中小企業診断士の事務所に届く補助金の申請支援の依頼を、事業の内容・公募の回・締切で整理し、初回面談の準備メモを作る
Web のフォームに届いた補助金の申請支援の依頼から、事業の内容と投資の中身、希望の補助金を整理し、公募の回と所内の受付締切を添えた初回面談の準備メモを作ります。面談の前にお願いする資料のメールも下書きにします。
- 生成AI
- ChatGPT/Claude
- 連携・自動化
- Make/n8n/Power Automate/Zapier
- 対象業界
- 士業/金融
- 対象部門
- 営業
- 対象業務
- 書類作成/要約
- 主な課題
- 属人化している/書類作成に時間がかかる/期限・対応漏れが起きる
- AIで行う処理
- 要約
- 主な効果
- 品質標準化/工数削減/機会損失防止
- 導入難易度
- ★★☆☆☆
- 実装レベル
- 本格構成
- 費用感
- ノーコード連携(中)
- 人間の確認
- 条件付き
01導入前 / 導入後の業務フロー
- 事務の担当が Gmail に届いたフォームの通知を開き、担当の診断士を決めて転送する
- 診断士が依頼を読み、事業の内容と投資の中身、当てはまりそうな補助金を考える
- 補助金の公募の状況を、各補助金の事務局のサイトで調べ、公募の回と締切を確かめる
- 準備メモを Google ドキュメントに書く。面談で聞くことを並べる
- 決算書、見積書、会社の案内など、面談の前にお願いする資料のメールを書いて送る
- 人事務の担当が、公募の一覧の表を公募要領に合わせて更新しておく(公募の回、締切、所内の受付締切)
- 自動フォームに依頼が届くと、Zap が動く
- 自動依頼の記録の表で、同じメールアドレスの依頼が直近にないかを確かめる
- 自動AIが依頼から、事業の内容・投資の中身・金額・時期・GビズIDプライムの有無を、根拠の文を付けて取り出し、補助金の候補を事務所の一覧のコードから選ぶ
- 自動依頼の種類で分ける。申請書の作成の代行だけを望む依頼と、対象外の依頼は準備メモを作らず事務に回す
- 自動公募の一覧の表を補助金のコードで引き、公募の回と所内の受付締切を取る
- 自動準備メモの雛形の Google ドキュメントに、取り出した内容と公募の回・締切、未確認の一覧を差し込む
- 自動AIが、未確認の一覧を、面談の前にお願いする資料のメールの下書きにする
- 自動Gmail に下書きを作り、事務と担当の候補に準備メモのリンクを知らせる
- 人担当の診断士が準備メモを読み、締切を公募要領で確かめて直す。メールの下書きを確かめて送る
各工程の詳しい説明を読む
- 事務の担当が Gmail に届いたフォームの通知を開き、担当の診断士を決めて転送する
- 診断士が依頼を読み、事業の内容と投資の中身、当てはまりそうな補助金を考える
- 補助金の公募の状況を、各補助金の事務局のサイトで調べ、公募の回と締切を確かめる
- 準備メモを Google ドキュメントに書く。面談で聞くことを並べる
- 決算書、見積書、会社の案内など、面談の前にお願いする資料のメールを書いて送る
(a)締切に間に合わない依頼に気づくのが遅い。 3番の調べ方が診断士ごとに違い、面談の当日に「その回はもう間に合いません」と分かることがあります。依頼者にとっては、準備の時間を失ったことになります。
(b)GビズIDプライムの確認が抜ける。 電子申請に使うアカウントで、取得の方法によっては審査に時間がかかります。面談の後に「まだ持っていない」と分かり、 取得を急いでもらうことになります。
- 【人】 事務の担当が、公募の一覧の表を公募要領に合わせて更新しておく(公募の回、締切、所内の受付締切)
- 【自動】 フォームに依頼が届くと、Zap が動く
- 【自動】 依頼の記録の表で、同じメールアドレスの依頼が直近にないかを確かめる
- 【自動】 AIが依頼から、事業の内容・投資の中身・金額・時期・GビズIDプライムの有無を、根拠の文を付けて取り出し、補助金の候補を事務所の一覧のコードから選ぶ
- 【自動】 依頼の種類で分ける。申請書の作成の代行だけを望む依頼と、対象外の依頼は準備メモを作らず事務に回す
- 【自動】 公募の一覧の表を補助金のコードで引き、公募の回と所内の受付締切を取る
- 【自動】 準備メモの雛形の Google ドキュメントに、取り出した内容と公募の回・締切、未確認の一覧を差し込む
- 【自動】 AIが、未確認の一覧を、面談の前にお願いする資料のメールの下書きにする
- 【自動】 Gmail に下書きを作り、事務と担当の候補に準備メモのリンクを知らせる
- 【人】 担当の診断士が準備メモを読み、締切を公募要領で確かめて直す。メールの下書きを確かめて送る
6番目が、この設計の分かれ目です。 締切はAIの出力から作らず、事務が公募要領を読んで入れた表から引きます。 表に無い補助金や、まだ次の回が公表されていない補助金は「公募の回:未公表」と出ます。AIに「おそらく来年の春」と書かせないためです。
10番目は省けません。 メールの送信は担当が行います。Zap に依頼者へメールを送る操作は入れません。
02今回想定するシステム構成
Google フォーム(申請支援の依頼) ▼【トリガー】Google Forms:New Form Response Zapier の Zap ├──▶ Zapier Tables:Find Records(同じメールアドレスの直近の依頼) ├──▶ AI by Zapier ①:事業の内容・投資・補助金の候補の取り出し │ (知識の元:補助金の対応一覧、面談で聞くことの一覧) ├──▶ Paths:申請支援/作成の代行だけ/対象外 │ └ 作成の代行だけ・対象外 → Gmail:事務へ知らせる ├──▶ Zapier Tables:Find Records(公募の一覧を補助金のコードで引く) ├──▶ Google Docs:Create Document From Template(準備メモ) ├──▶ AI by Zapier ②:資料のお願いのメールの文案 ├──▶ Gmail:Create Draft(依頼者あての下書き) ├──▶ Gmail:Send Email(事務と担当の候補への所内の知らせ) └──▶ Zapier Tables:Create Record(依頼の記録) ▼【人】担当が締切を公募要領で確かめ、準備メモを直し、下書きを送る
| 役割 | 想定する製品 | 代替候補 |
|---|---|---|
| ワークフロー | Zapier(Paths、Zapier Tables) | Make、n8n、Power Automate |
| 生成AI | AI by Zapier | ChatGPT(OpenAI)、Claude |
| 受付 | Google フォーム | Microsoft Forms |
| 文書 | Google ドキュメント(準備メモの雛形、補助金の対応一覧、面談で聞くことの一覧) | Notion |
| メール | Gmail(事務所の相談受付のアドレス) | Microsoft Outlook |
新しく足すのは、Zap と、準備メモの雛形と、公募の一覧・依頼の記録の2つの表だけです。 フォームと Gmail と準備メモの置き場所は今のまま使います。
入口は Google Forms の New Form Response です。 Zapier の Google Forms のページでは、新しい回答が送られたときに動くトリガーで、フォームのIDを指定します。回答が直されたときにも動く New or Updated Form Response もありますが、この構成では使いません。 依頼者が回答を直すたびに準備メモが増えるからです。
AIは AI by Zapier のステップで呼びます。 公式のヘルプでは、Professional・Team・Enterprise のプランで使え、出力項目ごとに名前と型を決め、説明と必須かどうかを付けられます。 知識の元は1ステップ20個までです。補助金の対応一覧と面談で聞くことの一覧を知識の元にし、 補助金の候補と聞くことをそこから選ばせます。
公募の一覧は Zapier Tables に置きます。 Zapier Tables のページでは、Find Records は検索の値に合う記録を返す操作、Create Record は表に記録を足す操作です。締切はこの表から引くので、AIの出力に日付は出てきません。
03どうやって実装するのか
処理の起点を決める
フォームに依頼が届いたら、Google Forms の New Form Response で Zap を動かします。 夜間や休日に届いた依頼も、その時点で準備メモと下書きになります。診断士が翌朝に開くと、公募の回と締切の入った準備メモがそろっています。
回答の修正では動かしません。 New or Updated Form Response を使うと、依頼者が回答を直すたびに Zap が動き、準備メモが2つ3つと増えます。 直したいことはメールの返信で伝えてもらい、担当が準備メモを直します。
同じ依頼者の二度目の依頼を見分けます。 送信のボタンを二度押した、返事を待てずにもう一度出した、という形です。最初のステップで依頼の記録の表をメールアドレスで引き、直近7日以内に記録があれば、準備メモを作らず事務に知らせます。 別の補助金の相談として出し直した場合もあるので、事務が読んで決めます。
入力データを集める
| データ | 中身 | 取得元 |
|---|---|---|
| 申請支援の依頼 | 会社名、業種、従業員数、やりたいこと(自由記入)、投資の中身と金額の目安、時期、希望の補助金、GビズIDプライムの有無、過去の採択、紹介元 | Google フォーム |
| 補助金の対応一覧 | 補助金のコード、名前、事務所が支援する範囲、対象になりやすい投資の例、扱わないこと | Google ドキュメント(知識の元) |
| 面談で聞くことの一覧 | 補助金ごとに面談で確かめること、事前にお願いする資料 | Google ドキュメント(知識の元) |
| 公募の一覧 | 補助金のコード、公募の回、公募の締切、所内の受付締切、公募要領の版と確かめた日 | Zapier Tables |
| 依頼の記録 | メールアドレス、受けた日時、担当、補助金のコード、準備メモのリンク | Zapier Tables |
質を決めるのは、公募の一覧の「所内の受付締切」の列です。 公募の締切の日には申請を出し終えていなければならないので、事務所は事業計画を固めるのに要る日数を逆算した所内の締切を持っています。準備メモに出すのは、公募の締切とこの所内の締切の両方です。
「公募要領の版と確かめた日」の列も持たせます。 公募要領は回ごとに変わり、途中で直されることもあります。準備メモに「何日に確かめた何版の内容か」が出ていれば、 担当は古い行を見ていないかをすぐ確かめられます。
フォームの欄も少し直します。 希望の補助金は、事務所の対応一覧の名前の選択肢に「分からない」を足します。GビズIDプライムの欄は「持っている/申請中/持っていない/分からない」の4つにします。自由記入だけにすると、何も書かれません。
データの取得方法を決める
| 取るもの | どこから | 何に使うか |
|---|---|---|
| 依頼の回答 | トリガーが返す回答の項目 | 取り出しの材料 |
| 直近の依頼の有無 | Zapier Tables の Find Records(メールアドレス) | 二度目の依頼の検出 |
| 対応一覧と聞くことの一覧 | AI by Zapier の知識の元 | 補助金の候補と聞くことの選択 |
| 公募の回と締切 | Zapier Tables の Find Records(補助金のコード) | 準備メモの締切の欄 |
| 準備メモのリンク | Create Document From Template の結果 | 所内の知らせと記録 |
AIに渡す回答の項目を選びます。 準備メモに要るのは、業種、従業員数、やりたいこと、投資、時期、希望の補助金、GビズIDプライムの有無です。会社名、担当者の氏名、電話番号は渡しません。 雛形への会社名の差し込みは、AIを通さずに回答の項目からそのまま入れます。
公募の一覧を引くのは、AIのステップの後です。 AIが選んだ補助金のコードを検索の値にして Find Records を呼びます。コードが undecided(決められない)のときは引かず、 準備メモの締切の欄に「補助金の候補が決まっていない」と出します。
AIへ渡す前に整形する
- 二度目の依頼の確認 … 依頼の記録をメールアドレスで引き、直近7日以内にあれば事務に知らせて止めます
- 項目の選び出し … AIに渡す回答の項目を、事業と投資と時期と補助金に限ります
- 空の欄の印 … 空で送られた欄は「未記入」という値に置き換えて渡します
- 取り出し(AI ①) … 事業の内容・投資・時期・GビズIDプライムを根拠の文付きで取り出し、補助金のコードと依頼の種類を選びます
- 種類で分岐(Paths) … 申請支援の依頼だけを先に進めます
- 公募の回と締切を引く … 補助金のコードで公募の一覧を引き、公募の回・締切・所内の受付締切・確かめた日を取ります
- 担当の候補 … 業種と補助金のコードから、担当の候補を表で引きます(決めるのは事務)
3番目を省くと、空の欄が「何も無い」として読まれます。 空のまま渡すと、AIは書かれていない欄に気づかず、未確認の一覧から抜けます。 「未記入」と明示すると、その欄が未確認に入ります。
6番目で、公募の一覧に行が無い補助金は「未公表」と出します。 次の回がまだ公表されていない補助金を、前の回の締切で準備メモに書かないためです。未公表の補助金の面談は、公表を待つか、別の補助金を考えるかを話す場になります。
AIに処理させる
2つのステップに分けます。 ①は取り出しと種類の判定、②は依頼者へのメールの文案です。
| させること | 中身 |
|---|---|
| 依頼の種類(①) | support(申請の支援)・drafting_only(申請書の作成の代行だけを望む)・out_of_scope(融資だけの相談、営業、求人への応募など) |
| 事業の内容(①) | 業種、いまの事業、やりたいことを依頼の言葉で |
| 投資の中身(①) | 入れたい設備・システム・サービス、金額の目安、見積の有無について書かれていること |
| 時期(①) | 書かれた言葉のまま(「来年の春までに」など) |
| 補助金の候補(①) | 補助金の対応一覧のコードから最大2つ。決められなければ undecided |
| GビズIDプライム(①) | has・applying・none・unknown |
| 未確認の一覧(①) | 聞くことの一覧にあって、依頼に書かれていないこと |
| メールの文案(②) | お礼、面談の前にお願いする資料、日時は担当から連絡すること |
すべての項目に quote(根拠にした依頼の文)を付けさせます。 根拠の文が無い項目は、準備メモに入れません。AIが書き足した事業の説明が、依頼者の計画として準備メモに残るのを防ぐためです。
| させないこと | 理由 |
|---|---|
| 締切や公募の回を書く | 締切は公募の一覧の表から引く。文章から作ると古い回の日付が混ざる |
| 採択の見込みを書く | 審査の結果は予測できない。面談の最初の話が「通りそう」で始まってしまう |
| 補助対象になると言い切る | 対象かどうかは公募要領と事務局の判断による。候補にとどめる |
| 補助額や補助率を書く | 回ごとに変わる。準備メモに数字があると担当は確かめずに話す |
| 事業計画の文章を書く | 計画は面談で話を聞いてから。準備メモに答えを書かない |
1行目がいちばん起きやすい失敗です。 依頼に「ものづくり補助金」と書かれていると、AIはそれらしい締切の日付を書き足します。 出力項目に日付の欄を置かず、指示でも禁じます。
指示内容を固定する
取り出しのステップ(①)の指示に、次のように書きます。
あなたは中小企業診断士の事務所の受付として、補助金の申請支援の依頼を読み、
担当の診断士が初回面談の準備をするための材料を整理します。
助言はしません。担当が読んで直します。
【入力】
- 申請支援の依頼の回答(空の欄は「未記入」と書かれています)
- 知識の元:補助金の対応一覧、面談で聞くことの一覧
【やること】
1. 依頼の種類を、support/drafting_only/out_of_scope から1つ選ぶ。
申請書を作ってほしい、出しておいてほしい、だけが書かれていて、
事業計画の相談が無ければ drafting_only。
2. 事業の内容、投資の中身、時期を、依頼に書かれていることだけで項目にする。
3. 各項目の quote に、根拠にした依頼の文をそのまま写す。
4. 補助金の対応一覧のコードから、当てはまりそうなものを最大2つ選び、
理由に quote を付ける。決められなければ undecided とする。
5. 面談で聞くことの一覧から、選んだ補助金に当てはまる観点を選び、
依頼に書かれていないものを unconfirmed に入れる。
「未記入」の欄も unconfirmed に入れる。
【厳守事項】
- 公募の回、締切、受付の期間の日付を書かないでください。
依頼に日付が書かれていても、それは timing の quote に写すだけにしてください。
- 採択の見込み、補助対象になるかどうか、補助額、補助率を書かないでください。
- 補助金のコードは、対応一覧にあるものだけから選んでください。
一覧に無い補助金の名前が書かれていたら、requested_other に名前をそのまま写してください。
- 投資の金額は、書かれた言葉のまま写してください。計算や言い換えをしないでください。
- 事業計画の文章や、事業の強みの説明を書き足さないでください。
- quote が付けられない項目は出力しないでください。
- 会社名や氏名が本文に書かれていても、出力に含めないでください。
メールの文案のステップ(②)の指示は、次のように短くします。
申請支援のご依頼へのお礼と、初回面談の前にお願いしたい資料を書いた
メールの本文を作ってください。送る前に担当が読みます。
【入力】{unconfirmed} / {gbiz_status} / {subsidy_names}
- お願いする資料は unconfirmed の中から多くて5つまで。
決算書、見積書のように資料の名前で書いてください。
- gbiz_status が none か unknown のときは、
「GビズIDプライムの取得状況を面談でお伺いします」と一文だけ添えてください。
- 面談の日時、締切、採択の見込みは書かないでください。
「担当より面談の日時をご連絡いたします」と書いてください。
- 本文は400字程度。署名は入れないでください。
「締切の日付を書かない」が、この指示の要です。 書かないと、準備メモの「時期」の欄に「○月○日締切の第○回に間に合わせる必要があります」のような文が入ります。日付は表から引いたものだけを、別の欄に出します。
出力形式を固定する
①の取り出しは、AI by Zapier の出力項目で次の形に決めます。
{
"request_type": "support | drafting_only | out_of_scope",
"business": { "industry": "金属加工", "summary": "部品の切削加工",
"quote": "自動車部品の切削加工をしています" },
"plan": { "item": "外注している加工の内製化",
"quote": "今は外に出している加工を自社でやりたい" },
"investment": [
{ "item": "新しい加工機", "amount_words": "2,000万円くらい",
"estimate": "unknown", "quote": "新しい機械を入れたい。2,000万円くらい" }
],
"timing_words": "来年の春までに入れたい",
"subsidy_candidates": [
{ "code": "MONO", "reason_quote": "新しい機械を入れて" }
],
"requested_other": "",
"gbiz_status": "has | applying | none | unknown",
"unconfirmed": ["直近2期の決算", "見積書", "従業員数"]
}
1つ目の理由は、日付の欄が無いことです。 締切は、この JSON の外で、subsidy_candidates のコードを使って表から引きます。出力項目に日付を置かないこと自体が、AIに締切を作らせない仕掛けです。
2つ目は、request_type を Paths の条件にそのまま使えることです。 文章で「申請書の作成をご希望のようです」と返されると、分岐の条件が書けません。3つの値のどれかに決めさせ、support だけを先に進めます。 Paths は1つのグループに10の分岐まで置け、どの条件にも当たらないときに動く Fallback の分岐を1つ置けます。Fallback には事務への知らせを置きます。
3つ目は、estimate と gbiz_status の unknown です。 「見積は取っていると思われる」「GビズIDは持っていそう」と書かせないための値です。準備のいちばん大事な2つなので、分からなければ未確認に入ります。
システムへ連携する
| つなぎ先 | 方式 | 内容 |
|---|---|---|
| Google フォーム | New Form Response(トリガー) | 依頼を受け取る |
| Zapier Tables | Find Records、Create Record | 二度目の依頼の確認、公募の回と締切、依頼の記録 |
| AI by Zapier | Zap のステップ | 取り出し、メールの文案 |
| Google ドキュメント | Create Document From Template | 準備メモを作る |
| Gmail | Create Draft | 依頼者あての下書き |
| Gmail | Send Email | 事務と担当の候補への所内の知らせ |
準備メモは Create Document From Template で作ります。 Zapier の Google Docs のページでは、既存の文書から新しい文書を作り、{{name}} のような差し込みの欄を置き換える操作です。雛形を決めておけば、どの診断士の準備メモも同じ並びになります。
依頼者あては Create Draft、所内あては Send Email と分けます。 Zapier の Gmail のページでは、Create Draft は件名と本文を必須とする下書きの作成、Send Email は新しいメールを作って送る操作です。送る操作を使うのは、宛先が事務所の中のアドレスに決まっているステップだけにします。
人が確認する
担当の診断士が、すべての準備メモと下書きを読みます。
- 締切を公募要領で確かめる … 締切の欄の「確かめた日」を見て、公募要領の最新の版と合っているかを見ます
- 根拠の文を読む … 準備メモの右の列(依頼者の文)を読み、左の列の項目がずれていないかを見ます
- 補助金の候補を見直す … 候補が依頼の中身に合っているか、別の補助金を考えるべきかを見ます
- 未確認の一覧を直す … 面談の前にお願いする資料と、面談で聞けばよいことを分けます
- メールの下書きを直して送る … お願いの数と書き方を見て、面談の日時の連絡を添えて送ります
1番目を省かないでください。 公募の一覧は事務が更新していますが、公募要領が途中で直されたことに気づかないまま、古い締切が残っていることがあります。準備メモに確かめた日が出ているので、日が古ければ事務局のサイトを開きます。
目標は、80件をならして1件6分です。 締切と根拠の文を確かめるのに3分、メールの下書きを直して送るのに2分、記録に1分ほどです。事業計画の下書きを貼ってくる依頼や、補助金の候補が2つに分かれる依頼は、10分以上かかります。
例外に対処する
| 起きること | 対応 |
|---|---|
| 二度目の依頼 | 準備メモを作らず、事務に知らせる。前の依頼に書き足すか、別の相談として受けるかを事務が決める |
| 申請書の作成の代行だけを望む | 準備メモを作らず事務に回す。提携の行政書士との分担を事務が案内する |
| 融資だけの相談、営業、求人への応募 | out_of_scope として事務に回す。メールの下書きは作らない |
補助金の候補が undecided | 公募の一覧を引かず、締切の欄に「候補が決まっていない」と出す。面談で一緒に考える |
| 公募の一覧に次の回が無い | 「未公表」と出す。前の回の締切を出さない |
| 一覧に無い補助金を望む | requested_other の名前を準備メモに出し、扱うかを担当が決める |
| 所内の受付締切に近い・過ぎている | 準備メモの先頭に所内の受付締切と依頼を受けた日を並べて出す。受けるかどうかは担当が決める |
| AIのステップが失敗する | 準備メモを雛形のまま作り、事務と担当に「手で整理」と知らせる |
上から2行目は、月に数件あります。 「申請書を作ってほしい」から始まる依頼でも、読むと事業計画の相談であることがあります。drafting_only の判定は事務が依頼を読んで確かめ、 計画の相談なら手で準備メモを作ります。
記録を残す
- 依頼の記録(メールアドレス、受けた日時、依頼の種類、補助金のコード、担当、準備メモのリンク)
- AIの取り出しの結果(項目と quote、補助金の候補、未確認の一覧)
- 準備メモに差し込んだ公募の一覧の行(公募の回、締切、公募要領の版と確かめた日)
- 担当が準備メモで直した箇所と、直した理由の一言
- メールの下書きを作った日時と、担当が送った日時
- 面談が行われたか、申請の支援に進んだか
3つ目で「差し込んだ行」を残すのは、表が後から書き換わるためです。 公募要領が直されて締切が変わると、表の値も変わります。当時の準備メモがどの値で作られたかが残っていないと、 依頼者に伝えた締切が何だったかを後から確かめられません。
04実装レベルの3段階
最小構成は、確かめるための段階です。 月80件には使えません。 半自動化で、1件24分が12分程度になります。 準備メモはできますが、公募の回と締切を調べる作業と、資料のお願いのメールを書く作業が残ります。本格構成で6分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、締切を調べる作業が、診断士が1件ずつ事務局のサイトを開く作業だったからです。
05工数削減シミュレーション
導入後 80件 × 6分 ÷ 60 = 8 時間/月
自社条件で導入効果を整理したい方へ
このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。
06向いている企業・向いていない企業
- 中小企業診断士の事務所や、認定経営革新等支援機関として補助金の申請支援を受ける税理士事務所・金融機関の窓口で、Web のフォームから支援の依頼が毎月数十件から百件ほど届く場合。依頼を受けた人と初回面談をする診断士が別で、準備メモの書き方と締切の確かめ方が人ごとに違う場合。Google Workspace と Zapier を使っている、または使える場合。
- 依頼が月に十件ほどで、診断士が依頼を読んでそのまま面談に臨めている場合。依頼を電話と紹介だけで受けていて、文字の記録が残らない場合。報酬を得て申請書そのものを作る業務が中心で、行政書士との分担が決まっていない場合(その分担を先に決める)。なお、採択の見込み、補助対象になるかどうか、公募要領の解釈は、この構成では代替できません。
07最小構成で試す方法
- 先月の依頼から15件を選ぶ(事業計画の下書きを貼ったもの、一言だけのもの、申請書の作成だけを望んだものを混ぜる)
- ベテランの診断士の準備メモを10件並べ、補助金ごとに必ず書かれている項目を一覧にする
- 手元のAIサービスに、補助金の対応一覧、聞くことの一覧、1件分の依頼を貼り、「準備メモの項目に分け、各項目に根拠にした依頼の文を写して。締切・採択の見込み・補助率を書かないで。書かれていない観点を未確認として並べて」と指示する
- 出てきた準備メモを、当時担当が書いた準備メモと並べて読む
| 出てきた内容 | 判断 |
|---|---|
| 当時の準備メモと同じ項目が拾え、根拠の文も合っている | Zap を組む段階に進む |
| 締切や補助率を書き足す | 指示の書き方と出力項目で直る。構成は有効 |
| 補助金の候補が担当の感覚と合わない | 対応一覧の書き方が先。 対象になりやすい投資の例を書き足す |
08実装時につまずきやすいポイント
| 問題 | 対策 |
|---|---|
| 締切の日付を書き足す | 出力項目に日付の欄を置かず、指示でも禁じる。締切は表から引く |
| 採択の見込みや補助率を書く | 指示で禁じ、根拠の文の無い項目を出さない |
| 一覧に無い補助金を近いコードに寄せる | requested_other に名前を写させる |
| 公募の一覧が古い | 確かめた日の列を準備メモに出す。 担当が日を見て事務局のサイトを開く |
| 次の回が未公表なのに前の回の締切が出る | 行が無ければ「未公表」と出す |
| 回答の修正のたびに準備メモが増える | New Form Response だけを使い、修正はメールで受ける |
| 申請書の作成の代行の依頼に準備メモができる | request_type で分け、事務に回す |
| メールに締切や日時を書く | 指示で禁じ、担当の確認の項目に入れる |
| AIのステップの既定が Premium | 新しいステップの既定は Premium(5倍)。 段階を選び直す |
09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点
この構成で扱うデータ: 依頼者の会社名、担当者の氏名と連絡先、業種と従業員数、やりたい事業と投資の金額、過去の補助金の採択です。会社の計画と資金の話で、外に出ると取引に響く情報です。
- AIに渡す項目を、準備に要るものに限る … 会社名、氏名、電話番号は渡しません。決算書や見積書の中身もAIの材料にしません。 面談の前に受け取った資料は、担当が読みます
- 申請書の作成の分担を先に決める … 総務省の行政書士制度のページでは、官公署に提出する書類の作成は、行政書士または行政書士法人でない者は、「手数料」や「コンサルタント料」等いかなる名目によるかを問わず、対価を受領して業として行うことはできないとされています(令和8年1月1日に改正法が施行)。事務所が受け持つのは事業計画づくりの助言と伴走までとし、 書類の作成を望む依頼は提携の行政書士と分担します。どこまでが助言でどこからが作成かは、行政書士と決めて記録します
- 採択の見込みを準備メモにもメールにも書かない … 書かれた見込みは、依頼者には約束に見えます
- 依頼者へのメールを自動で送らない … 下書きまでにします。締切や補助額の誤りが混ざっても、担当が送る前に止められます
- GビズIDプライムの取得を急がせる文を自動で書かない … GビズIDのサイトでは、プライムの申請はオンラインと書類の2つの方法があり、書類申請の審査は最大1か月とされています。間に合うかどうかは担当が依頼者と話して決めます
- 使うモデルの事業者を決める … 公式のヘルプでは、AI by Zapier は自前のキーで OpenAI、Anthropic、Google、Azure OpenAI、Amazon Bedrock の口座をつなぐ形も選べます。どの事業者のモデルに依頼の中身を渡すかを、事務所で決めて記録します
誤りが起きた場合のリスクは、誤った締切を伝えることと、補助金の中身を約束したように伝えることの2つです。 前者は表から引いて確かめた日を出すことで、後者は見込みと補助率を書かせないことと下書きにとどめることで止めます。どちらも、担当が公募要領を開くことが最後の止めになります。
10まず何から始めるか
1週目:公募の一覧の表を作る
事務所が支援する補助金を並べ、補助金のコード、公募の回、公募の締切、所内の受付締切、公募要領の版と確かめた日の列で表を作ります。公募の公表を見たら誰が行を足すかを決めます。
2週目:15件で試す
先月の依頼15件を手元のAIサービスに貼り、対応一覧から準備メモを作らせます。締切や補助率を書き足していないか、根拠の文が依頼と合っているかを最優先で見ます。
3週目:雛形とフォームを直す
準備メモの雛形を、項目と根拠の文の2列の表と、締切の表で作ります。フォームに GビズIDプライムの4つの選択肢と、希望の補助金の「分からない」を足します。 申請書の作成を望む依頼の分担を、提携の行政書士と決めます。
4週目:依頼から準備メモまでをつなぐ
New Form Response で Zap を動かし、取り出しと公募の一覧の検索、準備メモの作成までを組みます。この時点ではメールの下書きを作らず、 担当が資料のお願いを書きます。
2か月目: 依頼の種類の分岐と、資料のお願いのメールの下書き、依頼の記録を足します。3か月目以降: 担当が直した箇所を見て対応一覧と聞くことの一覧を直し、1件24分が何分になったかを実測します。担当が締切を確かめるだけで面談に臨めるようになった時点で、この構成は完成です。
11関連ユースケース
12この仕組みを理解するための記事
13技術仕様の確認日・参考情報
| 確認した内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|
| New Form Response が新しい回答で動き、New or Updated Form Response が回答の追加と修正で動くこと。どちらもフォームのIDを指定すること | Zapier: Google Forms integrations | 2026-10-26 |
| AI by Zapier が Professional・Team・Enterprise で使えること。Standard(1倍)・Advanced(3倍)・Premium(5倍、新しいステップの既定)の段階と自前のキー(OpenAI、Anthropic、Google Gemini、Azure OpenAI、Amazon Bedrock)。出力項目を名前と型で決め、説明と必須を付けられること。知識の元が1ステップ20個までであること | Zapier Help: AI by Zapier | 2026-10-26 |
| Paths が Professional 以上で使え、1つのグループに10の分岐まで置けること。Fallback の分岐を1つ置けること。Paths と Filter がタスクに数えられないこと | Zapier Help: Paths | 2026-10-26 |
| Find Records が検索の値に合う記録を返し、Create Record が表に記録を足すこと | Zapier: Zapier Tables integrations | 2026-10-26 |
Create Document From Template が既存の文書から新しい文書を作り、{{name}} のような差し込みの欄を置き換えること | Zapier: Google Docs integrations | 2026-10-26 |
| Create Draft が件名と本文を必須とする下書きの作成で、Send Email が新しいメールを作って送る操作であること | Zapier: Gmail integrations | 2026-10-26 |
| 行政書士法の改正法(令和7年法律第65号)が令和8年1月1日に施行されたこと。官公署に提出する書類の作成は、行政書士又は行政書士法人でない者は「手数料」や「コンサルタント料」等いかなる名目によるかを問わず対価を受領して業として行えないこと | 総務省: 行政書士制度 | 2026-10-26 |
| GビズIDプライムにオンライン申請と書類申請の2つの方法があり、書類申請の審査が最大1か月であること。補助金申請などの電子申請に使えること | GビズID | 2026-10-26 |
採択の見込み、補助対象かどうか、公募要領の解釈は、担当の診断士と各補助金の事務局の案内で確かめてください。 本記事は Zapier の公式ページと、総務省・GビズIDのページで確認できた範囲だけを扱っています。
実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。
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