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広告主から受け取ったオリエンシートと打合せのメモから、提案に向けた課題・ターゲット・企画の方向性の骨子と、広告主へ聞き返す確認質問の一覧を作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

広告主から受け取ったオリエンシートと打合せのメモを読み、提案に向けた課題・ターゲット・KPI・制約と、企画の方向性の骨子を1枚にまとめます。あわせて、資料に書かれていない項目と、資料とメモで食い違う項目を、広告主へ聞き返す確認質問の一覧にします。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate
対象業界
IT・SaaS/広告
対象部門
マーケティング/営業
対象業務
書類作成/要約
主な課題
属人化している/書類作成に時間がかかる/確認ミスが多い
AIで行う処理
生成
主な効果
品質標準化/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
100h/月
AI導入後
30h/月
想定削減
70%
年間削減
840h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. オリエンに出席し、資料を受け取る。打合せの要点をメモに残す
  2. 案件フォルダに資料とメモを置く
  3. 資料を最初から読み、目的・ターゲット・予算・スケジュール・提出物・制約を書き出す
  4. メモと資料を突き合わせ、口頭で補足された点や、資料と違うことを言われた点を拾う
  5. 課題・ターゲット・KPI・制約を整理表にまとめる
  6. 整理表から、企画の方向性の骨子(2〜3案)を書き、社内のキックオフに出す
  7. 聞き返すべき点を一覧にし、広告主への確認メールを書く
導入後(After)
  1. 人オリエンの資料と打合せのメモを案件フォルダに置き、案件リストの状態を「骨子依頼」にする
  2. 自動状態の変更をきっかけにフローが動き、資料の形式とページ数を確かめる
  3. 自動文書の読み取りサービスが、資料を見出しと表を残したテキストにする
  4. 自動画像だけで中身の読めないページを一覧にする
  5. 自動AIが資料とメモから、書かれていること・聞いたこと・仮説を分けて項目ごとに拾う
  6. 自動AIが資料とメモの食い違いと、足りない項目を出し、確認質問にする
  7. 自動AIが企画の方向性の骨子を2〜3案書く。各案に、根拠にした項目を付ける
  8. 自動必ず埋まっているべき項目が足りないのに質問が無いものを、フローが規則で拾い足す
  9. 人担当者が骨子と質問を読み、直し、質問を取捨して広告主への確認メールを送る
  10. 人骨子を社内のキックオフに出す
各工程の詳しい説明を読む
  1. オリエンに出席し、資料を受け取る。打合せの要点をメモに残す
  2. 案件フォルダに資料とメモを置く
  3. 資料を最初から読み、目的・ターゲット・予算・スケジュール・提出物・制約を書き出す
  4. メモと資料を突き合わせ、口頭で補足された点や、資料と違うことを言われた点を拾う
  5. 課題・ターゲット・KPI・制約を整理表にまとめる
  6. 整理表から、企画の方向性の骨子(2〜3案)を書き、社内のキックオフに出す
  7. 聞き返すべき点を一覧にし、広告主への確認メールを書く

(a)時間の大半は、読んで書き出すことに使われる。 30枚の資料から目的や予算の記載を探し、整理表に写す作業が、1件の半分近くを占めます。提案の締切は2〜3週間後に決まっており、ここで1日使うと、企画を考える時間がそのまま減ります。

(b)資料とメモの食い違いが見落とされる。 資料には「認知の拡大」と書いてあるのに、打合せでは「今期は売上につながる施策がほしい」と言われている。どちらを前提にするかで企画はまったく変わりますが、メモを読み返さないと気づきません。

(c)聞き返すべきことが、担当者の経験で決まる。 「予算に制作費は含まれますか」「KPIのCPAは何を獲得とした数ですか」。ベテランには当たり前の質問が、若手からは出ません。聞きそびれたまま提案すると、前提の違う提案になり、作り直しになります。

(d)仮説が事実として骨子に入り込む。 資料の調査結果から「既存客は40代が中心」と読み取ったことが、いつの間にか「ターゲットは40代」として骨子に書かれる。誰がそう言ったのかが追えない骨子は、社内のキックオフで議論が空回りします。

  1. 【人】 オリエンの資料と打合せのメモを案件フォルダに置き、案件リストの状態を「骨子依頼」にする
  2. 【自動】 状態の変更をきっかけにフローが動き、資料の形式とページ数を確かめる
  3. 【自動】 文書の読み取りサービスが、資料を見出しと表を残したテキストにする
  4. 【自動】 画像だけで中身の読めないページを一覧にする
  5. 【自動】 AIが資料とメモから、書かれていること・聞いたこと・仮説を分けて項目ごとに拾う
  6. 【自動】 AIが資料とメモの食い違いと、足りない項目を出し、確認質問にする
  7. 【自動】 AIが企画の方向性の骨子を2〜3案書く。各案に、根拠にした項目を付ける
  8. 【自動】 必ず埋まっているべき項目が足りないのに質問が無いものを、フローが規則で拾い足す
  9. 【人】 担当者が骨子と質問を読み、直し、質問を取捨して広告主への確認メールを送る
  10. 【人】 骨子を社内のキックオフに出す

9番目が、この設計の分かれ目です。人は資料を最初から読み直しません。 骨子の各項目には、資料のどのページか、メモのどの箇所かが付いているので、担当者は根拠の箇所だけを開いて確かめます。 全部を読み直す設計にすると、150分はほとんど減りません。

8番目を規則で決めているのも、意図してのことです。 予算・KPI・スケジュール・提出物は、提案に必ず要る項目です。AIが質問を出し忘れても、この4つが空なら機械的に質問を足します。 聞くべきことの最低限を、AIの出来に任せません。

02今回想定するシステム構成

構成図
オリエン資料(Word/PowerPoint/PDF)   打合せのメモ(テキスト)
   │  担当者が案件フォルダへ                 │
   ▼                                        ▼
SharePoint の案件フォルダ + 案件リスト「提案準備」
   ▼【トリガー】アイテムが作成または変更されたとき(状態=骨子依頼)
Power Automate
   ├──▶ 形式・ページ数の確認
   ▼
Azure AI Document Intelligence(レイアウト モデル)
   │   見出し・段落・表を Markdown で返す
   ▼
Azure OpenAI(Microsoft Foundry)── 構造化出力
   │   ① 項目ごとの記載(資料/メモ/仮説の区別と根拠の箇所)
   │   ② 食い違いと、足りない項目
   │   ③ 確認質問と、企画の方向性の骨子
   ▼
Power Automate ── 必須の4項目の空きを規則で拾い、質問を足す
   ▼
案件リスト「提案準備」と骨子のファイル ──【担当者が直し、質問を取捨して送る】
役割想定する製品代替候補
生成AIAzure OpenAI(Microsoft Foundry)Claude、Gemini
連携Power AutomateMake、n8n
文書の読み取りAzure AI Document Intelligence(レイアウト モデル)担当者が本文を書き出して渡す
資料と骨子の置き場SharePoint のライブラリとリストDataverse

案件フォルダと案件リストは、新しく足すものではありません。 足すのは、案件リストの「状態」の列と、骨子・質問を書き戻す列です。担当者はいつもどおり資料を置き、状態を変えるだけで済みます。

土台になるのは、Microsoft Foundry で提供される Azure OpenAI のモデルです。 Azure が販売するモデルは Microsoft の Azure 環境でホストされ、モデルの提供元が運営するサービスとはやり取りしないとされています。入力と出力は他の顧客にもモデルの提供元にも提供されず、許可や指示なしに生成AIの基盤モデルの学習に使われないとされています。オリエン資料には未発表の新商品や販売計画が載るので、この点を最初に確かめます。標準のデプロイでは指定した地域の中で処理されますが、「Global」や「DataZone」の種類では処理の場所が広がるので、デプロイの種類も先に決めます。

資料の読み取りには、Document Intelligence のレイアウト モデルを使います。 v4.0 のレイアウト モデルは、PDFと画像に加えて Word(DOCX)、Excel、PowerPoint(PPTX)、HTML を受け付け、テキスト・表・選択マーク・文書の構造を取り出すとされています。outputContentFormat=markdown を指定すると、見出しや表を残した Markdown で返ります。 段落には title や sectionHeading といった役割が付きます。オリエン資料のどこが「目的」の章で、どこが「予算」の章かを、AIが見出しから追えるのがこの形の利点です。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

案件リストの状態が「骨子依頼」に変わったことを起点にします。 SharePoint コネクタの「アイテムが作成または変更されたとき」は、アイテムが作られたときと、変更されるたびに動くとされています。変更のたびに動くので、フローの最初で状態が「骨子依頼」かどうかを確かめ、それ以外は何もせずに終わらせます。

ファイルを置いたことを起点にしない理由も書いておきます。 オリエン資料は1件で3〜5ファイルに分かれ、メモは打合せの翌日に置かれることもあります。ファイルごとに動かすと、メモが無いまま骨子が作られます。 「全部置いた」と担当者が示す合図として、状態の列を使います。

処理が終わったら状態を「骨子済み」に変え、失敗したら「要確認」にして理由を書きます。 状態が「骨子依頼」のまま残っている案件が、そのまま未処理の数になります。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
オリエン資料オリエンシート、商品の資料、過去の施策の結果、調査、ブランドの指針案件フォルダ
打合せのメモ担当者のメモ、または会議の文字起こしを書き出したテキスト案件フォルダ
案件の基本情報広告主名、担当者、提案の締切、新規か既存か、競合提案か案件リスト
骨子の項目表目的、ターゲット、KPI、予算、スケジュール、提出物、必須事項、NG事項、競合、現状の課題自社で用意する一覧
質問の型項目ごとの、よく聞き返す質問の例自社で用意する一覧

質を決めるのは、下の2つです。 骨子の項目表が無ければ、AIは資料の章立てに沿って要約を作り、「予算」や「NG事項」のように資料に章の無い項目は、そもそも探しません。 項目を決めて渡すから、「書かれていない」が分かります。

質問の型は、ベテランの経験を書き起こしたものです。 「予算に制作費・媒体費・手数料のどれが含まれるか」「KPIの獲得は何を指すか」「競合提案なら何社か」。若手が気づかなかった質問を、型として毎回渡します。

他の広告主の資料は入れません。 同じ業種の広告主を複数担当していることは珍しくありませんが、別の広告主の情報が骨子に混ざることは、機密の漏えいそのものです。 入力は案件フォルダの中だけに限ります。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから使う操作
案件の基本情報と状態案件リストトリガーの出力
案件フォルダのファイルの一覧案件フォルダ「フォルダーを一覧表示する」
各ファイルの中身案件フォルダ「ファイル コンテンツの取得」
資料の MarkdownDocument Intelligenceレイアウト モデルの分析(outputContentFormat=markdown)

分析はすぐには返りません。 公式のサンプルでも、分析は begin_analyze_document で開始して完了を待つ形で書かれています。HTTPで呼ぶフローでは、依頼の後に「結果が出るまで待って取りに行く」ループを置き、待つ回数の上限を決めておきます。

PowerPoint はスライド1枚が1ページの単位として数えられます。 Word と HTML は3,000文字までが1ページの単位です。ファイルの種類によってページの数え方が違うので、費用を見積もるときは資料の形も見ます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 形式の確認 … PDF、画像、DOCX、XLSX、PPTX、HTML 以外はレイアウト モデルに渡せません。古い形式(.ppt、.doc)は担当者に変換を頼みます
  2. ロックの解除 … パスワードでロックされたPDFは、提出前にロックを解除する必要があります
  3. ページ数の確認 … PDFは最大2,000ページまでです。オリエン資料で超えることはまずありませんが、会社案内の冊子が丸ごと付いてくる場合は、関係する章だけにします
  4. 画像だけのページの検出 … Office ファイルの埋め込み画像は読まれません。テキストがほとんど返らなかったスライドを一覧にします
  5. メモの整形 … 文字起こしの「えー」「あの」を除き、話者の名前を「広告主」「当社」にそろえます
  6. ファイルの順序 … オリエンシートを先頭に、補足の資料を後ろに並べ、ファイル名とページ番号を各段落に付けます

4番目を軽く見ないでください。 レイアウト モデルは Word・Excel・PowerPoint・HTML について、埋め込まれたテキストはそのまま取り出すが、埋め込み画像はサポートしないとされています。オリエン資料の PowerPoint では、調査のグラフや過去の施策の結果が画像で貼られていることが多く、その数字は読まれません。 読まれていないページを担当者に示さないと、骨子は「資料に書かれていない」と言い、実は画像の中に書いてあった、ということが起きます。

6番目は、根拠の箇所を示すためです。 「オリエンシート p.3」「商品資料 スライド12」と付いていれば、担当者は確認のときにその箇所だけを開けます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、骨子の項目ごとに記載を拾って出どころを付け、足りないものと食い違うものを質問にし、方向性の骨子を書くことです。

出どころ意味骨子での扱い
orientationオリエン資料に書かれている前提として使う
memo打合せで口頭で出た前提として使うが、資料と食い違えば質問にする
hypothesis資料の数字や文脈から、こちらが読み取った前提にしない。 方向性の根拠として示し、確かめる
missingどこにも無い確認質問にする

hypothesis を分けることが、この構成でいちばん大事です。 資料の調査結果から「既存客は40代が中心」と読み取るのはAIの得意なことで、役に立ちます。ただし、それを「ターゲットは40代」と書いた瞬間、広告主が言っていないことが前提になります。 仮説は仮説として残し、確認質問の材料にします。

させないこと理由
コンセプト、コピー、表現案の作成企画はプランナーの仕事。骨子と混ぜない
書かれていない予算・KPI・期日の補完推測で埋めると、聞くべきことが消える
資料とメモの食い違いをどちらかに決めること広告主に確かめる。社内で決めない
過去の他の広告主の事例の持ち込み機密の混入になる。入力に入れない
広告主の事情の推測(社内の力関係など)メモに書かれたこと以上を書かない
媒体の審査や表示の規制に触れるかの判断別の点検の仕事(UC-0047 など)

2行目がいちばん起きやすい失敗です。 予算が書かれていない資料を渡すと、AIは過去の施策の数字から「予算は3,000万円程度と想定」と書きます。その瞬間、広告主に聞くべき最大の質問が消えます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは広告会社で、広告主のオリエンテーションの資料と打合せのメモを読み、
企画に入る前の「提案の骨子」と「広告主への確認質問」を作る立場です。
企画のアイデア、コンセプト、コピー、表現案は作らないでください。

【骨子の項目】{brief_fields}
目的、ターゲット、KPI、予算、スケジュール、提出物、必須事項、NG事項、競合、現状の課題

【やること】
1. 項目ごとに、資料とメモから記載を拾い、出どころを付けてください。
   - orientation ... オリエン資料に書かれている
   - memo .......... 打合せのメモにある
   - hypothesis .... 資料の数字や文脈から読み取った推定
   - missing ....... どこにも無い
   拾った記載には、ファイル名とページ(またはメモの段落番号)を付け、
   該当する文をそのまま quote に写してください。
2. 資料とメモで食い違う項目を conflicts に挙げてください。
   どちらが正しいかを決めないでください。
3. missing と conflicts、および hypothesis のうち提案の前提に関わるものを、
   広告主に聞く質問にしてください。質問の型 {question_patterns} を参考にしてください。
4. 企画の方向性の骨子を2〜3案書いてください。各案に、根拠にした項目を付けてください。
   hypothesis を根拠にした案には、そのことを明記してください。

【厳守事項】
- 予算、KPI、スケジュール、提出物は、書かれていなければ missing です。
  過去の施策の数字や業界の相場から推定して埋めないでください。
- hypothesis を、ターゲットや目的の記載として書かないでください。
- 資料とメモが食い違うときに、どちらかを採用しないでください。
- 読み取れなかったページ {unread_pages} の内容を推測しないでください。
  そのページに関わる項目は「未読のページに記載がある可能性」と書いてください。
- 渡した資料とメモ以外の情報(他の広告主、一般的な事例)を使わないでください。

【案件の基本情報】{project_info}
【オリエン資料】{orientation_markdown}
【打合せのメモ】{memo}

「企画のアイデアを作らない」を冒頭に置いているのは、置かないと方向性の骨子がキャッチコピーの案になるからです。 骨子に求めているのは「何を狙うか」で、「どう言うか」ではありません。表現まで出てくると、担当者はそれに引っ張られ、前提の確認が後回しになります。

未読のページの扱いを明記しているのは、画像のスライドが多い資料ほど missing が増えるからです。 「書かれていない」と「読めなかった」を分けないと、資料に書いてあることを広告主に聞き返す、恥ずかしい質問が出ます。

Step7

出力形式を固定する

Azure OpenAI の構造化出力で、次の形のJSONに固定して受け取ります。 構造化出力は、推論の呼び出しで渡したJSONスキーマにモデルを従わせる機能で、JSONとして正しいことしか保証しない従来のJSONモードとは違い、スキーマへの厳密な準拠を求められるとされています。

{
  "project_id": "",
  "fields": [
    { "field": "objective | target | kpi | budget | schedule | deliverables | must | ng | competitor | issue",
      "source": "orientation | memo | hypothesis | missing",
      "value": null, "location": null, "quote": null }
  ],
  "conflicts": [
    { "field": "", "orientation_says": "", "memo_says": "" }
  ],
  "questions": [
    { "priority": "must | should", "field": "", "question": "", "why": "" }
  ],
  "directions": [
    { "title": "", "summary": "", "based_on_fields": [""], "uses_hypothesis": false }
  ]
}

スキーマには決まりがあります。 すべての項目を required に入れ、オブジェクトには additionalProperties: false を付けます。missing の項目では value や quote が空になるので、型を null との組にして表します。 スキーマ全体でオブジェクトのプロパティは100個まで、入れ子は5段までです。

1つ目の理由は、必須の項目の空きを規則で拾えることです。

規則(Power Automate が行う)処理
budget・kpi・schedule・deliverables が missing なのに、その field の質問が無い質問の型から must の質問を足す
conflicts がある項目に、質問が無い「資料では〜、打合せでは〜と伺いました。どちらを前提にすればよいでしょうか」を足す
uses_hypothesis が true の方向性骨子のファイルで「仮説に基づく」と見出しに付ける

2つ目の理由は、出どころで骨子の書き分けができることです。 骨子のファイルでは、orientation と memo を前提の欄に、hypothesis を「こちらの読み取り」の欄に分けて書き出します。読む人が、どれが広告主の言葉かを一目で分けられます。

3つ目は、location と quote で確認が速くなることです。 担当者は、資料の該当箇所を開かなくても、拾われた文を読めます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
案件リストSharePoint コネクタのトリガー状態の変更を受ける
案件フォルダSharePoint コネクタファイルの一覧と中身を取る
Document IntelligenceHTTPによるAPI呼び出し資料を Markdown にする
Azure OpenAIHTTPによるAPI呼び出し(構造化出力)項目の記載、食い違い、質問、方向性
案件フォルダSharePoint コネクタ(ファイルを作成する)骨子と質問のファイルを置く
案件リストSharePoint コネクタ(項目を更新する)状態、質問の数、未読のページ数

広告主へのメールは、フローから送りません。 確認質問は案件フォルダのファイルとリストに書き戻すまでで、送るのは担当者です。 質問の言い回しや、どれを今聞くかは、広告主との関係で決まります。

案件リストには、未読のページ数を書き戻します。 数が多い案件は、担当者が骨子を読む前に資料のその部分を自分で見ます。

Step9

人が確認する

担当者が読むのは、骨子のファイルと質問の一覧です。資料を最初から読み直しません。

  1. 未読のページを先に見る … 画像のスライドに、予算や過去の結果が書かれていないかを確かめます
  2. conflicts を読む … 食い違いが本当に食い違いか、メモの書き方の問題かを見ます
  3. hypothesis を確かめる … 仮説の根拠が quote で示されているか、読み取りが飛躍していないかを見ます
  4. 質問を取捨する … must は原則すべて送ります。should は、キックオフの後に回してよいものを外します
  5. 方向性の骨子を直す … キックオフに出す前に、担当者の見立てを足します

1番目を省かないでください。 未読のページに答えがあるのに広告主に聞き返すと、「資料を読んでいない」と受け取られます。 オリエンの直後に送る確認メールは、広告主が代理店の力を測る最初の材料です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
古い形式(.ppt、.doc)の資料レイアウト モデルに渡せない。担当者が新しい形式で保存し直す
パスワード付きのPDFロックを解除する必要がある。広告主に解除した版を依頼
画像だけのスライドが多い未読のページとして一覧にし、担当者が中身を見て要点をメモに足す
メモが置かれていない状態を「要確認」にし、資料だけで骨子を作るかを担当者に確かめる
資料が別の広告主のフォルダに紛れている案件リストの広告主名と資料の表紙を比べ、合わなければ止める
分析の結果がいつまでも出ない上限の回数で打ち切り、状態を「要確認」にする
Azure OpenAI が応答しない・スキーマに合わない状態を「骨子依頼」のまま残し、再実行する
質問が20件を超えるmust だけを先に示し、should は担当者が選ぶ

3行目が、最初の数か月の大半を占めます。 オリエン資料の作り方は広告主ごとに決まっているので、同じ広告主では毎回同じスライドが未読になります。 広告主ごとに「このスライドは画像」という覚え書きを残すと、2回目からの確認が速くなります。

Step11

記録を残す

  • 入力に使った資料のファイル名と版、メモ
  • Document Intelligence が返した Markdown と、未読のページの一覧
  • AIの出力のJSON(fields、conflicts、questions、directions)
  • フローが規則で足した質問と、その理由
  • 担当者が直した後の骨子と、実際に送った質問
  • 広告主からの回答

5つ目で「実際に送った質問」を残すのは、質問の型を育てるためです。 担当者が毎回足している質問は型に加え、毎回外している質問は型から外します。ベテランの聞き方が、数か月で課の型になります。

最後の行は、提案の後で効きます。 プレゼンで「そこは前提が違う」と言われたとき、オリエンで何を聞き、何と答えられたかが残っていれば、どこで食い違ったかを追えます。

04実装レベルの3段階

最小構成:資料の本文とメモを手でAIの画面に貼り、骨子と質問を作らせる / 項目の整理と質問の文
半自動化:上記+資料を読み取りサービスで Markdown にし、未読のページを一覧にする / 資料の書き出しと未読の検出
本格構成:上記+案件リストの状態を起点に自動で動かし、必須の項目の質問を規則で足し、骨子のファイルとリストに書き戻す / 骨子の作成から書き戻しまで

最小構成では、資料の書き出しが手作業で残ります。 30枚の PowerPoint の本文を写すだけで時間がかかり、月40件には使えません。 確かめるための段階です。 半自動化で、1件150分が80分程度になります。 資料の読み込みと書き出しは無くなりますが、AIの画面への貼り付けと、骨子をファイルにまとめる作業が残ります。本格構成で45分になり、この段階が本記事の想定です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の段階で未読のページの一覧を1か月見ると、画像の多い広告主と、その広告主のどのスライドが毎回読まれないかが分かります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
20 名
月間件数
40 件
1件あたり現在時間
150 分
1件あたり導入後時間
45 分
現在  40件 × 150分 ÷ 60 = 100 時間/月
導入後 40件 × 45分 ÷ 60 = 30 時間/月
月間削減時間
70h
削減率
70%
年間削減時間
840h
年間金額換算(時間単価4,500円)
378万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 広告主からオリエンシートを受け取って企画提案をする広告会社・Web制作会社・販促の制作会社。オリエンが月に数十件あり、営業とプランナーが資料の読み込みと整理に半日を使っている場合。提案の後で「そこは聞いていなかった」という前提の食い違いが起き、聞き返すべきことが担当者の経験で決まっている場合。オリエン資料と打合せのメモを案件ごとのフォルダに置く運用ができる場合。
向いていない
  1. オリエンが月に数件で、担当者が資料を時間をかけて読める場合。オリエンが口頭だけで資料が無く、打合せのメモも残らない場合。企画の中身そのもの(コンセプト、表現、コピー)を作らせたい場合(この構成は骨子と確認質問までです)。なお、何を提案するか、広告主に何を聞くかの最終の判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月受けたオリエンから5件を選ぶ(うち2件は、提案の後で前提の食い違いが分かったものを入れる)
  2. その5件について、ベテランのプランナーがどんな質問を広告主に送ったかを集める
  3. 資料の本文を書き出し、メモとあわせて、社内で使える生成AIの画面に貼る
  4. 「目的、ターゲット、KPI、予算、スケジュール、提出物、必須事項、NG事項、競合、現状の課題について、資料に書かれていること・打合せで出たこと・推定・記載なしを分けて整理し、記載なしと食い違いを広告主への質問にしてください。推定で埋めないでください。企画のアイデアは作らないでください」と指示する
  5. 出てきた質問を、ベテランが送った質問と突き合わせる

5件は必ずやってください。 フローを組む前に、「資料とメモを渡せば、聞くべきことが出てくるのか」を確かめます。

出てきた内容判断
ベテランと同じ質問が出た読み取りとフローに進む
予算やKPIを推定で埋めた指示の書き方で直る。構成は有効
前提の食い違いが分かった2件で、食い違いを拾えたこの構成のいちばんの価値が確かめられた
資料に書いてあることを質問にした画像のページの扱いが先。 未読のページを示す

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
仮説が前提として骨子に入る出どころを4つに分け、hypothesis を前提の欄に書かない
予算やKPIを推定で埋める指示で禁じ、必須の4項目は規則で質問を足す
画像のスライドの中身が読まれない埋め込み画像はサポートされない。未読のページを一覧にして示す
資料に書いてあることを質問にする未読のページを指示に渡し、「読めなかった」と「書いていない」を分ける
方向性の骨子がコピーの案になる冒頭で企画のアイデアを禁じる
メモが無いまま骨子が作られるファイルの保存ではなく、状態の変更を起点にする
状態の変更以外でもフローが動くトリガーは変更のたびに動く。最初に状態を確かめて終わらせる
分析の結果がなかなか返らない待って取りに行くループを置き、上限の回数を決める
別の広告主の資料が混ざる入力は案件フォルダの中だけ。表紙の広告主名を確かめる
質問が多すぎて送れないmust と should に分け、must を先に送る

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、広告主が言っていないことが骨子の前提になることから起きます。出どころを分けることと、必須の項目を規則で守ることの2つで防ぎます。

3行目と4行目は、組み合わさって起きます。 画像のスライドを読めないまま「記載なし」とし、その質問を広告主に送ると、資料を読んでいない代理店に見えます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 広告主の未発表の新商品の情報、販売計画、過去の施策の結果、予算、そして打合せで口頭で出た社内の事情です。オリエン資料の多くは、広告主との秘密保持の取り決めの対象です。

  1. 広告主との取り決めを先に確かめる … オリエン資料を外部のサービスで処理してよいかは、秘密保持の取り決めに照らして確かめてください。 取り決めによっては、処理の場所の指定や、事前の同意が要ります
  2. 処理の場所を決める … 標準のデプロイは指定した地域の中で処理されますが、「Global」「DataZone」では処理の場所が広がります
  3. 広告主をまたいで情報を混ぜない … 入力は案件フォルダの中だけに限り、過去の他の広告主の事例をAIに渡しません。 競合する広告主を同じ会社で担当している場合は特に重要です
  4. メモの扱いに気をつける … 打合せのメモには、広告主の担当者の個人的な発言や社内の事情が入ります。骨子のファイルに写すのは提案に関わる記載だけにし、メモそのものは案件フォルダの外に出しません
  5. 確認の質問を自動で送らない … 出すのは下書きまでです。どれを今聞くかは、広告主との関係で担当者が決めます
  6. 骨子を事実として社外に出さない … 骨子には hypothesis が含まれます。広告主に見せる資料に転用するときは、仮説の部分を外すか、仮説と明記します

誤りが起きた場合のリスクは、広告主が言っていないことを前提に提案することと、別の広告主の情報が混ざることの2つです。 前者は出どころの区別で、後者は入力の範囲で防ぎます。どちらも設計の最初に決めておけば、運用で守れます。

10まず何から始めるか

1週目:骨子の項目表と質問の型を作る

ベテランのプランナー2名と、骨子の10項目と、項目ごとによく聞き返す質問を書き出します。過去の確認メールを5〜10通集めると、質問の型はほとんどそろいます。

2週目:5件で試す

先月のオリエンから5件を選び、資料の本文とメモを貼って骨子と質問を作らせます。ベテランの質問と突き合わせ、予算やKPIを推定で埋めていないかを最優先で見ます。

3週目:案件リストに列を足す

案件リストに、状態の列(骨子依頼・骨子済み・要確認)と、質問の数・未読のページ数の列を足します。広告主との秘密保持の取り決めを確かめ、Azure のデプロイの種類を決めます。

4週目:読み取りから骨子のファイルまでをつなぐ

Power Automate で状態の変更を受け、資料を Markdown にし、AIに骨子と質問を作らせて案件フォルダに書き出すところまで作ります。この時点では規則で質問を足す処理を入れず、AIだけで何が抜けるかを見ます。

2か月目: 必須の4項目の規則と、未読のページの一覧を足します。担当者が足した質問と外した質問を毎週数えます。3か月目以降: 質問の型を見直し、1件150分が何分になったかを実測します。オリエンの翌日に確認の質問を返すのが課の当たり前になった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-06/最終更新:2026-10-06
確認した内容情報源確認日
Azure が販売するモデルが Azure 環境でホストされ、モデルの提供元のサービスとやり取りしないこと。入力と出力が他の顧客や提供元に提供されず、許可なく基盤モデルの学習に使われないこと。Global と DataZone のデプロイで処理の場所が広がることMicrosoft Learn: Data, privacy, and security for Foundry Models sold by Azure2026-10-06
構造化出力がJSONスキーマへの厳密な準拠を求められ、JSONモードと違うこと。全項目を required にし、additionalProperties を false にすること。null との組で省略可能な項目を表すこと。プロパティ100個・入れ子5段までであることMicrosoft Learn: How to use structured outputs with Azure OpenAI2026-10-06
v4.0 のレイアウト モデルが PDF・画像・DOCX・XLSX・PPTX・HTML を受け付けること。outputContentFormat=markdown で Markdown を返すこと。段落の役割(title、sectionHeading など)。Office ファイルの埋め込み画像がサポートされないこと。PPTX はスライド1枚、DOCX と HTML は3,000文字が1ページ単位であること。PDFは最大2,000ページで、パスワードのロックは解除が必要なこと。サンプルで分析を begin_analyze_document で開始することMicrosoft Learn: ドキュメント レイアウト分析2026-10-06
トリガー「アイテムが作成または変更されたとき」が作成時と変更のたびに動くこと。「フォルダーを一覧表示する」「ファイル コンテンツの取得」「ファイルを作成する」「項目を更新する」の操作Microsoft Learn: SharePoint コネクタ2026-10-06

オリエン資料を外部のサービスで処理してよいかは、広告主との取り決めに照らして確かめてください。 本記事は上記の公開資料で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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