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刃物のメーカーが海外の取引先向けの製品の説明と手入れの案内を Claude で英訳し、社内の用語集と過去の訳にそろえて、数値と言い過ぎの表現を点検する

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

刃物のメーカーが海外の取引先に渡す製品の説明と手入れの案内を、社内の用語集と過去の訳を手がかりに Claude で英訳します。訳語の抜け、数値の食い違い、原文より強い言い方はプログラムで点検し、担当が確かめてから渡します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Google Apps Script/Python
対象業界
商社/小売/製造
対象部門
マーケティング/営業
対象業務
内容確認・チェック/書類作成
主な課題
属人化している/書類作成に時間がかかる/確認ミスが多い
AIで行う処理
翻訳
主な効果
品質標準化/属人化解消/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
100h/月
AI導入後
40h/月
想定削減
60%
年間削減
720h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 開発・品質保証の担当から、日本語の製品の説明と仕様の表を受け取る
  2. 機械翻訳のサービスで下訳を作る
  3. 刃の形、構造、仕上げ、鋼材の語を、用語集と過去の資料を見ながら直す
  4. 刃渡り、重さ、硬さ、角度の数値を仕様の表と照らす
  5. 手入れの案内の注意の書き方を、過去の資料に合わせて整える
  6. 取引先から指定された言い方(たとえば商品名の後ろに付ける語)を反映する
  7. 上司か別の担当が読み、取引先に送る
導入後(After)
  1. 人担当が日本語の原稿と仕様の表を所定のフォルダに置き、取引先を選ぶ
  2. 自動プログラムが原稿を文に分け、用語集から原稿に出てくる語を選ぶ
  3. 自動過去の訳の表から、似た文と、その取引先に渡した訳を選ぶ
  4. 自動Claude API が、用語集と過去の訳を手がかりに文ごとに英訳し、使った訳語と参考にした過去の訳を申告する
  5. 自動プログラムが、用語集の訳語の抜け、数値と単位の食い違い、言い過ぎの語を点検する
  6. 自動点検の結果を、文ごとに印を付けた対訳の表にして担当に返す
  7. 人担当が印の付いた文を直し、取引先の指定を反映する
  8. 人手入れの案内の注意の文は、品質保証の担当が確かめる
  9. 人別の担当が読み合わせ、取引先に送る
  10. 自動送った訳を過去の訳の表に加え、用語集に無かった語を候補として残す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 開発・品質保証の担当から、日本語の製品の説明と仕様の表を受け取る
  2. 機械翻訳のサービスで下訳を作る
  3. 刃の形、構造、仕上げ、鋼材の語を、用語集と過去の資料を見ながら直す
  4. 刃渡り、重さ、硬さ、角度の数値を仕様の表と照らす
  5. 手入れの案内の注意の書き方を、過去の資料に合わせて整える
  6. 取引先から指定された言い方(たとえば商品名の後ろに付ける語)を反映する
  7. 上司か別の担当が読み、取引先に送る

(a)訳語がそろわない。 「霞」を kasumi と書く担当と、kasumi finish、hazy finish と書く担当がいます。同じ取引先に、型番違いの製品の資料が別の訳語で届くことがあります。

(b)数値の写し間違いが残る。 機械翻訳は数字をそのまま写しますが、3番で語を直すときに、隣の数字を消したり、ミリとインチを取り違えたりします。 刃渡り210mmが201mmになっていても、英文を読むだけでは気づけません。

(c)言い過ぎが入り込む。 下訳をこなれた英語に直そうとすると、原文より強い売り文句になります。 「錆びにくい鋼材」が rust-free steel になった資料が、取引先の通販のページにそのまま載っていたことがあります。

(d)過去の資料を探すのに時間がかかる。 似た製品の過去の訳は担当のフォルダにあり、どれが取引先に最後に渡した版かを探すところから始まります。

(e)取引先ごとの指定が担当の記憶にある。 ある取引先は商品名の後ろに必ず Japanese Chef's Knife を付け、別の取引先はインチを併記し、英国の取引先は英国の綴りを求めます。指定は担当とのメールのやり取りに散らばっていて、担当が替わると最初の資料で直しが戻ってきます。

  1. 【人】 担当が日本語の原稿と仕様の表を所定のフォルダに置き、取引先を選ぶ
  2. 【自動】 プログラムが原稿を文に分け、用語集から原稿に出てくる語を選ぶ
  3. 【自動】 過去の訳の表から、似た文と、その取引先に渡した訳を選ぶ
  4. 【自動】 Claude API が、用語集と過去の訳を手がかりに文ごとに英訳し、使った訳語と参考にした過去の訳を申告する
  5. 【自動】 プログラムが、用語集の訳語の抜け、数値と単位の食い違い、言い過ぎの語を点検する
  6. 【自動】 点検の結果を、文ごとに印を付けた対訳の表にして担当に返す
  7. 【人】 担当が印の付いた文を直し、取引先の指定を反映する
  8. 【人】 手入れの案内の注意の文は、品質保証の担当が確かめる
  9. 【人】 別の担当が読み合わせ、取引先に送る
  10. 【自動】 送った訳を過去の訳の表に加え、用語集に無かった語を候補として残す

5番目をプログラムにしたことが、この設計の分かれ目です。 AIに「用語集を守ったか」を聞いても、守ったと答えます。原文に用語集の語があるなら、訳に決まった訳語があるかを文字で確かめます。 数値も同じです。

8番目で品質保証を通すのは、手入れの案内が安全の表示に近いからです。 「研ぐときは」「子どもの手の届かない所に」のような文は、訳の上手下手ではなく、何を約束し何を禁じているかの問題です。

02今回想定するシステム構成

構成図
日本語の原稿(製品の説明/手入れの案内)+仕様の表
   │  所定のフォルダに置き、取引先を選ぶ
   ▼【トリガー】フォルダへの保存
Python
   ├── 原稿を文に分ける
   ├── 用語集から、原稿に出てくる語を選ぶ
   ├── 過去の訳の表から、似た文とその取引先の訳を選ぶ
   ▼
Claude API ── 用語集・訳し方の決まり(キャッシュ)+過去の訳+原稿の文
   │   文ごとの英訳、使った訳語、参考にした過去の訳、原文のあいまいな点
   ▼
Python ── 訳語の抜け、数値と単位、言い過ぎの語の点検
   ▼
対訳の表(文ごとに印)
   ▼
【人】担当が直し、品質保証が注意の文を確かめ、読み合わせて送る
   ▼
過去の訳の表に加える/用語集の候補を残す
役割想定する製品代替候補
処理Claude API(Messages API、構造化出力、プロンプトのキャッシュ)OpenAI API、Gemini API
集計Python(文の分割、用語と過去の訳の選び出し、訳語・数値・言い過ぎの点検、対訳の表の作成)Google Apps Script
保管社内のファイルサーバー(原稿、用語集、過去の訳の表、対訳の表)翻訳メモリの管理の仕組み

新しく足すのは、プログラムと Claude API の契約です。 原稿、仕様の表、過去の英語の資料は、すでにあるものです。用語集の訳語を1つに決めることと、過去の資料を文ごとの対訳の表にすることが、最初の準備作業です。

訳の土台は、Claude API の Messages API です。 公式の案内では、Claude は日本語でも英語に近い性能を示すとされ、入力と出力の言語を明示すると安定すると書かれています。指示の文で「日本語から英語へ」と両方を書きます。

結果は構造化出力で受けます。 output_config.format に type: "json_schema" とスキーマを入れると、返答がスキーマに沿った JSON になります。公式の案内では、数値の minimum・maximum や文字列の長さの制約は使えません。 訳の長さや数値の範囲の点検はプログラムで行います。

用語集と訳し方の決まりは、プロンプトのキャッシュに載せます。 1件の原稿を数十の文に分けても、用語集と決まりは同じです。キャッシュは既定で5分、1時間の指定もでき、キャッシュからの読み込みは通常の入力より安く計算されます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

担当が日本語の原稿を所定のフォルダに置いたことを起点にします。 フォルダは取引先ごとに分け、どのフォルダに置いたかで取引先が決まるようにします。プログラムは数分おきにフォルダを見に行きます。

原稿と一緒に、仕様の表の該当する行も置きます。 原稿の数値を仕様の表と照らすためです。仕様の表が無い原稿は処理せず、担当に「仕様の表が要る」と返します。 数値の照合ができないまま訳を出すと、第3章の(b)が残ります。

同じ製品の複数の取引先向けは、続けて処理します。 用語集と決まりのキャッシュが効くうえ、取引先ごとの言い方の違いを担当が並べて見られます。 処理が終わった原稿は日付のフォルダに移し、残っているものを処理待ちの数にします。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
日本語の原稿製品の説明か手入れの案内。型番、刃の形、鋼材、構造、仕上げ、寸法、注意開発・品質保証の担当
仕様の表型番ごとの刃渡り、全長、重さ、硬さ、刃の角度、柄の材料製品の仕様の表
用語集日本語の語、決まった英訳、使ってはいけない訳、注記用語集の表
過去の訳の表文ごとの日本語と英語の対、取引先、渡した日付過去に渡した資料から作った表
言い過ぎの語の表使わない英語の語と、代わりの言い方品質保証と決めた表
取引先の指定単位の書き方(mm だけ/インチを併記)、商品名の書き方、英米の綴り取引先ごとの決まり

質を決めるのは、用語集の「使ってはいけない訳」の列です。 決まった訳語だけでは、AIはほかの言い方を混ぜることがあります。「三徳:Santoku。all-purpose knife と単独で書かない」のように、避ける訳も書きます。

言い過ぎの語の表は、品質保証と一緒に作ります。

使わない語原文の例代わりの言い方
rust-proof、rust-free錆びにくいresistant to rust
never dulls、stays sharp forever切れ味が長持ちするholds its edge well
dishwasher safe(原文に無い)書かない
lifetime(保証の文に無い)書かない

単位の換算はAIにさせません。 取引先がインチの併記を求めるなら、プログラムが仕様の表のミリから換算し、決まった桁で丸めて、訳の後に入れます。

Step3

データの取得方法を決める

原稿は文に分けます。 句点で切り、箇条書きは行で切ります。文には通し番号を付け、対訳の表の行の番号にします。

用語集からは、原稿に出てくる語だけを選びます。 300語を毎回全部渡すこともできますが、原稿に出てくる語に絞ると、AIが関係の無い訳語を使う余地が減ります。 語の選び出しは、日本語の語と表記ゆれ(「三徳包丁」「三徳」)の一覧で文字を照らすだけです。

過去の訳の表からは、似た文を選びます。 文字の一致の度合いで似た文を上位から5件選び、その取引先に渡した訳を優先します。 同じ文が過去にあれば、その訳をそのまま使うよう指示します。取引先が違えば、同じ製品でも言い方の指定が違うことがあるからです。

似ている度合いが低い文は渡しません。 一致の度合いが半分に満たない文を渡すと、AIはその訳の言い回しに引きずられ、原文に無い語を持ち込むことがあります。 渡すのは、一致の度合いが一定以上の文だけにし、その線は最初の1か月の結果を見て決めます。同じ文が見つかったときは、渡した日付の新しいほうを使います。 取引先から直しが戻った文は、直した後の訳だけを残します。

Claude API へは、1件の原稿をまとめて1回で送ります。 送る中身の順は、①訳し方の決まりと言い過ぎの語の表、②用語集の選び出した語、③過去の訳、④原稿の文、です。①は毎回同じなのでキャッシュの区切りを置き、②③④は原稿ごとに変えます。 公式の案内では、キャッシュは前のほうから順に効くので、変わらないものを前に置きます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 形式の変換 … 文書ファイルから本文を取り出し、表は行ごとの文にします
  2. 文の分割と番号付け … 句点と行で切り、通し番号を付けます
  3. 数値の取り出し … 文ごとの数字と単位(mm、g、HRC、度)を取り出して記録します。後の照合の元になります
  4. 仕様の表との照合 … 原稿の数値が仕様の表と一致しているかを、訳す前に確かめます。違えば原稿の側の誤りとして担当に返します
  5. 用語の選び出し … 原稿に出てくる用語集の語を選びます
  6. 過去の訳の選び出し … 似た文を上位5件選び、その取引先の訳を優先します
  7. 型番の保護 … 型番は記号に置き換えて渡し、訳の後で戻します。AIが型番を「整える」のを防ぐためです
  8. 図の中の文字の書き出し … 研ぎ方の図や刃の断面の図に日本語の書き込みがあれば、担当が文として書き出して原稿に足します。図の文字は文書ファイルから取り出せないことが多く、訳から漏れます

4番目を訳す前に置くのは、原稿の誤りを訳に持ち込まないためです。 訳の後で数値が違うと分かっても、原稿の誤りか訳の誤りかを切り分ける手間が増えます。原稿と仕様の表が合っていることを確かめてから訳します。

Step5

AIに処理させる

させるのは、文ごとの英訳と、その訳の手がかりの申告です。

させること返させる内容
文ごとの英訳訳の文
用語集の訳語を使う使った用語集の語の番号
過去の訳に合わせる参考にした過去の訳の番号。同じ文ならそのまま使ったか
原文のあいまいな点を挙げる主語が無い、どの製品の話か分からない、などの注記
用語集に無い刃物の用語を挙げる用語集の候補として
させないこと理由
原文に無い売り文句を足す取引先の先の使い手への約束になる
原文より強い言い方にする手入れの案内では苦情の元になる
数値の換算・丸めプログラムが仕様の表から行う
注意の文を省く・和らげる安全の表示に近い。品質保証が決める
型番を直す記号に置き換えて渡し、触らせない

2行目がいちばん起きやすい失敗です。 「こまめに水気を拭き取ってください。錆の原因になります」を、AIは自然な英語にしようとして、後半を省いたり、「錆びません」の方向に寄せたりします。 指示で禁じ、言い過ぎの語の表でも拾います。

手入れの案内の1文で、望む訳と避けたい訳を並べると次のようになります。

文
原文使用後は水気をよく拭き取ってください。錆の原因になります。
望む訳After use, wipe the blade completely dry. Moisture can cause rust.
避けたい訳①Wipe after use. (理由が落ちている)
避けたい訳②Wipe dry after use to keep it rust-free. (「錆びない」と約束している)

避けたい訳はどちらも、英語としては自然です。 だから英文だけを読む確認では見落とします。①は長さの点検で、②は言い過ぎの語の表で拾います。

用語集に無い語の扱いも決めておきます。 「本焼」「水牛の口金」のように用語集に無い語が出てきたら、AIには仮の訳と一緒に new_term として挙げさせます。 担当が訳を決めて用語集に加えるまで、その訳は印の付いた文として扱います。

Step6

指示内容を固定する

あなたは刃物のメーカーの海外営業の担当です。
日本語の製品の説明・手入れの案内を、海外の販売代理店に渡す英語に訳します。
入力は日本語、出力は英語です。

【訳し方の決まり】{style_rules}
【使わない語と代わりの言い方】{banned_phrases}
【用語集(この原稿に出てくる語)】{glossary}
【過去の訳(似た文。この取引先のものを優先)】{tm_matches}

【厳守事項】
- 用語集にある語は、決まった訳語で訳してください。避ける訳は使わないでください。
- 過去の訳に同じ文があれば、その訳をそのまま使い、tm_exact に番号を入れてください。
- 原文に無い言葉を足さないでください。売り文句を加えないでください。
- 原文より強い言い方にしないでください。「〜しにくい」は「〜しない」にしないでください。
- 注意・禁止の文を省いたり、和らげたりしないでください。理由の部分も訳してください。
- 数字はそのまま写してください。換算や丸めをしないでください。
- 【MODEL_n】のような記号はそのまま残してください。
- 用語集に無い刃物の用語は、仮の訳を付けて new_terms に挙げてください。
- 原文があいまいで訳が決まらない文は、notes に理由を書いてください。

【原稿の文(番号付き)】{segments}

「『〜しにくい』を『〜しない』にしない」を具体的に書くのは、抽象的な禁止では効かないからです。 「言い過ぎない」とだけ書くと、AIは自分の訳を言い過ぎだと考えません。刃物の資料で実際に起きる形を、そのまま書きます。

「理由の部分も訳す」を書くのは、注意の文の後半が落ちやすいからです。 「〜しないでください。刃が欠けることがあります」の後半は、英語にすると冗長に見えて省かれます。使い手にとっては、後半が理由のある注意かどうかを決めます。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。

{
  "document_id": "",
  "client_id": "",
  "segments": [
    {
      "seg_no": 1,
      "translation": "",
      "glossary_ids": [""],
      "tm_exact": "",
      "tm_reference": [""],
      "notes": ""
    }
  ],
  "new_terms": [
    { "ja": "", "proposed_en": "", "seg_no": 1 }
  ]
}

1つ目の理由は、申告とプログラムの点検を突き合わせられることです。

点検プログラムがすること印
訳語の抜け原文に用語集の語があるのに、訳に決まった訳語が無い要確認
避ける訳訳に用語集の「使ってはいけない訳」がある要修正
数値原文と訳で数字の並びが違う要修正
言い過ぎ訳に言い過ぎの語の表の語がある要修正
申告の食い違いglossary_ids にある語の訳語が、訳の文に見当たらない要確認
長さ訳が原文に比べて極端に短い要確認(省略の疑い)

AIの申告を信じるのではなく、申告と文字の点検が食い違う箇所に印を付けます。 申告どおりなら手早く読め、食い違えばそこを重点的に見ます。

2つ目は、文の番号で対訳の表を作れることです。 seg_no で原文と並べ、印を付けた表にすれば、担当は印の無い文を流し読みし、印の付いた文に時間を使えます。

3つ目は、new_terms で用語集を育てられることです。 担当が訳を決めれば、そのまま用語集の行になります。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
取引先ごとのフォルダPython が数分おきに確認原稿と仕様の表を拾う
用語集・過去の訳の表・言い過ぎの語の表表の読み取り原稿ごとに必要な行を選ぶ
Claude APIAPI呼び出し文ごとの英訳と申告を返す
対訳の表ファイルの書き出し原文、訳、印、参考にした過去の訳を並べる
過去の訳の表表への追記送った後に、確定した訳を加える

過去の訳の表には、取引先に送った後の訳だけを加えます。 AIの訳をそのまま加えると、誤りが次の訳の手本になります。 担当が直して送った版だけが手本になります。

用語集にはプログラムから書き込みません。 new_terms は候補の一覧に出し、担当が訳を決めて用語集に加えます。

対訳の表は、取引先に送る英文の文書とは別に作ります。 担当が直すのは対訳の表の訳の列で、直し終えたらプログラムが訳の列だけをつないで英文の文書にします。 送る文書を手で組み直すと、直した文と直す前の文が混ざることがあるからです。

Step9

人が確認する

担当は、対訳の表の印の付いた文から読みます。

  1. 「要修正」を直す … 数値、避ける訳、言い過ぎの語。どれも直し方が決まっているので、すぐ片づきます
  2. 「要確認」を読む … 訳語の抜けや省略の疑い。原文と並べて、意味が落ちていないかを見ます
  3. 手入れの案内の注意の文を品質保証に回す … 印の有無にかかわらず、注意・禁止の文は品質保証の担当が読みます
  4. 取引先の指定を反映する … 商品名の書き方、英米の綴り、インチの併記
  5. 別の担当が読み合わせる … 英文だけを通して読み、取引先の目で不自然な所を拾います

3番目を省かないでください。 手入れの案内の注意の文は、訳が上手でも、意味が少しずれれば取引先の先の使い手に違う約束をすることになります。 品質保証が原文の意図を知っている人として読みます。

印の無い文も流し読みはします。 印は点検の網にかかったものだけで、網にかからない誤訳もあります。

作業1件あたりの目安
印の付いた文の訳語の確認と、印の無い文の流し読み5分
言い過ぎ・注意の文の直しと、品質保証への回付10分
取引先の指定の反映と、別の担当の読み合わせ15分

読み合わせの15分はこれまでと同じです。 取引先に渡す前の最後の目として、ここは削らない前提で見積もります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
仕様の表が無い処理せず、担当に「仕様の表が要る」と返す
原稿の数値が仕様の表と違う訳さず、原稿の誤りとして担当と開発に返す
型番の記号が訳に残っていないその文を「要修正」にし、記号を戻せない場合は訳し直す
用語集に無い語が多い新しい製品群の印。用語集の整備を先に行う
応答が途中で切れる(max_tokens)原稿を半分に分けて送り直す
応答がスキーマに沿わない(refusal など)その原稿は人が訳す
Claude API が応答しない原稿をフォルダに残し、次の回で再試行
取引先から訳の直しが戻る直しを過去の訳の表に反映し、用語集に関わる直しなら用語集も直す
原稿の中で同じ語が2通りに書かれている訳す前に担当に返し、原稿の表記をそろえてから訳す
取引先がインチの併記を求めるのに仕様の表にミリしか無いプログラムが換算して入れる。換算の決まり(桁と丸め)を取引先ごとに持つ

4行目は、AIの問題ではありません。 用語集に無い語が多い原稿は、訳がばらつきます。新しい製品群を出す前に、その語を用語集に足しておきます。

Step11

記録を残す

  • 日本語の原稿、仕様の表の行、取引先
  • そのとき使った用語集・言い過ぎの語の表・訳し方の決まりの版と、選び出した過去の訳
  • Claude API から返ってきたJSONの全文と、プログラムの点検の結果
  • 担当が直した箇所と、品質保証の確認の結果
  • 取引先に送った最終の訳と、送った日付
  • new_terms の候補と、担当が決めた訳

4つ目の直した箇所が、指示と用語集を直す材料になります。 同じ型の直しが続くなら、指示か用語集に書き足します。

用語集と言い過ぎの語の表にも版を付けます。 表を直した日と理由を残し、どの版で訳した文書かを対訳の表に書いておくと、表を直した後に見直す文書の範囲がすぐ決まります。

取引先に送った最終の訳は、必ず残します。 取引先の通販のページの文言について後から問い合わせが来たとき、こちらが渡した文言がどれかを示せる必要があるからです。

04実装レベルの3段階

最小構成:原稿と用語集を手で Claude の画面に貼り、英訳させる / 下訳と訳語のそろえ
半自動化:上記+プログラムが用語と過去の訳を選び、Claude API で訳して対訳の表にする / 下訳、用語と過去の訳の選び出し
本格構成:上記+訳語・数値・言い過ぎの点検、印付きの対訳の表、過去の訳の表と用語集の候補の更新 / 訳と点検の全体

最小構成でも①の探す時間は縮みます。 ただし用語集と過去の訳を手で選んで貼るので、選ぶ時間が残ります。 半自動化で、1件75分が50分程度になります。 下訳と選び出しは自動になりますが、数値の照合と言い過ぎの確認は人の目に残ります。本格構成で30分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、数値と言い過ぎの点検を、英文を読んで探す作業から、印を見て直す作業に変えるからです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化で1か月訳すと、言い過ぎの語の表に足すべき語と、用語集に足すべき語が分かります。そこを足してから点検を入れるほうが、印が多すぎて読まれない状態を避けられます。 英語以外の言語に広げるのは、本格構成が回ってからにします。 用語集の訳語の列を言語ごとに足せば同じ仕組みで訳せますが、言い過ぎの語の表と、注意の文を読める品質保証の担当を、その言語でも用意できるかが先です。 用意できない言語は、取引先の側で確かめてもらう段取りを決めてから始めます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
4 名
月間件数
80 件
1件あたり現在時間
75 分
1件あたり導入後時間
30 分
現在  80件 × 75分 ÷ 60 = 100 時間/月
導入後 80件 × 30分 ÷ 60 = 40 時間/月
月間削減時間
60h
削減率
60%
年間削減時間
720h
年間金額換算(時間単価3,200円)
230万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 包丁・鋏・園芸の刃物などを作り、海外の販売代理店や小売店に製品を出していて、新製品や仕様の変更のたびに英語の製品の説明と手入れの案内を作っている刃物のメーカー。英語のできる担当が数人に限られ、刃の形や鋼材・仕上げの訳し方が担当ごとに違ってきている場合。過去に取引先に渡した英語の資料が文書ファイルで残っていて、用語集を作る材料がある場合。刃物を輸出する商社や、刃物を扱う専門店が海外向けの通販の説明文を作る場合にも当てはまります。
向いていない
  1. 海外向けの製品が数点で、年に数回しか英語の資料を作らない場合。取引先が訳を作って送ってくる形で、自社で英語の資料を作らない場合。なお、輸出先の国の刃物の販売・表示の規制に合っているかの判断、製品の安全の表示の最終の文言の決定、保証の範囲の決定は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 去年取引先に渡した製品の説明と手入れの案内を10件選ぶ(手入れの案内を5件入れる)
  2. 用語集から、その10件に出てくる語を抜き出し、訳語を1つに決める
  3. 手元の Claude の画面に、用語集と過去の訳を数件と、日本語の原稿を貼り付ける
  4. 「日本語から英語に訳してください。用語集の訳語を使い、原文より強い言い方にしないでください。数字はそのまま写してください。使った用語集の語を最後に挙げてください」と指示する
  5. 出てきた訳を、実際に渡した訳と並べて比べる

10件は必ずやってください。 プログラムを組む前に、「用語集を渡せば訳語がそろうのか」を確かめます。

出てきた内容判断
渡した訳と同じ訳語で、意味の落ちない訳が出たプログラムとの連携に進む
注意の文の理由の部分を省いた指示の書き方で直る。構成は有効
用語集に無い語の訳がばらばら用語集の整備が先

3行目が出ることは珍しくありません。 担当の頭の中にあった訳し方が、用語集に書かれていなかったということです。書き足す語の一覧が手に入ったと考えてください。 その場合は、4名の担当で訳語を決めて用語集に足し、同じ10件をもう一度訳させてください。2回目で訳語がそろえば、用語集を渡すやり方が通じるということです。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
原文より強い言い方になる具体的な形(「〜しにくい」→「〜しない」)を指示に書き、言い過ぎの語の表で拾う
注意の文の理由が落ちる「理由の部分も訳す」を指示に書き、長さの点検で拾う
用語集を守ったと申告するが守っていない申告と文字の点検を突き合わせる
数値が変わる原文と訳の数字の並びを照らす。換算はプログラムで行う
型番を整えてしまう記号に置き換えて渡し、訳の後で戻す
用語集に訳が2つ3つある1つに決め、避ける訳の列を作る
AIの訳を過去の訳の表に入れる送った後の訳だけを入れる
構造化出力で数値の範囲を決めようとするminimum・maximum は使えない。範囲の点検はプログラムで行う
取引先ごとの指定が反映されない取引先ごとのフォルダと決まりを持たせる
印が多すぎて読まれない最初は数値と言い過ぎだけに絞り、慣れてから点検を足す
図の中の日本語が訳から漏れる担当が図の文字を文として書き出し、原稿に足す
似ていない過去の訳に引きずられる一致の度合いの低い文は渡さない

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、英語として自然にしようとして、原文の約束の強さが変わることから出ています。指示で止め、表と長さの点検で拾うかどうかで、運用に乗るかが決まります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 発売前の製品の説明と仕様、取引先の名前と取引先ごとの決まり、過去に渡した資料です。発売前の新製品の情報は、取引先に渡すまでは社外秘です。

  1. データの扱いを確かめる … 公式の案内では、保持されたデータを明示の許可なく学習に使わないとされ、会話の内容は既定では保持しないとされています(30日の保持が要るモデルを除く)。使うモデルがその例外に当たらないかを確かめます
  2. スキーマに製品の情報を入れない … 構造化出力のスキーマは別に24時間キャッシュされます。スキーマの enum に型番や製品名を入れず、中身はメッセージの側に置きます
  3. 注意・禁止の文の最終の文言は品質保証が決める … 訳の誤りが、使い手への違う約束になります。AIの訳をそのまま使わず、品質保証が読んでから渡します
  4. 輸出先の規制はこの構成で判断しない … 刃物の販売や表示について、輸出先の国に決まりがあることがあります。それに合っているかは、取引先と輸出の担当が確かめます
  5. 取引先の資料を混ぜない … 過去の訳の表は取引先ごとに持ち、ある取引先の指定の言い方を別の取引先に渡さないようにします
  6. 担当の評価に使わない … 直した箇所の記録は、指示と用語集を直す材料です。担当の訳の上手下手を測るものにはしません

誤りが起きた場合のリスクは、数値の誤りが取引先のページに載ることと、原文より強い約束が使い手に届くことの2つです。 前者は仕様の表との照合で、後者は言い過ぎの語の表と品質保証の確認で守ります。

10まず何から始めるか

1週目:用語集の訳語を1つに決める

用語集の約300語のうち、刃の形、構造、仕上げ、鋼材の語について、訳語を1つに決め、避ける訳を書きます。 4名の担当で、過去の資料でいちばん多く使った訳を出し合って決めます。言い過ぎの語の表を品質保証と作ります。

2週目:10件で試す

去年渡した10件の原稿を、手元の Claude の画面で訳させ、実際に渡した訳と並べます。原文より強い言い方になっていないか、注意の文の理由が落ちていないかを最優先で見ます。

3週目:過去の資料を対訳の表にする

取引の多い上位5社に渡した資料を、文ごとの対訳の表に置き直します。 取引先と渡した日付を列に持たせます。

4週目:フォルダから対訳の表までをつなぐ

Python で取引先ごとのフォルダを見に行き、用語と過去の訳を選んで Claude API に送り、対訳の表に書き出すところまで作ります。この時点では点検を入れず、訳だけを担当が見ます。

2か月目: 数値と言い過ぎの点検を足し、印付きの対訳の表にします。印の数と、担当が直した数を毎週数えます。3か月目以降: 訳語の抜けの点検と new_terms の候補を足し、1件75分が何分になったかを実測します。新製品の発表の時期を一度、この仕組みで越えた時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-27/最終更新:2026-10-27
確認した内容情報源確認日
Claude が日本語を含む多言語で英語に近い性能を示すこと。入力と出力の言語を明示すると安定すること。2つの言語の間で訳すときは両方を書くよう案内されていることClaude API Docs: Multilingual support2026-10-27
構造化出力を output_config.format に type: "json_schema" で指定すること。数値の minimum・maximum、文字列の長さの制約が使えないこと。max_tokens や refusal で止まったときはスキーマに沿わないことがあることClaude API Docs: Structured outputs2026-10-27
プロンプトのキャッシュが既定で5分、1時間の指定もでき、前から順に効くこと。キャッシュの読み込みが通常の入力より安く計算されることClaude API Docs: Prompt caching2026-10-27
保持されたデータを明示の許可なく学習に使わないこと。会話の内容を既定では保持しないこと(30日の保持が要るモデルを除く)。構造化出力ではスキーマだけが最後に使ってから24時間キャッシュされることClaude API Docs: API and data retention2026-10-27

輸出先の国の刃物の販売・表示の決まりと、注意の文の最終の文言は、取引先・輸出の担当・品質保証で確かめてください。 本記事は公開されている製品の仕様で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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