撮った動画をAIで編集する5工程|作業時間を削る順番

撮った動画をAIで編集する5工程|作業時間を削る順番

「撮影は先月に終わったのに、編集がまだ終わりません」「AIで編集できると聞いて試したのに、結局ほとんど手作業でした」——動画を内製し始めた部署からは、この2つがほぼ同時に届きます。編集が終わらないのは、担当者の手が遅いからではありません。本当は、編集と呼んでいる作業が5つに分かれていて、AIが効く工程と効かない工程が混ざっていることが原因です。この記事では、撮り終えた素材を仕上げるまでを5つの工程に分け、どこから任せると作業時間が削れるのかを、渡す順番まで含めて整理します。


カメ先生カメ先生

動画編集をAIに任せると聞くと、一晩で全部仕上がるように思われがちなんだけど、本当は「編集」という言葉が5つくらいの別々の作業をまとめて指しているんだ。


カメ子カメ子

作業ごとに、任せられるかどうかが変わるということですか。


カメ先生カメ先生

そう。文字にした発言を消すと映像も消える方式のように、機械が得意な工程はある。逆に、3回撮ったうちどのテイクを残すかは、狙いを知っている人にしか決められない。


カメ子カメ子

得意な工程から順に渡していけば、削れる時間が見えてきそうです。


この記事のポイント
  • 「編集」は5つの工程の集まり。取り込みと選別・粗編集・整音・尺の調整・確認と書き出しに分けると、任せどころがはっきりする
  • 作業時間が最も削れるのは粗編集。文字起こしを土台に不要部分を落とす工程で、手で波形を切る作業が文章を編集する作業に置き換わる
  • 任せる範囲と同時に、AIに判断させない範囲を先に決める。残すテイクの選択と公開前の確認は人が持つ

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目次

「編集に2週間」は担当者の腕の問題ではない

説明のために、30分のインタビュー素材を8分にまとめる仕事を例に置きます。作業を書き出すと、素材を通しで見て使える場面に印を付ける、不要な部分を削って順番を組む、声を聞き取れるように整える、決めた尺に収める、公開前に通しで確かめる、という並びになります。1つの作業が長引いているのではなく、性質の違う5つの作業が続いているのが実態です。

ここで起きやすいのは、5つを同時に進めてしまうことです。素材を見ながら削り、削りながら音を直し、音を直しながら順番を入れ替える。手は動いているので進んでいるように見えますが、差し替えが発生したときに、どこまで戻ればよいのかが分からなくなります。1か所の入れ替えで、整えた音も詰めた尺もまとめて崩れ、同じ作業を二度やることになります。

工程を分ける利点は、時間の見積りが立つことだけではありません。工程ごとに機械へ渡せるかどうかが違うため、分けた時点でどこを渡せば時間が削れるのかが見えます。逆に分けないまま「動画編集をAIに任せる」と考えると、任せられない判断まで巻き込んでしまい、最初の1本で挫折します。

もう1つ、分けないと始まらない会話があります。「この作業は誰が持つのか」という話です。素材の選別は企画を立てた人、整音は音に慣れた人、公開前の確認は責任者、という割り振りは、工程が分かれていなければ決められません。担当が決まっていない作業は、いつも一番忙しい人のところに積み上がります

編集を5つの工程に分ける

5つを並べると次のようになります。呼び方は現場によって違いますが、並び順はほぼ共通です。表の右2列が、この記事で判断したい部分です。

工程作業の中身AIが担える度合い人が持つ判断
1. 取り込みと選別素材を探せる状態にし、使う場面を決める探すところは担えるどのテイクを残すか
2. 粗編集不要な部分を削り、話の順番を組む大きく担える段落の並べ替えの是非
3. 整音声を聞き取れるように整える処理は担えるかけ過ぎの判定
4. 尺の調整間を詰め、重複を落とす候補出しは担える何を残すか
5. 確認と書き出し手を入れた箇所を確かめて公開に回す一覧づくりは担える公開してよいかの決裁

表で見ると、AIが担える度合いが高いのは真ん中の3工程で、両端には人の判断が残ります。最初の選別は企画の狙いを知らないと決められず、最後の確認は責任を伴います。この形は道具が新しくなっても変わりません。両端を人が持ち、真ん中を渡すのが基本の姿です。

並び順を守る理由もあります。整音を先にやると、削る場面が変わった時点で整音のやり直しになります。尺を先に固めても、削る作業のなかで尺は動きます。後戻りが最も少ないのは、選別、粗編集、整音、尺、確認の並びです。工程を飛ばすのではなく、順番を守ったうえで渡す先を変えるのが時短の実務になります。

工程1:素材の取り込みと選別——探せる状態にするのはAI、選ぶのは人

素材が多いほど、最初に時間を食うのは「どこに何が写っているか分からない」ことです。ここは機械の得意な領域に入ってきました。編集ソフトの2025年から2026年の版では、写っている人や物、さらに話した語から素材を探せる機能が案内されています。撮影時の記録板を自動で読み取り、素材の情報として持たせる機能も同様です。素材を通しで見返す時間が、検索する時間に置き換わります

ただし、探せることと選べることは別です。同じ質問への答えが3回撮れているとき、どれを使うかは言い間違いの少なさではなく、伝えたい順番に合うかどうかで決まります。この判断の材料は素材の中にはなく、企画を立てた人の側にしかありません。ここを機械に投げると、なめらかに流れるのに要点がずれた動画ができあがります。

実務として決めておくとよいのは、選別の出力の形です。「使う場面の時刻と、その場面で言っていること」を一覧にしてから次の工程に渡します。この一覧が、後の工程すべての土台になります。粗編集で削り過ぎたときも、整音をやり直すときも、戻る先がこの一覧になります。素材そのものの保管や命名の決め方は別に整理されているため、ここでは触れません。

  • 選別の段階で、使わないと決めた場面も理由付きで残す。後で「あの発言はどこへ行ったのか」と探す時間が消える
  • 撮影が複数日にまたがる場合は、日ごとに選別を終わらせる。全部撮り終えてから始めると、素材の記憶が薄れて判断が遅くなる
  • 外注する場合も、選別だけは社内に残す。ここを渡すと、往復の回数が増えて結局遅くなる

工程2:粗編集——文字起こしを土台に不要な部分を落とす

作業時間が最も大きく削れるのはこの工程です。音声を文字にして、その文字を消すと対応する映像も消える方式が広く入りました。無音の区間、言い直し、「えー」のようなつなぎの語をまとめて外す操作も、この方式の上で動きます。手で波形を見ながら切っていた作業が、文章を編集する作業に置き換わります

削り方には順番があります。先に無音とつなぎの語を機械的に落とし、次に人が段落単位で並べ替え、最後に文単位で細かく詰めます。逆にすると、細かく詰めた後で段落ごと消えることになり、同じ作業を二度やります。粗いところから細かいところへ進むのが、やり直しを減らす唯一の順番です。

落とし穴は削り過ぎです。間は無駄ではなく、聞き手が理解に使う時間です。無音を全部詰めた動画は、含まれる情報は同じでも息が詰まり、最後まで見てもらえません。削るのは言い直しと重複、残すのは考えている間という線を、最初の1本で決めておきます。

もう1つ、粗編集で決めておくと後が楽になるのは、削った区間の記録です。何秒から何秒までを、どの理由で外したのか。この記録があると、公開前の確認が「全部見直す作業」ではなく「触った箇所を読む作業」になります。記録を残さない粗編集は、速いように見えて確認の工程で時間を取り返されます

文字起こしの精度は条件で決まる——実測された誤り率

この工程の土台は文字起こしなので、精度を知らないまま任せると後工程で崩れます。2026年4月30日に公開された日本語の検証では、報道・お笑い・演劇・実務の会話を含む自然な音声20本(合計およそ580秒)を使い、公開されているモデル6種を測っています。単語単位の誤り率は18.5%から34.4%、文字単位の誤り率は14.0%から32.1%の範囲でした。複数の話し手が重なる音声では、この程度の誤りが残るという前提で組む必要があります。

数値よりも実務に効くのは、失敗の型です。同じ検証では、区切りの終わりに存在しない文が現れる、同じ語句が繰り返される、雑音のなかで途中で止まる、はっきりしない音の後で語が落ちる、言語の判定を誤って想定外の文字が出る、といった型が報告されています。誤りは全体に薄く散るのではなく、特定の箇所に固まって出ます。だから拾いに行く場所を決められます。

条件による差も大きいです。2022年11月に公開された別の検証では、講演の音声で低い誤り率を出したモデルが、通話や会議の音声では大きく悪化しました。会話に含まれるつなぎの語がそもそも書き起こされない傾向も示されています。古い検証ですが、音声の種類で精度が変わるという性質は、その後の版でも消えていません。自社の素材で一度測るのが確実です。

実務に落とすと2つです。1つは、社名・製品名・人名・数字は人が見る前提で工程を組むこと。もう1つは、読み方を登録できる仕組みがあるなら先に登録しておくことです。固有名詞の誤りは、粗編集で削る位置の判断にまで影響します。誤った文字を頼りに削ると、必要な発言が消えます。

精度だけでなく、待ち時間も工程の選び方を変える

同じ検証では、処理の速さも測られています。音声の長さに対する処理時間の比で見ると、最も速いものは0.003、最も遅いものは0.209でした。10分の素材なら、前者は2秒ほど、後者は2分ほどという差になります。誤りが少ないほど速いという関係でもなく、単語単位の誤り率が最も低かったものの比は0.036でした。

2022年11月の検証でも、規模の小さいものの比が0.104、大きいものが0.408と、およそ4倍の差が出ています。精度を取ると待ち時間が伸びるという関係は、以前から変わっていません。速さと精度のどちらを取るかは、工程のどこで使うかで決まります。同じ道具を全工程に当てる必要はありません。

実務では使い分けます。選別のために全素材をざっと文字にする段階は、速いほうを選び、誤りを拾わない前提で場所を探す用途に限ります。粗編集の土台にする文字起こしは、精度の高いほうを選び、待ち時間を見込んで前日の夜に回します。1つの道具で全部を済ませようとすると、どちらの工程も中途半端になります

工程3:整音——聞き取れるようにするための作業

整音は音を大きくする作業ではありません。声が聞き取れない原因を1つずつ外す作業です。機械が担えるのは、背景の雑音や反響を薄くする、話し手ごとの音量差を寄せる、語りの下に敷いた音を語りに合わせて自動的に下げる、といった処理です。近年の編集ソフトでは、これらが独立した機能として並んでいます。以前は専門の担当が時間をかけていた領域が、最も自動化が進んだ部分になりました

注意点は、かけ過ぎると声が作り物になることです。雑音を強く消すと子音がつぶれ、かえって聞き取りにくくなります。処理の前の音を必ず残し、処理後と聞き比べてから採用するのが最低限の手順です。比べずに採用すると、公開後に指摘されてから戻せなくなります。判断できるのは耳を持つ人だけで、ここは機械に決めさせられません。

なお、公開後の音量は配信先の仕組みでそろえられるため、この工程で狙うのは絶対的な大きさではありません。同じ動画の中で、聞き取りやすさがばらつかないことが整音の目的です。場面の切り替わりで音が飛ぶ箇所、屋外と屋内で雑音の量が変わる箇所を、通しで聞いて拾います。音量の基準値やその測り方については別に整理されているため、ここでは扱いません。

工程4:尺の調整——間を詰めるのと、何を残すかは別の作業

尺の調整でAIが担えるのは、間を詰める、同じ内容を繰り返している箇所を指摘する、章の区切りの候補を出す、といった作業です。どれも候補を出すところまでで、採否は人が決めます。指摘の一覧を受け取って上から順に判断していくと、探す時間がまるごと消えます。これは削減幅の大きい変化です。

一方で、決められないこともはっきりしています。どこを削れるかは出せますが、何を残すべきかは決められません。残す判断には、誰に何を伝えたいかという材料が必要で、それは素材の中にありません。ここを任せると、話の筋は通っているのに肝心の一言が消えた動画ができます。

実務では、削る候補に優先順位を付けておくと迷いが減ります。最初に落とすのは重複、次に前置き、その次に補足の例、最後まで残すのは結論と根拠という順です。この順を工程表に書いておけば、担当が代わっても削り方が揺れません。目標の尺そのものをどう決めるかは、視聴のされ方から逆算する別の話なので、ここでは触れません。

工程5:確認と書き出し——人が見る範囲を先に決める

最後の工程で決めておくのは、全部を通しで見るのか、機械が手を入れた箇所を見るのかです。通しで全部見るのが理想ですが、本数が増えると続きません。現実的には「機械が手を入れた箇所」を確認の対象として先に定義します。定義を先に書いておかないと、忙しい週に省かれます。

  • 文字起こしを使った箇所の固有名詞と数字(社名・製品名・人名・金額・日付)
  • 機械的に削った継ぎ目(無音の詰めで語尾が切れていないか)
  • 整音をかけた範囲(処理前と聞き比べて、声が不自然になっていないか)
  • 映像や音を新しく作らせた箇所(開示が必要かどうかを判定する)
  • 章の区切りと並べ替えの結果(話の順番が入れ替わっていないか)

この一覧を作れるかどうかは、前の工程の作り方で決まります。削った区間の記録、整音をかけた範囲、文字起こしのうち確信の低かった箇所。これらを工程の中で残しておけば、確認は探す作業ではなく読む作業になります。記録が残っていない編集は、確認のたびに全部を見直すしかありません

書き出しの設定値については、圧縮の方式や解像度、毎秒の情報量の選び方が別に整理されています。この工程で決めるのは1点だけです。誰の確認が終われば公開してよいのか。ここを決めていない体制では、公開の直前に責任者を探すことになり、せっかく削った時間が待ち時間に戻ります。

生成で足した部分は、開示が必要になる場合がある

撮った素材を整える編集と、映像や音を新しく作らせる生成は、公開時の扱いが分かれます。動画の共有サービスの公式な説明では、AIが写実的な内容を意味のある形で変えた場合や生成した場合に開示を求めています。実在の人物が言っていないことを言ったように見せる、実際の出来事や場所の映像を変える、起きていない写実的な場面を作る、といった例が挙げられています。

一方で、開示が不要な例もはっきり書かれています。美化のフィルタ、色や明るさの調整、自分の声を複製した吹き替え、音の修復、収録済みの音に効果を足すこと、字幕の作成、構成案や台本づくりの補助です。整えるための処理は対象外、作り出した内容は対象という線の引き方になっています。

欧州のAI規則の第50条は、2026年8月2日から適用されます。合成した音声・画像・映像・文章について、機械が読み取れる形で人工的に生成されたと分かる印を付けることを求める内容です。ここでも、標準的な編集を助ける機能で入力を実質的に変えないものは対象外とされています。2つの規定が、ほぼ同じ場所に線を引いていると読めます。

実務としては、編集の工程表に「生成を使った箇所」の欄を1つ足すだけで足ります。欄が空なら開示は不要、埋まっていれば公開時に確認する、という運用です。公開の直前に思い出そうとすると必ず漏れます。海外に向けて配信する動画は、配信先ごとに扱いが違う可能性があるため、公開範囲を決める段階で確かめます。

作業時間を削る順番——効果の大きい工程から渡す

5つの工程を同時に自動化しようとすると、どこで失敗したのか分からなくなります。削減幅が大きく、失敗しても戻しやすい工程から順に渡します。1本目は時間を計るために使い、2本目から順番を1つ進めるのが現実的な速さです。

STEP1
粗編集を渡す

文字起こしを土台に、無音・言い直し・つなぎの語を落とす操作から始めます。削減幅が最も大きく、削り過ぎても元の素材から戻せるため失敗の代償が小さい工程です。ここで削る基準を文章にしておきます。

STEP2
整音を渡す

雑音と反響、話し手ごとの音量差、語りの下に敷いた音の自動的な下げ方までを任せます。処理の前の音を残し、聞き比べてから採用する手順を必ず付けます。判定だけは人が持ちます。

STEP3
素材の探し方を整える

写っている物や話した語で素材を引けるようにします。ここは削減幅そのものより、選別の質が上がる効果が大きい工程です。使わないと決めた場面も理由付きで残します。

STEP4
尺の調整を渡す

間を詰める、重複を指摘する、章の候補を出すところまでを任せます。削る優先順位を先に文章化しておくと、候補の採否が速くなります。何を残すかは人が決めます。

STEP5
確認を型にする

確認の対象を「機械が手を入れた箇所」に定義し、一覧の形で出せるようにします。生成を使った箇所の欄も同時に足します。ここまで来ると、本数を増やしても品質が落ちません。

この順番の理由は、後戻りの少なさです。粗編集を任せて手順が固まる前に整音を自動化すると、削る位置が変わるたびに整音をやり直します。上の工程が固まってから下の工程を渡すのが、結果として一番速い進め方になります。

AIに判断させない範囲を、先に決めておく

任せる範囲を決めるのと同時に、任せない範囲も決めます。順番が大事で、任せない範囲を後から決めると「今週は時間が無いので省く」が起きます。決めるのは3つ、任せる工程の範囲、出力に根拠を書かせること、人が確認する範囲です。

根拠を書かせるとは、結果だけでなく過程を残させることです。削った区間の一覧、文字起こしで確信の低かった箇所、整音をかけた範囲。根拠が残っていない工程は、後から検証できないので任せられません。逆に言えば、根拠を出せる形にできた工程は安心して渡せます。

もう1つ、工程ごとに「この工程では判断しない」と書いておくのも効きます。粗編集の担当が内容の良し悪しを考え始めると、そこで止まります。判断する工程と作業する工程を分けるほど、担当を増やせます。人を増やせる形になっているかどうかが、内製が続くかどうかの分かれ目です。

内製と外注の分かれ目は、工程で引く

AIで削れるのは作業の時間で、判断の時間は削れません。この前提で分けると、内製に向くのは判断の材料が社内にしかない動画です。製品の使い方、社内の事例紹介、担当者による説明。素材の選別に専門の知識が要るものは、外に出すと確認の往復が増えます。

逆に外注が向くのは、見せ方の設計そのものが成果を左右する動画です。展示会で流す短い映像、広告として配信する素材、会社の紹介。ここは工程の効率ではなく設計の質で決まるため、AIで内製しても時間が浮くだけで質は上がりません。

  • 内製に向く:製品の操作説明、社内の事例紹介、ウェビナーの記録、採用の紹介(判断の材料が社内にある)
  • 外注に向く:広告として配信する素材、会社の紹介、展示会で流す映像(見せ方の設計で成果が決まる)
  • 併用の線:素材の選別と最終確認を社内に残し、粗編集から尺の調整までを外に出す

併用する場合は、工程で線を引きます。選別と最終確認を社内に残せば、判断は社内にあり、作業だけが外に出ます。この形なら、削った区間の記録や生成を使った箇所の欄も社内に残ります。逆に全工程を外に出すと、確認の材料が手元に無くなり、公開の可否を自分で決められなくなります。

2本目から速くなる仕組みを作る

1本目で決めたことを、次の担当が読める形で残します。必要なのは3つ、用語の一覧、工程ごとの手順、そして見本になる1本です。手順書だけでは伝わらず、見本だけでも伝わりません。手順に沿って作った結果がこれだ、という組み合わせで初めて再現できます。

用語の一覧は、文字起こしの誤変換を減らす目的と、字幕や説明文で表記を揃える目的を兼ねます。製品名、部署名、業界特有の言い方、人名の読み。1本作るごとに追記していくと、誤変換の直しにかかる時間が目に見えて減ります。字幕の体裁そのものは別に整理されているため、ここでは一覧の共用だけを扱います。

担当が変わるときに失われやすいのは、設定です。整音の強さ、削る基準、章の区切り方。これらは好みではなく、決めた基準として書き出しておきます。書いていないと、次の担当は自分の感覚で決め直し、動画ごとに手触りが変わります。

やりがちな失敗

  • 文字起こしの精度を測らずに粗編集を任せる。固有名詞が誤ったまま削る位置を決め、必要な発言が消える
  • 無音とつなぎの語を全部落とす。情報は同じでも息が詰まり、最後まで見られない動画になる
  • 整音を先にかけてから削る場面を変える。整えた音をやり直すことになり、二重の作業が発生する
  • 削った区間の記録を残さない。公開前の確認が毎回「全部見直す作業」に戻る
  • 残すテイクの選択をAIに任せる。流れはなめらかだが、伝えたい一言が落ちた動画になる
  • 生成で足した箇所を工程表に書かない。公開の直前に開示が必要かどうか判断できず、公開が止まる

並べてみると、失敗の多くは工程の順番と記録の2つに集まっています。道具の選び方ではありません。同じ道具でも、順番を守って記録を残す体制では本数が増え、守らない体制では1本ごとに時間が伸びていきます。最初に決めるのは道具ではなく、この2つです。

よくある質問

文字起こしの誤りが多いとき、最初に何を直せばよいですか

音声の収録条件を先に見ます。話し手ごとに音を分けて録れているか、雑音や反響が多くないか。実測の検証でも、講演のような音声と通話・会議の音声では誤り率が大きく違いました。道具を替える前に、収録の分け方を替えるほうが効きます。そのうえで、社名や製品名の読み方を登録できる仕組みがあれば登録します。

無料で使える道具だけで足りますか

粗編集と文字起こしまでなら、無料の範囲で試せる道具があります。ただし業務で使う場合は、生成した内容の扱いや素材の保存場所が規約でどう定められているかを先に読みます。試すことと業務で回すことは別の判断です。撮影した素材に取引先の情報が写っている場合は、外部のサービスに預けてよいかを情報システムの担当と決めます。

1本目でどのくらい時間が削れますか

削れ幅は素材の状態で大きく変わるため、あらかじめ何割と言えません。だからこそ、1本目は計測に使います。工程ごとに開始と終了の時刻を記録し、どこに時間が集まっているかを見ます。削減幅を測っていない現場は、次に何を自動化すべきかを決められません。2本目以降は、時間が集まっている工程から順に渡します。

撮影のやり方も変えるべきですか

編集の工程を減らしたいなら、収録の段階で決まる部分が大きいです。話し手ごとに音を分ける、同じ内容を撮り直すときは合図を入れる、使う予定のない場面をその場で言葉に残す。編集で直せることには限りがあり、音は特に戻せません。ただし撮影環境の整え方は別に整理されているため、ここでは編集側から見た要望だけを挙げます。

過去に撮った素材にも使えますか

使えます。素材を探せるようにする機能と、文字起こしを土台にした粗編集は、撮影時期に関係なく効きます。ただし過去の素材は、出演者の同意の範囲や写り込みの確認が済んでいるかを先に見ます。編集の効率が上がった結果、確認が済んでいない素材が公開に回るのが最も避けたい事故です。工程5の確認の対象に、素材の出どころを1行足しておきます。

まとめ

撮り終えた素材を仕上げる仕事は、5つの工程の集まりです。取り込みと選別、粗編集、整音、尺の調整、確認と書き出し。真ん中の3つはAIが大きく担え、両端には人の判断が残ります。渡す順番は、削減幅が大きく戻しやすい粗編集から始め、整音、素材の探し方、尺の調整、確認の型づくりへと進めます。文字起こしの誤り率は自然な会話で単語単位18.5%から34.4%と実測されており、精度を知らないまま任せると、削る位置の判断まで狂います。任せる範囲と同時に、任せない範囲、根拠の残し方、人が確認する範囲を先に決めてください。生成で足した箇所は開示の対象になり得るため、工程表に欄を1つ足しておくだけで公開が止まりません。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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