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製造ラインの交代のときに、前の直の設備アラーム履歴・作業日報・チャットのやり取りを要約して、次の直へ渡す引継ぎ書を作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

直の終わりに、その直の設備アラーム履歴・作業日報・Teams のやり取りを自動で1つの素材にまとめ、Microsoft 365 Copilot で決まった様式の引継ぎ書の下書きにします。班長の作業は、3か所を読み返して書くことから、下書きを確かめて補うことに変わります。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate
対象業界
物流/製造
対象部門
品質管理/生産
対象業務
要約/記録・議事録作成
主な課題
属人化している/引き継ぎができていない/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
要約
主な効果
品質標準化/属人化解消/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
90h/月
AI導入後
30h/月
想定削減
67%
年間削減
720h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 交代の15分ほど前に、班長が稼働監視システムの画面を開き、その直のアラーム履歴をさかのぼって読む
  2. 作業日報の一覧を開き、生産数、不良数、段取り替え、停止時間の記入を確かめる
  3. Teams のライン別チャネルを直の開始時刻までさかのぼり、保全・品証とのやり取りを読み返す
  4. 前の直から受け取った引継ぎ書を見て、持ち越しの項目がどうなったかを思い出す
  5. 表計算の様式に、設備の状態、生産の進捗、品質の注意点、持ち越しを書き、印刷する
  6. 交代の時刻に、次の班長へ紙を渡しながら口頭で補う
  7. 紙は班長の机の引き出しかバインダーに綴じる
導入後(After)
  1. 自動交代の30分前に Power Automate のフローが動き、その直の時間帯のアラーム履歴・作業日報・Teams のやり取りを集める
  2. 自動アラームのばたつきをまとめ、アラームコード表で意味と重要度を付け、1行ごとに出どころの番号を振る
  3. 自動前の直の引継ぎ書から持ち越しの項目を取り出し、素材に加える
  4. 自動素材を1つのファイルにして SharePoint に保存し、班長へ Teams で知らせる
  5. 人班長が Copilot を開き、素材のファイルを選んで、共有の指示文で引継ぎ書の下書きを作らせる
  6. 人班長が下書きの1行ごとに出どころの番号を見て確かめ、素材の後に起きたことと口頭で聞いたことを書き足す
  7. 人確定した引継ぎ書を様式に貼り、ライン別チャネルに投稿する
  8. 人交代の時刻に、次の班長と「安全・品質の要注意」と「持ち越し」の欄だけを対面で読み合わせる
  9. 【人/自動】 次の班長が確認の操作をすると、確認した時刻と人が記録される
各工程の詳しい説明を読む
  1. 交代の15分ほど前に、班長が稼働監視システムの画面を開き、その直のアラーム履歴をさかのぼって読む
  2. 作業日報の一覧を開き、生産数、不良数、段取り替え、停止時間の記入を確かめる
  3. Teams のライン別チャネルを直の開始時刻までさかのぼり、保全・品証とのやり取りを読み返す
  4. 前の直から受け取った引継ぎ書を見て、持ち越しの項目がどうなったかを思い出す
  5. 表計算の様式に、設備の状態、生産の進捗、品質の注意点、持ち越しを書き、印刷する
  6. 交代の時刻に、次の班長へ紙を渡しながら口頭で補う
  7. 紙は班長の机の引き出しかバインダーに綴じる

(a)書く時間が、直のいちばん忙しいときにある。 交代前の15分は、最後のロットの仕上げと清掃が重なります。アラーム履歴と Teams のさかのぼりは、ここで最初に省かれ、 直の前半に起きたことほど落ちます。

(b)書く内容が、班長ごとに違う。 設備の状態まで細かく書く班長もいれば、「特になし」で終わる班長もいます。次の班長は、前の班長が誰かによって、どこまで信じてよいかを変えています。

(c)持ち越しが途中で消える。 「金型の点検を保全に依頼中」と1直が書き、2直が書き写し、3直は書き忘れる。翌日の1直は、依頼したこと自体を知らずに同じ金型で生産を始めます。

(d)紙の引継ぎ書は、後から探せない。 品質の調査で「先週の2直で何があったか」を調べるとき、元の記録は電子なのに、それを結び付けた引継ぎ書だけが紙です。

  1. 【自動】 交代の30分前に Power Automate のフローが動き、その直の時間帯のアラーム履歴・作業日報・Teams のやり取りを集める
  2. 【自動】 アラームのばたつきをまとめ、アラームコード表で意味と重要度を付け、1行ごとに出どころの番号を振る
  3. 【自動】 前の直の引継ぎ書から持ち越しの項目を取り出し、素材に加える
  4. 【自動】 素材を1つのファイルにして SharePoint に保存し、班長へ Teams で知らせる
  5. 【人】 班長が Copilot を開き、素材のファイルを選んで、共有の指示文で引継ぎ書の下書きを作らせる
  6. 【人】 班長が下書きの1行ごとに出どころの番号を見て確かめ、素材の後に起きたことと口頭で聞いたことを書き足す
  7. 【人】 確定した引継ぎ書を様式に貼り、ライン別チャネルに投稿する
  8. 【人】 交代の時刻に、次の班長と「安全・品質の要注意」と「持ち越し」の欄だけを対面で読み合わせる
  9. 【人/自動】 次の班長が確認の操作をすると、確認した時刻と人が記録される

5番目を人が押すのは、意図してのことです。 完全に自動で作って投稿すると、班長が中身を読まないまま渡すようになります。班長が自分で作らせ、確かめて、自分の名前で渡す。 引継ぎの責任の置き場所を変えません。

8番目の読み合わせは、短くしても無くしません。 安全と品質に関わる項目だけは、次の班長が声に出して読み、分からない点をその場で聞きます。

02今回想定するシステム構成

構成図
稼働監視システム(アラーム履歴CSV)   作業日報(Microsoft Lists)   Teams のライン別チャネル
          │                                  │                              │
          └──────────────┬───────────────────┴──────────────────────────────┘
                         ▼【トリガー】交代の30分前(繰り返しトリガー:5:30/13:30/21:30)
Power Automate
   ├──▶ 直の時間帯で絞り込み/ばたつきをまとめ、コード表で重要度を付ける
   ├──▶ 出どころの番号(A-/D-/C-/P-)を振り、前の直の持ち越しを加える
   ▼
SharePoint に素材(ライン_日付_直.txt)を保存 ── Teams で班長へリンクを通知
   ▼【人が作らせる】
Microsoft 365 Copilot ── 素材のファイルを選び、共有の指示文で6欄の下書きを作る
   ▼【人が確かめて補う】
引継ぎ書を確定してチャネルへ投稿 ── 次の班長が確認(時刻と人を記録)
役割想定する製品代替候補
処理Microsoft 365 Copilot(Copilot Chat と Word の Copilot)ChatGPT Enterprise、Gemini、Claude
連携Power Automate(繰り返しトリガー、素材の取りまとめ、Teams への投稿)Make、n8n
保管SharePoint ドキュメントライブラリOneDrive、Google ドライブ
日報Microsoft ListsGoogle スプレッドシート
通知Microsoft TeamsSlack

新しく足すのは、記録を直の時間帯で束ねる Power Automate のフローと、Copilot の利用だけです。 最初の準備作業は、アラームコード表を作ることです。 コードごとに、意味、重要度(止める/知らせる/記録だけ)、よくある対処を一覧にします。

Copilot の使い方は、ライセンスで決まります。 Microsoft の公開資料によると、Copilot Chat(Basic)と Microsoft 365 Copilot(Basic)は Microsoft Graph 経由で組織データを使えず、組織のコンテンツを使うには、プロンプトの作成時にファイルをアップロードするか選択する、または Teams や Outlook でコンテンツを開いた状態で使う必要があります。一方、Microsoft 365 Copilot(Premium)は Microsoft Graph と Work IQ を通じて組織データを自動で参照し、フォーカスするファイルを指定できますが、手動でアップロードする必要はありません。

この構成は、どちらのライセンスでも動くように作ります。 素材を1つのファイルにまとめておけば、Basic なら班長がそのファイルをアップロードするか選び、Premium なら指定するだけです。Copilot に3か所を探させると、どの記録を読んだのかが引継ぎ書から分からなくなります。

Teams のやり取りを Copilot に直接要約させない理由もあります。 Teams のチャットとチャネルの Copilot は、既定で直近30日の履歴を参照し、画像、Loop コンポーネント、スレッドで共有されたファイルは要約できないとされています。現場のチャネルには写真だけの投稿が多く、それが要約から黙って落ちます。 取り出す段階で「画像あり」と印を付けます。

Word の Copilot でも下書き・書き換え・要約ができるとされ、確定した引継ぎ書に「持ち越しだけを並べて」と聞き直す使い方もできます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

交代の30分前を起点にします。 Power Automate のスケジュール済みクラウドフローは「繰り返し」トリガーで作り、頻度を「日」にすると、実行する時刻を「指定時間」と「指定分」から選べます。指定時間に5・13・21、指定分に30を入れれば、1本のフローで3直分が動きます。 タイムゾーンは日本時間を選びます。既定の協定世界時のままにすると、9時間ずれた時刻に素材が作られます。

30分前にするのは、直の最後の15分より前に素材を届けるためです。 交代の直前に作ると、確かめる時間が残りません。実行後に起きたことは、班長が第5章の6番目で書き足します。

稼働日でない日と、計画停止の直は動かしません。 フローの最初で稼働カレンダーを引きます。空の素材の通知が届くと、通知そのものが読まれなくなります。

1回の実行で3ライン分を作ります。ラインは入力の一覧で切り替え、フローは1本にします。 分けると、様式を直すたびに3本を直すことになります。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
アラーム履歴発生時刻、復旧時刻、設備、アラームコード、内容、対応者稼働監視システムが共有フォルダへ出力するCSV
作業日報品番、計画数、生産数、不良数と不良の種類、段取り替え、停止時間と理由、特記事項Microsoft Lists
チャネルのやり取り投稿の時刻、投稿者の役割、本文、返信、画像や添付の有無Teams のライン別チャネル
前の直の引継ぎ書持ち越しの項目(番号、内容、担当、期限、状態)SharePoint の引継ぎ書のライブラリ
アラームコード表コード、意味、重要度(止める/知らせる/記録だけ)、よくある対処自社で用意する一覧
生産計画その直の計画品番と計画数、段取り替えの予定生産計画の一覧

質を決めるのは、下の3つです。 アラームコード表が無ければ、「E-2147」がどれほど重いのか Copilot には分かりません。前の直の引継ぎ書が無ければ、持ち越しを追えません。生産計画が無ければ、生産数が多いのか少ないのかが書けません。

チャネルの投稿者は、名前ではなく役割(保全・品証・班長・作業者)で渡します。 引継ぎ書に必要なのは、誰が言ったかではなく、どの部署が何を約束したかです。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこからどう取るか
アラーム履歴共有フォルダのCSV稼働監視システムの定時出力を読み、発生時刻で直の時間帯に絞る
作業日報Microsoft Lists日付・ライン・直で絞って読む
チャネルの投稿Teamsコネクタの「チャネル内のメッセージを取得する」で読み、直の時間帯に絞る
投稿への返信Teams「チャネル メッセージの返信を一覧表示する」で投稿ごとに読む
前の直の引継ぎ書SharePoint同じラインの直前の直の確定版を読み、持ち越しの表を取り出す

返信の取り方に上限があります。 Teams コネクタの返信の一覧は、既定で最新20件、指定できるのは1から50件の間とされています。やり取りが長く続いたスレッドは、古い返信が取れません。 50件を超えるスレッドは素材に「返信が上限を超えた」と印を付け、班長がスレッドを直接開きます。

呼び出しの回数にも上限があります。 コネクタの制限として、接続ごとに60秒あたり100回のAPI呼び出しとされています。返信が0件の投稿には返信の取得をかけず、呼び出しを減らします。

アラーム履歴は、CSVの定時出力を共有フォルダで受け取ります。 設備側のネットワークに、業務のクラウドから入る経路を作らないためです。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 時間帯の絞り込み … 直の開始時刻から実行時刻までに発生・投稿・記入されたものだけを残します。前の直の終わりに発生して、この直に復旧したアラームも残します
  2. ばたつきのまとめ … 同じ設備・同じコードのアラームが10分以内に繰り返したものは1行にまとめ、回数と最初・最後の時刻を書きます
  3. 意味と重要度の付与 … アラームコード表を引いて、意味と重要度を付けます。表に無いコードは「未登録」と書き、捨てません
  4. 未復旧の印 … 復旧時刻が空のアラームに「未復旧」と印を付けます
  5. 投稿者の置き換え … チャネルの投稿者を役割に置き換えます
  6. 画像と添付の印 … 画像、Loop コンポーネント、ファイルが付いた投稿に「画像あり」「添付あり」と書きます。本文が空で画像だけの投稿も、1行として残します
  7. 出どころの番号 … アラームは A-001、日報は D-01、チャネルは C-001、前の引継ぎ書の持ち越しは P-01 のように振ります
  8. 持ち越しの取り出し … 前の直の引継ぎ書で状態が「完了」以外の項目を、番号と担当と期限ごと取り出します

2番目を省くと、下書きがアラームの一覧になります。 同じコードが40回並んでいると、Copilot はそれを40件の出来事として扱いがちです。まとめて「40回、6:12〜9:48」と書いておけば、1件の傾向として読みます。

7番目の番号は、1つの素材の中で重ならなければ足ります。 ファイル名にラインと日付と直が入っているからです。引継ぎ書の番号から、素材の該当行へ戻れることが大事です。

Step5

AIに処理させる

させるのは、素材を6つの欄に振り分けて短く書き、1行ごとに出どころの番号を付けることです。 欄は自社の引継ぎ書の様式に合わせます。

欄書かせること書かせ方の決まり
① 安全・品質の要注意重要度「止める」のアラーム、不良の急増、品証からの指示1件ずつ。対処が済んだかを書く
② 設備の状態未復旧、ばたつき、暫定処置で動いている設備設備名と状態と出どころ
③ 生産の進捗品番ごとの計画数と生産数、段取り替えの予定と実績数は日報から写す。計算しない
④ 持ち越しと未完了前の直からの持ち越しと、この直で新たに出た未完了担当・期限・状態。消さない
⑤ 次の直でやること素材に書かれた依頼・約束・予定素材にある動詞だけで書く
⑥ 確かめが要る点画像あり、未登録コード、素材どうしの食い違い班長が確かめる項目として書く

④の決まりがいちばん大事です。 前の直の持ち越しは、素材の中に「完了した」と書かれた記録が見つからない限り、「継続(この直で更新なし)」として必ず残させます。 書くことが無いから消す、という判断を Copilot にさせません。

⑥を別の欄にするのは、確かめる場所を一目で見せるためです。 日報では停止0分なのにアラーム履歴では20分止まっている、といった食い違いは、どちらが正しいか Copilot には決められないので、並べて書かせます。

させないこと理由
原因の推定「型温の上昇はヒーターの故障」と書くと、保全が見る前に原因が決まってしまう
設備を動かしてよいかの判断班長と保全の判断。引継ぎ書に結論を書かせない
不良品の扱いの判断品証の判断。隔離・選別などの指示は素材にある言葉だけを写す
数の計算や補完日報に無い生産数を計画から埋めない
持ち越しの削除完了の記録が無ければ残す

1行目がいちばん起きやすい失敗です。 「型温異常」と「ヒーター交換済み(先月)」が並ぶと、結び付けて原因を書きます。原因らしい文が載ると、次の直はそれを事実として扱います。

Step6

指示内容を固定する

あなたは製造ラインの班長が、次の直の班長へ渡す引継ぎ書を作るのを手伝う立場です。
添付の素材ファイルだけを根拠にしてください。素材に無いことを書かないでください。

【素材の読み方】
- 行頭の番号が出どころです。A-はアラーム履歴、D-は作業日報、
  C-はチャネルのやり取り、P-は前の直の引継ぎ書の持ち越しです。
- 「重要度」はアラームコード表の区分です(止める/知らせる/記録だけ)。
- 「画像あり」「添付あり」の行は、本文以外に情報があります。

【引継ぎ書の欄】
① 安全・品質の要注意
② 設備の状態
③ 生産の進捗
④ 持ち越しと未完了
⑤ 次の直でやること
⑥ 確かめが要る点

【書き方】
- 1行は40字以内にし、行末に出どころの番号を[A-012]のように付けてください。
  番号の無い行を書かないでください。
- ①には、重要度「止める」のアラーム、不良の急増、品証からの指示だけを入れてください。
- ②には、「未復旧」の印がある設備と、ばたつきのある設備を必ず入れてください。
- ③の数は作業日報の値をそのまま写してください。計算、合計、計画からの補完をしないでください。
  日報に記入が無ければ「記入なし」と書いてください。
- ④には、P-で始まる持ち越しを1件も省かずに入れてください。
  素材の中に完了したと読める記録があれば「完了」とし、その番号を付けてください。
  無ければ「継続(この直で更新なし)」としてください。
- ⑤には、素材の中で依頼・約束・予定として書かれたことだけを入れてください。
  担当と期限が書かれていなければ「担当未定」「期限未定」と書いてください。
- ⑥には、「画像あり」「添付あり」の行、重要度が「未登録」のアラーム、
  素材どうしで食い違う点を入れてください。食い違いは両方の番号を並べてください。

【厳守事項】
- アラームや不良の原因を推定しないでください。「〜のため」「〜が原因」と書かないでください。
  原因が素材に書かれている場合だけ、書いた人の役割とともに写してください。
- 設備を動かしてよいか、不良品をどう扱うかの結論を書かないでください。
- 人の名前を書かないでください。役割(班長、保全、品証、作業者)で書いてください。
- 該当する内容が無い欄は「該当なし」と書き、欄そのものを消さないでください。
- 最後に、使わなかった素材の番号を一覧にしてください。

【この直】{ライン名}/{日付}/{直}({開始時刻}〜{実行時刻})

「番号の無い行を書かない」が、この指示の柱です。 番号を付けさせるだけだと、要約の途中で素材に無いつなぎの文を足し、そこだけ番号が付きません。番号の無い行を禁じれば、素材に無い文を書く余地が狭まります。

最後の「使わなかった番号」も効きます。 班長はその一覧を見て、落ちてはいけないものが落ちていないかを確かめられます。要約で何が捨てられたかを、要約した本人に書かせます。

この指示文は SharePoint のページに置いて共有します。Copilot の保存したプロンプトは本人だけが見られるものとされ、班長ごとに保存すると文面が分かれていくからです。

Step7

出力形式を固定する

次の形の表で受け取ります。 引継ぎ書の様式にそのまま貼れる形です。

■ 引継ぎ書 成形2ライン/2026-09-30/1直 → 2直

① 安全・品質の要注意
| 内容 | 状態 | 出どころ |
| 3号機 型温上限アラーム(止める)6回 | 暫定で設定変更して稼働中 | A-004, C-011 |

② 設備の状態
| 設備 | 状態 | 出どころ |
| 5号機 取出機 | 未復旧(13:05発生) | A-017 |

③ 生産の進捗
| 品番 | 計画 | 生産 | 不良 | 出どころ |
| 71A-220 | 1,200 | 1,104 | 18(ショート) | D-02 |

④ 持ち越しと未完了
| 番号 | 内容 | 担当 | 期限 | 状態 | 出どころ |
| P-01 | 3号機の金型点検 | 保全 | 10/1 | 継続(この直で更新なし) | P-01 |

⑤ 次の直でやること
| 内容 | 担当 | 期限 | 出どころ |

⑥ 確かめが要る点
| 内容 | 出どころ |
| 傷の写真の投稿(本文なし) | C-019(画像あり) |
| 日報の停止0分とアラームの停止20分が食い違う | D-03, A-021 |

使わなかった素材:A-001〜A-003, A-008, C-002 …

1つ目の理由は、欄を固定できることです。 欄の並びと名前が毎回同じなら、次の班長はどの班長から受け取っても、同じ場所を見れば同じ種類の情報があります。第3章の(b)の、班長ごとの差を消すのはこの固定です。

2つ目は、出どころの列で確かめが速くなることです。 班長は、出どころの番号を素材のファイルで探し、元の行と見比べます。番号の付いた表なら、1行ずつの突き合わせが機械的にできます。

3つ目は、④の番号が直をまたいで続くことです。 P-01 は完了するまで同じ番号で渡り、消えたかどうかは番号が続いているかで分かります。

JSONにしないのは、出力を人が様式に貼るからです。 後段のシステムへ流す段階に進むなら、同じ欄を JSON のキーにします。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
共有フォルダ(アラームCSV)Power Automate のファイル読み取り直の時間帯のアラームを読む
Microsoft ListsPower Automate の一覧の読み取り日報を読む
Teams のライン別チャネルTeams コネクタ投稿と返信を読む。素材ができたことを班長へ投稿する
SharePointPower Automate のファイル作成素材のファイルと確定した引継ぎ書を保存する
Microsoft 365 Copilot班長が画面で操作素材のファイルから下書きを作る

Teams への投稿には大きさの上限があります。 コネクタの制限として、投稿するメッセージは約28KBまででとされています。素材そのものではなく、ファイルへのリンクだけを投稿します。

次の班長の確認は、アダプティブカードで受けます。 Teams コネクタの「アダプティブ カードを投稿して応答を待機する」は、カードを投稿し、誰かが応答するまでフローを止めます。ボタンを押した時刻と人が、そのまま記録になります。 Teams 管理センターで Workflows アプリの許可が要るとされています。

稼働監視システムには書き込みません。 アラームの確認や解除は、これまでどおり設備の画面で行います。

Step9

人が確認する

確かめるのは、交代する班長と、受け取る班長の2人です。

  1. 交代する班長:①と②を出どころで確かめる … 番号の行を素材で開き、書かれた内容が元の記録と合っているかを見ます。特に、暫定処置で動かしている設備は、状態の書き方が正しいかを確かめます
  2. 交代する班長:④の持ち越しを1件ずつ見る … 「継続」とされたもののうち、口頭で完了を聞いているものは「完了(口頭で確認)」に直します
  3. 交代する班長:⑥を片付ける … 写真を開いて内容を書き、食い違いはどちらが正しいかを確かめて直します
  4. 交代する班長:素材の後に起きたことを書き足す … 実行時刻から交代までの30分に起きたことです
  5. 受け取る班長:①と④を対面で読み合わせる … 声に出して読み、分からない点をその場で聞いてから確認のボタンを押します

1番目を省かないでください。 「暫定で設定変更して稼働中」が実は「停止中」だった1行は、次の直に誤った前提で設備を動かさせます。

目標は、1件10分です。 下書きの確かめに5分、書き足しと様式への貼り付けに2分、読み合わせに3分という想定です。10分を超える直が続くなら、アラームコード表の重要度か、ばたつきのまとめ方が合っていません。

Step10

例外に対処する

起きること対応
アラームのCSVが出力されていない素材に「アラーム履歴なし」と書いて作り、班長に設備の画面を見るよう通知する
アラームが極端に多い(1直で500行超)ばたつきのまとめ後も多ければ、重要度「記録だけ」を件数だけにして渡す
日報が未記入素材に「日報未記入」と書く。③を空欄にせず「記入なし」と出させる
返信が50件を超えるスレッド取れる範囲で素材に入れ、「返信が上限を超えた」と印を付ける
画像だけの投稿「画像あり」として⑥へ。班長が写真を見て書き足す
前の直の引継ぎ書が確定していない直前の確定版までさかのぼり、「前の直は未確定」と書く
ラインが直の途中から止まった止まった時刻以降の素材が少ないことを素材の冒頭に書く
Copilot の応答が遅い・使えない素材のファイルをそのまま印刷して読み合わせる。素材は番号付きで読める形にしてある
受け取る班長が確認のボタンを押さない交代から1時間後に製造課長へ知らせる

8行目のために、素材は人が読める形で作っておきます。 Microsoft 365 Copilot(Basic)の標準アクセスはサービスの容量の影響を受け、1日を通して異なる場合があるとされています。交代の時刻は動かせないので、Copilot が使えない直でも、番号付きの素材があれば引継ぎはできます。

1行目と3行目は、黙って進めないことが大事です。 記録が無い状態は「何も起きなかった」と区別がつかないので、素材の冒頭に「無い」ことを書きます。

Step11

記録を残す

  • 素材のファイル(ライン_日付_直.txt)。番号と元の記録の対応が残る形のまま
  • Copilot が出した下書きの全文
  • 確定した引継ぎ書と、下書きから直した箇所
  • 受け取る班長の確認の時刻と人
  • 持ち越しの項目ごとの、出た直・完了した直・かかった直の数
  • ⑥に出た項目の件数と、その内訳(画像あり・未登録コード・食い違い)

3つ目の「下書きから直した箇所」は、指示文の改善の材料になります。 同じ種類の直しが続くなら、指示文かアラームコード表を直します。

5つ目は、保全や品証との打合せの材料になります。 5直以上続く持ち越しは、依頼先の手が回っていないということです。

04実装レベルの3段階

最小構成:素材を手で1つにまとめ、Copilot Chat にアップロードして下書きを作らせる / 下書きの作成
半自動化:上記+Power Automate が交代の30分前に素材を束ね、番号を振って SharePoint に置き、班長へ知らせる / 素材の取りまとめと下書きの作成
本格構成:上記+確定した引継ぎ書をチャネルへ投稿し、次の班長の確認をカードで受け、持ち越しを番号で追う / 引継ぎの受け渡しと、持ち越しの追跡まで

最小構成では毎直は回せません。 素材をまとめる手間が、書く手間とあまり変わらないからです。 半自動化で、1件30分が15分程度になります。 本格構成で10分になります。 差が出るのは、持ち越しを探して写す作業、様式への転記、確認の記録が手作業だからです。 第10章は本格構成の受け渡しまで含めた数値で試算しています。 プロンプトの予約も使えます。 公開資料では、Copilot のライセンスがあれば Copilot Chat・Teams・Outlook でプロンプトを予約して実行でき、予約は10件までとされています。予約は作った人のものなので、直ごとに班長が変わる引継ぎより、製造課長が「全ラインの持ち越しの一覧」を朝に受け取る用途に向きます。 段階を飛ばさないでください。 半自動化を1か月回すと⑥に何が多く出るかが分かり、写真の説明とコード表のどちらを先に整えるかが決まります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
9 名
月間件数
180 件
1件あたり現在時間
30 分
1件あたり導入後時間
10 分
現在  180件 × 30分 ÷ 60 = 90 時間/月
導入後 180件 × 10分 ÷ 60 = 30 時間/月
月間削減時間
60h
削減率
67%
年間削減時間
720h
年間金額換算(時間単価3,000円)
216万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 2交代・3交代で設備を止めずに回す工場や物流センターで、直の終わりに班長が引継ぎ書を手で書き、口頭で補っている場合。設備の監視システムからアラーム履歴をCSVで取り出せ、作業日報を Microsoft Lists などの電子の一覧で残している場合。保全・品質保証とのやり取りを Teams のチャネルで行っており、引継ぎのたびにさかのぼって読み直している場合。Microsoft 365 を全社で使っている場合。
向いていない
  1. 日勤だけで交代がない職場。設備が少なく、アラームが1直に数件しか出ないため、手書きの引継ぎで足りている場合。アラーム履歴を取り出す手段がなく、日報も紙だけで、要約させる材料が電子で揃わない場合。製造実行システム(MES)が引継ぎの記録まで持っており、画面で申し送りが完結している場合。なお、設備を動かしてよいか、不良品をどう扱うかの判断は、班長と保全・品質保証の担当に残ります。

07最小構成で試す方法

  1. 1ラインの先週の5直分を選ぶ(うち1直は、実際に引継ぎで漏れがあったと分かっている直を入れる)
  2. 各直のアラーム履歴のCSVと日報の一覧を取り出し、チャネルの投稿は画面からコピーして、1つのテキストにまとめる
  3. 手で出どころの番号を振る(A-/D-/C-/P-)
  4. Copilot Chat にそのファイルをアップロードし、第7章の指示文を貼って下書きを作らせる
  5. 出てきた下書きを、当時の班長が書いた引継ぎ書と並べて比べる

5直は必ずやってください。 フローを作る前に、「素材が揃えば、引継ぎ書に要る内容が出るのか」を確かめます。

出てきた内容判断
当時の引継ぎ書より、未復旧や持ち越しが多く拾えたフローで素材を束ねる段階に進む
原因を推定した文が混ざる指示の書き方で直る。構成は有効
アラームの羅列になって要点が埋もれるコード表の重要度とばたつきのまとめが先。 AIの問題ではない

3行目は失敗ではなく、班長がアラーム履歴の読み返しに時間を使っていた理由が見えたということです。 上位30コードに重要度を付け、同じ5直で試し直してください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
下書きに原因の推定が混ざる「〜のため」「〜が原因」と書かないと指示に明記し、確かめのときに探す
持ち越しが下書きから消えるP-で始まる番号を1件も省かないと指示し、使わなかった番号の一覧で確かめる
アラームの羅列になるばたつきのまとめとコード表の重要度を先に整える
写真の投稿が要約から落ちるCopilot は画像・Loop・共有ファイルを要約できない。素材で「画像あり」と印を付ける
長いスレッドの古い返信が取れない返信の一覧は最大50件。上限を超えたスレッドに印を付けて班長が直接開く
班長ごとに指示文が分かれていく保存したプロンプトは本人だけのもの。正本を SharePoint のページに1つ置く
口頭で済ませたことが漏れる素材の後の30分と口頭の完了を、班長が書き足す手順を残す
読み合わせが省かれる①と④だけは対面で読む。確認のボタンは読み合わせの後に押す

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも文章として整って見える方向に Copilot が働いた結果で、引継ぎ書ではそれがそのまま漏れになります。

下の2行も早く効いてきます。 書かれた引継ぎ書が整うほど、人は口頭を省きます。書かれていないことを聞く時間を、手順として残してください。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 設備のアラーム履歴、生産数と不良数、品番、保全・品証とのやり取り、投稿者の名前です。取引先の図面や工程の条件が書かれていることもあります。

  1. Microsoft Entra アカウントでサインインして使う … Entra アカウントでサインインすると、エンタープライズ データ保護が適用されるとされています。個人のアカウントで素材を貼らないよう、最初に伝えます
  2. 素材に入れる範囲を決める … 図面や工程の条件値が書かれた添付は、中身を入れず「添付あり」だけにします
  3. 名前を引継ぎ書に残さない … 投稿者は役割に置き換えます。引継ぎ書は、後から誰の対応が遅れたかの材料として使われやすい書類です
  4. 引継ぎ書に判断を書かせない … 設備を動かしてよいか、不良品をどう扱うかは、班長と保全・品証が決めます
  5. 確定版を1つにする … 確認のボタンが押されたものを正本とし、下書きや印刷した紙は記録として残すだけにします
  6. 設備のネットワークに入る経路を作らない … アラーム履歴はCSVの定時出力で受け取ります

誤りが起きた場合のリスクは、設備の状態を誤って伝えることと、持ち越しを落とすことの2つです。 どちらも出どころの番号で確かめられるように作ってあるので、確かめの手順だけは省かないでください。

10まず何から始めるか

1週目:アラームコード表を作る

保全と一緒に、過去1か月の出現回数の上位30コードに意味・重要度・よくある対処を書き、様式を6つの欄に揃えます。

2週目:5直分で試す

第8章の手順で1ラインの5直分を試します。当時の引継ぎ書と並べ、原因の推定が混ざっていないか、持ち越しが消えていないかを最優先で見ます。

3週目:素材を束ねるフローを作る

交代の30分前に素材を集め、番号を振って SharePoint に置き、班長へ知らせるところまで作ります。タイムゾーンと返信の取得の上限を最初に確かめます。

4週目:1ラインで毎直回す

1ラインの3直の班長に使ってもらい、1件あたりの時間と、下書きから直した箇所を記録します。

2か月目: 3ラインに広げ、確認のカードと持ち越しの番号の追跡を足します。3か月目以降: 持ち越しが何直続いたかを数え、保全・品証との定例で使います。持ち越しが完了まで番号で追え、班長が交代前の15分を最後のロットと清掃に使えるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-09-30/最終更新:2026-09-30
確認した内容情報源確認日
ライセンスが3区分に分かれること。Basic は Microsoft Graph 経由で組織データを使えず、ファイルのアップロード・選択などが必要なこと。Premium は組織データを自動で参照すること。Word の Copilot の機能。Basic の標準アクセスが容量の影響を受けること。Entra アカウントでエンタープライズ データ保護が適用されることMicrosoft Learn: Microsoft Copilot とは?2026-09-30
既定で30日の履歴を参照すること。画像、Loop コンポーネント、共有されたファイルを要約できないことMicrosoft Support: How to use Microsoft Copilot in Teams chats and channels2026-09-30
プロンプトを10件まで予約でき、Copilot のライセンスが要ること。Copilot Chat・Teams・Outlook で使えることMicrosoft Support: Schedule your most used Copilot prompts2026-09-30
メッセージの取得、返信の一覧(既定20件、1〜50件)、カードを投稿して応答を待つ操作。投稿が約28KBまで。Workflows アプリの許可。接続ごとに60秒あたり100回の制限Microsoft Learn: Microsoft Teams connector2026-09-30
繰り返しトリガーで頻度を「日」にすると指定時間・指定分を選べること。タイムゾーンを選べることMicrosoft Learn: スケジュールに従ってクラウド フローを実行する2026-09-30
保存したプロンプトが Prompt Lab の「保存したプロンプト」に入り、本人だけに見えることMicrosoft Support: Save your favorite prompts to use again2026-09-30

設備を動かしてよいかの判断と、不良品の扱いは、班長と保全・品質保証の担当が決めてください。 本記事は公開仕様で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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