、ムダの削減
- it_system ........ 社内のシステム、ツール、アカウント、端末
- workplace ........ 職場環境、設備、休憩室、福利厚生、働き方の制度
- safety_quality ... 作業の安全、製品やサービスの品質
- customer ......... 顧客対応、サービスの改善、顧客の声
- new_business ..... 新規事業、新商品、新しい販路
- other ............ 上のどれにも当たらない

【担当部門の候補】
{departments}
(各行は「部門コード|部門名|受け持つ範囲」です)

【department_code の選び方】
- 受け持つ範囲の説明に照らし、提案を実施するときに主となる部門を1つ選ぶ
- 候補の中から選ぶ。候補に無い部門名を書かない
- 決められないときは空にし、flags に unclear を入れる
- 実施に2つ以上の部門が要るときは、主となる部門を書き、flags に multi を入れる

【sensitive とするもの】次のどれかが書かれていれば flags に sensitive を入れ、
department_code は空にする
- 特定の個人(名前、役職、席の位置などで特定できる人)への不満や申し立て
- ハラスメント、差別、法令や社内規程に違反するかもしれない行為の指摘
- 本人や家族の健康、家庭の事情の相談
これらが事実かどうか、どれほど重大かは判断しないでください。

【厳守事項】
- summary は40字以内の1行。個人名、役職名を入れない
- 提案の良し悪し、採用すべきかを書かない
- 投稿者が誰かを推測しない
- 本文が短すぎて内容が分からないときは、theme を other、flags に unclear
- reason には、選んだ根拠になった本文の語句をそのまま短く写す

【投稿の件名】{subject}
【投稿の本文】{body}

「候補に無い部門名を書かない」を明記しないと、もっともらしい部門を作ります。 「働き方改革推進室」のような、ありそうで無い部門が返ると、Lookup で窓口が引けずに Zap が止まります。候補の外に答えを作らせないことが、後段を単純に保つ条件です。

sensitive の定義に「事実かどうかを判断しない」と書くのも同じ理由です。 書かなければ「内容から判断して軽微なため通常の提案として扱う」と自分で線を引き直します。線を引くのは規程の側です。

Step7

出力形式を固定する

Analyze and Return Data の出力の項目を、次のように定義します。

項目名型必須説明
theme文字列はい7つの区分のどれか
department_code文字列いいえ候補の部門コード。決められなければ空
flags文字列いいえsensitive・unclear・multi をカンマ区切り
summary文字列はい40字以内の1行
reason文字列はい根拠にした本文の語句

受け取る値は、たとえば次のようになります。

{
  "theme": "improvement",
  "department_code": "D07",
  "flags": "multi",
  "summary": "出張精算の領収書の貼り付けを写真の提出に替える案",
  "reason": "出張の精算で領収書を台紙に貼る作業"
}

1つ目の理由は、Paths の規則をこの項目だけで書けることです。 flags に sensitive を含むか、unclear を含むか、department_code が空か。分かれ道は文字列の比較だけで決まります。 AIの文章を読んで判断する段を、後段に置きません。

分かれ道規則行き先
1flags が sensitive を含む事務局の責任者だけに知らせる。一覧には受付番号とテーマ other だけを記録
2flags が unclear を含む、または department_code が空事務局に回し先の決定を依頼
3上のどれでもない(Fallback)窓口を引いて回付、一覧に1行追加

2つ目は、multi でも回付は止めないことです。 主となる部門に回し、回付のメールに「他部門との調整が要る可能性」と書き添えます。事務局に戻すのは、どの部門が主か決められないときだけです。

3つ目は、reason で事務局の確認が速くなることです。 月次の一覧で分類の誤りに気づいたとき、AIが本文のどこを見たかが分かれば、受け持つ範囲の説明のどこを直せばよいかがすぐ分かります。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Google フォームNew Form Response投稿を受け取る
部門の受け持ちの一覧Get Many Spreadsheet Rows (Advanced)、Lookup Spreadsheet Row候補の読み込みと窓口の引き当て
AI by ZapierAnalyze and Return Data区分と印の判定
GmailSend Email部門の窓口への回付、事務局への通知
提案一覧Create Spreadsheet Row回付した提案を1行追加
Digest by ZapierAppend Entry and Schedule Digest月次の一覧にためる

回付のメールに入れるのは、受付番号、テーマ、要旨、本文、一覧へのリンクだけです。 氏名と所属は入れません。部門の担当者はメールを読み、一覧の検討状況の列を「検討中」「採用」「保留」「見送り」に更新します。 メールで返事をもらう形にすると、返事を一覧に書き写す作業が事務局に戻ってきます。

月次の一覧は、Digest の頻度を Monthly にし、毎月1日の朝に配信します。 1件ごとに「受付番号|テーマ|部門|要旨」を1行ためます。Digest のタイトルは32文字まで、1つのダイジェストは1MBまでとされているので、月240件の1行ずつなら余裕があります。

検討状況の件数は、Digest ではなくシートの集計で出します。 状況は回付の後に部門が変えるので、投稿の時点でためた Digest には反映されません。月次のメールには、件数の集計シートへのリンクを添えます。

Step9

人が確認する

事務局が開くのは、Paths の1番目と2番目に入ったものだけです。 3番目の通常の回付は、一覧の行と回付のメールを流し見ます。

  1. sensitive を最優先で見る … 本文を読み、社内の相談窓口・通報窓口の手続に移すかを決めます。一覧には本文を残しません
  2. unclear の回し先を決める … 部門を決めて手で回付し、受け持つ範囲の説明のどこが足りなかったかをメモします
  3. 通常の回付を週に1回流し見る … テーマと部門の組み合わせに違和感のあるものだけを開きます
  4. 部門から「うちではない」と戻ったものを記録する … 誤った回付の件数を月ごとに数えます

4番目を記録し続けることが、精度を上げる唯一の方法です。 戻ってきた提案の多くは、受け持つ範囲の説明の書き方で直ります。AIの指示を直すより、シートの説明を1行直すほうが効きます。

目標は、240件をならして1件2分です。 印が付くのは1割前後という想定で、それより多い月は、部門の一覧の説明が古くなっています。

Step10

例外に対処する

起きること対応
回答がスプレッドシートに保存されていないトリガーが動かない。フォームの回答先の設定を最初に確かめる
部門コードで窓口が引けないLookup が見つけられなかったときは事務局へ回す。窓口の行を足す
AIの応答が区分の外の値を返すPaths の Fallback に入る前に、theme が7つのどれかかを Filter で確かめ、外れたら事務局へ
1つの投稿に複数の提案主な1つで分類し、multi を付ける。分けて回すかは事務局が決める
同じ投稿者が同じ提案を2回出す受付番号を2つ振り、事務局が月次の一覧で気づいたら片方を取り下げる
部門の窓口のメールが届かないGmail の送信エラーを Zap の履歴で見る。送信上限を超えると一時的に送れなくなる
投稿が急増する(制度の告知の直後など)Zap は1件ずつ動くので止まらない。事務局の確認の量だけが増える
sensitive を通常の回付に乗せてしまった回付先の窓口に削除を依頼し、相談窓口の手続へ移す。指示と区分の見直しを先にする

最後の行は、起きたら最も重い失敗です。 起きにくくするために、sensitive の定義は広めに取り、迷ったら印を付けるほうに倒します。 印を付けすぎて事務局の確認が増える損は、時間だけで済みます。

Step11

記録を残す

  • 投稿の原文(回答のスプレッドシート。これまでどおり)
  • AIの出力(theme、department_code、flags、summary、reason)と、そのとき使った部門の受け持ちの一覧の版
  • 回付した日時、回付先の窓口、通る分かれ道の番号
  • 部門から戻された記録 … どの提案が、どの部門からどこへ移ったか
  • 検討状況の変更の履歴(スプレッドシートの変更履歴)
  • sensitive の件は、受付番号と相談窓口へ移した日時だけを一覧に残し、本文は事務局の限られた場所に置く

2つ目で一覧の版を残すのは、組織変更をまたいで振り返るためです。 部門の受け持ちを書き換えると、過去の回付が正しかったかの意味が変わります。当時の説明が残っていれば、誤りが一覧のせいか指示のせいかを分けられます。

04実装レベルの3段階

最小構成:投稿をAIの画面に貼り、テーマと部門を選ばせる / 1件ずつの分類の下書き
半自動化:上記+投稿をきっかけに Zap で分類し、結果を一覧に書くだけ(回付は人) / 分類と一覧への記録
本格構成:上記+Paths で分けて窓口へ回付し、止まっている提案の追跡と月次の一覧の配信まで行う / 振り分けから追跡までの全体

最小構成では件数がさばけません。 確かめるための段階です。 半自動化で、1件9分が5分程度になります。 読んで区分を決める①と②の大半は自動になりますが、回付のメールと月末の集計が残ります。本格構成で2分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、回付と月末の状況の聞き直しが、件数に比例する手作業だからです。 半自動化の期間を1か月置いてください。 unclear の多い部門が分かり、説明を直してから回付を自動にするほうが、誤った回付が減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
2 名
月間件数
240 件
1件あたり現在時間
9 分
1件あたり導入後時間
2 分
現在  240件 × 9分 ÷ 60 = 36 時間/月
導入後 240件 × 2分 ÷ 60 = 8 時間/月
月間削減時間
28h
削減率
78%
年間削減時間
336h
年間金額換算(時間単価3,000円)
101万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 全社の改善提案・アイデアの投稿を Google フォームで受け付け、月に百件を超える投稿を経営企画などの事務局が1件ずつ読んで担当部門へ回している会社。投稿を回した後の検討状況が追えず、返事の無いまま放置された提案が出ている場合。部門ごとの受け持ちの範囲を一覧にでき、Zapier の有料プランを使える場合。
向いていない
  1. 投稿が月に数十件で、事務局が読んで回せば足りる場合。提案の受け付けを現場の対話での聞き取りや紙の用紙に限っている場合。投稿にハラスメントや法令違反の申告が混ざることが多く、提案制度と通報の窓口を分けられていない場合(先に窓口を分けてください)。なお、提案を採用するかどうか、報奨をどうするかは、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の投稿から50件を選ぶ(事務局が回し先に迷ったものを10件ほど入れる)
  2. 部門の受け持ちの一覧を、主な部門だけでよいので作る
  3. 手元のAIサービスの画面に、第7章の指示と部門の一覧を貼り、投稿を1件ずつ渡す
  4. 返ってきたテーマと部門を、当時事務局が回した先と突き合わせる
  5. 食い違ったものについて、どちらが正しいかと、受け持つ範囲の説明に何が足りなかったかを書き出す

50件は必ずやってください。 Zap を組む前に、「受け持つ範囲の説明だけで部門が決まるのか」を確かめます。

出てきた内容判断
当時の回し先とほぼ同じZap の作成に進む
迷った10件で unclear が返る期待どおり。事務局に戻す設計が働いている
一覧に無い部門名を返す指示の書き方で直る。構成は有効
部門の誤りが多い受け持つ範囲の説明が先。 AIの問題ではない

4行目は失敗ではなく、事務局のベテランが頭の中で使っていた区別が、まだ書き出されていないということです。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
トリガーが動かない回答が Google スプレッドシートに保存されている必要がある。回答先の設定を確かめる
存在しない部門名が返る候補の外を禁じ、department_code だけを返させる。宛先はシートから引く
申し立てが部門に届くsensitive を広めに取り、迷ったら印を付ける。部門を選ばせない
回付のメールに氏名が入るAIに氏名を渡さない。要旨に個人名を入れないと指示に書く
回答の編集で二重に回付されるNew or Updated ではなく New Form Response を使う
部門の一覧が古くなる組織変更の手続に一覧の更新を入れる。毎回シートから読み直す
検討状況が更新されないメールで返事をもらわず、一覧の列を部門に直接更新してもらう
止まっている提案の通知が多すぎる30日の基準と対象の状況を見直す。500行を超えるなら運用の問題
月次の一覧に検討状況が出ないDigest は投稿の時点でためるもの。状況はシートの集計で出す
区分を細かくしすぎる7つ程度に抑える。細かい分析は月次の一覧を見て人が行う
AIの区分で提案を選別し始める採否の材料にしない。 区分は回し先を決めるためのもの

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも「AIに選ばせる範囲」を広げすぎたところから起きます。選ばせるのは区分と印だけ、宛先と採否は人とシートの側と決めておけば、運用は単純なままです。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 社員が書いた提案の本文、任意の氏名と所属、そしてときに含まれる、特定の個人への申し立てや健康・家庭の事情です。

  1. AIに渡すのは件名と本文だけにする … 氏名と所属は分類に要りません。渡さなければ、要旨や回付のメールに混ざる経路がありません
  2. sensitive の扱いを、提案制度の外の手続に移す … 申し立てや通報に当たる内容は、社内の相談窓口・通報窓口の規程に従って扱います。この構成は「通常の回付に乗せない」ところまでしか受け持ちません
  3. 投稿者を推測させない … 匿名を希望した投稿の書き手を、文面や所属から推し量る処理を作りません
  4. AIの処理を外部のサービスで行うことを社内に知らせる … 投稿の本文が Zapier と、そこから使うAIのモデルの提供元で処理されます。投稿フォームの説明に一文を入れておきます
  5. モデルの提供元を選ぶ … 自社でAPIの契約を持っているなら、AI by Zapier で自社のキーを使う設定にでき、どの提供元のどの契約で処理するかを自社で決められます
  6. 置き場所を分ける … 提案一覧と sensitive の件の置き場所を分けます

誤りが起きた場合のリスクは、回し先の誤りと、申し立てを通常の回付に乗せることの2つです。 前者は部門から戻されれば直り、時間の損で済みます。後者は書いた人を危うくするので、印は広めに付け、迷ったら事務局に戻すほうに倒します。

10まず何から始めるか

1週目:部門の受け持ちの一覧を作る

部門コード、部門名、受け持つ範囲の説明、窓口のアドレスの4列を作ります。説明は、事務局のベテランが回し先に迷ったときに何を手がかりにしていたかを聞き取って書きます。 主な部門だけで始めて構いません。

2週目:50件で試す

先月の投稿から50件を選び、手元のAIサービスで分類させます。当時の回し先と突き合わせ、食い違いの原因が説明の不足か指示の不足かを分けます。

3週目:相談窓口へ移す手順を決める

sensitive の印が付いたものを、誰が読み、どの窓口へどう移すかを決めます。ここが決まらないうちに回付を自動にしないでください。 あわせて、投稿フォームの説明に、AIで振り分けることを一文で書きます。

4週目:分類と記録だけの Zap を動かす

New Form Response から AI by Zapier、提案一覧への記録までを作ります。この時点では回付はせず、分類の結果を事務局が見て手で回します。

2か月目: Paths と回付のメールを足し、通常のものは自動で回付します。部門から戻された件数を毎週数えます。3か月目以降: 追跡の Zap と月次の Digest を足し、1件9分が何分になったかを実測します。回付から30日を過ぎた提案の数が毎月減っていくようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
Google Forms のトリガーに New Form Response(新しい回答で動く)と New or Updated Form Response があり、どちらも即時であること。回答が Google スプレッドシートに保存されている必要があること。API の上限を超えると429のエラーになることZapier Help: How to get started with Google Forms on Zapier2026-10-08
Analyze and Return Data で、出力の項目を項目名・型・説明・必須で定義できること。Standard(1タスク)・Advanced(3倍)・Premium(5倍)のモデルがあること。OpenAI・Anthropic・Google・Azure OpenAI・Amazon Bedrock の自前のキーを使えること。Professional・Team・Enterprise のプランで使え、Free では Advanced と Premium が使えないことZapier Help: Use AI by Zapier to analyze and return data2026-10-08
Google Sheets の Lookup Spreadsheet Row が列と値で1行を探すこと。Lookup Spreadsheet Rows (Advanced) が最大500行、Get Many Spreadsheet Rows (Advanced) が最大1,500行を返すこと。Create Spreadsheet Row で行を追加できることZapier Help: How to get started with Google Sheets on Zapier2026-10-08
Paths が規則に応じて分岐し、1つのグループに最大10本、Fallback が1本置けること。Paths と Filter の段はタスクを消費しないこと。Professional 以上のプランで使えることZapier Help: Add branching logic to Zap workflows with Paths2026-10-08
Digest by Zapier の Append Entry and Schedule Digest で、Daily・Weekly・Monthly・Threshold・Manual の配信の頻度を選べること。タイトルが32文字まで、1つのダイジェストが1MBまでであること。ダイジェストの利用がタスクに数えられないことZapier Help: Compile data in a digest in Zap workflows2026-10-08
Gmail のアクションに Send Email と Create Draft があること。送信の上限を超えると最大24時間アカウントが止まりうることZapier Help: How to get started with Gmail on Zapier2026-10-08

申し立てや通報に当たる投稿の扱いは、社内の相談窓口・通報窓口の規程に従ってください。 本記事は上記の公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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