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研究開発部が社外からのサンプル提供の依頼を Make で受け、AI で用途・量・秘密保持契約の要否を整理して担当の研究者に割り振る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

社外から研究開発部に届くサンプル提供の依頼を、Make で受けてAIに読ませ、依頼の種類・依頼品・量・用途・仕向地をそろえます。秘密保持契約と輸出の確認が要るかを規則で決め、担当の研究者に割り振ります。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
IT・SaaS/商社/製造
対象部門
法務/研究開発
対象業務
分類・仕分け/問い合わせ対応
主な課題
問い合わせが多い/属人化している/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
分類
主な効果
対応スピード向上/属人化解消/機会損失防止
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
60h/月
AI導入後
20h/月
想定削減
67%
年間削減
480h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 自社サイトのフォームか、研究開発部の代表アドレスへのメールで依頼が届く
  2. 窓口が依頼を読み、何の品をどれだけ、何に使いたいのかを書き出す
  3. 依頼の文に書かれた品名から、製品マスタで品番と担当グループを探す
  4. 開発品なら、秘密保持契約の台帳で相手先との契約があるか、範囲と期限が合うかを確かめる
  5. 相手先が海外なら、輸出管理の担当に連絡して、送れるかの確認を頼む
  6. 担当グループのリーダーにメールで依頼を回し、受けるかどうかの返事を待つ
  7. 足りない情報があれば、依頼主に聞き返すメールを書く
  8. 受けると決まったら、受付の台帳に記録し、出荷の手配に回す
導入後(After)
  1. 自動フォームの送信、または代表アドレスへのメールの受信で Make のシナリオが動く
  2. 自動受付の台帳で同じ依頼が既にないかを確かめる
  3. 自動Claude API が依頼の文を読み、依頼の種類・用途の区分・依頼品の名前・量・仕向地・求める資料を JSON で返す
  4. 自動依頼品の名前で製品マスタと呼び名の表を引き、品番・担当グループ・上市品か開発品かを取る
  5. 自動相手先の名称で秘密保持契約の台帳を引き、有効な契約があるかを取る
  6. 自動規則で、秘密保持契約の要否・輸出の確認の要否・回す先を決める
  7. 自動担当グループのリーダーに依頼の要約をメールで送り、受付の台帳に記録する
  8. 自動足りない情報がある依頼は、依頼主への聞き返しの下書きを作る
  9. 人窓口が下書きと割り振りを確かめ、外れていれば直す
  10. 人秘密保持契約が要る依頼は法務部が、海外の依頼は輸出管理の担当が確かめる
  11. 人担当グループのリーダーが、受けるかどうかを決める
各工程の詳しい説明を読む
  1. 自社サイトのフォームか、研究開発部の代表アドレスへのメールで依頼が届く
  2. 窓口が依頼を読み、何の品をどれだけ、何に使いたいのかを書き出す
  3. 依頼の文に書かれた品名から、製品マスタで品番と担当グループを探す
  4. 開発品なら、秘密保持契約の台帳で相手先との契約があるか、範囲と期限が合うかを確かめる
  5. 相手先が海外なら、輸出管理の担当に連絡して、送れるかの確認を頼む
  6. 担当グループのリーダーにメールで依頼を回し、受けるかどうかの返事を待つ
  7. 足りない情報があれば、依頼主に聞き返すメールを書く
  8. 受けると決まったら、受付の台帳に記録し、出荷の手配に回す

(a)誰に回すかが窓口の記憶にある。 依頼の文の品名は、カタログの名前・論文で使った開発の呼び名・相手が勝手に付けた呼び名のどれかです。製品マスタを品名で引いても見つからず、「たぶんあの研究者の材料だ」という記憶で回しています。 外れると、受け取った研究者が別のグループへ回し直し、そこで2〜3日が過ぎます。

(b)秘密保持契約の確かめが漏れる。 開発品のサンプルには、相手先との秘密保持契約が前提です。台帳の確かめは手順4ですが、忙しい週には「前にも出したことがある相手だから」で省かれます。 契約の期限が切れていたことが、サンプルを出した後に分かることがあります。

(c)海外の依頼が後回しになる。 英文の依頼は読むのに時間がかかり、輸出管理への連絡も1手間増えるので、窓口の机の上で後に回されがちです。 返事が遅れて、相手が他社の材料で評価を始めてしまうこともあります。

(d)依頼の数が読めない。 学会の直後は依頼が倍になり、省かれるのはいつも手順4と手順5です。

  1. 【自動】 フォームの送信、または代表アドレスへのメールの受信で Make のシナリオが動く
  2. 【自動】 受付の台帳で同じ依頼が既にないかを確かめる
  3. 【自動】 Claude API が依頼の文を読み、依頼の種類・用途の区分・依頼品の名前・量・仕向地・求める資料を JSON で返す
  4. 【自動】 依頼品の名前で製品マスタと呼び名の表を引き、品番・担当グループ・上市品か開発品かを取る
  5. 【自動】 相手先の名称で秘密保持契約の台帳を引き、有効な契約があるかを取る
  6. 【自動】 規則で、秘密保持契約の要否・輸出の確認の要否・回す先を決める
  7. 【自動】 担当グループのリーダーに依頼の要約をメールで送り、受付の台帳に記録する
  8. 【自動】 足りない情報がある依頼は、依頼主への聞き返しの下書きを作る
  9. 【人】 窓口が下書きと割り振りを確かめ、外れていれば直す
  10. 【人】 秘密保持契約が要る依頼は法務部が、海外の依頼は輸出管理の担当が確かめる
  11. 【人】 担当グループのリーダーが、受けるかどうかを決める

9番目で窓口が見るのは、AIの読み取りではなく割り振りの結果です。 品番が引けた依頼は、リーダーへのメールの写しを流し見て終わります。手が要るのは、品番が引けなかった依頼と、聞き返しの下書きが出た依頼だけです。

6番目を規則にしているのは、自社の取り決めが変わるからです。 開発品のうちどれを秘密保持契約なしで出せるかは、研究開発部と法務部の取り決めで、品番ごとに製品マスタの列で持ちます。 AIの指示文を書き換えて対応するものではありません。

02今回想定するシステム構成

構成図
サンプル提供の依頼(自社サイトのフォーム/研究開発部の代表アドレス)
   ▼【トリガー】Webhooks:Custom webhook / Gmail:Watch emails
Make のシナリオ
   ├──▶ Google Sheets:Search Rows(受付の台帳で重複を確かめる)
   ├──▶ Claude API(Make an API Call):依頼の種類・用途・品・量・仕向地の読み取り
   ├──▶ Google Sheets:Search Rows(製品マスタ・呼び名の表・秘密保持契約の台帳)
   ├──▶ 規則(秘密保持契約の要否・輸出の確認の要否・回す先)
   ├──▶ Router
   │      ├ 輸出の確認が要る → 輸出管理の担当と窓口へ
   │      ├ 品番が引けない・対象外 → 窓口へ
   │      ├ 秘密保持契約が要る → 法務部と担当グループへ
   │      └ そのまま回せる → 担当グループへ
   └──▶ Google Sheets:Add a Row(受付の台帳)/Gmail:Create a draft email(聞き返し)
役割想定する製品代替候補
ワークフローMake(シナリオ。Webhooks、Gmail、Google Sheets、ルーター)Zapier、n8n、Power Automate
生成AIClaude API(Messages API、構造化出力)OpenAI API
保管Google スプレッドシート(製品マスタ・呼び名の表・秘密保持契約の台帳・受付の台帳)Airtable
メールGmail(研究開発部の代表アドレス)Microsoft Outlook

新しく足すのは、シナリオと、呼び名の表と受付の台帳のシートだけです。 製品マスタには「秘密保持契約なしで出せるか」と「輸出の確認の区分」の2列を足します。この構成が書き込むのは、受付の台帳、担当へのメール、聞き返しの下書きだけで、製品マスタと秘密保持契約の台帳には書き込みません。

入口のフォームは Webhooks で受けます。 Make の Webhooks は、外のサービスから送られたデータを受ける URL を作る仕組みです。公式のページでは、即時の Webhook のシナリオは既定で並列に動き、前の実行の終わりを待たないとされています。この構成では依頼どうしが枠を取り合うことはないので並列のままで構いませんが、同じ依頼がフォームとメールの両方から届いたときの重複は、受付の台帳で止めます。

読み取りは Claude API で行います。 Make の Anthropic Claude のアプリには Simple Text Prompt・Create a Prompt・Make an API Call などがあり、公式のページには構造化出力の記載がありません。 そこでこの構成では Make an API Call で Messages API を呼び、output_config.format に JSON スキーマを書きます。 Claude の公式ページでは、構造化出力は数値の minimum・maximum や文字列の長さの制約に対応せず、使うと400のエラーになるとされています。量の範囲の確かめはスキーマではなく、シナリオの側で行います。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

自社サイトの技術問い合わせフォームの送信と、研究開発部の代表アドレスへのメールの2つを起点にします。 フォームには「サンプルの依頼」の選択肢を足し、それを選んだ送信だけを Make の Custom webhook の URL に送ります。メールは Gmail の Watch emails で、「サンプル依頼」のラベルを見張ります。ラベルは Gmail のフィルタで、件名か本文に「サンプル」「試料」「sample」が含まれるものに付けます。

フォームの側は即時、メールの側は15分おきにします。 依頼は締め切りのある業務ではありませんが、学会の直後に届いた依頼に翌週返すか当日返すかで、相手が評価に使う材料が変わります。 15分おきでも、窓口が机に戻るのを待っていたいまよりずっと早く担当に届きます。

Webhook の待ち行列には上限があります。 公式のページでは、即時に処理されなかったデータは Webhook ごとの待ち行列にため、その上限は契約のクレジット1万ごとに667件、最大1万件で、超えた分は受け取らないとされています。受け取れる要求は10秒あたり300件までです。また、どのシナリオにもつながっていない Webhook は5日(120時間)を過ぎると無効になり、410を返すとされています。シナリオを作り直すときは、フォームの送り先の URL も同じ日に差し替えます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
依頼フォームの項目(所属・氏名・メールアドレス・国・依頼品・量・用途・希望の時期・自由記述)/メールの件名・本文(返信の引用を除いたもの)・送信元・受信日時Webhook/Gmail
製品マスタ品番、品名、担当グループ、上市品か開発品か、秘密保持契約なしで出せるか、輸出の確認の区分、1回に出せる量の目安製品マスタのシート
呼び名の表開発の呼び名・論文での呼び名・旧品名と、品番の対応呼び名の表のシート
秘密保持契約の台帳相手先の名称と別名、契約の範囲(対象の品番かグループ)、期限、状態秘密保持契約の台帳のシート(法務部が更新)
受付の台帳これまでの依頼、相手先、割り振り先、状態受付の台帳のシート

質を決めるのは、呼び名の表です。 第3章の(a)のとおり、依頼の品名はカタログの名前とは限りません。論文や学会で使った開発の呼び名を研究者から集め、品番と1対1で並べます。 この表が薄いと、AIがどれだけ正確に品名を写しても、品番は引けません。

秘密保持契約の台帳は読むだけです。 法務部が持つ台帳を、研究開発部の側で写して持ちません。写しを持つと、期限を延ばした契約が写しの側で切れたままになります。 シナリオの接続には、台帳のシートを読むだけの権限を与えます。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこからどうやって
フォームの依頼自社サイトのフォームCustom webhook(項目を JSON で受ける)
メールの依頼GmailWatch emails(ラベル「サンプル依頼」)
重複の有無受付の台帳Search Rows(送信元のアドレスと依頼品の名前、直近14日)
品番と区分製品マスタ・呼び名の表Search Rows(品名で引き、無ければ呼び名で引く)
秘密保持契約秘密保持契約の台帳Search Rows(相手先の名称と別名)

品番の引き方は、品名→呼び名の順です。 品名で引けたらそこで止め、引けなければ呼び名の表を引きます。どちらでも引けない依頼は、AIに品番を当てさせずに窓口へ回します。 「似た名前の品番」を候補に出させると、窓口がその候補を正解と思い込みやすいからです。

相手先の名称は、表記がそろいません。 「〇〇大学大学院工学研究科」「〇〇大 △△研究室」「〇〇 University」が同じ相手です。秘密保持契約の台帳には別名の列を持たせ、名称と別名のどちらかに一致すれば当たりとします。 大学の場合は、契約が大学と結ばれているのか研究室の教員個人と結ばれているのかで範囲が違うので、当たった契約の範囲の列をそのまま担当に見せます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 重複の確認 … 受付の台帳を送信元と依頼品の名前で引き、14日以内に同じ依頼があれば止めて窓口に知らせます
  2. 返信の引用を落とす … メールの返信に付いてくる前のやり取りを落とし、依頼主が書いた部分だけにします
  3. 署名を分ける … 署名の部分から所属と国を取り、本文とは別の欄にします
  4. AIに渡す範囲を絞る … 電話番号と担当者の個人の連絡先は渡しません。氏名は聞き返しの宛名にだけ使い、分類の呼び出しには所属だけを渡します
  5. 言語の印 … 本文が日本語か英語かそれ以外かを付けます。英語以外は窓口へ回す印にします

2番目を落とすと、こちらが前に送った文面を依頼として読みます。 前の返信に「開発品は秘密保持契約の締結後にお送りします」と書いてあると、引用を残したまま渡せば、依頼主が秘密保持契約を求めているように見えます。

4番目で氏名を渡さないのは、分類に要らないからです。 依頼の種類と用途は所属と依頼の文で決まります。要らないものは外のサービスに渡さない、を最初の版から守ります。

Step5

AIに処理させる

させるのは、依頼の文を項目に分けることと、依頼の種類と用途を決まった区分に分類することの2つです。

項目させること判断できないときの扱い
依頼の種類sample_eval(評価用のサンプル)/joint_research(共同研究の打診)/purchase(購入・量産の相談)/info_only(資料だけの依頼)/out_of_scope(サンプルの依頼でない)迷えば unclear
用途の区分academic(学術研究)/product_dev(製品開発での評価)/resale(転売・再配布)/not_stated書かれていなければ not_stated
依頼品の名前依頼の文に書かれた名前を、書かれたとおりに写す。複数あればすべて品番に直さない
量数値と単位を、書かれたとおりに写す書かれていなければ null
仕向地送り先の国を、依頼の文か署名から写す書かれていなければ null
求める資料SDS・技術資料・組成・データシートのうち、依頼にあるもの文のとおりに写す
希望の時期日付か「〇月中」など、書かれたとおり書かれていなければ null

依頼の種類と用途の区分がこの構成の分類で、ai_function の中心です。 依頼の種類で回す先が変わり、用途の区分で担当のリーダーが見るべき点が変わります。resale は、受けない理由ではなく、担当が必ず確かめる印です。 商社からの依頼は、商社の先の顧客が評価する前提であることが多く、それ自体は普通の依頼です。

依頼品の名前は、品番に直させません。 直させると、呼び名の表に無い名前を、AIが知っている似た名前の品番に寄せます。写すのはAI、引くのは表、という分担を崩さないことが、誤った研究者に回さないための一番の守りです。

させないこと理由
秘密保持契約が要るかを決める製品マスタの区分と台帳から規則で決める
輸出の許可が要るかを決める該非判定は輸出管理の担当が行う
サンプルを出すかを決める担当グループのリーダーが決める
品番を推し量る呼び名の表で引く。引けなければ窓口へ
量を換算する「500g」と「0.5kg」をそろえるのはシナリオの側
Step6

指示内容を固定する

あなたは素材メーカーの研究開発部で、社外から届くサンプル提供の依頼を
整理する担当です。下に渡す依頼の文を読み、項目に分けて分類してください。
依頼を受けるかどうか、契約が要るかどうかは決めないでください。

【すること】
1. request_type を次から1つ選ぶ。
   sample_eval / joint_research / purchase / info_only / out_of_scope / unclear
2. purpose を次から1つ選ぶ。
   academic / product_dev / resale / not_stated
3. 依頼品の名前を、依頼の文に書かれたとおりに items に写す。
   1つの依頼に複数の品があれば、すべて並べる。
4. 品ごとに、量の数値と単位を書かれたとおりに写す。
5. 送り先の国を destination_country に写す。署名の所属の国も手がかりにしてよい。
6. SDS・技術資料・組成・データシートなど、求めている資料を docs_requested に写す。
7. 希望の時期を書かれたとおりに写す。
8. 判断に要る情報で書かれていないものを missing に並べる。
9. 区分を選んだ根拠の文を evidence に、依頼の文からそのまま写す。

【厳守事項】
- 依頼品の名前を品番に直さない。似た名前の品を推し量らない。
- 量が書かれていなければ null にする。「少量」「評価に足りる量」を数値にしない。
- 単位を換算しない。「0.5kg」は 0.5 と kg のまま写す。
- 国が書かれておらず、署名からも分からなければ null にする。
  メールアドレスのドメインから国を推し量らない。
- 「秘密保持契約が必要」「輸出の許可が必要」などの判断を書かない。
- 用途が書かれていなければ not_stated にする。所属から用途を推し量らない。
- サンプルの依頼でない文(売り込み・求人・取材など)は out_of_scope にし、
  ほかの項目は空にする。

【依頼主の所属】{organization}
【依頼の文】{request_text}
【フォームの項目(ある場合)】{form_fields}

「メールアドレスのドメインから国を推し量らない」を書くのは、推し量るからです。 海外の会社の日本法人や、日本の大学の留学生の個人のアドレスなど、ドメインと送り先が違う例はいくらでもあります。仕向地が null の依頼は、輸出の確認が要るかどうかが決まらない依頼として扱い、聞き返しの対象にします。 推し量った国で「国内」と決めると、確認が要る依頼が確認の流れから落ちます。

「所属から用途を推し量らない」も同じです。 大学からの依頼でも、企業との共同研究の評価に使う場合があります。書かれていない用途は、担当のリーダーが依頼主に聞くべきことです。

Step7

出力形式を固定する

次の形の JSON を返させます。

{
  "request_id": "",
  "request_type": "sample_eval",
  "purpose": "product_dev",
  "items": [
    { "name_as_written": "XX-200", "quantity": 500, "unit": "g" }
  ],
  "destination_country": "JP",
  "docs_requested": ["SDS", "technical_data"],
  "desired_timing": "11月中",
  "missing": ["評価の条件"],
  "evidence": [
    { "field": "purpose", "quote": "弊社の新製品の塗膜で評価したく" }
  ]
}

1つ目の理由は、AIの分類と規則の結論を別の層に置けることです。 JSON はAIが埋め、秘密保持契約の要否と回す先はシナリオが規則で決めます。規則は次のとおりです。

判定条件
輸出の確認が要るdestination_country が JP 以外、または null。あるいは製品マスタの輸出の確認の区分が「要」
窓口へrequest_type が unclear/out_of_scope、品番が引けない、本文が英語以外
秘密保持契約が要る製品マスタで開発品かつ「秘密保持契約なしで出せる」が否、または docs_requested に組成。そのうえで台帳に有効な契約が無い
そのまま回せる上のどれにも当たらない

2つ目は、品ごとに判定できることです。 1つの依頼に上市品と開発品が混ざることがあります。items を配列にしておけば、品ごとに製品マスタを引き、1品でも秘密保持契約が要れば依頼全体を法務部に回せます。

3つ目は、evidence で窓口の確認が速くなることです。 用途を product_dev と決めた根拠の文が並んでいれば、依頼の全文を読み直さずに分類の当否を確かめられます。 公式のページでは、構造化出力は文字列の enum の大文字・小文字までは保証しないとされているので、ルーターの条件で比べるときは小文字にそろえてから比べます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
技術問い合わせフォームWebhooks の Custom webhook依頼の項目を受ける
GmailWatch emails/Send an email/Create a draft email依頼を受け、担当にメールを送り、聞き返しの下書きを置く
製品マスタ・呼び名の表Google Sheets の Search Rows品番・担当グループ・区分を引く
秘密保持契約の台帳Google Sheets の Search Rows有効な契約と範囲を引く(読むだけ)
受付の台帳Google Sheets の Search Rows/Add a Row重複を確かめ、依頼を記録する
Claude APIAnthropic Claude の Make an API Call依頼の分類と項目の読み取り

ルーターのルートは、輸出の確認→窓口へ→秘密保持契約→そのまま回す→フォールバックの順に並べます。 公式のページでは、ルートは同時ではなく1本ずつ順に処理され、どの条件にも当たらないデータはフォールバックのルートが処理するとされています。輸出の確認を先頭に置くのは、海外の依頼が「そのまま回す」ルートに流れないようにするためです。 各ルートの条件は互いに重ならないように書き、フォールバックは窓口へのメールにします。

担当グループのリーダーへのメールは、要約と判定の理由だけにします。 依頼の原文は受付の台帳の行へのリンクで見せます。メールの本文に依頼主の連絡先を写さないのは、転送されて広がるのを防ぐためです。

聞き返しの下書きは、依頼主にそのまま送りません。 Gmail の下書きとして代表アドレスに置き、窓口が確かめてから送ります。

Step9

人が確認する

窓口が毎日見るのは、窓口へ回った依頼と、聞き返しの下書きです。

  1. 品番が引けなかった依頼を見る … 依頼品の名前を研究者に聞き、分かったら呼び名の表に1行足します。 次から同じ名前は自動で引けます
  2. 聞き返しの下書きを確かめる … missing が依頼の文に合っているかを見ます。量と仕向地の聞き返しは必ず残します
  3. 分類を流し見る … そのまま回った依頼の request_type と evidence を一覧で見て、外れていれば直し、担当に知らせます
  4. 送る … 下書きを Gmail の画面から送り、受付の台帳の状態を書き換えます

秘密保持契約が要る依頼は、法務部が台帳と範囲を確かめます。 契約が無ければ締結の手続きに入り、締結までサンプルの出荷の手配を止めておく印を受付の台帳に付けます。 海外の依頼は、輸出管理の担当が品番と仕向地で確認し、結果を受付の台帳に書きます。どちらも、確認が終わるまで担当のリーダーは出荷の手配に進めません。

Step10

例外に対処する

起きること対応
依頼品の名前で品番が引けない窓口へ。研究者に聞いて呼び名の表に足す
1つの依頼に複数の品がある品ごとに製品マスタを引き、いちばん厳しい判定に依頼全体を合わせる
仕向地が書かれていない輸出の確認が要る扱いにし、聞き返しの下書きで送り先の国を尋ねる
同じ依頼がフォームとメールで届く受付の台帳で14日以内の同じ送信元・依頼品を引き、後のものを止める
秘密保持契約が台帳にあるが期限切れ契約なしとして法務部へ回し、期限切れであることを添える
英語以外の言語の依頼窓口へ回し、英語での返信の下書きを窓口が作る
stop_reason が refusal か max_tokensJSON を読まずに窓口へ回す
Claude API が応答しない受付の台帳に「未処理」と書き、ラベルを残して次の実行で拾い直す

上の3行が大半を占めます。 どれもAIの読み違いではなく、呼び名の表と依頼のフォームの欄の作り方の問題です。 仕向地の聞き返しが多いなら、フォームに国の欄を必須で足すほうが早く効きます。

Step11

記録を残す

  • 依頼の元の項目とメールの本文(引用を落とす前のもの)
  • AIに渡した文と、返ってきた JSON の全文、stop_reason
  • 引いた製品マスタの行と秘密保持契約の台帳の行(そのときの値)
  • 規則が出した判定と、回した先
  • 窓口・法務部・輸出管理の担当が直した記録と、その理由
  • 依頼主への返信の日時と、担当のリーダーが受けるかを決めた日時

3つ目で台帳の値を写して残すのは、台帳が後から変わるからです。 秘密保持契約の期限を延ばした後に「なぜあのとき法務に回ったのか」を聞かれても、当時の期限が残っていれば答えられます。

最後の行は、窓口の負担が偏っていないかを見る材料になります。 届いてから担当が決めるまでの日数を、担当グループごとに並べます。

04実装レベルの3段階

最小構成:依頼の文を手でAIの画面に貼り、項目と区分を出させる / 依頼の読み取りと分類
半自動化:上記+Make でフォームとメールを受け、Claude API の結果と製品マスタの照合を受付の台帳に書く / 読み取り・品番の照合・記録
本格構成:上記+秘密保持契約の台帳の照合、規則による回す先の決定、担当へのメールと聞き返しの下書きまで出す / 依頼の整理から割り振りまで

最小構成は確かめるための段階です。 半自動化で、1件30分が18分程度になります。 読み取りと品番の照合は自動になりますが、秘密保持契約の確かめと担当へのメールが手で残ります。本格構成で10分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、台帳を開いて相手先を探す作業と、担当ごとのメールを書く作業が、1件ずつの手作業だからです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の受付の台帳を1か月見ると、品番が引けない呼び名と、台帳で別名が足りない相手先が先に分かります。そこを埋めてから規則の割り振りに進むほうが、誤った研究者に回る件数が減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
120 件
1件あたり現在時間
30 分
1件あたり導入後時間
10 分
現在  120件 × 30分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 120件 × 10分 ÷ 60 = 20 時間/月
月間削減時間
40h
削減率
67%
年間削減時間
480h
年間金額換算(時間単価4,000円)
192万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 樹脂添加剤・塗料・電子材料・機能性化学品など、上市品と開発品の両方を持ち、大学の研究室・顧客の開発部門・商社・海外の会社から、Webのフォームとメールで月に百件前後のサンプルの依頼を受けている素材・部材メーカーの研究開発部。依頼の窓口が数名に偏り、どの依頼を誰に回すか、秘密保持契約が要るかを窓口の記憶で決めている場合。製品マスタと秘密保持契約の台帳をスプレッドシートで持てる場合。
向いていない
  1. サンプルの依頼が月に十数件で、窓口1名が依頼主と電話でやり取りしながら回せている場合。依頼の大半が営業経由で届き、研究開発部に直接の依頼がほとんど無い場合。製品マスタに上市品か開発品かの区分が無く、整える見込みも無い場合。なお、秘密保持契約の条項の判断、輸出の許可の要否の判定(該非判定)、サンプルを出すかどうかの最終の判断は、法務・輸出管理の担当と研究開発部の責任者が行うもので、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月届いたサンプルの依頼から30件を選ぶ(大学・顧客・商社・海外が混ざるように選び、開発の呼び名で書かれた依頼を必ず入れる)
  2. その30件について、当時どの研究者に回したか、秘密保持契約を確かめたか、輸出の確認をしたかを受付の記録から書き出す
  3. 依頼の文を1件ずつ手元のAIサービスに貼り付け、第7章の指示文で項目と区分を出させる
  4. 出てきた依頼品の名前で、製品マスタと呼び名の表を手で引く
  5. 当時の割り振りと突き合わせる

30件は必ずやってください。 シナリオを組む前に、「依頼の文から品と量と仕向地が取れるか」と「取れた名前で品番が引けるか」を別々に確かめます。

出てきた内容判断
当時と同じ担当に引けたシナリオの作成に進む
名前は正しく写せたが品番が引けない呼び名の表が先。 AIの問題ではない
量や仕向地を推し量って埋めた指示の書き方で直る。構成は有効

2行目が多く出るのは普通です。 呼び名の表は最初は空なので、30件で見つかった呼び名を研究者に確かめて表に入れるところから始めます。 これだけでも、窓口の1名に頼っていた知識が表に移ります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
AIが依頼品の名前を似た品番に寄せる品番に直させない。 名前を写させ、表で引く
呼び名の表が空で品番が引けない最初の30件で研究者に聞き、表に入れる
仕向地をメールアドレスから推し量る指示で禁じる。null は輸出の確認が要る扱いにする
海外の依頼がそのまま回るルーターの先頭に輸出の確認のルートを置く
秘密保持契約の写しが古い法務部の台帳を読むだけにし、写しを持たない
相手先の名称が台帳と一致しない台帳に別名の列を持たせる
1件に上市品と開発品が混ざる品ごとに判定し、いちばん厳しい判定に合わせる
構造化出力に量の範囲を書いて400になる範囲の確かめはシナリオの側で行う
聞き返しが自動で送られる下書きまでにする。 送るのは窓口

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも「品番が分かる」という同じ一点から出ています。写すのはAI、引くのは表、を守れるかで、誤った研究者に回るかどうかが決まります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 依頼主の所属・氏名・連絡先、依頼品の品番と量、用途の記述、そして開発品の名前と、秘密保持契約の相手先と範囲です。

  1. 開発品の情報を外に出しすぎない … 不正競争防止法は、秘密として管理されている技術上の情報で、公然と知られていないものを営業秘密としています。AIに渡すのは依頼の文と所属だけで、製品マスタの組成や開発の段階の情報は渡しません。 照合はシナリオの側で行います
  2. 秘密保持契約の台帳をAIに渡さない … 相手先と範囲がまとまった一覧で、それ自体が社外に出せない情報です。照合は Google Sheets の Search Rows で行い、結果の「有効/無効」だけを規則に使います
  3. 輸出の判断を代替しない … 外為法は、政令で定める地域を仕向地とする特定の種類の貨物の輸出に、経済産業大臣の許可を求めています。サンプルも貨物です。 この構成が出すのは「確認が要る依頼が来た」という印までで、許可が要るかの判定は輸出管理の担当が行います
  4. 依頼主の個人情報を広げない … 担当へのメールに連絡先を写さず、受付の台帳の行で見せます。台帳の閲覧の範囲は、研究開発部の窓口と担当のリーダーに限ります
  5. 聞き返しを自動で送らない … 依頼主は社外の研究者や顧客です。誤った聞き返しは、そのまま会社の対応として残ります

誤りが起きた場合のリスクは、確認の要る依頼が確認なしに回ることと、受けられる依頼が窓口で止まることの2つです。 前者は仕向地や品番を推し量ったときに起き、後者は呼び名の表が薄いときに起きます。前者は設計で防ぎ、後者は表を育てて減らします。

10まず何から始めるか

1週目:呼び名の表を作り始める

研究開発部の各グループに、論文・学会・展示会で使った開発の呼び名と、旧品名を出してもらいます。 品番と1対1で並べ、まずは依頼の多い上位30品番から埋めます。

2週目:30件で試す

先月の依頼から30件を選び、手元のAIサービスで項目と区分を出させます。当時の割り振りと突き合わせ、仕向地と量を推し量っていないかを最優先で見ます。

3週目:法務部・輸出管理と規則を決める

製品マスタに「秘密保持契約なしで出せるか」と「輸出の確認の区分」の2列を足し、品番ごとの値を法務部・輸出管理の担当と決めます。 あわせて、秘密保持契約の台帳に別名の列を足してもらいます。

4週目:フォームとメールから受付の台帳までをつなぐ

Make で Custom webhook と Watch emails を作り、Claude API の結果と製品マスタの照合を受付の台帳に書くところまで作ります。この時点では担当へのメールを送らず、窓口が台帳を見て手で回します。

2か月目: 秘密保持契約の台帳の照合とルーターを足し、担当へのメールを自動にします。窓口へ回った件数と、その理由を毎週数えます。3か月目以降: 聞き返しの下書きを足し、1件30分が何分になったかを実測します。呼び名の表で引けない依頼が月に数件まで減り、窓口の1名が休んでも依頼が止まらなくなった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-28/最終更新:2026-10-28
確認した内容情報源確認日
Custom webhook が外からデータを受ける URL を作ること。即時の Webhook のシナリオが既定で並列に動き、Process data in order で順に処理できること。待ち行列が契約のクレジット1万ごとに667件・最大1万件で、超えた分を受け取らないこと。10秒あたり300件まで受け付けること。シナリオにつながらない Webhook が5日(120時間)で無効になり410を返すことMake Help Center: Webhooks2026-10-28
ルーターのルートが1本ずつ順に処理されること。フィルタで条件を付けられること。フォールバックのルートが他のルートの条件に当たらないデータを処理することMake Help Center: Router2026-10-28
Anthropic Claude のアプリに Simple Text Prompt・Create a Prompt・Make an API Call などのモジュールがあり、API キーで接続すること。ページに構造化出力の記載が無いことMake Apps: Anthropic Claude2026-10-28
Google Sheets のモジュールに Search Rows・Add a Row・Update a Row などがあることMake Apps: Google Sheets2026-10-28
Gmail のモジュールに Watch emails・Send an email・Create a draft email などがあることMake Apps: Gmail2026-10-28
構造化出力を output_config.format で指定すること。minimum・maximum・minLength・maxLength などに対応せず400になること。enum の大文字・小文字を保証しないこと。refusal・max_tokens で出力がスキーマに合わない場合があることClaude Docs: Structured outputs2026-10-28
外為法第48条が、政令で定める地域を仕向地とする特定の種類の貨物の輸出に経済産業大臣の許可を求めていることe-Gov 法令API: 外国為替及び外国貿易法2026-10-28
不正競争防止法第2条第6項が、秘密として管理されている技術上又は営業上の情報で公然と知られていないものを営業秘密と定めていることe-Gov 法令API: 不正競争防止法2026-10-28

秘密保持契約の要否と輸出の許可の要否は、法務部と輸出管理の担当で決めてください。 本記事は公式のページと法令で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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