広告会社の営業が、得意先のオリエン資料と過去の提案書から、提案の骨子を Word で組み、社内テンプレートの PowerPoint の下書きにする
得意先のオリエン資料と社内の過去の提案書を Copilot に読ませ、提案の骨子を Word の様式で組みます。 営業とプランナーが直した骨子から、社内テンプレートに沿った PowerPoint の提案書の下書きを作ります。
- 生成AI
- ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
- 対象業界
- IT・SaaS/人材/広告
- 対象部門
- 営業
- 対象業務
- 書類作成
- 主な課題
- 人手が足りない/属人化している/書類作成に時間がかかる
- AIで行う処理
- 生成
- 主な効果
- 品質標準化/属人化解消/工数削減
- 導入難易度
- ★★☆☆☆
- 実装レベル
- 半自動化
- 費用感
- SaaS追加(小)
- 人間の確認
- 条件付き
01導入前 / 導入後の業務フロー
- 営業がオリエンの資料を読み、聞き取りのメモと合わせて、要求事項を書き出す
- 保管庫で似た案件の提案書を探し、使えそうなスライドを集める
- 提案の流れ(課題 → 戦略 → 施策 → スケジュール → 体制 → 見積)に沿って、骨子をメモで作る
- 社内テンプレートの PowerPoint を開き、骨子に沿ってスライドを1枚ずつ作る。集めたスライドを貼り、文言を書き換える
- プランナーに渡し、戦略と施策を詰めてもらう
- クリエイティブの表現案、見積、スケジュールを入れて仕上げる
- 人営業が、オリエンの資料と聞き取りのメモを案件のフォルダに保存し、保管庫から参考にする過去の提案書を2件から3件選ぶ
- 人営業が、骨子の様式(Word)を開き、Copilot に資料とメモと過去の提案書を指定して骨子を作らせる
- 自動Copilot が、要求事項の一覧(資料の該当ページの引用付き)を作る
- 自動Copilot が、課題の整理、提案の柱、スライドごとの見出しと要点を、様式の見出しに沿って書く
- 自動Copilot が、数字と表現の欄を「営業が入れる」「プランナーが入れる」として空け、過去の提案書から借りた箇所に出典を付ける
- 人営業とプランナーが骨子を直す。要求事項の一覧とスライドの対応を確かめる
- 人営業が、社内テンプレートから新しいプレゼンテーションを開き、Copilot に直した骨子のファイルを指定してスライドの下書きを作らせる
- 人営業がスライドを直し、プランナーに渡す
各工程の詳しい説明を読む
- 営業がオリエンの資料を読み、聞き取りのメモと合わせて、要求事項を書き出す
- 保管庫で似た案件の提案書を探し、使えそうなスライドを集める
- 提案の流れ(課題 → 戦略 → 施策 → スケジュール → 体制 → 見積)に沿って、骨子をメモで作る
- 社内テンプレートの PowerPoint を開き、骨子に沿ってスライドを1枚ずつ作る。集めたスライドを貼り、文言を書き換える
- プランナーに渡し、戦略と施策を詰めてもらう
- クリエイティブの表現案、見積、スケジュールを入れて仕上げる
(a)要求事項に答え漏れが出る。 オリエンの資料の後半に「店頭での展開案も含めること」と1行あるだけ、ということがあります。読み落とすと、提案書のどこにも答えが無いまま提出され、評価の観点で減点されます。 得意先から後で「店頭の案はどこですか」と聞かれて気づきます。
(b)構成が担当者ごとに違う。 ベテランは課題の整理から入り、若手は施策の一覧から入る。同じ得意先に、担当によって型の違う提案書が出ます。 プランナーは担当ごとの癖に合わせて読み直すことになります。
(c)流用した部分に別の得意先の情報が残る。 過去の提案書から貼ったスライドに、別の得意先の商品名や数字が残ったまま提出されかけることがあります。守秘の問題になるので、仕上げの段で目を皿にして探します。
(d)スライドに流し込む作業が重い。 骨子が決まっていても、テンプレートのレイアウトを選び、見出しを入れ、要点を箇条書きにする作業に1件2時間かかります。企画を考える時間ではなく、形を整える時間です。
- 【人】 営業が、オリエンの資料と聞き取りのメモを案件のフォルダに保存し、保管庫から参考にする過去の提案書を2件から3件選ぶ
- 【人】 営業が、骨子の様式(Word)を開き、Copilot に資料とメモと過去の提案書を指定して骨子を作らせる
- 【自動】 Copilot が、要求事項の一覧(資料の該当ページの引用付き)を作る
- 【自動】 Copilot が、課題の整理、提案の柱、スライドごとの見出しと要点を、様式の見出しに沿って書く
- 【自動】 Copilot が、数字と表現の欄を「営業が入れる」「プランナーが入れる」として空け、過去の提案書から借りた箇所に出典を付ける
- 【人】 営業とプランナーが骨子を直す。要求事項の一覧とスライドの対応を確かめる
- 【人】 営業が、社内テンプレートから新しいプレゼンテーションを開き、Copilot に直した骨子のファイルを指定してスライドの下書きを作らせる
- 【人】 営業がスライドを直し、プランナーに渡す
6番目が、この設計の分かれ目です。 骨子の段で人が直すのは、要求事項に答えているか、提案の柱が得意先の課題に合っているかという中身です。ここをスライドの段に持ち越すと、10枚のスライドを行き来しながら直すことになります。
7番目でスライドにする前に、骨子を確定させます。 PowerPoint の Copilot は、ファイルを指定して作るとき、同じプロンプトの中で追加の指示を与えられないとされています。スライドに反映したいことは、すべて骨子の側に書いておきます。
02今回想定するシステム構成
オリエンの資料(PDF/PowerPoint)+聞き取りのメモ(Word)── 案件のフォルダ(SharePoint) 過去の提案書(保管庫から営業が2〜3件選ぶ) ▼【トリガー】営業が骨子の様式を開いて Copilot を呼ぶ Microsoft Copilot(Word のアプリ内 Copilot) │ 様式:骨子の様式(見出し1=章、見出し2=スライドの見出し) ├──▶ 要求事項の一覧(資料の該当ページの引用) ├──▶ 課題の整理/提案の柱 ├──▶ スライドごとの見出しと要点(4行まで) └──▶ 「営業が入れる」「プランナーが入れる」の欄と、借りた箇所の出典 ▼【営業とプランナーが骨子を直す】 Microsoft Copilot(PowerPoint のアプリ内 Copilot) │ 社内テンプレート(見本のスライド付き)から新しいプレゼンテーションを開く │ 直した骨子のファイルを指定して、スライドの下書きを作る ▼【営業がスライドを直し、プランナーに渡す】 提案書(PowerPoint)── 案件のフォルダへ
| 役割 | 想定する製品 | 代替候補 |
|---|---|---|
| 処理 | Microsoft Copilot(旧称 Microsoft 365 Copilot。Word と PowerPoint のアプリ内 Copilot) | ChatGPT Enterprise、Gemini、Claude |
| 保管 | SharePoint(案件のフォルダ、提案書の保管庫) | Google ドライブ |
| 様式 | 骨子の様式(Word)と社内の提案書テンプレート(.potx) | - |
新しく足すのは、営業12名の Copilot のライセンスと、骨子の様式だけです。 提案書の保管庫も社内テンプレートも、いまあるものを使います。
骨子は Word の Copilot で作ります。 Word の Copilot は、下書きを作るときに「/」を入力して元にするファイルを選べるとされ、テンプレートや既存の文書から、書式と構成を保ったまま内容を書けるとされています。参照した元の資料への引用を付けて書かせることもできるとされています。骨子の様式を開いた状態で頼めば、様式の見出しに沿って書かせられます。
スライドは PowerPoint の Copilot で作ります。 よくある質問のページでは、既存の Word の文書の内容からプレゼンテーションを作れ、1回に1つのファイルを扱うとされています。Microsoft Copilot のライセンスがあれば Word か PDF を選べ、暗号化された文書も含まれるとされています。
画面の手順は、時期によって違います。 新しいプレゼンテーションを作る手順のページは、Agent Mode でプロンプトから作る手順を示しつつ、Agent Mode でのファイルの参照は「近日対応」としています。自社の環境でどの手順でファイルを指定できるかを、最初に1件で確かめます。
社内テンプレートは、見本のスライドを整えておきます。 Copilot は、テンプレートの見本のスライドを第一に、テンプレートの構成とレイアウトを第二に使うとされ、見本のスライドが足りないとスライドマスターに戻るとされています。
03どうやって実装するのか
処理の起点を決める
営業がオリエンを受けて、案件のフォルダに資料を保存したことを起点にします。 自動では動かしません。営業が骨子の様式を開き、Copilot を呼ぶ手作業が起点です。
オリエンの当日か翌日に骨子まで作ります。 オリエンの場で聞いた得意先の温度感は、メモに書ききれません。骨子を見て「これは言っていなかった」「ここはもっと強く言っていた」と気づけるのは、記憶が新しいうちだけです。
スライドの下書きは、骨子をプランナーと直した後に作ります。 骨子とスライドを同じ日に作ると、骨子の直しが追いつかないままスライドが出来上がり、直す場所が2つに増えます。
入力データを集める
| データ | 中身 | 取得元 |
|---|---|---|
| オリエンの資料 | 商品、ターゲット、課題、予算の目安、期限、評価の観点 | 案件のフォルダ(得意先から受け取った PDF や PowerPoint) |
| 聞き取りのメモ | オリエンの場で聞いた背景、得意先の社内事情、競合の状況、優先度 | 案件のフォルダ(営業の Word のメモ) |
| 過去の提案書 | 似た案件の提案書2件から3件 | 提案書の保管庫(営業が選ぶ) |
| 骨子の様式 | 要求事項の一覧の表、章とスライドの見出しの型、空けておく欄 | Word のテンプレート |
| 社内テンプレート | 見本のスライド、レイアウト、配色 | PowerPoint のテンプレート |
質を決めるのは、2行目の聞き取りのメモです。 オリエンの資料は得意先が整えた公式の情報で、提案の勝ち負けを分ける本音はメモの側にあります。 メモは「背景」「本音」「競合」「優先度」の見出しで書く決まりにします。
【A社 冷凍食品 秋冬キャンペーン オリエン 聞き取りメモ(10/7)】
背景:昨年の秋冬は店頭の値引きで売上を作ったが、利益が残らなかった
本音:宣伝部長は「値引きに頼らない売り方」を社内に示したい
競合:B社が同じ時期に新商品を出すと流通から聞いている
優先度:店頭>デジタル。テレビは今回は外す
過去の提案書は、営業が選びます。 保管庫全体を Copilot に探させると、別の得意先の数字や商品名を含む提案書が混ざります。 選ぶときは、同じ得意先の過去の提案か、社内で事例として公開してよいと決めた提案に限ります(第13章)。
データの取得方法を決める
| 取るもの | どこから | 何に使うか |
|---|---|---|
| オリエンの資料とメモ | Word の Copilot で「/」から案件のフォルダのファイルを選ぶ | 要求事項の一覧と、課題の整理 |
| 過去の提案書 | 同じく「/」から、営業が選んだ提案書を選ぶ | 構成と、借りる部分の候補 |
| 直した骨子 | PowerPoint の Copilot でファイルとして指定する | スライドの下書き |
Word の Copilot で指定するファイルは、オリエンの資料、メモ、過去の提案書の順に並べます。 指示の中で「1つ目はオリエンの資料、2つ目は聞き取りのメモ、3つ目以降は過去の提案書」と書いておきます。どのファイルが何かをAIに推し量らせると、過去の提案書の課題を得意先の課題として書きます。
オリエンの資料が長いときは、要求事項の章だけを別のファイルにします。 よくある質問のページでは、Copilot が1回のプロンプトで扱える単語の数には限りがあるとされています。参考資料の付録まで読ませる必要はありません。
PowerPoint の Copilot に渡すのは、直した骨子の1ファイルだけです。 オリエンの資料や過去の提案書は渡しません。スライドの下書きの元を骨子1つに限ることで、人が直した内容だけがスライドになります。
骨子を渡す前に、要求事項の一覧の表と「答えていない要求事項」の欄を骨子から外した版を作ります。 この2つは営業とプランナーが確かめるための社内の表で、提案書のスライドに載せるものではありません。 外さずに渡すと、要求事項の一覧がそのまま1枚目のスライドになることがあります。外した版は「スライド用」とファイル名に付けて、骨子の本体と並べて保存します。
AIへ渡す前に整形する
- 案件のフォルダに資料を集める … オリエンの資料、聞き取りのメモ、骨子の様式の3つを入れます
- オリエンの資料の文字を選べるかを確かめる … スキャンした画像だけの PDF なら、要求事項の部分を営業がメモに書き起こします
- 長い資料は要求事項の章だけに分ける … 付録や会社案内は外します
- 過去の提案書を選ぶ … 同じ得意先か、事例として公開してよいものに限り、2件から3件にします
- 過去の提案書の数字を確かめる … 借りる候補に別の得意先の数字が残っていないかを、選ぶ段で見ておきます
- 社内テンプレートを整える … 課題、戦略、施策、スケジュール、体制、見積の見本のスライドを入れておきます
6番目は、一度やれば毎回は要りません。 ただ、ここが整っていないと、Copilot は見本のスライドの代わりにスライドマスターに戻り、どの提案書も同じ見た目の箇条書きになります。 提案書の章ごとに見本を1枚ずつ用意します。
AIに処理させる
させるのは、資料とメモから要求事項を拾い、骨子の様式に沿って中身の下書きを書くことと、それをスライドに移すことだけです。
| 作るもの | 作り方 | 作れないときの扱い |
|---|---|---|
| 要求事項の一覧 | オリエンの資料から、提案に含めるよう求められた事項を引用とページで並べる | 資料に無ければ一覧に入れない |
| 評価の観点 | 資料に書かれた評価の観点を引用する | 書かれていなければ「資料に記載なし」 |
| 課題の整理 | 資料とメモから、得意先の課題を3つまでに絞って書く | メモに無い本音を推し量らない |
| 提案の柱 | 課題ごとに、答え方の方向を1文で書く | 「プランナーが詰める」と書き添える |
| スライドの見出しと要点 | 様式の見出し2ごとに、見出しと要点4行まで | 要点が書けなければ「要検討」 |
| 借りた箇所の出典 | 過去の提案書から借りた構成や言い回しに、ファイル名とページを付ける | - |
| 空けておく欄 | 予算、媒体費、KPIの目標値、コピー、ビジュアル | 「営業が入れる」「プランナーが入れる」 |
| させないこと | 理由 |
|---|---|
| 予算・媒体費・KPIの数字を書く | 根拠を説明できない数字が提案書に残る |
| キャッチコピーや表現案を書く | 表現はクリエイティブの担当の仕事 |
| 過去の提案書の数字を借りる | 別の得意先の実績の数字は守秘の対象 |
| 得意先の本音を推し量る | メモに書かれたことだけを使う |
| 要求事項を言い換えて短くする | 評価の観点と照らせなくなる |
1行目がいちばん大事です。 「昨年比120%」「CPA 3,000円」のような数字は、AIが書くと本物らしく見え、営業が直し忘れたまま提出されます。 数字は最初から空けておき、空いていることが目に見える形にします。
3行目も同じくらい大事です。 過去の提案書の「前年の実績」は、その得意先との守秘の約束の下にある数字です。 構成や言い回しは借りても、数字は借りません。
指示内容を固定する
あなたは広告会社の営業を手伝い、得意先のオリエンを受けて、
提案書の骨子を作る立場です。開いている骨子の様式の見出しに沿って書いてください。
【参照するファイル】
1つ目はオリエンの資料、2つ目は聞き取りのメモ、
3つ目以降は参考にする過去の提案書です。
過去の提案書の得意先の課題や数字を、今回の得意先のものとして書かないでください。
【書くもの】
1. 要求事項の一覧:オリエンの資料で、提案に含めるよう求められている事項を、
資料の言葉どおりに引用し、ページを付けて表にしてください。
2. 評価の観点:資料に書かれていれば引用してください。無ければ「資料に記載なし」。
3. 課題の整理:資料とメモから、得意先の課題を3つまで。メモに書かれていない本音を推し量らないでください。
4. 提案の柱:課題ごとに1文。末尾に「(プランナーが詰める)」と書いてください。
5. スライドの構成:見出し1を章、見出し2をスライドの見出しにし、要点は4行まで。
要求事項の一覧のどの行に答えるスライドかを、要点の最後に【要求事項3】のように書いてください。
【厳守事項】
- 予算、媒体費、KPIの目標値、売上や効果の見込みの数字は書かないでください。
その欄には「【営業が入れる】」と書いてください。
- キャッチコピー、表現案、ビジュアルの案は書かないでください。「【プランナーが入れる】」と書いてください。
- 過去の提案書から借りた構成や言い回しには、ファイル名とページを( )で付けてください。
過去の提案書の数字、商品名、得意先の名前は借りないでください。
- 要求事項の一覧のうち、どのスライドでも答えていない行があれば、最後に「答えていない要求事項」として並べてください。
この指示は、骨子の様式の1ページ目に「Copilot への指示」として貼っておきます。 営業は毎回これを写して Copilot に渡し、案件ごとに変えるのはファイルの指定だけにします。担当者が自分で指示を書くと、数字を空ける決まりが抜けます。
「答えていない要求事項」を最後に並べさせているのは、第3章の(a)のためです。 要求事項の一覧とスライドの構成を突き合わせる作業を、AIの出力の最後の数行で済ませます。 人は、そこに並んだ行に答えるスライドを足すかを決めます。
出力形式を固定する
骨子は、Word の様式の見出しに沿った文書で受け取ります。 次の工程で PowerPoint の Copilot に渡すため、見出しのスタイルで構造を持たせることが、JSON の代わりの構造化になります。作るページのベストプラクティスでも、Word のスタイルで文書を整理すると、Copilot が文書の構造とスライドへの分け方を理解しやすいとされています。
【要求事項の一覧】
| 番号 | 要求事項(資料の言葉どおり) | ページ | 答えるスライド |
| 1 | 「値引きに依存しない売場づくりの施策」 | p.4 | 3-1、3-2 |
| 2 | 「店頭での展開案も含めること」 | p.9 | 3-3 |
| 3 | 「効果測定の方法を示すこと」 | p.9 | (答えていない) |
【見出し1】3. 施策
【見出し2】3-1 売場で「選ぶ理由」をつくる
・冷凍庫の扉に、食べる場面を見せる販促物を置く(過去提案 A社_2025春 p.12 の構成)
・値引きの代わりに、レシピの提案で買い合わせを促す
・投下する店舗数と費用【営業が入れる】
・【要求事項1】
【答えていない要求事項】
・3 効果測定の方法を示すこと
1つ目の理由は、要求事項とスライドの対応が1枚の表で見えることです。 「答えるスライド」の列に空きがあれば、それが答え漏れです。プランナーに渡す前に、営業がこの表だけを見て足すスライドを決めます。
2つ目は、空けた欄が目に見えることです。 【営業が入れる】が骨子に残ったままスライドになれば、スライドにも残ります。仕上げの段で【】を検索すれば、入れ忘れが一覧になります。
3つ目は、借りた箇所に出典が付くことです。 出典の付いた箇所だけを、元の提案書と見比べて、別の得意先の情報が残っていないかを確かめれば済みます。
システムへ連携する
| つなぎ先 | 方式 | 内容 |
|---|---|---|
| 案件のフォルダ | Word の Copilot で「/」からファイルを選ぶ | オリエンの資料とメモを読む |
| 提案書の保管庫 | 同上(営業が選んだ提案書だけ) | 構成と借りる部分の候補を読む |
| 骨子 | Word の文書として案件のフォルダに保存 | 営業とプランナーが直す |
| 提案書の下書き | PowerPoint の Copilot で骨子を指定して作る | 案件のフォルダに保存 |
どこにも自動で書き込みません。 骨子もスライドも、営業が開いた文書の中で作られます。この構成は、SharePoint の中の文書と、それを開いた人の操作だけで閉じています。
得意先には、下書きのまま出しません。 下書きは社内の作業用の文書で、提出するのは、プランナーとクリエイティブの担当が仕上げ、営業の上長が確認した版だけです。
人が確認する
この構成では、骨子とスライドの両方を人が確かめます。 提案書は、得意先に出す自社の顔だからです。
- 要求事項の一覧を、オリエンの資料と照らす … 引用とページが合っているか、拾い漏れが無いかを見ます
- 「答えていない要求事項」に答えるスライドを足す … 足すかどうかは営業とプランナーが決めます
- 課題の整理を、聞き取りのメモと照らす … メモに無いことが書かれていないかを見ます
- 借りた箇所の出典を、元の提案書と照らす … 別の得意先の情報が残っていないかを見ます
- スライドの下書きで、骨子から落ちた要点が無いかを見る … 【】の欄がスライドに残っているかも確かめます
1番目と4番目を省かないでください。 要求事項の拾い漏れは評価の減点に、借りた箇所の消し忘れは守秘の問題になります。どちらも、提出した後では取り返しがつきません。
確かめた結果は、骨子の最後に「確認した人と日付」として1行で書き残します。 プランナーが受け取ったときに、要求事項の照合と出典の照合が済んでいるかが一目で分かります。済んでいない骨子は、プランナーが受け取らない決まりにしておくと、確認が省かれません。
目標は、1件あたり140分です。 要求事項の書き出しと、スライドへの流し込みが下書きになることで、人の時間は確かめることと、直すことに移ります。
例外に対処する
| 起きること | 対応 |
|---|---|
| オリエンの資料が画像だけの PDF | 文字を選べなければ、要求事項の部分を営業がメモに書き起こす |
| オリエンの資料が長く、途中までしか読まれない | 要求事項の章だけを別のファイルにして指定し直す |
| オリエンが口頭だけで資料が無い | 聞き取りのメモだけで骨子を作る。要求事項の一覧は、得意先に確認のメールを送ってから確定する |
| 英語のオリエン資料 | 骨子は日本語で作る。要求事項の引用は英語のまま残させる |
| 過去に似た案件が無い | 過去の提案書を指定せずに作る。構成は様式の見出しに沿わせる |
| スライドが見本と違う見た目になる | テンプレートの見本のスライドが足りない。章ごとの見本を足す |
| PowerPoint の Copilot で骨子のファイルを選べない | 手順とライセンスを管理者に確かめる。よくある質問のページでは、ファイルから作る機能に Designer のライセンスが要る場合があるとされています |
| 骨子の数字の欄に数字が入っていた | 指示の「書かないでください」が効いていない。骨子の段で消し、様式の指示を見直す |
| オリエンの後に得意先から追加の要件が届いた | 追加のメールを Word にしてメモの末尾に貼り、骨子を作り直さず、要求事項の一覧に行を足して答えるスライドを決める |
| 同じ得意先で競合のプレゼンが続く | 前回の提案書を参考に選ぶ。前回の負けの理由がメモにあれば、課題の整理に書かせる |
| 得意先から暗号化された資料が届いた | Microsoft Copilot のライセンスでは暗号化された文書も扱えるとされる。扱ってよいかは得意先との取り決めで決める |
上から1行目と2行目が、最初の数週はいちばん多く起きます。 どちらもAIの問題ではなく、資料の受け取り方の問題です。 オリエンの際に、得意先に文字の入った PDF でもらえるかを聞いておくと減ります。追加の要件の行も、一覧に足す決まりにしておかないと、口頭やメールで届いた要件だけが答え漏れになります。
記録を残す
- オリエンの資料と聞き取りのメモ(案件のフォルダ)
- Copilot が作った骨子の初版と、営業とプランナーが直した版
- 要求事項の一覧と、答えるスライドの対応表の最終版
- 借りた過去の提案書のファイル名と、借りた箇所
- PowerPoint の下書きの初版と、提出した版
- 提案の勝敗と、得意先からの評価のコメント
骨子の初版と直した版は、別のファイルで残します。 どこを直したかが分かると、指示や様式のどこが効いていないかが見えてきます。
最後の行は、骨子の型を育てる材料になります。 勝った提案の骨子を、次の案件の「参考にする過去の提案書」の候補として保管庫に登録します。
04実装レベルの3段階
本記事の想定は半自動化です。 1件300分が140分になるのは、要求事項の書き出しと、スライドへの流し込みが下書きになるからです。 本格構成で、参考にする提案書をAIに選ばせるのは慎重に進めます。 選ぶ範囲が広がるほど、別の得意先の情報が混ざる経路が増えます。 事例として公開してよい提案書だけを集めたフォルダを作り、そこだけを知識にします。
05工数削減シミュレーション
導入後 30件 × 140分 ÷ 60 = 70 時間/月
自社条件で導入効果を整理したい方へ
このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。
06向いている企業・向いていない企業
- 得意先からオリエンテーションを受けて広告・販促・デジタル施策の提案書を作ることが多い広告会社・制作会社・PR会社。営業とプランナーが、オリエンの資料を読んで要求事項を拾い、過去の提案書から使える部分を探して、社内テンプレートの PowerPoint に1枚ずつ流し込んでいる場合。提案書の構成や出来が担当者によって大きく違う場合。社内テンプレートが整っており、営業が Microsoft Copilot(旧称 Microsoft 365 Copilot)を使える場合。法人向けのサービスを提案する IT・SaaS 企業や人材サービス会社にも当てはまります。
- 提案書を毎回ゼロから企画し、構成の型がほとんど無い場合(骨子の型が作れない)。提案の中心がクリエイティブの表現案(コピー、ビジュアル)で、文章の構成の比重が小さい場合。過去の提案書が個人のPCに散らばり、SharePoint や OneDrive に集まっていない場合。なお、何を提案するか、予算と見積、媒体の選定、表現の良し悪しの判断は、営業とプランナーが行います。この構成は下書きを助けるもので、企画の判断は代替しません。
07最小構成で試す方法
- 先月オリエンを受けた案件から3件を選ぶ(うち1件は、提出後に要求事項の答え漏れを指摘された案件を入れる)
- 当時のオリエンの資料と聞き取りのメモを用意する
- Word で骨子の様式を作り、第7章の指示を1ページ目に貼る
- Word の Copilot で、資料とメモを指定して骨子を作らせる
- 出てきた要求事項の一覧と「答えていない要求事項」を、当時の提案書と突き合わせる
答え漏れを指摘された案件は必ず入れてください。 当時見落とした要求事項が、一覧に出てくるかを確かめます。
| 出てきた内容 | 判断 |
|---|---|
| 当時見落とした要求事項が一覧に出た | スライドの下書きまで進む |
| 数字の欄に数字が入った | 指示の書き方で直る。構成は有効 |
| 要求事項がほとんど拾われない | 資料の形が先。 文字を選べるか、長すぎないかを見る |
1行目が出たら、この構成の価値はそこにあります。 骨子の時間が減ることより、提出の前に答え漏れが分かることのほうが、提案の勝ち負けに効きます。
08実装時につまずきやすいポイント
| 問題 | 対策 |
|---|---|
| 骨子に数字が書かれる | 指示で禁じ、欄に【営業が入れる】と書かせる |
| 過去の提案書の課題が今回の得意先の課題になる | ファイルの順番と役割を指示に書く |
| 別の得意先の商品名や数字が残る | 借りる提案書を限り、借りた箇所に出典を付けさせる |
| 要求事項が言い換えられる | 資料の言葉どおりの引用を指示する |
| 長いオリエン資料が途中までしか読まれない | 要求事項の章だけに分ける |
| スライドがどれも同じ見た目になる | テンプレートに章ごとの見本のスライドを足す |
| スライドを作るときに指示を足せない | スライドに反映したいことは骨子に書く |
| Agent Mode でファイルを選べない | 自社の環境で使える手順を最初に1件で確かめる |
| 骨子を直さずにスライドにする | 骨子をプランナーと直してから作る、と手順に書く |
上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、AIがもっともらしい中身で欄を埋める失敗です。人が埋めた数字には根拠を聞けますが、AIが埋めた数字には聞けません。埋めさせない欄を決め、空いていることを目に見える形にすれば、毎回同じように防げます。
09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点
この構成で扱うデータ: 得意先の未発表の商品や施策の情報、予算の目安、得意先の社内事情、過去の提案書に含まれる別の得意先の情報です。オリエンの資料は、多くの場合、秘密保持の約束の下で受け取ったものです。
- 参考にする過去の提案書を限る … Copilot は、利用者が少なくとも閲覧の権限を持つデータだけを示すとされています。営業が見られる提案書なら何でも参照できるので、同じ得意先か、事例として公開してよいと決めた提案書だけを選ぶ決まりにします
- 保管庫の権限を見直す … 競合する得意先を持つ営業どうしが、互いの得意先の提案書を見られる状態なら、先に権限を分けます
- 秘密度ラベルを付ける … Word の Copilot は、適切な秘密度ラベルを尊重して適用するとされています。オリエンの資料には得意先の取り決めに合ったラベルを付けておきます
- データの扱いを確かめておく … Microsoft の公式ページでは、プロンプト、応答、Microsoft Graph で参照したデータは基盤のモデルの学習に使われないとされています。得意先との秘密保持の約束で、受け取った資料を社内のどの仕組みで扱ってよいかが決まっていることがあるので、照らしておきます
- 下書きのまま得意先に出さない … 提出するのは、人が仕上げて上長が確認した版だけです
- AIで作った画像の扱いを決める … PowerPoint の Copilot が AI で作った画像を入れたスライドには、スピーカーノートに AI 生成である旨が記されるとされています。提案書に AI で作った画像を使うかは、得意先の方針も確かめて決めます
誤りが起きた場合のリスクは、根拠の無い数字が提案書に残ることと、別の得意先の情報が流用されることの2つです。 前者は数字の欄を空けないと起き、後者は借りる提案書を限らないと起きます。どちらも指示と運用の決まりで防ぎ、人が出典と照らすことで確かめます。
10まず何から始めるか
1週目:骨子の様式を作る
営業局で一番評価の高い提案書を3件選び、その構成から骨子の様式(要求事項の一覧、章とスライドの見出しの型、空けておく欄)を作ります。1ページ目に第7章の指示を貼ります。
2週目:3件で試す
先月の案件を3件選び、Word の Copilot で骨子を作らせます。当時見落とした要求事項が一覧に出るかと、数字の欄が空いているかを最優先で見ます。
3週目:借りてよい提案書を決める
事例として社内で使ってよい提案書を、営業局長と法務で選び、別のフォルダに集めます。 あわせて、保管庫の権限を見直します。
4週目:スライドの下書きまでつなぐ
社内テンプレートに章ごとの見本のスライドを足し、直した骨子から PowerPoint の Copilot でスライドの下書きを作ります。自社の環境でファイルを指定して作れる手順を、ここで確かめます。
2か月目: 新しいオリエンのすべてで使い、「答えていない要求事項」の件数を数えます。3か月目以降: 1件300分が何分になったかを実測し、オリエンの翌日にプランナーへ骨子と下書きを渡せるようになった時点で、この構成は完成です。
11関連ユースケース
12この仕組みを理解するための記事
13技術仕様の確認日・参考情報
| 確認した内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|
| PowerPoint の Copilot で Agent Mode からプロンプトで作る手順と、Agent Mode でのファイルの参照が「近日対応」であること。Word のスタイルで文書を整理すると構造とスライドへの分け方を理解しやすいこと。組織のテンプレートから始めるとテーマとデザインを保つこと。ファイルを参照して作るときは同じプロンプトで追加の指示を与えられないこと。AIで作った画像のスライドにはスピーカーノートに AI 生成の旨が記されること | Microsoft Support: Create a new presentation with Copilot in PowerPoint | 2026-10-08 |
| 既存の Word の文書から1回に1ファイルでプレゼンテーションを作れること。Microsoft Copilot のライセンスでは Word か PDF を選べ、暗号化された文書も含まれること。1回のプロンプトで扱える単語の数に限りがあること。組織のブランドの利用と Organization Asset Library。ファイルから作る機能などに Designer のライセンスが要る場合があること | Microsoft Support: Frequently asked questions about Copilot in PowerPoint | 2026-10-08 |
| Copilot がテンプレートの見本のスライドを第一に、構成とレイアウトを第二に使うこと。見本のスライドが足りないとスライドマスターに戻ること。推奨する見本のスライドの種類 | Microsoft Support: Keep your presentation on brand with Copilot | 2026-10-08 |
| Word の Copilot で「/」から元にするファイルを選べること。テンプレートや既存の文書の書式と構成を保って書けること。参照した元への引用を付けて書けること。秘密度ラベルを尊重して適用すること | Microsoft Support: Draft and add content with Copilot in Word | 2026-10-08 |
| Microsoft 365 Copilot が Microsoft Copilot に改称されたこと。利用者が少なくとも閲覧の権限を持つデータだけを示すこと。プロンプト・応答・Microsoft Graph で参照したデータが基盤のモデルの学習に使われないこと | Microsoft Learn: Data, Privacy, and Security for Microsoft Copilot | 2026-10-08 |
何を提案するか、予算と見積、表現の良し悪しは、営業とプランナーが決めてください。 本記事は公開されている製品の仕様で確認できた範囲だけを扱っています。画面の手順は更新が続いているため、導入の前に自社の環境で確かめてください。
実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。
自社の業務に使えるAI活用候補を整理します
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