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社員から人事への給与・休暇・手続き・証明書の問い合わせをフォームで受け、種類と急ぎ度で分けて担当者に振り分ける

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

社員から人事への問い合わせを社内のフォームで受け、文面から種類と急ぎ度を分けて担当者に振り分けます。受付の台帳に記録し、担当者には Slack で知らせます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
IT・SaaS/小売/製造
対象部門
人事
対象業務
分類・仕分け/問い合わせ対応
主な課題
問い合わせが多い/属人化している/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
分類
主な効果
対応スピード向上/属人化解消/工数削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
50h/月
AI導入後
10h/月
想定削減
80%
年間削減
480h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 社員が、共有のメールアドレス・Slack のチャネル・人事の担当への直接のメッセージのいずれかで問い合わせる
  2. 受付の担当(その日の当番)が、メールとチャネルを開いて新しい問い合わせを読む
  3. 種類を判断し、給与・社会保険・証明書・福利厚生のどの担当に回すかを決める
  4. 本文に期限が書かれていれば、急ぐものとして印を付ける
  5. 台帳のスプレッドシートに、受付日・社員・種類・担当・期限を書く
  6. 担当者に Slack で「この件をお願いします」と転送する
  7. 担当者が答え、台帳を「完了」にする
導入後(After)
  1. 人社員が、人事の問い合わせのフォーム(Google フォーム)に、社員番号・問い合わせの内容・期限があればその日付を書いて送る
  2. 自動フォームの回答を起点に Zapier の Zap が動く
  3. 自動フォームの最初の選択肢が「相談窓口に相談したい」なら、AI に通さず、決められた担当者だけに知らせて終わる
  4. 自動それ以外は、AI が問い合わせの文面から種類を選び、期限の日付と急ぎの言葉を写す
  5. 自動種類・期限の日付・急ぎの言葉から、規則で急ぎ度を決める
  6. 自動受付の台帳(Zapier Tables)に1件の記録を作る
  7. 自動種類ごとに担当者を決め、Slack で担当者に知らせる。急ぎ度が高いものは人事の受付のチャネルにも出す
  8. 自動種類が「その他」か、2つの担当にまたがるものは、当番の担当に回す
  9. 人担当者が問い合わせを読み、種類と急ぎ度が合っていれば答える。違っていれば台帳で直して回し直す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 社員が、共有のメールアドレス・Slack のチャネル・人事の担当への直接のメッセージのいずれかで問い合わせる
  2. 受付の担当(その日の当番)が、メールとチャネルを開いて新しい問い合わせを読む
  3. 種類を判断し、給与・社会保険・証明書・福利厚生のどの担当に回すかを決める
  4. 本文に期限が書かれていれば、急ぐものとして印を付ける
  5. 台帳のスプレッドシートに、受付日・社員・種類・担当・期限を書く
  6. 担当者に Slack で「この件をお願いします」と転送する
  7. 担当者が答え、台帳を「完了」にする

(a)読んで回すだけで時間がかかる。 1件の判断は難しくありませんが、読む・決める・書く・転送するの4つを1件ずつ行います。 月600件では、当番の担当の1日の大半が受付に消える日があります。

(b)担当が決まらないものが止まる。 「育休から戻るときの給与と社会保険の手続き」のように、2つの担当にまたがる問い合わせは、どちらに回すかで当番が迷い、台帳に「確認中」のまま残ります。

(c)期限を見落とす。 「来週中に銀行に出したいので」のように、期限が日付でなく書かれていると、4番目の印が付きません。証明書の依頼が通常の順番で処理され、間に合わなくなります。

(d)直接のメッセージが台帳に載らない。 人事の担当に直接届いた問い合わせは、受付を通らず、台帳に載りません。 担当が休むと、その問い合わせは誰の目にも見えなくなります。

(e)相談がほかの問い合わせに混ざる。 共有のメールアドレスには、手続きの問い合わせに混じって、上司との関係の悩みや体調の相談が届くことがあります。受付の当番が最初に読むので、相談の窓口の担当より先に、当番がその内容を知ることになります。

  1. 【人】 社員が、人事の問い合わせのフォーム(Google フォーム)に、社員番号・問い合わせの内容・期限があればその日付を書いて送る
  2. 【自動】 フォームの回答を起点に Zapier の Zap が動く
  3. 【自動】 フォームの最初の選択肢が「相談窓口に相談したい」なら、AI に通さず、決められた担当者だけに知らせて終わる
  4. 【自動】 それ以外は、AI が問い合わせの文面から種類を選び、期限の日付と急ぎの言葉を写す
  5. 【自動】 種類・期限の日付・急ぎの言葉から、規則で急ぎ度を決める
  6. 【自動】 受付の台帳(Zapier Tables)に1件の記録を作る
  7. 【自動】 種類ごとに担当者を決め、Slack で担当者に知らせる。急ぎ度が高いものは人事の受付のチャネルにも出す
  8. 【自動】 種類が「その他」か、2つの担当にまたがるものは、当番の担当に回す
  9. 【人】 担当者が問い合わせを読み、種類と急ぎ度が合っていれば答える。違っていれば台帳で直して回し直す

9番目で、人は全件の種類を確かめ直しません。 担当者は自分に届いた問い合わせを読むので、違う種類のものが届けば、読んだ瞬間に気づきます。 そのときだけ台帳で直します。人の確認が「条件付き」なのは、このためです。

3番目を AI の前に置くのは、読む人を絞るためです。 ハラスメントや心身の不調の相談は、AI にも、受付の当番にも、台帳を見られる人にも見せません。

02今回想定するシステム構成

構成図
人事の問い合わせのフォーム(Google フォーム)
   │  回答できる人を社内のドメインに限り、メールアドレスを集める
   ▼【トリガー】Google Forms:New Form Response
Zapier の Zap
   ├──▶ Paths ①:最初の選択肢
   │      ├ 相談窓口に相談したい → Slack:Send Direct Message(決められた担当者だけ)
   │      └ 人事への問い合わせ → 続きへ
   ├──▶ AI by Zapier:種類・期限の日付・急ぎの言葉
   ├──▶ Zapier Tables:Create Record(受付の台帳)
   ├──▶ Paths ②:種類と急ぎ度で分岐
   │      ├ 給与・勤怠 → 給与の担当へ Direct Message
   │      ├ 社会保険・手続き → 社会保険の担当へ
   │      ├ 証明書・入退社 → 証明書の担当へ
   │      ├ 福利厚生 → 福利厚生の担当へ
   │      └ フォールバック(その他・またがる) → 当番へ
   └──▶ Slack:Send Private Channel Message(急ぎ度が高いものだけ)
役割想定する製品代替候補
ワークフローZapier(Paths、Zapier Tables)Make、n8n、Power Automate
生成AIAI by ZapierChatGPT(OpenAI)、Claude、Gemini
受付Google フォームMicrosoft Forms
通知SlackMicrosoft Teams

新しく足すのは、フォームと Zap と受付の台帳です。 共有のメールアドレスと Slack のチャネルは残し、「問い合わせはフォームから」と社内に案内します。 メールで届いたものは、受付の当番がフォームに代わりに入れます。

入口は Google Forms の New Form Response です。 Zapier の Google Forms の連携には、新しい回答が届いたときに動く New Form Response と、回答が追加または変更されたときに動く New or Updated Form Response があります。回答の後からの修正で二重に振り分けないよう、新しい回答だけで動かします。

フォームは、回答できる人を社内に限ります。 Google のヘルプでは、公開の前に回答できる人をドメインや信頼できる相手、グループに限れ、メールアドレスを集める設定は「回答」の設定で有効にするとされています。誰からの問い合わせかを、本人が書く名前ではなく、メールアドレスで確かめます。

分類は AI by Zapier で行います。 返してほしい項目を名前・型・説明・必須かどうかで決めておくと、その形で返します。Professional・Team・Enterprise のプランで使え、モデルは Standard(1倍)、Advanced(3倍)、Premium(5倍。新しいステップの既定)から選ぶか、自前のキーを使えます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

フォームの回答が届いたときに1件ずつ動かします。 Google Forms の New Form Response を使い、フォームを選びます。1日に1回まとめて振り分ける形にはしません。 給与の支給日の前後は、その日のうちに答えるべき問い合わせが入ります。

入口をフォームに寄せることが、この構成の前提です。 メール・チャネル・直接のメッセージに散らばったままでは、AI がどれだけ正しく分けても、台帳に載らない問い合わせが残ります。 社内の案内で「人事への問い合わせはこのフォームから」と決め、Slack のチャネルの説明にもフォームのリンクを置きます。

フォームに来なかった問い合わせは、当番がフォームに入れ直します。 そのとき、フォームの「代理で入力」の選択肢を選び、元の社員のメールアドレスを書きます。代理の入力も同じ Zap を通るので、台帳と振り分けが1つにまとまります。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
回答者のメールアドレスフォームが集めたアドレスGoogle フォームの回答
問い合わせの区分「人事への問い合わせ」か「相談窓口に相談したい」かフォームの最初の選択肢
社員番号本人が書くフォームの回答
問い合わせの内容自由記述フォームの回答
期限の日付あれば本人が日付で選ぶ(任意)フォームの回答
担当者の一覧種類ごとの担当者と Slack のアカウント、当番の順Zap の中に固定で持つ

期限の日付をフォームの項目にしておくのが、急ぎ度を安定させる一番の方法です。 日付の欄があれば、多くの社員はそこに書きます。AI が本文から期限を拾うのは、欄が空で本文に書かれていたときの補いです。

フォームの選択肢で種類を選ばせない理由もあります。 社員は自分の問い合わせが「社会保険」なのか「手続き」なのかを知りません。選ばせると、間違った種類が入り、それを信じて回すことになります。 種類は人事の側の言葉なので、AI に文面から選ばせます。

入れないもの: 給与の明細や源泉徴収票の画像。フォームにファイルの欄を置きません。 添付が要る問い合わせは、担当者が受け取ったあとで、決められた方法で受け取ります。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこからどの操作で
フォームの回答Google フォームNew Form Response のトリガー
種類・期限・急ぎの言葉問い合わせの内容AI by Zapier の出力項目
受付の番号受付の台帳Zapier Tables の Create Record
担当者Zap の中の担当者の一覧Paths の分岐ごとに固定

担当者は、Paths の分岐ごとに固定で書きます。 種類ごとの担当は毎月は変わらないので、表を引く段を置くより単純です。担当が変わったら、Zap の該当の分岐の送り先を直します。

担当者に知らせるのは、Slack の Send Direct Message です。 本文には受付の番号、種類、急ぎ度、期限、問い合わせの内容の最初の数行を入れ、全文は台帳で読むようにします。

【人事の問い合わせ】受付 HR-20261014-031
種類:証明書・入退社(certificate)
急ぎ度:高(期限の記載あり)
期限(本人の記載のまま):10月20日に銀行へ提出
社員番号:E-04512
内容(先頭):住宅ローンの審査のため、在職証明書を1通……
→ 台帳で全文を確認し、状態を「対応中」にしてください

期限は「本人の記載のまま」と書き添えます。 担当者が、システムが計算した日付だと誤解しないためです。フォームの日付の欄に入ったものは、そのまま日付で出します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 相談の窓口を分ける … 最初の選択肢が「相談窓口に相談したい」なら、Paths ①で決められた担当者への Direct Message だけを送り、AI にも台帳にも渡しません
  2. 空の内容を止める … 問い合わせの内容が空、または数文字なら、当番に回します
  3. 回答者のアドレスを確かめる … 社内のドメインのアドレスでなければ止めます。フォームの設定で限っていても、設定の変更に気づかないことがあるためです
  4. 社員番号の形を確かめる … 桁数が決まった形でなければ、台帳に「社員番号の確認」と残します
  5. 長すぎる内容を切る … 一定の文字数を超えるものは、先頭から決めた文字数までを AI に渡し、全文は台帳に残します

1番目が、この構成でいちばん大事な分かれ目です。 ハラスメントや心身の不調の相談を、ほかの問い合わせと同じ流れに乗せると、受付の当番と台帳を見られる人全員がその内容を読めます。 相談した社員にとって、それは相談しなかったことより悪い結果です。

ただし、最初の選択肢を「人事への問い合わせ」にしたまま相談を書く社員もいます。 その場合に備えて、AI の種類に「相談窓口に回すべき内容」を置き、当たったら台帳に内容を残さず、決められた担当者へ回します(後述)。

Step5

AIに処理させる

させること返す項目決め方
種類を1つ選ぶcategory決められた7つから1つ。迷ったら other
2つの担当にまたがるかmulti_owner2つ以上の種類の手続きが要る内容なら true
期限の日付を写すdeadline_text本文に書かれた期限を、書かれたとおりに写す。無ければ空
急ぎの言葉の有無urgent_words決めた言葉(至急・本日中・明日まで・支給されていない など)があれば、その言葉を写す
相談窓口に回すべきかconsultationハラスメント・心身の不調・人間関係の悩みに触れていれば true

種類は次の7つです。

種類例
payroll 給与・勤怠給与の額、残業代、明細、勤怠の打刻の修正、有給休暇の残日数
insurance 社会保険・手続き扶養の追加と削除、住所の変更、育休・介護休業の手続き、住民税
certificate 証明書・入退社在職証明書、退職証明書、源泉徴収票の再発行、入社と退職の手続き
benefit 福利厚生社宅、慶弔の届け、健康診断の日程、社内の制度の利用
transfer 異動・配置異動の時期、勤務地の希望の出し方
policy 規程の質問就業規則の中身の確認
other その他上のどれにも当たらない

急ぎ度は、AI の出力から規則で決めます。

急ぎ度条件
高urgent_words に「支給されていない」「振り込まれていない」が入る/フォームの期限の日付か deadline_text がある certificate
中期限の日付か deadline_text がある(高に当たらないもの)
通常上のどれにも当たらない

「至急」の言葉だけでは高にしません。 「至急」は書く人の癖で、同じ内容でも書く社員と書かない社員がいます。 言葉で上げるのは、給与が振り込まれていないという、誰が書いても急ぐべき内容だけにします。

させないこと理由
問い合わせへの回答担当者が調べて答える
期限の日付の計算「来週中」を日付に直さない。書かれたとおりに写す
急ぎ度の決定規則で決める
給与の誤りの有無の判断担当者が勤怠と明細で確かめる
社員の気持ちの推測「不満がありそう」などを書かない
Step6

指示内容を固定する

あなたは人事部の受付の係です。
社員からの問い合わせを読み、決められた項目だけを返してください。
問い合わせに答えてはいけません。

【category の選び方】
次の7つから1つだけ選んでください。迷ったら other にしてください。
payroll(給与・勤怠)/insurance(社会保険・手続き)/
certificate(証明書・入退社)/benefit(福利厚生)/
transfer(異動・配置)/policy(規程の質問)/other
2つ以上の種類の手続きが要る内容なら、主なものを1つ選び、
multi_owner を true にしてください。

【deadline_text】
- 本文に期限が書かれていれば、書かれたとおりに写してください。
  「来週中」「月末まで」を日付に直さないでください。
- 期限が書かれていなければ空にしてください。推測で埋めないでください。

【urgent_words】
- 次の言葉が本文にあれば、その言葉をそのまま写してください。
  至急/本日中/明日まで/支給されていない/振り込まれていない
- 無ければ空にしてください。言い換えた表現を拾わないでください。

【consultation】
- ハラスメント、心身の不調、職場の人間関係の悩みに触れていれば true。
- true のとき、ほかの項目は空にしてください。

【厳守事項】
- 問い合わせへの答え、手続きの方法、給与の正誤を書かないでください。
- 社員の気持ちや性格について書かないでください。

【問い合わせの内容】{inquiry_text}

「来週中を日付に直さない」を書くのが要点です。 AI は「来週中」を見ると、その日の日付から来週の金曜を計算して 2026-10-23 のように返すことがあります。計算の基準になる「今日」を AI は正しく知っている保証がなく、 誤った日付は、正しく見えるぶん見落とされます。担当者は写された「来週中」と受付日を見て判断します。

consultation が true のときにほかの項目を空にさせるのは、台帳に内容の手がかりを残さないためです。 種類や急ぎの言葉が残るだけでも、誰がどんな相談をしたかが推し量れます。

Step7

出力形式を固定する

AI by Zapier の出力項目を次のように定義します。

{
  "category": "payroll | insurance | certificate | benefit | transfer | policy | other",
  "multi_owner": false,
  "deadline_text": "",
  "urgent_words": "",
  "consultation": false
}

1つ目の理由は、Paths の条件にそのまま使えることです。 category の値で分岐を分け、consultation が true なら相談窓口の分岐、multi_owner が true か category が other ならフォールバックの当番へ回します。Paths は1つのグループに最大10本の分岐とフォールバックを1本置けるので、7つの種類と相談窓口が収まります。

2つ目は、急ぎ度を AI の外で決められることです。 urgent_words と deadline_text は事実の写しで、それを高・中・通常に当てはめるのは Paths の条件です。 急ぎ度の基準を変えても、AI の指示は書き直しません。

3つ目は、台帳の列とそのまま対応することです。 受付の台帳は次の列を持ちます。

列中身
受付の番号Zapier Tables のレコード
受付日時・社員番号・メールアドレスフォームの回答
種類・またがる・期限の写し・急ぎの言葉・急ぎ度AI の出力と規則
担当者Paths の分岐で決まった送り先
状態未着手/対応中/完了/振り直し
種類の直し担当者が直した種類
Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Google フォームNew Form Response回答を受け取る
AI by ZapierZap の中のステップ種類・期限の写し・急ぎの言葉・相談窓口か
Paths分岐(2か所)相談窓口の切り分け、種類と急ぎ度での振り分け
Zapier TablesCreate Record、Update Record受付の台帳
SlackSend Direct Message、Send Private Channel Message担当者への通知、急ぎのものの共有

急ぎ度が高いものは、人事の受付の非公開のチャネルにも出します。 担当者が休みの日でも、ほかの人事の担当が気づけるようにするためです。 チャネルに出すのは受付の番号・種類・期限だけで、内容は出しません。

相談窓口の分岐は、台帳の Create Record より前に置きます。 順番を逆にすると、相談の内容が台帳に書かれてから分岐することになります。Zap の段の並びそのものが、読む人を絞る仕組みです。

担当者が種類を直したときは、台帳の「種類の直し」に書き、状態を「振り直し」にします。 振り直しの担当への知らせは、最初は手で送ります。直しの件数が多ければ、台帳の Updated Record のトリガーで知らせる Zap を足します。

Step9

人が確認する

人が確かめるのは、次の3つの場面だけです。

  1. 担当者が自分に届いた問い合わせを読んだとき … 種類が違えば台帳で直して回し直します。急ぎ度が低すぎると思えば上げます
  2. 当番が、フォールバックに回ったものを見るとき … other と multi_owner のもの。主な担当を決めて回し、またがる担当にも知らせます
  3. 相談窓口の担当が、相談を受け取ったとき … 相談として受けるか、人事の手続きの問い合わせとして本人に入れ直してもらうかを決めます

全件の種類を受付の当番が確かめる工程は置きません。 置くと、1件5分のうち②と③しか減りません。誤った振り分けは、届いた担当者がすぐ気づけるので、そこで直す設計にします。

ただし、certificate の急ぎ度だけは、当番が毎朝台帳で見ます。 期限のある証明書の依頼は、担当者の手元で止まると取り返しがつきません。期限の写しが空でない certificate を、毎朝一覧で確かめます。

目標は、600件をならして1件1分です。 フォールバックに回るものと振り直しが合わせて1割程度という想定で、それより多い月は、種類の説明を見直します。

Step10

例外に対処する

起きること対応
「人事への問い合わせ」で相談を書いたconsultation が true なら、台帳に内容を残さず相談窓口の担当へ
種類が otherフォールバックで当番へ
2つの担当にまたがるフォールバックで当番へ。主な担当を決めて両方に知らせる
内容が空・数文字当番へ。本人に聞き直す
社内のドメイン以外のアドレス止めて、人事の責任者へ知らせる
同じ社員が同じ内容を2回送った担当者が台帳で1件を「重複」にする
担当者が休み急ぎ度が高いものはチャネルで気づく。通常のものは当番が台帳で見て振り直す
AI by Zapier がエラーを返す種類を空のまま台帳に作り、当番へ回す
給与の支給日に問い合わせが集中する急ぎ度が高いものから担当が答える。チャネルで件数を共有する

1行目は、最初の数か月は件数を数えます。 多ければ、フォームの最初の選択肢の説明の書き方を変えます。AI で拾えるとはいえ、本人に選んでもらうほうが確実です。

Step11

記録を残す

  • 受付の台帳の全行(回答・AI の出力・急ぎ度・担当者・状態・種類の直し)
  • 相談窓口に回したものは、台帳に残さない。 受け付けた日時だけを、相談窓口の担当が別に持つ
  • Zap の実行の履歴(Zapier の側に残る)
  • 担当者が種類を直した記録

種類の直しの記録が、この構成を育てる材料です。 insurance から payroll への直しが多いなら、「住民税」がどちらの担当かを種類の説明に書き足します。

台帳には給与や家族の事情が書かれます。 見られる人を人事部の中に限り、一定の期間が過ぎた完了の行は消す決まりを作ります。

04実装レベルの3段階

最小構成:問い合わせを手で AI に貼り、種類を出させる / 1件ごとの種類の判断
半自動化:上記+フォームを起点に Zap で分類し、台帳に記録して担当者へ知らせる / 受付・分類・記録・通知
本格構成:上記+規程の質問には根拠付きの回答の下書きを付け、振り直しの通知と期限の催促を自動にする / 振り分けの後の対応の一部まで

最小構成は、確かめるための段階です。 月600件を手で貼ることはできません。 半自動化で、1件5分が1分になり、この段階が本記事の想定です。 受付の当番が読んで回す作業が無くなり、フォールバックと振り直しの対応が残ります。本格構成は、規程の質問に答える仕組みを足すもので、 振り分けとは別の設計になります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
4 名
月間件数
600 件
1件あたり現在時間
5 分
1件あたり導入後時間
1 分
現在  600件 × 5分 ÷ 60 = 50 時間/月
導入後 600件 × 1分 ÷ 60 = 10 時間/月
月間削減時間
40h
削減率
80%
年間削減時間
480h
年間金額換算(時間単価3,000円)
144万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 社員が数百〜千名ほどの会社で、人事部への問い合わせがメール・チャット・電話に散らばり、人事の受付の担当が1件ずつ読んで給与・勤怠・社会保険・証明書の担当に回している場合。月に数百件の問い合わせがあり、担当が決まらないまま止まったものや、提出の期限のある証明書の依頼が後回しになったことがある場合。Google Workspace と Slack を使っている場合。
向いていない
  1. 社員が数十名で、人事の担当が1〜2名ですべての問い合わせに答えている場合。問い合わせの大半が就業規則の内容の質問で、振り分けよりも答えを返す仕組みが要る場合(規程を根拠に答える構成のほうが合います)。なお、問い合わせへの回答の内容、給与の誤りの有無、手続きの可否の判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の問い合わせから100件を選ぶ(2つの担当にまたがるもの、期限のある証明書の依頼を入れる)
  2. 社員の名前と社員番号を消し、内容の文面だけにする(ハラスメントや心身の不調の相談は試しに使わない)
  3. 手元の AI サービスに、第7章の種類の表と指示を貼り、100件を順に分類させる
  4. 出てきた種類を、当時実際に答えた担当と並べる
  5. 期限の写しが、本文のとおりになっているかを見る

100件は必ずやってください。 Zap を組む前に、「文面だけで担当を決められるのか」と「種類の分け方が人事の分担に合っているか」を確かめます。

出てきた内容判断
当時の担当とほぼ同じ種類が出たフォームと Zap の作成に進む
「来週中」を日付に直した指示の書き方で直る。構成は有効
当時の担当そのものがばらばら分担の決まりが先。 AI の問題ではない

3行目が出たら、人事部で分担を決め直します。 同じ「住民税」の質問を、月によって違う担当が答えていた、ということはよくあります。

other に何件入ったかも数えます。 100件のうち1割を超えるなら、7つの種類で人事の仕事を覆えていません。other の中身を読み、種類を足すか、既存の種類の例に書き足すかを決めてから、もう一度100件で試します。

期限の写しは、1件ずつ本文と見比べます。 「10/20」を「10月20日」に書き換えていないか、「来週中」を空にしていないかを見ます。写すべきものを写していないのも、計算して直したのと同じ失敗です。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
相談の内容が台帳と当番に見える最初の選択肢で分け、AI と台帳より前の分岐で外す
「来週中」が誤った日付になる書かれたとおりに写させ、日付に直させない
「至急」の書き癖で急ぎ度が上がる急ぎ度は規則で決め、言葉で上げるのは給与の未払いだけにする
入口が散らばったままで台帳に載らない入口をフォームに寄せ、来なかったものは当番が代理で入れる
社員に種類を選ばせて誤りが入る種類は AI が文面から選ぶ
回答の修正で二重に振り分けるNew Form Response だけで動かす
社外の人が回答できてしまう回答できる人を社内に限り、Zap でもドメインを確かめる
AI の費用が想定より高い既定の Premium(5倍)を見直す
担当者の交代で通知が届かないPaths の分岐の送り先を直す。交代のときの手順に入れる
振り直しが多い種類の直しの記録を見て、種類の説明に例を足す
代理で入力したものの差出人が当番になる「代理で入力」の選択肢と元の社員のアドレスの欄を置き、台帳には元の社員を書く

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも「AI の出力をそのまま信じて、読む人や急ぎ度を決めてしまう」ところから起きます。読む人を AI の前で絞り、急ぎ度を規則で決めてあるかどうかで、人事の受付として使えるかが決まります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 社員のメールアドレスと社員番号、給与・残業代・家族の事情・病気による休みなど、問い合わせの文面に書かれる機微な情報です。

  1. 相談の内容を AI と台帳に通さない … フォームの最初の選択肢で分け、決められた担当者にだけ届けます
  2. AI by Zapier の扱いを情報システム部門と決める … Zapier の説明では、モデルは Zapier の委託先から提供され、Zapier のモデルではモデレーションが既定で有効で外せないとされています。自前のキーで自社の契約のモデルを使う選択肢もあります
  3. 台帳を見られる人を絞る … 人事部の中に限り、期間の過ぎた完了の行は消します
  4. 通知に内容を書きすぎない … チャネルへの共有は受付の番号・種類・期限だけにします
  5. AI に答えさせない … 給与の正誤や手続きの可否は担当者が確かめて答えます
  6. 社員への説明 … フォームの冒頭に、問い合わせの内容を振り分けのために AI で読むことと、相談の窓口は AI に通さないことを書きます

誤りが起きた場合のリスクは、相談の内容を読むべきでない人が読むことと、期限のある依頼が間に合わないことの2つです。 前者は分岐の順番で、後者は期限の写しと毎朝の証明書の確認で止めます。

10まず何から始めるか

1週目:種類と分担を決める

人事部で、第7章の7つの種類とそれぞれの担当者を決めます。「住民税」「育休中の給与」のような境目の問い合わせを10個書き出し、どちらの担当かをここで決めます。

2週目:100件で試す

先月の問い合わせから100件を選び、名前を消して手元の AI サービスで分類させます。当時の担当と並べ、期限の写しが日付に直されていないかを最優先で見ます。

3週目:フォームを作る

Google フォームで、回答できる人を社内に限り、メールアドレスを集める設定にします。最初の選択肢に「相談窓口に相談したい」を置き、説明を相談窓口の担当と一緒に書きます。

4週目:振り分けまでをつなぐ

New Form Response から AI by Zapier、受付の台帳までを作り、この時点では担当者へ知らせず、台帳だけを当番が見て、これまでどおり手で回します。 台帳の種類が当番の判断と合っているかを2週間見ます。

2か月目: Paths で担当者への Slack の通知を足し、社内に「問い合わせはフォームから」と案内します。3か月目以降: 種類の直しの記録と、直接のメッセージで届く件数を毎月見ます。直接のメッセージがほぼ無くなり、振り直しが1割を切った時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-14/最終更新:2026-10-15
確認した内容情報源確認日
Google Forms のトリガーに New Form Response(新しい回答)と New or Updated Form Response(回答の追加または変更)があることZapier: Google Forms integrations2026-10-14
フォームの公開の前に、回答できる人をドメイン・信頼できる相手・グループに限れること。メールアドレスは「回答」の設定で集めるよう有効にすることGoogle ドキュメント エディタ ヘルプ: フォームを送信する2026-10-14
AI by Zapier で出力項目を名前・型・説明・必須で定義できること。Professional・Team・Enterprise で使えること。モデルが Standard(1倍)・Advanced(3倍)・Premium(5倍、新しいステップの既定)と自前のキーから選べること。モデルが委託先から提供され、Zapier のモデルではモデレーションを外せないことZapier: Use AI by Zapier to analyze and return data2026-10-14
Paths が Professional・Team・Enterprise で使え、1つのグループに最大10本、フォールバックを1本置けること。条件の規則を AND・OR で組めることZapier: Add branching logic to Zap workflows with Paths2026-10-14
Zapier Tables の操作に Create Record・Update Record・Find Records、トリガーに Updated Record があることZapier: Zapier Tables integrations2026-10-14
Slack の操作に Send Direct Message・Send Private Channel Message があることZapier: Slack integrations2026-10-14

問い合わせへの回答の内容と、相談への対応は、人事部の担当者と相談窓口の担当者の判断に従ってください。 本記事は上記の公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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