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監査法人から届く依頼資料の一覧(PBC)とメールのやり取りを突き合わせ、未提出の資料と答えていない質問の一覧、回答の下書きを毎週作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

監査法人から依頼された資料の一覧(PBC)と、監査法人とのメールのやり取りを Microsoft Copilot に読ませ、未提出の資料、まだ答えていない質問、社内の担当が約束した日付を毎週一覧にします。あわせて、回答の材料がそろっている質問には回答の下書きを作ります。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
IT・SaaS/商社/小売/製造
対象部門
経理/財務
対象業務
台帳・マスタ管理/要約
主な課題
人手が足りない/情報が見つからない/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
要約
主な効果
入力漏れ削減/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
条件付き
現在工数
20h/月
AI導入後
8h/月
想定削減
60%
年間削減
144h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 窓口が毎朝、監査法人からのメールを読み、追加の依頼と質問を拾う
  2. 拾った依頼を依頼資料の一覧に書き足すか、備考の欄にメモする
  3. 社内の担当に依頼を転送し、期限を伝える
  4. 担当から資料や回答が届いたら、監査法人へ送り、一覧の提出状況を更新する
  5. 週に一度、一覧を上から見て、未提出と期限切れを拾い、担当に催促する
  6. 監査法人との週次の打合せの前に、未提出と未回答の状況をまとめる
導入後(After)
  1. 人窓口が毎朝、監査法人からのメールを読み、追加の依頼を一覧に書き足す(いまと同じ)
  2. 人毎週月曜の朝、窓口が依頼資料の一覧の最新版を確かめる
  3. 【AI】 Copilot Chat で、一覧と監査法人とのメールを指定し、未提出の資料の一覧を作らせる
  4. 【AI】 同じく、答えていない質問と、担当者が約束した日付を一覧にさせる
  5. 【AI】 一覧で「提出済み」なのに、メールで差し替えや追加を求められている依頼に印を付けさせる
  6. 【AI】 回答の材料が指定した資料にある質問について、回答の下書きを作らせる
  7. 人窓口が、各行の根拠のメールを開いて確かめ、一覧を直す
  8. 人担当への催促と、監査法人への回答を、窓口が確かめてから送る
  9. 人週次の打合せの資料として、確かめた一覧を監査法人と共有する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 窓口が毎朝、監査法人からのメールを読み、追加の依頼と質問を拾う
  2. 拾った依頼を依頼資料の一覧に書き足すか、備考の欄にメモする
  3. 社内の担当に依頼を転送し、期限を伝える
  4. 担当から資料や回答が届いたら、監査法人へ送り、一覧の提出状況を更新する
  5. 週に一度、一覧を上から見て、未提出と期限切れを拾い、担当に催促する
  6. 監査法人との週次の打合せの前に、未提出と未回答の状況をまとめる

(a)未提出に、催促されて気づく。 5番目の見直しは、窓口が忙しい週ほど後回しになります。監査法人から「依頼番号の45がまだです」と言われて初めて、担当への転送が漏れていたことが分かります。

(b)質問がメールに埋もれる。 1つの依頼について、監査法人と窓口と担当者のあいだでメールが何往復もします。「どの質問に答えて、どれに答えていないか」を、スレッドを最初から読み直して確かめています。 返信の引用が重なったスレッドは、読み直すだけで時間がかかります。

(c)約束した日付が追えない。 担当者が監査法人に直接「金曜までに出します」と返信していることがあります。その日付は一覧のどこにも書かれていません。 金曜が過ぎても、窓口は約束があったことを知りません。

(d)一覧の「提出済み」が信用できない。 提出した後に監査法人から差し替えを求められたものも、一覧では「提出済み」のままです。週次の打合せで、監査法人と経理部の認識が食い違います。

  1. 【人】 窓口が毎朝、監査法人からのメールを読み、追加の依頼を一覧に書き足す(いまと同じ)
  2. 【人】 毎週月曜の朝、窓口が依頼資料の一覧の最新版を確かめる
  3. 【AI】 Copilot Chat で、一覧と監査法人とのメールを指定し、未提出の資料の一覧を作らせる
  4. 【AI】 同じく、答えていない質問と、担当者が約束した日付を一覧にさせる
  5. 【AI】 一覧で「提出済み」なのに、メールで差し替えや追加を求められている依頼に印を付けさせる
  6. 【AI】 回答の材料が指定した資料にある質問について、回答の下書きを作らせる
  7. 【人】 窓口が、各行の根拠のメールを開いて確かめ、一覧を直す
  8. 【人】 担当への催促と、監査法人への回答を、窓口が確かめてから送る
  9. 【人】 週次の打合せの資料として、確かめた一覧を監査法人と共有する

7番目が、この設計の分かれ目です。 AIの一覧には、根拠のメールを必ず付けさせます。窓口は、スレッドを最初から読み直す代わりに、根拠のメールだけを開きます。

5番目が、第3章の(d)への答えです。 一覧とメールのずれを人が見つけるには、全部のスレッドを読むしかありませんでした。ずれの候補をAIに挙げさせ、人はその候補だけを確かめます。

02今回想定するシステム構成

構成図
依頼資料の一覧(PBC。SharePoint で監査法人と共有する表計算)
監査法人とのメール(窓口のメールボックス)
社内の担当からの回答の材料(担当が保存した資料)
   ▼【トリガー】毎週月曜の朝、窓口が一覧の最新版を確かめる
Copilot Chat(Work。Work IQ をオン)
   │  / で一覧のファイルと、監査法人とのメールを指定
   ├──▶ 未提出の資料の一覧(期限・担当・最後のやり取り・根拠のメール)
   ├──▶ 答えていない質問と、約束した日付の一覧
   ├──▶ 「提出済み」と食い違うやり取りの印
   └──▶ 回答の材料がある質問の回答の下書き
   ▼
【窓口が根拠のメールを開いて確かめる】
   ▼
担当への催促(Teams・Outlook)/監査法人への回答(Outlook)
週次の打合せの資料(一覧を共有)
役割想定する製品代替候補
処理Microsoft Copilot(Copilot Chat と Outlook の Copilot)ChatGPT Enterprise、Gemini、Claude
保管SharePoint(依頼資料の一覧と提出資料のフォルダ)監査法人の提供するポータル
連絡Outlook、Microsoft Teams-

新しく足すのは、経理部5名分の Copilot のライセンスだけです。 依頼資料の一覧の様式も、監査法人とのやり取りの方法も変えません。

Copilot Chat で、ファイルとメールを指定できることを使います。 公式のページでは、Copilot のライセンスがあり Work IQ がオンのとき、/ を入力して人・ファイル・会議・メール・Teams のチャットを指定できるとされています。Work IQ がオフのときと、Copilot のライセンスが無いユーザーは、ファイルだけを指定できるとされています。メールを指定する必要があるので、この構成は Copilot のライセンスと Work IQ がオンであることが前提です。

長いスレッドは、Outlook の Copilot の要約で先に見ます。 公式のページでは、Outlook でスレッドを選んで Summary by Copilot(または Summarize) を選ぶと、要約がメールの上に表示され、要約にはスレッドの中の該当するメールに移る番号付きの引用が付くことがあるとされています。根拠のメールに戻れることが、窓口の確認を速くします。

依頼資料の一覧の置き場所も確かめておきます。 公式のページでは、Excel のファイルは OneDrive か SharePoint に保存し自動保存を有効にしたものが対象とされ、ローカルのパスは使えないとされています。監査法人と共有している一覧が SharePoint にあれば、そのまま指定できます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

毎週月曜の朝、窓口が依頼資料の一覧の最新版を確かめた時点を起点にします。 監査法人の担当者も一覧を書き換えるので、週末に追加された依頼が反映された版で始めます。 一覧の更新日時を見て、金曜の夕方以降に変わっていればその内容を先に目で確かめます。

監査法人との週次の打合せの前日が、2回目の起点です。 月曜からの3〜4日で状況が変わるので、打合せで使う一覧は、前日の時点で作り直します。 月曜の一覧を打合せでそのまま使うと、その週に提出した資料が未提出として並びます。

期限の前日にも、その日が期限の依頼だけを対象に起点を置きます。 期限の当日に気づいても、担当者が資料を作る時間が残りません。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
依頼資料の一覧依頼の番号、依頼の内容、対象の期間、依頼日、期限、社内の担当、提出状況、提出日、備考SharePoint の共有の表計算
監査法人とのメール追加の依頼、質問、受け取りの連絡、差し替えの依頼窓口のメールボックス(監査法人のドメインからのもの)
担当者と監査法人の直接のやり取り担当者が監査法人に直接返信したメール(窓口をCCに入れる決まり)同上
回答の材料担当者が用意した明細・契約書・説明の文書提出資料のフォルダ
窓口の決まり催促の文面の型、回答の文面の型、依頼の番号の書き方経理部で用意する1枚の文書

質を決めるのは、3つ目のCCの決まりです。 担当者が監査法人と直接やり取りしたメールが窓口に届かなければ、第3章の(c)の約束した日付は、AIにも見えません。 監査法人とのメールには必ず窓口をCCに入れる、という決まりを経理部の外の担当者にも伝えます。

依頼の番号をメールの件名に入れてもらうことも効きます。 監査法人の担当者に、件名の先頭に依頼の番号を書いてもらうよう頼みます。番号の無いメールは、AIが依頼の内容から結び付けることになり、結び付けの誤りが増えます。

Step3

データの取得方法を決める

一覧もメールも、すでに Microsoft 365 の中にあります。取得の仕組みを新しく作る必要はありません。 窓口が Copilot Chat で、/ を使って一覧のファイルとメールを指定するだけです。

取るものどこからどうやって
依頼資料の一覧SharePoint の共有の表計算/ でファイルを指定
監査法人とのメール窓口のメールボックス/ でメールを指定。件名の依頼の番号で探す
長いスレッドの流れOutlookSummary by Copilot で先に要約を見る
回答の材料提出資料のフォルダ/ で質問ごとにファイルを指定
監査法人の監査調書-受け取らない・指定しない

メールは、依頼の番号ごとにまとめて指定します。 「監査法人とのメールを全部見て」と頼むと、Copilot は関係の深いものを自分で選び、古いスレッドや別の依頼のメールが混ざります。 未提出の依頼の番号ごとに、件名で探して指定します。

監査法人から添付で届いた依頼の明細は、先に中身を確かめます。 公式のページでは、新しい Outlook と Outlook on the web では、PDF・PowerPoint・Word の添付があるメールで Summarize a file を選べるとされています。添付の依頼の明細が何を求めているかを窓口が先に把握してから、一覧に書き足します。 表計算の添付は、この方法の対象として挙げられていないので、開いて目で見ます。

指定するメールは、監査法人とのやり取りに限ります。 社内の担当者どうしのメールには、会計処理の検討の途中の考えが書かれていることがあり、回答の下書きに混ざると、確定していない考えが監査法人に届きます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 一覧の最新版の確認 … 更新日時を見て、週末の変更を目で確かめます
  2. 依頼の番号の振り直し … 監査法人がメールで追加した依頼が一覧に無ければ、番号を振って書き足します
  3. 件名の確認 … 監査法人とのメールのうち、件名に依頼の番号が無いものに、窓口が番号をメモします(分類のフォルダに分けるなど)
  4. CCの確認 … 担当者が窓口をCCに入れずに返信したメールが無いかを、週に一度担当者に聞きます
  5. 回答の材料のファイル名の統一 … 「依頼番号_資料の名前_版」にそろえます
  6. 提出状況の値の統一 … 一覧の提出状況を「未提出/一部提出/提出済み/差し替え依頼あり」の4つにそろえます

2番目と3番目を軽く見ないでください。 一覧に無い依頼はAIが「未提出」として拾えず、番号の無いメールは、どの依頼の話かをAIが推測します。 推測で結び付けられた行は、根拠のメールを開くまで誤りに気づけません。

6番目は、AIに提出状況を判断させないための準備です。 状況を4つの値にそろえておけば、未提出の一覧は値で選べます。値が自由に書かれていると、「ほぼ提出」のような書き込みをAIがどう読むかが分かりません。

Step5

AIに処理させる

させるのは、一覧とメールに書かれていることを依頼の番号ごとに要約し、まだ終わっていないことを並べることです。

させること中身判断できないときの扱い
未提出の資料の一覧提出状況が「未提出」「一部提出」「差し替え依頼あり」の依頼について、期限・担当・最後のやり取りの要約メールが見つからなければ「関連するメールなし」
答えていない質問の一覧監査法人のメールの質問のうち、その後に回答のメールが無いもの。質問の文はそのまま写す回答したか判断できなければ「要確認」
約束した日付の一覧担当者や窓口がメールで約束した提出日・回答日と、その文の写し日付があいまいなら文をそのまま写す
一覧とメールのずれの印一覧で「提出済み」なのに、メールで差し替えや追加を求められている依頼印を付けるだけ。状況は書き換えない
回答の下書き指定した資料に答えが書かれている質問について、資料の記載だけを使った回答の文材料が無ければ「回答の材料なし」
させないこと理由
一覧の提出状況の書き換え一覧は監査法人と共有している。書き換えは窓口が確かめてから行う
会計処理の判断を含む回答判断は経理部の責任者が行う
資料に無い数値を含む回答数値は会計システムの記録から人が写す
担当者ごとの遅れの評価一覧は依頼ごとにまとめる。人を評価する用途に使わない
監査法人の意図の推測「監査法人は〜を疑っている」のような推測を書かない

2行目と3行目が、いちばん起きやすい失敗です。 「この引当金の計上の根拠は」という質問に、AIは一般的な会計の考え方で回答の文を書けてしまいます。その文が監査法人に届くと、会社の見解として受け取られます。 材料が無ければ「回答の材料なし」とし、担当者に回します。

4行目は、Microsoft の方針にも関わります。 公式のページでは、職場のやり取りをもとに従業員の業績・態度などを推し量ったり評価したりする用途に、生成AIを使うことを制限しているとされています。未提出の一覧は依頼ごとにまとめ、担当者ごとの遅れの件数を数える使い方はしません。

Step6

指示内容を固定する

月曜の朝の指示(Copilot Chat):

あなたは経理部で、監査法人からの依頼資料と質問の状況をまとめる窓口です。
次の資料だけを使ってください。資料に無いことを補わないでください。
/依頼資料の一覧(最新版)
/(依頼番号ごとに指定した監査法人とのメール)

【作るもの1:未提出の資料の一覧】
- 依頼資料の一覧で、提出状況が「未提出」「一部提出」「差し替え依頼あり」の依頼を対象にします。
- 各依頼について、期限、社内の担当、最後のやり取りの要約(2文以内)、
  根拠のメール(送信者・日付・件名)を書いてください。
- 関連するメールが見つからない依頼は「関連するメールなし」と書いてください。

【作るもの2:答えていない質問と、約束した日付】
- 監査法人のメールの質問のうち、その後に回答のメールが見つからないものを並べてください。
  質問の文はそのまま写してください。
- 社内の誰かがメールで提出日や回答日を約束していれば、その文をそのまま写し、
  日付と約束した人の役割(担当者/窓口)を書いてください。
- 回答したかどうか判断できないものは「要確認」としてください。

【作るもの3:一覧とメールのずれ】
- 一覧で「提出済み」なのに、その後のメールで差し替え・追加・訂正を求められている依頼を並べ、
  求められている内容の文を写してください。
- 一覧の提出状況を、あなたが書き換えないでください。

【書かないこと】
- 会計処理の考え方、監査法人の意図の推測、担当者ごとの評価や件数の比較は書かないでください。

【出力】作るものごとに、次の列の表にしてください。
依頼の番号/依頼の内容/期限/担当/状況の要約/写した文/根拠のメール/状態

「最後のやり取りの要約(2文以内)」と長さを決めているのは、週次の打合せでそのまま読むからです。 長さを決めないと、スレッドの経緯を最初から書き起こし、一覧が読めない長さになります。

「一覧の提出状況を書き換えない」を入れているのは、ずれを見つけたAIが「提出状況は差し替え依頼ありとすべき」と結論を書くからです。 結論は一覧に反映する前に窓口が確かめます。

回答の下書きを作るときの指示:

次の質問に対する回答の下書きを作ってください。
【質問】(監査法人のメールの質問の文をそのまま貼る)
【使ってよい資料】/(担当者が用意した資料)

- 回答には、使ってよい資料に書かれていることだけを使ってください。
- 数値は資料の数値をそのまま写し、どの資料のどこの数値かを括弧で書いてください。
  計算・推計をしないでください。
- 質問のうち資料で答えられない部分は、回答の文に入れず、
  「回答の材料なし:(その部分)」として最後に並べてください。
- 会計処理の考え方や判断を述べないでください。
- 文面は、窓口の決まりの「回答の文面の型」に合わせてください。

「数値の出どころを括弧で書く」のは、窓口が送る前に照らすためです。 括弧の付いていない数値が下書きにあれば、それは資料に無い数値で、AIが作ったものです。 送る前に消します。

Step7

出力形式を固定する

作るものごとに、次の列の表で受け取ります。

依頼の番号依頼の内容期限担当状況の要約写した文根拠のメール状態
45在庫の評価減の明細(9月末)10/16管理会計担当は明細を作成中。監査法人から対象の拠点の追加の依頼あり「〜の拠点も含めてください」監査法人・10/10・[45]在庫評価未提出
52固定資産の除却の稟議書10/09生産管理提出後、2件の稟議書の差し替えを求められている「〜の2件は最終版をお願いします」監査法人・10/11・[52]除却ずれ
58売上の期ずれの説明10/20営業管理担当が金曜に回答すると返信「金曜までに回答します」営業管理・10/12・Re:[58]約束あり

JSONではなく表で受け取るのは、この一覧を人が読み、そのまま週次の打合せで監査法人と共有するからです。 後段に機械で読み込む仕組みはありません。

列を固定する理由は3つあります。 1つ目は、「写した文」の列で、要約の誤りに気づけることです。要約だけでは、AIが質問の意味を取り違えても分かりません。原文の一文が並んでいれば、窓口はその場で照らせます。

2つ目は、「根拠のメール」の列で、確認がメールを1通開くだけで済むことです。 第3章の(b)でスレッドを読み直していた時間が、ここで減ります。

3つ目は、「状態」の列で、窓口が先に見る行を絞れることです。 「ずれ」と「要確認」の行を先に開き、根拠のメールで確かめてから、一覧の提出状況を窓口が書き換えます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
依頼資料の一覧(SharePoint)/ で指定提出状況を読む。書き換えは窓口が行う
窓口のメールボックス/ で指定監査法人とのメールを読む
Outlook の Copilot窓口の操作長いスレッドを先に要約で見る
提出資料のフォルダ/ で指定回答の材料を読む
Teams・Outlook窓口が送る担当への催促、監査法人への回答
会計システムつながない数値は担当者が記録から写す

一覧にはAIから書き込みません。 一覧は監査法人と共有していて、書き換えた内容がそのまま監査法人の目に入ります。 窓口が根拠のメールで確かめてから書き換えます。

監査法人への回答は自動では送りません。 回答は監査の証拠として残る文書です。窓口と、内容によっては経理部の責任者が確かめてから送ります。

Step9

人が確認する

  1. 「ずれ」の行を先に見る … 根拠のメールを開き、本当に差し替えや追加を求められているかを確かめます。確かめたら一覧の提出状況を書き換えます
  2. 「約束あり」の行を見る … 約束した日付が過ぎていないかを見て、過ぎていれば担当者に連絡します
  3. 「要確認」の行を見る … 回答したかどうかを、根拠のメールとその後のやり取りで確かめます
  4. 未提出の一覧の要約を読む … 「写した文」と要約が合っているかを見ます
  5. 回答の下書きを照らす … 括弧の付いていない数値と、会計処理の判断を含む文が無いかを見ます。材料なしの部分は担当者に回します

5番目を省かないでください。 監査法人への回答は、会社の説明として監査の記録に残ります。下書きの一文が、資料に無い説明を足していないかを必ず見ます。

目標は、120件をならして1件4分です。 状態の列で行を絞るので、「未提出」で要約に問題の無い行は数十秒で済み、「ずれ」と回答の下書きの行に時間を使います。 依頼が集中する週は4分を超えます。

監査法人と共有する前に、AIの列を外します。 共有するのは、依頼の番号・期限・担当・状態と、窓口が書き直した状況の一文だけです。「写した文」や「根拠のメール」の列には社内の担当者どうしの名前や途中の経緯が入るので、そのまま共有しません。

Step10

例外に対処する

起きること対応
一覧に無い依頼がメールで来ている一覧に番号を振って書き足してから作り直す
メールの件名に依頼の番号が無い結び付けの誤りが起きやすい。根拠のメールを必ず開く
担当者が窓口をCCに入れずに返信した約束した日付が拾えない。週に一度、担当者に聞く
メールを指定できないCopilot のライセンスと Work IQ がオンかを確かめる。オフならファイルだけになる
一覧のファイルを指定できないSharePoint に保存し自動保存を有効にしたファイルか確かめる
回答の下書きに資料に無い数値がある消す。同じことが続くなら指示を見直す
監査法人のポータルでのやり取りがあるメールに残らない。ポータルの状況は窓口が別に確かめる
依頼の番号が途中で振り直された新旧の番号の対応を備考に書き、両方の番号で探す
1通のメールに複数の依頼の質問がある依頼ごとに行を分けさせ、同じ根拠のメールを各行に付ける
監査法人の担当者が交代した送信者が変わっても同じ依頼として扱う。件名の番号で結び付ける

上から3行目までが大半を占めます。 どれもAIの問題ではなく、一覧とメールの書き方の決まりの問題です。 決まりが守られるほど、AIの一覧は確かめやすくなります。

Step11

記録を残す

  • 週ごとにAIが出した一覧(窓口が直す前のもの)と、窓口が確かめた後の一覧
  • 窓口が直した箇所と、その理由(結び付けの誤り、要約の誤り、状態の誤り)
  • 監査法人へ送った回答と、その下書き
  • 一覧の提出状況を書き換えた日時と、根拠にしたメール
  • 約束した日付と、実際に提出・回答した日

4つ目は、監査法人との認識のずれが起きたときの記録です。 「いつ提出済みにしたのか」「何を根拠にしたのか」が残っていれば、週次の打合せで食い違いが出ても、その場で確かめられます。

2つ目は、指示を直す材料です。 結び付けの誤りが多ければ件名の決まりが守られていないか、要約の誤りが多ければ指示の書き方に原因があります。

04実装レベルの3段階

最小構成:先月の1週分の一覧とメールを指定し、まとめを作らせて当時のまとめと比べる / 状況のまとめの試し
半自動化:上記+毎週月曜と打合せの前日に、決まった指示でまとめと回答の下書きを作る / 未提出・未回答・約束した日付・ずれの一覧と、回答の下書き
本格構成:上記+子会社の窓口も同じ様式の一覧と指示を使い、本社の窓口が連結でまとめる / 連結の範囲での状況のまとめ

本記事の想定は半自動化です。 1件10分が4分になる見込みは、この段階のものです。削れるのはスレッドを読み直す作業で、根拠を確かめる作業は残ります。 本格構成で効くのは、子会社の依頼が増える期末の前後です。 子会社ごとに窓口がいて、それぞれが別の一覧とメールでやり取りしていると、本社の窓口は子会社の状況を聞いて回ることになります。 同じ様式と指示を使えば、まとめ方がそろいます。 段階を飛ばさないでください。 半自動化を3か月続けると、どの監査法人の担当者のメールで結び付けの誤りが多いか、どの部署がCCの決まりを守れていないかが分かります。 それを直してから、子会社に広げます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
5 名
月間件数
120 件
1件あたり現在時間
10 分
1件あたり導入後時間
4 分
現在  120件 × 10分 ÷ 60 = 20 時間/月
導入後 120件 × 4分 ÷ 60 = 8 時間/月
月間削減時間
12h
削減率
60%
年間削減時間
144h
年間金額換算(時間単価4,000円)
58万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 監査法人の会計監査を受けていて、期中の手続が月ごとに分かれ、毎月百件前後の資料の依頼と質問のメールを経理部の窓口がさばいている上場会社・大会社。依頼資料の一覧(PBC)を表計算で管理しているが、提出状況の更新が追いつかず、催促されて初めて未提出に気づくことがある場合。Microsoft 365 を使い、監査法人とのやり取りがメールで行われている場合。
向いていない
  1. 監査の依頼が年に数回にまとまっていて、窓口が一覧を手で追える場合。監査法人とのやり取りがすべて監査法人のポータルの中で行われ、メールに残らない場合。なお、会計処理の判断、監査法人の質問への実質的な回答の中身、提出する数値の正しさの確認は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月のうち、依頼が多かった週を1つ選ぶ(監査法人から催促を受けた依頼が含まれる週を選ぶ)
  2. その週の月曜時点の一覧と、監査法人とのメールを Copilot Chat に指定する
  3. 第7章の指示で、未提出の一覧・答えていない質問・ずれの印を作らせる
  4. 当時、窓口が週次の打合せのために作ったまとめと突き合わせる
  5. 催促を受けた依頼が、一覧のどこに出てきたかを見る

5番目がいちばん大事な確認です。 催促された依頼が「未提出」か「ずれ」で出ていれば、催促される前に気づけていたということです。

出てきた内容判断
当時のまとめと同じ未提出が出た。催促された依頼も出た次の月曜から使い始める
要約が長い/提出状況を書き換える結論を書いた指示の書き方で直る。構成は有効
依頼とメールの結び付けが違う行が多い件名の決まりが先。 監査法人に依頼の番号を件名に入れてもらう

3行目が出ても失敗ではありません。 窓口が毎週スレッドを読み直していた理由が、件名に番号が無いことだったと分かったということです。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
会計の考え方を含む回答の下書きが出る資料に書かれたことだけを使うと明記する。 材料なしは担当者に回す
下書きに資料に無い数値が入る数値の出どころを括弧で書かせ、括弧の無い数値を消す
依頼とメールの結び付けが違う件名に依頼の番号を入れてもらう。根拠のメールを開いて確かめる
メールを指定できないCopilot のライセンスと Work IQ がオンかを確かめる
約束した日付が拾えない監査法人とのメールに窓口をCCに入れる決まりを作る
一覧の提出状況を書き換える結論が出る書き換えないと明記する。書き換えは窓口が行う
社内の検討のメールが混ざる指定するのは監査法人とのメールに限る
担当者ごとの遅れを数える使い方をする依頼ごとにまとめ、人を評価する用途に使わない
要約が長くて打合せで使えない長さを指示で決める
監査法人のポータルの状況が抜けるポータルは窓口が別に確かめる

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、資料に無いことをAIが書き足し、それが会社の説明として監査法人に届くという同じ形をしています。材料の範囲を限り、数値の出どころを書かせることで防ぎます。

下から3行目も、早い段階で決めておきます。 未提出の一覧は担当者の名前が並ぶので、部署や個人の遅れの集計に使いたくなります。 その使い方はしない、と最初に決めます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 監査法人からの依頼と質問、未公表の決算の数値や明細、取引先との契約書、監査の論点に関わるやり取りです。

  1. Web検索を止める … 公式のページでは、Web検索が有効なとき、アプリの中で文書を開いて指示したり、文書を名指しして指示したりすると、Bing へ送られる検索語が文書の内容の影響を受けうるとされ、その検索語には DPA が適用されないとされています。管理者が Allow web search in Copilot のポリシーで止められるので、未公表の決算の情報を扱う経理部では止めておく前提にします
  2. 権限を見直す … 公式のページでは、Copilot は利用者が少なくとも閲覧の権限を持つデータだけを表示するとされています。提出資料のフォルダと依頼資料の一覧は、窓口と担当者と監査法人に限ります。 権限が広すぎると、関係の無い社員の Copilot の応答に未公表の数値が出てきうるからです
  3. 人を評価しない … 公式のページでは、職場のやり取りをもとに従業員の業績や態度を推し量る用途に生成AIを使うことを制限しているとされています。未提出の一覧を担当者の評価に使いません
  4. 回答を確かめてから送る … 公式のページでは、生成AIの応答は100%事実であるとは保証されないとされています。監査法人への回答は監査の記録に残るため、窓口と責任者が確かめた版だけを送ります
  5. 会計処理の判断を任せない … この構成が出すのは、やり取りの状況のまとめと、資料に書かれたことによる回答の下書きまでです。判断を含む回答は、経理部の責任者が書きます

なお、公式のページでは、プロンプト・応答・Microsoft Graph を通じてアクセスしたデータは基盤モデルの学習に使われないとされています。

誤りが起きた場合のリスクは、未提出を見落として監査の日程が遅れることと、資料に無い説明が監査法人に届くことの2つです。 前者は件名とCCの決まりで、後者は材料の範囲を限る指示と送る前の確認で防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:決まりを2つ作る

監査法人に、メールの件名の先頭に依頼の番号を入れてもらうよう頼みます。社内の担当者には、監査法人とのメールに窓口をCCに入れる決まりを伝えます。あわせて、一覧の提出状況の値を4つにそろえます。

2週目:先月の1週分で試す

先月のうち依頼が多かった週を選び、第7章の指示でまとめを作らせて、当時のまとめと突き合わせます。催促された依頼が出てきたか、提出状況を書き換える結論を書いていないかを最優先で見ます。

3週目:回答の下書きを試す

先月の質問のうち、資料で答えられたものを5件選び、回答の下書きを作らせます。括弧の無い数値と、判断を含む文が出ないかを見ます。 あわせて、Web検索を止める設定と、フォルダの権限を情報システム部と確かめます。

4週目:毎週月曜に使い始める

月曜の朝と週次の打合せの前日に、まとめを作り、根拠のメールで確かめてから使います。催促を受けた件数を記録し始めます。

2か月目: 回答の下書きも使い始め、1件あたりの時間を記録します。窓口が直した箇所を集めます。3か月目以降: 直した箇所の記録から指示と決まりを見直し、子会社の窓口への展開を検討します。監査法人から催促される前に、窓口が未提出に気づけるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-14/最終更新:2026-10-15
確認した内容情報源確認日
Copilot のライセンスがあり Work IQ がオンのとき、/ で人・ファイル・会議・メール・Teams のチャットを指定できること。Work IQ がオフのときと Copilot のライセンスが無いユーザーはファイルだけを指定できることMicrosoft Support: Refer to specific files and more in Microsoft Copilot2026-10-14
Outlook でスレッドを選び Summary by Copilot(または Summarize)を選ぶと要約がメールの上に表示されること。要約に、スレッドの該当するメールに移る番号付きの引用が付くことがあること。新しい Outlook と Outlook on the web で、PDF・PowerPoint・Word の添付に Summarize a file を選べることMicrosoft Support: Summarize an email thread with Copilot in Outlook2026-10-14
Excel のファイルは OneDrive か SharePoint に保存し自動保存を有効にしたものが対象であること。ローカルのパスは使えないことMicrosoft Support: File formats supported by Copilot2026-10-14
Copilot が利用者が少なくとも閲覧の権限を持つデータだけを表示すること。プロンプト・応答・Microsoft Graph のデータが基盤モデルの学習に使われないこと。職場のやり取りをもとに従業員の業績・態度などを推し量る用途に生成AIを使うことを制限していること。生成AIの応答は100%事実であるとは保証されないこと。Microsoft 365 Copilot が Microsoft Copilot に改称されたことMicrosoft Learn: Data, Privacy, and Security for Microsoft Copilot2026-10-14
Web検索が有効なとき、アプリの中での指示や文書の指定によって生成される検索語が文書の内容の影響を受けうること。生成された検索語に DPA が適用されないこと。管理者が Allow web search in Copilot のポリシーで Web検索を止められることMicrosoft Learn: Data, privacy, and security for web search in Microsoft Copilot and Microsoft Copilot Chat2026-10-14

監査法人とのやり取りの方法と、提出資料の扱いは、監査法人と取り決めてください。 本記事は、上記の公開情報で確認できた範囲だけを扱っています。Copilot の機能は段階的に提供されるものがあり、利用できる範囲はライセンスと組織の設定によって異なります。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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