AIにつなぐ道具は多いほどよい?|選ばせ方で精度が変わる

「つなげる先を増やしていけば、そのぶん賢くなると思っていました」「便利そうな連携を全部入れたら、かえって的外れな動きが増えました」——AI導入の2か月目あたりで、必ずどちらかの声が上がります。道具の本数と成果は同じ向きに動くという前提が、ここで一度崩れるからです。多いほどよい、ではありません。本当は渡す本数が一定を超えると、正しい道具を選ぶ確率そのものが落ちます。公式の説明では、その境目は使える道具が30本から50本を超えたあたりに置かれています。この記事では、何本まで渡すのか、どう選ばせるのか、そして誰がその本数を決めるのかを整理します。
カメ先生AIに社内の道具をつなぐ話って、つなげる数を増やす作業だと思われがちなんだけど、本当は「どれを見せないか」を決める作業なんだ。
カメ子見せない道具をわざわざ決める、ということですか。
カメ先生そう。見せた道具は全部が説明文として読まれるからね。似た説明が並ぶほど、選ぶ側は迷いやすくなる。人間の新入社員に、使わない道具のマニュアルまで暗記させたら混乱するのと同じだよ。
カメ子増やすほど便利になるはずなのに、逆に働くんですね。
- 本数が増えると2つの別の問題が同時に起きる。説明文が文脈を食うことと、似た道具の選び間違いが増えること
- 絞り方は3通り。常時渡す本数を絞る、用途ごとに束を切り替える、必要になった時だけ探して渡す
- 本数は開発の設定値ではなく運用の決めごと。誰が決め、いつ見直し、何を記録するかまで先に置く
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場面:つないだ道具が18本になった週から、指示が通らなくなった
1つの場面を置いて最後まで追います。ある会社のマーケ部門が、問い合わせ対応にAIを入れました。最初につないだ道具は3本です。顧客台帳を引く、過去の問い合わせを引く、返信の下書きを保存する。これで返信の下書きまでが自動で用意されるようになり、部門内の評判が良くなりました。
評判が良くなると要望が集まります。配信の停止を反映したい、担当者の割り当てもやってほしい、在庫の状況も見たい、請求の照会も。要望のたびに1本つないでいき、2か月で18本になりました。ここで症状が出ます。「過去の似た問い合わせを探して」と頼んだのに顧客台帳を引いてくる、という取り違えです。1日30件のうち4件ほどで起きました。
担当者は指示文の書き方を疑い、書き直しを何度も試しました。しかし指示文は3本の頃から変えていません。変えたのは道具の本数だけです。つまりこれは書き方の問題として探しても見つからない不具合でした。以下では、本数が増えると何が起きるのかを2つに分けて見ていきます。
「多いほど賢い」が崩れる境目は、30本から50本のあたり
まず境目の数字を押さえます。道具を探して渡すしくみの公式文書には、2026年8月時点でこう書かれています。正しい道具を選ぶ能力は、使える道具が30本から50本を超えると落ちる。だから、全部を最初から読み込ませるのをやめて、必要になったものだけ探して読み込ませる方式を用意したという説明です。
同じ文書は、切り替えを検討する目安を5つ挙げています。道具が10本以上ある/道具の説明の合計が10,000トークンを超える/本数が増えるにつれ選び間違いが増えてきた/複数の外部連携をまとめて200本以上になる/今後も増える見込みがある。逆に、そのまま全部渡してよい条件も書かれています。10本未満、毎回すべての道具を使う、説明の合計が100トークン未満のいずれか。
冒頭の18本は、この目安では「切り替えを検討する範囲」に完全に入っていました。ここが実務上の勘所です。30本という境目より手前に、10本という別の目安がある。18本は「まだ少ない」という感覚の本数ですが、しくみを変える判断としてはすでに遅い段階でした。
起きていること(1)道具の説明が、仕事を始める前に文脈を食う
1つ目の問題は量です。道具はつないだ時点で、名前と説明と引数の一覧が毎回読み込まれます。公式文書の例では、よくある5つの外部連携を束ねた構成で、仕事を1つも始めていない時点で約55,000トークンが道具の説明だけで埋まると書かれています。探して渡す方式に切り替えると、これが85%以上減り、その仕事に必要な3本から5本だけが読み込まれます。
2025年11月24日に公表された技術記事は、同じことを残り容量で示しています。従来のやり方では文脈の残りが122,800トークン、探して渡す方式では191,300トークン。差の約68,000トークンが、読ませたい資料や、渡したい過去の記録に回せる分です。問い合わせ対応で言えば、過去のやり取りを何件まで一緒に読ませられるかがここで変わります。
費用の見え方も押さえてください。道具の説明は1回の会話のあいだ、周回ごとに読み直されます。1件の処理で20周回るなら、説明文の分は20回分積み上がります。18本の説明が仮に9,000トークンなら、それだけで18万トークン相当が説明の読み直しに消えます。本数を絞る話は、精度の話であると同時に請求の話でもあります。
起きていること(2)似た説明が並ぶと、選び間違いが増える
2つ目は質の問題で、量とは別に起きます。18本のうち「探す」を含む道具が5本あると、選ぶ側は名前と説明の差だけで判断することになります。顧客台帳を引く道具と過去の問い合わせを引く道具は、説明文の書き方が似ていれば区別がつきません。文脈に余裕があっても、この取り違えは消えません。
実測があります。2025年5月に公表された研究は、道具の説明を全部渡した場合の選択の正答率を13.62%と報告しました。これを、依頼の内容に近い説明だけを検索して渡す方式に替えると43.13%になり、3倍を超えて改善しています。同時に指示文のトークンも50%超減りました。つまり量を減らす手が、質の問題にも同時に効いたということです。
ただし、この2つを最初から一緒に扱うと運用で困ります。量の問題は本数を減らせば必ず改善しますが、質の問題は本数を減らしても、残した道具の説明が似ていれば残ります。冒頭の場面では、18本から8本に絞った時点で取り違えが1日4件から1件に減りましたが、残った1件は最後まで消えませんでした。原因は、絞った後も「探す」系が2本残り、説明文の差が1語しかなかったことでした。
絞り方は3通り。効き目と手間を並べて比べる
対策は3つの方式に整理できます。どれか1つを選ぶのではなく、本数と用途の分かれ方で決まります。実測されている効き目を並べます。数値の出どころは前の章までに挙げた3つの資料です。
| 方式 | やること | 確認できている効き目 | 向く場面 | 手間 |
|---|---|---|---|---|
| 常時渡す本数を絞る | 呼ばれた回数の上位から3本から5本だけ残す | 説明の量が直接減る。文脈の残りが増える | 用途が1つに定まっている | 小 |
| 用途ごとに束を切り替える | 仕事の種類ごとに渡す組を分ける | 1組が10本未満に収まれば切り替えのしくみ自体が不要になる | 部門や工程で用途が分かれている | 中 |
| 必要になった時だけ探して渡す | 目録から検索し、当たった3本から5本だけ読み込む | トークン85%削減。外部連携の評価で49%から74%、より新しい版で79.5%から88.1% | 本数が今後も増え続ける | 大 |
表の読み方を1つ添えます。手間の欄が大きい方式ほど効き目も大きいのは、扱える本数の上限が違うからです。常時渡す本数を絞る方式は、そもそも使わない道具を切り捨てるだけなので、必要な道具が本当に30本ある部門では使えません。逆に、用途が1つしかない部門で探して渡すしくみを作るのは、作りすぎです。
方式A:常時渡す道具を3本から5本に絞る
いちばん手間が小さい方式です。公式文書にも、よく使う3本から5本は常時読み込みのまま残すことが推奨として書かれています。理由は、探させると1周増えて応答が遅くなるからです。つまり探して渡すしくみを入れる場合でも、この3本から5本の選定は必ず必要になります。
決め方は記録から出します。直近1か月の呼び出し記録を集計し、多い順に並べて累積で8割に達するところで線を引きます。冒頭の場面でこれをやると、顧客台帳、過去の問い合わせ、下書きの保存、担当者の割り当ての4本で全体の83%を占めていました。残り14本が17%を分け合っていた、という分布です。
ここでの落とし穴を1つ挙げます。残す4本を「重要な道具」で選んではいけません。呼ばれる回数で選びます。請求の照会は業務上とても重要ですが、月に3回しか呼ばれません。重要度で選ぶと常時渡す枠を重要だが稀な道具が占め、毎日使う道具のほうが探させる側に回るという逆転が起きます。この逆転は、体感の遅さとして真っ先に不満になります。
方式B:用途ごとに束を切り替える
2つ目は、1つのしくみに全部を持たせず、仕事の種類ごとに渡す組を分ける方式です。問い合わせ対応の束、配信準備の束、月次の集計の束。冒頭の18本は、この線で切ると7本と6本と5本に分かれました。1つの束が10本未満に収まれば、公式文書の目安では探して渡すしくみを持つ必要がなくなります。
切り方は道具の種類ではなく業務で決めます。判断の基準は1つで足ります。同じ1件の仕事の中で同時に必要になるか。在庫の確認と月次の集計は、どちらも数字を扱う道具ですが、同時には必要になりません。だから同じ束に入れません。逆に、顧客台帳と過去の問い合わせは必ず同時に必要なので、必ず同じ束に入れます。
副作用も先に見ておきます。束をまたぐ仕事が来たときに詰まります。問い合わせの中に請求の照会が混ざる、という場面です。ここは束の設計ではなく受付の設計で解くのが実務的でした。受付の時点で種類を分け、混ざるものは人が振り分ける。束の数を増やして全部を覆おうとすると、束の管理が本数の管理より重くなります。
方式C:必要になった時だけ探して渡す
3つ目は、目録だけ渡して説明の本体は読み込ませず、必要になった時に検索させる方式です。2025年11月24日公表の技術記事にある実測では、トークンが85%減り、外部連携をまとめた評価での正答率が、ある版で49%から74%、より新しい版で79.5%から88.1%に上がりました。削減と精度向上が同時に出ている点が要点です。
発注や設計の判断に必要な仕様も、公式文書に書かれています。検索の結果として返る道具は既定で5本まで、呼ぶ側が1本から10,000本の範囲で指定できます。控えておける本数の上限は10,000本。そしてすべての道具を探させる形にはできません。少なくとも1本は常時渡す必要があり、通常は検索そのものの道具がその1本になります。
この方式を選ぶときに確かめることが2つあります。1つは、使う予定のAIがこの方式に対応しているか。対応する系統が限られている場合があります。もう1つは、検索で当たるように説明文を書き直す工数を見込んでいるか。目録から探させる方式は、説明文の質に成績が直結します。ここを飛ばすと、しくみを入れたのに当たらないという結果になります。
見せる本数は、問いの難しさで変えたほうがよい
ここまでは「何本渡すか」を1つの値で考えてきました。2026年5月に公表された研究は、この前提を崩しています。候補が370本ある題材で、依頼ごとに候補を平均7.4本まで見る方式が90.3%の的中を出しました。常に50本見せた場合の90.8%とほぼ同じ成績で、見せる深さは7分の1です。
面白いのは難易度別の内訳です。易しい依頼は平均2.5本見れば足り、成功率は100%。中くらいは4.8本で74.4%、難しいものは5.7本まで探して16.7%、最も難しい層は6.9本まで探しても0.2%でした。一方、本数を固定する方式は、難しい依頼で成功率が0%でした。深く探せる余地がないと、難しい問いには手が届かないということです。
もう1つの数値も実務に直結します。正解が候補には入っているが1位に来ていない中難度の依頼で、深さを可変にした場合は76.8%、固定した場合は60.9%。別の検証では、依頼に応じて絞った場合が93.1%、常に5本見せた場合が87.1%でした。実務への翻訳は「上限を1つの値に固定しない」です。よくある依頼は3本で決め、珍しい依頼は6本まで探すことを許す、という置き方になります。
同じ研究は、候補が3,251本まで増える題材でも測っています。可変にした場合が64.7%、5本固定が61.9%で、差は候補370本のときより小さくなりました。候補が非常に多い領域では、見せる本数の調整だけでは伸びしろが小さいということです。ここまで来ると、束の切り分けや説明文の書き直しのほうが効きます。自社が370本の側か3,000本の側かで、手を入れる順番が変わります。
説明文と使い方の実例で、選び間違いは減る
本数の話と並んで効くのが説明文です。同じ道具でも、説明の書き方で結果が変わります。開発元の技術記事では、道具の説明に使い方の実例を添えたところ、引数の扱いが複雑な場面で正答率が72%から90%に上がったと報告されています。本数を1本も減らさずに得られる改善です。
書き方の指針も同じ記事に示されています。新しく入った人にその道具を説明するつもりで書く、というものです。暗黙の前提を明示に変える作業だと考えてください。「顧客を検索する」ではなく「登録済みの法人顧客を会社名または担当者名で検索する。退会済みは含まない」まで書きます。冒頭の場面で残った1件の取り違えは、この書き直しで消えました。
検索させる方式を採るなら、追加の作法が2つあります。1つは名前の頭に区分を付けること。同じ束に属する道具が1回の検索でまとまって当たるようになります。もう1つは、利用者が仕事をどう言い表すかの語を説明文に入れること。社内では「照会」と呼んでいる作業を、依頼者が「確認」と書くなら、説明文に両方入れます。説明文は仕様書ではなく検索の対象です。
束ねると本数は減る。ただし1本にしてよいかは業務で決める
本数を減らすもう1つの手が、複数の道具を1本にまとめることです。開発元の技術記事は「道具が多いほど良い結果になるとは限らない」と述べ、一覧を取る道具を3本並べる代わりに、目的を1つにした道具を作る例を挙げています。空いている時間を探して予定を入れるところまでを1本にする、という形です。
まとめてよいかの判断は3つで決まります。常に同じ順で呼ばれるか、途中に人の判断が入らないか、途中で止まったときの後始末が決まっているか。3つが揃えば1本にしてよく、揃わなければ分けたままにします。冒頭の場面では、顧客台帳を引いて下書きを保存するまでを1本にまとめ、18本のうち2本を1本に減らしました。
まとめてはいけない場合を具体的に挙げます。途中に承認が入るもの、途中で止まったときに取り消しが必要なもの、そして送信や入金のように取り消せない操作を含むもの。これらを1本にすると、止める場所が消えます。返す量の設計も忘れないでください。返り値には上限があり、既定で25,000トークンという例が示されています。簡潔に返す形にすると詳細版の約3分の1のトークンで済んだ実測もあります。
束ね方には、もう1段進んだ形もあります。呼び出しを1回ずつAIに返すのではなく、複数の呼び出しをまとめた手順として実行し、途中の結果をAIに見せない方式です。2025年11月24日の技術記事にある実測では、調べ物の課題で平均のトークン使用が43,588から27,297へ37%減り、成績は25.6%から28.5%、別の課題で46.5%から51.2%に上がりました。途中の結果が文脈に積まれないぶんが、そのまま余裕になった形です。発注時には、この方式に対応しているかを確認の1項目に入れてください。
実務仕様の一覧:本数と説明文の決めごと
ここまでを、発注時と設計時に確認できる形にまとめます。この一覧は情報システム部門とAI導入担当が一緒に見るためのもので、開発の詳細ではなく決めごとだけを並べています。
- 常時渡す道具は3本から5本。呼ばれた回数の多い順に累積8割で線を引く
- 重要度ではなく回数で選ぶ。重要だが月数回の道具は探して渡す側に置く
- 全体が10本未満なら、探して渡すしくみは持たない
- 10本を超えたら束の切り分けを検討し、30本を超えたら探して渡す方式に移す
- 1つの束は10本未満に収める。束の線は道具の種類ではなく業務で切る
- 名前の頭に区分を付け、同じ束が1回の検索でまとまって当たるようにする
- 説明文には、依頼者が仕事をどう言い表すかの語を入れる
- 引数の扱いが複雑な道具には、使い方の実例を必ず添える
- 検索で返す本数の上限を決める。既定は5本、指定できる範囲は1本から10,000本
- 常時渡す道具を1本以上残す。全部を探させる形にはできない
- 返り値の量の上限を決め、超える道具は要約して返す形にする
- 送信や入金や削除など取り消せない道具は、束ねずに単独で置く
この一覧のうち、外注する場合に見積書に出てこないのは説明文の書き直しと、区分名の付け直しです。作る側の工数としては小さく見えますが、成績にはいちばん効きます。発注時に「説明文の書き直しを含むか」を1行入れておいてください。
誰が本数を決めるのか
技術の話はここで終わりで、残りは運用の話です。冒頭の18本がどう増えたかを思い出してください。要望が来た順に増えました。本数を決める人が決まっていないと、本数は要望の数と同じになります。これは設計の失敗ではなく、決めごとの不在です。
置き方は単純です。道具の追加を決める人を1人決めます。情報システム部門かAI導入担当が持つのが現実的でした。要望を出す部門は、「どの仕事の、どの場面で、月に何回必要か」を書いて出します。決める側が見る材料は3つです。その場面が月に何回起きるか、既にある道具の組み合わせで代われないか、取り消せない操作を含むか。
そして、断る基準も先に書いておきます。月10回未満で既存の道具の組み合わせで代われるものは追加しない、という形です。断る基準を先に書いておかないと、断る理由が毎回「本数が多いから」になります。それは要望を出した側に納得されません。回数と代替可能性という材料で断れるようにしておくことが、本数を保つ唯一の方法でした。
いつ見直すのか
追加は要望で起きますが、削除は誰も言い出しません。だから周期を決めます。3か月ごとに呼び出しの記録を見て、直近90日で1回も呼ばれていない道具を外す候補に上げます。冒頭の場面では、最初の棚卸しで18本のうち5本が候補になりました。うち3本はつないだ本人が異動していて、誰も使っていませんでした。
外し方には手順があります。いきなり接続を切らず、段階を踏みます。所要は担当者1人で半日です。
道具ごとの呼び出し回数と、人が結果を直した件数を並べます。呼ばれているのに直されている道具は、外す候補ではなく説明文の書き直し候補です。ここを混ぜないでください。
0回は外す候補、1桁は束の外に出す候補にします。1桁の道具を残したまま常時渡す枠に置いておくと、それだけで選び間違いの母数が増えます。
接続は切らずに、渡す組から外すだけにします。この期間に問い合わせが来た道具は残します。2週間で1件も来なければ、実務では使われていません。
外した日、外した理由、そして戻す条件を1行で書きます。戻す条件を書いておかないと、次に必要になったときに一から議論が始まります。
外した後の分布で累積8割の線を引き直します。上位の顔ぶれは半年で変わります。ここを固定したままにすると、体感の遅さが少しずつ戻ります。
何を記録しておくのか
選び間違いは、記録がないと「なんとなく調子が悪い」で終わります。冒頭の場面で原因が本数だと分かったのは、取り違えの起きた日付と、その時点でつないでいた本数を並べられたからでした。記録がなければ、指示文の書き直しを延々と続けていたはずです。
1回の呼び出しごとに残す項目は5つで足ります。受けた依頼の要点、その時に渡していた道具の本数、実際に呼んだ道具の名前、探して渡す方式なら検索に使った語と返ってきた本数、そして人が結果を直したかどうか。この5つがあれば、本数と取り違えの関係を後から突き合わせられます。
- 直した件だけを月に1回並べる。全件を見返す運用は続かない
- 同じ2本の取り違えが月に3件以上あれば、説明文か束の切り方の問題として扱う
- 本数は日付とともに残す。増えた日と精度が落ちた日を重ねられないと原因が特定できない
- 検索に使った語を残しておく。当たらなかった語は、説明文に足すべき語の一覧になる
- 記録に依頼の本文をそのまま残すと個人情報が混ざる。要点だけを残す形を先に決める
AIに決めさせない部分を先に切り出す
最後に、任せない範囲を決めます。本数はAIに決めさせません。「必要そうな道具を自分で見つけて追加する」形にすると、本数の上限を持つ意味がなくなります。探すのは目録の中からだけ、目録に載せるのは人が決める。ここは自律の度合いを上げても最後まで残す線です。
取り消せない操作を含む道具についても、人が確認する範囲を先に決めます。ここを後回しにすると、確認は必ず全件の見直しに膨らみます。冒頭の場面では、下書きの保存までは自動、送信の直前は人、という線を最初に引きました。先に狭く決めておいたので、本数を増やす議論のときも確認の工数が増えませんでした。
そして、なぜその道具を選んだのかを1行残させます。判断を任せるためではなく、後で突き合わせる材料としてです。根拠が1行あると、取り違えの原因が説明文なのか本数なのかを、記録だけで切り分けられます。以下は、実際に手戻りになったやり方です。
- 要望が来た順に道具を足す。断る基準がないので、本数は要望の数に等しくなる
- 常時渡す道具を重要度で選ぶ。毎日使う道具が探させる側に回り、体感が遅くなる
- 本数を1つの値に固定する。難しい依頼で候補に届かなくなる(固定方式は難しい問いで0%だった)
- 説明文を書き直さずに探して渡すしくみだけ入れる。検索で当たらず、精度は上がらない
- 取り消せない操作を他の道具とまとめて1本にする。止める場所が消える
- 本数を減らせば取り違えも消えると考える。説明文が似ていれば残る
- 選ぶ道具をAI自身に増やさせる。上限を持つ意味がなくなる
まとめ
AIにつなぐ道具は、多いほどよいわけではありません。本数が増えると、道具の説明が仕事を始める前に文脈を食う問題と、似た説明が並んで選び間違いが増える問題が、同時に別々の理由で起きます。公式文書は前者を約55,000トークンという具体で示し、後者の境目を30本から50本と書いています。そして切り替えを検討する目安は10本です。18本は少なく感じても、判断としては遅い段階でした。
対策は3つに整理できます。常時渡す本数を3本から5本に絞る、用途ごとに束を切り替えて1組を10本未満に収める、必要になった時だけ目録から探して渡す。3つ目は実測でトークン85%削減と、外部連携の評価で49%から74%への改善が報告されています。加えて、説明文に使い方の実例を添えるだけで、引数の扱いが複雑な場面の正答率が72%から90%に上がりました。本数を1本も減らさずに得られる改善です。
そして見せる本数は1つの値に固定しないでください。2026年5月の研究では、依頼の難しさに応じて平均7.4本まで見る方式が、常に50本見せる場合とほぼ同じ成績を7分の1の深さで出しました。難しい依頼では固定方式の成功率が0%でした。最後は運用です。追加を決める人を1人決め、月に何回起きるかと代われるかで断る基準を先に書き、3か月ごとに棚卸しをして、1回の呼び出しごとに5項目を残す。冒頭の場面は、18本を8本に絞って説明文を書き直し、取り違えが1日4件から0件になりました。道具を絞るのはAIを信用しないことではなく、任せられる範囲を先に確定させる作業だと考えてください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AI活用を戦略に落とす前に、まずは導入・定着から始めませんか?
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