絵コンテは台本の清書ではない|撮る前に決める5項目

絵コンテは台本の清書ではない|撮る前に決める5項目

「台本の承認が下りたので、あとは絵コンテに清書するだけです」「絵が描けないので、絵コンテは制作会社にお任せしています」。——動画を初めて任された担当者からは、ほぼこの2つの形で届きます。どちらも、絵コンテを台本のあとに続く仕上げの作業だと考えている点で共通しています。ですが絵コンテは台本の清書ではありません。本当は、台本が決めていない「何が映るか」「どの順で」「何秒で」を、撮影に入る前に決め切るための紙です。制作会社が公開している解説も、シナリオが「何を話すか」を決める資料であるのに対し、絵コンテは「何をどう映すか」を決める資料だ、と明確に書き分けています。決める対象が違うので、そもそも清書という関係になりません。この記事では、1カットごとに決める5項目と、絵が描けなくても成立させる書き方、そして生成AIをどこまで噛ませてよいかを整理します。


カメ先生カメ先生

絵コンテは絵の上手い人が描くものだと思われがちなんだ。でも、あの紙で決めているのは絵そのものではなくて、画面に何を入れるか、どのくらいの大きさで写すか、何秒で次に移るか、という撮影への指示なんだよ。だから四角と棒人間で足りる。


カメ子カメ子

台本に「工場の様子を映す」と書いてあれば、それで足りるのではないでしょうか。


カメ先生カメ先生

そこが分かれ目でね。工場のどこを、どのくらい離れて、何秒映すかは台本には書かれていない。決めないまま現場に行くと、その場の思いつきで撮ることになる。撮り忘れが出るのは、たいていそこなんだ。


カメ子カメ子

台本が言葉を決めて、絵コンテが映るものと順番と秒数を決める、という分担になっているのですね。


この記事のポイント
  • 台本は「何を話すか」、絵コンテは「何をどう映すか」。決める対象が違うので、清書ではなく別の作業になる
  • 1カットで決めるのは、画に入れる物・寄りと引き・秒数・音と声・次へのつなぎの5つ。秒数の目安は制作会社の公開資料で2秒から10秒の幅に収まる
  • 案出し、下絵、字数の計算は機械で足りる。実際に撮れるか、権利は大丈夫か、社内の確認をどう通すかで人の判断が要る

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目次

台本ができた日に、絵コンテを飛ばすと何が起きるか

よくある流れをそのまま追いかけます。台本が社内で承認され、撮影日が決まります。会議室と工場を1日で回る予定で、出演するのは現場の担当者が2名。ここで絵コンテを飛ばすと、当日の朝はカメラをどこに置くかの相談から始まります。カメラの位置が決まらないと、机の向き、立つ位置、光の入り方が全部決まりません。最初の1カットに30分かかる日は、たいていこの相談から始まっています

困るのは進みの遅さだけではありません。制作会社の公開資料は、絵コンテを作る効果として、必要なカット数、撮影場所、素材が事前に明確になるため、撮り忘れや、不要なシーンに時間を使うといった問題を防げる、と書いています。裏を返せば、絵コンテがない撮影では、撮り忘れと、使わない映像に費やす時間が、両方とも起きる前提になっているということです。

撮り忘れに気づくのは、たいてい編集の段になってからです。ここで初めて、つなぎの間を埋める短いカットが足りない、製品を正面から写した映像がない、と分かります。撮影は終わっているので、もう一度同じ場所に人を集めるか、その部分を諦めるかの二択になります。同じ資料は、企画段階での共有が完成品の出来と費用の両方を左右する、とも書いています。撮影前の紙1枚が、撮影後の選択肢を決めているという構図です。

台本は何を話すか、絵コンテは何をどう映すか

役割の違いをもう一度、正確に置きます。シナリオが「何を話すか」を決める資料であるのに対し、絵コンテは「何をどう映すか」を決める資料である。制作会社の解説にある、この一文が線引きのすべてです。台本には言葉が並んでいます。ナレーションの原稿、出演者のセリフ、画面に出す文字。台本を読んで分かるのは、耳から入ってくる情報だけです。目から入ってくる情報は、1行も決まっていません。

台本に書かれていないものを数え上げると、思ったより多いことが分かります。被写体をどのくらいの大きさで写すか。画面のどちら側に立つか。手元を映すのか、全身を映すのか。背景に何を入れて、何を片付けるか。1つのカットを何秒続けるか。次のカットにどうつなぐか。この6つは、どれも台本を何度読み返しても答えが出てきません。書かれていないものを、その場の判断に委ねているだけです。

清書という捉え方が危ないのは、台本の言葉に引きずられるからです。台本を1行ずつ絵にしていくと、話している人の胸から上を写したカットばかりが並びます。話している内容と、映すべきものは違います。「導入して3か月で手間が減りました」という言葉に対して映すべきなのは、話している人の顔ではなく、手間が減った現場のほうです。絵コンテを起こす作業は、言葉を絵に置き換える作業ではなく、言葉の裏づけになる画を探す作業です

絵コンテに置く欄は6つでよい

何を書けばよいか分からない、という迷いは、欄の一覧を先に置けば消えます。制作会社が公開している基本構成要素は6つで、カット番号、画面イメージ、セリフとナレーション、音楽と効果音の指示、尺すなわち秒数の指定、演出メモと補足情報です。別の制作会社の解説も、シーンとカット番号、動画全体の流れ、アングルや構図、セリフ、ナレーション、音楽、効果音、そしてト書きを挙げていて、呼び方が違うだけでほぼ同じ並びになります。

書くことこの欄が空だと現場で起きること
カット番号通し番号。撮影順ではなく、完成した動画の並び順で振る撮影中にどこを撮っているか分からなくなり、同じ画を2回撮る
画面イメージ四角の中に、手前と奥に何があるかを図で。人は棒人間で足りる現場でカメラ位置の相談から始まり、1カットあたりの時間が延びる
セリフとナレーションそのカットの間に読み上げる文言。文字数も添える映像が先に終わって声だけが残る、または声が途中で切れる
音楽と効果音音楽が入る位置と切り替わる位置、その場で録る音の指定現場の音を録らずに帰り、後から足せないことに編集で気づく
秒数そのカットを何秒続けるか。合計が動画全体の長さになる撮影は終わったのに、つないだら尺が2倍になっていた、が起きる
演出メモ動きの向き、避けたい映り込み、権利の確認が要る物外注先に意図が伝わらず、指示していない演出で納品される

この6つのうち、社内で軽く見られやすいのが最後の演出メモです。ところが外注に出す場合、実際にいちばん読まれるのはここです。絵に描けないことは全部この欄に落ちるからです。制作会社の解説も、絵コンテの目的として、外注のスタッフに簡単かつ確実に情報を伝えられること、撮影現場の準備や動きが滞りなく進むことを挙げています。伝わる相手は社内の人だけではありません。

カット番号の振り方にも注意点があります。番号は完成した動画の並び順で振り、撮影する順番は別に管理します。同じ場所で撮るカットはまとめて撮るので、撮影順は必ず番号の順とずれます。番号を撮影順で振ってしまうと、編集の段で並べ替えたときにどのカットがどこに入るのかが分からなくなります。番号は動画の設計図の側、撮影順は当日の段取りの側、と持ち場を分けておきます。

項目1:画の中に何を入れるか

1つ目の項目は、そのカットの画面に何が写っているかです。制作会社の解説は、絵の上手さにこだわるのではなく、どこに何があるか、どんな動きをするかを伝えることがポイントだ、と書いています。つまり求められているのは、手前に何を置き、奥に何を写し、人がどちら向きに立つか、この3つを図で示すことだけです。画力の話ではなく、配置を決めているかどうかの話です

この欄を埋めると、副産物として当日の持ち物一覧ができます。製品の実物、印刷した資料、名札、作業着、机の上に置く小物。画面に写ると書いた物は、当日そこになければ撮れません。逆に、写ってはいけない物も同じ欄に書きます。他社の製品、掲示された社内文書、顧客名の入った書類、私物。写してはいけない物を先に書き出しておくと、撮影当日の片付けが作業になり、判断にならずに済みます

人の動きは矢印1本で足ります。右から入って中央で止まる、机の前に座る、画面の外へ出る。動きを書いておくと、必要な尺が自然に決まります。人が歩いて画面に入り、止まって、話し始めるまでには、それだけで3秒前後かかります。動きを書いていないカットは、この時間を勘定に入れないまま秒数を決めることになり、撮ったあとで足りないことが分かります。

項目2:寄りと引きのどちらで写すか

2つ目は被写体をどのくらいの大きさで写すかです。呼び方は制作の現場でおおむね決まっていて、顔や手元に近づくクローズアップ、上半身が入るミディアムショット、場所全体が入るロングショットの3段が基本です。ここに、話し相手の肩越しに撮る撮り方が加わります。別の制作会社の解説も、バストアップや肩越しといった呼び方を挙げています。この4つが書き分けられていれば、絵コンテとして十分に通用します

どれを選ぶかは、そのカットで伝えたいものが決めます。手の動きを見せたいならクローズアップ、話している人の表情も一緒に見せたいならミディアムショット、規模や環境を見せたいならロングショットです。難しいのは、同じ大きさが3カット以上続いたときです。画面の情報量が変わらないので、見ている側は途中で止まったように感じます。寄りと引きは交互に置くのが基本で、絵コンテを通しで眺めたときに大きさの波ができているかを見ます

寄りと引きは、撮影の手間がまったく違います。引きで撮ると背景が全部映るので、映ってはいけない物を片付ける範囲が広がります。天井、床、通路の奥まで入ります。寄りで撮れば、片付ける範囲は机の上だけで済みます。引きのカットを1つ足すという判断は、当日の片付け時間を10分単位で増やす判断でもあります。この関係を知っていると、絵コンテの段階で無理のない配分に寄せられます。

項目3:このカットは何秒か

3つ目は秒数です。ここが埋まっているかどうかで、絵コンテが設計図になるか、ただの絵の並びで終わるかが分かれます。制作会社の公開資料には具体的な目安が出ています。短い縦の動画では1カット2秒から4秒。会社を紹介する動画では1カット5秒から10秒程度で切り替えると、ちょうどよい速さを保てる。別の制作会社は、1カットの長さは基本的に3秒まで、長くても5秒から6秒が限度、と書いています。

数字に幅があるのは、動画の種類が違うからです。ただ、どの資料も上限が10秒を超えません。1つの画を10秒以上見続けさせる設計は、例外扱いだと考えて構いません。秒数の欄は1秒より細かく刻めるようにしておきます。制作会社の解説も、カット順と秒数は1秒以下の単位で決めると書いています。0.5秒の差が、つないだときの印象を変えるためです。

秒数を書くと、撮影前に算数ができるようになります。ナレーション原稿の文字数の目安は、1分間で180字前後とされています。つまり30秒の動画に載る原稿は90字前後です。台本が200字あるなら、その時点で30秒には収まりません。入れるメッセージの数にも目安があり、30秒前後の動画なら1つか2つ、60秒以上でも3つまで、とされています。絵コンテは絵を描く作業に見えて、実際にはこの引き算を撮影前に済ませる作業です

項目4:音と声はどこから入るか

4つ目は音です。音の欄は3つに分けて考えると迷いません。話す声、その場で録る現場の音、そして音楽です。話す声には、画面に映っている人のセリフと、映っていない人が読み上げるナレーションの2種類があります。この2つは録り方が違います。セリフは撮影と同時に録りますが、ナレーションは別の日に別の場所で録るのが普通です。絵コンテの段階でどちらかを決めておかないと、撮影当日の機材が変わります

見落とされやすいのが現場の音です。機械が動く音、作業の音、人の話し声。これらは撮影のその場でしか録れません。編集の段になって、ここに現場の音がほしいと思っても、後から足せないか、素材を買ってくることになります。絵コンテの音の欄に「この場面は現場の音を使う」と1行書いておけば、当日その方向にマイクを向けることになります。録り直せない音を先に洗い出しておくのが、この欄の実務上の役目です

音楽については、入る位置と切り替わる位置をカット番号で書きます。全編を通して1曲なのか、途中で雰囲気を変えるのか。切り替える位置を決めておくと、映像のつなぎ目と音のつなぎ目をそろえられます。なお、使う音源の権利の確かめ方は、素材ごとの利用規約の話になるのでここでは扱いません。絵コンテの段階でやるべきは、権利の確認が必要な音がどのカットに入るかを演出メモに書き出しておくことです

項目5:次のカットへどうつなぐか

5つ目はつなぎです。制作会社の解説は、絵コンテに含める要素として、各カットの構図、カメラアングル、被写体の動き、そしてカットの繋がり、を挙げています。最後の繋がりだけは、1枚の中では決まりません。隣り合う2枚を並べて初めて決まります。絵コンテを1枚ずつ描いて満足してしまうと、この項目だけが最後まで空欄で残ります

つなぎで最初に見るのは、動きの向きです。人が画面の右へ歩いて出ていったなら、次のカットでは左から入ってくるように撮ります。両方とも右から入ってくると、見ている側には引き返したように映ります。物を手渡す、視線を向ける、指をさす。向きのある動作は全部この対象です。向きは絵に矢印を1本足すだけで指定できるので、書き忘れる理由がありません

もう1つは、カメラを動かすかどうかです。左右に振る、寄る、台に載せて移動する、といった動かし方に、それぞれ呼び名があります。ただし、動かすカットは撮影に時間がかかります。1回で決まらないので、何度か撮り直すことになります。固定を基本にして、動かすと決めたカットにだけ指示を書く、という置き方にすると、当日の予定が崩れにくくなります。動かす理由が説明できないカットは、固定で撮ります。

絵が下手でも絵コンテは成立する

ここで、いちばん多い足止めの理由に答えます。絵が苦手なので絵コンテが作れない、という声について、制作会社の解説はこう書いています。絵コンテに求められるのは芸術性ではなく、構図と配置が伝わること。シンプルな図形で十分伝わるし、参考画像や写真を貼り付けてコラージュする方法も実務では一般的に使われている。四角と丸と棒線と矢印、この4つで足ります

実際の描き方はこうなります。カットの枠を四角で描き、人を棒人間で置き、机や製品を四角で置き、動きに矢印を引く。寄りか引きかは、枠の中で棒人間が占める大きさで表します。顔のアップなら丸が枠いっぱい、引きなら棒人間が枠の3分の1。これだけで、寄りと引きと配置と動きの4つが1枚に収まります。手描きでも、資料作成のソフトの図形でも構いません。

むしろ気をつけたいのは、描き込みすぎる側です。きれいな絵が並ぶと、社内の確認の場で完成形として受け取られます。すると、実際に撮った映像がその絵と違うという話になり、絵コンテが期待値を上げただけで終わります。絵コンテはこれから撮るものの設計図であって、完成見本ではありません。この線引きは、次に扱う生成AIの下絵でそのまま問題になります。

絵コンテを起こす5工程

手順を並べます。台本が承認された時点から、撮影の準備に渡すまでの間です。この順番でやると、書き直しがいちばん少なくなります。

STEP1
台本を意味のかたまりで割る

1行ずつではなく、言いたいことの単位で割る。「課題を示す」「導入した経緯」「変わったこと」のように、かたまりに名前を付ける

STEP2
かたまりごとに秒数を配る

1分180字を目安に、原稿の文字数から必要な秒数を出す。合計が想定の長さを超えていたら、この時点でかたまりを減らす。カットを描いてから減らすと作業が無駄になる

STEP3
かたまりを1カットずつに割って番号を振る

1カットは短い動画で2秒から4秒、会社紹介で5秒から10秒が目安。かたまりの秒数をこの幅で割ると、必要なカット数が出る

STEP4
カットごとに5項目を埋める

画に入れる物、寄りと引き、秒数、音と声、次へのつなぎ。空欄を残さない。決められない欄があるなら、それは撮影当日に決まらない項目でもある

STEP5
通しで読み、撮影順に並べ替えた表を別に作る

同じ場所のカットをまとめる。絵コンテの並びは動画の順、撮影順表は当日の順。2枚を別々に持つ

この5工程で抜けやすいのは、2番目と5番目です。2番目を飛ばすと、カットを50枚描いてから尺が2倍だと分かります。秒数の勘定は、絵を描く前に済ませておく作業です。5番目を飛ばすと、当日は同じ場所を何度も往復することになります。撮影順の組み方そのものは別の論点なので、ここでは絵コンテの並びとは別の表を持つ、という点だけ押さえておきます。

完成したかどうかの判定は、感覚ではなく数え上げでできます。カット数が数えられるか。合計の秒数が出るか。撮影場所がいくつあるか。出演する人が何人か。持ち込む物が何点か。この5つが数えられるなら、その絵コンテは撮影の準備に渡せます。数えられない項目が残っているなら、それは当日に誰かが決めることになる項目です

生成AIを噛ませてよい3か所

ここから、AIをどこに入れるかの話です。噛ませどころは3つあります。カット割りの案出し、絵コンテ用の下絵、そして秒数と字数の計算です。順番も大事で、案出しから入るのが実務に合います。制作会社の解説も、まずイメージボードを作るのが効果的で、そのあと絵コンテに落とし込んで撮影現場で使える情報に変換する、という2段構えを勧めています。下絵から先に作ると、絵に引きずられて構成が決まってしまいます

  • 同じかたまりに対して、カットの割り方を3案出させる。1案だけ出させると比較ができない
  • 手元を寄りで撮る案と、場所全体を引きで撮る案を、それぞれ別の案として出させる
  • 原稿の文字数から必要な秒数を計算させ、合計が想定の長さに収まるかを表にさせる
  • 絵コンテ用の下絵を、配置と大きさの確認だけを目的にした簡素な図として出させる
  • 書いた絵コンテを読ませて、秒数・音・つなぎのうち空欄が残っているカットを一覧にさせる

下絵を作らせるときは、指示に含める要素を先に決めておくと安定します。制作会社の解説は、被写体、場所、行動、構図、光、レンズ、トーンの7つをひと組で考える方式を挙げています。別の制作会社は、カット番号、秒数、画面内容、人物の位置関係、表情や動作、カメラサイズを整理してから画像を作る手順を6段階で示しています。どちらも共通しているのは、絵を頼む前に文字で条件を確定させている点です

いちばん確実に効くのは、実は3つ目の計算です。1分180字という目安と、カットごとの秒数の目安を渡せば、原稿がその尺に収まるかどうかは機械的に出ます。ただし、計算に使った字数と単価をその場で書き出させます。答えの数字だけを受け取ると、原稿の一部を数え落としていても気づけません。根拠を並べて返させることが、そのまま検算になります。

AIに任せてはいけない3つ

任せてよい範囲の外側を、はっきり書いておきます。1つ目は、実際に撮れるかどうかの判断です。制作会社の解説は、生成した画像をそのまま完成形と考えないこと、現実には難しい条件が含まれることがある、と注意しています。別の解説はもっと直接的で、AIで作れることと制作できることを同じだと捉えず、自社で対応できる演出かどうかを確認しておくように、と書いています。下絵に写っているものが、当日その場所にあるとは限りません

  • 生成された下絵の見栄えで構成を決める——撮れない画を前提にした絵コンテになり、当日に組み直しになる
  • 画面に入る文字やロゴを下絵で確認する——文字やロゴを正確に描くのは苦手な領域で、そのまま持ち込むと誤りが残る
  • 同じ人物を全カットで揃えられる前提で作る——カットごとに見た目が変わり、社内の確認で別人だと指摘される
  • 下絵をそのまま社外の確認資料に使う——完成見本と受け取られ、納品時に違うという話になる
  • 撮影の可否をAIに判定させる——現場の広さも機材も渡していないので、根拠のない可能判定が返る

2つ目は権利です。同じ解説は権利面にも注意が必要だと明記しています。生成した下絵に、実在の人物に似た顔、他社の製品、企業の標章が入り込むことがあります。下絵は社内で配置を確認するための紙なので、そのまま外に出さなければ問題になりにくいのですが、確認資料に貼って社外に配ると話が変わります。下絵を社外に出す前に人が見る、というだけの取り決めを先に置きます

3つ目は社内の確認です。撮影場所を借りる許可、出演する社員の同意、映り込む文書の扱い、原稿に入れる数字の裏づけ。どれも社内の事情で、AIには渡っていない情報のほうが多い領域です。人が確認する範囲を、絵コンテを作り始める前に決めておきます。撮影の可否、権利、数字の3つは人が持つ、と先に線を引いておけば、下絵の出来がよいときでも判断が押し流されません。

外注に絵コンテを出すと見積りが変わる

制作を外に出す場合、絵コンテの有無は見積りの精度を直接動かします。見積りを組み立てているのは、撮影日数、撮影場所の数、出演者の人数、カット数、編集の手間です。絵コンテがあれば、この5つのうち4つがその紙から読み取れます。読み取れない分は、必ず幅として見積りに乗ります。相場そのものの話はここでは扱いませんが、幅が乗る理由は絵コンテの有無で説明がつきます。

制作会社の解説は、絵コンテの目的として、外注のスタッフに簡単かつ確実に情報を伝えられることを挙げ、必要なカット数、撮影場所、素材が事前に明確になるため、撮り忘れや不要なシーンに時間を使う問題を防げる、と書いています。追加撮影が減るのは、当日に判断する項目が減るからです。当日に決める項目が多いほど、決め直しの回数が増え、撮り直しの確率も上がります。

  • 自社で描いた絵コンテを渡すのか、絵コンテの作成から依頼するのかを、見積りを取る前に決める
  • 渡す絵コンテには、カット数と合計秒数と撮影場所の数を、表紙に数字で書いておく
  • 変えてよいカットと変えてはいけないカットに、あらかじめ印を付けて渡す
  • 撮影当日に絵コンテから外れた場合、誰が判断してよいかを取り決めに1行入れる
  • 生成AIで作った下絵を渡す場合は、完成見本ではなく配置の確認用だと明記して渡す

渡し方にも順番があります。先に絵コンテを渡してから見積りを依頼すると、こちらの想定に合わせた見積りが出てきます。先に見積りを取ってから絵コンテを作ると、決まった金額に絵コンテを合わせることになり、必要なカットが削られます。絵コンテが先、見積りが後です。自社で絵コンテを描けるようにしておく値打ちは、この順番を取れることにあります。

撮影当日、絵コンテのどこを変えてよいか

当日は必ず何かが変わります。天気が変わる、借りた場所の都合が変わる、出演予定の人が会議で抜けられなくなる。そのたびに絵コンテを開いて相談していると、撮影が止まります。だから、変えてよい項目と変えてはいけない項目を、絵コンテを作る段階で分けておきます。当日に判断すべきなのは、変えてよい側だけです

現場で起きること変えてよいか理由と、その場でやること
カメラの高さや角度を少し変える変えてよい画に入る物と大きさが同じなら、編集への影響がない。変えた内容を絵コンテに書き込む
寄りを1段深くする、引きを1段広げる条件つきで変えてよい前後のカットと大きさが揃わなくならないかだけ確認してから変える
予備のカットを追加で撮る変えてよい編集で使える手札が増える。番号は枝番で振り、元の番号を消さない
カットの順番を入れ替える変えてはいけないつなぎの向きが崩れる。順番は編集で決め直せるので、撮影は絵コンテの通りに撮る
カットを丸ごと省く変えてはいけない省いた穴は編集で埋まらない。時間が足りないなら、省くのではなく秒数を詰めて撮る
台本にない発言をその場で足す変えてはいけない権利と社内確認を通っていない。撮るなら別テイクとして分けて記録する

変えたら、その場で絵コンテに書き込みます。撮り終わった絵コンテは、そのまま編集への指示書になります。どのカットを撮ったか、どのカットを飛ばしたか、予備を何本撮ったか。これが書かれていない絵コンテは、編集の担当が映像を全部見て確かめ直すことになります。撮影の間に書き込む数分が、編集の数時間を減らします

判断する人は1人に決めておきます。現場で相談を始めると、その場にいる全員が止まります。決める人を先に指名し、その人が絵コンテを持ちます。決める人が決まっていない現場では、変えてはいけない項目のほうが先に変わります。声の大きい人の意見が通るのではなく、絵コンテを持っている人が決める、という形にしておきます。

撮った後、絵コンテに書き戻す

公開したら、数字を絵コンテに戻します。動画共有サイトの公式ヘルプは、視聴者維持率のグラフの読み方を4つの形で説明しています。線が平坦なら、視聴者がその部分を最初から最後まで再生している。緩やかな下降は、時間の経過とともに関心を失っていることを表す。山は、その部分を何度も視聴したか共有した人が多い。谷は、その部分で視聴を止めたかスキップしたことを示す。この4つは、そのままカット単位の評価に落とせます

使い方はこうです。谷が出ている秒数を、絵コンテのカット番号に当てます。何秒目で離脱したかが分かれば、そのカットの寄りが弱かったのか、秒数が長すぎたのか、つなぎが不自然だったのかを、5項目のどれかとして言い当てられます。同じヘルプには、イントロは最初の30秒が経過した後で引き続き動画を視聴した視聴者の割合を示す、とあります。最初の30秒に置いたカットの並びが、そのまま次の動画の設計に効きます

測れる条件には制限があります。同じヘルプは、このレポートを見るには動画の長さが60秒以上で、視聴回数が100回以上である必要がある、と書いています。短い動画や、社内向けの視聴回数が少ない動画では、この数字は出ません。その場合は、見た人に直接どこで止めたかを聞くしかありません。どちらにしても、返ってきた情報を絵コンテに書き戻さないと、次の1本で同じ並びを繰り返します。

  • 谷が出た秒数を、絵コンテのカット番号に置き換えて記録する
  • そのカットの5項目のうち、どれが原因だったと考えるかを1行で書き残す
  • 最初の30秒に入れたカットの数と、それぞれの秒数を控えておく
  • 次の絵コンテを作るとき、前回の記録を横に置いてから1枚目を描き始める
  • 視聴回数が少なく数字が出ない場合は、見た人3名に止めた場所を聞いて代わりにする

まとめ

絵コンテは台本の清書ではありません。台本が決めているのは「何を話すか」で、絵コンテが決めるのは「何をどう映すか」です。決める対象そのものが違うので、台本を1行ずつ絵にしていく作業とは別物になります。台本を何度読み返しても、被写体の大きさ、画面の中の配置、1カットの秒数、次のカットへのつなぎは出てきません。撮影に入る前にこれを決め切っておくための紙が、絵コンテです。

1カットで決めるのは5つです。画の中に何を入れるか。寄りと引きのどちらで写すか。何秒続けるか。音と声はどこから入るか。次のカットへどうつなぐか。秒数の目安は、短い縦の動画で1カット2秒から4秒、会社紹介で5秒から10秒。1分180字という原稿の目安と掛け合わせれば、台本が想定の長さに収まるかどうかは撮影前に計算できます。絵コンテは絵を描く作業に見えて、この引き算を先に済ませる作業です。

絵が描けないことは、始めない理由になりません。求められているのは芸術性ではなく、構図と配置が伝わることです。四角と丸と棒線と矢印で足ります。むしろ描き込みすぎると、完成見本として受け取られて期待値だけが上がります。生成AIを使う場合も同じで、下絵は配置の確認までです。案出し、下絵、秒数と字数の計算までは任せられますが、実際に撮れるか、権利、社内の確認の3つは人が持ちます。ここに線を引いておくと、見栄えのよい下絵が判断を押し流すことがなくなります。

始め方は小さくて構いません。次に撮る動画の台本を意味のかたまりで割り、かたまりごとに秒数を配り、5項目の欄だけを作った紙に書き込んでみる。それだけで、当日に決めなければならない項目が何個あるかが数えられるようになります。絵コンテが返してくれるのは、きれいな絵ではなく、まだ決まっていない項目の一覧です。撮影が始まってから決まっていないことに気づく回数を減らせた分だけ、撮り直しと追加撮影が減ります。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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