Media > AI活用ユースケース > 品質管理 > 農協の営農指導員が組合員の圃場を回った記録とメモから、Copilot で巡回の報告書と組合員ごとの次の指導事項をまとめる

農協の営農指導員が組合員の圃場を回った記録とメモから、Copilot で巡回の報告書と組合員ごとの次の指導事項をまとめる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

営農指導員が圃場を回って OneNote に残したメモから、Copilot で1回ごとの巡回の報告と、組合員ごとの次の指導事項の一覧を作ります。月末には、地区の巡回報告書の下書きにまとめます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
その他
対象部門
品質管理/営業
対象業務
要約/記録・議事録作成
主な課題
属人化している/引き継ぎができていない/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
要約
主な効果
品質標準化/属人化解消/工数削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
条件付き
現在工数
120h/月
AI導入後
50h/月
想定削減
58%
年間削減
840h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 指導員が圃場で、スマートフォンの OneNote に観察と伝えたことを書き、写真を貼る
  2. 事務所に戻り、メモを1回ごとの報告の様式に書き直す
  3. 次の巡回の前に、その組合員の過去のページを遡って、前回伝えたことを探す
  4. 月末に、自分の担当の地区の巡回を見返して、地区の傾向を書く
  5. 課長が8名分の地区の報告を読み、営農センターの巡回報告書にまとめる
  6. 販売課に巡回報告書を回す
導入後(After)
  1. 人指導員が圃場で、OneNote の巡回のひな形のページに観察と伝えたことを書く(写真は貼るが、記録は文字で書く)
  2. 【Copilot】 事務所で、その日のページを開き、Copilot で報告の項目に沿った要約を作る
  3. 人指導員が要約を確かめ、ページの末尾の「報告」の欄に貼る
  4. 【Copilot】 次の巡回の前日に、その組合員のセクションから、前回までの指導で確認が残っている事項の一覧を作る
  5. 人指導員が一覧を確かめ、翌日の巡回で確かめる事項に印を付ける
  6. 【Copilot】 月末に、指導員ごとのノートブック(Copilot Notebooks)で、当月の巡回のページから地区の報告の下書きを作る
  7. 人指導員が下書きを確かめて課長に出し、課長が8地区分を営農センターの報告書にまとめる
各工程の詳しい説明を読む
  1. 指導員が圃場で、スマートフォンの OneNote に観察と伝えたことを書き、写真を貼る
  2. 事務所に戻り、メモを1回ごとの報告の様式に書き直す
  3. 次の巡回の前に、その組合員の過去のページを遡って、前回伝えたことを探す
  4. 月末に、自分の担当の地区の巡回を見返して、地区の傾向を書く
  5. 課長が8名分の地区の報告を読み、営農センターの巡回報告書にまとめる
  6. 販売課に巡回報告書を回す

(a)メモの書き直しが二度手間。 メモには必要なことが書いてあるのに、様式の項目の順に並べ直す作業が毎回発生します。1日5件なら、それだけで夕方の1時間近くが消えます。

(b)前回の指導を探すのに時間がかかる。 組合員のページは日付順に積み重なり、前回「次は確認する」と書いたことが、何ページ前にあるかを探すことになります。 探しきれずに、前回の指導に触れないまま次の話をすることがあります。

(c)担当が替わると経緯が途切れる。 人事異動や地区の担当替えのたびに、新しい指導員は前任のメモを読み込む必要があります。書き方が人によって違い、何が未解決で何が済んだのかが読み取れません。

(d)月末の報告が課長の仕事に偏る。 8名分の地区の報告を課長が読み、営農センターの報告書にまとめます。月末の数日、課長の時間がほぼこれに取られ、販売課への報告が遅れます。

  1. 【人】 指導員が圃場で、OneNote の巡回のひな形のページに観察と伝えたことを書く(写真は貼るが、記録は文字で書く)
  2. 【Copilot】 事務所で、その日のページを開き、Copilot で報告の項目に沿った要約を作る
  3. 【人】 指導員が要約を確かめ、ページの末尾の「報告」の欄に貼る
  4. 【Copilot】 次の巡回の前日に、その組合員のセクションから、前回までの指導で確認が残っている事項の一覧を作る
  5. 【人】 指導員が一覧を確かめ、翌日の巡回で確かめる事項に印を付ける
  6. 【Copilot】 月末に、指導員ごとのノートブック(Copilot Notebooks)で、当月の巡回のページから地区の報告の下書きを作る
  7. 【人】 指導員が下書きを確かめて課長に出し、課長が8地区分を営農センターの報告書にまとめる

2番目と4番目を分けているのは、使う範囲が違うからです。 報告の要約はその日のページだけ、次の指導事項はその組合員のセクション全体から作ります。範囲を混ぜると、別の組合員の指導が紛れ込みます。

6番目だけ Copilot Notebooks を使うのは、範囲を当月のページに閉じるためです。 地区の報告は8名×月75件のページを見渡す仕事で、参照を当月のページに限ったノートブックを作れば、前月以前や他の地区の記録が混ざりません。

02今回想定するシステム構成

構成図
圃場(スマートフォンの OneNote で巡回のひな形のページに記録)
   ▼ 自動で同期
OneNote のノートブック「巡回記録_指導員名」(SharePoint)
   ├─ セクショングループ:地区
   │    └─ セクション:組合員(ページ:巡回1回分)
   ▼【トリガー①】巡回の当日の夕方、指導員がページを開く
Copilot in OneNote ── ページを報告の項目に沿って要約
   ▼【トリガー②】次の巡回の前日
Copilot in OneNote ── 組合員のセクションから、確認が残っている指導事項の一覧
   ▼【トリガー③】月末
Copilot Notebooks(指導員ごと・月ごと)
   │  参照:当月の巡回のページ/地区の報告の様式/当月の防除暦
   ▼
地区の報告の下書き ──【指導員が確認】──▶ 課長が営農センターの報告書にまとめる ──▶ 販売課
役割想定する製品代替候補
処理Microsoft Copilot(Copilot in OneNote と Copilot Notebooks)ChatGPT Enterprise、Gemini、Claude
保管OneNote のノートブック(SharePoint)社内のファイルサーバー
共有Microsoft Teams(営農指導課のチャネル)Outlook のメール

新しく足すのは、指導員8名と課長の Copilot のライセンスだけです。 OneNote はすでに使っているので、最初の準備は、巡回のひな形のページを作ることと、ノートブックを「地区 → 組合員」の並びに整理し直すことです。

OneNote の Copilot を選ぶのは、記録がすでに OneNote にあるからです。 公式のページでは、Copilot in OneNote はセクション、選んだ文、特定の話題について要約でき、セクション全体の要約が既定とされています。また、メモ・ページ・セクションからやることの一覧を作れるとされています。報告の要約と次の指導事項の一覧が、この2つの機能にそのまま当たります。

ただし、使える範囲は端末で違います。 公式のページでは、Windows では一般の対象の Microsoft 365 のサブスクリプションでも使え、Mac・iPad・Web・Teams では Copilot のライセンスが要るとされています。Mac・iPad・Web・Teams ではセクションとノートブックの単位の文脈は「近日」とされているので、セクション全体を見る4番目の作業は、事務所の Windows のパソコンで行います。 圃場のスマートフォンでは、記録を書くだけにします。

月末の地区の報告に Copilot Notebooks を使うのは、OneNote のページを参照に加えられるからです。 公式のページでは、ノートブックの参照に OneNote のページを加えられ、ノートブックの Copilot は加えた参照だけを使って答えるとされています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

起点は3つあり、どれも指導員が自分で動かします。

起点いつ何をするか
① 巡回の当日事務所に戻った夕方その日のページを報告の項目に沿って要約する
② 次の巡回の前日翌日の巡回の予定を立てるとき訪ねる組合員のセクションから、確認が残っている指導事項の一覧を作る
③ 月末最終営業日の前日当月のページを参照にしたノートブックで、地区の報告の下書きを作る

①を当日のうちに済ませるのは、記憶が新しいうちに要約を確かめるためです。 メモに書き漏らしたことがあれば、その日なら足せます。翌週になると、要約がメモの範囲を超えていないかを、もう確かめられません。

③を最終営業日の前日にするのは、下書きの確認と課長のまとめに1日を残すためです。 月末の最後の巡回のページは、翌月の初日に足して作り直します。販売課への報告を翌月の第2営業日までに出すことを、課の決まりにします。

②は翌日訪ねる組合員の分だけ行います。 担当の組合員全員の一覧を毎日作る必要はありません。巡回の予定は Outlook の予定表に組合員の名前で入れているので、予定表を見ながら、その組合員のセクションを開いて指示を出します。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
巡回のページ日付、組合員、圃場、作物と品種、生育の具合、病害虫、土・水の状態、作業の進み具合、伝えたこと、次の確認、写真OneNote(巡回のひな形)
組合員のセクションその組合員の過去の巡回のページOneNote
地区の報告の様式見出しと書く項目(生育の傾向、病害虫、共通の指導事項、出荷への影響、翌月の重点)Word(営農指導課で1つ)
当月の防除暦作物ごとの当月の防除の時期の目安営農センターが配る PDF

質を決めるのは、巡回のひな形です。 見出しを決めたページに書けば、Copilot は見出しを手がかりに項目へ並べられます。見出しの無い走り書きのメモでは、どの文が観察で、どの文が伝えたことかを取り違えます。

ひな形の見出しは、次の8つにします。 「伝えたこと」と「次の確認」を分けて書くことが、②の一覧の質を決めます。「次の確認」に書いたことが、次の巡回で確かめる事項になります。

見出し書くこと書き方の例
圃場・作物圃場の呼び名、作物と品種、作型東3(水稲・コシヒカリ)
生育生育の具合と、平年との比べ草丈やや低い。平年より5日ほど遅い
病害虫見た症状と範囲。病名は分かるときだけ下葉に褐色の病斑。株の2割ほど
土・水土の乾き、水の管理、排水畝間に水がたまっている
作業の進み具合施肥・防除・収穫などの済・未追肥は済。防除は未
組合員の話組合員から聞いたこと、相談乾燥機の空きが心配
伝えたこと指導員が伝えたこと排水の溝を切るよう伝えた
次の確認次の巡回で確かめること溝の手当て(次回)

「次の確認」には、確かめることを1行に1つ書きます。 1行に2つ書くと、後のページで片方だけ「済」と書いたときに、もう片方が一覧から消えます。

写真は貼りますが、Copilot の材料にはしません。 公式のページは、OneNote の Copilot が画像や手書きを読むかどうかを書いていません。写真に写った病斑の様子は、指導員が「下葉に褐色の病斑。株の2割ほど」のように文字でも書きます。

Step3

データの取得方法を決める

材料はすべて OneNote と、ノートブックの参照の中にあります。 外のシステムからは取りません。

取るものどこから取り方
その日の巡回のページ組合員のセクションページを開き、Copilot のペインで指示を出す
その組合員の過去の記録組合員のセクションセクションを選んで指示を出す(Windows)
当月の巡回のページ指導員のノートブック月ごとのノートブックの参照に、当月のページを加える
様式と防除暦SharePointノートブックの参照に、ファイルとして直接加える

月ごとのノートブックには、当月のページだけを加えます。 公式のページでは、参照の根拠に使われるのは最初の300まで(Copilot Chat の利用者は50まで)とされています。指導員1名の月の巡回は75件前後なので、当月のページと様式と防除暦を加えても足ります。 ノートブックを指導員ごと・月ごとに分けるのは、この数に収めるためでもあります。

参照に加えたファイルが変わると、答えもそれに沿うとされているので、月末に下書きを作った後で巡回のページを書き直したら、下書きを作り直します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. ひな形で書く … 新しいページは必ず巡回のひな形から作ります。走り書きのメモは、その日のうちに見出しの下へ移します
  2. 組合員のセクションに置く … ページを書いた場所が地区のセクションのままだと、②の一覧に入りません。移し忘れは、その日の要約のときに確かめます
  3. 同期を確かめる … 圃場で電波が弱いと、スマートフォンの記録が同期されていないことがあります。事務所で要約する前に、ページが届いているかを見ます
  4. 写真の内容を文字でも書く … 病斑・食害・生育の様子は、写真とは別に文字で残します
  5. 組合員の電話番号・口座などを書かない … 巡回のページには、指導に要らない個人の情報を書きません

2番目が、運用でいちばん崩れやすい点です。 1日に何件も回ると、ページを地区のセクションにまとめて書いてしまいます。組合員のセクションに無いページは、次の巡回の前の一覧から漏れます。

Step5

AIに処理させる

させることは3つです。1回ごとの報告の要約、組合員ごとの確認が残っている指導事項の一覧、月末の地区の報告の下書きです。

作業範囲出すもの
報告の要約その日のページ報告の8項目に沿った箇条書き
確認が残っている指導事項その組合員のセクション「次の確認」に書かれ、後のページで済んだと書かれていない事項の一覧
地区の報告の下書き当月のページ・様式・防除暦様式の見出しに沿った下書き

2つ目が、この構成でいちばん役に立つところです。 「次の確認」に書いた事項のうち、後の巡回のページで「確認した」「済」と書かれたものを除き、残っているものだけを日付つきで並べさせます。 指導員はこの一覧を持って翌日の圃場に行きます。

後のページの書き方一覧での扱い
「済」「確認した」「解消」と同じ事項に書いてある一覧から除く
「まだ」「未」「次回また」と書いてある残す(最新のページの日付を添える)
同じ事項に触れていない残す
触れているが済んだかが読み取れない残し、(済んだかの記載なし)を付ける

除く条件を「済と書いてあるとき」だけに絞っているのは、意図してのことです。 「触れていない」を済んだと扱うと、巡回のたびに書き忘れた事項がすべて消えます。

させないこと理由
病害虫の診断・病名の推定診断は指導員が圃場で行う。メモに書かれた病名だけを使う
農薬の名前・使用時期・回数の書き足し使い方は登録の内容で決まる。メモに書かれたものだけを写す
メモに無い観察の補い「おそらく水不足」のような推測で埋めると、記録が事実でなくなる
組合員への評価「指導を守らない」などの記述は報告に要らない
出荷量の数値の予測地区の報告の「出荷への影響」は、指導員がメモに書いた見込みだけを写す

2行目がいちばん大事です。 防除暦を参照に入れているため、何も言わないと、メモに「病斑あり」としか書いていないページに、防除暦の薬剤の名前を書き足すことがあります。 防除暦は地区の報告で「当月の防除の時期の目安」を書くときだけに使わせ、個別の組合員の指導事項には使わせません。

Step6

指示内容を固定する

① 報告の要約(その日のページで)

このページは、営農指導員が組合員の圃場を巡回したときの記録です。
このページに書かれていることだけを使って、次の8項目の報告にまとめてください。
圃場・作物/生育/病害虫/土・水/作業の進み具合/組合員の話/伝えたこと/次の確認
- 各項目は箇条書きで、メモの言葉をなるべくそのまま使ってください。
- ページに書かれていない項目は「記載なし」としてください。推測で埋めないでください。
- 病名・農薬の名前・使用時期・使用回数は、ページに書かれているものだけを書いてください。
- 写真の内容は使わないでください。

② 確認が残っている指導事項(組合員のセクションで)

このセクションは、1人の組合員の巡回の記録です。
各ページの「次の確認」に書かれた事項を、古い順にすべて拾ってください。
そのうち、後の日付のページで「確認した」「済」「解消」と書かれた事項を除き、
残っている事項だけを、次の形で一覧にしてください。
書いた日付|事項|書いてあったページの日付
- 「次の確認」以外の見出しから事項を作らないでください。
- 済んだかどうかがページから読み取れない事項は、残っているものとして一覧に入れ、
  末尾に(済んだかの記載なし)と書いてください。
- 新しい指導の提案はしないでください。

③ 地区の報告の下書き(月ごとのノートブックで)

このノートブックの参照のうち、次のものだけを使ってください。
- 当月の巡回のページ
- 地区の報告の様式(Word)
- 当月の防除暦(PDF)
様式の見出しの順に、地区の報告の下書きを作ってください。
- 生育の傾向:作物ごとに、ページに書かれた生育の具合を「早い/平年並み/遅い」の記載で数え、
  件数とページの日付・組合員を添えてください。記載の無いページは数えないでください。
- 病害虫:ページに書かれた病害虫の名前ごとに、書かれたページの件数と地区を挙げてください。
- 共通の指導事項:3件以上のページの「伝えたこと」に共通するものを挙げてください。
- 当月の防除の時期の目安:防除暦から、当月の部分だけを写してください。
- 出荷への影響:ページに指導員が書いた見込みだけを写してください。予測しないでください。
- 組合員の氏名は書かず、地区と組合員の番号で示してください。

②の「済んだかの記載なし」を残させるのは、確認の漏れを指導員に見せるためです。 何も言わないと、済んだかどうか分からない事項を黙って落とします。落ちた事項は、二度と誰も確かめません。

③で件数を数えさせていますが、これは目安です。 数えた件数には必ずページの日付を添えさせ、指導員が多すぎる・少なすぎると感じたら、ページで確かめます。 正確な件数が要るなら、ひな形の「生育」の欄を選択式にして別に数えます。

Step7

出力形式を固定する

報告と一覧は、OneNote のページの末尾にそのまま貼れる箇条書きで受け取ります。 システムに渡すものではないので、JSON にはしません。

【報告】2026-10-08 組合員 No.0412 圃場:東3(水稲・コシヒカリ)
・生育:刈取り適期。籾の黄化率は9割ほど
・病害虫:記載なし
・土・水:落水済み。田面は乾いている
・作業の進み具合:コンバインの予約は10/12
・組合員の話:乾燥機の空きが心配
・伝えたこと:刈取り後、稲わらのすき込みを早めに
・次の確認:すき込みの実施(次回巡回時)
【確認が残っている指導事項】組合員 No.0412
・2026-08-21|西1のネギ、下葉の病斑の広がり|08-21のページ
・2026-09-15|堆肥の搬入の時期の相談(済んだかの記載なし)|09-15のページ

見出しの形を固定するのは、担当替えのときに読めるようにするためです。 前任の指導員の記録でも、【報告】と【確認が残っている指導事項】の見出しで追えば、何が未解決で何が済んだかが読み取れます。 第3章の(c)は、ここで減ります。

地区の報告の下書きは、様式の Word に貼ります。 課長は8地区分を同じ見出しで受け取り、営農センターの報告書にまとめます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
OneNote(スマートフォン)指導員が書く巡回のひな形のページ
OneNote(事務所の Windows)Copilot のペイン報告の要約と、確認が残っている指導事項の一覧
Copilot Notebooks参照に当月のページ・様式・防除暦地区の報告の下書き
Outlook の予定表指導員が見る翌日訪ねる組合員を確かめる
販売課課長が送る営農センターの巡回報告書

組合員の台帳や出荷のシステムとはつなぎません。 報告の内容を組合員の台帳に写す必要があれば、従来どおり人が行います。この構成が出すのは、報告と一覧と下書きまでです。

Step9

人が確認する

  1. 報告の要約は、メモと見比べる … 「記載なし」の項目が本当にメモに無いか、メモに無いことが書かれていないかを見ます。病名と農薬の名前は1つずつ見ます
  2. 確認が残っている指導事項は、件数を見る … 「次の確認」の数と大きくずれていないかを見ます。(済んだかの記載なし)の事項は、翌日の巡回で確かめます
  3. 地区の報告の下書きは、件数をページで確かめる … 多い病害虫の件数は、ページの日付で2〜3件を抜き取って確かめます
  4. 課長は、8地区の「出荷への影響」を見比べる … 指導員の見込みが地区で大きく違えば、販売課に回す前に聞きます

1番目の病名と農薬の名前の確認は、省かないでください。 報告に書かれた農薬の名前は、組合員への指導の記録として残ります。メモに無い薬剤の名前が報告に入ると、指導員が指導していないことを指導したことになります。

目標は、1件5分です。 要約の確認に3分、翌日の一覧の確認と月末の下書きの確認の割り戻しで2分を見込みます。

課長は、月に1回、指導員ごとに一覧を1つ抜き取って見ます。 (済んだかの記載なし)が多い指導員は、「次の確認」を書いたあと次の巡回で結果を書いていません。記録の書き方を合わせる話は、AIの確認とは別に、課の打合せで行います。

Step10

例外に対処する

起きること対応
ページが組合員のセクションに無い要約のときに移す。一覧を作る前にセクションを確かめる
スマートフォンの記録が同期されていない事務所で同期を待ってから要約する
見出しの無い走り書きのメモひな形の見出しの下へ移してから要約する
要約にメモに無い病名・農薬の名前が出る消して、指示の禁止を確かめて出し直す
一覧に別の組合員の事項が混ざるセクションの中に別の組合員のページが紛れていないかを見る
指導員の担当替え前任の組合員のセクションごと新しい指導員のノートブックに移し、一覧を作り直す
Copilot のペインが出ないライセンスと端末を確かめる。Windows 以外ではセクション単位の要約を行わない
月のページ数が多く参照に入りきらない地区ごとにノートブックを分ける
1つのページに2戸分を書いてしまったページを分けてから、それぞれの組合員のセクションへ移す
組合員が圃場を貸し借りして作り手が替わった圃場の呼び名は変えず、新しい作り手のセクションに「引継ぎ」のページを作る

5行目が出たら、たいていはページの置き場所の問題です。 同じ日に回った隣の組合員のページが、同じセクションに入っています。Copilot の問題ではなく、前処理の2番目の問題です。

Step11

記録を残す

  • 巡回のページ(メモ、写真、貼った報告)
  • 確認が残っている指導事項の一覧(巡回の前日に作ったもの)
  • 地区の報告の下書きと、課長がまとめた営農センターの報告書
  • 要約を指導員が直した記録 … メモに無いことが書かれていた件数

巡回のページは、組合員ごとの指導の履歴として残します。 担当が替わっても、組合員のセクションを開けば経緯が読めることが、この構成の大きな狙いです。

4つ目の「直した記録」は、ページの末尾に一行で残します。 「要約修正:農薬名を削除」のように書いておけば、月末に課長がノートブックで件数を拾え、指示のどこを強めるべきかが分かります。 同じ直しが続くなら、ひな形か指示のどちらかを直します。

Copilot とのやり取りも残ります。 公式のページでは、OneNote を含むアプリでの Copilot とのやり取りは利用履歴として保存され、管理者は Microsoft Purview で保持のポリシーを設定できるとされています。ただし、ノートブックの削除は現在は元に戻せないとされているので、月ごとのノートブックは消さずに残し、報告書の正本は Word のファイルにします。

04実装レベルの3段階

最小構成:指導員1名の過去のページで、要約と一覧を試す / 指示とひな形の確かめ
半自動化:8名がひな形で記録し、当日の要約・前日の一覧・月末の下書きを回す / 報告の要約、確認の残りの一覧、地区の報告の下書き
本格構成:上記+ひな形の「生育」「病害虫」を選択式の欄にして件数を別に集計し、販売課の出荷の計画の表に地区の傾向を渡す / 件数の集計と、販売課への引き渡し

本記事の想定は半自動化です。 1件12分が5分になるのはこの段階で、書き直しと探し物が、要約と一覧の確認に置き換わるためです。 本格構成で足すのは、件数の正確さです。 地区の報告の件数を Copilot に数えさせるのは目安で、販売課の計画に使う数字にするなら、選択式の欄を別に数える仕組みが要ります。 段階を飛ばさず、半自動化の間にひな形の見出しを固めます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
8 名
月間件数
600 件
1件あたり現在時間
12 分
1件あたり導入後時間
5 分
現在  600件 × 12分 ÷ 60 = 120 時間/月
導入後 600件 × 5分 ÷ 60 = 50 時間/月
月間削減時間
70h
削減率
58%
年間削減時間
840h
年間金額換算(時間単価3,000円)
252万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 営農指導員が担当の地区の組合員の圃場を定期的に回り、生育・病害虫・施肥の状況を見て指導している農協(JA)や、生産者を回って栽培の指導をする出荷団体・農業法人の指導部門。巡回のメモは残しているのに、報告書の様式への書き直しと、組合員ごとに前回何を指導したかの見返しに時間がかかっている場合。Microsoft 365 を使っており、指導員がスマートフォンと事務所のパソコンで OneNote を使える場合。
向いていない
  1. 巡回の記録を専用の営農支援システムに入力しており、報告書もそこから出せる場合。巡回のメモが紙の手書きだけで、文字で残す運用に変えられない場合(この構成は写真や手書きの読み取りを前提にしていません)。指導員が1〜2名で巡回の件数も少なく、報告書を手で書いても負担にならない場合。なお、農薬の選定・使用時期・使用回数の判断、病害虫の診断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 指導員1名の、先月の巡回のページを10件選ぶ(「次の確認」を書いたもの、病害虫の記載があるものを必ず入れる)
  2. 10件それぞれで、第7章の①の指示を出し、要約をメモと見比べる
  3. 3名の組合員のセクションで②の指示を出し、確認が残っている事項を指導員の記憶と照らす
  4. メモに無い病名・農薬の名前が要約に出なかったかを数える

10件と3名分で十分です。 見るのは、メモの範囲を超えて書かないかと、確認の残りを落とさないかの2点です。

出てきた内容判断
要約がメモの範囲に収まり、残りの事項も合っているひな形を全員に配る準備に進む
メモに無い病名・農薬の名前が出た指示で禁じる。直るまで広げない
見出しが無くて項目に分けられなかったひな形を先に作る

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
要約にメモに無い農薬の名前が出る指示で禁じ、防除暦は月末の地区の報告にだけ使う
確認の残りが黙って落ちる「済んだかの記載なし」として残させる
ページが組合員のセクションに無いその日の要約のときに置き場所を確かめる
走り書きで項目に分けられないひな形の見出しの下に書く
写真の病斑の様子が報告に入らない写真の内容を文字でも書く
Mac・iPad でセクションの要約ができないセクション単位の作業は Windows で行う
地区の報告の件数が合わない件数は目安。正確な数は選択式の欄で別に数える
月末に前月のページが混ざる月ごとのノートブックに当月のページだけを加える
ノートブックを消してしまう削除は元に戻せないとされる。消さずに残す
「次の確認」に2つ以上の事項を1行で書く1行に1つにする。片方だけ済んだときに一覧から消える
触れていない事項を済んだと扱う除くのは「済」と書かれたときだけにする

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも「AIが書き足す」か「AIが落とす」かの問題で、メモの範囲だけを使わせ、分からないものは分からないと残させることで防ぎます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 組合員の氏名と番号、圃場の場所、作付けの作物、生育と病害虫の状況、組合員との会話の内容です。組合員の経営の状況が読み取れる記録です。

  1. ノートブックの権限を指導員と課長に限る … 公式のページでは、Microsoft Copilot はユーザーが少なくとも閲覧の権限を持つ組織のデータだけを示すとされています。他の地区の組合員の記録が見えないよう、指導員ごとのノートブックの権限を絞ります
  2. 指導に要らない個人の情報を書かない … 電話番号、口座、家族の事情は、巡回のページに書きません
  3. 学習に使われないことと、保存されることを分けて理解する … 公式のページでは、プロンプト、応答、Microsoft Graph を通じてアクセスしたデータは基盤のモデルの学習に使われないとされています。一方で、やり取りは利用履歴として保存されます
  4. 農薬の指導を AI に書かせない … 農薬の使い方は登録の内容で決まっています。報告や一覧に、メモに無い薬剤の名前・時期・回数が入らないことを、確認の最優先にします
  5. 組合員の評価に使わない … 「指導を守らない組合員」のような記述を、報告にも一覧にも書かせません
  6. 担当替えのときの引き継ぎの範囲を決める … 組合員のセクションごと移すため、前任の指導員の権限は外し、新しい指導員だけが見られるようにします

誤りが起きた場合のリスクは、指導していないことを指導した記録が残ることと、確認すべきことを確認しないまま次の作期に進むことの2つです。 前者はメモの範囲を超えさせないことで、後者は確認の残りを落とさせないことで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:ひな形を作る

巡回のひな形のページを、8つの見出しで作ります。「伝えたこと」と「次の確認」を分けるのが要点です。協力してくれる指導員1名のノートブックを「地区 → 組合員」に並べ直します。

2週目:過去のページで試す

その指導員の先月のページ10件と、組合員3名分のセクションで、第7章の①と②の指示を試します。メモに無い病名・農薬の名前が出ないか、確認の残りを落とさないかを最優先で見ます。

3週目:1名で今月の巡回に使う

その指導員が、今月の巡回をひな形で記録し、当日の要約と前日の一覧を回します。一覧を持って行った巡回で、前回の指導から話を始められたかを聞きます。

4週目:月末の下書きを試す

月ごとのノートブックを作り、当月のページと様式と防除暦を参照に入れて、地区の報告の下書きを作ります。課長が従来の報告と見比べます。

2か月目: 8名に広げ、ひな形と指示を全員で使います。3か月目以降: 1件12分が何分になったかを指導員に聞き、ひな形の見出しを直します。担当替えの後に、新しい指導員が組合員のセクションと一覧だけで前任の指導の続きを始められた時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-15/最終更新:2026-10-23
確認した内容情報源確認日
Copilot in OneNote がセクション・選んだ文・特定の話題について要約でき、セクション全体の要約が既定なこと。メモ・ページ・セクションからやることの一覧を作れること。Mac・iPad・Web・Teams ではセクションとノートブックの単位の文脈が「近日」とされていること。Windows では一般の対象の Microsoft 365 のサブスクリプションでも使え、ほかの端末では Copilot のライセンスが要ること。画像・手書きを読むかの記載が無いことMicrosoft Support: Welcome to Copilot in OneNote2026-10-15
ノートブックの Copilot が加えた参照だけを使って答えること。ノートブックの削除が現在は元に戻せないこと。利用に Copilot か Copilot Chat のライセンスが要り、作成に SharePoint か OneDrive のライセンスが要ることMicrosoft Support: How Microsoft Copilot Notebooks works2026-10-15
ノートブックの参照に OneNote のページや .docx・.pdf などを加えられること。根拠に使われる参照が最初の300まで(Copilot Chat の利用者は50まで)なこと。参照のデータが変わると答えもそれに沿うことMicrosoft Support: Add reference files to your Copilot Notebooks2026-10-15
ノートブックの作成の手順と、参照の加え方(アップロード、OneDrive から選ぶ、ドラッグ)Microsoft Support: Get started with Copilot Notebooks2026-10-15
Microsoft Copilot がユーザーが少なくとも閲覧の権限を持つデータだけを示すこと。プロンプト・応答・Graph のデータが基盤のモデルの学習に使われないこと。OneNote を含むアプリでのやり取りが利用履歴として保存され、Purview で保持のポリシーを設定できることMicrosoft Learn: Data, Privacy, and Security for Microsoft Copilot2026-10-15

農薬の使用と病害虫の診断は、登録の内容と指導員の判断で行ってください。 本記事は公式のページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

自社の業務に使えるAI活用候補を整理します

このユースケース(UC-1676)についてのご相談はこちらから。

AI活用について相談する
目次