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派遣スタッフの毎月のフォロー面談をAIとの対話で行い、職場の困りごと・体調・契約外の業務を聞き取って、担当コーディネーターが動くべきものを拾う

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

就業中の派遣スタッフに毎月、スマートフォンでAIとの対話の聞き取りを届けます。職場の困りごと、体調、契約にない業務の有無を聞き、担当コーディネーターが連絡すべきスタッフに印を付けて一覧にします。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Google Apps Script/Make/n8n
対象業界
人材/物流/製造
対象部門
人事/営業
対象業務
分類・仕分け/記録・議事録作成
主な課題
人手が足りない/属人化している/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
対話
主な効果
対応スピード向上/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
90h/月
AI導入後
24h/月
想定削減
73%
年間削減
792h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. コーディネーターが、担当スタッフの一覧から今月の連絡先を確認する
  2. 休憩の時間帯を狙って電話をかける。つながらなければメッセージを残し、かけ直す
  3. つながったら、仕事の様子、困りごと、体調を口頭で聞く
  4. 聞いた内容をフォロー記録のスプレッドシートに書く
  5. 気になる話があれば、派遣先の担当者や営業に連絡する
  6. 苦情として扱うものは、所定の記録に残す
導入後(After)
  1. 自動毎月1日に、就業中のスタッフ一人ひとりへ、本人専用の聞き取りのURLを送る
  2. 人スタッフが都合のよい時間に、スマートフォンでAIとの対話に答える(5分ほど)
  3. 自動AIが決まった5つの話題を順に聞き、答えに応じて1〜2問だけ聞き足す
  4. 自動けが・ハラスメント・急な体調の悪化などの話が出たら、対話を止めて担当者へすぐ知らせる
  5. 自動対話の最後に、AIがまとめた内容をスタッフに見せ、「この内容で担当に伝えてよいか」を確かめる
  6. 自動まとめを、契約にない業務の可能性・体調・職場の困りごと・連絡の希望の印付きで一覧に書き出す
  7. 自動10日を過ぎても答えの無いスタッフを、未回答として一覧に出す
  8. 人コーディネーターが一覧を見て、印の付いたスタッフと未回答のスタッフに電話する
  9. 人苦情として扱うものは、コーディネーターが所定の記録に残し、派遣先・営業と調整する
各工程の詳しい説明を読む
  1. コーディネーターが、担当スタッフの一覧から今月の連絡先を確認する
  2. 休憩の時間帯を狙って電話をかける。つながらなければメッセージを残し、かけ直す
  3. つながったら、仕事の様子、困りごと、体調を口頭で聞く
  4. 聞いた内容をフォロー記録のスプレッドシートに書く
  5. 気になる話があれば、派遣先の担当者や営業に連絡する
  6. 苦情として扱うものは、所定の記録に残す

(a)電話がつながらない。 シフト勤務のスタッフは、休憩の時間が日によって違います。つながるまでに2〜3回かけ直すのがふつうで、日程の調整だけで1人あたり数分を使います。

(b)電話では本当の困りごとが出てこない。 職場の休憩室で、同僚の前で「派遣先の社員に強く言われる」とは話せません。スタッフが話したい時間と、コーディネーターが電話できる時間が合っていません。

(c)記録の書き方が人によって違う。 「元気そう」とだけ書く人、細かく書く人がいます。契約にない業務の話が出ていても、記録の書き方しだいで次の担当者に伝わりません。

(d)急ぐべき話が埋もれる。 けがやハラスメントの話も、その日のうちに動くべき話も、電話をかけた順に、他の記録と同じ列に並びます。 誰がいつ動くかが決まっていません。

  1. 【自動】 毎月1日に、就業中のスタッフ一人ひとりへ、本人専用の聞き取りのURLを送る
  2. 【人】 スタッフが都合のよい時間に、スマートフォンでAIとの対話に答える(5分ほど)
  3. 【自動】 AIが決まった5つの話題を順に聞き、答えに応じて1〜2問だけ聞き足す
  4. 【自動】 けが・ハラスメント・急な体調の悪化などの話が出たら、対話を止めて担当者へすぐ知らせる
  5. 【自動】 対話の最後に、AIがまとめた内容をスタッフに見せ、「この内容で担当に伝えてよいか」を確かめる
  6. 【自動】 まとめを、契約にない業務の可能性・体調・職場の困りごと・連絡の希望の印付きで一覧に書き出す
  7. 【自動】 10日を過ぎても答えの無いスタッフを、未回答として一覧に出す
  8. 【人】 コーディネーターが一覧を見て、印の付いたスタッフと未回答のスタッフに電話する
  9. 【人】 苦情として扱うものは、コーディネーターが所定の記録に残し、派遣先・営業と調整する

8番目が、この設計の分かれ目です。電話をやめるのではありません。 電話をかける相手を、印の付いたスタッフと答えの無いスタッフに絞ります。 「特に問題ないです」のための電話が減り、その分を動くべきスタッフに使います。

5番目で本人に確かめるのも、意図してのことです。 AIのまとめが本人の言いたかったことと違えば、その場で直してもらえます。 「担当に伝えてほしくない」という選択もできるようにし、その場合は印だけを残して中身を渡しません。

02今回想定するシステム構成

構成図
スタッフ管理のシステム(就業中のスタッフ、派遣先、就業条件明示書の業務の内容)
   │  月初に書き出し
   ▼【トリガー】毎月1日(時間主導型トリガー)
Google Apps Script ── 本人専用のURL(使い捨ての合言葉付き)を作り、送る
   ▼
スタッフのスマートフォン
   ▼
Google Apps Script のウェブアプリ(対話の画面)
   │   1回ごとに会話の履歴をそろえて渡す
   ▼
Gemini API(対話)
   │   ① 5つの話題を順に聞く   ② 1〜2問だけ聞き足す
   │   ③ 急ぐ話を見つけたら止める
   ▼
Gemini API(構造化出力)── まとめと印
   ▼
Google スプレッドシート(今月のフォロー一覧)
   ├──▶【急ぐ話】担当者へすぐ通知
   └──▶【コーディネーター】印の付いた人と未回答の人に電話
役割想定する製品代替候補
処理Gemini API(Interactions API による対話、まとめと印付け)Claude API、OpenAI API
連携Google Apps Script(ウェブアプリと月次の送信)Make、n8n
保管Google スプレッドシート(フォロー一覧と対話の記録)-
通知Google ChatMicrosoft Teams

スタッフ管理のシステムには、この構成から書き込みません。 読むのは就業中のスタッフと就業条件明示書の業務の内容だけで、フォローの結果をシステムに残すかどうかは、コーディネーターが中身を確かめてから決めます。

土台になるのは、Gemini API の Interactions API です。 公式の案内では、2026年6月の時点で一般提供となり、新しいプロジェクトに推奨されています。対話の続きは、前の応答の id を previous_interaction_id に渡せばサーバーの側で引き継がれます。

ただし、この構成ではサーバーの側に会話を残しません。 Interactions API は既定で会話を保存し、有料の枠では55日、無料の枠では1日保持するとされています。store=false を指定すると保存しない設定にでき、その代わり previous_interaction_id は使えなくなります。体調や職場の人間関係の話を外部に55日置くことを避け、履歴は自社のスプレッドシートで持って、毎回まとめて渡します。 このとき、思考やツールを使う場合はモデルが生成したすべての段を保持して送り直す必要があるとされています。

もう一つの注意は、システムへの指示が引き継がれないことです。 system_instruction はその1回の呼び出しにだけ効き、次の呼び出しでも効かせたいなら毎回指定し直す必要があります。聞き取りの決まり(助言をしない、急ぐ話で止める)は、毎回の呼び出しに必ず付けます。

対話の画面は、Google Apps Script のウェブアプリで作ります。 doGet で画面を返す形で、「自分(所有者)として実行」を選ぶと、アクセスした人が誰でもスクリプトは所有者の権限で動きます。 スタッフに Google のアカウントは要りません。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

毎月1日の朝に、時間主導型のトリガーで聞き取りのURLを送ります。 スタッフ管理のシステムから書き出した就業中のスタッフの一覧を読み、本人ごとに使い捨ての合言葉(トークン)を付けたURLを作って、登録してある連絡先へ送ります。

回答の期間は10日間です。 7日目に、まだ答えていないスタッフへ1回だけ念押しを送ります。10日を過ぎたら未回答としてコーディネーターの一覧に出し、そこから先は電話に切り替えます。 何度も自動で催促しないのは、催促そのものが負担になり、答える気をなくすからです。

入職して最初の1か月のスタッフには送りません。 最初の1か月はコーディネーターが直接会うか電話する決まりにし、AIの聞き取りは2か月目から始めます。 顔を知らない担当者からの最初の連絡がAIになることは避けます。

対話そのものは、スタッフがURLを開いた時点で始まります。都合のよい時間に答えられることが、第3章の(a)と(b)への答えです。 夜勤明けでも、休みの日でも答えられます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
スタッフの情報スタッフ番号、呼び名、派遣先、就業開始日、担当コーディネータースタッフ管理のシステムの書き出し
業務の内容就業条件明示書に書かれた従事する業務の内容同上
先月のまとめ先月の聞き取りのまとめと、コーディネーターの対応の記録フォロー一覧
会話の履歴今月の対話のこれまでのやり取り自社のスプレッドシート

質を決めるのは、2行目の業務の内容です。 「契約にない業務」を拾うには、契約で何をすることになっているかを対話の側が知っている必要があります。業務の内容を渡さずに聞くと、AIは「それは大変ですね」と受け止めるだけで、照らす相手がありません。

先月のまとめは、続きを聞くために渡します。 先月「腰が痛い」と答えたスタッフには、今月「先月お話しされていた腰の具合はいかがですか」と聞けます。毎月まっさらに聞くと、スタッフは同じ話を何度もすることになります。

氏名や連絡先は渡しません。 対話に要るのは呼び名だけで、スタッフ番号との対応は自社のスプレッドシートの中で行います。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
就業中のスタッフの一覧スタッフ管理のシステムの月次の書き出しURLを送る相手
業務の内容同上契約にない業務の照らし合わせ
先月のまとめフォロー一覧続きの質問
会話の履歴自社のスプレッドシート毎回の呼び出しで渡す

ウェブアプリは、URLの合言葉からスタッフ番号を引きます。 合言葉は1か月で失効させ、同じURLで他人が答えられないよう、最初の画面で生年月日の月日など本人しか知らない項目を1つ確かめます。

会話の履歴は、1回ごとに自社のスプレッドシートへ書き、次の呼び出しでまとめて渡します。 第6章のとおり store=false を使うので、サーバーの側には残りません。履歴は対話の行ごとに、誰の発言か(スタッフかAIか)と日時を付けて持ちます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 対象の確認 … 就業中で、入職から1か月を過ぎたスタッフだけを選びます
  2. 業務の内容の要約の禁止 … 就業条件明示書の業務の内容は、要約せずにそのまま渡します
  3. 先月のまとめの絞り込み … 先月のまとめのうち、本人が「担当に伝えてよい」とした内容だけを渡します
  4. 呼び名の用意 … 本人が登録した呼び名を使い、氏名は渡しません
  5. 合言葉の発行と失効 … 本人ごとに作り、10日の期間が過ぎたら失効させます
  6. 急ぐ話の言葉の一覧 … 「けが」「救急」「殴られ」「死にたい」など、AIの判断を待たずに止める言葉を用意します

2番目を省かないでください。 業務の内容を「倉庫内の軽作業」と要約して渡すと、「フォークリフトの運転」が契約に入っているかどうかが分からなくなります。 契約にない業務の照らし合わせは、明示書の文言そのものとしか行えません。

6番目は、AIの判断と別に置く安全の網です。 言葉の一覧に当たったら、AIの応答を待たずに担当者へ知らせます。AIが急ぐ話と判断しなかった場合でも、取りこぼさないためです。

Step5

AIに処理させる

させるのは、5つの話題を順に聞き、答えに応じて1〜2問だけ聞き足し、最後にまとめを作ることです。

話題聞くこと聞き足すとき
仕事の内容今している作業。先月から変わったこと明示書の業務の内容にない作業が出たら、いつから・どのくらいの頻度かを聞く
働く時間残業や休憩が取れているか契約より長い時間が出たら、何曜日にどのくらいかを聞く
職場の人との関係困っていること、話しにくいこと特定の人との出来事が出たら、担当者に伝えてよいかを聞く
体調疲れや痛み、眠れているか先月からの続きがあれば、その後を聞く
これからのこと続けたいか、担当者と話したいことがあるか「話したい」なら、連絡してよい時間帯を聞く

聞き足すのは1つの話題で2問までにします。 それ以上聞くと、スタッフは問い詰められていると感じます。深く聞くのはコーディネーターの電話の役目です。

対話は、たとえば次のように進みます。

発言内容
AI今月もお疲れさまです。最近のお仕事で、先月から変わったことはありますか
スタッフピッキングのほかに、先週から棚卸の集計もやってます
AI教えていただきありがとうございます。棚卸の集計は、週に何回くらい、1回どのくらいの時間されていますか
スタッフ週2回、1時間くらいです
AIありがとうございます。この内容を担当者に伝えてもよろしいですか

AIは「それは契約にない業務です」とは言いません。 明示書の業務の内容に「ピッキング・梱包」としか無ければ、まとめの側で outside_contract_task を possible にするだけです。本人に向かって判断を口にしないことで、本人が「言ってはいけないことを言った」と感じるのを避けます。 頻度と時間を聞いておくのは、コーディネーターが派遣先と話すときに、どのくらいの量の業務かが分かっていないと話が進まないからです。

させないこと理由
助言や解決策を示す職場の事情を知らないAIの助言は、スタッフを迷わせる
契約違反やハラスメントと判断する判断はコーディネーターと会社が行う
派遣先に伝えると約束する何をどう伝えるかは担当者が本人と決める
体調について医療の判断をする受診を勧めるかも含めて人が判断する
話題の外の雑談を続ける聞き取りの時間を長くし、記録の範囲も広げる

1行目がいちばん起きやすい失敗です。 「派遣先の人に強く言われる」と聞くと、AIは自然に「一度その方と話してみてはいかがでしょう」と返します。本人が言えないから話してくれたことに、本人が動く助言を返すことになります。 受け止めて、担当者へ伝えてよいかを聞くところで止めさせます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは派遣会社のフォローの担当として、派遣スタッフの方から
毎月の様子を聞き取ります。答えを出したり、助言したりする役目ではありません。
聞いた内容を、担当コーディネーターに正しく伝えることが役目です。

【聞く順番】
1. 仕事の内容(先月から変わったこと)
2. 働く時間(残業、休憩)
3. 職場の人との関係
4. 体調
5. これからのこと(担当者と話したいことがあるか)
1つの話題で聞き足すのは2問までにしてください。

【この方の契約の業務の内容】{job_description}
【先月のまとめ(本人が伝えてよいとした内容)】{last_month}

【厳守事項】
- 助言や解決策を言わないでください。「お話しいただきありがとうございます」と
  受け止め、担当者に伝えてよいかを聞いてください。
- 契約にない作業の話が出たら、いつから・どのくらいの頻度かを聞いてください。
  「契約違反です」とは言わないでください。
- 職場の人との出来事は、相手の名前を聞き出さないでください。
  本人が書いた場合はそのまま受け止めてください。
- 体調について、病名を推測したり受診を勧めたりしないでください。
- けが、暴力、ハラスメント、急な体調の悪化、「明日から行けない」
  「死にたい」などの話が出たら、それ以上聞かずに
  「大切なお話なので、担当者からすぐに連絡します」とだけ伝えて
  urgent を true にしてください。
- 派遣先に伝える、契約を変える、といった約束をしないでください。
- 話してくれたことで不利な扱いを受けることはない、と最初に伝えてください。
- 聞き取りの話題から外れた雑談は、やさしく話題に戻してください。
- 敬語で、1回の発言は3文までにしてください。

「助言を言わない」を最初に置かないと、AIは親切に解決策を出し始めます。この聞き取りの価値は、スタッフが安心して話せることで、AIの答えの良さではありません。

「話してくれたことで不利な扱いを受けることはない」と最初に伝えさせるのは、 派遣元が講ずべき措置に関する指針が、派遣労働者から苦情の申出を受けたことを理由とした不利益な取扱いをしてはならないとしていることに沿ったものです。この一言が無いと、困りごとは書かれません。

Step7

出力形式を固定する

対話が終わったら、別の呼び出しで、会話の全文から次の形のJSONを作らせます。

{
  "staff_no": "",
  "month": "2026-10",
  "consent_to_share": "full | flags_only",
  "urgent": false,
  "flags": {
    "outside_contract_task": "none | possible",
    "working_hours": "none | longer_than_contract | breaks_missing",
    "workplace_relations": "none | concern",
    "health": "none | concern | continuing",
    "wants_contact": true
  },
  "topics": [
    { "topic": "task | hours | relations | health | future",
      "staff_words": "", "summary": "" }
  ],
  "contact_time": ""
}

1つ目の理由は、印を enum で固定できることです。 構造化出力では値を決まった選択肢に限れるので、一覧の並べ替えを「urgent → wants_contact → 印の数」でそのまま行えます。

2つ目は、staff_words に本人の言葉をそのまま残せることです。 コーディネーターは電話の前に、AIの要約ではなく本人の書いた文を読めます。 要約の言い回しで話の重さが変わることを避けます。

3つ目は、consent_to_share で本人の意思を守れることです。 flags_only なら、一覧には印だけを出し、中身は出しません。「担当には話してほしくないが、何かある」ことだけは伝わります。

値はスクリプトの側で確かめます。 構造化出力は文法として正しいJSONを返しますが、値はアプリケーションで検証するよう案内されています。staff_words が会話の履歴の中のスタッフの発言に実在するかを、スクリプトが文字列で照らします。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
スタッフ管理のシステム月次の書き出しを読む就業中のスタッフ、業務の内容
送信の仕組みApps Script から本人専用のURLと念押し
ウェブアプリApps Script の doGet対話の画面を返す
Gemini APIApps Script から呼び出し対話、まとめと印付け
フォロー一覧スプレッドシートへの書き込みまとめ、印、本人の言葉
Google Chat通知urgent と言葉の一覧に当たったものをすぐ知らせる

派遣先には、この構成から何も送りません。 派遣先に伝えるかどうか、何を伝えるかは、コーディネーターが本人と話して決めます。 自動で派遣先へ届くと、本人の知らないところで話が動きます。

苦情の記録も、自動では作りません。 派遣元が講ずべき措置に関する指針は、派遣元管理台帳に、苦情の申出を受けた年月日、苦情の内容、処理の状況を、申出を受けたときと処理に当たったときの都度記載するとしています。苦情として受け付けるかを決め、台帳に書くのはコーディネーターです。

Step9

人が確認する

コーディネーターは、次の順で一覧を見ます。

  1. urgent はその日のうちに電話する … 通知が来た時点で動きます。一覧を待ちません
  2. wants_contact に電話する … 本人が話したいと言った人です。contact_time の時間帯にかけます
  3. 印の付いた人の本人の言葉を読む … outside_contract_task が possible のものは、明示書と照らしてから電話します
  4. 未回答の人に電話する … 10日を過ぎた人です。答えないこと自体が、何かの兆しのことがあります
  5. 苦情として扱うかを決め、台帳に書く … 派遣先・営業との調整もここで行います

4番目を省かないでください。 毎月答えていた人が急に答えなくなったときは、職場に何か起きていることがあります。 AIの聞き取りに乗らない人を、電話で拾う手順が要ります。

目標は、360件をならして1件4分です。 印の無い人は一覧を流し見て数秒、印の付いた人と未回答の人は電話をするので10〜15分です。電話をかける相手は2割前後という想定で、それより多い月は、職場の側で何かが起きています。

Step10

例外に対処する

起きること対応
言葉の一覧に当たったAIの応答を待たずに対話を止め、担当者へ通知
本人確認に3回失敗した対話を始めず、担当者へ知らせる
途中で画面を閉じた履歴を残し、同じURLで続きから再開できるようにする
回答の期間を過ぎた合言葉を失効させ、未回答として一覧へ
日本語以外で答えてきた同じ言語で聞き取りを続け、まとめは日本語と原文を並べる
話題と関係の無い長い文が続く3回目で話題に戻し、まとめには「話題外」と残す
staff_words が履歴に実在しないその項目を捨て、本人の発言を一覧に直接出す
応答がJSONとして読めない1回だけやり直す。2回目もだめなら全文を担当者に回す
API が応答しない「時間をおいてもう一度開いてください」と出し、履歴を残す

1行目は、AIの判断と並べて置く仕組みです。 急ぐ話を見逃す失敗は、ほかのどの失敗よりも重いので、AIに任せきりにせず、言葉の一覧という単純な網を重ねます。 空振りの通知が多少出ても、担当者が1本電話すれば済みます。

5行目も、外国籍のスタッフが多い派遣会社では大事です。 まとめに原文を並べるのは、訳の言い回しで話の重さが変わることを避けるためです。

Step11

記録を残す

  • 送ったURLと、送った日時、念押しの日時
  • 会話の履歴の全文(発言ごとに誰の発言かと日時)
  • まとめのJSONと、本人が確かめた結果(consent_to_share)
  • 通知を送った日時と、担当者が電話した日時
  • コーディネーターの対応の記録(電話した日、話した内容、派遣先との調整)
  • 苦情として受け付けたものは、派遣元管理台帳への記載の日時

会話の履歴は、保管の期間と見られる人を決めて持ちます。 体調や人間関係の話を含むので、担当コーディネーターと課長だけが見られるようにし、期間を過ぎたら消します。 一覧に出すのはまとめと印までにします。

通知から電話までの時間を残すのは、急ぐ話への対応が実際に速くなっているかを測るためです。 第10章の工数よりも、この数字が、この構成の価値をいちばんよく表します。

言葉の一覧に当たった通知の記録も、月に1回見直します。 空振りだった通知の言葉と、AIが urgent にしたのに一覧に無かった言葉を並べ、一覧に足すか外すかを課で決めます。 一覧を直した日と中身も残し、いつからどの言葉で止めていたかを後からたどれるようにします。

04実装レベルの3段階

最小構成:手元のAIサービスの画面に指示を貼り、少人数で対話を試す / 聞き取りの対話
半自動化:上記+ウェブアプリで本人専用のURLを配り、まとめを一覧に書き出す / 聞き取りとまとめ、一覧化
本格構成:上記+月次の送信と念押し、急ぐ話の通知、本人の確認、先月のまとめの引き継ぎまで行う / 聞き取りの全体と、電話する相手の拾い出し

最小構成は、360名には使えません。 画面を共有して答えてもらうことはできないので、確かめるための段階です。 半自動化で、1件15分が8分程度になります。 聞き取りと記録は自動になりますが、送信と念押し、未回答の追いかけ、急ぐ話の拾い出しが手作業で残ります。本格構成で4分になり、この段階が本記事の想定です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化を2〜3か月回すと、どの話題で答えが止まりやすいか、どんな言葉で急ぐ話が出てくるかが分かります。それを言葉の一覧と指示に反映してから通知を自動にするほうが、空振りと取りこぼしの両方が減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
6 名
月間件数
360 件
1件あたり現在時間
15 分
1件あたり導入後時間
4 分
現在  360件 × 15分 ÷ 60 = 90 時間/月
導入後 360件 × 4分 ÷ 60 = 24 時間/月
月間削減時間
66h
削減率
73%
年間削減時間
792h
年間金額換算(時間単価3,000円)
238万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 就業中の派遣スタッフを数百名抱え、コーディネーター1人あたり50名以上を担当している派遣会社。毎月のフォローの電話がつながらない、つながっても短い確認で終わり、困りごとが契約の更新の直前や退職の申し出で初めて分かることが多い場合。就業条件明示書の業務の内容をデータで持っている場合。
向いていない
  1. 担当するスタッフが少なく、コーディネーターが毎月顔を合わせて話せている場合。スタッフの多くがスマートフォンでの文字の入力に慣れていない場合(電話の聞き取りを残すほうが確実です)。なお、苦情として受け付けるか、派遣先とどう話すか、契約の内容をどう扱うかの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 担当しているスタッフのうち、話を聞いてくれそうな5名に協力を頼む
  2. 第7章の指示を、手元のAIサービスの画面に貼り、その方の業務の内容を書き足す
  3. コーディネーター自身がスタッフ役になり、過去に実際にあった困りごと(契約にない作業、残業、人間関係)を思い出して答えてみる
  4. AIが助言を始めないか、急ぐ話で止まるか、契約にない作業を聞き足すかを確かめる
  5. 指示を直したうえで、協力してくれる5名に同じ画面で答えてもらい、感想を電話で聞く

最初はコーディネーター自身がスタッフ役になるのが要点です。 過去の困りごとを知っているので、AIが拾うべきものを拾ったかを、その場で判断できます。

出てきた内容判断
助言をせず、聞き足して、伝えてよいかを確かめたウェブアプリでの自動化に進む
助言や解決策を出した指示の書き方で直る。構成は有効
急ぐ話でも聞き取りを続けた言葉の一覧の網を先に作る
協力者から「電話より話しやすい」と返ってきた対象を広げる

3行目が出ることは珍しくありません。 だからこそ、AIの判断とは別に言葉の一覧を置きます。試す段階で一度見ておくと、その網がなぜ要るかが課の全員に伝わります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
AIが助言や解決策を出す助言しないことを指示の最初に置き、毎回の呼び出しに付ける
急ぐ話でも聞き取りを続ける言葉の一覧の網をAIの判断と別に置く
2回目以降の呼び出しで決まりが効かないsystem_instruction は呼び出しごとに指定し直す
会話がサーバーの側に55日残るstore=false を使い、履歴は自社で持つ
契約にない作業を拾えない明示書の業務の内容を要約せずに渡す
まとめの言い回しで話の重さが変わる本人の言葉を staff_words にそのまま残す
他人がURLを開いて答える合言葉の失効と、本人しか知らない項目の確認
未回答の人が放置される10日で未回答として一覧に出し、電話に切り替える
相手の名前を聞き出してしまう名前を聞かないことを指示に書く
苦情の記録を自動で作る台帳への記載はコーディネーターが行う
派遣先へ自動で伝わる派遣先への送信の経路を作らない
入職直後のスタッフにAIが最初に連絡する最初の1か月は人が直接連絡する

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、聞き取りの決まりが対話の途中で崩れることから起きます。決まりは毎回の呼び出しに付け、急ぐ話の網は別に置いて守ります。

下の2行も、同じくらい早く効いてきます。 話した内容が本人の知らないところで派遣先に届くと、次の月から誰も本当のことを書かなくなります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 派遣スタッフの呼び名、派遣先、契約の業務の内容、そして本人が書いた体調、職場の人間関係、働く時間の話です。

  1. 体調の話は特に慎重に扱う … 体調の話には病気やけがのことが含まれることがあります。見られる人を担当コーディネーターと課長に絞り、保管の期間を決めて消します
  2. 会話をサーバーの側に残さない … Interactions API は既定で会話を保存し、有料の枠で55日保持するとされています。store=false を使い、履歴は自社の管理の下に置きます
  3. 本人の同意の範囲を守る … flags_only を選んだ人の中身は、一覧にも派遣先にも出しません
  4. 話したことで不利な扱いをしない … 派遣元が講ずべき措置に関する指針は、苦情の申出を受けたことを理由とする不利益な取扱いをしてはならないとしています。聞き取りの内容を、評価や契約の更新の判断に使わないことを課の決まりにします
  5. AIに判断させない … 契約違反か、ハラスメントか、受診が要るかは、人が本人と話して判断します
  6. 対話の画面で、AIが聞いていることを示す … 最初の画面で、AIが聞き取ること、内容が担当者に渡ること、渡さない選択もできることを示します

誤りが起きた場合のリスクは、急ぐ話を見逃すことと、本人が望まない形で話が外へ出ることの2つです。 前者は言葉の一覧の網とAIの判断の二重で防ぎ、後者は派遣先への経路を作らないことと本人の確認で防ぎます。どちらも、AIの賢さではなく、聞き取りの決まりと経路の設計で守ります。

10まず何から始めるか

1週目:聞き取りの決まりを言葉にする

コーディネーター全員で、何を聞き、何を聞かないか、どの話でその場で止めるかを書き出します。あわせて、急ぐ話の言葉の一覧の最初の版を作ります。

2週目:自分たちで試す

第7章の指示を手元のAIサービスの画面に貼り、コーディネーター自身がスタッフ役になって答えます。助言を始めないか、急ぐ話で止まるかを最優先で見ます。

3週目:5名で試す

協力してくれるスタッフ5名に答えてもらい、電話で感想を聞きます。 話しにくかった質問、長すぎた聞き足しを直します。

4週目:ウェブアプリと一覧をつなぐ

本人専用のURL、本人確認、対話、まとめの一覧への書き出しまでを作ります。この時点では急ぐ話の通知を手作業の確認にし、毎日一覧を見ます。

2か月目: 担当1名分の60名に広げ、急ぐ話の通知と未回答の一覧を自動にします。3か月目以降: 全スタッフに広げ、先月のまとめの引き継ぎを足して、通知から電話までの時間を測ります。電話をかける相手が印の付いた人と未回答の人に絞られ、困りごとが更新の前に分かるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-06/最終更新:2026-10-06
確認した内容情報源確認日
Interactions API が2026年6月の時点で一般提供となり、新しいプロジェクトに推奨されていること。previous_interaction_id で会話を引き継げること。既定で保存され、有料の枠で55日、無料の枠で1日保持されること。store=false で保存しない設定にでき、その場合 previous_interaction_id が使えないこと。system_instruction がその呼び出しにだけ効き、毎回指定し直す必要があることGoogle AI for Developers: Interactions API2026-10-06
system_instruction でモデルのふるまいを設定できること。store=false で履歴を自分で持つ場合、思考やツールを使うときはモデルが生成したすべての段を保持して送り直す必要があることGoogle AI for Developers: Text generation2026-10-06
構造化出力が JSON Schema に沿った応答を返させる機能で、enum で値を決まった選択肢に限れること。値はアプリケーションで検証するよう求めていることGoogle AI for Developers: Structured outputs2026-10-06
ウェブアプリには doGet か doPost が要り、HtmlOutput か TextOutput を返すこと。「自分として実行」ではアクセスした人に関係なく所有者として動き、「アクセスしたユーザーとして実行」ではその人として動くことGoogle Apps Script: Web Apps2026-10-06
派遣元事業主が、派遣労働者の苦情の申出を受ける者、苦情の処理の方法、派遣先との連携の体制等を労働者派遣契約で定めること。派遣元管理台帳に、苦情の申出を受けた年月日、苦情の内容、処理の状況を都度記載すること。苦情の申出を受けたことを理由に不利益な取扱いをしてはならないこと(原文を取得して確認)厚生労働省: 派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針2026-10-06

苦情として受け付けるか、派遣先とどう話すかは、コーディネーターと派遣元責任者で決めてください。 本記事は公式の案内と指針の原文で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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