他社と比べる広告は出せるのか?|認められる3つの条件

「競合の製品名を出して比べる広告は禁止だと聞いた」「比べる表現はどこまで書いてよいのか分からない」——広告の原稿を確認する段で必ず出る疑問です。他社と比べる広告は、禁止されていません。認められる条件が示されていて、3つを満たせば適法に出せます。この記事では、その3つの中身と、社内で確認できる形にするまでの手順を整理します。
カメ先生他社と比べる広告はね、日本では禁止されていると思われがちだが、条件を満たせば出せるものなんだ。
カメ子禁止ではないのですか。見かけないので、できないのだと思っていました。
カメ先生見かけないのは、条件をそろえるのに手間がかかるからだよ。客観的に実証されていること、その引用が正確であること、比べ方が公正であること。この3つが要る。
カメ子出せないのではなく、準備が要るということですね。条件の1つ目から見ていきます。
- 比較広告は禁止されていない。3つの条件を満たせば適法に行える
- 主張する内容が客観的に実証されていることが第一の条件
- 実証の範囲は、主張する事項の範囲。全部を実証する必要はない
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比較広告は禁止されていない
最初に、前提を正しておきます。他社の商品と比べる広告は、法律で禁止されているわけではありません。
公正取引委員会の事務局が1987年に、比較広告に関する景品表示法上の考え方を公表しました。この考え方は、2016年4月に消費者庁によって改正され、現在も有効です。
そこでは、比較広告が不当な表示とならないための条件が示されています。つまり、条件を満たせば行ってよいという枠組みです。
では、なぜ避けられているのか。理由のひとつは、条件を満たすのに手間がかかることです。根拠となる実証が必要になります。
もうひとつが、業界の慣習です。他社名を出すことを避ける空気があり、実際に出すと反発を招くこともあります。
さらに、媒体側の規定もあります。広告を掲載する媒体が、独自に他社名の使用を制限していることがあります。法律とは別に、この確認も要ります。
以下では、法律上の3つの条件を見ていきます。媒体の規定や商標の扱いは、別に確かめてください。
3つの条件
では、条件の中身を見ていきます。3つと聞くと多く感じますが、整理すれば分かりやすい構造をしています。根拠、引用、比較の仕方。この3段階です。
| 条件 | 問われること | 実務で確かめる点 |
|---|---|---|
| 実証されていること | 主張の裏付けがあるか | 試験の結果、公的な統計、競合の公表資料 |
| 正確かつ適正な引用 | 実証の範囲を超えていないか | 調査の趣旨に沿った引用、調査のデータの表示 |
| 比較の方法が公正 | 対象と項目の選び方が妥当か | 同等のものか、現行の製品か、短所の扱い |
1つでも欠けると、不当な表示になり得ます。順に確かめていけば、抜けは防げます。
考え方が示す条件は3つです。この3つを、すべて満たす必要があります。
- 比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること
- 実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること
- 比較の方法が公正であること
1つ目が、根拠の話です。「うちのほうが優れている」と主張するなら、その主張を裏付ける実証が要ります。
2つ目が、引用の作法です。実証されている内容を、正確に、そして適正な形で引用する。都合のよい部分だけを切り取ることはできません。
3つ目が、比較の仕方です。何と何を、どういう項目で比べるか。その選び方が公正でなければなりません。
1つでも欠けると、不当な表示になり得ます。3つがそろって、はじめて適法な比較広告になります。
以下、それぞれの中身を詳しく見ていきます。
第1の条件:客観的に実証されていること
ここから、3つの条件を順に詳しく見ていきます。まずは、いちばん負担の大きい実証からです。ここを軽く見ると、後の2つを整えても意味がありません。
実務で誤解されやすいのが、実証の範囲と、調査を行う主体です。どちらも、思われているより緩やかに定められています。
- 実証が必要なのは、比較広告で主張する事項の範囲だけ
- 調査の主体は、公的機関や中立的な民間の機関が望ましいが必須ではない
- 自社の試験でも、方法が妥当であれば実証として使える
最初の条件が、実務ではいちばん重い部分です。主張の裏付けが必要になります。
実証が必要な範囲は、比較広告で主張する事項の範囲とされています。商品のすべてについて実証する必要はありません。主張した項目についてだけです。
これは重要な点です。「処理の速度が速い」と主張するなら、速度について実証すれば足ります。他の項目まで調べる必要はありません。
調査を行う主体についても、考え方が示されています。国公立の試験研究機関等の公的機関や、中立的な立場で調査や研究を行う民間の機関が望ましいとされています。
ただし、望ましいというだけで、必須ではありません。広告主と関係のない第三者が行ったものでなくても、実証の方法等が妥当なものである限り可能とされています。
つまり、自社で行った試験でも、方法が妥当であれば実証として使えます。この点は、実務上の負担を大きく下げます。
確立された方法がない場合の扱いも示されています。社会通念上および経験則上妥当と考えられる方法によって、主張しようとする事実が存在すると認識できる程度に実証する必要があります。
公表されている情報を使う場合
実証というと、試験を行う費用と時間を想像します。しかし、その必要がない場合もあります。すでに公表されている情報を、実証済みとして扱える場面があります。
BtoBの製品では、この方法が現実的です。仕様の数値は、多くの会社が資料に載せているためです。
自分で試験を行わなくても、実証済みとして扱える情報があります。
ひとつは、公的機関が公表している数値や事実です。官庁の統計や、公的な機関の調査の結果は、そのまま使えます。
もうひとつが、比較の対象となる商品等を供給する事業者が自ら公表している情報です。パンフレットなどで公表され、客観的に信頼できるものであれば、実証済みとして扱えます。
これは実務上、非常に有用な手がかりです。競合が自社の資料に書いている仕様の数値であれば、改めて試験を行う必要がありません。
ただし、条件があります。客観的に信頼できるものであること。そして、公表されているものであることです。
非公開の情報や、営業の担当者から口頭で聞いた数値は使えません。公表されている資料に基づいてください。
引用の際には、出典を控えておきます。後から根拠を問われたときに、示せる状態にしておく必要があります。
第2の条件:正確かつ適正な引用
実証の材料がそろったら、次はそれをどう広告に反映するかです。材料が正しくても、使い方を誤れば不当な表示になります。
ここで問われるのは、誠実さに近い性質のものです。都合のよい部分だけを見せていないか。読み手が誤解する形になっていないか。
2つ目の条件は、引用の作法です。実証されている内容を、どう広告に反映するかの話になります。
原則は、実証されている事実の範囲内で引用することです。実証を超える主張はできません。
調査結果の一部を引用する場合は、調査結果の趣旨に沿って引用する必要があります。都合のよい部分だけを切り取ることは認められません。
調査に関するデータの表示についても、考え方が示されています。調査機関、調査時点、調査場所等の調査の方法に関するデータを広告中に表示することが適当とされています。
ただし、広告のスペース等の関係から、これらのデータの省略は可能とされています。限られた面積の広告では、すべてを書き切れないためです。
省略が認められない場合もあります。調査機関や調査時点等をあえて表示せず、調査の客観性や調査時点等について一般消費者に誤認を生じさせることとなる場合です。
実務では、省略できる場合でもつながりの先に詳細を置く形にしておくのが安全です。根拠を示せる状態が、信頼にもつながります。
第3の条件:比較の方法が公正であること
最後の条件が、比較の設計そのものです。根拠が正しく、引用も適正でも、何と何を比べるかの選び方が不当なら、全体として誤解を与える広告になります。
この条件は、指針の中でも判断の幅が広い部分です。考え方が挙げている論点を、順に確かめていくのが確実です。
3つ目が、比較の仕方です。考え方では、比較の対象の選択、比較の項目の選択、そして短所の表示が論点として挙げられています。
まず、比較の対象についてです。競争関係にあるどのような商品等を選択しても可能とされています。特定の他社を選んで比べること自体は、問題ありません。
ただし、制限があります。社会通念上または取引通念上、同等のものとして認識されていないものと比較し、あたかも同等のものとの比較であるかのように表示する場合は認められません。
格の違うものと比べて優位を主張するのは不可、ということです。上位の製品と下位の製品を並べて「同じ価格帯」のように見せる形が該当します。
もうひとつの制限が、販売が終了した商品との比較です。製造または販売が中止されている商品等と比較しているにもかかわらず、現在製造または販売されている商品等との比較であるかのように表示する場合も認められません。
競合が製品を刷新している場合、旧い世代の製品と比べて優位を主張するとこの点に触れる可能性があります。比較の対象が現行の製品かを確かめてください。
短所を書かなくてよいのか
比較広告でよく問われるのが、自社の短所も書く必要があるかという点です。
考え方では、ある事項について比較する場合、これに付随する他の短所を表示しなかったとしても特に問題ないとされています。
つまり、原則としては長所だけを挙げて構いません。すべての項目を網羅する義務はありません。
ただし、例外があります。表示を義務付けられている事項、または通常表示されている事項であって、主張する長所と不離一体の関係にある短所については、扱いが異なります。
こうした短所を、殊更に表示しなかったり、明りょうに表示しなかったりする場合は認められないとされています。
実務では、長所と表裏の関係にある条件を確かめてください。処理が速いが消費する電力が大きい、軽いが耐久性が低い、といった関係です。
この関係にある事項を隠すと、問題になり得ます。触れておくか、その項目での比較を避けるかを選んでください。
BtoBでの比較広告の使いどころ
3つの条件が分かったところで、自社で使えるかを考えます。条件を満たしやすい主張と、満たしにくい主張があります。相性を先に見極めると、無駄な検討が減ります。
BtoBの商材は、仕様が数値で公表されていることが多いため、消費者向けの商品より条件を満たしやすい面があります。
ここまで条件を見てきました。では、BtoBの現場でどう使えるかを考えます。
いちばん相性がよいのが、仕様の数値で優位が明確な場合です。処理の能力、対応の範囲、保証の期間。公表されている数値で比べられます。
次が、公的な調査の結果がある場合です。官庁の統計や公的な機関の調査で裏付けられる主張であれば、実証の要件を満たしやすくなります。
逆に、相性が悪いのが主観的な評価です。使いやすい、分かりやすい、安心できる。こうした項目は、実証が難しくなります。
価格の比較も注意が要ります。価格は変動するため、調査時点の表示が特に重要になります。また、条件によって価格が変わる商材では、同等の条件での比較かどうかが問われます。
実務的には、他社名を明示せずに「一般的な製品と比べて」という形にする選択もあります。この場合も、その一般的な製品が何を指すかが問題になり得ます。
媒体の規定と商標の扱い
法律上の条件を確かめたら、もう2つ、別の観点の確認が残っています。この2つを見落とすと、条件を満たしていても掲載できない事態になります。
いずれも、法律の話ではありません。媒体との約束と、他社の権利の話です。確認の担当も、それぞれ違います。
法律上の条件を満たしても、それだけでは掲載できないことがあります。
広告を掲載する媒体が、独自の規定を持っていることがあるためです。他社名や他社の商標の使用を制限している媒体があります。
検索の広告や、投稿の場の広告では、それぞれの規定を確かめる必要があります。規定に触れると、審査で通りません。
商標の扱いも別の論点です。他社の登録商標を広告に使う行為が、商標権の侵害に当たるかどうかは別の法律の問題になります。
一般に、比較のために他社の商品を指し示す目的で名称を用いる場合、直ちに侵害となるわけではないと考えられますが、使い方によっては問題になります。
ロゴをそのまま使う、自社の商品であるかのように見せる、といった使い方は避けてください。判断に迷う場合は、法務に確かめてください。
準備の手順
何について、どう優れていると言いたいのか。曖昧な表現ではなく、検証できる形にします。
公的機関の公表資料、競合が公表している資料、自社の試験の結果。方法が妥当かを確かめます。
同等のものとして認識されるか。現行の製品か。この2点を確かめます。
調査機関、調査時点、調査場所。省略する場合も、詳細を示せる経路を用意します。
法律上の条件を満たしても、媒体で掲載できないことがあります。公開の前に確認します。
1番目を丁寧に行ってください。主張が曖昧だと、何を実証すればよいかが決まりません。
5番目は省略しないでください。比較広告は、競合から指摘を受ける可能性が高い形式です。社内の確認を経ておくことが、後の対応を楽にします。
記録を残す
準備が整い、掲載を始めたら、そこで終わりではありません。根拠の記録を残す作業が残っています。この作業を省くと、後で困るのは自社です。
効果や優位性をうたう表示については、合理的な根拠を示す資料の提出を求められる仕組みがあります。求められてから集めるのでは、間に合いません。
比較広告を出す場合、根拠の記録は必ず残します。
残すのは4点です。主張の内容。実証の材料と、その出典。調査を行った場合は、その方法と時期。そして、比較の対象を選んだ理由です。
この記録が必要になるのは、根拠を問われたときです。効果や優位性をうたう表示については、合理的な根拠を示す資料の提出を求められる仕組みがあります。
求められてから集めるのでは、間に合いません。広告を作る過程で集めた材料を、そのまま保管しておいてください。
保管の期間も決めておきます。広告の掲載が終わっても、しばらくは残しておくのが安全です。
担当者が変わっても分かる形にしておくことも重要です。どの広告のどの主張に対する根拠かを、紐づけて保管してください。
競合から指摘を受けた場合
比較広告は、競合の目に留まります。指摘を受ける可能性を前提に、対応を考えておきます。
指摘が来たら、まず内容を確かめます。どの主張について、どういう理由で問題だと言っているのか。
こちらの根拠が確かであれば、冷静に説明します。実証の材料と、引用の出典を示せば足りることが多くあります。
根拠が不十分だった場合は、速やかに対応します。表示を修正するか、掲載を止めるか。放置すると、事態が大きくなります。
対応の判断は、法務と行ってください。現場の担当者が直接やり取りすると、不用意な発言が記録に残ることがあります。
この点も、記録を残しておく理由のひとつです。根拠がそろっていれば、指摘への対応も短時間で終わります。
やってはいけない表現
- 実証していない項目について、優位を主張する
- 調査結果の一部を、趣旨と異なる形で切り取る
- 調査機関や時点をあえて隠し、客観性を誤認させる
- 格の違う製品と比べ、同等のものとの比較であるかのように見せる
- 販売が終了した製品と比べ、現行の製品との比較のように見せる
- 長所と表裏の関係にある短所を、殊更に表示しない
2番目は、意図せず起きることがあります。調査の報告書から数字だけを抜き出すと、前提の条件が落ちます。その結果、趣旨と違う印象を与えます。
5番目は、時間の経過で発生します。掲載を始めた時点では現行の製品だったものが、その後に刷新されることがあります。長期の掲載では、定期的な見直しが要ります。
3番目は、省略の判断を誤ると起きます。スペースの都合で省略すること自体は認められていますが、客観性を誤認させる意図が見えると問題になります。
比較しない形で伝える方法
条件を満たすのが難しい場合、比較しない形で伝える選択もあります。
ひとつが、自社の特徴を数値で示す方法です。他社と比べずに、自社の性能や実績を具体的に書く。読み手が自分で比べます。
ふたつめが、選定の観点を示す方法です。「この種の製品を選ぶときは、この3点を確かめてください」という形にする。読み手が、その観点で他社も見ます。
この形は、比較広告の条件の対象になりにくくなります。他社の商品について何かを主張しているわけではないためです。
ただし、自社について事実と異なる表示をすれば、別の問題になります。数値や実績の根拠は、比較広告の場合と同じように残してください。
BtoBでは、この形のほうが受け入れられやすい面もあります。他社を貶める印象を与えず、読み手の判断を助ける形になるためです。
社内で判断できる形にする
最後に、この判断を組織として行える形を考えます。
比較広告を作るたびにゼロから確認していては、時間がかかります。確認の一覧を作っておいてください。
一覧に載せるのは、3つの条件に沿った項目です。実証の有無と方法。引用の範囲と、調査のデータの表示。そして、比較の対象と項目の妥当性です。
この一覧を、広告の確認の工程に組み込みます。他社との比較を含む広告は、この一覧を通してから公開する。手順として固定しておけば、抜けが減ります。
あわせて、根拠の保管の場所も決めておきます。広告の素材と同じ場所に、根拠の資料を置く。後から探す手間がなくなります。
この記事は、考え方の内容を整理したものです。個別の広告が条件を満たすかどうかは、内容と状況によって変わります。公開の前に、法務や専門家に確かめてください。
よくある質問
他社名を出さずに「A社製品」と書けば問題ありませんか
特定できる形であれば、比較広告として同じ条件が適用されると考えられます。一般消費者がどの製品を指しているか分かる形であれば、名称を伏せても実質は同じです。
自社で行った試験の結果を根拠にできますか
できます。考え方では、広告主と関係のない第三者が行ったものでなくても、実証の方法等が妥当なものである限り可能とされています。方法が妥当であること、そして記録が残っていることが前提になります。
競合が公表している数値を、そのまま使ってよいですか
その事業者がパンフレットなどで公表しており、客観的に信頼できるものであれば、実証済みとして扱えるとされています。出典を控え、掲載の期間中に情報が更新されていないかも確かめてください。
自社の短所も書く必要がありますか
原則として、付随する他の短所を表示しなくても問題ないとされています。ただし、表示を義務付けられている事項や、通常表示されている事項で、主張する長所と不離一体の関係にある短所は別です。殊更に表示しないと、問題になり得ます。
まとめ
他社と比べる広告は、禁止されていません。1987年に公表され、2016年に改正された考え方が、認められるための条件を示しています。3つの条件をすべて満たせば、適法に行えます。
条件は、実証されていること、正確かつ適正に引用すること、そして比較の方法が公正であることです。実証の範囲は主張する事項の範囲に限られ、自社で行った試験でも方法が妥当なら使えます。公的機関や競合が公表している情報も、実証済みとして扱えます。
実務では、法律上の条件に加えて媒体の規定と商標の扱いも確かめます。そして、根拠の記録を必ず残してください。条件を満たすのが難しい場合は、自社の特徴を数値で示す形や、選定の観点を示す形に切り替える選択もあります。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
広告運用にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?
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