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社会福祉法人の法人本部が、各施設から届く月次報告の利用率・職員の配置・事故・苦情から、Copilot で理事長向けの報告書を作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

各施設長から毎月届く月次報告を、Copilot で同じ項目の報告カードにそろえ、理事長向けの月次報告書の下書きにします。法人本部は転記と読み解きの時間を減らし、理事長の判断が要る事項を早く上げられます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
その他/介護/医療
対象部門
経営企画/総務
対象業務
書類作成/要約
主な課題
入力作業が多い/判断に時間がかかる/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
要約
主な効果
判断支援/品質標準化/工数削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
条件付き
現在工数
15h/月
AI導入後
4h/月
想定削減
73%
年間削減
132h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 施設長が、前月の月次報告を Word で作り、本部にメールで送る
  2. 本部の担当が、報告の数字の表を本部の集約表(Excel)に手で写す
  3. 自由記述の欄を読み、事故・苦情・職員の状況から理事長に伝えるべきことを書き出す
  4. 前月の報告書と見比べ、続いている問題と新しい問題を分ける
  5. 理事長向けの報告書の型に、法人全体の数字と施設ごとの要点を書く
  6. 本部長が読み、理事長に報告する
導入後(After)
  1. 人施設長が、本部が統一した様式で月次報告を作り、SharePoint の当月のフォルダに保存する
  2. 自動報告の数字の表を、本部の集約表が式で読み込む
  3. 自動本部の担当が Copilot Notebooks に当月のフォルダを参照として加え、施設ごとの報告カードを作らせる
  4. 人担当が、カードを施設の報告と見比べて直す
  5. 自動Excel の Copilot(ブックを変えないモード)で、集約表から目立つ数字の動きを確かめる
  6. 自動Word の Copilot が、報告カードと集約表を参照して報告書の下書きを作る
  7. 人本部長が「理事長の判断を仰ぎたい事項」を絞り込み、全体を確かめて理事長に報告する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 施設長が、前月の月次報告を Word で作り、本部にメールで送る
  2. 本部の担当が、報告の数字の表を本部の集約表(Excel)に手で写す
  3. 自由記述の欄を読み、事故・苦情・職員の状況から理事長に伝えるべきことを書き出す
  4. 前月の報告書と見比べ、続いている問題と新しい問題を分ける
  5. 理事長向けの報告書の型に、法人全体の数字と施設ごとの要点を書く
  6. 本部長が読み、理事長に報告する

(a)転記に追われる。 2番目は、15施設分の数字を写す作業です。施設ごとに表の並びが少しずつ違うので、写す場所を毎回探します。 写し間違いは、理事長の前で数字が合わないことで初めて分かります。

(b)大事なことが文章に埋もれる。 3番目では、2枚の自由記述の中から「来月から夜勤が回らない」の一文を見つけなければなりません。丁寧に書く施設長の報告ほど、大事な一文が埋もれます。 逆に、3行しか書かない施設は、問題が無いのか書いていないだけなのかが分かりません。

(c)判断が要る事項が後回しになる。 理事長に決めてほしいことが報告の途中に紛れていると、本部の報告書でも「施設の状況」の一部として書かれ、判断の依頼として扱われません。 施設長は「報告したのに返事が無い」と感じます。

(d)続いている問題が見えない。 同じ施設で3か月続けて職員の欠員が書かれていても、毎月の報告書は当月の分だけを書きます。前月の報告書と見比べる4番目が、時間の無い月に省かれます。

  1. 【人】 施設長が、本部が統一した様式で月次報告を作り、SharePoint の当月のフォルダに保存する
  2. 【自動】 報告の数字の表を、本部の集約表が式で読み込む
  3. 【自動】 本部の担当が Copilot Notebooks に当月のフォルダを参照として加え、施設ごとの報告カードを作らせる
  4. 【人】 担当が、カードを施設の報告と見比べて直す
  5. 【自動】 Excel の Copilot(ブックを変えないモード)で、集約表から目立つ数字の動きを確かめる
  6. 【自動】 Word の Copilot が、報告カードと集約表を参照して報告書の下書きを作る
  7. 【人】 本部長が「理事長の判断を仰ぎたい事項」を絞り込み、全体を確かめて理事長に報告する

1番目の様式の統一が、すべての前提です。 表の並びが施設ごとに違うままだと、2番目の式で読み込めず、Copilot のカードの項目も揃いません。最初の1か月は、様式を統一する作業に使います。

7番目で本部長が判断を仰ぐ事項を絞るのは、それが理事長の時間の使い方を決めるからです。 Copilot は候補を広めに拾いますが、どれを理事長に上げ、どれを本部で処理するかは、法人の決裁の決まりを知る本部長が決めます。

02今回想定するシステム構成

構成図
施設長の月次報告(統一した Word の様式。前半が数字の表、後半が自由記述)
   │  SharePoint の当月のフォルダ(施設ごとのファイル)
   ▼【トリガー】締切日(毎月5日)に全施設がそろう
本部の集約表 ── 式で数字を集め、前月・前年同月との差を出す
   ▼
Copilot Notebooks ── 当月のフォルダを参照に加え、施設ごとの報告カードを作る
   │   利用率/職員の配置/事故とヒヤリハット/苦情/施設長からの相談/判断を仰ぎたい事項の候補
   ▼
【本部の担当がカードを施設の報告と見比べて直す】
   ▼
Copilot(Excel の Copilot:ブックを変えないモード)── 集約表の目立つ動きの確認
   ▼
Copilot(Word の Copilot)── `/` で報告カードと集約表を指定して報告書を下書き
   ▼
【本部長が判断を仰ぐ事項を絞り込み、理事長へ報告】
役割想定する製品代替候補
処理Microsoft Copilot(Copilot Notebooks と Microsoft 365 アプリ内の Copilot)ChatGPT Enterprise、Claude、Gemini
保管SharePoint(月ごとのフォルダ)法人のファイルサーバー
共有Teams のチャネル(本部と施設長)メール

新しく足すのは、本部の企画担当3名と本部長の Copilot のライセンスです。 施設長はいまどおり Word で報告を作り、保存先をメールから SharePoint のフォルダに変えるだけです。

1段目に Copilot Notebooks を使うのは、当月のフォルダをまとめて参照にできるからです。 公式のページでは、Notebook の参照の検索から SharePoint のサイト・ドキュメント ライブラリ・フォルダを選ぶと、そこに保存された対応ファイルを Copilot が質問への回答・要約・新しい内容の作成に使えるとされています。対応するファイルには .docx と .xlsx が含まれます。15施設の報告を1件ずつ開いて貼る必要がありません。

数字の確認には Excel の Copilot を使います。 公式のページでは、Excel の Copilot にはブックを編集するモードのほかに、ブックを変えずに分析して答えるだけのモード(Chat only)があるとされています。集約表は本部の正本なので、Chat only だけを使います。

報告書は Word の Copilot で下書きします。 公式のページでは、/ を入力してファイルを選ぶと、そのファイルを情報源として指定できるとされています。報告カードと集約表の2つだけを指定します。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

毎月5日の締切で、全施設の報告が当月のフォルダにそろったことを起点にします。 本部の担当は、5日の夕方にフォルダの中のファイルの数を見て、15施設がそろっているかを確かめます。そろっていない施設には、Teams で声をかけます。

報告がそろう前にカードを作り始めない決まりにします。 Notebook の参照は最新の状態に保たれ、データが変わると回答もそれに沿うとされています。途中でカードを作ると、あとから届いた施設の分が入ったり入らなかったりして、どれが当月の全体か分からなくなります。

そろったら、当月のフォルダを施設長の側からは閲覧のみに切り替えます。施設長が報告を直したいときは、本部に連絡して直してもらいます。報告書の根拠を固定するための操作です。

理事長への報告の日から逆算して、作業の日を決めておきます。 5日にそろい、6〜7日にカードと下書き、8日に本部長の絞り込み、10日に理事長へ、という順です。締切に遅れる施設が1つあるだけで全体が止まるので、遅れが2か月続いた施設には本部長から施設長に伝えます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
数字の表定員、利用者数、利用率、職員の配置(常勤換算)、欠員、採用、退職、事故とヒヤリハットの件数、苦情の件数施設長の月次報告の前半
事故の概要発生日、種類(転倒・誤薬・誤嚥など)、程度、対応と再発防止策(利用者の氏名は書かない)施設長の月次報告の後半
苦情の概要受付日、内容の区分、対応の状況(申出者の氏名は書かない)施設長の月次報告の後半
職員の状況欠員の見込み、採用の進み、長期の休み施設長の月次報告の後半
施設長から本部へ相談、依頼、判断を仰ぎたいこと施設長の月次報告の後半
集約表15施設の数字、前月・前年同月との差本部の Excel
前月の報告カード前月の施設ごとのカード本部の Word

質を決めるのは、様式の統一と「施設長から本部へ」の欄です。 様式が揃っていればカードの項目が揃い、「施設長から本部へ」の欄に判断を仰ぎたいことを書く決まりがあれば、文章に埋もれなくなります。

事故と苦情の概要には、利用者や申出者の氏名を書かない決まりにします。 個人情報の保護に関する法律では、病歴などを含む個人情報を要配慮個人情報と定めています。事故の概要は利用者の心身の状態に触れやすく、氏名と組み合わさると要配慮個人情報になりえます。 個人が分かる記録は施設の介護ソフトと事故報告書に残し、月次報告には「80代女性、居室で転倒、打撲」のように書きます。

Step3

データの取得方法を決める

数字は、集約表が施設の報告の表を式で読み込みます。 様式を統一し、表のセルの位置を固定しておけば、本部の担当が手で写す必要がありません。式で集めた数字には、前月・前年同月との差の列を式で付けます。

自由記述は、Notebook の参照から Copilot が読みます。 公式のページでは、Copilot は参照として加えた場所のうち、利用者がアクセス権を持つものだけを使うとされています。Microsoft Copilot のプライバシーのページでも、Copilot は利用者が少なくとも閲覧の権限を持つ組織のデータだけを示すとされています。本部の担当が見られる当月のフォルダの報告だけが材料になります。

取るものどこから何に使うか
施設の数字集約表(式で集めたもの)法人全体の状況と施設ごとの数字
自由記述の各欄当月のフォルダの報告(Notebook の参照)報告カード
前月の報告カード前月の Word のファイル(Notebook の参照に加える)続いている問題の判定
法人の決裁の決まりの要点本部が作る1枚(Notebook の参照に加える)判断を仰ぎたい事項の候補の物差し

前月のカードを参照に加えるのは、第3章の(d)を防ぐためです。 前月のカードと当月の報告を並べると、「3か月続けて夜勤の欠員」のような続いている問題を Copilot が拾えます。

決裁の決まりの要点を加えるのは、判断を仰ぐ事項の候補を絞るためです。 「職員の採用は施設長、施設の設備の大きな修繕は理事長」のような決まりがあれば、Copilot は施設長が自分で決められることを候補から外せます。

Excel の Copilot には、集約表について答えの場所が分かる聞き方をします。 「種別ごとに、利用率が前月より下がった施設を、差の列の値とともに挙げて」「事故の件数が前年同月より増えた施設を、種別とともに挙げて」のように聞き、答えを集約表の差の列と見比べます。 「どの施設が悪いか」のような聞き方はしません。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 様式を統一する … 数字の表の並びとセルの位置を本部で固定し、施設長が改造できないよう保護します。施設独自の数字は、表の下の「施設独自の指標」の欄に書いてもらいます
  2. ファイル名をそろえる … 「月次報告_施設名_年月」にします。カードの施設名がファイル名から引けるようにします
  3. 個人が分かる情報を外す … 利用者・申出者・職員の氏名を自由記述に書かない決まりにし、本部の担当が保存の時点で目で確かめます。 書かれていたら施設長に直してもらいます
  4. 施設の種別を表に入れる … 特別養護老人ホーム、通所介護、障害福祉サービス、保育所では、利用率の意味も事故の種類も違います。種別を表の先頭に書き、種別ごとに比べるようにします
  5. 締めの記録 … そろった日時とファイルの数を集約表の先頭に書きます

4番目を軽く見ないでください。 保育所の「利用率」と特別養護老人ホームの「利用率」を同じ列で並べると、種別の違いを施設の良し悪しと読み違えます。 Copilot も、種別が書いていなければ15施設を一列に比べます。

Step5

AIに処理させる

1段目でさせるのは、施設ごとに同じ項目のカードを埋めることです。 2段目でさせるのは、カードと集約表から報告書の見出しに並べることです。

段させることさせないこと
1段目(Notebook)施設ごとに、利用率・職員の配置・事故・苦情・施設長からの相談の要点を、報告の文から写して埋める報告に無いことの補完、数字の計算
1段目(Notebook)「施設長から本部へ」と自由記述から、判断を仰ぎたい事項の候補を拾い、決裁の決まりの要点と照らして印を付ける理事長に上げるかどうかの確定
1段目(Notebook)前月のカードと比べ、続いている問題に印を付ける問題の原因の断定
2段目(Word)カードと集約表から、法人全体の状況・施設ごとの要点・判断を仰ぎたい事項の候補を下書きする事故への対応の評価、職員の配置の提案

判断を仰ぎたい事項の候補には、根拠の文を必ず添えさせます。 「夜勤の職員が来月2名減る見込みで、派遣の職員を入れるかどうか相談したい」のように、施設長が書いた文をそのまま写させます。 要約すると、施設長の困りごとの温度が消えます。

事故は件数と概要を写すまでにします。 事故への対応が適切だったか、再発防止策が十分かの評価は、施設長と法人の事故の担当が行います。Copilot が「対応は適切」と書いた一文が理事長の報告に載ると、確かめていない評価が法人の見解になります。

させないこと理由
事故への対応や再発防止策の評価施設長と法人の事故の担当が判断する
職員の配置の過不足の判断施設の種別ごとの基準と勤務の実態を見て本部と施設長が判断する
施設どうしの順位づけ種別も規模も違う施設を一列に並べない
率・人数の計算集約表の式の数字を使う
個人の名前の記載報告にも載せない決まり。見つけたら外す
Step6

指示内容を固定する

1段目(Copilot Notebooks):

あなたは社会福祉法人の法人本部で、施設の月次報告を整理する立場です。
参照に加えた当月のフォルダの報告と、前月の報告カード、
決裁の決まりの要点だけを見てください。

【施設ごとに作る報告カードの項目】
1. 施設名と種別
2. 利用の状況(報告の表と文から写す。計算しない)
3. 職員の状況(欠員・採用・退職・長期の休み。見込みを含む)
4. 事故とヒヤリハット(件数は表から写し、概要は種類と程度だけ)
5. 苦情(件数と内容の区分、対応の状況)
6. 施設長からの相談(文をそのまま写す)
7. 判断を仰ぎたい事項の候補(根拠の文を写し、決裁の決まりの要点で
   理事長の決裁に当たりそうなものに「決裁」、
   施設長の権限で決められそうなものに「施設」と印を付ける)
8. 前月から続いている問題(前月のカードと同じ問題があれば「継続」と印)

【厳守事項】
- 報告に書かれていないことを書かないでください。分からなければ「記載なし」。
- 数字を計算しないでください。表の数字をそのまま写してください。
- 利用者・申出者・職員の氏名が書かれていたら写さず、
  「氏名の記載あり(本部で確認)」と書いてください。
- 事故への対応の良し悪し、再発防止策の十分さを評価しないでください。
- 施設どうしを比べたり、順位を付けたりしないでください。
- 原因を断定しないでください。
- 判断を仰ぎたい事項を、理事長に上げるかどうか決めないでください。印を付けるだけです。

2段目(Word の Copilot。報告書の型を開いた状態で):

/報告カード_{年月} と /集約表_{年月} だけを材料に、この報告書の
3つの見出しの下書きを書いてください。

【見出し】
1. 法人全体の状況 … 集約表の数字を種別ごとに写し、前月との差を添える。
   差は集約表の列をそのまま使う。
2. 施設ごとの要点 … 施設ごとに3行以内。「継続」の印の問題を先に書く。
3. 理事長の判断を仰ぎたい事項(候補)… 見出しの下に
   「※本部長が絞り込む」と入れ、「決裁」の印のものを、
   施設名・根拠の文とともに箇条書きで並べる。

【守ること】
- カードと集約表に無いことを書き足さないでください。
- 数字は丸めず、そのまま写してください。
- 事故への対応の評価、職員の配置の提案、施設どうしの比較をしないでください。
- 氏名を書かないでください。
- Web の情報は使わないでください。

「施設どうしを比べたり、順位を付けたりしない」を書くのが要です。 何も言わないと、Copilot は報告書の冒頭に「利用率の高い施設」「事故の多い施設」を並べがちです。種別も規模も違う施設の順位は、理事長の判断を誤らせます。

Step7

出力形式を固定する

1段目のカードは、施設ごとの表で受け取ります。 本部の担当が Word の「報告カード」ファイルに貼り、施設の報告と見比べて直します。

項目内容
施設名・種別○○ホーム(特別養護老人ホーム)
利用の状況定員80、利用者数76(表から)
職員の状況介護職の欠員2(来月退職1の見込み)、採用面接2件
事故とヒヤリハット事故3件(転倒2・誤薬1、いずれも軽度)、ヒヤリハット11件
苦情1件(面会の予約の取りにくさ、対応中)
施設長からの相談「夜勤が来月から回らない見込み。派遣の職員を入れる判断を相談したい」
判断を仰ぎたい事項の候補派遣の職員の受け入れ【決裁】
前月から続いている問題介護職の欠員【継続】

表にする理由は3つです。 1つ目は、担当が施設の報告と1項目ずつ見比べられることです。2つ目は、15施設のカードが同じ項目で並ぶので、書きぶりの丁寧さに左右されないことです。第3章の(b)で、3行しか書かない施設は「記載なし」の欄が目に見えるようになります。3つ目は、翌月のカードを作るとき、前月の表として参照できることです。

2段目の報告書は、Word の型の3つの見出しに文章が入った状態で受け取ります。 3つ目の見出しの下には「※本部長が絞り込む」と、決裁の印の付いた候補が施設名と根拠の文つきで並びます。本部長は、この中から理事長に上げるものを選び、上げないものは本部で処理する旨を書きます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
SharePoint の当月のフォルダ施設長が保存、Notebook の参照施設の月次報告
本部の集約表式で施設の表を読み込む15施設の数字と差
Excel の CopilotChat only のモード集約表の目立つ動きの確認
Word の Copilot/ で2つのファイルを指定報告書の下書き
Teams のチャネル本部が投稿締切の声かけ、施設への問い合わせ

この構成は、介護ソフトや人事システムにはつなぎません。 利用者の記録と職員の個人の情報はそれぞれのシステムに置いたまま、月次報告には施設長がまとめた数字と概要だけが載ります。 個人が分かる情報を Copilot の材料にしない形にしています。

理事会への報告には、月次の報告書をそのまま使いません。 3か月分の報告書と理事長の指示を本部長がまとめて、理事長の職務の執行の状況の報告の材料にします。

Step9

人が確認する

人が確かめる場所は3つです。 1段目のカード、Excel の Copilot の答え、2段目の下書きです。

  1. カードの数字を施設の報告の表と見比べる … 写し間違いが無いかを1施設ずつ見ます
  2. 施設長からの相談がそのまま写されているかを見る … 要約で意味が変わっていないかを確かめます
  3. 氏名が載っていないかを見る … 「氏名の記載あり」の印があれば、施設長に直してもらいます
  4. 判断を仰ぎたい事項の候補を絞る … 本部長が、決裁の決まりに照らして理事長に上げるものを選びます
  5. 事故の評価や施設の比較が混ざっていないかを見る … 「適切」「多い」などの語があれば消します

1番目と2番目は担当が全施設で行います。 15施設で1施設あたり数分です。カードの横に施設の報告を開き、数字は表の欄と、相談は「施設長から本部へ」の欄と見比べます。「記載なし」の欄は、本当に書かれていないのか、Copilot が拾えなかったのかを報告で確かめます。

3番目で氏名が見つかった施設には、その月のうちに施設長へ伝えます。 1回で直らない施設は、様式の自由記述の欄の頭に「氏名は書かない」の注意書きを入れます。

4番目は本部長の仕事です。 Copilot の「決裁」の印は、決裁の決まりの要点との照らし合わせにすぎません。例外や過去の経緯を知っているのは本部長で、印のまま理事長に上げることはしません。

Step10

例外に対処する

起きること対応
締切に報告がそろわないカードを作り始めない。Teams で施設長に声をかける
施設が様式を改造している式で読めない。統一した様式で出し直してもらう
自由記述に氏名があるカードに写さない。施設長に直してもらってから作り直す
重大な事故の報告が月次報告で初めて上がった月次の報告書を待たず、法人の事故の手順で本部長と理事長にすぐ伝える
施設長が相談を「施設長から本部へ」の欄に書いていないCopilot は自由記述から拾うが、漏れうる。欄に書く決まりを伝える
前月のカードが無い(初月)「継続」の印を付けずに作る
Copilot が使えない(ライセンス・組織の設定)従来どおり手で作る。カードの型だけは使う
下書きに施設の順位づけが入った消して作り直す。指示に禁止を入れ直す

4行目は、月次の報告の流れに乗せてはいけない例外です。 重大な事故や行政への報告が要る事案は、月次の報告書を待たずに法人の手順で扱います。 月次の報告書には、その後の経過を載せます。

5行目は、運用が慣れるまで毎月出ます。 施設長は相談を自由記述の途中に書く習慣があり、Copilot は拾えることも拾えないこともあります。本部長が絞り込むときに、カードの候補だけでなく各施設の「施設長から本部へ」の欄にも目を通すことを、最初の3か月は続けます。

Step11

記録を残す

  • 当月のフォルダ(そろった時点の施設の報告、施設長からは閲覧のみ)
  • 集約表と、そろった日時・ファイルの数
  • 担当が直す前と直した後の報告カード(Word の版の履歴で残る)
  • 報告書の下書きと、本部長が仕上げた版
  • 判断を仰いだ事項と、理事長の指示
  • Copilot とのやり取りの履歴(管理者が Purview で保持のポリシーを設定する)

判断を仰いだ事項と理事長の指示を残すのは、翌月の報告書で進みを追うためです。 指示が施設に届いたか、施設でどう扱われたかを、翌月のカードの「前月から続いている問題」で確かめます。

Copilot とのやり取りは保存されます。 公式のページでは、プロンプトと応答が利用履歴として保存され、管理者は Purview で保持のポリシーを設定できるとされています。事故や苦情の概要を含むので、保持の期間を本部で決めておきます。

04実装レベルの3段階

最小構成:先月の報告で、Notebook のカードと Word の下書きを手で試す / 施設の報告の要約
半自動化:上記+様式の統一、集約表の式での読み込み、毎月の締めの手順 / 数字の集約と報告書の下書き
本格構成:上記+3か月分の報告書と理事長の指示から、理事会への職務の執行の状況の報告の下書きまで作る / 理事会への報告の材料づくり

この記事の想定は半自動化です。 様式を統一し、集約表が式で数字を集めると、第10章の数字になります。 段階を飛ばさないでください。 様式の統一には施設長の協力が要り、1〜2か月かかります。統一の前に半自動化を始めると、式が読めずに手で直す作業が増えます。 本格構成は、半年ほど月次の報告書と理事長の指示がたまってから考えます。 理事会への報告は、月次の報告書の要約ではなく、理事長が何を判断し、施設でどう進んだかの記録です。判断を仰いだ事項と指示の記録がそろっていないうちに作ると、数字の羅列になります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
15 件
1件あたり現在時間
60 分
1件あたり導入後時間
16 分
現在  15件 × 60分 ÷ 60 = 15 時間/月
導入後 15件 × 16分 ÷ 60 = 4 時間/月
月間削減時間
11h
削減率
73%
年間削減時間
132h
年間金額換算(時間単価3,000円)
40万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 特別養護老人ホーム・通所介護・障害福祉サービス・保育所など10以上の施設を運営する社会福祉法人で、施設長が毎月の報告を法人本部に出し、本部がそれをまとめて理事長に報告している場合。施設ごとに報告の書きぶりが違い、本部が数字の転記と読み解きに時間を取られている場合。Microsoft 365 を使い、施設の報告を SharePoint に集められる場合。
向いていない
  1. 施設が1〜2か所で、理事長が施設長から直接報告を受けている法人。施設の月次報告の様式がまだ無く、報告が電話や口頭で済まされている場合(先に様式づくりが要ります)。利用者の氏名や病歴を書いたまま報告を集めている場合(先に報告の書き方を変えます)。なお、事故への対応、行政への報告、職員の配置の判断、理事会への提案の中身は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の15施設の報告と、本部が作った先月の報告書を使う
  2. 先月の報告を SharePoint のフォルダに入れ、Notebook の参照に加える
  3. 第7章の1段目の指示で報告カードを作らせる
  4. 担当が、カードを施設の報告と見比べ、先月の報告書と比べる
  5. カードから2段目の指示で下書きを作らせ、先月の報告書と比べる

様式がばらばらのままでも、最小構成は試せます。 カードの項目が埋まらない施設がどこかを見れば、様式の統一でどこを直せばよいかが分かります。 試すときは、先月の報告から氏名が消されているかを先に確かめ、残っている報告は施設長に直してもらってから参照に加えます。

出てきた内容判断
先月の報告書で取り上げた相談が、判断を仰ぎたい事項の候補に出ている2段目まで進めてよい
数字の写し間違い、評価の混入がある指示の書き方と集約表の式で直る。構成は有効
「記載なし」が多い施設がある様式の統一が先
氏名が書かれた報告がある報告の書き方の決まりが先

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
施設が様式を改造して式が読めない表を保護し、施設独自の指標は別の欄に書いてもらう
書きぶりの丁寧な施設が大きく扱われる同じ項目のカードにそろえてから報告書を書かせる
施設どうしの順位が報告書に入る指示で禁じ、種別ごとに数字を並べる
相談が要約されて温度が消える施設長の文をそのまま写させる
事故への対応の評価が入る件数と概要を写すまでにする
氏名が自由記述に残る書かない決まりにし、保存の時点とカードで確かめる
途中で届いた報告がカードに入らない全施設がそろってから作り、フォルダを閲覧のみにする
「決裁」の印がそのまま理事長に上がる本部長が絞り込む見出しにする
重大な事故が月次報告で初めて上がる月次を待たず、法人の手順ですぐ伝える

上の3行が、この構成でいちばん効くところです。 様式、カード、比べないこと。どれも、施設ごとの違いを報告書の評価の差にしないためのものです。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 施設の利用と職員の数字、事故とヒヤリハットの概要、苦情の概要、施設長の相談です。事故の概要は利用者の心身の状態に触れるもので、氏名と組み合わさると要配慮個人情報になりえます。

  1. 個人が分かる情報を材料にしない … 個人情報の保護に関する法律は、病歴などを含む個人情報を要配慮個人情報と定めています。月次報告には利用者・申出者・職員の氏名を書かず、個人が分かる記録は介護ソフトと事故報告書に置いたままにします
  2. フォルダの権限を絞る … Copilot は利用者が閲覧できるものを材料にします。当月のフォルダを見られるのは、本部の担当と本部長と施設長だけにします
  3. 職員の評価に使わない … Microsoft の公式ページでは、職場のやり取りから社員の業績や態度を推し量る用途に生成AIを使うことを制限しているとされています。施設長や職員の働きぶりを評価する材料にはしません
  4. 事故と行政への報告の手順を変えない … 事故への対応や行政への報告は、法人と施設の既存の手順で行います。月次の報告書は、その経過を理事長に伝えるものです
  5. 理事会への報告の責任は理事長にある … 社会福祉法第45条の16第3項は、理事長などの業務を執行する理事に、3か月に1回以上、自己の職務の執行の状況を理事会に報告することを求めています(定款で毎会計年度に4か月を超える間隔で2回以上と定めた場合を除く)。この構成はその材料を作るもので、報告の中身を決めるのは理事長です
  6. やり取りの履歴の保持を決める … Copilot とのやり取りは保存され、管理者が Purview で保持のポリシーを設定できます

公式ページでは、プロンプト・応答・Graph のデータは基盤のモデルの学習に使われないとされています。 ただし EU の外の顧客の問い合わせは米国・EU・その他の地域で処理されうるともされているので、氏名を外す決まりを省かないでください。

誤りが起きた場合のリスクは、理事長が誤った数字や評価で判断することと、個人の情報を広い範囲に出すことの2つです。 前者は集約表の式とカードの見比べで、後者は氏名を書かない決まりとフォルダの権限で防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:様式を統一する

本部が月次報告の様式を1つに決め、数字の表の並びとセルの位置を固定します。「施設長から本部へ」の欄に、判断を仰ぎたいことを書く決まりを入れます。 自由記述に氏名を書かない決まりもここで入れます。

2週目:先月の分で試す

先月の15施設の報告を Notebook の参照に加え、1段目の指示でカードを作らせます。先月の報告書と見比べ、相談の拾い漏れと「記載なし」の多い施設を見ます。

3週目:集約表を式にする

統一した様式の表を読み込む式を集約表に作ります。決裁の決まりの要点を1枚にまとめます。

4週目:施設長に伝える

施設長会議で、新しい様式、保存先、締切、氏名を書かない決まりを伝えます。

2か月目: 統一した様式で当月の報告を集め、カードから報告書まで通します。本部長が判断を仰ぐ事項を絞り込みます。3か月目以降: 3か月分の報告書と理事長の指示を並べ、理事会への報告の材料にします。判断を仰ぎたい事項が毎月の報告書の見出しとして理事長に届くようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-26/最終更新:2026-10-27
確認した内容情報源確認日
Copilot Notebooks の参照の検索で SharePoint のサイト・ドキュメント ライブラリ・フォルダを選ぶと、そこに保存された対応ファイルを質問への回答・要約・新しい内容の作成に使えること。対応ファイルに .docx・.xlsx が含まれること。参照は最新に保たれること。利用者がアクセス権を持つものだけが使われることMicrosoft Support: Add references to your Microsoft Copilot Notebook2026-10-26
Word の Copilot に作りたいものを説明すると下書きが作られること。/ を入力してファイルを選ぶと情報源を指定できること。下書きを残す・捨てる・作り直す・追加の指示で直す、を選べること。機能がライセンス・組織の設定・アプリのバージョンで変わりうることMicrosoft Support: Draft and add content with Copilot in Word2026-10-26
Excel の Copilot に編集を許すモード、計画を示すモード、ブックを変えずに分析して答えるモード(Chat only)があることMicrosoft Support: Get started with Copilot in Excel2026-10-26
Copilot が利用者に少なくとも閲覧の権限がある組織のデータだけを示すこと。プロンプト・応答・Graph のデータが基盤のモデルの学習に使われないこと。プロンプトと応答が保存され、管理者が Purview で保持のポリシーを設定できること。EU の外の顧客の問い合わせが米国・EU・その他の地域で処理されうること。職場のやり取りから社員の業績・態度を推し量る用途に生成AIを使うことを制限していることMicrosoft Learn: Data, Privacy, and Security for Microsoft Copilot2026-10-26
社会福祉法第45条の16第3項が、理事長などの業務を執行する理事に、3か月に1回以上、自己の職務の執行の状況を理事会に報告することを求めていること(定款で毎会計年度に4か月を超える間隔で2回以上と定めた場合を除く)e-Gov 法令API: 社会福祉法2026-10-26
個人情報の保護に関する法律第2条第3項が、本人の病歴などを含む個人情報を要配慮個人情報と定めていることe-Gov 法令API: 個人情報の保護に関する法律2026-10-26

事故への対応、行政への報告、理事会への報告の中身は、理事長と法人本部で決めてください。 本記事は公式のページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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