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介護のサービス担当者会議の録音とメモから、検討した項目・各職種の意見・結論と残された課題を会議録の様式にそろえて下書きする

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

サービス担当者会議の録音を文字起こしし、ケアマネジャーのメモとあわせて ChatGPT(OpenAI API)に渡します。検討した項目ごとに各職種の意見・結論・残された課題を分け、事業所の会議録の様式にそろえた下書きを作ります。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
連携・自動化
Google Apps Script/Make/Power Automate
対象業界
介護/医療
対象部門
品質管理
対象業務
要約/記録・議事録作成
主な課題
人手が足りない/属人化している/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
要約
主な効果
入力漏れ削減/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
40h/月
AI導入後
12h/月
想定削減
70%
年間削減
336h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. ケアマネジャーが会議の日程を調整し、出席者に照会する(欠席する担当者には書面やメールで意見を照会する)
  2. 会議を開き、進行しながらメモをとる。利用者・家族の同意を得てICレコーダーで録音する
  3. 事業所に戻り、録音を聞き返す
  4. 検討した項目を思い出しながら、各出席者の意見を書き起こす
  5. 結論と残された課題をまとめる
  6. 欠席者から届いた照会の回答を書き加える
  7. 介護ソフトの様式に入力し、事業所の記録として保存する
導入後(After)
  1. 人ケアマネジャーが会議の前に、出席者の一覧(所属・職種・氏名)と検討する項目を会議の予定表に入れる
  2. 人会議の冒頭で、録音への同意を確かめ、出席者に所属と名前を名乗ってもらってから録音する
  3. 人事業所に戻り、録音のファイルとメモの写真(またはメモの文字)を会議ごとのフォルダに保存する
  4. 自動保存をきっかけに、録音を話者の区別つきで文字起こしする
  5. 自動名乗りの発言から、話者と出席者の一覧を対応づける。名乗りが無い話者は「不明」のままにする
  6. 自動ChatGPT が、検討した項目ごとに、職種ごとの意見・結論・残された課題を分けて下書きする
  7. 人ケアマネジャーが下書きを読み、話者の対応・結論・残された課題を確かめて直す
  8. 人欠席者の照会の回答を加え、介護ソフトの様式に写して保存する
各工程の詳しい説明を読む
  1. ケアマネジャーが会議の日程を調整し、出席者に照会する(欠席する担当者には書面やメールで意見を照会する)
  2. 会議を開き、進行しながらメモをとる。利用者・家族の同意を得てICレコーダーで録音する
  3. 事業所に戻り、録音を聞き返す
  4. 検討した項目を思い出しながら、各出席者の意見を書き起こす
  5. 結論と残された課題をまとめる
  6. 欠席者から届いた照会の回答を書き加える
  7. 介護ソフトの様式に入力し、事業所の記録として保存する

(a)聞き返す時間がとれない。 3番は、録音の長さとほぼ同じ時間がかかります。月に5件の会議を持つケアマネジャーなら、聞き返すだけで3時間です。 訪問の合間には聞けないので、夕方に事業所でまとめて聞くことになり、会議から日が経つほど、誰の発言かを声で聞き分けられなくなります。

(b)誰の意見かが残らない。 走り書きのメモには「入浴 → 週2→3? 看護 皮膚」としか書かれていません。録音を聞き返さないと、訪問看護が皮膚の状態を理由に回数を増やしたいと言ったのか、家族が希望したのかが分かりません。

(c)話題と結論が混ざる。 会議の後半で「では週3回でいきましょう」と決まったことと、途中で「ショートステイも考えたい」と家族が言っただけのことが、同じ「検討内容」の欄に並びます。 次の会議で読み返したときに、何が決まっていたのかを読み取れません。

(d)書き方がそろわない。 管理者が見直しを頼むのは、たいてい各職種の意見が書かれていない会議録です。書いた本人は会議に出ていたので、書かなくても分かっています。

  1. 【人】 ケアマネジャーが会議の前に、出席者の一覧(所属・職種・氏名)と検討する項目を会議の予定表に入れる
  2. 【人】 会議の冒頭で、録音への同意を確かめ、出席者に所属と名前を名乗ってもらってから録音する
  3. 【人】 事業所に戻り、録音のファイルとメモの写真(またはメモの文字)を会議ごとのフォルダに保存する
  4. 【自動】 保存をきっかけに、録音を話者の区別つきで文字起こしする
  5. 【自動】 名乗りの発言から、話者と出席者の一覧を対応づける。名乗りが無い話者は「不明」のままにする
  6. 【自動】 ChatGPT が、検討した項目ごとに、職種ごとの意見・結論・残された課題を分けて下書きする
  7. 【人】 ケアマネジャーが下書きを読み、話者の対応・結論・残された課題を確かめて直す
  8. 【人】 欠席者の照会の回答を加え、介護ソフトの様式に写して保存する

7番目が、この設計の分かれ目です。 会議録は事業所が保存する記録で、書いた内容の責任はケアマネジャーにあります。 AIが出すのは下書きまでにし、介護ソフトへの登録は人が行います。

2番目の名乗りが、この構成の質を決めます。 文字起こしで話者を分けられても、どの話者が訪問看護かは、音声からは分かりません。 冒頭で名乗ってもらえば、その発言を手がかりに対応づけられます。

02今回想定するシステム構成

構成図
会議の予定表(出席者の一覧・検討する項目)
   │
会議(冒頭で同意と名乗り)── ICレコーダーで録音
   │  録音とメモを会議ごとのフォルダに保存
   ▼【トリガー】フォルダへの保存
Google Apps Script
   │  25MBを超える録音は、無音の箇所で分割
   ▼
OpenAI API(gpt-4o-transcribe-diarize)── 話者の区別つきの文字起こし
   ▼
ChatGPT(OpenAI API)── 会議録の下書き
   │   ① 話者と出席者の対応(名乗りのある話者だけ)
   │   ② 検討した項目ごとの、職種ごとの意見
   │   ③ 結論(合意したと読めるものだけ)
   │   ④ 残された課題(担当と次の確認時期)
   ▼
下書き(Google ドキュメント)
   ▼
【ケアマネジャーが確認・修正 → 欠席者の照会の回答を追記】
   ▼
介護ソフトの会議録の様式へ人が写して保存
役割想定する製品代替候補
処理ChatGPT(OpenAI API。最小構成では ChatGPT の画面)Claude、Gemini、Microsoft Copilot
文字起こしOpenAI API の文字起こし(話者の区別は gpt-4o-transcribe-diarize)Azure AI Speech、Google Cloud Speech-to-Text
連携Google Apps Script(フォルダの監視、録音の分割の指示、API の呼び出し、下書きの書き出し)Make、Power Automate
保管Google ドライブ(会議ごとのフォルダ)SharePoint

介護ソフトは、新しく足すものではありません。 この構成からは書き込まず、ケアマネジャーが下書きを確かめてから写します。会議の予定表に「出席者の一覧」と「検討する項目」の列を足すのが最初の準備作業です。

文字起こしには、OpenAI API の文字起こしを使います。 公式の案内では、録音を元の言語で文字起こしする用途の推奨モデルが示され、話者の区別が要る場合は gpt-4o-transcribe-diarize が、話者のラベルと時刻つきの区切りを返すとされています。ファイルは25MBまでで、MP3、MP4、MPEG、MPGA、M4A、WAV、WebM の形式に対応しています。

最小構成では、文字起こしを使わず、ケアマネジャーのメモだけを ChatGPT の画面に貼る形でも始められます。 録音の同意をとる運用がまだ無い事業所では、ここから始めます(第8章)。

下書きの形は、Structured Outputs の JSON スキーマで固定します。 Structured Outputs は、指定した JSON スキーマに沿った応答を必ず生成する機能で、必須の項目の抜けや、決めていない値が入ることを防ぐとされています。会議録の欄が毎回同じ形で返るので、ケアマネジャーごとの書き方の違いがここで吸収されます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

会議ごとのフォルダに録音のファイルが保存されたことを起点にします。 フォルダの名前は、会議の予定表の会議番号にそろえます。Google Apps Script の時間主導のトリガーで10分ごとにフォルダを見て、新しい録音があれば処理を始めます。

会議の当日中に保存してもらいます。 下書きが翌朝に届けば、ケアマネジャーは会議の記憶が残っているうちに確かめられます。会議から1週間たつと、下書きの話者の対応が正しいかを本人が判断できません。

処理が終わったフォルダには「下書きあり」の印を付けます。印を付けるのは成功したときだけにし、失敗したものは印の無いまま残します。 会議の予定表と照らし、会議の日から3日たっても録音もメモも保存されていない会議は、翌朝にケアマネジャーへ知らせます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
録音会議の音声(M4A・MP3など)ICレコーダーから会議ごとのフォルダへ
メモケアマネジャーの走り書き(写真なら文字に起こしたもの)会議ごとのフォルダ
出席者の一覧所属、職種、氏名、出席の方法(対面・テレビ電話)、本人・家族の別会議の予定表
検討する項目ケアプランの原案のうち、会議で意見を求める項目会議の予定表
事業所の会議録の様式欄の並びと、各欄に書くことの手引事業所の手引

質を決めるのは、出席者の一覧と検討する項目です。 出席者の一覧が無ければ、話者を職種に対応づける先がありません。検討する項目が無ければ、AIは会話の流れで項目を勝手に区切ります。 項目を先に渡せば、発言をその項目のどこに入れるかが決まります。

メモは、録音があっても渡します。 ケアマネジャーのメモには、会議の前後の立ち話や、録音を止めた後に家族が話したことが書かれていることがあります。録音だけでは拾えない情報です。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
録音のファイル会議ごとのフォルダ文字起こし
話者の区別つきの文字起こしOpenAI API(diarized_json 形式)発言者ごとの区切りと時刻
メモの文字会議ごとのフォルダ録音に無い情報の補い
出席者の一覧と検討する項目会議の予定表の該当する行話者の対応づけと項目の区切り

話者の区別は、diarized_json の形式で受け取ります。 公式の案内では、話者の区別をするモデルはこの形式を指定して使い、話者のラベルと時刻つきの区切りが返るとされています。ラベルは「話者A」「話者B」のような区別で、誰であるかまでは分かりません。 既知の話者の短い参照音声を最大4つまで渡せるとされていますが、会議ごとに出席者が替わるこの業務では使いにくいため、名乗りの発言で対応づけます。

ケアプランの原案そのものは渡しません。 検討する項目の見出しだけを渡します。原案には利用者の生活歴や病歴が詳しく書かれていて、会議録の下書きに必要な範囲を超えるからです。前回の会議録も渡しません。前回の結論が今回の結論として混ざるのを防ぐためで、前回との比較はケアマネジャーが行います。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 録音の形式の確認 … MP3、MP4、MPEG、MPGA、M4A、WAV、WebM のいずれかであることを確かめます。それ以外の形式は変換します
  2. 大きさの確認と分割 … ファイルは25MBが上限です。超える録音は、文の途中で切らないよう無音の箇所で分割します
  3. 同意の記録の確認 … 会議の予定表に「録音の同意あり」の印が無い会議は、文字起こしをせず、メモだけで下書きを作ります
  4. 録音の冒頭の確認 … 名乗りの部分が録音に入っているかを、最初の数分の文字起こしで確かめます。無ければ「話者の対応なし」として扱います
  5. 話者の対応づけ … 名乗りの発言(「訪問看護ステーション○○の△△です」)から、話者のラベルと出席者の一覧を対応づけます。名乗りの無い話者は「不明」のままにします
  6. 不要な部分の除去 … 会議の前後の雑談、日程の調整だけのやりとりを、時刻の範囲で除きます

2番目の分割で文の途中を切らないことを、軽く見ないでください。 公式の案内でも、分割するときは文の途中を避けることが勧められています。「週3回に増やす、という話ではなく」の途中で切ると、前半だけが結論のように読めます。

3番目は、運用の約束です。 同意が無い会議を文字起こしに回さない仕組みにしておくことで、同意を確かめ忘れた会議の録音が外部に送られることを防ぎます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、文字起こしとメモを、事業所の会議録の欄に分けて下書きすることだけです。

欄何を書かせるか判断できないときの扱い
出席者出席者の一覧をそのまま写し、話者のラベルとの対応を付ける名乗りが無ければ「対応不明」
検討した項目予定表の検討する項目を、その順に並べる予定に無い項目が話されたら「その他の項目」として加える
検討内容(職種ごとの意見)項目ごとに、職種と意見を1行ずつ発言者が「不明」なら、職種を書かずに「発言者不明」
本人・家族の意向本人と家族の発言を、できるだけ発言の言葉のまま本人か家族か分からなければ「本人または家族」
結論合意したと読める発言があるものだけ合意が読めなければ結論に入れず、残された課題へ
残された課題決まらなかったこと、確認が要ること、担当と次の確認時期担当が決まっていなければ「担当未定」

右端の列で「不明」を残させることが、この構成でいちばん大事です。 発言者を推測で埋めると、訪問看護が言っていないことを訪問看護の意見として記録することになります。会議録は、出席した他の事業所が後から読むこともある記録です。

させないこと理由
発言者の推測(声の調子や話の内容から職種を当てる)他の事業所の意見として誤って残る
医療の専門的な見解の言い換え・補足看護師や医師の言葉を、AIが分かりやすく直すと意味が変わる
話題に出ただけのことを結論にする次の会議で、決まっていないことが決まっていたように読める
ケアプランの内容への意見や提案判断するのはケアマネジャーと会議の出席者
本人・家族の発言の要約しすぎ意向は本人の言葉で残す

2行目がいちばん起きやすい失敗です。 訪問看護が「仙骨部に発赤、持続するようなら」と言ったところを、何も言わなければ「床ずれのおそれがあるとの意見」と書きます。言い換えた瞬間に、看護師が言った程度より強くも弱くもなります。 専門職の発言は、言葉をそのまま使わせます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは居宅介護支援事業所のケアマネジャーが、サービス担当者会議の
会議録を書くための下書きを作る担当です。
渡した文字起こしとメモに書かれていることだけを使ってください。
推測で補わないでください。

【欄】
出席者/検討した項目/検討内容(職種ごとの意見)/本人・家族の意向/
結論/残された課題

【厳守事項】
- 出席者は【出席者の一覧】をそのまま写してください。話者のラベルは、
  本人が所属と名前を名乗った発言がある場合だけ対応づけてください。
  名乗りが無い話者は「対応不明」とし、声や話の内容から推測しないで
  ください。
- 検討内容は、【検討する項目】ごとに、職種と意見を1行ずつ書いてください。
  発言者の対応が不明な発言は、職種を書かずに「発言者不明」としてください。
- 看護師・医師・リハビリ職などの専門職の発言は、言葉をそのまま使って
  ください。分かりやすい言葉に言い換えたり、補足したりしないでください。
- 本人・家族の意向は、発言の言葉をできるだけそのまま書いてください。
- 結論には、出席者が合意したと読める発言があるもの(「ではそうしましょう」
  「それで進めます」など)だけを入れ、根拠にした発言の時刻を書いてください。
  合意が読めないものは結論に入れず、残された課題に入れてください。
- 残された課題には、担当と次の確認時期を書いてください。決まっていなければ
  「担当未定」「時期未定」としてください。
- ケアプランの内容についての意見や提案を書かないでください。
- メモにだけあって録音に無い内容は、source を「メモ」としてください。

【出席者の一覧】{attendees}
【検討する項目】{agenda}
【文字起こし(話者ラベル・時刻つき)】{transcript}
【ケアマネジャーのメモ】{memo}
【会議録の様式の手引】{format_guide}

「声や話の内容から推測しない」を明記しないと、話者を当てにいきます。 「入浴の介助で」と話した人を訪問介護と決めるのは、たいてい当たっています。当たっていても、確かめていない対応づけを記録にしないことが大事です。

結論に発言の時刻を書かせるのは、確認を速くするためです。 ケアマネジャーは、結論の欄の時刻のところだけ録音を聞けば、合意だったか、話題に出ただけだったかを確かめられます。 全体を聞き返す必要がなくなります。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。

{
  "meeting_id": "",
  "attendees": [
    { "affiliation": "", "role": "", "name": "", "speaker_label": "", "mapped": true }
  ],
  "items": [
    {
      "title": "",
      "opinions": [ { "role": "", "speaker_label": "", "text": "", "time": "", "source": "録音 | メモ" } ],
      "user_family_wishes": [ { "who": "本人 | 家族 | 本人または家族", "text": "" } ],
      "conclusion": { "text": "", "time": "", "agreed": true },
      "open_issues": [ { "text": "", "owner": "", "next_check": "" } ]
    }
  ],
  "unmapped_speakers": [],
  "off_agenda_topics": []
}

1つ目の理由は、項目ごとに意見・結論・課題を分けて持てることです。 事業所の会議録の様式の「検討した項目」「検討内容」「結論」「残された課題」の欄へ、そのまま写せます。ケアマネジャーごとの書き方の違いは、この形で吸収されます。

2つ目は、agreed と time で結論を確かめやすくなることです。

状態意味ケアマネジャーがすること
agreed: true で time あり合意したと読める発言があるその時刻だけ録音を聞いて確かめる
結論が空で open_issues に移っている合意が読めなかった本当に決まらなかったかを思い出す。決まっていたなら結論に戻す
opinions の role が空発言者の対応が不明誰の発言かを思い出して埋める。分からなければ「発言者不明」のまま

3つ目は、unmapped_speakers で名乗りの漏れが見えることです。 対応のつかない話者が多い会議は、冒頭の名乗りを省いた会議です。件数を見れば、運用のどこを直せばよいかが分かります。

source で録音とメモを分けているのは、メモにしかない内容を確かめるためです。 録音を止めた後の家族の話は、ケアマネジャーの記憶でしか確かめられません。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
会議ごとのフォルダGoogle Apps Script の時間主導のトリガー録音とメモの保存を検知する
会議の予定表スプレッドシートの読み取り出席者の一覧、検討する項目、録音の同意の印
OpenAI API(文字起こし)API呼び出し話者の区別つきの文字起こし
ChatGPT(OpenAI API)API呼び出し会議録の下書き
Google ドキュメント書き出し事業所の様式の順に並べた下書き
介護ソフトケアマネジャーが写す確認を終えた会議録

介護ソフトへは、この構成から書き込みません。 会議録は事業所が保存する記録で、確かめていない下書きが記録として残る経路を作らないためです。介護ソフトに取り込みの仕組みがあっても、最初はケアマネジャーが写す運用にします。

下書きのドキュメントは、担当のケアマネジャーと管理者だけが開ける設定にします。 他の事業所の出席者には、確認を終えた会議録を事業所の決まった方法で共有します。

Step9

人が確認する

ケアマネジャーが確かめるのは、次の4つです。 下書きの全文を録音と見比べることはしません。

  1. 出席者と話者の対応 … 対応が付いた話者が正しいか。unmapped_speakers を思い出して埋める
  2. 結論 … time の箇所だけ録音を聞き、合意だったかを確かめる
  3. 専門職の発言 … 看護師やリハビリ職の発言が、言葉のまま残っているか
  4. 残された課題の担当と時期 … 会議で決めた担当と時期になっているか

2番目を省かないでください。 結論は、次の会議までのサービスの内容を決める記録です。合意していないことが結論になっていると、各事業所がそれに沿って動き始めます。

欠席者の照会の回答は、ケアマネジャーが加えます。 照会の回答は書面やメールで届くもので、録音には入っていません。下書きに「欠席者の照会」の欄を空けて出させ、そこに写します。

目標は、40件をならして1件18分です。 結論の時刻の箇所を聞く数分と、話者の対応を埋める数分と、照会の回答を写す数分です。

直した箇所は、手で消さずに記録に残します。 話者の付け替えや、結論から課題への移し替えが同じケアマネジャーの会議で続くなら、指示文ではなく会議の進め方(合意の言葉を口に出して確かめる)を見直す材料になります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
録音の同意の印が無い文字起こしをせず、メモだけで下書きを作る
録音が25MBを超える無音の箇所で分割してから文字起こしする
冒頭の名乗りが録音に入っていない全話者を「対応不明」にして下書きを作る。推測で埋めない
テレビ電話の出席者の声が小さい・途切れる該当の区切りを「聞き取れず」とし、ケアマネジャーがメモで補う
予定に無い項目が話されたoff_agenda_topics に入れ、ケアマネジャーが会議録に入れるかを決める
本人・家族が感情的になった場面がある発言の言葉のまま残し、要約しない。記録に残す範囲はケアマネジャーが決める
ファイルの形式が対応外変換してから処理する。変換できなければケアマネジャーに知らせる
応答がJSONの形にならない、または拒否の応答が返る印を付けずに残し、ケアマネジャーが録音で書く

上の3行が大半を占めます。 どれもAIの問題ではなく、会議の進め方と録音の仕方の問題です。 冒頭の名乗りを会議の決まりにしてしまうほうが、文字起こしの工夫より効きます。

Step11

記録を残す

  • 録音のファイルと、録音の同意を得た記録(誰から、いつ、どの方法で)
  • 文字起こしの全文(話者ラベル・時刻つき)
  • 返ってきたJSONの全文と、ケアマネジャーが直した後の会議録
  • ケアマネジャーが直した箇所 … 話者の対応の付け替え、結論と課題の入れ替え、専門職の言葉の戻し
  • unmapped_speakers の件数(会議ごと)
  • 介護ソフトに写した日時

会議録の保存は、運営基準の求めに沿って行います。 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準では、サービス担当者会議等の記録を、完結の日から2年間保存することとされています。介護ソフトに写した会議録が、その記録です。録音と文字起こしをいつまで残すかは、事業所で決めてください。 会議録の根拠として残すのか、写した後に消すのかで、保管の範囲が変わります。

04実装レベルの3段階

最小構成:メモと出席者の一覧と検討する項目を ChatGPT の画面に貼り、下書きを作らせる / 1件ごとの下書き
半自動化:上記+録音の保存を起点に、話者の区別つきの文字起こしと下書きを Google Apps Script でつなぐ / 文字起こし、話者の対応、下書きの作成
本格構成:上記+未保存の会議の知らせ、`unmapped_speakers` の件数の集計、介護ソフトの取り込み形式への書き出し / 会議録の作成の全体と記録の質の管理

最小構成では、聞き返しの時間は減りません。 録音を使わないので、メモに書かれていないことは下書きにも出ません。それでも、様式がそろう効果は最小構成から出ます。 半自動化で、聞き返しの25分が無くなります。 本記事の第10章の想定はこの段階です。ケアマネジャーが聞くのは、結論の時刻の箇所だけになります。 本格構成で足すのは、管理者の側の仕組みです。 名乗りの漏れの件数や、未保存の会議を集計すれば、運営指導の前に会議録を洗い出す作業が、毎月の確認に変わります。 介護ソフトへの取り込みを足すのは、写す作業を何か月か続けて、直す箇所が少なくなってからにします。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
8 名
月間件数
40 件
1件あたり現在時間
60 分
1件あたり導入後時間
18 分
現在  40件 × 60分 ÷ 60 = 40 時間/月
導入後 40件 × 18分 ÷ 60 = 12 時間/月
月間削減時間
28h
削減率
70%
年間削減時間
336h
年間金額換算(時間単価3,000円)
101万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. ケアマネジャーが数名から十数名いる居宅介護支援事業所で、ケアプランの作成・更新・変更のたびに開くサービス担当者会議の会議録を、会議の後に録音やメモを見返して書いている場合。会議録の書き方がケアマネジャーごとに違い、運営指導の前に記載の粒度をそろえ直している場合。利用者・家族と出席者から、会議の録音について同意を得る運用を作れる場合。
向いていない
  1. 会議の数が月に数件で、会議録の作成に時間がかかっていない事業所。会議の録音について利用者・家族や出席者の同意を得る運用が作れない場合(メモだけで回す最小構成に留めることになります)。なお、ケアプランの内容の判断や、医療の専門的な見解の要約の正しさの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. ケアマネジャー2名で始める。それぞれ、先月の会議を3件ずつ選ぶ
  2. 録音の同意がとれていない会議は、メモだけを使う
  3. 第7章の指示文の【文字起こし】を空にし、【出席者の一覧】【検討する項目】【メモ】だけを ChatGPT の画面に貼って下書きを作らせる
  4. 出てきた下書きと、実際に書いた会議録を比べる
  5. 次の月の会議から、冒頭で同意をとり、名乗ってもらって録音する

比べるときは、文章の上手さではなく次の3つを見ます。

出てきた内容判断
項目ごとに職種の意見が分かれて出た様式をそろえる効果がある。 録音を足して半自動化へ
メモにない意見が書き足された指示文の「推測で補わない」が効いていない。直してからやり直す
結論が空で、ほとんど残された課題に回ったメモに合意が書かれていない。メモに「決定」の印を付けるだけで変わる

3行目が出ることは珍しくありません。 失敗ではなく、メモからは結論が読めないということが分かったということです。録音を足すと、合意の発言の時刻で確かめられるようになります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
話者を推測で職種に対応づける名乗りのある話者だけを対応づける。 推測を禁じ、unmapped_speakers で返させる
専門職の言葉が言い換えられる言葉をそのまま使わせる。言い換えは程度を変える
話題に出ただけのことが結論になる合意の発言の時刻を書かせ、合意が読めなければ課題に回す
録音の途中で文が切れる無音の箇所で分割する。25MBの上限で機械的に切らない
冒頭の名乗りが無い会議の決まりにする。対応不明の件数を管理者が見る
録音の同意の確認を忘れる同意の印が無い会議を文字起こしに回さない
欠席者の照会の回答が抜ける下書きに照会の欄を空けて出させる
ケアプランの原案を丸ごと渡す検討する項目の見出しだけを渡す
下書きがそのまま記録になる介護ソフトへ書き込まない。写すのはケアマネジャー
録音と文字起こしがいつまでも残る保管の期間を事業所で決める

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、AIが「分かりやすい会議録」を作ろうとして起きます。誰の発言か、どの程度の言い方か、決まったのかどうかという、会議録でいちばん大事な3つを、AIが整えてしまいます。分からないものを分からないと返させる形にしてあるかどうかで、記録として使えるかが決まります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 利用者の心身の状態、病気や服薬の話、家族の事情、本人・家族の意向、そして会議の録音そのものです。介護の記録の中でも、扱いに特に気を配るものです。

  1. 録音について、利用者・家族と出席者の同意を得る … 会議の録音を外部のサービスで文字起こしすることを含めて説明し、同意を得たことを記録に残します。同意の印が無い会議は、文字起こしに回さない仕組みにします
  2. テレビ電話で開くときの同意も別に確かめる … 運営基準では、担当者会議をテレビ電話装置等を活用して行うことができ、利用者又はその家族が参加する場合には、その活用について同意を得なければならないとされています。録音の同意とは別のものとして扱います
  3. 外部へ送るデータの扱いを確かめる … OpenAI API に送ったデータは、2023年3月1日以降、明示的に共有を選ばない限りモデルの学習や改善に使われないとされています。不正利用の監視のためのログは最大30日保持され、条件を満たす組織は保持しない扱い(Zero Data Retention)の承認を申請できます。法人として契約し、条件を確かめてから使ってください
  4. 渡す範囲を会議録の下書きに必要なものに限る … ケアプランの原案や、利用者の基本情報を丸ごと渡しません。検討する項目の見出しと出席者の一覧だけにします
  5. 下書きは記録ではない … 会議録として保存するのは、ケアマネジャーが確かめて介護ソフトに写したものです。運営基準では、担当者会議等の記録を完結の日から2年間保存することとされています
  6. 医療の見解の正しさはこの構成で判断しない … 専門職の発言を言葉のまま残すのは、AIに医療の内容を判断させないためです

誤りが起きた場合のリスクは、ある事業所が言っていない意見を、その事業所の意見として記録することと、決まっていないことを結論として記録することの2つです。 どちらも、後で読んだ他の事業所の動きを変えてしまいます。名乗りのある話者だけを対応づけることと、合意の時刻を書かせることで防ぎ、そこはケアマネジャーの確認から外しません。

10まず何から始めるか

1週目:会議の予定表に2つの列を足す

会議の予定表に、出席者の一覧と検討する項目の列を足します。会議の前に埋めておくことを、ケアマネジャーの決まりにします。あわせて、事業所の会議録の様式の手引を1枚にします。

2週目:メモだけで6件試す

ケアマネジャー2名が、先月の会議のメモを使って ChatGPT の画面で下書きを作らせます。メモにない意見が書き足されていないかを最優先で見ます。

3週目:録音の同意と名乗りの決まりを作る

利用者・家族への説明の文面と、同意を記録する方法を決めます。会議の冒頭で、出席者に所属と名前を名乗ってもらう進め方を、事業所の決まりにします。

4週目:録音から下書きまでをつなぐ

Google Apps Script で会議ごとのフォルダを見張り、文字起こしと下書きを Google ドキュメントに書き出すところまで作ります。この時点では、全件の結論を録音で確かめます。

2か月目: ケアマネジャー全員に広げ、unmapped_speakers の件数を毎週数えます。3か月目以降: 結論の確認を時刻の箇所だけにし、1件60分が何分になったかを実測します。名乗りの漏れが月に数件になり、管理者が会議録の書き足しを頼む件数が減った時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-06/最終更新:2026-10-06
確認した内容情報源確認日
介護支援専門員が、サービス担当者会議の開催により利用者の状況等の情報を担当者と共有し、居宅サービス計画の原案について担当者から専門的な見地からの意見を求めること(第13条第9号)。担当者会議をテレビ電話装置等を活用して行うことができ、利用者又はその家族が参加する場合はその活用について同意を得なければならないこと。要介護更新認定・区分変更の認定を受けた場合に担当者会議で計画の変更の必要性について意見を求めること(第13条第15号)。担当者会議等の記録を完結の日から2年間保存すること(第29条)厚生労働省: 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準2026-10-06
文字起こしのファイルが25MBまでで、MP3、MP4、MPEG、MPGA、M4A、WAV、WebM に対応すること。gpt-4o-transcribe-diarize が diarized_json 形式で話者のラベルと時刻つきの区切りを返し、既知の話者の参照音声を最大4つ渡せること。25MBを超えるファイルは分割し、文の途中で切らないことが勧められていることOpenAI: Speech to text2026-10-06
Structured Outputs が指定した JSON スキーマに沿った応答を必ず生成し、必須の項目の抜けや決めていない列挙値の混入を防ぐこと。安全上の拒否は refusal として判別できることOpenAI: Structured Outputs2026-10-06
2023年3月1日以降、API に送ったデータは明示的に共有を選ばない限りモデルの学習や改善に使われないこと。不正利用の監視のログが最大30日保持されること。条件を満たす顧客が Zero Data Retention などの承認を申請できることOpenAI: Data controls in the OpenAI platform2026-10-06

会議録の様式と記載の範囲は、事業所の指定権者(都道府県・市町村)の示す考え方に沿って、事業所で決めてください。 本記事は厚生労働省と OpenAI の公開情報で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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