デジタイゼーションの次でAIは止まる?|DXの3段階で施策を分ける

デジタイゼーションの次でAIは止まる?|DXの3段階で施策を分ける

「生成AIを全社に入れたのだから、うちのDXは一段進んだはずだ」「AIの施策は20本を超えたのに、経営会議では『それで、事業の何が変わったのか』と聞かれる」。AI推進や経営企画の担当者が、同じ年度のうちに口にしがちな2つの言葉です。前者の手応えと後者の問いは、どちらも間違っていません。ずれているのは、施策の数とDXの深さを同じものとして数えている点です。生成AIを入れたこと自体は、DXの段を上げません。本当は、1本1本の施策が、データ化・工程・事業のどの深さを変えているかでDXの段は決まります。この記事では、経済産業省のDXレポート2が示す3つの段階を物差しにして、社内のAI施策の一覧を段に仕分け、偏りを読み、次に伸ばす施策と止める施策を選ぶまでを手順に沿って整理します。


カメ先生カメ先生

AIの施策が増えるとDXが進んだように見えるけれど、施策の多くは、紙や会話をデータにする一番手前の段にとどまっていることが多いんだ。段の深さで並べ直すと、それがはっきり見える。


カメ子カメ子

本数が多いことと、深いところまで変わったことは別の話、ということですか。


カメ先生カメ先生

そう。しかも生成AIは、会議や電話のような、今までデータにしにくかった情報を安くデータにできる。だから一番手前の段に施策が集まりやすいんだ。それ自体は悪くないけれど、そのデータが次の段の材料になっていなければ、そこで止まる。


カメ子カメ子

手前の段が増えるのは良いことで、問題はその先につながっているかどうか、なんですね。


この記事のポイント
  • DXレポート2はDXを、デジタイゼーション(データ化)・デジタライゼーション(個別の工程)・DX(組織横断と事業の変革)の3段階に分けている
  • AI施策を「扱うデータ」と「変わる範囲」で段に仮置きし、段ごとの本数と段の間のつながりで偏りを読む
  • 仮の仕分けと集計の下書きはAIに任せ、どの段の施策を伸ばすか・止めるかは人が決める

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目次

DXレポート2が示す3つの段階

経済産業省の「DXレポート2(中間取りまとめ)」は、2020年12月28日に公表された文書です。この中で、企業がDXの具体的な行動を組織の成熟度ごとに設計できるように、DXを3つの異なる段階に分けて示しました。3つの段階の定義は、次の表のとおりです。

段階DXレポート2の定義AI施策に当てはめたときの目安
デジタイゼーションアナログ・物理データのデジタルデータ化紙・音声・手書き・画像の情報を、検索や集計ができるデータにする
デジタライゼーション個別の業務・製造プロセスのデジタル化1つの業務の工程の中で、人の作業の順番や分担が変わる
デジタルトランスフォーメーション組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化、顧客起点の価値創出のための事業やビジネスモデルの変革部門をまたぐ流れや、顧客への提供物、稼ぎ方が変わる
  • 定義の文言は、経済産業省「DXレポート2(中間取りまとめ)」(令和2年12月28日)と、それをもとに作成された近畿経済産業局の資料「DXに関する経済産業省の施策紹介」(令和5年3月)の図に基づきます
  • 右端の列は、本稿がAI施策を仕分けるために置いた目安で、DXレポート2の記載ではありません

レポート本文は、デジタイゼーションを「アナログ・物理データの単純なデジタルデータ化」とし、典型例として紙文書の電子化を挙げています。この3段階は、言葉の意味を覚えるための区分ではなく、自社の取組がどの深さにあるかを見分けるための物差しとして示されたものです。本稿ではこの物差しを、すでに走っているAI施策の一覧に当てる使い方に絞ります。

段を分けるのは、扱うデータと変わる範囲

3段階をAI施策に当てるとき、迷いを減らすには、段を分ける問いを2つに絞ります。1つはその施策が扱うデータは何か、もう1つはその施策で何が変わったかです。施策の名前や使っている道具では段は決まりません。同じ文章生成の道具でも、議事録を文字にするだけなら手前の段、議事録から案件の記録が自動で更新され、営業の次の行動が変わるなら1つ上の段です。

1つ目の問いでは、施策の入口にある情報の形を見ます。紙、音声、手書き、画像、メールの本文のような、そのままでは集計も検索もしにくい情報をデータにしているなら、デジタイゼーションの性格を持っています。2つ目の問いでは、施策の出口で変わったものを見ます。変わったのが「データがある」という状態だけならデジタイゼーション、1つの業務の手順や分担ならデジタライゼーション、部門をまたぐ流れや顧客への提供のしかたならDXです。

2つの問いの答えが食い違うときは、2つ目を優先します。入口が紙でも、出口で部門をまたぐ流れが変わっていれば、施策の深さは上の段です。逆に、入口がすでにデータでも、出口で何も変わっていなければ、その施策はまだ手前にとどまっていると見ます。段は入口ではなく出口で決める、と覚えておくと仕分けがぶれません。

仕分けの全体の手順

ここからは、社内のAI施策を3段に仕分けて次の手を決めるまでを、7つの手順に分けて進めます。全体の流れを先に示します。

STEP1
社内のAI施策を一覧にする

部署ごとに散らばった施策を、1施策1行で集めます。

STEP2
施策ごとに扱うデータを書き出す

入口の情報の形と、出口で作られるデータを書きます。

STEP3
変わる範囲で段に仮置きする

出口で何が変わったかで、3段のどこかに仮に置きます。

STEP4
段ごとの本数と段の間のつながりを読む

どの段に何本あるか、下の段の施策が上の段の材料になっているかを見ます。

STEP5
伸ばす施策を選ぶ

既存の施策のうち、上の段につなげられるものを選びます。

STEP6
止める施策を選ぶ

どこにもつながらない施策や重複した施策を候補にします。

STEP7
経営への説明の形にまとめる

段別の表と、判断を求める点を1枚にします。

この手順で扱うのは、すでに社内で走っている施策の仕分けです。これから始める施策の候補を集めて絞り込む方法は、「生成AIのユースケースを絞る3つの物差し」の記事に譲ります。また、施策の効果を時間で測る方法もここでは扱いません。本稿の問いは、今ある施策がどの深さに偏っているかの1点です。

手順1:社内のAI施策を一覧にする

最初に、社内で走っているAI施策を1施策1行の一覧にします。集める先は、AI推進の部署が把握している施策だけでは足りません。部署が単独で契約した道具、情報システム部門が接続を許可した仕組み、経費で精算されている利用料、現場から上がった相談の記録なども当たります。仕分けの目的は全社の偏りを読むことなので、把握できていない施策が多いほど、読み違えるからです。

一覧の列は、施策の名前、担当部署、使っている道具の種類、始めた時期、利用している人の数のおおよそ、の5つで足ります。この時点では、効果や費用の列は作りません。効果の列を作ると、仕分けの前に良し悪しの議論が始まり、段の話にたどりつかなくなります。

施策の単位は、使い方で切ります。全社に配った文章生成の道具は、それ1つで1行にせず、使い方ごとに分けます。たとえば、営業の提案書の下書き、広報の原稿の校正、問い合わせへの返信案の作成は、同じ道具でも別の行です。使い方ごとに扱うデータも変わる範囲も違うため、1行にまとめると段が決められません。

一覧は、いつの時点のものかを決めて作ります。施策は年度の途中で増えたり止まったりするので、たとえば半期の末日時点で走っているものを数える、と基準日を置きます。試しに使ってみただけの施策や、すでに止めた施策は、基準日の時点で動いていなければ一覧から外し、別の欄に残します。基準日をそろえないと、次の仕分けと本数を比べられないからです。半期ごとに同じ基準で作り直せば、段ごとの本数の動きが、施策の深まり方の記録になります。

手順2:施策ごとに扱うデータを書き出す

一覧の各行に、扱うデータを2つの列で書き足します。1つは入口の情報で、施策がもとにしている情報がどんな形で存在しているかです。紙の申込書、会議の音声、電話の録音、メールの本文、社内の文書、販売の記録といった書き方をします。もう1つは出口のデータで、施策が作り出したものがどこに、どんな形で残るかです。

出口の列が、仕分けでいちばん役に立ちます。会議の要約が個人の手元の文書として残るだけなのか、案件の記録の項目として保存されるのか、顧客への回答として外に出るのか。出口がどこにつながっているかを書くと、次の手順で段を決めるときの材料がそろいます。出口の欄に「担当者が読む」としか書けない施策は、多くの場合、手前の段にあります。

この書き出しは、AIに下ごしらえを任せやすい作業です。施策の説明文や申請書をAIに渡し、入口と出口の情報を抜き出させ、表の形に並べさせます。ただし、抜き出した内容の根拠として、説明文のどの箇所から読み取ったかを必ず書かせます。施策の説明文は導入時の期待で書かれていることが多く、実際の出口とずれていることがあるからです。最後は担当部署に確かめてもらいます。

手順3:変わる範囲で段に仮置きする

扱うデータを書いたら、各施策を3段のどこかに仮に置きます。問いは「この施策で何が変わったか」です。変わったのが、情報がデータとして残るようになったことだけなら1段目のデジタイゼーション。1つの業務の中で、人の作業の順番や分担、判断の材料が変わったなら2段目のデジタライゼーション。複数の部門をまたぐ流れや、顧客に届けるもの、事業の稼ぎ方が変わったなら3段目のDXです。

ここで「仮置き」と呼ぶのには理由があります。最初の仕分けは、施策の担当者の説明と、手順2の出口の列から推し量ったものにすぎません。段の境目にある施策は、担当部署と話して初めて分かることがあります。仮置きの段階では、迷った施策に印を付けておき、迷った理由を一言書いておくと、次の読み合わせが早く進みます。

AIに仮置きを任せる場合は、表の定義と、本稿の2つの問いをそのまま渡し、施策ごとに置いた段と、その理由を出口の列の言葉で書かせます。理由を書けない施策は、情報が足りない施策です。AIの仮置きをそのまま確定にはせず、担当部署の確認を経て段を決めます。

担当部署との読み合わせは、印の付いた施策だけを対象にすると短く済みます。読み合わせで聞くのは、施策の評判ではなく、出口のデータがどこに残り、誰の作業が変わったかの2点です。担当者が「便利になった」としか答えられない施策は、作業の順番や分担が変わっていない可能性が高く、1段目に置くのが妥当です。逆に、前は誰がやっていた作業を、今は誰がやっているかを具体的に答えられる施策は、2段目以上の候補になります。

迷いやすい施策の置き方

仕分けで迷いやすい施策を、いくつかの例で見ておきます。いずれも施策の名前だけでは段が決まらず、出口で何が変わったかで決まる例です。

議事録の要約は、要約が文書として共有されるだけなら1段目です。会議の内容がデータとして残るようになった、という変化だからです。要約から決定事項と担当者が抜き出され、案件や作業の管理の仕組みに自動で登録され、会議の後の追いかけ方が変わったなら2段目です。問い合わせへの一次回答は、窓口の担当者が回答案を受け取って使うなら2段目、問い合わせの内容が分類されて商品や手順の改善に回る流れが部門をまたいでできているなら、3段目の性格を持ち始めます。

顧客向けのAIの窓口は、顧客に届くので3段目に見えがちです。しかし、中身が既存のよくある質問をAIで言い換えているだけで、裏の業務も提供物も変わっていないなら、深さとしては2段目と見るのが妥当でしょう。反対に、紙の申込書の読み取りのような地味な施策でも、そのデータで受付から審査、出荷までの流れがつながり、部門をまたいだ手作業の受け渡しが無くなったなら、施策群として3段目の一部を担っています。外から見える派手さと段の深さは一致しない、という点に注意してください。

手順4:段ごとの本数と、段の間のつながりを読む

全施策を仮置きしたら、段ごとの本数を数えます。たとえば施策が24本ある会社で、1段目が15本、2段目が7本、3段目が2本だったとします。この数字自体に良し悪しはありません。読むべきなのは、下の段の施策が、上の段の施策の材料になっているかというつながりです。1段目で作られたデータを、2段目や3段目のどの施策が使っているかを、一覧の出口の列から線で結んでみます。

偏りは、おおむね3つの形で現れます。1つ目は、1段目に施策が集まり、そこから上に線がほとんど伸びていない形です。データは増えたのに、どの工程も変わっていない状態です。2つ目は、2段目の施策が部署ごとにばらばらにあり、互いに線で結ばれていない形です。個別の工程は変わったが、部門をまたぐ流れにはなっていません。3つ目は、3段目の施策が先に立ち上がり、その下の段に材料となる施策が無い形です。顧客向けの仕組みが、手作業で集めたデータに頼っていることがあります。

タイトルの問いに答えるなら、AIがデジタイゼーションの次で止まるのは、1つ目の形のときです。データ化の施策が悪いのではなく、作ったデータを受け取る次の段の施策が無いことが、止まる原因です。本数を数えるだけでなく、線の有無を見ることで、どこで止まっているかが分かります。

線を結ぶ作業では、1本の施策を複数の段に数えないよう注意します。1つの施策が1段目のデータ化と2段目の工程の変化の両方を担っている場合は、出口で決めた上の段に1本として数え、下の段の役割は線の起点として記録します。そうしないと、同じ施策が両方の段の本数に入り、偏りが実際より小さく見えます。本数は1施策1段、つながりは線で表す、と分けておくと、偏りとつながりを別々に読めるようになります。

生成AIは「データ化の段」を安くやり直させる

生成AIが広がってから、1段目の施策が増えやすくなったのには理由があります。会議の音声、電話の会話、手書きのメモ、メールの本文、画像の中の文字。こうした情報は、以前はデータにするのに人手か、決まった書式に合わせた仕組みが必要で、手間に見合わないと見送られてきました。生成AIは、決まった書式の無い情報を、比較的少ない手間でデータにできる道具です。そのため、これまで手を付けなかった情報のデータ化が、一気に現実的になりました。

これは、DXの段で言えば、1段目のやり直しにあたります。多くの会社は、販売や会計の記録のように、もともと書式の決まった情報のデータ化は済ませています。生成AIが広げたのは、その外側にあった、会話や文書の中の情報です。ここで生まれるデータは、たとえば顧客との会話に出た要望や、問い合わせの理由のように、2段目や3段目の施策にとって価値の高い材料になりえます。

だからこそ、生成AIの施策は「データにしたら終わり」になりやすいのです。要約や文字起こしはその場で便利なので、使う人の満足度は高くなります。一方で、作られたデータがどこにも保存されず、個人の手元の文書のままになっていれば、次の段の材料にはなりません。生成AIの施策を仕分けるときは、作ったデータを、後から誰が使える形で残しているかを出口の列で確かめてください。

残し方を決めるときは、データにする項目を先に決めておきます。商談の会話であれば、顧客の要望、懸念、次の約束、日付、担当者、といった項目に分けて保存すると、案件の管理や商品の改善の施策がそのまま使えます。全文の要約だけを保存すると、後から使う側が読み直して項目を拾う手間が残り、つながりは細くなります。どの項目で残すかは、受け取る側の段の担当者と決めるのが確実です。

手順5:伸ばす施策を選ぶ

段とつながりが見えたら、既存の施策のうち、どれを上の段へ伸ばすかを選びます。ここで選ぶのは新しい施策ではなく、すでにある施策の出口を、次の段の施策につなぐことです。たとえば、営業の商談の録音を要約している1段目の施策があり、2段目に案件管理の入力を楽にする施策があるなら、要約の出口を案件の記録の項目に流し込むだけで、2つの施策が線で結ばれます。

伸ばす候補を選ぶときは、3つの点を見ます。1つ目は、出口のデータを受け取る相手、つまり上の段の工程や部署がすでにあるか。2つ目は、データの形が受け取る側で使える形になっているか。自由な文章の要約は、項目に分けて保存しないと集計に使えません。3つ目は、つないだときに変わる範囲を、担当部署が引き受けられるか。工程が変わると、人の作業や責任の置き方も変わるからです。

候補の洗い出しには、AIを使えます。一覧の出口と入口の列をAIに渡し、ある施策の出口のデータを入口に使えそうな施策の組み合わせを挙げさせます。ただし、挙がった組み合わせが実際につなげられるかは、データの持ち主と工程の担当者にしか判断できません。AIの候補は議論の材料として扱い、どれを伸ばすかは人が決めます。

手順6:止める施策を選ぶ

仕分けは、止める施策を見つける作業でもあります。止める候補は、主に3つの種類に分かれます。1つ目は、同じ入口の情報を、別々の施策が別々にデータにしている重複です。会議の文字起こしを3つの部署が別の道具で行っているような場合で、出口の形がそろっていないため、上の段でまとめて使えません。

2つ目は、出口がどこにもつながらず、今後つなぐ見込みも無い1段目の施策です。使っている人がごく少なく、作ったデータも残っていないなら、続ける理由は薄くなります。3つ目は、手順4で見た3つ目の形、つまり下の段の材料が無いまま立ち上がった3段目の施策です。この場合は止めるのではなく、下の段を整えるまで広げないという判断もありえます。

止める判断には、数字だけでは見えない事情が絡みます。ある部署にとっては欠かせない施策であったり、契約の更新時期が決まっていたりします。止める候補を一覧で示すところまではAIに下書きさせてもよいですが、止めるかどうかの決定はAIに任せないことです。担当部署の言い分を聞き、どの段のつながりに影響するかを見たうえで、責任者が決めます。

止めると決めた施策でも、作ったデータまで捨てる必要はありません。重複していた文字起こしの施策を1つにまとめるなら、止める側で作られた過去のデータを、残す側の形にそろえて移せるかを先に確かめます。移せないまま止めると、上の段の施策が参照していた材料が途中で切れることがあります。止める日と、データの移し先と、影響を受ける施策の担当者への連絡を、決定と同じ記録に書いておきます。

手順7:経営への説明の形

仕分けの結果は、経営に1枚で説明できる形にまとめます。冒頭の「事業の何が変わったのか」という問いに答えるには、施策の一覧を並べるより、段ごとの本数と、段の間のつながりを見せるほうが伝わります。1枚に載せるのは、段別の施策の本数、各段の主な施策、1段目から上へ伸びている線と途切れている線、伸ばす候補と止める候補、そして経営に判断を求める点の5つです。

判断を求める点は、具体的に書きます。たとえば、「1段目の会議と通話のデータ化の施策を、2段目の案件管理につなぐために、営業部門と情報システム部門の作業を半年確保したい」といった形です。どの段のどのつながりを作るために、何を決めてほしいかが書かれていれば、経営は本数の多さではなく深さで施策を評価できるようになります。

AIの変革を、業務・組織・事業という別の軸で整理したい場合は、「AIトランスフォーメーションとは?」の記事を参照してください。本稿の3段階はデジタル化の深さで切る軸で、変える範囲の軸とは別のものです。2つの軸を混ぜて1枚にすると、どちらの問いにも答えていない資料になりやすいので、説明では1つの軸に絞ります。

施策を段に仕分ける確認表

仕分けの読み合わせで使う確認表です。1施策ずつ、上から順に問いに答えていくと、段がおおむね決まります。最後の行で迷った施策は、担当部署との確認に回します。

確認することはいの場合いいえの場合
入口の情報は、紙・音声・手書き・画像・自由な文章かデジタイゼーションの性格を持つ。出口の確認へ進む入口はすでにデータ。出口の確認へ進む
出口のデータは、個人の手元ではなく、後から誰でも使える場所と形で残っているか次の段の材料になりうる1段目にとどまる。残し方を見直す候補
その施策で、1つの業務の中の作業の順番・分担・判断の材料が変わったか2段目のデジタライゼーション1段目のデジタイゼーション
変化が、複数の部門をまたぐ流れに及んでいるか3段目の性格を持つ。次の行へ2段目にとどまる
顧客に届けるもの、または事業の稼ぎ方が変わったか3段目のDX部門横断の工程の変化として2段目と3段目の境目に置き、担当部署と確かめる
下の段に、この施策の材料となるデータを作る施策があるかつながりを線で記録する材料が手作業なら、下の段を整える候補に挙げる

確認表は、AIに仮置きをさせるときの指示にもそのまま使えます。施策ごとに各行の答えと、その根拠を出口の列の言葉で書かせ、担当部署が答えを確かめる、という順で進めると、仕分けの基準が部署ごとにぶれにくくなります。

AIに任せる下ごしらえと、人が決めること

この仕分けの作業は、AIに向いた部分が多くあります。施策の説明文から入口と出口の情報を抜き出す、確認表にそって仮の段を置く、段ごとの本数を集計する、出口と入口の組み合わせからつながりの候補を挙げる、経営向けの1枚の下書きを作る。いずれも、材料を整理して並べる作業です。

任せるときは、根拠を書かせることと、人が確認する範囲を先に決めておくことの2つを守ります。根拠のない仮置きは、確かめようがありません。確認の範囲は、たとえば境目に置かれた施策と、止める候補に挙がった施策は全件を担当部署が確かめる、といった形で先に線を引きます。すべてを人が見直すと時間がかかり、どれも見直さないと誤った段のまま経営に上がります。

AIに決めさせないのは、どの段の施策を伸ばすか、どの施策を止めるか、そして段を上げるために誰の仕事を変えるかです。これらは予算と人の配置、部門の責任に関わる判断で、施策の一覧からは読み取れない事情を含みます。AIの仕分けは議論を始めるための叩き台であり、決めた理由は人の言葉で記録に残すようにしてください。

仕分けでやりがちな失敗

仕分けの作業でよく起きる失敗をまとめます。多くは、段を施策の良し悪しの順位と取り違えたときに起きます。

  • 道具の名前で段を決める:同じ道具でも使い方で深さが違い、全社配布の道具が1行で3段目に置かれてしまう
  • 顧客向けだから3段目とする:裏の業務も提供物も変わっていない施策が上の段に入り、偏りを読み違える
  • 1段目の施策を価値が低いと見て一律に削る:上の段の材料を作っている施策まで止めてしまう
  • 本数だけを経営に報告する:段の間のつながりが見えず、「事業の何が変わったか」に答えられない
  • AIの仮置きをそのまま確定する:境目の施策が担当部署の確認を経ず、誤った段のまま判断の材料になる

3つ目の失敗は、仕分けの目的を見失ったときに起きます。3段階は優劣の順位ではなく、深さの違いです。1段目の施策は、上の段にとって欠かせない材料の供給元になりえます。止める候補を選ぶときは、段の低さではなく、つながりの有無で見てください。

まとめ

生成AIを入れたこと自体は、DXの段を上げません。経済産業省のDXレポート2は、DXをデジタイゼーション(アナログ・物理データのデジタルデータ化)、デジタライゼーション(個別の業務・製造プロセスのデジタル化)、DX(組織横断の業務の変化と、顧客起点の事業やビジネスモデルの変革)の3段階に分けています。社内のAI施策を1施策1行で一覧にし、扱うデータと変わる範囲で段に仮置きし、段ごとの本数と段の間のつながりを読むと、AIがデジタイゼーションの次で止まっているかどうかが見えます。止まる原因は、データを作った施策を受け取る次の段の施策が無いことです。仮の仕分けと集計はAIに任せて根拠を書かせ、どの施策を伸ばし、どれを止めるかは人が決めてください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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