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外国籍の内定者に送る労働条件通知書・入社案内を英語に訳し、給与・試用期間・社会保険の用語を訳語表と照らして確かめる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

外国籍の内定者に送る労働条件通知書と入社案内を、社内の訳語表に沿って英語に訳します。訳語表に無い語と、金額・日付の対応を一覧にして返させ、採用の担当が確かめてから送ります。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
IT・SaaS/人材/製造
対象部門
採用
対象業務
内容確認・チェック/書類作成
主な課題
属人化している/書類作成に時間がかかる/確認ミスが多い
AIで行う処理
翻訳
主な効果
品質標準化/属人化解消/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
条件付き
現在工数
40h/月
AI導入後
15h/月
想定削減
63%
年間削減
300h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 採用の担当が、内定者ごとの和文の労働条件通知書と入社案内を作る
  2. 過去に送った英訳から、職種と勤務の制度が近いものを探して下敷きにする
  3. 和文と下敷きを見比べ、違う部分を訳し直す
  4. 給与・手当・試用期間・社会保険・休暇の用語を、訳語のメモと見比べる
  5. 金額・日付・時間・日数を、和文と1つずつ見比べる
  6. もう1人の担当が読み直す
  7. 和文と英訳をあわせて内定者に送る
導入後(After)
  1. 人採用の担当が、内定者ごとの和文の労働条件通知書と入社案内を作る
  2. 人和文の氏名・住所・生年月日を記号に、金額・日付・時間・日数を番号付きの記号に置き換え、置き換えの表を手元に残す
  3. 人ChatGPT のプロジェクトで新しいチャットを開き、記号に置き換えた和文を貼る
  4. 【AI】 Sources の訳語表と英訳のひな形に沿って、英訳を作る
  5. 【AI】 訳語表に無かった語、記号の一覧(和文にあった記号と英訳にある記号)、訳語表から外れた箇所の一覧を付ける
  6. 人採用の担当が一覧を確かめ、訳語表に無い語は社会保険労務士と決めて訳語表に足す
  7. 人置き換えの表を使って、記号を元の値に戻す
  8. 人もう1人の担当が、戻した値と和文を見比べて読み直し、内定者に送る
各工程の詳しい説明を読む
  1. 採用の担当が、内定者ごとの和文の労働条件通知書と入社案内を作る
  2. 過去に送った英訳から、職種と勤務の制度が近いものを探して下敷きにする
  3. 和文と下敷きを見比べ、違う部分を訳し直す
  4. 給与・手当・試用期間・社会保険・休暇の用語を、訳語のメモと見比べる
  5. 金額・日付・時間・日数を、和文と1つずつ見比べる
  6. もう1人の担当が読み直す
  7. 和文と英訳をあわせて内定者に送る

(a)1通に半日近くかかる。 下敷きを探し、違う部分を訳し、用語と数字を見比べる。内定が重なる月は、内定から書類を送るまでに1週間以上かかります。 内定者は他社の選考も進めていて、書類が遅いと条件を比べる材料がそろいません。

(b)用語の訳し方が担当者ごとに違う。 訳語のメモはありますが、担当者が個人で持っていて、前回の英訳を下敷きにすると、前回の担当者の訳し方がそのまま引き継がれます。 「通勤手当」が commuting allowance と transportation allowance で揺れ、「みなし残業」の訳し方は人によってまったく違います。

(c)下敷きの英訳の数字が残る。 下敷きにした前回の英訳の金額や日付を書き換え忘れ、前の内定者の基本給が残ったまま送りかけたことがあります。6番目の読み直しで見つかりましたが、読み直す担当も忙しい月は流し読みになります。

(d)制度の改正が英訳に届かない。 2024年4月から、労働契約を結ぶときに就業場所と業務の変更の範囲を明示することになりました。和文のひな形は直しましたが、英訳の下敷きには古い版が残っていて、変更の範囲の欄が無い英訳が使われ続けました。

  1. 【人】 採用の担当が、内定者ごとの和文の労働条件通知書と入社案内を作る
  2. 【人】 和文の氏名・住所・生年月日を記号に、金額・日付・時間・日数を番号付きの記号に置き換え、置き換えの表を手元に残す
  3. 【人】 ChatGPT のプロジェクトで新しいチャットを開き、記号に置き換えた和文を貼る
  4. 【AI】 Sources の訳語表と英訳のひな形に沿って、英訳を作る
  5. 【AI】 訳語表に無かった語、記号の一覧(和文にあった記号と英訳にある記号)、訳語表から外れた箇所の一覧を付ける
  6. 【人】 採用の担当が一覧を確かめ、訳語表に無い語は社会保険労務士と決めて訳語表に足す
  7. 【人】 置き換えの表を使って、記号を元の値に戻す
  8. 【人】 もう1人の担当が、戻した値と和文を見比べて読み直し、内定者に送る

2番目が、この設計の分かれ目です。 金額と日付を記号に置き換えてから渡すことで、AIが数字を書き換える経路を最初から断ちます。 和文の「月額300,000円」は「月額【W1】円」になり、英訳では「JPY【W1】per month」になります。記号がそのまま英訳にあることを確かめれば、数字の写し間違いは起きません。

7番目で値を戻すのは、人の手か、文書の差し込みの機能です。 置き換えの表は、和文を作った担当者の手元にだけあります。内定者の給与の額は、チャットに一度も入りません。

02今回想定するシステム構成

構成図
和文の労働条件通知書・入社案内(内定者ごと)
   │  氏名・住所等を記号に、金額・日付・時間・日数を番号付きの記号に置き換える
   │  置き換えの表は担当者の手元に残す
   ▼【トリガー】和文の確定
ChatGPT(業務用ワークスペースのプロジェクト)
   │  プロジェクトの指示:訳し方、一覧の形、してはいけないこと
   │  Sources:訳語表、英訳のひな形(社会保険労務士の確認済み)、
   │           末尾の定型(和文を正とする旨)
   ▼
【英訳】【訳語表に無い語】【記号の一覧】【訳語表から外れた箇所】
   ▼
【採用の担当が確かめ、記号を元の値に戻す】→ もう1人が読み直す → 内定者へ
役割想定する製品代替候補
処理ChatGPT(業務用ワークスペースのプロジェクト機能)Claude、Gemini、Microsoft Copilot
書類和文と英訳のひな形(文書作成の仕組みの差し込み)-
送付採用管理のシステムからの送付メール

新しく足すのは、ChatGPT の業務用ワークスペースと、そのプロジェクトだけです。 和文のひな形と送付の手順は変えません。英訳を作る部分だけを、下敷きの英訳からプロジェクトに替えます。

プロジェクトは、関連するチャット・ファイル・指示をまとめておく機能です。 公式の案内では、プロジェクトの指示はそのプロジェクトのチャット全体に適用され、アップロードしたファイルと接続した情報は Sources の欄に置かれます。 訳語表と英訳のひな形を Sources に置けば、2名の担当者が同じ訳語で英訳を受け取れます。下敷きを探す作業がなくなり、古い版の英訳を下敷きにすることもなくなります。

英訳のひな形の土台には、厚生労働省の外国人労働者向けモデル労働条件通知書を使えます。 英語版は英語と日本語を並べた形で、Notice of Employment、Contract period、Place of Employment (Scope of change)、Job duties (Scope of change)、Wages、Days off、Leave、Items concerning retirement のような項目名が並んでいます。項目名をこのモデルにそろえておくと、内定者が他社の通知書と見比べるときにも読み違えが起きにくくなります。

業務用のワークスペースを使うのは、内定者の労働条件を扱うためです。 公式の案内では、Business・Enterprise・Edu のワークスペースのデータは既定でモデルの学習に使われないとされ、会話の保持はワークスペースの設定に従うとされています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

和文の労働条件通知書と入社案内が確定したことを起点にします。 和文は、条件の決定と社内の承認を経てから確定させます。承認の前の和文で英訳を作ると、条件が変わったときに英訳だけが古いまま残ります。

内定者1名につき、チャットを1つにします。 労働条件通知書と入社案内は、同じ内定者なら同じチャットで訳します。用語の訳し方を、2つの書類でそろえるためです。 別の内定者の書類を同じチャットで訳すと、前の内定者の勤務の制度が混ざります。チャットの名前は「内定者の管理番号+書類の種類」にします。

和文が確定した日のうちに英訳まで作ります。 内定を伝えてから書類が届くまでの日数は、内定者が会社を比べる材料の1つです。和文と英訳を同じ日に送ることを目安にします。

条件が後から変わったときは、和文を直してから英訳を作り直します。 英訳だけを手で直すと、和文との食い違いが残ります。作り直すときも、同じ内定者のチャットで行い、変えた箇所を一覧に出させます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
和文の労働条件通知書契約期間、就業場所と変更の範囲、業務と変更の範囲、勤務時間、休日、休暇、賃金、退職に関する事項(記号に置き換えたもの)和文のひな形から作ったもの
和文の入社案内入社日の流れ、提出書類、社会保険の手続き、給与の口座(記号に置き換えたもの)和文のひな形から作ったもの
訳語表和文の用語、英訳、使う場面、決めた日と決めた人Sources
英訳のひな形項目名と定型の文の英訳(社会保険労務士の確認済み)Sources
末尾の定型和文を正とする旨、問い合わせ先Sources

質を決めるのは、訳語表です。 和文の用語と英訳を1対1で並べ、同じ和文に2つの英訳を載せません。 場面によって訳し分けるときは、使う場面の列に書きます。

和文の用語英訳(訳語表の例)使う場面
基本給Basic salary月給の内訳
通勤手当Commuting allowance手当の内訳
試用期間Probationary period契約期間と試用の条項
健康保険Health insurance社会保険の加入
厚生年金保険Employees' pension insurance社会保険の加入
雇用保険Employment insurance社会保険の加入
年次有給休暇Annual paid leave休暇の条項

この表は、自社で社会保険労務士と決める訳語表の例です。 例に載せた訳が唯一の正解というわけではありません。大事なのは、会社として1つに決め、全員がそれを使うことです。

英訳のひな形には、2024年4月の改正で加わった項目を入れておきます。 静岡労働局の案内では、2024年4月から、労働契約を結ぶときと有期の契約を更新するときに就業場所・業務の変更の範囲を明示することなどが追加されたとされています。厚生労働省のモデルの英語版にも、Place of Employment (Scope of change)、Job duties (Scope of change) の欄があります。 ひな形に欄があれば、AIが訳を省くことはありません。

Step3

データの取得方法を決める

和文は、確定した文書からコピーして貼ります。 貼る前に、次の置き換えを行います。

置き換えるもの記号の例戻すときの元
内定者の氏名・住所・生年月日【氏名】【住所】和文
金額(基本給・手当・賞与の目安)【W1】【W2】…置き換えの表
日付(入社日・試用期間の終わり・契約の終わり)【D1】【D2】…置き換えの表
時間と日数(所定の労働時間・休憩・休日の日数)【H1】【H2】…置き換えの表

置き換えは、和文の文書作成の仕組みの差し込みの欄を使うと速くなります。 ひな形の金額や日付の欄が差し込みの欄になっていれば、差し込みの前の状態のひな形と、差し込む値の一覧が、そのまま「記号に置き換えた和文」と「置き換えの表」になります。

記号は、英語に訳しても形が変わらないものにします。 【W1】のような記号は、AIが英訳の中でもそのまま残しやすい形です。「金額A」のような日本語の記号にすると、Amount A と訳されて戻せなくなります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 和文が承認済みの確定版かを確かめる … 承認の記録の日付と、和文の版を見ます
  2. 氏名・住所・生年月日を記号に置き換える … 英訳に要るのは宛名の場所だけです
  3. 金額・日付・時間・日数を番号付きの記号に置き換える … 置き換えの表を手元に残します
  4. 和文の日付の書き方を西暦にそろえる … 和暦が混ざっていると、英訳の段階で年を変換することになります
  5. 和文に訳語表に無い社内の制度名があるかを見る … あれば先に訳語表に足すか、一覧で挙げさせます
  6. 入社案内の添付(地図や提出書類の様式)を外す … 文章の部分だけを貼ります

3番目の置き換えの表は、チャットに貼りません。 表は担当者の手元のファイルに置き、英訳が返ってきてから使います。チャットにあるのは記号だけで、内定者の給与の額も入社日も入りません。

4番目を省くと、AIが年を変換します。 和暦から西暦への変換をAIに任せると、元年や年の境目で取り違えることがあります。 和文の段階で西暦にそろえておけば、日付は記号のまま英訳に入ります。

Step5

AIに処理させる

させるのは、訳語表とひな形に沿って英訳を作ることと、3つの一覧を付けることです。

見るものさせること判断できないときの扱い
和文の項目名英訳のひな形の項目名をそのまま使うひな形に無い項目は訳し、一覧に挙げる
和文の用語訳語表の英訳を使う訳語表に無い語は、訳の案を付けて一覧に挙げる
記号そのまま英訳に残す記号の位置が英語の語順で変わるときも記号は変えない
定型の文ひな形の英訳をそのまま使うひな形と和文が違えば、一覧に挙げる
末尾の定型Sources の文をそのまま付ける変えない

右端の列は、どれも「人に戻す」の側に倒しています。 労働条件の英訳は、AIが自然に訳した一語が、内定者にとっての約束になります。 訳語表に無い語を訳すときは、案として挙げるだけにし、決めるのは人です。

させないこと理由
記号を数字に戻す、記号を書き換える数字は人が置き換えの表から戻す
訳語表と違う訳を使う自然に見える訳でも、会社の訳を揺らす
和文に無い説明の補足「日本では一般に」のような説明は、条件の一部に読まれる
法令上の意味の解説解説は社会保険労務士と人事が行う
和文と英訳のどちらを正とするかの文の作成末尾の定型をそのまま使う
和文の誤りの修正和文の誤りに気づいたら挙げるだけ。直すのは人

3行目がいちばん起きやすい失敗です。 「みなし残業」や「裁量労働制」の箇所で、AIは内定者に分かりやすくしようとして、「This means that overtime pay is included in your salary」のような説明を足します。 説明の中身が和文の条件と少しでも違えば、英訳が条件を変えたことになります。説明が要るなら、社会保険労務士と作った説明文を訳語表の「使う場面」に載せ、その文だけを使わせます。

Step6

指示内容を固定する

次の文をプロジェクトの指示に置きます。 内定者ごとのチャットでは、記号に置き換えた和文を貼るだけにします。

あなたは人事部の採用の担当として、外国籍の内定者に送る労働条件通知書と
入社案内を英語に訳す立場です。Sources の「訳語表」「英訳のひな形」
「末尾の定型」に従ってください。

【やること】
1. 和文を英語に訳してください。項目名は英訳のひな形の項目名を、
   用語は訳語表の英訳を使ってください。
2. 【W1】【D1】【H1】【氏名】などの記号は、一字も変えずに英訳に残してください。
3. 英訳の最後に「末尾の定型」をそのまま付けてください。
4. 英訳の後に、次の3つの一覧を付けてください。
   (1) 訳語表に無かった語(列:和文の語/訳の案/出てきた箇所)
   (2) 記号の一覧(列:記号/和文にある/英訳にある)
   (3) 訳語表またはひな形から外れた箇所(列:箇所/理由)。無ければ「なし」

【厳守事項】
- 記号を数字や日付に置き換えたり、記号の番号を変えたりしないでください。
- 訳語表にある語は、文脈に合わないと思っても訳語表の英訳を使い、
  合わないと思う理由を (3) に書いてください。
- 和文に無い説明、例、補足を書き足さないでください。
- 法律や制度の意味を解説しないでください。
- 和文の誤りや食い違いに気づいたら、直さずに (3) に書いてください。
- 和文の一部が貼られていないと思われるときは、訳さずにそのことを書いてください。

【書類の種類】{労働条件通知書/入社案内}
【和文(記号に置き換えたもの)】{本文}

「文脈に合わないと思っても訳語表の英訳を使う」を明記しないと、AIは訳語表より自然な訳を選びます。 「賞与」を、文の流れに合わせて performance bonus と訳すことがあります。訳語表と違う訳が1つ入れば、訳語表を作った意味がなくなります。 合わないと思う理由は (3) に書かせ、訳語表を直すかどうかを人が決めます。

「和文の誤りに気づいたら直さずに書く」を入れているのは、AIが和文の矛盾に気づくことがあるからです。 試用期間が3か月なのに、試用期間の終わる日が入社日の6か月後になっている、のような食い違いです。AIが英訳の側で辻褄を合わせると、和文の誤りが見えなくなります。

Step7

出力形式を固定する

チャットには、英訳と3つの一覧を返させます。

【英訳(抜粋)】
Notice of Employment
To: 【氏名】
Contract period: Indefinite term. Probationary period: from 【D1】 to 【D2】
Place of Employment (Immediately after hiring): Head Office
Place of Employment (Scope of change): Offices designated by the company
Wages: Basic salary JPY 【W1】 per month / Commuting allowance: up to JPY 【W2】 per month
(以下、ひな形の項目の順に続く)

【(1) 訳語表に無かった語】
| 和文の語 | 訳の案 | 出てきた箇所 |
| リモート勤務手当 | Remote work allowance | 賃金の手当の欄 |

【(2) 記号の一覧】
| 記号 | 和文にある | 英訳にある |
| 【W1】 | ○ | ○ |
| 【W2】 | ○ | ○ |
| 【D1】 | ○ | ○ |
| 【D2】 | ○ | ○ |

【(3) 訳語表またはひな形から外れた箇所】
| 箇所 | 理由 |
| 試用期間 | 和文の試用期間「3か月」と【D1】【D2】の間の長さを確かめてください |

3つの一覧に分ける理由の1つ目は、確認の順番が決まることです。 採用の担当は、(2) の記号の一覧を最初に見て、「和文にある」と「英訳にある」がすべてそろっているかを確かめます。 記号が1つでも欠けていれば、その英訳は使わず、作り直させます。

2つ目は、訳語表を育てられることです。 (1) に挙がった語は、社会保険労務士と訳を決めて訳語表に足します。同じ語が次の内定者の書類に出てきたときには、訳語表の英訳が使われます。 月を重ねるほど (1) は短くなります。

3つ目は、和文の誤りが見えることです。 (3) に和文の食い違いが挙がれば、英訳を直す前に和文を直します。 例の (3) のように、試用期間の長さと日付の関係は、記号のままではAIにも分かりません。人が置き換えの表を見て確かめる点として、一覧に残させます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
和文のひな形採用の担当が差し込みの前の状態から写す記号に置き換えた和文と置き換えの表
ChatGPT のプロジェクトチャットに貼る英訳と3つの一覧
英訳のファイル採用の担当が英訳を貼り、記号を元の値に戻す送る英訳
採用管理のシステム和文と英訳をあわせて送る内定者への送付の記録

ChatGPT と採用管理のシステムは、つなぎません。 月20件なら、和文を貼る手間は1件数分です。内定者の書類をAIの側から送る経路を、最初から作りません。

記号を戻す作業は、差し込みの機能で行うと確実です。 英訳のファイルの【W1】などの記号を差し込みの欄にし、置き換えの表から値を入れます。手で1つずつ書き換えるより、写し間違いの起きる場所が減ります。

Step9

人が確認する

採用の担当と、もう1人の担当が、すべての英訳を確かめてから送ります。

  1. (2) の記号の一覧を見る … すべての記号が和文と英訳の両方にあるかを確かめます。欠けていれば作り直させます
  2. (3) の外れた箇所を見る … 和文の誤りが挙がっていれば、和文を直してから英訳を作り直します
  3. (1) の訳語表に無かった語を決める … 社会保険労務士に確かめ、決まった訳で英訳を直し、訳語表に足します
  4. 記号を元の値に戻す … 置き換えの表から差し込みます
  5. もう1人の担当が、戻した値を和文と見比べて読み直す … 金額・日付・時間・日数を1つずつ見ます

5番目は省かないでください。 記号のおかげでAIが数字を変えることはありませんが、置き換えの表を作るとき、戻すときに人が誤ることはあります。 最後の見比べは、AIの確認ではなく人の手作業の確認です。

勤務の制度が初めての組み合わせの内定者は、社会保険労務士にも英訳を見てもらいます。 裁量労働制の内定者を初めて採る月や、海外に住んだまま入社日を迎える内定者のように、ひな形に無い条項がある書類は、訳語表だけでは足りません。

目標は、1件45分です。 置き換えて貼るのに5分、一覧を確かめて訳語表に無い語を直すのに15分、値を戻してもう1人が見比べるのに25分の想定です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
記号が英訳から欠ける、番号が変わるその英訳は使わない。同じチャットで作り直させる
訳語表に無い語が多数出る社会保険労務士とまとめて決め、訳語表に足してから作り直す
訳語表と違う訳が使われる(3) の理由を読み、訳語表を直すか英訳を直すかを決める
和文に無い説明が足される消して作り直させる。厳守事項に例を足す
(3) に和文の誤りが挙がる和文を直し、承認を取り直してから英訳を作る
ひな形に無い条項がある英訳の後に社会保険労務士に見てもらう
内定者から英訳について質問が来る和文と訳語表に沿って人事が答える。AIに回答を作らせない
送った後に条件が変わる和文を直して承認を取り、同じチャットで英訳を作り直す
英語以外の言語を望まれるこの構成の対象外。訳語表をその言語で作ってから同じ形で始める

1行目は、作り直すのが原則です。 欠けた記号を人が書き足すと、どの値がどの位置に入るべきだったかを、人が推し量ることになります。 作り直しは数分で済みます。

7行目の内定者からの質問は、運用が始まってから増えます。 英訳がそろうと、内定者は細かい点まで読むようになり、「この手当はどんなときに出ますか」と尋ねてきます。 答えは条件の説明なので、人事が和文と訳語表をもとに答えます。

Step11

記録を残す

  • 送った和文と英訳と、送った日・内定者の管理番号(採用管理のシステムに残る)
  • 3つの一覧(送った英訳と一緒に保存する)
  • 置き換えの表(和文と同じ場所に、和文と同じ期間だけ保存する)
  • そのとき使った訳語表と英訳のひな形の版
  • 訳語表に足した語と、決めた日・決めた人
  • 内定者からの英訳についての質問と答え

ChatGPT のチャットは、送った後に消します。 英訳と一覧は採用管理のシステムに残っているので、チャットを残す理由はありません。内定者の情報を置く場所を、採用管理のシステムと人事のファイルに保ちます。

5つ目の訳語表の変更の記録は、訳語表そのものに書きます。 「いつから、この語をこう訳すことにしたか」が分かれば、過去に送った英訳と今の訳語表が違うときに、どちらが当時の正しい訳かが分かります。

04実装レベルの3段階

最小構成:チャットに訳語表とひな形を毎回添付し、英訳を作らせる / 1件ずつの英訳と一覧
半自動化:上記+プロジェクトに指示と Sources を置き、記号に置き換えた和文を貼るだけで英訳が返る / 英訳と一覧の形の統一
本格構成:上記+和文のひな形の差し込みから記号の和文を自動で作り、API で英訳を作り、英訳のひな形に差し込んで下書きとして置く / 置き換えから下書きまでの全体

本記事の想定は、半自動化です。 月20件なら、置き換えと貼る手間は1件5分ほどで、仕組みを作る費用に見合いません。 訳語表とひな形がプロジェクトにまとまっていることのほうが効きます。 最小構成との差は、訳語表が1か所で管理されることです。 毎回添付する形だと、古い訳語表を添付した担当者の英訳だけ、決め直す前の訳が使われます。プロジェクトなら、訳語表を替えるのは1か所です。 本格構成に進んでも、送付は人が行います。 下書きとして置くところまでを自動にし、値の見比べと送付は採用の担当が行う形を変えません。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
2 名
月間件数
20 件
1件あたり現在時間
120 分
1件あたり導入後時間
45 分
現在  20件 × 120分 ÷ 60 = 40 時間/月
導入後 20件 × 45分 ÷ 60 = 15 時間/月
月間削減時間
25h
削減率
63%
年間削減時間
300h
年間金額換算(時間単価3,500円)
105万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 外国籍のエンジニアや研究職を通年で採用し、内定者に労働条件通知書と入社案内の英訳を毎月送っている会社。英訳を採用の担当者が前回の訳を下敷きに作っていて、担当者によって給与や社会保険の用語の訳し方が違う場合。社会保険労務士と作った訳語表があるか、これから作る用意がある場合。
向いていない
  1. 外国籍の内定者が年に数名で、社会保険労務士や翻訳会社に毎回頼んでも負担にならない場合。英語以外の言語での通知が中心の場合(訳語表を言語ごとに作る必要がある)。業務用の生成AIのワークスペースを契約できず、内定者の条件を個人のアカウントに貼ることになる場合。なお、労働条件そのものの決定、和文と英訳のどちらを正とするかの取り決め、法令上の明示事項がそろっているかの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 過去に送った労働条件通知書と入社案内から、5名分(10件)を選ぶ(勤務の制度が違う人を混ぜる)
  2. その10件の和文を、記号に置き換えて用意する
  3. 訳語表(無ければ、過去の英訳から担当者が使ってきた訳を書き出したもの)と英訳のひな形をチャットに添付する
  4. 第7章の指示を貼り、10件の英訳を1件ずつ作らせる
  5. 出てきた英訳と一覧を、実際に送った英訳と比べる

10件の目的は、「記号を変えずに、訳語表どおりに訳せるか」を確かめることです。 プロジェクトを作る前に、ここを見ます。

出てきた内容判断
記号がそろい、訳語表どおりで、説明の書き足しも無いプロジェクトを作って運用に進む
記号が欠ける、書き換えられる記号の形を見直す。日本語を含む記号をやめる
訳語表に無い語が多数出る訳語表が足りない。社会保険労務士と訳語表を整えるのが先

3行目が出ることは珍しくありません。 訳語表を作っていない会社では、AIが挙げた「訳語表に無い語」の一覧が、そのまま訳語表の下書きになります。 一覧を社会保険労務士に見てもらい、1回で訳語表の大半が埋まります。

比べるときは、実際に送った英訳の側の揺れにも目を向けてください。 同じ「通勤手当」が、5名分の英訳で2通りに訳されていれば、それが第3章の(b)の実際の姿です。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
AIが金額や日付を書き換える記号に置き換えてから渡す
記号が英訳で形を変える英語に訳されない形の記号にする
訳語表より自然な訳が選ばれる訳語表を優先させ、合わない理由を一覧に書かせる
和文に無い説明が足される説明を禁じ、要る説明は訳語表に載せる
和暦の変換で年を取り違える和文の段階で西暦にそろえる
古い版のひな形で訳す版を替えるときは古い版を消してから置く
承認前の和文で英訳を作る和文の確定を起点にする
複数の内定者をまとめて頼んで取り違える1名1チャットにする
記号を手で戻して写し間違える差し込みで戻し、もう1人が見比べる
内定者の質問にAIで答える和文と訳語表をもとに人事が答える

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、数字が人の目の届かないところで変わるという同じ型です。記号に置き換える手順は、AIの誤りと、下敷きの数字が残る人の誤りの両方を防ぎます。

「訳語表より自然な訳が選ばれる」の行は、運用が続くほど効いてきます。 1件ずつ見ればどちらの訳も正しく見えますが、内定者どうしが英訳を見せ合ったときに、会社の説明が揺れて見えます。

入社案内は、労働条件通知書より揺れやすい書類です。 労働条件通知書はひな形の項目が決まっていますが、入社案内は提出書類の案内、初日の集合場所、社会保険の手続きの流れ、給与の口座の届け出など、担当者が毎回少しずつ書き足してきた文書です。 書き足しの部分は訳語表に無い語が多く、(1) の一覧が長くなります。運用を始める前に、入社案内の和文のひな形を一度整理し、毎回変わる部分と変わらない部分を分けておくと、変わらない部分の英訳をひな形に固定できます。

訳語表を担当者の個人のメモに戻さないことも、運用の決まりにします。 忙しい月に、担当者が手元のメモで訳を直して送ると、プロジェクトの訳語表と送った英訳がずれ始めます。 訳を直したくなったら、まず訳語表を直してから英訳を作り直します。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 内定者の労働条件です。氏名・住所・生年月日と、金額・日付・時間・日数は記号に置き換え、チャットには条件の文と記号だけを置きます。

  1. 個人を特定できる情報と、給与の額をチャットに置かない … 置き換えの表は担当者の手元にだけ置きます。記号のままでも英訳は作れます
  2. 業務用のワークスペースを使う … 個人のアカウントに労働条件を貼らないでください。業務用のワークスペースのデータは既定で学習に使われないとされ、会話の保持はワークスペースの設定に従います。削除したチャットは、一般に30日以内に完全削除の予定に入るとされています
  3. 和文を正とする扱いを、会社として決めておく … 英訳の末尾の定型は、社会保険労務士と決めた文をそのまま使います。この構成は、どちらを正とするかの判断を代替しません
  4. 明示事項がそろっているかは、和文の段階で確かめる … 2024年4月の改正で、就業場所・業務の変更の範囲などの明示が加わっています。英訳が和文の項目をすべて訳していても、和文に欠けがあれば英訳にも欠けます
  5. 内定者の質問に、AIで答えない … 条件の説明は、人事が和文と訳語表をもとに行います
  6. 訳語表の変更を記録する … いつからどう訳すかを残し、過去の英訳との違いを説明できるようにします

誤りが起きた場合のリスクは、英訳が内定者との約束と違う条件を伝えることと、内定者の条件が意図しない場所に残ることの2つです。 前者は記号と訳語表と人の見比べで、後者は置き換えとチャットの削除で防ぎます。どちらも、置き換えの手順に組み込まれています。

10まず何から始めるか

1週目:訳語表の下書きを作る

過去に送った英訳から、給与・手当・試用期間・社会保険・休暇の用語と、使われてきた訳を書き出します。同じ語に2つ以上の訳があるものに印を付けます。

2週目:訳語表とひな形を決める

社会保険労務士と、印の付いた語の訳を1つに決めます。英訳のひな形を、厚生労働省のモデルの項目名にそろえて作り直します。就業場所・業務の変更の範囲の欄があるかを確かめます。

3週目:10件で試す

過去の5名分を記号に置き換え、英訳を作らせます。記号がそろっているか、訳語表どおりか、説明が足されていないかを最優先で見ます。

4週目:プロジェクトを作って回す

ワークスペースにプロジェクトを作り、指示と Sources を置きます。その月の内定者の書類を、すべてプロジェクトで英訳してから送ります。 和文の確定から送付までの日数と、1件にかかった時間を測ります。

2か月目: (1) に挙がった語を訳語表に足し、和文のひな形の金額と日付の欄を差し込みの欄にします。3か月目以降: 1件120分が何分になったかを実測します。和文が確定した日のうちに、訳語表どおりの英訳が送れるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
外国人労働者向けモデル労働条件通知書の英語版が英語と日本語を並べた形であること。Notice of Employment、Contract period、Place of Employment (Scope of change)、Job duties (Scope of change)、Wages、Days off、Leave、Items concerning retirement などの項目名があること厚生労働省: 外国人労働者向けモデル労働条件通知書(英語版、PDF)2026-10-08
2024年4月から、労働契約の締結時と有期労働契約の更新時に就業場所・業務の変更の範囲の明示、有期労働契約の締結時と更新時に更新上限の有無と内容の明示、無期転換申込権が発生する更新時に無期転換申込機会と無期転換後の労働条件の明示が追加されること静岡労働局: 令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます2026-10-08
プロジェクトの指示がそのプロジェクトのチャット全体に適用されること。アップロードしたファイルと接続した情報が Sources に置かれることChatGPT ドキュメント: Projects2026-10-08
Business・Enterprise・Edu のワークスペースのデータが既定で学習に使われないこと。会話の保持がワークスペースの設定に従い、削除したチャットが一般に30日以内に完全削除の予定に入ることChatGPT ドキュメント: Work cloud security2026-10-08

労働条件の内容、明示事項がそろっているか、和文と英訳のどちらを正とするかは、自社の人事と社会保険労務士が判断してください。 本記事の訳語表は例であり、厚生労働省と労働局のページで確認できた範囲だけを根拠にしています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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