AIアバター動画は誰が台本を書く?|回し続ける体制の作り方

「アバターの動画を3本出したところで、次の台本を書く人がいなくなった」「制作会社に出していた頃は構成まで任せていたが、いまは誰の仕事なのか決まっていない」——AIで作った人物に台本を読ませる動画を入れた部門から、導入の半年後あたりに届く相談です。数字を1つ置きます。総務省が2026年7月に公表した情報通信白書では、日本で生成AIを使った経験のある人は58.8%まで伸びました。ところが画像や動画を作るサービスを使った経験は16.3%にとどまり、文章を作る用途の55.0%と比べて3分の1以下です。動画で足が止まっている理由は、道具の性能ではありません。本当は、台本を書く人と、それを通す道筋が社内に用意されていないだけです。この記事では、AIアバター動画の台本を誰が書き、どの順で通し、どう見直し続けるのかを、担当と期限が入った形で整理します。
カメ先生AIアバターの動画は撮影を省く道具だと思われがちだけれど、本当は『文章を入れると映像が出てくる』道具なんだ。だから入口に置く文章を誰が書くかが決まっていないと、そもそも動かない。
カメ子道具を入れれば動画が増える、というわけではないのですね。
カメ先生そう。実写のときは構成も台本も外の制作会社が作っていたことが多い。その作業が社内に移るから、書く人と通す人を決め直す工程が必ず要る。
カメ子撮る手間が減った分、別の仕事が社内に増えるということですか。
- 入口は文章。実写で制作会社が担っていた台本づくりが社内に移るので、書く人と事実を出す人を先に決める
- 読み上げは指定どおりにならない前提で組む。数字の読みと間の位置は、台本の側に日本語で書き添える
- 増やせる本数は作る力ではなく通す力で決まる。事実・表現・表示の3つの窓に分け、各窓の見る範囲を狭くする
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数字が示すのは、動画だけが遅れているという事実
同じ白書の企業向け調査では、日本企業で何らかの業務に生成AIを使っていると答えた割合は86.4%でした。前年の55.2%から一気に上がっています。活用方針も、「積極的に活用する方針」が30.1%、「活用する領域を限定して利用する方針」が38.8%で、合わせて68.9%。前年の49.7%から大きく動きました。会社として使わないという選択は、すでに少数派です。
ところが個人の利用を種類別に見ると様子が変わります。文章を作る用途が55.0%に対し、画像や動画を作る用途は16.3%。音声を作る用途は6.5%です。同じ調査で他の3か国の画像・動画生成を見ると、米国41.0%、ドイツ47.6%、中国55.8%で、日本だけが2倍から3倍の開きになっています。文章では追いついたのに、動画では追いついていないというのが、いまの日本の位置です。
業務の種類でも同じ形が出ます。マーケティング・広報での活用は「業務プロセスがAI中心に変更されている」7.4%、「部署内の特定業務で活用している」23.9%、「従業員が個人作業の効率化で活用している」18.1%の合計で49.4%。ただし効果を実感していると答えた割合は36.6%にとどまります。同じ調査で最上位の議事録・メール作成補助は活用が71.2%、効果の実感が72.3%ですから、差は小さくありません。動画は「入れたが回っていない」側に寄っている、ということです。
台本を書く人が、制作会社から社内に移る
この道具の入口は文章です。話させたい文章を渡すと、用意された人物の姿と声がそれを読み上げる映像が出てきます。つまり出来上がりの質は、渡した文章の質でほぼ決まります。ここで見落とされやすいのが、その文章を書く作業が、どこから社内に移ってきたのかという点です。実写で外部に発注していた場合、構成案と台本は制作会社の担当者が書き、社内は確認する側に立っていたことが多いはずです。
移ってくる作業を数えると6つになります。何を伝えるか決める、数字と手順を確かめる、読み上げる文章に整える、読みと間の注記を付ける、公開先の申告欄を埋める、内容が古くなったら直す。実写のときに社内が自分で持っていたのは、多くの場合1つ目だけです。残りの5つが、道具を入れた月から社内の仕事になります。収録の予定調整と撮り直しは消えますが、消えた分だけ手が空くわけではありません。
この数え方を先にやっておくと、社内の期待値がずれません。「安く早くできる」という説明だけで持ち込むと、初回に台本づくりで想定の3倍の時間がかかった時点で企画が止まります。削れるのは収録の工程で、増えるのは文章を作る工程です。総量が減るのは、同じ台本を何度も出し直す運用に入ってからです。
台本の担い手を決める4つの置き方
では誰が書くのか。実務で見かける置き方は4通りで、どれが正解ということはありません。違うのは崩れ方です。崩れ方を先に知っておくと、自部門で起きそうな型を避けられます。
| 台本の担い手 | 成り立つ条件 | 崩れ方 |
|---|---|---|
| マーケの担当が書く | 内容を持つ部門から数字と手順を文書で受け取れる | 依頼が口頭になり、事実の確認までマーケに寄って回らなくなる |
| 内容を持つ部門が書く | 書式があり、読みと間の注記の書き方まで決まっている | 書ける人が1人に偏り、その人の予定で本数が決まる |
| 外部の書き手に任せる | 用語と言い回しの一覧を渡し、変更を伝える窓がある | 社内の変更が届かず、古い数字のままの版が出る |
| 生成に下書きを書かせ社内が直す | 参照した資料の名前を書かせる決めがある | 根拠を確かめずに通し、誤った数字が読み上げられる |
選ぶときの目安は2つです。内容が四半期ごとに変わるものは、変更を最初に知る立場である内容を持つ部門に書かせたほうが早い。言い回しの統一が要るものは、他の発信を見ているマーケが書いたほうがそろいます。担い手は内容の種類ごとに決めてよく、全社で1つにそろえる必要はありません。
どの置き方でも、必ず分けておくべき役割が2つあります。台本を書く人と、数字や手順を出す人です。この2つを1人にまとめると、書き手が自分で調べて自分で確かめる形になり、誤りが外から見えなくなります。1枚の表に、内容の種類・書く人の名前・事実を出す部門・受け渡しの形の4列を書いておけば、締切の前日に誰も書いていないという事故が消えます。
台本の書式に持たせる4つの欄
書ける人を探すより、書式を作るほうが早く効きます。誰が書いても一定の水準になる書式には、少なくとも4つの欄が必要です。言い切ってよい範囲、数字の扱い、条件と例外の置き場所、1文の長さ。この4つが空欄のままだと、後の承認で毎回同じ指摘が出ます。
- 言い切る範囲:自社が確かめた事実は断定してよい。他社の状況や将来の見込みは断定しない。断定できない箇所には台本上で印を付け、判断を表現の窓に渡す
- 数字の扱い:数字の隣に時点と出どころを書く。読み上げでは出どころを言わず、画面の文字と説明欄に置く
- 条件と例外:条件付きの内容は「〜の場合」を先に言う。後ろに付けると、聞き手には条件が届かないまま結論だけが残る
- 1文の長さ:40字前後を上限にする。条件が2つ入った文は2文に割り、順序を示す語を足す
- 数量の言い方:おおよその数は幅で言う。1桁まで読み上げると、数字が動いた時点で作り直しになる
4つの欄を持たせる本当の目的は、承認を速くすることです。数字の隣に時点と出どころが書かれていれば、事実を見る担当はその2つを照合するだけで済みます。書式は書き手のためではなく、通す人のために作ります。承認に時間がかかる運用は、たいてい台本の側に必要な情報が書かれていません。
下書きを生成に任せる場合も、この書式の中で任せます。断定してよいかどうかの判断はAIにさせず、参照した資料の名前を台本の末尾に書かせる。根拠が書かれていない下書きは、読まずに差し戻す決めにしてください。2025年3月に総務省と経済産業省が公表したAI事業者ガイドライン第1.1版でも、利用する側の重要事項として「AIの出力について精度及びリスクの程度を理解し、様々なリスク要因を確認した上で利用する」ことが挙げられています。確認する範囲を先に書いておくことが、この一文を実際の作業に変える方法です。
読み上げの指示は、台本の側に日本語で書く
できた動画が「なんとなく不自然」に聞こえる原因の多くは、書き言葉をそのまま渡していることです。読み上げの指示を機械が読める形で書き添える共通の書き方は古くからあり、ウェブの標準化団体が2010年9月7日に勧告した仕様では、間の置き方、読み方の解釈、発音、抑揚や速さを別々の要素として指定できるようになっています。書き手の側が読み上げ方を制御できるようにすることが、この仕様の役割だと明記されています。
ただし同じ仕様を読むと、指定の限界も書かれています。間の強さは6段階と時間の値で指定できますが、読み方の解釈については「網羅的な種別の定義は難しい」として、仕様自身が取り得る値を列挙していません。抑揚や速さ、音量についても、値の細かな意味は処理する側に委ねられています。つまり指定は出せますが、出したとおりに読まれる保証は仕様の側にありません。ここを前提にしないと、毎回「思った読みにならない」と揉めます。
だから実務では、台本の側に日本語で書き添えます。書く項目は4つです。数字の読み、社名や製品名の読み、間を置く位置、略語をどう読み替えるか。仕様には段落と文を示す要素も用意されていて、区切り方そのものが読み上げに影響します。文の切り方は表現の好みではなく、読み上げの設計です。仕上げには往復を1回だけ入れます。1本目を通しで聞き、聞き取れなかった箇所を台本に戻して直す。この1回を決めごとにしておくと、確認が形だけになりません。
台本の承認を3つの窓に分ける
回らなくなる原因の多くは、承認の設計にあります。「関係者全員に回す」と決めると1本あたり2週間かかり、週次の運用が成立しません。逆に「マーケの判断で出す」にすると、価格や仕様の誤りが公開されます。実務では窓を3つに分けて、それぞれ見る対象を限定するのが早いです。
- 事実の窓:内容を持つ部門が、数字・仕様・手順・日付だけを見る。表現は見ない
- 表現の窓:マーケが、伝わる順番と言い回し、他の発信との整合だけを見る
- 表示の窓:情報システムまたは法務が、申告欄の記入と素材の出どころだけを見る
3つに分ける利点は、各担当が見る範囲が狭いので所要時間が読めることです。事実の窓は数字と日付の照合だけなので、1本あたり10分で終わります。全部を全員が見る形だと、誰も自分の担当を特定できず、結局は誰も真剣に見ません。確認の範囲を先に決めることが、確認を実際に機能させる条件です。
順序も決めておきます。事実、表現、表示の順です。逆にすると、言い回しを整えた後に数字の誤りが見つかって作り直しになります。あわせて、各窓の返答期限を1営業日と決め、期限内に返答がないときの既定の動きを先に選んでおく。止めるのか、通ったものとして進めるのか。ここを決めていない運用は、返事待ちが1週間に伸びて自然に消えます。
本数の上限は、作る力ではなく通す力で決まる
「月に何本まで出せますか」と聞かれたとき、制作の側で計算すると必ず外れます。骨格が1本できていれば、台本の差分を書き換える作業は数十分です。本数を縛るのは、作る時間ではなく人が確認する時間です。1本につき3つの窓が動くので、上限は窓の側で決まります。
計算の形は単純です。例えば事実の窓の担当が確認に出せる時間が週60分で、1本10分かかるなら週6本。表現の窓が週2時間で1本20分なら週6本。表示の窓が週30分で1本5分なら週6本。この3つのうちいちばん細い窓の数字が、そのまま全体の上限になります。数値は部門ごとに違うので、自部門の担当に「週に何分出せるか」を聞いて置き換えてください。作る速さだけを見て月20本と約束すると、確認が形だけになって誤りが出ます。
増やしたいときに動かすのは、制作ではなく窓です。手はおおむね3つあります。窓の担当を2人にして交互に見る、確認の対象をさらに狭める、そして型が固まった内容は事実の窓を四半期に1回の一括確認に切り替える。増産の相談は、制作の話ではなく窓の時間の話になります。ここを取り違えると、道具を増やしても本数は増えません。
直せるようになると、通っていない版が出回る
差し替えが安くなることには副作用があります。実写では作り直しに人と予算が必要だったので、勝手な版が生まれること自体が起きませんでした。台本を数行直せば新しい動画が出る状態になると、承認を通っていない版が、悪意なしに作られはじめます。通すより自分で作るほうが速いからです。
起き方は具体的です。営業が客先向けに数字だけ差し替える。支社が自分の部署名を入れて出し直す。急ぎの案件で表示の窓だけを飛ばす。どれも現場の善意で起きるので、注意喚起では止まりません。止めるには、作れる状態そのものに制限をかけます。
かける制限は2つで足ります。1つ目は、台本の置き場を1か所に決めて、そこに無い台本から作った動画は公開しないと宣言すること。2つ目は、映像を出力する仕組みを使える人を限定し、誰がいつどの台本から作ったかの記録を残すことです。先に触れたAI事業者ガイドライン第1.1版でも、利用する側の事項として、提供元から渡された文書を適切に保管して活用すること、提供元が定めたサービス規約を守ることが挙げられています。誰がどの版から作ったか分からない状態は、この2つをどちらも満たせません。
開示の欄を、誰がどの基準で埋めるか
公開先には、AIで作った内容かどうかを申告する欄があります。世界最大の動画共有サービスでは、投稿時に「AIの使用」の項目を選ぶ形です。開示が必要とされているのは、実在の人物が言っていないことを言ったように見せる場合、実際の出来事や場所の映像を改変する場合、実際には起きていない場面を写実的に作る場合です。写実的な内容では表示が再生画面に出て、非写実的なものは説明欄の展開部分に出ます。
逆に不要とされる例も明示されています。空想的な場面、合成用の背景、全面的なアニメといった非写実的な表現。それに美容フィルタ、色の調整、自分自身の声の複製、字幕の作成、画質の引き上げといった軽微な編集です。実在しない人物を写実的に作って話させる形は、申告が必要な側に入ります。守らない場合、運営側が表示を付けるほか、収益化の停止もありうると書かれています。
| 作ったものの型 | 申告欄の記入 | 表示の出る場所 |
|---|---|---|
| 実在しない人物が写実的に話す | 必要 | 再生画面 |
| 実在の人物の姿と声を複製して話させる | 必要 | 再生画面 |
| 自分自身の声だけを複製して読ませる | 軽微な編集として不要 | 表示なし |
| 全面的なアニメや図解の人物が話す | 非写実的として不要 | 必要なら説明欄 |
| 実写の映像に色調整や字幕を足しただけ | 不要 | 表示なし |
運用としての要点は、この記入を投稿の直前に持ってこないことです。埋めるのは表示の窓の担当、埋める時点は台本の承認時、迷ったら記入する。この3行を書いておけば、判断は5秒で終わります。欧州向けにも出す場合は、確認項目を1行足します。EU AI Actの第50条は2026年8月2日から適用され、第2項は合成の音声や映像を作る仕組みに機械可読な標識を求め、第4項は実在の人物に見える改変を使う側に開示を求めています。第99条第4項では、この透明性の義務に反した場合の過料が最大1,500万ユーロ、事業者なら全世界年間売上高の3%のいずれか高い方と定められています。
素材の出どころは、別枠で先に閉じておく
誰の姿と声を使うかは、台本の話とは別枠です。体制づくりに入る前に閉じておきます。選択肢は、提供元があらかじめ用意した人物を使う、自社で用意した人物の姿と声を取り込む、外部の出演者に依頼して取り込む、の3つ。残す記録は1枚で足ります。誰の姿と声か、使える用途の範囲、使える期限、期限を確認する担当。期限の欄が空いている許諾は、いつまで使えるのか誰も答えられなくなります。
権利の考え方や契約書の書き方といった踏み込んだ話は、本記事では扱いません。ここで閉じるのは「どの素材を使うか」と「期限を誰が見るか」までです。この2つを先に決めずに体制の議論を始めると、台本の担い手を決める会議が権利の議論に流れて、半年たっても1本目が出ません。四半期の棚卸しで期限の列だけを見る運用にしておけば、公開済みを慌てて下げる事態も避けられます。
更新と差し替えの回し方
回し続けるための中心は、原本を動画ではなく台本にすることです。動画は台本から生成される出力にすぎないので、直すのは台本で、動画は作り直すという向きを守ります。台本の置き場を1か所に決め、版番号と改訂日、改訂した人、改訂の理由の4項目を先頭に書く。これだけで、半年後に「どちらが最新か分からない」状態を防げます。
見直しの周期は四半期に一度で足ります。見る項目は3つに絞ります。価格や数量の数字、手順の増減、登場する部署名や担当者の呼び方。全文を読み直すと決めると、実際には誰も読みません。3項目だけなら1本あたり数分で、公開済みが20本あっても1時間で終わります。
差し替えの手間は公開先によって違います。作り直した動画を同じ場所に置き換えられるとは限らないので、台本を直したら必ず動画を出し直す、という運用にはしないほうが現実的です。数字の誤りのように放置できないものだけ出し直し、言い回しの改善は次の定期更新にまとめる。この線を引いておくと、更新が負担になって止まることを避けられます。
見た人の反応を、何と比べて測るか
測り方でつまずくのは、比べる相手を決めていない場合です。再生回数だけを見ても、台本を直したことが効いたのかは分かりません。実務で置ける比較対象は3つです。同じ内容を文章で置いていたページ、同じ台本の前の版で作った回、そして同じ骨格で別の相手向けに書いた回。比較対象は公開前に決めます。後から決めると、都合のよい相手を選んでしまいます。
見る指標は、途中でやめた位置に絞ると解釈しやすくなります。冒頭の10秒で離れているなら、期待した内容と違ったということです。本題に入る手前で離れているなら、前置きが長い。最後まで見られているのに次の行動がないなら、動画の出来ではなく置き場所と導線の問題です。原因が3つに分かれるので、打ち手も分かれます。
台本の版番号と反応の記録を紐づけておくと、次の改訂が具体的になります。第2版で前置きを2文削ったら離脱が前に寄らなくなった、という形で残るからです。もう1つ足すなら、問い合わせの文面です。動画で説明した内容の質問が混じっていたら、その箇所は伝わっていません。数字より先に、寄せられた質問と台本を突き合わせる。自動では取れないので、月に一度、担当が5件だけ読む形にしておくと続きます。
回し続ける体制:誰が書き、誰が通し、いつ見直すか
担い手と書式が決まっても、体制の形にしていない企画は3本目で止まります。白書の調査でも、生成AIによる業務変革について「組織的な取り組みはない」と答えた日本企業は27.0%で、他の3か国より高い水準でした。個人の工夫で動いている状態から抜け出せていない、ということです。動画の場合、次の4つを決めるだけで形になります。
置き場と書式を先に決めます。書式には版番号、改訂日、読み上げの注記欄、参照した資料の名前を入れます。書式が無いと、書ける人が1人に固定され、その人が抜けた時点で止まります。
目標を月単位にすると、月末にまとめて書くことになり品質が落ちます。週1本にして担当を固定すると、3週目には所要時間が読めるようになります。読めてから本数を増やします。
事実、表現、表示の順に通します。順序が逆になると、言い回しを整えた後に数字の誤りが出て作り直しになります。返答がないときの既定の動きも、あわせて決めておきます。
価格の数字、手順の増減、素材の使用期限の3項目だけを見ます。一覧に載っていない動画が出てきたら、そこが置き場の抜けです。棚卸しの担当は書く人と分けます。
この4つのうち、抜けやすいのは4つ目です。作るところまでは熱が入りますが、公開済みを見に戻る作業には誰も手を挙げません。棚卸しを書く人とは別の人に割り当てるのが要点で、書いた本人は自分の台本の古さに気づきにくいためです。白書のヒアリングでも、人間の判断や確認を適切に介在させる考え方に基づく統制を重視する例が挙げられていました。AI事業者ガイドライン第1.1版の第5部にも、人間の判断を介在させることで予期せぬ事故を防げるという趣旨が書かれています。人が確認する範囲を先に決めることが、続く運用と続かない運用の差になります。
体制が崩れるときの6つの入口
相談を受けていて実際によく見かける、止まり方の型を並べます。どれも動画の出来ではなく、決めていないことが原因で起きます。
- 台本の担い手を決めずに始める:書ける人に自然と集まり、その人が別件に入った週から本数がゼロになる
- 書式を用意しない:書き手が変わるたびに水準が揺れ、承認にかかる時間が読めなくなる
- 承認を関係者全員に回す:1本に2週間かかり、週次の運用が成立しないまま企画が消える
- 本数の目標を制作の速さから決める:通す力を超えた本数を約束し、確認が形だけになる
- 台本の置き場を決めない:承認を通っていない版から動画が作られ、古い数字が外に出る
- 申告欄を投稿の直前に埋める:判断する人がその場にいないため公開日がずれ、社内の信用を落とす
6つのうち、損の大きさで抜けているのは1つ目と5つ目です。1つ目は本数が止まるだけで済みますが、5つ目は誤った内容が外に出ます。決める順番も決まっていて、担い手、書式、置き場、本数の順です。逆の順番、つまり本数の目標から決め始めると、書式も置き場も無いまま量を追うことになり、5つ目の型に必ず着地します。
着手前に埋める10行の確認欄
最後に、着手前に埋めておく項目をまとめます。ここが空欄のまま発注や社内告知に進むと、公開の直前に判断待ちが発生します。上から順に、埋まっていない箇所が最初に決めるべきことです。
- 内容の種類ごとに、台本を書く担当の名前を1行で書いたか
- 数字と手順を出す部門と、受け渡しの形(文書か口頭か)を決めたか
- 書式に、言い切る範囲・数字の時点・条件の置き場所・1文の上限の欄があるか
- 数字の読み、社名や製品名の読み、間を置く位置を書き添える欄があるか
- 台本の置き場を1か所に決め、版番号・改訂日・改訂者・改訂理由を先頭に置いたか
- 事実・表現・表示の3つの窓の担当と、返答期限を1営業日で決めたか
- 期限内に返答がないときの既定の動き(止めるか進めるか)を先に選んだか
- いちばん細い窓の時間から、週に出せる本数の上限を計算したか
- 申告欄を埋める担当を表示の窓に置き、迷ったときの既定を決めたか
- 四半期の棚卸しの担当を、台本を書く人とは別の人に割り当てたか
項目を10行にしたのには理由があります。詳しい確認票を作ると、埋めるのが面倒で結局使われません。1画面に収まる形にしておくと、会議の冒頭で読み合わせができます。読み合わせに5分かければ、後から2週間の手戻りが消えます。
言葉を、社内で通じる言い方にそろえる
この分野の言葉は説明の仕方が定まっておらず、社内で話すときに意味がずれます。決裁者に説明する場面と、情報システムに相談する場面で同じ言い方が使えるよう、置き換えを用意しておきます。
- 台本:読み上げさせる文章。動画の原本にあたり、直す対象は常にこちら
- 読み上げの注記:数字の読み方、固有名詞の読み、間を置く位置を台本に書き添えたもの
- 3つの窓:事実・表現・表示の順に通す承認の道筋。各窓が見る対象を狭くする
- 通す力:週に何本の台本を承認できるかの上限。出せる本数はここで決まる
- 台本の置き場:承認を通った台本を集めた1か所。ここに無い台本から動画は作らない
- 棚卸し:公開済みについて、数字・手順・素材の期限の3項目だけを定期に見直す作業
言葉がそろうと、依頼の精度が上がります。「AIで動画を作りたい」では何を判断すればよいか分かりません。「四半期ごとに変わる手順の説明を、内容を持つ部門が台本を書き、3つの窓を通して月2本出したい」と言えば、足りないものがその場で分かります。決裁の場でも、担当と期限が入った依頼のほうが早く通ります。
まとめ
AIで作った人物に台本を読ませる動画は、道具を入れた月ではなく、3本目あたりで止まります。総務省の2026年7月の白書では、企業の生成AI利用が86.4%に達した一方で、画像や動画を作る用途の利用経験は16.3%、マーケティング・広報で効果を実感している割合も36.6%でした。入れたが回っていない領域だということです。原因は、実写で制作会社が担っていた台本づくりが社内に移ったことに気づいていない点にあります。移ってくる作業は6つで、社内が元から持っていたのは多くの場合1つだけ。だから最初に決めるのは台本を書く人と、数字や手順を出す人を分けることです。担い手の置き方は4通りあり、正解ではなく崩れ方で選びます。書式には言い切る範囲・数字の時点・条件の置き場所・1文の上限の4欄を持たせ、読み上げの指示は台本の側に日本語で書き添える。読み上げの共通仕様は2010年9月7日の勧告で、間は6段階と時間で指定できる一方、読み方の解釈は仕様が値を列挙しておらず、抑揚や速さの意味も処理側に委ねられています。指定どおりに読まれる保証はない前提で組んでください。承認は事実・表現・表示の順に通し、返答期限を1営業日と、返答がないときの既定の動きまで決める。出せる本数はいちばん細い窓の時間で決まるので、制作の速さから目標を決めない。差し替えが安くなると承認を通らない版が出回るため、台本の置き場を1か所にして、そこに無い台本から作った動画は公開しないと宣言する。申告欄は表示の窓が台本の承認時に埋め、迷ったら記入する。欧州向けにはEU AI Actの第50条が2026年8月2日から適用され、第99条第4項で最大1,500万ユーロまたは全世界年間売上高の3%の過料が定められています。まずは自部門の内容を1つ選び、書く人の名前と、数字を出す部門の名前を書いてください。体制はその2行から始まります。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
SNS・動画にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
