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会社説明会の参加者を一人ずつ状態で追い、アンケートの回収から選考の案内、日程の確保までを回して、人が見るべき人だけを採用担当に上げる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

会社説明会の参加者一人ひとりについて、アンケートの回答、応募、面談予約の有無からいまどの状態にいるかを毎日読み直し、次に送る案内を決めて送ります。質問や事情のある人だけを採用担当に上げます。

サマリー
生成AI
Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
IT・SaaS/人材/介護/小売/物流
対象部門
人事/採用
対象業務
分類・仕分け/問い合わせ対応
主な課題
人手が足りない/属人化している/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
エージェント
主な効果
対応スピード向上/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★★★☆
実装レベル
本格構成
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
40h/月
AI導入後
10h/月
想定削減
75%
年間削減
360h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 説明会が終わったら、担当者が出欠を参加者一覧に書き込む
  2. 出席者にはアンケートの依頼メールを、欠席者には録画の案内を送る
  3. 数日後、アンケートの回答を参加者一覧と照らし合わせ、未回答者に催促を送る
  4. 採用管理システムを開き、応募した人を参加者一覧に書き写す
  5. 応募した人には面談の予約ページの案内を、応募していない人には選考の案内を送る
  6. 1週間ほどたっても動きのない人に、再案内を送るかどうかを担当者が決めて送る
  7. アンケートの自由記述や返信メールに質問や事情が書かれていれば、担当者が個別に返事をする
導入後(After)
  1. 人説明会が終わったら、出欠を参加者一覧に書き込む(オンラインは参加記録の取り込みでもよい)
  2. 自動毎朝9時にワークフローが動き、参加者一覧・アンケートの回答・応募の状況・面談の予約を読み集める
  3. 自動前日から状態が変わった人と、次の連絡の予定日が来た人だけを抜き出す
  4. 自動規則の側で、配信停止の申し出、再案内の回数の上限、送信してよい時間帯を先に確かめる
  5. 自動エージェントが一人ずつ状態を読み、決められた次の一手の中から1つを選ぶ
  6. 自動選んだ一手が定型の案内なら、型に名前と回の情報を差し込んで送る
  7. 自動質問・事情・苦情を含む返信や自由記述があれば、送信せずに採用担当へ上げる
  8. 自動実行した一手と理由を参加者一覧の履歴に書き込み、次の連絡の予定日を入れる
  9. 人採用担当が、上がってきた人だけを開いて返事をする
  10. 人週に1回、エージェントの判断の一覧を流し見て、型と規則を直す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 説明会が終わったら、担当者が出欠を参加者一覧に書き込む
  2. 出席者にはアンケートの依頼メールを、欠席者には録画の案内を送る
  3. 数日後、アンケートの回答を参加者一覧と照らし合わせ、未回答者に催促を送る
  4. 採用管理システムを開き、応募した人を参加者一覧に書き写す
  5. 応募した人には面談の予約ページの案内を、応募していない人には選考の案内を送る
  6. 1週間ほどたっても動きのない人に、再案内を送るかどうかを担当者が決めて送る
  7. アンケートの自由記述や返信メールに質問や事情が書かれていれば、担当者が個別に返事をする

(a)送る時期が担当者の忙しさで決まる。 2番と5番は、説明会の翌日に送るのが理想です。ところが次の回の準備と重なると、2〜3日遅れることが珍しくありません。 説明会で関心が高まった直後を逃すと、同じ案内でも反応が落ちます。他社の説明会にも出ている人は、その間に別の会社の選考へ進みます。

(b)再案内が抜ける。 6番は、決まった担当がいません。誰がいつ再案内を送ったかが一覧に残らず、送ったつもりで送っていない人と、二度送ってしまう人が同時に出ます。 前者は機会を失い、後者は印象を損ねます。

(c)状態が3か所に分かれている。 4番の書き写しは、応募が入るたびに必要です。書き写す前に5番を行うと、すでに応募した人に「ぜひご応募ください」と送ることになります。 参加者から見れば、自分のことを把握していない会社に見えます。

(d)大事な返信が定型の連絡に埋もれる。 7番の質問や事情は、300名のうち一部です。しかし「家族の介護があり、勤務地について相談したい」「面談の候補日がすべて合わない」といった連絡ほど、早く人が返事をすべきものです。 定型の送信に追われていると、これに気づくのが遅れます。

  1. 【人】 説明会が終わったら、出欠を参加者一覧に書き込む(オンラインは参加記録の取り込みでもよい)
  2. 【自動】 毎朝9時にワークフローが動き、参加者一覧・アンケートの回答・応募の状況・面談の予約を読み集める
  3. 【自動】 前日から状態が変わった人と、次の連絡の予定日が来た人だけを抜き出す
  4. 【自動】 規則の側で、配信停止の申し出、再案内の回数の上限、送信してよい時間帯を先に確かめる
  5. 【自動】 エージェントが一人ずつ状態を読み、決められた次の一手の中から1つを選ぶ
  6. 【自動】 選んだ一手が定型の案内なら、型に名前と回の情報を差し込んで送る
  7. 【自動】 質問・事情・苦情を含む返信や自由記述があれば、送信せずに採用担当へ上げる
  8. 【自動】 実行した一手と理由を参加者一覧の履歴に書き込み、次の連絡の予定日を入れる
  9. 【人】 採用担当が、上がってきた人だけを開いて返事をする
  10. 【人】 週に1回、エージェントの判断の一覧を流し見て、型と規則を直す

7番目が、この設計の分かれ目です。 エージェントは定型の連絡を回し続けますが、人の言葉で書かれた連絡には定型で答えません。 質問や相談が含まれていると判断したら、その人への自動送信を止め、採用担当の確認待ちにします。

4番目を規則の側に置いているのも意図してのことです。 配信停止と回数の上限は、エージェントが「送るべきだ」と判断しても越えてはいけない線です。AIの判断の前で機械的に止めます。

02今回想定するシステム構成

構成図
申込フォーム ── 参加者一覧(Google スプレッドシート)
アンケート(Google フォーム) ── 回答シート
採用管理システム ── 応募者の一覧(CSVの書き出し)
Google カレンダー ── 予約スケジュールで入った面談の予定
   │
   ▼【トリガー】毎朝9時の定時実行
Make(取りまとめのシナリオ)
   ├──▶ 状態が変わった人・予定日が来た人を抜き出す
   ├──▶ 配信停止・回数の上限・送信時間帯を規則で確かめる
   ▼
Make AI Agents(Run an agent)── 生成AI:Claude
   │   一人ずつ状態を読み、次の一手を1つ選ぶ
   │   使える道具(シナリオ)
   │     ・定型の案内を送る(Gmail)
   │     ・予約状況を調べる(Google カレンダー)
   │     ・参加者一覧の履歴を書く
   │     ・採用担当へ上げる(Slack)
   ▼
参加者一覧の履歴・次の連絡の予定日
   ▼
【人が上がってきた人だけ確認】
役割想定する製品代替候補
ワークフローMake(シナリオと Make AI Agents)n8n、Zapier、Power Automate
生成AIClaude(Make AI Agents の接続先として選ぶ)OpenAI、Gemini
参加者一覧Google スプレッドシートMicrosoft 365 の表計算
アンケートGoogle フォームMicrosoft Forms
面談の予約Google カレンダーの予約スケジュール日程調整の専用サービス
通知SlackGoogle Chat、Microsoft Teams

採用管理システムと参加者一覧は、新しく足すものではありません。 採用管理システムからは応募者の一覧を読むだけで、この構成からは書き込みません。参加者一覧のスプレッドシートに、状態、再案内の回数、配信停止、次の連絡の予定日、履歴の列を足すのが最初の準備作業です。

中心になるのは、Make の AI エージェントです。 Make AI Agents(New)のアプリをシナリオに置き、Run an agent モジュールで動かします。エージェントには、仕事の内容とやり方を伝える指示(instructions)と、使う生成AIの提供元とモデルを設定します。提供元には Make's AI Provider のほか OpenAI、Anthropic Claude、Gemini を選べ、無料プランでは Make's AI Provider に限られ、有料プランでほかの提供元を接続できるとされています。

エージェントが使える道具は、モジュール、シナリオ、MCPサーバー、ほかのエージェントです。 本記事では、送信や書き込みのように手順の決まった処理をシナリオとして用意し、道具として渡します。 シナリオを道具にするには、シナリオが有効で、スケジュールが On demand に設定されているか、Custom webhook で起動される必要があります。道具ごとに名前と説明を書き、入力と出力を名前・説明・型で定義します。

注意点が1つあります。 新しい Make AI Agents のアプリは、2026年4月の更新時点でオープンベータとされています。本番の採用連絡に使う前に、自社の契約のプランで同じ動きになるかを小さく確かめてください。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

毎朝9時の定時実行を起点にします。 説明会の直後にだけ動かす形にはしません。参加後の連絡は、翌日、3日後、1週間後と時間差で必要になるためです。毎朝、全員の状態を読み直す形にすると、どの時点の連絡も同じ仕組みで回ります。

ただし、エージェントに渡すのは全員ではありません。取りまとめのシナリオが先に、次の2つに当てはまる人だけを抜き出します。

  • 前日から状態が変わった人 … アンケートに答えた、応募した、面談を予約した、返信してきた
  • 次の連絡の予定日が今日の人 … 前回の一手で予定日を入れておいた人

この絞り込みを、エージェントの外で機械的に行います。 300名全員を毎朝エージェントに渡すと、何もすべきでない人についても判断が走り、利用料と誤った送信の機会が両方増えます。

送信してよい時間帯も決めておきます。 平日の9時から19時の間だけ送り、土日と夜間に予定日が来た人は次の送信可能時刻に回します。応募者にとって、夜遅くに届く採用の連絡は印象を下げます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
参加者一覧参加者ID、氏名、メールアドレス、申込んだ回、出欠、新卒・中途の区分Google スプレッドシート
状態の列現在の状態、再案内の回数、配信停止、次の連絡の予定日、直近の一手同じシートに足した列
アンケートの回答回答日時、選択式の設問、自由記述Google フォームの回答シート
応募の状況応募日、応募した職種採用管理システムのCSV
面談の予約予約日時、予約の取り消しGoogle カレンダーの予定
参加者からの返信案内メールへの返信の本文Gmail
案内の型の一覧型のID、用途、件名、本文、差し込む項目採用担当が用意するシート

質を決めるのは、いちばん下の型の一覧です。 エージェントは型のIDを選ぶだけなので、用意されていない場面には何も送れません。 型が足りない場面では人に上げるしかなく、上がる人が増えます。最初に、どの状態にどの型を送るかを採用担当が書き出します。

応募の状況は、参加者一覧とメールアドレスで突き合わせます。 説明会の申込と応募で別のアドレスを使う人がいるので、一致しなかった人は「応募なし」と決めつけず、「照合できない」として扱います(例外処理で後述)。

Step3

データの取得方法を決める

取りまとめのシナリオが、4つの場所から順に読み集めます。

取るものどこからどう取るか
参加者と状態参加者一覧のシートGoogle スプレッドシートのモジュールで行を読む
アンケートの回答回答シート前回の実行以降に増えた行を読む
応募の状況採用管理システムのCSV毎朝の書き出しを共有フォルダに置き、それを読む
面談の予約Google カレンダー予約スケジュールの予定を検索する
返信Gmail案内メールのスレッドへの新しい返信を探す

面談の予約は、Google カレンダーの予約スケジュールで受けます。 予約の長さと空き時間を決めて予約ページを作り、参加者がそこから予約します。予約フォームでは氏名とメールアドレスが必須で、項目を足すこともできます。 予約されると確認メールが自動で送られ、リマインダーは最大5件まで送れるとされています。この構成では、面談の前日の連絡を予約スケジュールのリマインダーに任せ、エージェントからは送りません。 同じ連絡が二重に届くのを防ぐためです。

採用管理システムとは、CSVでつなぎます。 製品によってはAPIで応募の状況を取れるものもありますが、ここではどの製品でも取れる書き出しのファイルを前提にします。 APIが使える環境なら、取りまとめのシナリオの読み込み部分だけを差し替えます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 状態の更新 … 読み集めた事実から、参加者一覧の状態の列を機械的に更新します(後述の状態の一覧)
  2. 抽出 … 状態が変わった人と、予定日が今日の人だけを抜き出します
  3. 規則による除外 … 配信停止の人、再案内が上限の2回に達した人、選考中で採用管理システム側の連絡に移った人を外します
  4. 返信の切り出し … 返信メールから引用部分と署名を落とし、参加者が書いた本文だけにします
  5. 自由記述の長さの確認 … アンケートの自由記述と返信の本文を、決めた文字数で切り詰めます
  6. 渡さない情報の除去 … 電話番号、住所、生年月日の列は渡しません

1番目を、エージェントにやらせない点が大事です。 「応募したか」「予約したか」は事実で、表を照らせば決まります。事実の判定をAIに任せると、照合の誤りがそのまま案内の誤りになります。 エージェントに渡すのは、機械で決めた状態と、人の言葉で書かれた部分だけです。

状態は次の8つに決めます。

状態決まり方
attended_no_survey出席し、アンケートが未回答
attended_surveyed出席し、回答済み、未応募
absent欠席
applied_no_booking応募済み、面談が未予約
booked面談を予約済み
replied前回の連絡の後に返信がある
unmatched応募の照合ができない
closed配信停止、辞退、選考に移った
Step5

AIに処理させる

させるのは、一人ずつ状態と本人の言葉を読み、次の一手を1つ選ぶことです。 選べる一手は次の6つに限ります。

次の一手中身道具
send_template型の一覧から1つを選んで送る定型の案内を送る
check_booking予約状況を調べ直してから判断する予約状況を調べる
wait今日は何もせず、予定日を先に延ばす参加者一覧の履歴を書く
escalate採用担当へ上げ、自動送信を止める採用担当へ上げる
close追いかけを終える参加者一覧の履歴を書く
no_action何もしないなし

エージェントらしさが出るのは、replied と自由記述のある人です。 返信の本文が「日程を変えたい」なら予約ページの再案内の型、「もう他社に決めました」なら追いかけを終える close、「勤務地について相談したい」なら escalate。本人の言葉を読み、どの一手に当たるかを決めるのがAIの仕事です。 状態だけで決まる人は、規則の表どおりに一手が決まります。

させないこと理由
案内の文面を書く選考の条件や待遇について誤ったことを書く余地を残さない
質問に答える答えは採用担当が書く。定型で答えてよい質問は型にしておく
合否や優先度を決める採用上の判断。この構成の外に置く
配信停止や回数の上限を越える規則の側で止める。AIの判断より前に置く
参加者一覧の事実の列を書き換える出欠・応募・予約の列は読み取り専用
自由記述から属性を推し量る年齢・家族構成・出身などを推測して記録しない

最後の行は、法令にかかわる線です。 職業安定法に基づく指針では、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項や、思想及び信条、労働組合への加入状況は、特別な必要がある場合を除いて収集してはならないとされています。自由記述に書かれていたとしても、エージェントがそれを要約して履歴に残せば、収集したのと同じことになります。

Step6

指示内容を固定する

エージェントの指示(instructions)に入れる文面の例です。

あなたは採用部で、会社説明会の参加者への連絡の順番を決める担当です。
参加者一人ずつについて、次の一手を1つだけ選んでください。
文面を書くことはあなたの仕事ではありません。

【選べる一手】
- send_template ... 型の一覧から1つを選んで送る
- check_booking ... 面談の予約状況を調べ直す
- wait ........... 今日は送らず、予定日を延ばす
- escalate ....... 採用担当へ上げ、この人への自動送信を止める
- close .......... 追いかけを終える
- no_action ...... 何もしない

【必ず escalate にする場合】
- 本人の言葉に、質問・相談・苦情・事情の説明が含まれる
- 選考の条件、待遇、勤務地、配属についての問い合わせ
- 体調、家族、障害、通院など、配慮を求める内容
- 型の一覧に、この場面に合う型が無い
- 自分の判断に自信がない
迷ったときに send_template を選ばないでください。

【厳守事項】
- 型の一覧に無い型IDを作らないでください。
- 型の本文を変えたり、言葉を足したりしないでください。
- 選考の合否、優先して追うべき人かどうかを書かないでください。
- 本人の言葉から年齢、家族構成、出身地、国籍、思想信条などを
  推し量らないでください。reason にも書かないでください。
- 「辞退します」「連絡は不要です」と読める言葉があれば close を選び、
  理由に本人の言葉をそのまま短く写してください。
- 状態の列は事実です。あなたの判断で書き換えないでください。
- reason には、選んだ根拠を1文で書いてください。
  本人の言葉を写すときは、判断に使った部分だけにしてください。

【この参加者の状態】{state}
【前回の一手と日付】{last_action}
【再案内の回数】{remind_count}/上限2回
【本人の言葉(返信・自由記述)】{user_text}
【型の一覧】{templates}

「迷ったときに send_template を選ばない」を明記しないと、送る側に寄ります。 型の一覧が与えられていると、近い型を見つけて選ぶほうが仕事をしているように見えるためです。送らない誤りは採用担当が拾えますが、送った誤りは取り消せません。

「reason に書かない」を属性の禁止と並べて書いているのも同じ理由です。 判断に使わなくても、理由の欄に「家族の介護のため」と要約されれば、それが履歴に残ります。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。 Make AI Agents では、応答をプレーンテキストのほか、自分で定義したデータ構造で返させることができます。

{
  "attendee_id": "",
  "state": "replied",
  "action": "send_template | check_booking | wait | escalate | close | no_action",
  "template_id": "",
  "next_contact_date": "YYYY-MM-DD",
  "escalate_reason": "question | consideration | complaint | no_template | low_confidence | ",
  "reason": ""
}

1つ目の理由は、一手を後段で検める層を置けることです。 action が send_template でも、取りまとめのシナリオがもう一度、配信停止と回数の上限、型IDが一覧にあるかを確かめてから送ります。エージェントの判断と、送ってよいかの判定を別の層に置きます。

2つ目は、escalate_reason で上がった理由の内訳が数えられることです。 no_template が多ければ型が足りていません。question が多い回は、説明会の中で説明しきれていない話題があります。採用担当が直す先が、理由の内訳で分かります。

escalate_reason直す先
question説明会の中身。よく出る質問は型の一覧に答えの型を足す
consideration人が返事をする。型にしない
complaint人が返事をする。連絡の頻度や時刻を見直す
no_template型の一覧に足す
low_confidence指示の書き方か、状態の決め方

3つ目は、next_contact_date で次の起動が決まることです。 エージェントが「3日後にもう一度見る」と決めたら、その日付が参加者一覧に入り、トリガーの抽出条件に当たります。予定日の無い人は、次に状態が変わるまで読み直されません。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
参加者一覧Google スプレッドシートのモジュール読み込みと、状態・履歴の列への書き込み
アンケート回答シートの読み込み前回以降の回答を取る
採用管理システムCSVの読み込み応募の状況を取る。書き込まない
Google カレンダー予定の検索予約スケジュールで入った面談を確かめる
Gmail道具のシナリオ型に差し込んで送る。返信を読む
Slack道具のシナリオ採用担当のチャンネルへ上げる

道具にするシナリオは4本です。

道具の名前入力出力
send_template_mail参加者ID、型ID送信結果
check_booking_status参加者のメールアドレス予約の有無と日時
write_history参加者ID、一手、理由、次の予定日書き込み結果
escalate_to_recruiter参加者ID、理由の区分、理由通知結果

send_template_mail の入力に、本文を持たせません。 受け取るのは型IDだけで、本文は道具のシナリオが型の一覧から引いて差し込みます。エージェントがどう判断しても、型にない文面は送れない作りにします。 道具の説明欄には「型IDを1つ受け取り、その型を送る」と書き、入力の説明に型IDの一覧の場所を書きます。

採用管理システムへは書き込みません。 応募から先は採用管理システムの側の連絡に移り、この構成は応募と面談の予約までを運ぶ役です。

Step9

人が確認する

人が開くのは、escalate で上がってきた人だけです。 Slack の採用担当のチャンネルに、参加者ID、回、理由の区分、本人の言葉の該当部分が届きます。

  1. consideration と complaint を先に見る … 配慮を求める連絡と苦情は、その日のうちに人が返事をします
  2. question に返事をする … 答えを書いて送り、同じ質問が多ければ型の一覧に答えの型を足します
  3. no_template と low_confidence を見る … どの一手が正しかったかを決め、手で送るか、型を足します
  4. 返事が済んだら状態を戻す … 参加者一覧で、その人の自動送信を再開するかを決めます

週に1回は、エージェントが選んだ一手の一覧を流し見ます。 送った人の中に、本当は上げるべきだった人がいないかを見ます。最初の1か月は、送信を止めて一覧だけを出す運用にしてください。 エージェントの選び方が採用担当の感覚と合うかを確かめてから送信を有効にします。

目標は、300名をならして1人2分です。 上がってくるのは1〜2割という想定で、それより多い月は、型が足りないか、説明会で説明しきれていない話題があります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
応募の照合ができない(申込と応募でアドレスが違う)unmatched にして再案内を止める。週に1回、氏名で人が突き合わせる
配信停止の申し出が返信の本文にあるエージェントは close を選ぶ。規則の側でも配信停止の列を立てる
送信が失敗した(アドレスの誤りなど)履歴に失敗を書き、次の日に再送しない。人に上げる
型の一覧に無い型IDが返ってきた送らずに low_confidence として人に上げる
エージェントが応答しない、形が崩れたJSONが返るその人は今日は何もしない。予定日を変えずに翌日もう一度読む
面談の予約が取り消されたapplied_no_booking に戻し、予約ページの再案内の型を候補にする
同じ人が複数の回に申し込んでいる参加者IDをメールアドレスでまとめ、連絡を1本にする
説明会そのものが中止になったその回の参加者の自動送信を止め、中止の連絡は人が送る

上の2行が大半を占めます。 照合できない人に「ぜひご応募ください」と送ると、すでに応募した人を軽んじることになります。分からないときに送らない、を例外処理の基本にします。

Step11

記録を残す

  • 実行ごとの抽出結果(誰を、なぜエージェントに渡したか)
  • エージェントへの入力と、返ってきたJSONの全文
  • 規則の側で止めた記録(配信停止、回数の上限、時間帯)
  • 送った型IDと送信日時、送信結果
  • 人に上げた記録と、採用担当が行った対応
  • 型の一覧の版(どの文面の型を送ったか)

最後の行は、文面を後から直すためです。 型の本文を書き換えると、過去に何を送ったかが分からなくなります。型を直すときは新しい型IDにし、古い型は残します。

Make AI Agents には、エージェントの段階ごとの考え方を確かめられる Reasoning のパネルがあるとされています。試行の期間は、上がってきた人と、送った人の両方について、このパネルで判断の筋を見ます。 保存の期間は、職業安定法に基づく指針が、収集目的に照らして保管する必要がなくなった個人情報を破棄又は削除することを求めている点を踏まえ、採用の年度が終わったら消す運用を決めておきます。

04実装レベルの3段階

最小構成:参加者の状態を手でまとめ、AIの画面で次の一手を選ばせる / 次の一手の判断の下書き
半自動化:上記+Make で毎朝状態を読み集め、エージェントの選んだ一手を一覧に書き出す。送信は人 / 状態の照合と一手の判断
本格構成:上記+道具のシナリオで定型の案内を送り、履歴と次の予定日を書き、例外を Slack へ上げる / 定型の連絡の全体と、人に上げる人の選別

半自動化で、1人8分が4分程度になります。 3か所の照らし合わせと一手の判断は自動になりますが、送信と履歴の書き込みが手作業で残ります。本格構成で2分になり、この段階が本記事の想定です。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
5 名
月間件数
300 件
1件あたり現在時間
8 分
1件あたり導入後時間
2 分
現在  300件 × 8分 ÷ 60 = 40 時間/月
導入後 300件 × 2分 ÷ 60 = 10 時間/月
月間削減時間
30h
削減率
75%
年間削減時間
360h
年間金額換算(時間単価3,000円)
108万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 会社説明会やオンライン説明会を毎月複数回開き、参加者が月に数百名いる採用部門。参加後のアンケート、選考の案内、未応募者への再案内を担当者が手作業で送っていて、送る時期が担当者の忙しさで決まっている場合。参加者の一覧と応募の状況が別々の場所にあり、照らし合わせに時間がかかっている場合。案内の文面を定型の型にそろえる合意が取れる場合。
向いていない
  1. 説明会が年に数回で、参加者が月に数十名に満たない場合(手作業で足ります)。参加者ごとに文面を一から書き分けることを採用の方針にしている場合。応募の状況を参加者の一覧と突き合わせる手段がなく、誰が応募したかを機械で判定できない場合。なお、選考の合否や、誰を優先して追うかという採用上の判断は、この構成では代替しません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の説明会1回分の参加者一覧を用意する(氏名とメールアドレスは仮のIDに置き換える)
  2. 一人ずつ、出欠・アンケート・応募・予約の有無と、返信や自由記述の本文を1行にまとめる
  3. 採用担当が、送っている案内の型を5〜8種類に書き出す
  4. 手元のAIサービスに、第7章の指示の例と型の一覧を貼り、1行ずつ次の一手を選ばせる
  5. 選ばれた一手を、当時の担当者が実際にした対応と突き合わせる

ここで見るのは、送るべき人を当てられたかではありません。 上げるべき人を上げたかを見ます。質問や事情のある人を send_template にしてしまったものが1件でもあれば、指示の書き方か、型の分け方を直します。

出てきた内容判断
当時の担当者とほぼ同じ一手を選んだワークフローとの連携に進む
質問のある人に定型の型を選んだ指示の「必ず escalate にする場合」を書き足す
no_template が多い型の一覧が先。 AIの問題ではない

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
応募した人に「ご応募ください」が届く応募の照合を前処理で行い、照合できない人は送らない
質問のある人に定型の案内が届く指示に「必ず escalate にする場合」を列挙し、迷ったら送らないと書く
エージェントが型にない文面を送ろうとする送信の道具の入力を型IDだけにする。本文を受け取れない作りにする
再案内が何度も届く回数の上限を規則の側に置き、エージェントの前で止める
面談前日の連絡が二重に届く予約スケジュールのリマインダーに任せ、エージェントからは送らない
夜中に採用の連絡が届く送信可能な時間帯を規則で決める
300名を毎朝全員エージェントに渡す状態の変化と予定日で先に絞る
自由記述の属性が履歴に残るreason に属性を書かないと指示し、保存の前に確かめる
道具のシナリオが呼べない有効で、スケジュールが On demand か Custom webhook かを確かめる
型を書き換えて過去の送信が分からない型は新しいIDで足し、古い型を残す
説明会の中止を自動で知らせてしまう中止の連絡は人が送る。その回の自動送信を止める
採用担当が上がってきた人を見ないSlack の通知に理由の区分を付け、配慮と苦情を先頭に出す

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも「送ってはいけない人に送る」という同じ形をしています。送るか送らないかで迷う場面を、すべて送らない側に倒しておくことで運用に乗ります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 参加者の氏名、メールアドレス、申し込んだ回、出欠、応募の有無、そしてアンケートの自由記述と返信メールの本文です。

  1. 外部へ渡す範囲を、一手の判断に必要な項目までに限る … 電話番号、住所、生年月日は渡しません。氏名も参加者IDに置き換えて渡し、送信の道具の中で初めて氏名を差し込みます
  2. 収集してはならない事項を記録しない … 職業安定法に基づく指針は、社会的差別の原因となるおそれのある事項、思想及び信条、労働組合への加入状況の収集を、特別な必要がある場合を除いて禁じています。アンケートの設問にも入れず、自由記述に書かれていても履歴に要約しない設計にします
  3. 目的を明らかにする … 同じ指針は、業務の目的を求職者等が一般的かつ合理的に想定できる程度に具体的に明示することを求めています。申込フォームに、参加後の案内と選考の連絡に使うことを書いておきます
  4. 自動で送る範囲を定型の案内に限る … 質問への回答、配慮を求める連絡への返事、苦情への対応は、人が書いて人が送ります
  5. 配信停止を最優先にする … 「連絡は不要です」と読める言葉があれば止めます。エージェントが見落としても止まるよう、返信のキーワードでも規則の側で止めます
  6. 保存の期間を決める … 収集目的に照らして保管する必要がなくなった個人情報は破棄又は削除するとされています。採用の年度の区切りで、履歴とエージェントの入出力の記録を消します
  7. ベータの機能を本番に入れる判断を記録する … オープンベータの機能を候補者への連絡に使うかどうかは、採用部と情報システムで決めて残します

誤りが起きた場合のリスクは、送るべきでない人に送ることと、上げるべき人を上げないことの2つです。 前者は照合と規則の層で、後者は「迷ったら escalate」の指示と週1回の一覧の確認で防ぎます。どちらも、エージェントの判断の外側にもう1枚の層を置くことで守ります。

10まず何から始めるか

1週目:状態と型を書き出す

参加者一覧に、状態、再案内の回数、配信停止、次の連絡の予定日、履歴の列を足します。採用担当が、いま送っている案内を型に書き出し、どの状態にどの型を送るかを表にします。型が10種類を超えるようなら、まず多いものから5〜8種類に絞ります。

2週目:先月の1回分で試す

先月の説明会1回分の参加者を仮のIDにして、手元のAIサービスで次の一手を選ばせます。上げるべき人を上げたかを最優先で見ます。

3週目:照合を組む

Make で、参加者一覧・アンケート・応募のCSV・カレンダーを毎朝読み集め、状態の列を更新するところまで作ります。この時点ではエージェントを入れません。 状態が正しく決まるかだけを見ます。

4週目:エージェントを入れて一覧だけ出す

Run an agent を置き、選んだ一手を一覧に書き出します。送信の道具はまだ渡しません。 1週間分の一覧を採用担当が見て、自分なら選んだ一手と比べます。

2か月目: 送信の道具と規則の層を足し、定型の案内の送信を有効にします。escalate_reason の内訳を毎週数えます。3か月目以降: 型を足し、1人8分が何分になったかを実測します。上がってくる人の割合が1〜2割に落ち着いた時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-01/最終更新:2026-10-02
確認した内容情報源確認日
Make の AI エージェントを Make AI Agent(New)のアプリの Run an agent モジュールで作ること。指示(instructions)と提供元・モデルを設定し、提供元に Make's AI Provider、OpenAI、Anthropic Claude、Gemini があること。無料プランは Make's AI Provider に限られること。道具にモジュール、シナリオ、MCPサーバー、ほかのエージェントを使えること。知識としてファイルを使えること。応答をプレーンテキストか、定義したデータ構造で返せることMake Help Center: Create your first AI agent2026-10-01
シナリオを道具にするには、有効で On demand のスケジュールか、Custom webhook で起動されること。名前と説明、入力と出力の名前・説明・型を定義することMake Help Center: Scenarios for AI agents2026-10-01
新しい Make AI Agents のアプリがオープンベータであること。Reasoning のパネルで段階ごとの考え方を確かめられること。2026年4月16日の更新であることMake Help Center: Meet the new Make AI Agents app2026-10-01
Google カレンダーの予約スケジュールで予約の長さと空き時間を決めて予約ページを作れること。予約フォームで氏名とメールアドレスが必須で項目を足せること。確認メールが自動で送られ、リマインダーを最大5件送れることGoogle カレンダー ヘルプ: 予約スケジュールについて2026-10-01
労働者の募集を行う者が、社会的差別の原因となるおそれのある事項、思想及び信条、労働組合への加入状況を原則として収集してはならないこと。目的を具体的に明示すること。保管・使用は収集目的の範囲に限られること。保管する必要がなくなった個人情報を破棄又は削除すること厚生労働省: 職業紹介事業者、労働者の募集を行う者等がその責務等に関して適切に対処するための指針2026-10-01

応募者の個人情報の取り扱いは、自社の採用の方針と法務の確認に沿って決めてください。 本記事は上記の公開情報で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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