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電子契約の締結をきっかけに、金額・期間・特約・担当などの要点をまとめ、経理とカスタマーサクセスへの引き継ぎのメモを送る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

電子契約が締結されたら、契約書の入力項目と商談の情報から金額・期間・請求の条件・特約・担当を取り出します。経理向けとカスタマーサクセス向けの2通の引き継ぎのメモを作り、営業の担当が確かめてから送ります。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
IT・SaaS/人材/広告
対象部門
営業/経理
対象業務
書類作成/要約
主な課題
引き継ぎができていない/書類作成に時間がかかる/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
要約
主な効果
入力漏れ削減/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
40h/月
AI導入後
10h/月
想定削減
75%
年間削減
360h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. Docusign から締結の通知のメールが営業の担当に届く
  2. 営業の担当が締結済みの契約書を開き、金額・期間・請求の条件・特約を確かめる
  3. HubSpot の商談を開き、先方の窓口、導入の時期の希望、商談の中で約束したことを確かめる
  4. 経理向けに、請求の開始日・金額・周期・支払の期日・請求先・値引きの条件を書いて、請求の依頼のチャネルに投稿する
  5. カスタマーサクセス向けに、利用開始の希望日・プラン・先方の窓口・導入で約束したことを書いて、導入の依頼のチャネルに投稿する
  6. HubSpot の商談の段階を「受注」に変える
導入後(After)
  1. 自動Docusign で契約が締結されると、Zapier の Zap が動く
  2. 自動締結した契約の入力項目の値と、契約に付けた商談の番号を Docusign から取り出す
  3. 自動商談の番号で HubSpot の商談を引き、先方の窓口、担当の営業、導入の希望の時期、商談のメモを取り出す
  4. 自動同じ契約をすでに処理していないかを引き継ぎの台帳で確かめる
  5. 自動テンプレートから送った契約かどうかで分ける。そうでない契約は、営業の担当に手で書くよう知らせて終わる
  6. 自動AI が経理向けとカスタマーサクセス向けのメモを作り、特約を原文のまま写して、どちらに関わるかを付ける
  7. 人営業の担当が、Slack に届いた確認の依頼でメモを読み、必要なら直して承認する
  8. 自動承認されたメモを、経理とカスタマーサクセスのチャネルへそれぞれ投稿する
  9. 自動引き継ぎの台帳に記録し、HubSpot の商談に引き継ぎ済みの印を付ける
各工程の詳しい説明を読む
  1. Docusign から締結の通知のメールが営業の担当に届く
  2. 営業の担当が締結済みの契約書を開き、金額・期間・請求の条件・特約を確かめる
  3. HubSpot の商談を開き、先方の窓口、導入の時期の希望、商談の中で約束したことを確かめる
  4. 経理向けに、請求の開始日・金額・周期・支払の期日・請求先・値引きの条件を書いて、請求の依頼のチャネルに投稿する
  5. カスタマーサクセス向けに、利用開始の希望日・プラン・先方の窓口・導入で約束したことを書いて、導入の依頼のチャネルに投稿する
  6. HubSpot の商談の段階を「受注」に変える

(a)2通を書くのに時間がかかる。 契約書と商談を行き来し、同じ情報を2つの書式に写します。1件20分は、そのほとんどが写す作業です。

(b)特約が伝わらない。 契約書の特約の欄には、値引きの条件、無償の期間、追加の作業の約束などが書かれます。メモに写すときに要約され、条件の後半が落ちます。 経理は「10%値引き」だけを受け取り、2年目の扱いを知らないまま請求を組みます。

(c)書くのが遅れる。 月末は締結が続き、営業は次の商談に向かいます。メモが翌週に回ると、初回の請求書の発行と導入の初回の打ち合わせの連絡が、そのぶん遅れます。

(d)書く人によって中身が違う。 支払の期日を書く人と書かない人、先方の窓口の連絡先を書く人と書かない人がいます。受ける側は、足りない情報を営業に聞き直します。

  1. 【自動】 Docusign で契約が締結されると、Zapier の Zap が動く
  2. 【自動】 締結した契約の入力項目の値と、契約に付けた商談の番号を Docusign から取り出す
  3. 【自動】 商談の番号で HubSpot の商談を引き、先方の窓口、担当の営業、導入の希望の時期、商談のメモを取り出す
  4. 【自動】 同じ契約をすでに処理していないかを引き継ぎの台帳で確かめる
  5. 【自動】 テンプレートから送った契約かどうかで分ける。そうでない契約は、営業の担当に手で書くよう知らせて終わる
  6. 【自動】 AI が経理向けとカスタマーサクセス向けのメモを作り、特約を原文のまま写して、どちらに関わるかを付ける
  7. 【人】 営業の担当が、Slack に届いた確認の依頼でメモを読み、必要なら直して承認する
  8. 【自動】 承認されたメモを、経理とカスタマーサクセスのチャネルへそれぞれ投稿する
  9. 【自動】 引き継ぎの台帳に記録し、HubSpot の商談に引き継ぎ済みの印を付ける

7番目が、この設計の分かれ目です。 メモを送るのは営業の担当が承認したあとです。締結した本人が読むので、商談の中の約束ごとで抜けているものに気づけます。 全部を自動で送る設計にすると、特約の読み違いがそのまま請求に進みます。

5番目で、テンプレートを使わない契約を外すのも意図してのことです。 相手方の書式の契約は、入力項目に値がありません。値の無い契約から AI に要点を拾わせると、数字を本文から推測することになります。

02今回想定するシステム構成

構成図
Docusign(テンプレートから送った契約)
   ▼【トリガー】Envelope Completed
Zapier の Zap
   ├──▶ Docusign:Find Form Data for Envelope(入力項目の値)
   ├──▶ Docusign:Find Envelope Custom Fields(商談の番号・テンプレートの種類)
   ├──▶ HubSpot:Get Deal(窓口・担当・導入の希望・商談のメモ)
   ├──▶ Zapier Tables:Find Records(同じ契約の処理済みを止める)
   ├──▶ Paths:テンプレートの契約か
   │      ├ テンプレート → 続きへ
   │      └ フォールバック → Slack で営業の担当へ「手で書く」依頼
   ├──▶ AI by Zapier:2通のメモと特約の写し
   ├──▶ Human in the Loop:Request Approval(営業の担当が直して承認)
   ├──▶ Slack:Send Private Channel Message(経理・カスタマーサクセス)
   ├──▶ Zapier Tables:Create Record(引き継ぎの台帳)
   └──▶ HubSpot:Update Deal(引き継ぎ済みの印)
役割想定する製品代替候補
ワークフローZapier(Paths、Human in the Loop、Zapier Tables)Make、n8n、Power Automate
生成AIAI by ZapierChatGPT(OpenAI)、Claude、Gemini
電子契約Docusignクラウドサイン
商談の管理HubSpotSalesforce
通知SlackMicrosoft Teams

新しく足すのは Zap と引き継ぎの台帳だけです。 Docusign のテンプレート、HubSpot、Slack は今あるものを使います。準備として、Docusign のテンプレートに「商談の番号」と「テンプレートの種類」を持たせます。

起点は Docusign の Envelope Completed です。 Zapier の Docusign の連携には、封筒(エンベロープ)の作成・送信・完了・取り消しなどのトリガーがあり、完了のトリガーは封筒が完了したときに動くとされています。

入力項目の値は Find Form Data for Envelope で取ります。 封筒の入力項目のデータを返す検索で、Docusign 側で送信者のダウンロードの設定が要るとされています。商談の番号のような、署名者に見せない値は Find Envelope Custom Fields で取ります。

要約は AI by Zapier で行います。 返してほしい項目を名前・型・説明・必須かどうかで決めておくと、その形で返します。Professional・Team・Enterprise のプランで使え、モデルは Standard(1倍)、Advanced(3倍)、Premium(5倍。新しいステップの既定)から選ぶか、自前のキーを使えます。

承認は Human in the Loop の Request Approval で行います。 確認する人が内容を直してから承認できる設定があり、通知を Slack に送れます。Professional のプランでは依頼を自分にしか送れないとされているので、営業の担当それぞれに送るには Team 以上のプランにします。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

Docusign の Envelope Completed で動かします。 封筒が完了した、つまり全員の署名が終わったときです。送信や1人目の署名では動かしません。 相手方が署名を断ったり、条件の修正で封筒を取り消したりすることがあり、途中の段階でメモを出すと、締結しなかった契約の請求の依頼が経理に届きます。

締結の通知メールを起点にしないのも、同じ理由です。 メールの文面は Docusign の設定や言語で変わり、どの封筒の完了かをメールから読み取るのは不確かです。 封筒の ID を持ったトリガーから始めれば、後ろのすべての段が同じ封筒を指します。

Docusign の連携には、Envelope Status Updated という、送信・完了・署名・取り消し・辞退のいずれでも動くトリガーもあります。 これを使うと、完了以外で動いたものを後ろで捨てる段が要ります。完了だけのトリガーを選ぶほうが、Zap の動く回数も少なくなります。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
契約の入力項目プラン、月額、初期費用、契約開始日、期間、自動更新の有無、請求の周期、支払の期日、請求先の担当、特約の欄Docusign の Find Form Data for Envelope
封筒のカスタム項目商談の番号、テンプレートの種類(新規・追加・更新)Docusign の Find Envelope Custom Fields
商談の情報会社名、先方の窓口、担当の営業、導入の希望の時期、商談のメモHubSpot の Get Deal
引き継ぎの台帳処理済みの封筒の ID、承認した人、投稿の日時Zapier Tables

質を決めるのは、いちばん上の行です。 金額と期間が契約書の入力項目に値として入っているから、AI に数字を読ませずに済みます。テンプレートの入力項目が足りなければ、まずテンプレートを直します。 特約の欄が自由記述で1つしかないなら、そのままで構いません。

商談のメモは、カスタマーサクセス向けのメモの材料です。 「初回の打ち合わせは情報システム部の◯◯さんも同席」「旧システムからのデータ移行の手伝いを約束」といった記述が、導入の場で食い違いを生む約束ごとです。

入れないもの: 契約書の PDF そのもの、署名者の印影や本人確認の情報。要点をまとめるのに、署名の記録は要りません。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどの操作で何に使うか
締結した封筒の IDEnvelope Completed のトリガー後ろの検索のキー
入力項目の値Find Form Data for Envelope金額・期間・請求の条件・特約
商談の番号Find Envelope Custom FieldsHubSpot の商談を引く
商談の情報HubSpot の Get Deal窓口・担当・約束ごと
処理済みかZapier Tables の Find Records二重の投稿を止める

商談の番号を封筒のカスタム項目に持たせるのは、会社名で商談を探さないためです。 同じ会社に新規と追加購入の商談が並んでいることがあり、会社名で引くと別の商談のメモが混ざります。 営業が Docusign で送るときに番号を入れる運用にするか、HubSpot から送る仕組みがあればそこで入るようにします。

Find Form Data for Envelope は、Docusign 側の設定が前提です。 Zapier の説明では、送信者のダウンロードの設定が要るとされています。組む前に、締結済みの封筒1件で値が返るかを試します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 二重の処理を止める … 封筒の ID で引き継ぎの台帳を探し、あれば止めます
  2. テンプレートの契約かを見る … カスタム項目のテンプレートの種類が空なら、Paths のフォールバックで営業の担当へ「手で書く」依頼を送って終わります
  3. 必須の値の確認 … 月額、契約開始日、期間、請求の周期のどれかが空なら、AI に回さず営業の担当へ知らせます
  4. 金額の形を揃える … 入力項目の金額の文字列から「円」や桁区切りを外し、数字だけにします。値は変えません
  5. 商談のメモを絞る … 商談のメモのうち、締結の直前30日分だけを渡します。古いメモには、途中で撤回した条件が残っています

3番目を AI の前に置くのは、空の値を AI に埋めさせないためです。 契約開始日が空の契約で要約させると、商談のメモに出てくる「来月から」を開始日として書きます。空のものは、空のまま人に戻します。

5番目は地味ですが効きます。 商談のメモには「3か月無償で検討」と書いたあとに「無償はなし、初期費用を半額に変更」と書かれていることがあります。古い条件が残っていると、AI は両方をメモに入れます。 契約書の特約の欄を正とし、商談のメモは約束ごとを拾う材料にとどめます。

Step5

AIに処理させる

させること受け手中身
経理向けのメモ経理請求先、プラン、月額、初期費用、契約開始日、期間、請求の周期、支払の期日、自動更新、値引き・無償の条件
カスタマーサクセス向けのメモカスタマーサクセス会社名、プラン、利用開始の希望日、先方の窓口、導入で約束したこと、注意すること
特約の写しと関わり先両方特約を原文のまま写し、billing / cs / both / none を付ける
食い違いの指摘営業の担当契約書の値と商談のメモが違うところ

4行目が、営業の担当の確認を速くします。 契約書は月額5万円、商談のメモは「月額4.5万円で合意」。どちらが正しいかは AI に決めさせず、違うという事実だけを営業の担当に見せます。

させないこと理由
年額・日割り・初回の請求額の計算経理の請求の仕組みで出す。メモの数字は契約書の値だけ
初回の請求日の割り出し請求の締めの規則は経理が持つ
特約の言い換え・要約条件の後半が落ちる。原文を写す
特約の解釈・請求できるかの判断経理と法務が決める
空の値の補完商談のメモから推測しない。空のまま返す
Step6

指示内容を固定する

あなたは営業部で、締結した契約を経理とカスタマーサクセスへ引き継ぐ係です。
渡された「契約の入力項目」と「商談の情報」だけを使ってください。

【作るもの】
1. 経理向けのメモ(billing_memo)
   請求先、プラン、月額、初期費用、契約開始日、期間、請求の周期、
   支払の期日、自動更新の有無、値引き・無償の条件
2. カスタマーサクセス向けのメモ(cs_memo)
   会社名、プラン、利用開始の希望日、先方の窓口、
   導入で約束したこと、注意すること
3. 特約の一覧(special_terms)
4. 契約の入力項目と商談の情報が食い違うところ(conflicts)

【厳守事項】
- 金額・日付・期間は、契約の入力項目の値をそのまま写してください。
  年額、日割り、税込の額、初回の請求額を計算しないでください。
  初回の請求日を割り出さないでください。
- 契約の入力項目が空の項目は「契約書に記載なし」と書いてください。
  商談の情報から補わないでください。
- 特約は、1つずつ原文のまま text に写してください。言い換え・要約をしないでください。
  そのうえで、請求に関わるなら billing、導入や運用に関わるなら cs、
  両方なら both、どちらでもなければ none を付けてください。
- 特約を解釈して「請求できる」「請求できない」と書かないでください。
- 商談の情報から拾うのは、導入で約束したこと(同席者、データ移行、
  研修、初回の打ち合わせの日程など)だけです。
  金額や期間の条件は、商談の情報から拾わないでください。
- 契約の入力項目と商談の情報で金額・日付・条件が違うときは、
  どちらが正しいかを決めず、両方の値を conflicts に書いてください。
- メモは箇条書きで、敬語の前置きを付けないでください。

【契約の入力項目】{form_data}
【封筒のカスタム項目】{custom_fields}
【商談の情報】{deal}

「商談の情報から金額や期間を拾わない」を明記するのが要点です。 商談のメモには、交渉の途中の金額が何度も出てきます。何も言わなければ、AI は最後に出てきた金額を拾うことがあります。 数字の出どころを契約書の入力項目に固定します。

「特約を言い換えない」も同じ理由です。 要約が上手なほど、条件の「ただし」以降が落ちます。原文を写させ、関わり先の印だけを AI に付けさせます。

Step7

出力形式を固定する

AI by Zapier の出力項目を次のように定義します。

{
  "billing_memo": "",
  "cs_memo": "",
  "special_terms": [
    { "text": "", "impact": "billing | cs | both | none" }
  ],
  "conflicts": [
    { "item": "", "contract_value": "", "deal_value": "" }
  ],
  "missing_items": []
}

1つ目の理由は、2通のメモを別々の項目で受け取れることです。 後ろの Slack の投稿で、billing_memo は経理のチャネル、cs_memo はカスタマーサクセスのチャネルへ、項目を差し込むだけで振り分けられます。

2つ目は、special_terms の impact で、メモへの差し込み先を決められることです。 billing と both の特約は経理向けのメモの末尾に、cs と both の特約はカスタマーサクセス向けのメモの末尾に、原文のまま付けます。 どちらのメモにも出ない none の特約は、営業の担当の確認の画面にだけ出します。

3つ目は、conflicts と missing_items が空かどうかで、確認の重さを変えられることです。 空なら営業の担当は読んで承認するだけ、空でなければ食い違いを解いてから承認します。 Human in the Loop の依頼の文面の先頭に、空でないときだけ「食い違いあり」と出します。

経理向けのメモは、次の形の箇条書きになります。

【請求の引き継ぎ】株式会社◯◯(商談番号 D-48213)
・プラン:スタンダード
・月額:50000
・初期費用:100000
・契約開始日:2026-11-01
・期間:12か月(自動更新あり)
・請求の周期:月次/支払の期日:翌月末
・請求先の担当:経理部 ◯◯様
・特約(原文):初年度の月額を10%値引きする。ただし……
Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
DocusignZapier のトリガーと検索締結の検知、入力項目とカスタム項目の取り出し
HubSpotGet Deal、Update Deal商談の情報を引き、引き継ぎ済みの印を付ける
AI by ZapierZap の中のステップ2通のメモ、特約の写し、食い違い
Human in the LoopRequest Approval営業の担当が直して承認する
SlackSend Private Channel Message経理とカスタマーサクセスのチャネルへ投稿
Zapier TablesFind Records、Create Record二重の処理を止め、引き継ぎを記録する

承認の依頼は、商談の担当の営業へ送ります。 Request Approval の通知先を Slack にし、確認する人に内容を直せる設定を有効にします。直した値は、後ろのステップで「Edited Content」の付いた項目として使えるとされています。Slack に投稿するのは、直した後の項目です。

辞退(Decline)のときは Zap を止めます。 Request Approval には、辞退されたときに続けるか止めるかの設定があります。止める設定にし、辞退したものは営業の担当が手で書きます。 返事が無いときの扱いも、待つ時間と「止める」を設定し、引き継ぎの台帳に「未承認」で残します。

Human in the Loop の確認する人は、Zapier のアカウントを持ち、Zap を共有されている必要があります。 営業15名にアカウントを用意することが前提で、Professional のプランでは自分にしか依頼を送れないため、Team 以上にします。

HubSpot の Update Deal で付けるのは、引き継ぎ済みの印だけです。 金額や期間の項目は書き換えません。商談の金額と契約の金額の食い違いは、営業の担当が直します。

Step9

人が確認する

営業の担当が、承認の依頼で次の順に見ます。

  1. conflicts と missing_items … 空でなければ、契約書と商談のどちらが正しいかを決め、メモを直します
  2. 経理向けのメモの数字 … 月額・初期費用・契約開始日・期間が、締結した契約書と同じかを見ます
  3. 特約の関わり先 … none が付いた特約が、本当にどちらにも関わらないかを見ます
  4. カスタマーサクセス向けのメモの約束ごと … 商談の中で約束したのに抜けているものを足します

2番目は、AI が写したはずの数字でも見ます。 写し間違いは起きにくい作りですが、テンプレートの入力項目そのものを営業が誤って入れていることがあります。 締結後に気づいたものは、経理へのメモで注記して伝えます。

4番目は、締結した本人にしかできない確認です。 商談のメモに書かれていない約束ごとは、AI には拾えません。口頭で約束した研修の回数などを、ここで足します。

目標は、1件5分です。 食い違いが無ければ2〜3分で承認でき、あるものは契約書を開いて10分前後かかります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
テンプレートを使っていない契約Paths のフォールバックで、営業の担当に手で書く依頼を送る
月額・開始日・期間・周期のどれかが空AI に回さず、営業の担当へ知らせる
商談の番号が封筒に無い・HubSpot で見つからない商談の情報なしでメモを作り、カスタマーサクセス向けに「商談の情報なし」と書く
Find Form Data で値が返らないDocusign の送信者のダウンロードの設定を確かめる
同じ封筒で二度動いた引き継ぎの台帳の Find Records で止める
営業の担当が辞退したZap を止め、台帳に「辞退」と残す。営業が手で書く
承認の返事が無い待つ時間を過ぎたら止め、台帳に「未承認」と残して営業の上長へ知らせる
契約の内容を締結後に訂正した新しい封筒で締結し直したものを処理し、古いメモには訂正の旨を投稿する
AI by Zapier がエラーを返す営業の担当へ手で書く依頼を送る

7行目は、月末に起きます。 営業が承認しないまま次の商談に出ると、経理への引き継ぎが止まります。台帳の「未承認」の件数を毎朝見て、上長が声をかけます。

3行目は、商談の番号の入れ忘れで起きます。 経理向けのメモは契約書の値だけで作れるので止めず、カスタマーサクセス向けのメモに足りないことを明記して出します。

Step11

記録を残す

  • 封筒の ID、締結の日時、テンプレートの種類
  • AI が作ったメモの原案(billing_memo、cs_memo、special_terms、conflicts)
  • 営業の担当が直した後のメモと、承認した人・日時
  • 経理とカスタマーサクセスのチャネルへの投稿の日時
  • 辞退・未承認・手で書く依頼に回したものと、その理由

原案と直した後のメモを両方残すのは、直しの多い項目を見つけるためです。 「導入で約束したこと」の直しが多いなら、商談のメモの書き方を営業で揃えます。特約の impact の直しが多いなら、関わり先の説明を指示に足します。

04実装レベルの3段階

最小構成:入力項目と商談のメモを手で AI に貼り、2通のメモを作らせる / メモの下書き
半自動化:上記+締結を起点に Zap で値を取り出し、AI がメモを作り、営業の担当が承認して投稿する / 取り出し・下書き・投稿
本格構成:上記+経理の請求の仕組みとカスタマーサクセスの案件の管理に、承認した値で登録の下書きを作る / 引き継ぎの先の登録まで

最小構成は、確かめるための段階です。 貼るための転記に時間がかかるので、件数はさばけません。 半自動化で、1件20分が5分になり、この段階が本記事の想定です。 営業が書く作業は無くなり、読んで直して承認する作業が残ります。本格構成では、受ける側の登録の手間まで減りますが、 請求の仕組みとの連携は経理の側の設計に入るので、半自動化を数か月回してから考えます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
15 名
月間件数
120 件
1件あたり現在時間
20 分
1件あたり導入後時間
5 分
現在  120件 × 20分 ÷ 60 = 40 時間/月
導入後 120件 × 5分 ÷ 60 = 10 時間/月
月間削減時間
30h
削減率
75%
年間削減時間
360h
年間金額換算(時間単価3,500円)
126万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 月額課金のサービスや運用の契約を売る会社で、Docusign のテンプレートから送る契約が月に百件前後締結され、営業の担当が締結のたびに経理へ請求の条件を、カスタマーサクセスへ導入の約束ごとをそれぞれ書いて渡している場合。特約や値引きの条件が引き継ぎのメモから抜け、初回の請求の誤りや導入の場での食い違いが起きたことがある場合。商談を HubSpot で管理している場合。
向いていない
  1. 契約が月に数件で、営業の担当が経理とカスタマーサクセスに口頭で伝えて足りている場合。契約の大半が相手方の書式の紙の契約書で、電子契約のテンプレートの入力項目に金額や期間が入っていない場合。なお、特約の解釈、請求の可否、契約の内容の法的な判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月締結した契約から20件を選ぶ(特約のあるもの、商談の途中で条件が変わったものを入れる)
  2. 各契約の入力項目の値と、商談のメモをテキストにまとめる
  3. 手元の AI サービスに、第7章の指示を貼り、1件ずつ2通のメモを作らせる
  4. 出てきたメモを、当時営業が書いて投稿したメモと並べる
  5. 経理とカスタマーサクセスの担当に、どちらが使いやすいかを聞く

20件は必ずやってください。 Zap を組む前に、「入力項目と商談のメモだけで、受け手が聞き直さずに済むメモになるか」を確かめます。

出てきた内容判断
当時のメモと同じか、それより抜けが少ないZap の作成に進む
金額を計算した・商談のメモの古い条件を拾った指示の書き方で直る。構成は有効
入力項目が足りずメモが埋まらないテンプレートの見直しが先。 AI の問題ではない

3行目が出たら、テンプレートの入力項目を足します。 請求の周期や支払の期日が契約書の本文に書かれていて入力項目になっていない、というのはよくあることです。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
年額や初回の請求額を計算して書く計算を禁じ、契約書の値だけを写すと指示に書く
商談のメモの古い金額を拾う金額と期間は契約書の入力項目だけ。商談のメモは約束ごとに限る
特約の「ただし」以降が落ちる原文を写させ、関わり先の印だけを付けさせる
締結していない契約のメモが出るトリガーを Envelope Completed にする
入力項目の値が返らないDocusign の送信者のダウンロードの設定を確かめる
別の商談のメモが混ざる会社名ではなく商談の番号で引く
営業の担当に承認の依頼が届かないProfessional では自分にしか送れない。Team 以上にする
承認されないまま止まる待つ時間と止める設定を置き、台帳の「未承認」を毎朝見る
AI の費用が想定より高い既定の Premium(5倍)を見直す
相手方の書式の契約で値が空Paths のフォールバックで手で書く依頼に回す
特約に none が付きすぎるbilling と cs の説明に「値引き・無償・支払の猶予」「研修・移行・同席」などの例を足す
更新の契約で導入のメモが要らないテンプレートの種類が「更新」のときは、カスタマーサクセス向けを変更点だけにする

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも「数字と条件の出どころが契約書からずれる」という同じ形をしています。出どころを入力項目に固定してあるかどうかで、経理が信じて使えるメモになるかが決まります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 取引先の会社名、契約の金額と条件、値引きなどの個別の特約、先方の窓口の氏名と連絡先、商談のメモです。

  1. AI に渡すのは要点に要る値だけにする … 契約書の PDF、署名の記録、本人確認の情報は渡しません
  2. 特約と値引きの条件を見られる人を絞る … Slack の投稿先は、経理とカスタマーサクセスの非公開のチャネルにします
  3. AI by Zapier の扱いを確かめる … Zapier の説明では、モデルは Zapier の委託先から提供され、Zapier のモデルでは内容の確認(モデレーション)が既定で有効で外せないとされています。自前のキーを使うと外せます。 どちらにするかを情報システム部門と決めます
  4. メモを自動で送らない … 営業の担当の承認の後に投稿します
  5. 特約の解釈を AI に寄せない … 請求できるか、どう扱うかは経理と法務が決めます

誤りが起きた場合のリスクは、誤った金額や条件で初回の請求をすることと、導入の約束が伝わらないことの2つです。 前者は数字の出どころの固定と営業の確認で、後者は営業の担当の確認の4番目で止めます。

10まず何から始めるか

1週目:テンプレートを整える

Docusign のテンプレートに、商談の番号とテンプレートの種類のカスタム項目を足し、請求の周期と支払の期日を入力項目にします。 新しい契約から、営業が商談の番号を入れて送るようにします。

2週目:20件で試す

先月の契約から20件を選び、手元の AI サービスで2通のメモを作らせます。当時のメモと並べ、金額の計算や古い条件の拾い上げが無いかを最優先で見ます。

3週目:メモの書式を受け手と決める

経理とカスタマーサクセスの担当に、メモに要る項目と並び順を決めてもらいます。 受ける側の書式に合わせるほうが、聞き直しが減ります。

4週目:締結からメモの下書きまでをつなぐ

Envelope Completed から AI by Zapier までを作り、この時点では投稿せず、営業の担当に下書きを Slack の個人あてに送るだけにします。

2か月目: Human in the Loop の承認と、経理とカスタマーサクセスのチャネルへの投稿を足します。3か月目以降: 引き継ぎの台帳で、受ける側からの聞き直しの件数と、承認までの時間を追います。聞き直しがほぼ無くなった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-14/最終更新:2026-10-15
確認した内容情報源確認日
Docusign のトリガーに Envelope Completed・Envelope Status Updated などがあること。検索に Find Form Data for Envelope(送信者のダウンロードの設定が要る)と Find Envelope Custom Fields があることZapier: Docusign integrations2026-10-14
HubSpot の操作に Get Deal・Update Deal・Find Deal があることZapier: HubSpot integrations2026-10-14
AI by Zapier で出力項目を名前・型・説明・必須で定義できること。Professional・Team・Enterprise で使えること。モデルが Standard(1倍)・Advanced(3倍)・Premium(5倍、新しいステップの既定)と自前のキーから選べること。モデルが委託先から提供され、Zapier のモデルではモデレーションを外せないことZapier: Use AI by Zapier to analyze and return data2026-10-14
Human in the Loop の Request Approval が Professional 以上で使え、Professional では自分にしか依頼を送れないこと。確認する人が Zapier のアカウントを持ち Zap を共有されている必要があること。通知に Slack を選べ、内容を直せる設定と「Edited Content」の項目があること。辞退時に続けるか止めるか、待つ時間の設定があることZapier: Human in the Loop2026-10-14
Slack の操作に Send Channel Message・Send Private Channel Message・Send Direct Message があることZapier: Slack integrations2026-10-14
Zapier Tables の操作に Find Records・Create Record・Update Record があることZapier: Zapier Tables integrations2026-10-14
Paths が Professional・Team・Enterprise で使え、1つのグループに最大10本、フォールバックを1本置けることZapier: Add branching logic to Zap workflows with Paths2026-10-14

特約の解釈と請求の扱いは、経理と法務の判断に従ってください。 本記事は上記の公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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