動画の出演はAIアバターか実写か|使い分けの判断軸

「撮影の日程が合わず、動画の公開が3か月遅れています」「出演した社員が異動したので、全部撮り直しになりました」——BtoBの動画を作っている現場から、繰り返し聞こえてくる声です。台本さえあれば人が話す映像を作れる道具が出てきたことで、この詰まりを回避できるようになりました。ただし、置き換えれば済むという話でもありません。比較検討の担当者に尋ねた調査では、AIが作ったと感じやすいコンテンツの1位が動画で、AIっぽさを感じた人の約半数が、問い合わせや資料の請求をやめた経験があると答えています。問題は品質の高低ではなく、どの動画で人が出るべきかを決めていないことです。この記事では、出演をAIに置き換えるか人が出るかを、5つの軸で切り分けられるように整理します。
カメ先生AIで作った人物の映像は実写の安い代わり、と思われがちなんだけれど、本当は向いている用途がはっきり分かれているんだ。
カメ子安く早く作れるほうが、いつでも良いわけではないのですね。
カメ先生作り直す回数が多いものはAIが強い。逆に、誰が言っているかが効く場面では、人が出ないと届かない。
カメ子同じ動画でも、目的によって答えが変わるということですね。
- 置き換えの判断は、品質ではなく用途で決まる。作り直す回数が多いほどAIが効く
- 誰の言葉として受け取ってほしいかが効く場面では、実写のほうが目的に近い
- 社員を模す場合は、書面の同意と退職後の扱いを、作る前に決めておく
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「AIっぽい」と気づかれた後に、何が起きているか
感覚論を避けるため、実測値から入ります。2026年6月にBtoB商材の比較検討や発注に関わる110名へ行われた調査では、業務で目にするコンテンツについて「AIが作ったもの」と何度も、またはときどき感じた経験がある人が90.9%でした。気づかれていないという前提は、すでに成り立ちません。
種類別では、AIっぽさを感じやすいものの1位が「動画広告と、自社サイトに置く動画」で59.1%、2位が「ネット広告とバナー広告」で50.9%です。動画が最上位に来ているのは、人物の映像と読み上げの音声という、違和感が出やすい要素が同時に入るためと考えられます。
重要なのはその先です。AIっぽさを感じたときの行動として、1位が「問い合わせや資料のダウンロードをする気がなくなった」で49.1%、2位が「競合他社の情報を調べに行った」で38.2%でした。一方で、信頼や好感が下がると答えた人は1割程度にとどまります。感情としては下がっていないのに、行動としては離れている。この差が、この論点の難しさを表しています。
同じ調査で、送り手に望む姿勢として最も多かったのは「AIを活用しているかどうかの明示」で66.4%、次いで「人間の経験や視点が反映されていること」が40.9%でした。隠すことではなく、明示したうえで人の視点を残すことが求められていると読めます。置き換えの是非ではなく、どう組み合わせるかの問題だということです。
AIの人物映像で、いま何ができるのか
できることを具体的に押さえておきます。台本を入力すると、人物が話している映像が生成されます。カメラも照明も出演者も要りません。音声は合成され、口の動きが音に合わせて作られます。用意された人物の中から選ぶ方式と、実在の人を撮影して専用の人物を作る方式の両方があります。
費用の感覚も具体的に持てます。主要な道具は月額30ドル前後から使えるものが多く、選ぶときの基準は3つに絞れます。日本語の音声が自然か、専用の人物を作れるか、月あたりに生成できる分数の上限がいくつか。最初に効いてくるのは分数の上限で、ここを見落とすと運用の途中で足りなくなります。
制作の速さは、台本の準備が終わっていれば実感しやすい水準です。台本は1分あたり250字から300字が目安で、5分程度の動画であれば、慣れた担当者が半日で仕上げられます。作り直しの速さはさらに効きます。1文だけ直したい場合でも、台本を書き換えて生成し直すだけで済み、撮影の日程調整も、出演者の再拘束も発生しません。
多言語への展開も、実写に比べれば軽い作業です。台本を訳して同じ人物に読ませる形にすれば、言語ごとの収録は不要になります。ただし、訳文の正しさと読み上げの自然さは別の問題として残ります。この点は後の軸で扱います。
できないことを、先に並べておく
道具の紹介記事では省かれがちな部分を先に置きます。まず、読み間違いは残ります。2026年時点の読み上げは、一般的な文章であればニュースに近い自然さがありますが、社名、製品名、業界特有の専門語の読みは崩れます。読み方を個別に指定する作業が、本数に比例して発生します。
次に、細かな破綻が出ます。手の動き、視線の移り方、話の切れ目での間の取り方。1つひとつは小さいのですが、視聴者は理由を言語化できないまま、何かおかしいと感じ取ります。先ほどの調査で動画が1位になっている背景には、この種の積み重ねがあります。修正するには編集の工数が別に必要で、その分だけ「安い」という前提が崩れていきます。
そして、実写ロケの代わりにはなりません。工場の現場、施工中の様子、実際に使っている手元。特定の社員に密着した記録映像のような、その場に居合わせたことそのものが価値になる映像は、生成では作れません。作れるのは、決まった内容を人の姿で説明する映像までです。
最後に、感情の起伏を要する内容も苦手です。導入の決め手を語る場面、失敗から立ち直った経緯を話す場面。台本上は同じ文章でも、読み上げでは平板になります。ここは道具の進歩を待つ領域というより、そもそも人が話すべき内容だと割り切るほうが早い部分です。
実写にしかできないことは、まだ残っている
裏返すと、実写が効く条件がはっきりします。1つ目は、誰が言っているかが情報の一部になっている場合です。導入した企業の担当者が語る事例、開発の責任者が設計思想を説明する場面。話し手の実在そのものが、内容の裏づけとして働いています。ここを生成の映像に置き換えると、内容は同じでも根拠が消えます。
2つ目は、専門性を示す場面です。技術の解説や実演では、話し手の所属と経歴が示されていることが、内容を受け取る前提になります。BtoBの購買では複数の関係者が動画を見ますから、誰が説明しているかが分からない動画は、社内に共有されにくいという実務上の制約もあります。
3つ目は現場感です。設備の音、実際の作業の速さ、周囲の様子。これらは説明では代替できません。製造や建設、物流のように現場が価値の中心にある業種では、実写の映像そのものが差別化の材料になっています。
なお、実写にも見過ごせない制約があります。撮影の日程調整、出演者の拘束、修正のたびに再収録が要ること。そして人が変わったときの扱いです。冒頭の声にあった通り、出演者の異動や退職で作り直しになるのは実写側の弱点で、この点はAIの映像でも形を変えて起きます。後の見出しで扱います。
用途別に見た、向き不向き
ここまでを用途に当てはめると、判断はかなり単純になります。BtoBでよく作られる5つの用途について、どちらに寄せるべきかを整理しました。右端は、その用途で判断を分ける決め手です。
| 用途 | 向いている出演 | 理由 | 判断の決め手 |
|---|---|---|---|
| 製品の機能紹介 | AIの映像 | 画面の操作が主役で、話し手は説明役にとどまる | 画面の更新に合わせて何回作り直すか |
| 研修・手順の説明 | AIの映像 | 内容の更新が頻繁で、本数が多く、尺も長くなりやすい | 年に何回改訂されるか |
| 導入事例・顧客の声 | 実写 | 誰が語っているかが、内容の裏づけそのものになる | 話し手の所属を示す必要があるか |
| ウェビナーの録画 | 実写のまま | 元が人の登壇であり、置き換える対象がそもそも無い | 冒頭の案内だけ差し替える必要があるか |
| 採用・会社紹介 | 実写 | 働いている人の姿と場の空気が、伝えたい内容にあたる | 現場が映ることに意味があるか |
表にすると、境界がどこにあるかが見えてきます。説明の内容が主役なのか、話している人が主役なのか。ここが分かれ目です。製品の機能や操作手順は、誰が話しても内容は変わりません。導入の決め手や現場の様子は、話す人が変われば内容も変わります。
迷いやすいのはウェビナーの録画です。全体を作り直す必要はありませんが、冒頭の案内や、期限の切れた告知の差し替えは頻繁に起きます。この部分だけを生成の映像で作り、本編は実写のまま残す。動画の全体で決めるのではなく、区間ごとに分けて考えると無駄が減ります。
判断軸1:作り直す回数が、何回あるか
ここから5つの軸に落とします。最も効くのが、公開してから何回作り直すかです。1回作って終わりの動画では、生成の映像を選んでも節約になりません。台本の準備、読みの指定、生成後の修正を足すと、短い動画なら撮影したほうが速い場合すらあります。
差が出るのは、更新が繰り返される動画です。年に2回以上改訂される研修の映像、機能追加のたびに直る製品説明。作り直しの回数が3回を超えたあたりから、差は決定的になります。実写では改訂のたびに出演者を押さえ、撮影し、編集する工程が丸ごと再発生しますが、生成の映像では台本の該当箇所を直すだけで済みます。
判断の仕方は簡単です。企画の段階で、この動画は今後何回直るかを見積もる。分からない場合は、内容の元になっている資料が、過去2年で何回改訂されたかを数えます。資料が年2回直っているなら、動画も同じ頻度で直ります。この数字が、そのまま判断の材料になります。
判断軸2:尺と本数の、どちらが重いか
2つ目は分量の形です。同じ合計時間でも、短い動画が多数あるのか、長い動画が少数あるのかで、向く方式が変わります。短尺が多数ある場合、実写では1本あたりの固定の手間が積み上がります。機材の準備、出演者の待ち時間、撮り直し。本数が増えるほど、固定の手間の合計が大きくなります。
逆に、長尺が少数の場合は、生成の側にも負荷がかかります。生成できる分数の上限に当たる、読みの指定が長文の全体に必要になる、途中の破綻を直す箇所が増える。長い動画ほど、視聴者が違和感に気づく機会も増えます。30分の研修映像を通しで生成の人物に語らせると、後半で離脱が起きやすくなります。
実務的な折衷は、長尺を章に切ることです。5分から7分の単位に分け、章ごとに生成する。改訂も章単位で済みますし、視聴者も必要な章だけ見られます。尺の問題と更新の問題が、同じ手当てで同時に軽くなります。
判断軸3:言語を、いくつに広げるか
3つ目は言語です。日本語だけで完結するなら、この軸は判断に影響しません。海外の顧客や現地法人に向けて同じ内容を届ける必要がある場合に、大きな差が出ます。実写では、言語ごとに吹き替えか字幕を足す工程が発生し、話し手の口の動きと音声はずれたままになります。
生成の映像では、台本を訳して同じ人物に読ませる形にできるため、口の動きも訳した音声に合います。ただし、訳文の正しさは別の工程として残ります。機械翻訳をそのまま読ませると、専門語の訳が揺れ、現地の担当者が意味を取れない映像ができあがります。翻訳の確認は人が行う前提で組んでください。
もう1つ、言語ごとの読み上げの自然さには差があります。日本語と英語で仕上がりが揃っていても、他の言語では平板になることがあります。展開する言語ごとに、短い試作を作って現地の担当者に確認してもらう工程を1回挟む。この1回を飛ばすと、公開後に全本数の作り直しになります。
判断軸4:誰の言葉として、受け取ってほしいか
4つ目は、内容ではなく受け取られ方の軸です。同じ説明でも、会社としての公式な説明として受け取ってほしいのか、担当者個人の経験として受け取ってほしいのかで、答えが変わります。前者は生成の映像でも成立しますが、後者は成立しません。
見分け方があります。台本の中に、一人称の経験が入っているかどうかです。試したところ、苦労した、判断に迷った。こうした記述が入る内容は、話し手が実在しなければ意味を失います。逆に、手順の説明や機能の解説には一人称の経験が入りませんから、置き換えても内容は減りません。
先ほどの調査で、送り手に望むこととして「人間の経験や視点の反映」が40.9%と2番目に多かった点も、この軸に関わります。すべてを人が話す必要はなく、経験を語る部分だけを人が担えばよい。1本の動画の中で、説明の区間は生成、経験を語る区間は実写、という組み合わせも成立します。
判断軸5:現場が映るかどうか
5つ目は単純です。動画の中に現場が映るなら、実写以外の選択肢はありません。設備、作業の様子、実際の使用場面。これらは生成では作れませんし、それらしく作れば別の問題が生じます。存在しない現場の映像を、自社の現場として出すことはできません。
判断が要るのは、現場と説明が混じる場合です。工場の映像を見せながら、その内容を人が説明する構成。この場合、現場の映像は撮影し、説明の部分だけを生成の人物に担わせる形が取れます。映像の素材と、説明する人を、別々に決めてよいというのがこの軸の要点です。
ここまでの5軸を並べると、判断は表を引くだけで終わります。作り直しの回数、尺と本数の形、言語の数、受け取られ方、現場の有無。5つのうち3つ以上が生成側に寄れば生成、そうでなければ実写という単純な決め方でも、実務では十分に機能します。迷う時間のほうが高くつくからです。
実在の社員を模すなら、同意はどこまで取るか
ここからは道具選びの外側の論点です。用意された人物を使うのではなく、自社の社員を撮影して専用の人物を作る場合、権利の扱いが必ず絡みます。関わるのは肖像権とパブリシティ権の2つで、いずれも条文として定められた権利ではなく、最高裁の判断で認められてきた人格権に由来する権利です。
肖像権は、無断で撮影されない、撮影された写真などを無断で公表されない権利として整理されています。パブリシティ権は、肖像などが持つ顧客を引きつける力を排他的に利用する権利です。存命の人物をAIで再現する場合、これらの侵害を根拠に止められます。雇用関係があることは、同意を不要にする理由になりません。
同意は書面で取り、範囲を具体的に書きます。決めるのは、映像を使ってよい用途、公開する媒体、利用できる期間、台本の内容に本人が関与するかどうか、そして本人が申し出たときに利用を止める手続きです。包括的に「当社の広報活動に使用することを承諾する」とだけ書いた同意は、使える範囲があいまいで、後から必ず揉めます。
なお、著名人の顔や声を模した映像は、同意なしでは作れません。似せる意図がなくても、結果として似てしまえば同じ問題が起きます。生成した人物が特定の人物に酷似していないかの確認は、公開前の工程に入れておいてください。
退職や異動の後、その映像をどうするか
実写の弱点として挙げた「人が変わる問題」は、生成の映像でも形を変えて残ります。むしろ厄介になる面があります。実写であれば、退職した社員が映った動画は非公開にすればそれで終わりです。生成の映像では、その人を模した人物の型が手元に残り、本人が居なくなった後も新しい映像を作れてしまいます。
だからこそ、作る前に決めておく項目があります。退職した後も既存の映像を公開し続けてよいか。退職後に新しい映像を作ってよいか。人物の型そのものを、いつ、誰が削除するか。用途を変更する場合に、あらためて同意を取り直すか。この4つを同意書に入れておかないと、退職の時点で交渉が始まります。
死後の扱いは、さらに整理が進んでいません。日本では死後の肖像権やパブリシティ権の保護が十分ではなく、遺族との関係も明確ではありません。米国では州法として死後の権利を定め、相続を認める例が多くあります。実務としては、法の整備を待つのではなく、契約の側で期間と終了の条件を先に書いておくのが現実的です。
運用の面では、人物の型と、それを使って作った映像の一覧を、対応づけて持っておくことをおすすめします。削除の判断が必要になったとき、どの映像を差し替えるかが即座に分かります。一覧がないと、退職から数か月経ってから古い映像が見つかる、という事態になります。
視聴者に「AIです」と伝える必要はあるか
開示の要否は、法の側と、受け取られ方の側の両方から考える必要があります。まず法の側です。欧州では、AIに関する規則の第50条が2026年8月2日から適用されています。人と直接やり取りするAIはそれと分かるように設計すること、合成した音声・画像・映像・文章には機械が読み取れる印を付けること、が提供する側に課されています。
実務で効いてくるのは、使う側に課される部分です。作り替えた人物の映像については、使う側が表示する義務を負います。表示は人が知覚できる形で、最初の接触の時点までに明確に行う必要があり、提供する側が付けた機械可読の印だけでは、使う側の義務を果たしたことになりません。拠点が欧州になくても、出力が域内で使われるなら対象とされている点に注意してください。
制裁の額も現実的な水準です。1,500万ユーロ以下、または前会計年度の全世界売上高の3%以下の、いずれか高い額とされています。なお、2026年8月2日より前に市場に出ていたものについては、機械可読の印に関する部分のみ2026年12月2日まで猶予があります。欧州委員会は2026年6月10日に表示に関する行動規範を、7月20日に遵守のための指針を公表しています。
受け取られ方の側からも、答えは同じ方向です。先の調査で、送り手に望むことの1位が「AIを活用しているかどうかの明示」で66.4%でした。隠すことによる利得より、気づかれたときの損失のほうが大きいと考えるのが妥当です。表示の形は、動画の説明欄に1行入れる程度で足ります。映像の中に大きく出す必要はありません。
音声の合成と、組み合わせる順番
人物の映像と音声の合成は、別々に決められます。実写の映像に合成音声を乗せる、生成の人物に実際の人の声を当てる、どちらも可能です。判断の順番としては、先に映像を決め、後から音声を決めるほうが整理しやすくなります。映像のほうが権利の論点を多く含むためです。
組み合わせで実務的に有効なのは、実写の映像に合成音声を乗せる形です。現場の映像や実際の作業の様子はそのまま使い、説明の音声だけを合成する。内容が更新されたときは音声を作り直せばよく、撮影し直さずに内容を最新に保てます。多言語への展開も、音声の差し替えだけで済みます。
逆に注意が要るのは、実在の社員の声を模した音声です。声も肖像と同様に本人に関わるものとして扱われますから、映像と同じく書面での同意と、退職後の扱いの取り決めが必要になります。映像は同意を取ったが声は口頭で済ませた、という状態が最も危うい形です。
外注するときに、決めておく条件
制作を外部に委託する場合、決める項目が増えます。道具の選定は委託先に任せてよい部分ですが、権利と運用に関わる部分は発注側が握ります。発注の時点で書面に落としておく項目を並べます。
用意された人物を使うのか、自社の社員から作るのか、委託先が保有する人物を使うのか。委託先の人物を使う場合、その人物を他社の動画にも使ってよいかを確認します。同業他社の動画に同じ人物が出ている状態は避けたいはずです。
作った人物の型、生成した映像、台本と読みの指定。これらの権利が誰に帰属し、契約が終わった後にどちらの手元に残るかを明記します。ここが空白だと、委託先を変えるときに人物ごと作り直しになります。
台本の修正1回あたりの費用と納期を、制作費とは別に決めます。生成の映像は修正が軽いことが利点なので、修正のたびに新規制作と同じ費用がかかる契約では利点が消えます。
AIを使った旨の表示を誰が入れるか、公開前の確認を誰が行うか。特に、生成した人物が実在の人物に酷似していないかの確認は、担当を明記しないと双方とも実施しません。
あわせて、うまくいかない発注の形も挙げておきます。自社の状況と照らしてください。
- 安いほうを選ぶ、とだけ決めている:用途を分けずに全動画を生成に寄せ、事例の説得力まで落とす
- 社員の同意を口頭で済ませる:範囲も期間も残らず、退職の時点で使用の可否を判断できなくなる
- 人物の型の所有者を決めていない:委託先を変える段階で作り直しになり、切り替えの費用が跳ね上がる
- 表示の要否を公開直前に検討する:確認が間に合わず、表示のないまま公開されるか、公開が遅れる
- 修正費用を単価に含めない:軽い修正のたびに新規と同額を請求され、内製より高くつく
- 用意された人物を使う場合でも、利用規約で禁じられている用途がないかを確認する
- 同じ人物を長期間使うと社外での識別子になるため、変更の予定は先に決めておく
- 台本と読みの指定は自社側にも控えを持つ。委託先の道具に依存しない形で残す
- 公開前の確認は、音を出して通しで1回見る。読み間違いは文字では見つからない
- 生成した映像は公開日と版を記録する。差し替えたときに古い版が残らないようにする
よくある質問
実際に検討を始めた組織から出てくる質問を、まとめて扱います。
Q. 生成した人物の映像を使っていることを、視聴者に伝えなければいけませんか
欧州域内で出力が使われる場合は、作り替えた人物の映像について使う側に表示の義務があります。国内向けのみであっても、比較検討の担当者の66.4%が明示を望んでいる調査結果があるため、表示しておくほうが実務上は有利です。動画の説明欄に1行入れる程度で足ります。
Q. 社員の同意は、入社時の包括的な承諾でまかなえますか
難しいと考えてください。入社時の書面にある広報活動への協力条項は、撮影した写真や映像の使用を想定しているのが通常で、その人を模した人物を作って新しい発言をさせることまでは含みません。用途が質的に異なるため、個別の同意を取り直します。
Q. 事例の動画を、顧客の許可を得て生成の映像に置き換えることはできますか
技術的には可能ですが、目的に反します。事例の価値は、その企業の担当者が実際に語っているという点にあります。置き換えると、内容は同じでも裏づけが消えます。日程が合わない場合は、音声のみの収録に切り替え、映像は資料や現場の素材で構成するほうが目的に近づきます。
Q. 研修動画を全部AIに置き換えて問題ありませんか
手順や制度の説明であれば問題ありません。ただし、安全に関わる内容と、判断を伴う内容は分けてください。誤った手順が映像として残ると、教育記録としての意味を失います。台本の確認は、内容を所管する部署が行う体制にしておく必要があります。
Q. 費用はどれくらい下がりますか
下がる幅は、作り直しの回数に比例します。1回作って終わりなら、ほとんど下がりません。年に数回更新する動画を複数本抱えている場合は、2年目以降に差が出ます。初年度の費用ではなく、3年間の総額で比べてください。
まとめ
動画の出演をAIで作った人物に置き換えるかどうかは、品質の高低ではなく用途で決まります。判断の軸は5つです。公開後に何回作り直すか、短尺が多数か長尺が少数か、言語をいくつに広げるか、誰の言葉として受け取ってほしいか、現場が映るかどうか。説明の内容が主役なら生成、話している人が主役なら実写というのが大枠で、製品の機能紹介や研修の手順は前者、導入事例や採用の紹介は後者に寄ります。できないことも正直に見ておく必要があります。社名や専門語の読み間違いは残り、手の動きや間の取り方に細かな破綻が出て、実写ロケの代わりにはなりません。比較検討の担当者への調査では、AIっぽさを感じやすいものの1位が動画で59.1%、感じたときに問い合わせをやめた経験があるのが49.1%でした。一方で明示を望む声が66.4%あることから、隠すのではなく開示したうえで使う形が現実的です。欧州では作り替えた人物の映像について使う側に表示の義務があり、拠点が域内になくても出力が使われるなら対象になります。社員を模す場合は、用途・媒体・期間・停止の手続きを書面で決め、退職後に既存の映像を残すか、新しい映像を作ってよいか、人物の型を誰がいつ消すかまで先に書いておきます。まずは手元の動画を一覧にして、それぞれ今後何回直る予定かを書き込んでください。回数の欄が、そのまま判断の答えになります。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
SNS・動画にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
