入札・提案書の要求事項に対する記載漏れを、提出前に点検する
仕様書やRFPから要求事項を1件ずつ取り出し、提案書のどこで答えているかを対応付けて、記載のないものを一覧にします。取りまとめ担当の作業は、全文を突き合わせて読むことから、挙がった未対応の箇所を確かめて埋めることに変わります。
- 利用ツール
- AWS Textract/Azure AI/Azure OpenAI Service/ChatGPT/Claude/Gemini/Google Document AI/Make/n8n/Power Automate/Python
- 対象業界
- IT・SaaS/広告/建設/自治体
- 対象部門
- 営業/経営企画
- 対象業務
- 内容確認・チェック/比較検討
- 主な課題
- 書類作成に時間がかかる/期限・対応漏れが起きる/確認ミスが多い
- AIで行う処理
- 校正
- 主な効果
- 品質標準化/工数削減/機会損失防止
- 導入難易度
- ★★★☆☆
- 実装レベル
- 半自動化
- 費用感
- API連携(中)
- 人間の確認
- 条件付き
01導入前 / 導入後の業務フロー
- 公告または RFP を受領する
- 取りまとめ担当が仕様書を読む
- 要求事項を拾い出し、Excelの対応表に書き写す
- 担当者に分担して執筆を依頼する
- 各担当が提案書の担当章を書く
- 取りまとめ担当が全体をまとめる
- 対応表と提案書を突き合わせ、記載漏れを探す
- 書式要件(様式、ページ数、フォント、提出部数)を確認する
- 提出書類の一覧と実際のファイルを照合する
- 提出する
- 仕様書を受領し、指定のフォルダに置く
- 自動仕様書を構造化する(見出し・段落・表・選択マーク)
- 自動要求事項を1件ずつ取り出し、原文をそのまま引用して一覧にする
- 自動必須と任意を、語尾を根拠として分ける
- 自動書式要件(様式、ページ数、フォント、部数、期限、押印)を別枠で抜き出す
- 自動提出書類の一覧を抜き出す
- 人取りまとめ担当が、要求事項の一覧を確認・補正する
- 人担当者に分担して執筆を依頼する
- 提案書が完成したら、指定のフォルダに置く
- 自動要求事項ごとに、提案書のどの箇所で触れているかを対応付ける
- 自動触れていない要求事項を挙げる
- 自動触れてはいるが記述が薄い箇所に印を付ける
- 自動書式要件との不一致を挙げる
- 人取りまとめ担当が、挙がった箇所を確かめて埋める
- 人提案の責任者が、要件を満たしているかを判断する
各工程の詳しい説明を読む
- 公告または RFP を受領する
- 取りまとめ担当が仕様書を読む
- 要求事項を拾い出し、Excelの対応表に書き写す
- 担当者に分担して執筆を依頼する
- 各担当が提案書の担当章を書く
- 取りまとめ担当が全体をまとめる
- 対応表と提案書を突き合わせ、記載漏れを探す
- 書式要件(様式、ページ数、フォント、提出部数)を確認する
- 提出書類の一覧と実際のファイルを照合する
- 提出する
問題は5つあります。
(a)要求事項の拾い出しが手作業。 150ページの仕様書から300項目を拾うだけで、半日が消えます。
(b)「〜すること」「〜が望ましい」の区別が難しい。 必須と任意が混ざっており、読み手によって判断が分かれます。
(c)突き合わせが全文の読み比べになる。 提案書のどこで答えているかは、書いた本人しか分かりません。
(d)書式要件の見落としが起きる。 様式番号、ページ数の上限、押印の要否は、仕様書の別の箇所に散らばっています。
(e)締切前に時間がない。 提案書が完成するのは締切の直前です。点検にかけられる時間が構造的に足りません。
- 仕様書を受領し、指定のフォルダに置く
- 【自動】 仕様書を構造化する(見出し・段落・表・選択マーク)
- 【自動】 要求事項を1件ずつ取り出し、原文をそのまま引用して一覧にする
- 【自動】 必須と任意を、語尾を根拠として分ける
- 【自動】 書式要件(様式、ページ数、フォント、部数、期限、押印)を別枠で抜き出す
- 【自動】 提出書類の一覧を抜き出す
- 【人】 取りまとめ担当が、要求事項の一覧を確認・補正する
- 【人】 担当者に分担して執筆を依頼する
- 提案書が完成したら、指定のフォルダに置く
- 【自動】 要求事項ごとに、提案書のどの箇所で触れているかを対応付ける
- 【自動】 触れていない要求事項を挙げる
- 【自動】 触れてはいるが記述が薄い箇所に印を付ける
- 【自動】 書式要件との不一致を挙げる
- 【人】 取りまとめ担当が、挙がった箇所を確かめて埋める
- 【人】 提案の責任者が、要件を満たしているかを判断する
自動化されるのは「要求事項の抽出」「対応付け」「書式要件の照合」の3つです。残るのは「満たしているかを判断すること」と「書くこと」です。
3番目の「原文をそのまま引用する」が、この構成の前提です。 要約された要求事項は、別のものになります。
02今回想定するシステム構成
仕様書・RFP(PDF/Word) │ ▼ SharePoint の案件フォルダ ──【ファイル作成をトリガー】 │ ▼ Azure AI Document Intelligence(prebuilt-layout) │ 見出し・段落・表・選択マークを構造化(Markdown出力) ▼ Claude API(要求事項の抽出・必須/任意の判別・書式要件の抜き出し) │ ▼ 要求事項の一覧 ──【取りまとめ担当が確認・補正】── 執筆の分担 │ ▼ 提案書(PDF/Word) │ ▼ Claude API(要求事項 × 提案書の対応付け) │ ├──▶ 対応している箇所(ページ・見出し・引用) ├──▶ 触れていない要求事項 ├──▶ 記述が薄い箇所 └──▶ 書式要件との不一致 │ ▼ 点検結果 ──【取りまとめ担当が確認】──【責任者が判断】── 提出
| 役割 | 想定する製品 | 代替候補 |
|---|---|---|
| 生成AI | Claude API | ChatGPT、Gemini、Azure OpenAI Service |
| OCR | Azure AI Document Intelligence(prebuilt-layout) | Google Document AI、AWS Textract |
| ワークフロー | Power Automate | Make、n8n、Python |
| 保管 | SharePoint ドキュメントライブラリ | Google ドライブ |
| 台帳 | SharePoint リスト | Excel |
構造化と読解を分けている点に注意してください。 レイアウトモデルで見出し・表・選択マークの構造を取り、そのうえで生成AIに要求事項として読ませます。PDFをそのまま生成AIに渡す方法もありますが、表の構造が崩れると要求事項を取りこぼします。
提案書作成支援のSaaSと比べてください。 過去提案の検索、要件対応表の自動生成、共同編集まで提供する製品があります。自前で組む価値があるのは、自社の様式と点検の観点を組み込みたい場合です。
03どうやって実装するのか
処理の起点を決める
仕様書が案件フォルダに置かれたときと、提案書の版が置かれたときの2つが起点です。
Power Automate の SharePoint コネクタには「ファイルが作成されたとき」というトリガーがあります。案件ごとのフォルダを作り、01_仕様書 と 02_提案書 のサブフォルダに置く運用にすれば、どちらの処理かを判別できます。
提案書側は、版が上がるたびに回してください。 完成してから1回だけ回すと、締切の直前に大量の未対応が出ます。 執筆の途中で回せば、埋めながら進められます。
半自動化では、次を追加します。
- 提出期限の3日前に、未対応の一覧を通知する
- 質問受付期限の2日前に、解釈が割れた要求事項を通知する
2つ目が効きます。 「この項目は必須なのか任意なのか」で迷ったものは、質問受付期間に発注者へ聞くべきものです。 期限を過ぎると聞けません。
入力データを集める
| データ | 中身 | 取得元 |
|---|---|---|
| 仕様書・RFP | 要求事項、評価基準、書式要件 | 公告サイト、発注者 |
| 提案書 | 自社が作成した提案の本文 | 社内 |
| 点検の観点 | 何を記載漏れとみなすか | 経営企画(新しく作る) |
| 様式集 | 発注者が指定した様式ファイル | 公告サイト |
| 過去の指摘 | 過去に不備を指摘された内容 | 入札管理の記録 |
| 自社の用語集 | 自社用語と一般的な用語の対応 | 経営企画 |
「点検の観点」を先に作ってください。
| 観点 | 見るもの |
|---|---|
| 要求事項への対応 | 各項目に触れている箇所があるか |
| 必須と任意の区別 | 「〜すること」「〜が望ましい」の語尾 |
| 書式要件 | 様式番号、ページ数、フォント、余白、部数 |
| 提出書類 | 一覧と実際のファイルの照合 |
| 期限 | 質問受付、提出、開札の各期限 |
| 用語の一致 | 仕様書の用語を提案書で使っているか |
「用語の一致」を軽く見ないでください。 仕様書が「利用者」と書いているのに提案書が「ユーザー」と書いていると、評価者は対応関係を追いにくくなります。 評価は人が行います。
データの取得方法を決める
仕様書の構造化: Azure AI Document Intelligence のレイアウトモデル(prebuilt-layout)を使います。このモデルは、テキスト、テーブル、選択マーク、そしてタイトル・セクション見出し・ページヘッダー・ページフッターなどの論理的な役割を抽出します。
要求事項の抽出では、次の出力が効きます。
| 出力 | 使い道 |
|---|---|
paragraphs の role(title / sectionHeading / pageHeader / pageFooter / pageNumber) | 章立てを復元する。ヘッダー・フッター・ページ番号を要求事項として拾わずに済む |
tables(行数・列数・行スパン・列スパン・columnHeader) | 要求事項が表で示されている場合に、項目と内容の対応を保てる |
selectionMarks(selected / unselected) | チェックボックス形式の要件で、どれが選択されているかが分かる |
sections | 節・項の階層を保つ |
outputContentFormat=markdown を指定すると、抽出結果をMarkdownで受け取れます。 章立てと表の構造を保ったまま生成AIに渡せるため、この用途では扱いやすくなります。v4.0(2024-11-30 GA)では、表はHTMLのテーブルとして表現され、結合セルや複数行ヘッダーも表せます。 選択マークは☒と☐のUnicode文字で表現されます。
入力の制限を押さえてください。
- PDFとTIFFは最大2,000ページまで処理できます(Freeレベルでは最初の2ページのみ)
- ファイルサイズは有料(S0)レベルで500MB、Free(F0)レベルで4MB
- パスワードがかかったPDFは、提出前にロックを解除する必要があります
- 大きな文書では、
pagesクエリパラメータでページ範囲を指定して分けて処理できます
表が複数ページにまたがる場合は、送信前にPDFをページで分割し、分析後に1つの表としてまとめる方法が案内されています。要求事項の表が10ページ続くような仕様書では、この処理を入れてください。
提案書の読み込み: 提案書はPDFのまま Claude API に渡せます。1リクエストの上限は32MB、ページ数は最大600ページ(コンテキストウィンドウが1Mトークン未満のモデルでは100ページ)です。パスワードや暗号化のかかったPDFは扱えません。
大きなPDFは、Files API にアップロードして file_id で参照してください。 リクエストの本文を小さく保てます。
ページ数の上限に注意してください。 提案書が120ページ、仕様書の要求事項一覧が20ページなら、同じリクエストに両方を入れると140ページです。要求事項を分割して回す設計にしてください。
AIへ渡す前に整形する
- ヘッダー・フッターの除去 …
roleがpageHeaderpageFooterpageNumberの段落を外します - 章立ての復元 …
sectionHeadingから目次構造を作ります - 表の正規化 … 結合セルを展開し、項目と内容の対応を作ります
- 要求事項の候補の抽出 … 「〜すること」「〜を行う」「〜を提出する」の語尾を持つ文を拾います
- 書式要件の分離 … 数値(ページ、部数、ポイント)を含む文を別枠にします
- 提案書の見出しの抽出 … 対応付けの手がかりにします
- 分割 … 要求事項を50項目ずつに分け、ページ数の上限に収めます
1番目を入れないと、ページヘッダーの文字列が要求事項として何十件も出ます。 レイアウトモデルの role を使えば機械的に外せます。
4番目は候補の抽出であって確定ではありません。 表の中の要求事項は語尾を持ちません。表から抽出したものと、本文から抽出したものを分けて持ってください。
AIに処理させる
| 処理 | 内容 |
|---|---|
| 要求事項の抽出 | 仕様書から1件ずつ取り出し、原文をそのまま引用する |
| 必須と任意の分類 | 語尾を根拠として分ける |
| 書式要件の抜き出し | 様式、ページ数、フォント、部数、期限を別枠にする |
| 対応付け | 要求事項ごとに、提案書のどの箇所で触れているかを示す |
| 未対応の抽出 | 触れている箇所が見つからない要求事項を挙げる |
| 薄い記述への印 | 触れてはいるが1文だけ、といった箇所に印を付ける |
| 用語の不一致の指摘 | 仕様書の用語と提案書の用語のずれを挙げる |
AIに次のことをさせないでください。
| させないこと | 理由 |
|---|---|
| 「要件を満たしている」という判定 | 満たすかどうかは提案の責任者が判断する |
| 提案内容の評価・点数化 | 評価は発注者が行う |
| 要求事項の言い換え・要約 | 要約すると別の意味になる。原文を引用する |
| 必須と任意の推測 | 語尾が曖昧なものは「判別不能」とする |
| 未対応箇所の文章の自動生成 | 内容を知らないまま書けば、誤った提案になる |
| 落札可能性の予測 | この構成の役割ではない |
「要求事項を要約させない」ことが、この構成でもっとも重要な制約です。 「システムは24時間365日の稼働とし、計画停止は月1回4時間以内とすること」を「高可用性が必要」と要約されると、月1回4時間という条件が消えます。 原文をそのまま引用させてください。
「未対応箇所の文章を自動生成させない」も必ず入れてください。 提案書の空欄をAIが埋めれば、提出物に、社内の誰も内容を把握していない記述が混ざります。 指摘までにとどめてください。
指示内容を固定する
要求事項の抽出:
あなたは、入札仕様書から要求事項を洗い出す担当者です。
仕様書の構造化された内容から、要求事項を1件ずつ取り出してください。
【厳守事項】
- 要求事項は、仕様書の原文をそのまま requirement_text に入れてください。
要約や言い換えをしないでください。
- 必須か任意かは、語尾を根拠として分類してください。
「〜すること」「〜しなければならない」は必須、
「〜が望ましい」「〜も可」は任意としてください。
判断がつかないものは "判別不能" とし、
根拠にした語尾を basis に書いてください。
- 仕様書に書かれていない要求事項を補わないでください。
一般的な入札でよくある要件を、あなたの知識から追加しないでください。
- 要求事項の出典として、章・節番号とページ番号を必ず付けてください。
- 様式番号、ページ数の上限、フォント、部数、期限、押印の要否は、
requirements ではなく format_requirements に入れてください。
- 表から抽出したものは source_type を "table"、
本文から抽出したものは "body" としてください。
【仕様書(構造化済み)】
{structured_spec}
対応付け:
あなたは、提案書が仕様書の要求事項に触れているかを点検する担当者です。
【厳守事項】
- 「要件を満たしている」「十分です」と書かないでください。
触れている箇所を示すか、見つからないと書くだけにしてください。
- 提案内容を評価・点数化しないでください。
- 対応している箇所には、提案書のページ番号・見出し・
該当部分の引用を必ず付けてください。
引用を示せない対応付けは、covered にしないでください。
- 触れている箇所が見つからない要求事項は、
not_covered に入れてください。
「おそらく第3章で触れていると思われます」と書かないでください。
- 触れてはいるが記述が1〜2文にとどまる場合は、
thin_coverage に入れてください。
- 仕様書の用語と提案書の用語が異なる場合は、
term_mismatch に両方を入れてください。
- 未対応箇所を埋める文章を書かないでください。
【要求事項の一覧】
{requirements}
【提案書】
{proposal_document}
2つを分ける理由は、扱う文書が違うからです。 抽出は仕様書だけ、対応付けは両方を見ます。同じリクエストにまとめると、ページ数の上限に当たります。
出力形式を固定する
要求事項の抽出:
{
"spec_id": "",
"requirements": [
{
"req_id": "",
"section": "",
"page": 0,
"requirement_text": "",
"obligation": "必須 | 任意 | 判別不能",
"basis": "",
"source_type": "body | table"
}
],
"format_requirements": [
{
"kind": "様式 | ページ数 | フォント | 部数 | 期限 | 押印 | その他",
"text": "",
"value": "",
"section": "",
"page": 0
}
],
"submission_documents": []
}
対応付け:
{
"spec_id": "",
"proposal_version": "",
"checked_at": "",
"covered": [
{
"req_id": "",
"proposal_page": 0,
"proposal_heading": "",
"quoted_text": ""
}
],
"not_covered": [],
"thin_coverage": [],
"term_mismatch": [
{
"spec_term": "",
"proposal_term": "",
"proposal_page": 0
}
],
"format_check": [
{
"kind": "",
"required": "",
"actual": "",
"matched": false
}
]
}
obligation に「判別不能」を持たせるのが、この構成の要です。 「〜に配慮すること」のような語尾は、必須とも任意とも読めます。判別不能のものは、質問受付期間に発注者へ確認すべき候補です。 無理に必須か任意かに寄せると、確認する機会を失います。
covered には引用を必須にしてください。 引用のない対応付けは、対応付けになっていません。 「第3章で触れています」だけでは、確認できません。
thin_coverage は、未対応と同じくらい重要です。 「触れてはいる」状態は、点検をすり抜けます。評価では点が付きません。
format_check の matched は、機械的に照合できる項目だけを持たせてください。 ページ数と部数は数えられます。フォントや余白は、文書の設定から取るかどうかを決めてください。
システムへ連携する
最小構成では連携はありません。仕様書と提案書を生成AIに貼って作業します。
半自動化では、次をつなぎます。
| つなぐ先 | 内容 |
|---|---|
| SharePoint | 仕様書・提案書の受け取り、点検結果の保存 |
| Azure AI Document Intelligence | 仕様書の構造化 |
| SharePoint リスト(案件台帳) | 要求事項の一覧と対応状況 |
| Teams | 未対応の通知、期限前の通知 |
| Outlook | 提出期限・質問受付期限のカレンダー登録 |
提案書の内容を自動で書き換えないでください。 点検の結果として文章が自動で挿入されると、誰も読んでいない記述が提出物に入ります。
期限のカレンダー登録は自動化してよい部分です。 質問受付期限、提出期限、開札日は、仕様書から機械的に取れます。
人が確認する
要件を満たしているかの判断は、必ず提案の責任者が行います。
| 順 | 確認する点 | 誰が |
|---|---|---|
| 1 | not_covered(触れていない要求事項) | 取りまとめ担当(埋める) |
| 2 | obligation: 判別不能 | 取りまとめ担当(質問受付期間に発注者へ確認する) |
| 3 | thin_coverage(記述が薄い) | 取りまとめ担当 |
| 4 | format_check で matched: false | 取りまとめ担当 |
| 5 | 要求事項の一覧の網羅性 | 取りまとめ担当(仕様書を目視で確認する) |
| 6 | 要件を満たしているかの判断 | 提案の責任者 |
5番目を省かないでください。 抽出された一覧が仕様書の要求事項を網羅しているかは、AIの出力からは分かりません。 「拾えなかった項目」は、出力に出ません。目次と章立てを見て、抜けている節がないかを人が確かめてください。
2番目は、期限のある確認です。 質問受付期間を過ぎると、発注者に聞けません。提案書の執筆より先に、この確認を済ませてください。
例外に対処する
| 起きること | 対応 |
|---|---|
| 仕様書がパスワード付きPDF | 提出前にロックを解除する必要がある |
| 仕様書が2,000ページを超える | ページ範囲を指定して分割する |
| 仕様書が500MBを超える | 分割する。有料レベルの上限 |
| 仕様書が画像のスキャンのみ | レイアウトモデルでOCRされる。精度は元の画質に依存する |
| 要求事項が表で複数ページにまたがる | 送信前にPDFをページで分割し、分析後に1つの表としてまとめる |
| 提案書が100ページを超える | モデルのページ上限に注意。 要求事項を分割して回す |
| 語尾が「〜に配慮すること」 | 判別不能。質問受付期間に確認する |
| 仕様書に要求事項の番号がない | 章・節番号とページで識別する |
| 同じ要求事項が複数箇所に出る | 重複として残す。片方だけ対応していることがある |
| 様式が指定のExcelファイル | XLSXは表の分析がサポートされない。 別に扱う |
| 提案書がまだ未完成 | 版ごとに回す。未対応が多いのは正常 |
| 用語が仕様書と違う | term_mismatch。直すかどうかは人が決める |
| 発注者からの質問回答で要件が変わった | 要求事項の一覧を作り直す。版を分けて残す |
記録を残す
- 仕様書の構造化結果
- 要求事項の一覧(原文の引用を含む)
- 取りまとめ担当が補正した内容と、補正前後
- 提案書の版ごとの対応付け結果
not_coveredの推移(版が上がるごとに減っているか)判別不能として発注者へ質問した内容と、その回答- 書式要件の照合結果
- 提出後の結果(落札・失注・失格の別と、分かれば理由)
「not_covered の推移」を残してください。 版が上がるごとに未対応が減っていく様子が見えれば、締切前の慌ただしさが数字で管理できます。
「提出後の結果」を必ず紐づけてください。 失格や不備の指摘があった場合、その項目がこの点検で挙がっていたかどうかが、この構成の実効性を測る唯一の指標です。
発注者への質問と回答を残してください。 同じ発注者の次の案件で、同じ論点が出ます。
04実装レベルの3段階
半自動化で効果の大半が出ます。 90分が35分程度になります。本格構成で30分ですが、本格構成の価値は時間より「版ごとに未対応が減るのを追えること」にあります。
05工数削減シミュレーション
導入後 40件 × 30分 ÷ 60 = 20 時間/月
自社条件で導入効果を整理したい方へ
このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。
06向いている企業・向いていない企業
- 入札・提案の提出が月20件以上あり、仕様書やRFPの要求事項が箇条書きまたは表で示される案件を扱う企業。提案書の作成を複数人で分担しており、最終確認を1〜2名が担っていること。過去の提案書が電子データで残っていること。
- 提出が月に数件で、担当者が全文を読めている場合。要求事項が口頭や打ち合わせだけで示され、文書になっていない場合。提案書が定型のカタログのみで、案件ごとに内容が変わらない場合。
07最小構成で試す方法
- 直近の案件を3件選ぶ(できれば、不備を指摘されたものを1件含める)
- 仕様書のPDFを生成AIに渡し、要求事項を1件ずつ取り出させる
- 取りまとめ担当が作ったExcelの対応表と比べる
- 提案書を渡し、対応付けをさせる
見るのは次の4点です。
| 見る点 | 判断 |
|---|---|
| 人が作った対応表と比べて、拾えた項目の割合 | 8割を超えれば、下書きとして使える |
| 要求事項を要約していないか | 要約していたら、プロンプトを強める。最重要 |
| 「要件を満たしている」と書いていないか | 書いていたら同上 |
| 引用のない対応付けをしていないか | していたら、引用を必須にする |
3で「人が作った対応表にあってAIが拾えなかった項目」を必ず数えてください。 これがこの構成の限界です。逆に「AIが拾って人が見落としていた項目」も数えてください。 こちらが導入の理由になります。
あわせて、次の2つの数字を出してください。
- 過去1年で、要件不備・書式不備で失格または減点になった件数
- 要件対応表を作れなかった案件の割合
5の数字が、この構成の価値そのものです。 1件でもあれば、その1件の受注額が効果の下限になります。
08実装時につまずきやすいポイント
| 問題 | 対策 |
|---|---|
| 要求事項を要約される | プロンプトで禁止する。原文の引用を必須にする。最重要 |
| 「要件を満たしている」と判定される | 禁止する。触れている箇所の提示にとどめる |
| ページヘッダーが要求事項になる | レイアウトモデルの role で除去する |
| 表の要求事項を取りこぼす | レイアウトモデルの表抽出を使う。結合セルを展開する |
| 表が複数ページにまたがる | 分割して分析し、後で1つの表にまとめる |
| パスワード付きPDFが処理できない | 事前にロックを解除する |
| ページ数の上限に当たる | 要求事項を分割する。pages で範囲を絞る |
| 引用のない対応付けが出る | 引用を必須にする。引用がなければ covered にしない |
| 「判別不能」を必須か任意に寄せる | 寄せない。質問受付期間に確認する |
| 未対応箇所の文章が自動生成される | 禁止する。誰も知らない記述が提出物に入る |
| 完成してから1回だけ回す | 版ごとに回す。締切直前に大量の未対応が出る |
| 網羅性の確認を省く | 省かない。拾えなかった項目は出力に出ない |
| 様式のExcelを同じ仕組みで扱う | XLSXは表の分析が非対応。 別に扱う |
09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点
この構成で扱うデータ: 仕様書、提案書、見積の考え方、技術的な構成。提案書は自社の機密情報そのものです。
- 提案書の機密性 … 提案書には価格、体制、技術的な工夫が含まれます。外部のAIサービスへの入力可否を、自社の情報管理規程で確認してください
- 学習利用の禁止 … 入力を学習に使わないことが契約で保証されるサービスを選んでください。競合他社の提案に影響する可能性を、社内で説明できる状態にしてください
- 仕様書の取扱区分 … 公告案件の仕様書は公開情報ですが、民間のRFPには秘密保持契約が付くことがあります。 契約で外部サービスへの入力が制限されていないかを確認してください
- 発注者への説明 … 官公庁の案件では、提案書の作成過程でのAI利用について、調達の条件に定めがある場合があります。 公告の条件を確認してください
- 判定をさせない … 「要件を満たしている」という記録が残ると、それを根拠に提出される可能性があります。 提示にとどめてください
- 自動生成の禁止 … 未対応箇所の文章をAIに書かせないでください。社内の誰も内容を把握していない記述が、契約の一部になります
- 点検結果の保存 … 提出後に不備を指摘された場合、点検結果が経緯の記録になります。 案件ごとに保存してください
- アクセス権限 … 案件ごとのフォルダは、担当者に限定してください。入札情報の管理は、社内でも区分が必要です
- 自動実行してよい範囲 … 構造化、抽出、対応付け、通知、期限登録までです。要件充足の判断、提案書の執筆、提出は、必ず人が行います
誤りが起きた場合のリスクは、拾えなかった要求事項による失格です。この構成は、挙がったものを確認する仕組みであって、挙がらなかったものを保証する仕組みではありません。 要求事項の一覧の網羅性を人が確かめる工程を、省略できない手順として組み込んでください。
10まず何から始めるか
1週目:過去の不備を数える
過去1年の提出案件について、次を数えてください。
- 要件不備・書式不備で失格または減点になった件数
- 要件対応表を作れなかった案件の割合
1件でも失格があれば、その受注額が効果の下限です。 この数字が、投資判断の根拠になります。
2週目:点検の観点を作る
要求事項への対応、必須と任意の区別、書式要件、提出書類、期限、用語の一致——自社で見るべき観点を1枚にまとめてください。 現在ベテランが見ているものを聞き取れば埋まります。
3週目:3件で試す
仕様書を生成AIに渡し、要求事項を取り出させます。人が作った対応表と比べて、拾えた項目の割合を測ってください。 要約していないか、判定を書いていないかを必ず確かめます。
4週目:対応付けを試す
提案書を渡し、対応付けをさせます。引用が付いているか、not_covered が妥当かを確かめてください。 「AIが拾って人が見落としていた項目」があれば、それが導入の直接の理由になります。
2か月目:ファイルの配置から通知までをつなぐ
案件フォルダへの配置をトリガーに、構造化・抽出・対応付けを自動化します。版が上がるたびに回す運用にしてください。あわせて、質問受付期限の2日前に「判別不能」の一覧を通知する仕組みを入れてください。
3か月目以降: 提出後の結果(落札・失注・失格)を点検結果に紐づけます。90分が何分になるかを実測し、あわせて要件不備による失格の件数を追ってください。 時間より、こちらが本来の目的です。
11関連ユースケース
12この仕組みを理解するための記事
13技術仕様の確認日・参考情報
| 確認した内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|
Azure AI Document Intelligence のレイアウトモデル(prebuilt-layout、v4.0 2024-11-30 GA)が、テキスト・テーブル・選択マークに加え、タイトル・セクション見出し・ページヘッダー・ページフッター・ページ番号といった段落の論理ロールを抽出すること。テーブルについて行数・列数・行スパン・列スパン・columnHeader の別・境界ポリゴンが返ること。選択マークに selected / unselected の状態が含まれること。outputContentFormat=markdown でMarkdown出力ができ、v4.0では表がHTMLテーブル、選択マークが☒☐のUnicode文字で表現されること。PDFとTIFFは最大2,000ページ(Freeレベルは最初の2ページのみ)、ファイルサイズは有料(S0)で500MB・Free(F0)で4MBであること。パスワードロックされたPDFは事前の解除が必要なこと。pages クエリパラメータでページ範囲を指定できること。複数ページにまたがる表は送信前にページ分割し分析後にまとめる方法が案内されていること。XLSXではテーブル分析がサポートされないこと | Microsoft Learn:ドキュメント レイアウト分析 | 2026-09-18 |
Claude API でPDFを扱う際、1リクエストの最大サイズが32MB、1リクエストあたりの最大ページ数が600ページ(コンテキストウィンドウが1Mトークン未満の場合は100ページ)であること。パスワードや暗号化のかかっていない標準的なPDFであること。大きなPDFは Files API にアップロードして file_id で参照するとリクエスト本文を小さく保てること | Claude Docs: PDF support | 2026-09-18 |
| Power Automate の SharePoint コネクタに「ファイルが作成されたとき」のトリガーが用意されていること | Microsoft Learn:SharePoint コネクタのアクションとトリガー | 2026-09-18 |
入札・調達の手続きは、発注者ごとに定められています。 提案書の作成過程における生成AIの利用について、公告や契約に条件が付されている場合があります。参加する案件ごとに、公告の条件と契約書の定めを確認してください。 民間のRFPでは、秘密保持契約により外部サービスへの入力が制限されることがあります。この構成は要求事項への対応の有無を示すものであり、要件を満たしているかどうかの判断、および提出の可否は、提案の責任者が行ってください。 抽出されなかった要求事項は出力に現れないため、一覧の網羅性は必ず人が仕様書と照合して確認してください。
実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。失格・減点の減少による効果は、自社の過去実績から算出してください。
自社の業務に使えるAI活用候補を整理します
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