Media > AI活用ユースケース > 総務 > 自治体の総合相談の窓口で、相談者の世帯・収入・困りごとから使える可能性のある支援制度を各課の要綱と案内資料から横断で探し、要件と担当課を根拠付きで職員に返す

自治体の総合相談の窓口で、相談者の世帯・収入・困りごとから使える可能性のある支援制度を各課の要綱と案内資料から横断で探し、要件と担当課を根拠付きで職員に返す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

総合相談の窓口で相談員が相談者の世帯・収入の区分・困りごとを選択肢で入れると、各課の制度の要綱と案内資料を横断で探し、使える可能性のある制度を要件と担当課と根拠付きで返します。使えるかどうかは担当課が決めます。

サマリー
生成AI
Gemini
AIサービス
Azure AI/Google Vertex AI/OpenSearch
連携・自動化
Python
対象業界
その他/自治体
対象部門
総務
対象業務
情報検索/比較検討
主な課題
判断に時間がかかる/属人化している/情報が見つからない
AIで行う処理
検索(RAG)
主な効果
属人化解消/検索時間短縮/機会損失防止
導入難易度
★★★★☆
実装レベル
本格構成
費用感
RAG・個別開発(大)
人間の確認
条件付き
現在工数
70h/月
AI導入後
20h/月
想定削減
71%
年間削減
600h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 相談員が、相談者から世帯の構成、収入と仕事の状況、住まい、困りごとを聞き取る
  2. 聞き取りの後、制度の一覧の表を見て、当てはまりそうな制度に印を付ける
  3. 印を付けた制度ごとに、要綱や案内資料を開いて要件を確かめる
  4. 分からないところは、担当課に内線で確かめる
  5. 相談者に、使える可能性のある制度と担当課を伝え、必要なら担当課へ同行するか連絡票を書く
  6. 案内した制度を、相談の記録に書く
導入後(After)
  1. 人相談員が、相談者から世帯の構成、収入と仕事の状況、住まい、困りごとを聞き取る
  2. 人相談員が、制度検索の画面で緊急の確認(食べるものが無い、身の危険がある、虐待の疑い)に答える。当てはまれば検索をせず、庁内の手順に移る
  3. 人相談員が、世帯の構成・年齢の区分・収入の区分・住まい・困りごとを選択肢で入れる(氏名・住所・生年月日は入れない)
  4. 自動中継プログラムが、年齢の区分と世帯の類型で、明らかに対象外の制度を絞り込みの式で外す
  5. 自動Agent Search(旧 Vertex AI Search)の answer メソッドが、今年度の要綱と案内資料を横断で探し、候補の制度ごとに要件と根拠の条項を返す
  6. 自動中継プログラムが、候補ごとに要件を「聞き取りで満たしていそう」「まだ確かめていない」に分けて並べ、担当課と内線を添える
  7. 人相談員が、確かめていない要件を相談者に聞き、候補を絞る
  8. 人相談員が、相談者に候補と担当課を伝え、担当課へつなぐ。使えるかどうかは担当課が申請を受けて決める
各工程の詳しい説明を読む
  1. 相談員が、相談者から世帯の構成、収入と仕事の状況、住まい、困りごとを聞き取る
  2. 聞き取りの後、制度の一覧の表を見て、当てはまりそうな制度に印を付ける
  3. 印を付けた制度ごとに、要綱や案内資料を開いて要件を確かめる
  4. 分からないところは、担当課に内線で確かめる
  5. 相談者に、使える可能性のある制度と担当課を伝え、必要なら担当課へ同行するか連絡票を書く
  6. 案内した制度を、相談の記録に書く

(a)制度が漏れる。 制度の一覧の表に載っていない制度、載っていても相談員が思いつかない制度は、案内されないまま相談が終わります。 漏れた制度は、相談者が後で別の窓口で知ることになり、その間に使えたはずの期間が過ぎることがあります。

(b)古い版で案内する。 一覧の表の所得の上限が前年度のまま、締切が変わっている。担当課に行った相談者が「その金額は去年のものです」と言われ、窓口への信頼が下がります。

(c)要件を確かめる時間が長い。 要綱は条文の形で書かれ、所得の算定の仕方や世帯の範囲が別の条や別表にあります。一つの制度の要件をそろえるのに、要綱を何か所も行き来します。

(d)急ぐべき相談が、制度探しに埋もれる。 「今日食べるものが無い」「家に帰ると危ない」は、制度の候補を並べる前に、庁内の決まった手順で今日のうちに動く相談です。 制度の一覧を見ている間に、その判断が遅れてはいけません。

  1. 【人】 相談員が、相談者から世帯の構成、収入と仕事の状況、住まい、困りごとを聞き取る
  2. 【人】 相談員が、制度検索の画面で緊急の確認(食べるものが無い、身の危険がある、虐待の疑い)に答える。当てはまれば検索をせず、庁内の手順に移る
  3. 【人】 相談員が、世帯の構成・年齢の区分・収入の区分・住まい・困りごとを選択肢で入れる(氏名・住所・生年月日は入れない)
  4. 【自動】 中継プログラムが、年齢の区分と世帯の類型で、明らかに対象外の制度を絞り込みの式で外す
  5. 【自動】 Agent Search(旧 Vertex AI Search)の answer メソッドが、今年度の要綱と案内資料を横断で探し、候補の制度ごとに要件と根拠の条項を返す
  6. 【自動】 中継プログラムが、候補ごとに要件を「聞き取りで満たしていそう」「まだ確かめていない」に分けて並べ、担当課と内線を添える
  7. 【人】 相談員が、確かめていない要件を相談者に聞き、候補を絞る
  8. 【人】 相談員が、相談者に候補と担当課を伝え、担当課へつなぐ。使えるかどうかは担当課が申請を受けて決める

2番目が、この設計の分かれ目です。 緊急の確認は、検索の前に、相談員が画面の選択肢で答えるものです。 当てはまれば画面は庁内の手順と連絡先だけを示し、制度の候補は出しません。制度の一覧を並べている間に、今日動くべき相談を後回しにしないためです。 緊急かどうかをAIに読ませる設計にはしません。

6番目で「満たしていそう」と「まだ確かめていない」を分けるのも、意図してのことです。 聞き取りは選択肢の区分で入れるので、要綱の所得の上限や同居の範囲は区分だけでは決まらないことが多くあります。 決まらない要件は、相談員が次に聞くことの一覧として返します。

02今回想定するシステム構成

構成図
制度検索の画面(総合相談の相談員)
   ▼ 緊急の確認(当てはまれば検索せず庁内の手順へ)
   ▼【トリガー】状況の選択肢の送信(相談員の ID 付き)
中継プログラム(Python、Cloud Run)
   ├──▶ 選択肢 → 年齢の区分・世帯の類型の絞り込みの式
   ├──▶ 今日の日付 → 適用の期間の絞り込み
   ▼
Agent Search(Vertex AI Search)── answer メソッド
   │  データストア:各課の制度の要綱+住民向けの案内資料
   │               +社会福祉法・生活困窮者自立支援法の条文
   │  絞り込み:program_area/age_group/household/valid_from/valid_to
   │  閲覧の範囲:各課の内部の運用メモはその課と総合相談だけ
   ▼
中継プログラム ── 候補ごとに要件を分け、担当課と内線を添える
   ├──▶ 候補の一覧を画面に返す
   └──▶ 候補が出ない・根拠が古い版 → 取りまとめの担当へ
役割想定する製品代替候補
検索基盤Vertex AI Search(Agent Search)の answer メソッドAzure AI Search、Amazon OpenSearch Service
生成AIGemini(answer メソッドの回答の生成に使うモデル)─
連携中継プログラム(Python。Cloud Run で動かし、画面・検索・担当課の表をつなぐ)Node.js で同じものを書く
認証庁内の ID 基盤(Workforce Identity Federation でつなぐ)Google の ID
保管Cloud Storage(要綱・案内資料・条文の原本とメタデータ)─

相談の記録の仕組みとは、つなぎません。 候補の一覧は画面に出すだけで、相談員が必要なものを記録に書き写します。相談者の記録を検索の側に持ち込まないための線引きです。最初の準備は、各課の要綱と案内資料を、制度ごと・年度ごとにメタデータ付きで集めることです。

検索の土台は、Agent Search(Vertex AI Search から改称中)の answer メソッドです。 検索の結果から回答を作り、出典を付けられます。前のセッションの ID を渡すとやり取りを続けられ、質問の言い換えは既定で有効です。回答の文ごとに根拠の強さのスコアを返す設定と、スコアの低い回答を落とす設定があります。

制度の土台は、社会福祉法の包括的な支援体制です。 社会福祉法第106条の3は、市町村に、地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制を整備するよう努めることを求め、第106条の4は、介護・障害・子育て・生活困窮の相談の事業を一体的に行う重層的支援体制整備事業を定めています。生活困窮者自立支援法第3条は、自立相談支援事業を、相談に応じ、必要な情報の提供及び助言をし、関係機関との連絡調整を行う事業としています。課をまたいで制度を探し、担当課へつなぐ仕事は、この上に立っています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

起点は、相談員が制度検索の画面で状況の選択肢を送ったことです。 画面は庁内の ID でログインした総合相談の相談員だけが使え、住民は使いません。 送る前に、緊急の確認の3問に答えないと先に進めない作りにします。

状況は、選択肢で入れます。 世帯の構成(単身、夫婦、ひとり親と子、三世代など)、世帯員の年齢の区分(未就学、小中学生、18歳から64歳、65歳以上)、収入の区分(住民税の非課税か、収入が途絶えたか)、住まい(持ち家、賃貸、住まいが無い)、困りごと(生活費、家賃、介護、障害、子育て、就労、滞納)。自由に書く欄は、困りごとの補足として短く1つだけ置きます。

1件の相談は、1つのセッションで続けます。 確かめていない要件を聞いたあとに「同居の母は要介護2」と足すと、同じセッションで候補を絞り直します。別の世帯の相談は、新しいセッションで始めます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
状況の選択肢世帯の構成、年齢の区分、収入の区分、住まい、困りごと画面
相談員の情報所属、閲覧の範囲庁内の ID 基盤
制度の要綱対象者、所得の要件、年齢の要件、申請の期限、担当課例規集と各課の文書
案内資料住民向けの説明、必要な書類、問い合わせ先各課のPDFとウェブページ
各課の内部の運用メモ要件の読み方の目安、よくある誤解各課の文書
法令の条文社会福祉法第106条の3〜第106条の5、生活困窮者自立支援法第3条・第5条e-Gov 法令検索の法令API
担当課の表制度ごとの担当課、内線、受付の時間取りまとめの担当が作る表

質を決めるのは、制度ごとのメタデータです。 制度ごとに、分野、対象の年齢の区分、対象の世帯の類型、所得の要件の有無、適用開始日と終了日、担当課を付けます。年齢と世帯の類型は、明らかに対象外の制度を検索の前に外すために使い、所得の要件の数字はメタデータにせず、要綱の本文のまま根拠として返します。 数字の読み方は制度ごとに違い、区分で機械的に比べると誤るからです。

氏名、住所、生年月日、相談の経緯の文章は、この構成に入れません。 制度を探すのに個人を特定する情報は要らず、年齢の区分と世帯の類型で足ります。

Step3

データの取得方法を決める

要綱・案内資料・内部の運用メモ・条文は、Cloud Storage に置いてデータストアに取り込みます。 取りまとめの担当(福祉総合相談課の1名)が、各課から年度の版を受け取り、メタデータを付けて置きます。

取るものどこから何に使うか
分野(生活困窮/高齢/障害/子育て/住まい/税・保険)メタデータ困りごとに合う分野を先に引く
年齢の区分・世帯の類型メタデータ明らかに対象外の制度を外す
適用開始日・終了日メタデータ今日効いている版だけに絞る
閲覧の範囲acl_info各課の内部の運用メモを、その課と総合相談だけに出す

絞り込みの式は、年齢と世帯と日付で書きます。 項目を索引可能にしておけば、age_group: ANY("65plus", "18to64", "all") AND household: ANY("multi_gen", "all") AND valid_from <= "2026-10-08" AND valid_to >= "2026-10-08" のように、世帯にいる年齢の区分に当たる制度と、今日効いている版だけを引けます。対象を限らない制度には all を付けます。

各課の内部の運用メモには、閲覧の範囲を付けます。 要件の読み方の目安は、住民向けの案内と違う言い方をしていることがあり、そのまま相談者に伝える文書ではありません。 acl_info の readers に、その課と総合相談のグループを書きます。この設定はデータストアの作成時にしか選べず、データソースのアクセス制御はプレビューの機能です。 使わない場合は、内部の運用メモを別のデータストアに分けます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 制度ごとに文書をまとめる … 要綱、案内資料、内部の運用メモを、制度の番号で束ねます
  2. 要綱を条ごとに分ける … 対象者、要件、申請の条を、見出しの付いた形で取り込みます。別表も表のまま残します
  3. 年度の版に期間を付ける … 前年度の版には、今年度の版の適用開始日の前日を終了日として書きます
  4. 年齢と世帯のメタデータを付ける … 要綱の対象者の条を見て、各課の担当が付けます
  5. 案内資料の古いものを外す … ウェブページの写しは取得日を付け、要綱と食い違うものは各課に確かめます
  6. 条文を取り込む … 社会福祉法と生活困窮者自立支援法の該当条を、法令APIから取ります
  7. 見出しを断片に含める … データストアの作成時に分割を有効にし、includeAncestorHeadings を有効にします

4番目は、各課の担当に付けてもらいます。 取りまとめの担当が要綱を読んで付けると、対象者の条の読み違いがそのまま絞り込みに入ります。 制度を持つ課が付け、取りまとめの担当は抜けを見るだけにします。

7番目は、データストアを作る前に決めます。 分割はデータストアの作成のあとでは有効にも無効にもできず、見出しを含める設定は既定では無効です。 「所得の要件」の断片は、見出しが無いとどの制度の要件か分かりません。 分割の大きさは100〜500トークンで、既定は500です。

Step5

AIに処理させる

させるのは、状況に当たりうる制度の要綱と案内資料の記載を見つけ、制度ごとに要件を並べ、聞き取りの区分で満たしていそうなものと、まだ確かめていないものを根拠付きで返すことです。 緊急かどうか、明らかに対象外かは、相談員と中継プログラムが決めます。

要素中身根拠
制度の名前と担当課要綱の名前、担当課要綱、担当課の表
要件対象者、所得、年齢、住まい、申請の期限要綱の条
満たしていそうな要件聞き取りの区分と一致する要件要綱の条と選択肢
まだ確かめていない要件区分では決まらない要件と、次に聞くこと要綱の条
根拠の場所要綱の条、案内資料のページ全部

answer メソッドの設定は次のようにします。

設定値理由
session相談ごとのセッション聞き足した条件で候補を絞り直す
includeCitations有効要綱の条と案内資料を付ける
ignoreLowRelevantContent有効要綱と資料に無い制度を挙げない
groundingSpec の filteringLevelFILTERING_LEVEL_HIGH根拠の弱い候補を出さない
filter年齢の区分、世帯の類型、今日の日付対象外の制度と古い版を混ぜない
preamble下の指示答え方の規則を与える
させないこと理由
緊急かどうかの判断相談員が画面の確認で決める
「使えます」「対象です」と言う決めるのは担当課。申請を受けて審査する
所得の上限の計算算定の仕方が制度ごとに違う。担当課が確かめる
要綱に無い制度や、他の自治体の制度を挙げるこの市の制度だけを案内する
優先順位を決める相談者の意向を聞いて相談員が決める

3行目がいちばん起きやすい失敗です。 要綱に所得の上限の表があると、モデルは収入の区分から「上限を下回るので対象」と書きます。 上限が世帯の人数や控除の後の額で決まる制度では、区分の比較では決まりません。所得の要件は「まだ確かめていない」側に置き、数字は要綱の表のまま示します。

Step6

指示内容を固定する

answer メソッドの preamble に、次の指示を入れます。

あなたは市の福祉総合相談課の相談員を手伝う立場で、
相談者の世帯に当たりうる市の支援制度を、各課の要綱と案内資料から探します。
読むのは相談員です。住民ではありません。

【前提】
検索の文の最初に、世帯の構成、年齢の区分、収入の区分、住まい、困りごとが並んでいます。
これは選択肢で入れた区分で、正確な金額や年齢ではありません。

【答え方】
1. 当たりうる制度ごとに、制度の名前と担当課を書いてください。
2. 制度ごとに、要綱の要件を並べ、
   「聞き取りの区分で満たしていそう」「まだ確かめていない」に分けてください。
3. 「まだ確かめていない」要件には、相談員が次に聞くことを1行で書いてください。
4. 根拠にした要綱の条と、案内資料のページを書いてください。

【厳守事項】
- 検索結果の文書に書かれていることだけで答えてください。
  他の自治体の制度や国の制度の一般的な説明で補わないでください。
- 「使えます」「対象です」「受けられます」と書かないでください。
  書くのは「当たりうる」までです。
- 所得の要件は、区分から満たすかどうかを判断しないでください。
  必ず「まだ確かめていない」に置き、要綱の金額の表をそのまま示してください。
- 区分で決まらない要件を、満たしていそうな側に置かないでください。
- 制度の優先順位や、どれを勧めるかを書かないでください。
- 当たりうる制度が見つからないときは、
  「要綱と案内資料に当たりうる制度が見つかりません。取りまとめの担当へ回します」
  とだけ書いてください。

「使えます、と書かない」が、この指示の要です。 候補を並べるだけの検索でも、モデルは要件が揃って見えると結論を書きます。相談員がそれを読み上げれば、相談者には市の約束に聞こえます。 書き方そのものを禁じ、「当たりうる」で止めます。

検索の文は、中継プログラムが組み立てます。 例えば「世帯:三世代(65歳以上1名、18〜64歳2名、小中学生1名)、収入:主な稼ぎ手の収入が途絶えた、住まい:賃貸、困りごと:家賃・介護・就労。当たりうる制度は何か」のように、区分だけを並べます。 補足の自由記入の欄は、固有名詞と数字を消してから足します。

Step7

出力形式を固定する

answer メソッドの応答を、中継プログラムが次の形に整えて、画面と記録に渡します。

{
  "search_id": "",
  "session_id": "",
  "counselor_id": "",
  "urgent_check": { "food": false, "safety": false, "abuse": false },
  "profile": { "household": "", "age_groups": [""], "income": "nontaxable | income_lost | other | unknown", "housing": "own | rent | none", "concerns": [""] },
  "candidates": [
    { "program_id": "", "name": "", "dept": "", "extension": "",
      "likely_met": [ { "requirement": "", "basis": "" } ],
      "to_confirm": [ { "requirement": "", "next_question": "", "basis": "" } ],
      "refs": [ { "doc_type": "rule | guide | memo", "title": "", "article": "", "valid_from": "", "uri": "" } ] }
  ],
  "status": "listed | none_found | urgent_route | skipped",
  "feedback": { "contacted_depts": [""], "missing_program": "" }
}

1つ目の理由は、to_confirm を候補ごとに持てることです。 相談員は画面の上から順に「次に聞くこと」を聞き、答えを足して同じセッションで絞り直します。 要綱を開き直さずに、相談の場で要件が揃っていきます。

2つ目は、refs の valid_from を検査に使えることです。 根拠の版の適用期間に今日が入っていなければ、その候補を画面に出さずに取りまとめの担当へ回します。 古い版での案内を、文の読み方に頼らずに止められます。

3つ目は、feedback の missing_program で漏れを集められることです。 相談員が「この制度が出なかった」と書いた制度は、メタデータの付け間違いか、文書の取り込み漏れです。 取りまとめの担当が毎月見て、各課に直してもらいます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
制度検索の画面庁内向けの画面緊急の確認、状況の選択肢、候補の一覧を表示する
庁内の ID 基盤Workforce Identity Federation相談員と閲覧の範囲を決める
Agent Searchanswer メソッドの呼び出し相談員の ID で、要綱・資料・運用メモから候補を返す
担当課の表読み取り担当課の内線と受付の時間を添える
取りまとめの担当の待ち行列書き込み候補が出ない・版が古い検索を載せる
検索の記録書き込み選択肢・候補・評価を残す(個人を特定する情報は無し)

相談の記録の仕組みと、各課の業務の仕組みには、つなぎません。 候補を記録に書き写すのも、担当課へ連絡票を送るのも相談員が行います。住民の個人の記録を、検索の側へ流さないためです。

Step9

人が確認する

相談員は、候補の一覧を読んだあと、根拠の要綱の条を開いて確かめてから相談者に伝えます。 伝えるときは「当たるかもしれない制度」として伝え、決めるのは担当課であることを必ず添えます。

  1. 確かめていない要件を聞く … 画面の「次に聞くこと」を順に聞き、答えを足して絞り直します
  2. 根拠の版を見る … 候補の要綱の適用開始日が今年度かを確かめます
  3. 担当課へつなぐ … 内線で担当課に状況を伝えるか、同行します

2番目を軽く見ないでください。 年度の途中で改正された制度は、要綱と案内資料の版がずれていることがあります。 食い違いに気づいたら、評価の欄に書いて取りまとめの担当へ回します。

目標は、200件をならして1件6分です。 画面の操作、確かめていない要件の聞き取り、根拠の確認、担当課への連絡の平均です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
緊急の確認に当てはまる検索をせず、庁内の手順と連絡先を表示する(urgent_route)
当たりうる制度が出ないnone_found で取りまとめの担当へ回し、相談員は一覧の表でも探す
根拠の版の期間が今日を含まないその候補を出さず、取りまとめの担当へ回す
要綱と案内資料の内容が食い違う要綱を根拠として示し、食い違いを各課へ知らせる
自由記入に氏名や住所が書かれる中継プログラムが消してから検索の文に足す
年度の切り替えの直後で、新しい版が届いていない課があるその課の制度は前年度の版を出さず、取りまとめの担当へ回す。届くまで一覧の表で案内する
検索の呼び出しが失敗する「候補を作れませんでした」と表示し、一覧の表へ案内する

2行目のときに、相談員の目で探す道を残します。 検索に出ない制度があることは前提で、検索が漏れを減らす道具であって、漏れが無いことの保証ではないからです。

Step11

記録を残す

  • 選択肢の値、日時、相談員(個人を特定する情報は残さない)
  • 中継プログラムが組み立てた検索の文と、使った絞り込みの式
  • answer メソッドの応答の全文(候補、出典、根拠のスコア、回答しなかった理由)
  • 画面に出した候補と、版の検査で外した候補
  • 相談員の評価(つないだ担当課、出なかった制度)
  • そのとき効いていた要綱の版

最後の行は、案内の誤りを後から確かめるときに効きます。 「窓口で言われた制度が使えなかった」という申出に、当時の版と画面に出した候補を並べて見られるようにしておきます。

04実装レベルの3段階

最小構成:主な制度の要綱と資料を手元のAIサービスに読み込ませ、相談員が区分を貼って聞く / 当たりうる制度と要件の検索
半自動化:上記+全課の要綱と資料のデータストアを作り、相談員が検索画面で聞く / 全課を横断した候補と、今年度の版の絞り込み
本格構成:上記+選択肢の画面、緊急の確認、年齢と世帯の絞り込み、要件の振り分け、版の検査、担当課の表を足す / 状況の入力から候補・次に聞くこと・担当課まで

半自動化で、1件21分が12分程度になります。 探す時間は縮みますが、要件を候補ごとに整理する手間と、担当課の内線を調べる手間が残ります。本格構成で6分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、確かめていない要件が「次に聞くこと」として並び、要綱を開き直さずに相談が進むからです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の期間に、各課が付けたメタデータの抜けと誤りが見えてきます。メタデータが整わないまま選択肢の画面を作ると、絞り込みで制度が消えます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
6 名
月間件数
200 件
1件あたり現在時間
21 分
1件あたり導入後時間
6 分
現在  200件 × 21分 ÷ 60 = 70 時間/月
導入後 200件 × 6分 ÷ 60 = 20 時間/月
月間削減時間
50h
削減率
71%
年間削減時間
600h
年間金額換算(時間単価3,000円)
180万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 福祉の総合相談の窓口や重層的支援体制整備事業の相談の窓口を置き、一つの相談で生活費・住まい・介護・子育て・障害・税の減免など複数の課の制度をまたいで探す必要がある市町村。各課の制度の要綱と案内資料が文書としてそろっていて、毎年度の改正のたびに相談員が案内の一覧を作り直している場合。経験の長い相談員の記憶に頼って、制度の案内に漏れや差が出ている場合。
向いていない
  1. 制度の要綱や案内資料が各課の手元にしか無く、文書として集められない場合(まず各課から集め、年度の版をそろえるのが先です)。相談の件数が少なく、相談員が全課の制度を把握できている場合。制度を使えるかどうかの決定や、申請の受理の判断までAIに任せたい場合(この構成は候補と要件の該当箇所を示すだけで、使えるかどうかは担当課が申請を受けて決めます)。

07最小構成で試す方法

  1. 過去3か月の相談から30件を選び、世帯・年齢・収入・住まい・困りごとを区分に直す(氏名と経緯は外す)
  2. その30件で、当時案内した制度と、後で分かった案内漏れの制度を書き出す
  3. 福祉部の主な制度の今年度の要綱と案内資料を、手元のAIサービスに資料として読み込ませる
  4. 区分を貼り、「添付の資料だけを根拠に、当たりうる制度と、確かめていない要件を挙げてください。使えますとは書かず、所得の要件は判断しないでください」と指示する
  5. 出てきた候補を、当時の案内と突き合わせる
出てきた内容判断
当時の案内に加え、漏れていた制度も出たデータストアの構築に進む
「対象です」と書いた指示の書き方で直る。構成は有効
前年度の金額で答えた要綱の版をそろえるのが先。 検索の問題ではない

3行目が出たら、 各課から今年度の版を集め直し、前年度の版を外してから同じ30件で試し直してください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
「対象です」と書く書き方を禁じ、「当たりうる」で止める
所得の区分から要件を満たすと判断する所得の要件は必ず「確かめていない」に置く
前年度の金額で案内する版に期間を付け、根拠の版の期間を検査する
年齢と世帯の絞り込みで制度が消えるメタデータは制度を持つ課が付け、all を使い分ける
緊急の相談で候補を並べてしまう検索の前に相談員が答える緊急の確認を置く
自由記入に個人の情報が入る画面で注意し、中継プログラムで消す
内部の運用メモが他の課に見える閲覧の範囲を付けるか、別のデータストアに分ける
要件の断片がどの制度のものか分からない作成時に includeAncestorHeadings を有効にする。後から変えられない

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、要綱としては正しい記載を引いているのに、この世帯について市が約束したように聞こえるという失敗です。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 各課の制度の要綱、住民向けの案内資料、各課の内部の運用メモ、法令の条文、相談員が選んだ状況の区分です。相談者の氏名・住所・生年月日・相談の経緯は扱いません。

  1. 個人を特定する情報を検索に入れない … 状況は区分の選択肢で入れ、自由記入は固有名詞と数字を消してから足します。相談の記録の仕組みとはつなぎません
  2. 使えるかどうかをAIに言わせない … 決めるのは担当課です。画面の候補は「当たりうる制度」とし、相談員は担当課が決めることを添えて伝えます
  3. 緊急の相談を検索に乗せない … 食べるものが無い、身の危険、虐待の疑いは、相談員が画面の確認で答え、庁内の手順に移ります
  4. 住民に直接使わせない … 画面は相談員だけが使います。子どものいる世帯の相談も、相談員の検索として扱い、住民や子どもが操作する形にはしません
  5. 内部の運用メモを出し分ける … 要件の読み方の目安は、その課と総合相談だけが見られるようにします
  6. 委託先にも同じ線を引く … 社会福祉法第106条の4は、重層的支援体制整備事業の事務の委託を受けた者に、知り得た秘密を漏らしてはならないとしています。相談の事業を委託している場合は、委託先の相談員の利用にも同じ扱いを求めます

誤りが起きた場合のリスクは、使えると受け取らせて担当課で断られることと、古い版で案内することの2つです。 前者は書き方の禁止と要件の振り分けで、後者は版の期間の絞り込みと検査で防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:制度の一覧と版を集める

福祉部の各課から、今年度の要綱と案内資料を集め、制度ごとに番号を振ります。分野・年齢の区分・世帯の類型・適用の期間のメタデータの付け方を決め、各課に付けてもらいます。

2週目:30件で試す

過去3か月の相談から30件を区分に直し、手元のAIサービスに主な制度の要綱を読み込ませて聞きます。「対象です」と書いていないか、所得の要件を判断していないかを最優先で見ます。

3週目:緊急の確認と画面の選択肢を決める

緊急の確認の3問と、その後の庁内の手順を、福祉部の管理職と決めます。 状況の選択肢の区分も、相談員と一緒に決めます。

4週目:データストアを作る

閲覧の範囲と分割・見出しの設定を決めて、要綱・資料・運用メモ・条文を取り込みます。相談員が検索画面で使い、当時の案内と比べます。

2か月目: 中継プログラムと選択肢の画面を作り、相談員の2名で試します。出なかった制度を毎週集めます。3か月目以降: 全員に広げ、1件21分が何分になったかを実測します。4月の改正のあと、各課が自分で版とメタデータを入れ替えられた時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
Vertex AI Search が Agent Search へ改称中であること。answer メソッドが前のセッションの ID でやり取りを続けられ、質問の言い換えが既定で有効なこと。includeCitations、ignoreLowRelevantContent、preamble、filter。groundingSpec の filteringLevel で根拠のスコアの低い回答を落とせること、文ごとに根拠のスコアが付くことGoogle Cloud: Get answers and follow-ups2026-10-08
絞り込みの ANY()、比較の演算子、AND/OR、項目を索引可能にする必要があること、日付を ISO 8601 で書けることGoogle Cloud: Filter search for structured or unstructured data2026-10-08
分割の大きさが100〜500トークン(既定500)、includeAncestorHeadings が既定で無効、分割は作成後に切り替えられないこと。レイアウトパーサーが表と見出しを検出することGoogle Cloud: Parse and chunk documents2026-10-08
データソースのアクセス制御がプレビューの機能であること。データストアの作成時にしか設定できないこと。acl_info の readers に principals(グループまたはユーザー)を書くこと。Microsoft Entra ID などを Workforce Identity Federation でつなげることGoogle Cloud: Set up data source access control2026-10-08
社会福祉法第106条の3(包括的な支援体制の整備)、第106条の4(重層的支援体制整備事業。介護・障害・子育て・生活困窮の相談の事業を一体的に行うこと、委託を受けた者の秘密を漏らしてはならない義務)、第106条の5(実施計画)。2026年6月25日施行の改正を反映した版e-Gov 法令検索 法令API: 社会福祉法2026-10-08
生活困窮者自立支援法第3条(生活困窮者の定義、自立相談支援事業が相談に応じ情報の提供と助言、関係機関との連絡調整を行う事業であること)、第5条(都道府県等が自立相談支援事業を行うこと、委託)e-Gov 法令検索 法令API: 生活困窮者自立支援法2026-10-08

制度を使えるかどうかは、各課の要綱と、申請を受けた担当課の審査に従ってください。 本記事は Google Cloud と e-Gov 法令検索で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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