動画生成AIをBtoBで使う5工程|作れる動画と限界

動画生成AIをBtoBで使う5工程|作れる動画と限界

「試しに動かしたら、それらしい映像は出ました。ただ、これを製品説明に使えるかというと違うんです」「自社の商品をそのまま映してくれるものだと思っていました」——動画生成AIを触った直後の担当者から、判で押したように返ってくる感想です。需要の側は小さくありません。2026年6月にBtoB企業の担当者500名に行われた調査では、動画の活用で効果があったと答えた人が60.6%、営業の現場に限れば74.0%に上がっています。それでも生成AIで作った映像が業務に乗らないのは、性能が足りないからではありません。作れるものと作れないものを分けている線が、尺の長さではなく「実在するものを再現する必要があるかどうか」にあるからです。この記事では、いま実際に作れる動画と作れない動画を分けたうえで、法人の業務に使うための5工程を整理します。


カメ先生カメ先生

動画生成AIって、動画を丸ごと作ってくれる道具だと思われがちなんだけど、本当は「撮れないカットを埋める道具」なんだ。


カメ子カメ子

1本まるごとは作れないということですか。


カメ先生カメ先生

うん。いまの主流は8秒から15秒くらいの短いカットで、長いものでも1分。それを何本かつないで1本にする形だね。


カメ子カメ子

撮影のかわりではなくて、撮影で足りない部分を補う使い方なんですね。


この記事のポイント
  • 作れる、作れないを分けるのは尺ではなく再現の要否。自社の製品や社員が映るカットは今も苦手
  • 生成できるのは短い単カット。1本の動画はカットを積んで作る前提で工程を組む
  • 文字と音と公開前の開示は人の仕事。生成に任せると文字が歪み、開示の判断が抜ける

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目次

数字が示すのは、需要ではなく費用のほうの問題

最初に、なぜ生成AIの話が動画で持ち上がるのかを数字で押さえます。冒頭で触れた2026年6月の調査は、動画マーケティングを実施しているBtoB企業の担当者500名に対するものです。効果があったと答えたのは60.6%で、内訳は期待以上が14.0%、ある程度が46.6%。あまり効果がなかったが19.8%、全く効果がなかったが5.6%、わからないが14.0%でした。

同じ調査で目を引くのは費用のほうです。1本あたりの予算は10万円未満が28.4%で最も多く、30万円から50万円未満が23.0%、50万円から100万円未満が18.8%と続きます。つまり多くの会社は、1本に大きな金額をかけられないまま本数を増やしたい状況にあります。生成AIへの期待は、ここから来ています。

営業の側の数字はもっとはっきりしています。営業活動で動画を使っている営業担当者500名への別の調査では、効果があったが74.0%。使う場面は商談前が57.4%、商談中が56.4%、商談後が26.2%です。目的は複雑な商材の説明が49.0%、営業トークのばらつきをなくすことが42.8%、競合との差別化が30.0%でした。効いていることは分かっている。作る手間と費用が本数の上限を決めている、という構図です。

いま実際に作れる動画

では現状の性能はどこまでか。2026年時点で使われている主要な基盤を並べると、1回の生成で作れる長さは8秒、15秒、60秒といった上限が設けられています。解像度は高いもので4K相当まで対応し、映像と同時に音声を作る機能も一般化しました。効果音や環境音、話し声までまとめて出てくるものがあります。

この性能で確実に使えるものは4つあります。1つ目は情景や背景のカット。街並み、工場の外観、抽象的な流れの映像など、実在の特定の対象を写す必要がないものです。2つ目は静止画を動かす使い方。手持ちの写真やイラストに動きを付けます。3つ目は絵コンテの代わり。企画段階で、こういう映像にしたいという意図を関係者に見せる用途では、粗さがほとんど問題になりません

4つ目が、広告の案出しです。同じ主旨で見せ方の違う映像を数本作り、どれが反応を取るか試す。ここは1本の完成度より本数が効く領域なので、生成の得意な形と噛み合います。共通しているのは、実在の何かを正確に写す必要がない用途だという点です。次の章で扱う苦手な領域と、ちょうど裏返しの関係になっています。

いま作れない動画:4つは今も残っている

苦手な領域を先に潰しておきます。ここを知らずに着手すると、何度作り直しても求める映像にたどり着かず、時間だけが消えます。2026年の実務検証で共通して指摘されているものが4つあります。

1つ目は、自社の製品を厳密に再現すること。形、色、部品の配置、質感。似ているが違うものが出てきます。産業機械やソフトウェアの画面のように、細部が意味を持つ商材ほど致命的です。2つ目は、複数のカットで同じ見た目を保つこと。人物の顔、服装、小物、背景、光の向き、カメラの位置を、カットをまたいで完全に揃えることは今も難しいとされています。

3つ目が文字です。看板、字幕、画面の中の文言といった文字の描画は、いまも歪みます。日本語はとくに崩れやすく、遠目に文字らしく見えるだけの模様になることがあります。4つ目が、意図した細かい動作。手の動き、複雑な操作、長い会話の場面では破綻が出ます。

この4つから導かれる結論があります。指示文だけで1本の長編を丸ごと完成させることは、2026年時点では現実的ではありません。短いカットを作る、絵コンテを作る、案を試すという限定的な用途が、いま成立している範囲です。なお大手1社の動画生成サービスは2026年3月に提供終了が発表されており、基盤そのものが入れ替わる前提で考える必要もあります。この点は別の記事で扱っています。

分かれ目は尺ではなく、再現の要否

作れるものと作れないものを並べると、境界がはっきりします。長さではなく、実在するものを正確に再現する必要があるかどうかで分かれています。この線を最初に引いておくと、企画の段階で無駄な期待をしなくて済みます。

カットの種類実在の再現生成AIで作れるか実務での扱い
自社の製品が映る必要作れない撮影する。既存の写真や動画を使う
自社の社員が映る必要作れない撮影する。または合成の出演者に置き換える
導入した顧客の現場が映る必要作れない撮影の許可を取って撮る
ロゴや商標が映る必要作れない編集の段階で重ねる
画面の中の文字や数字必要作れない編集の段階で重ねる
情景や背景のカット不要作れる生成でよい
抽象的な概念の映像不要作れる生成でよい
企画段階の絵コンテ不要作れる生成でよい

表の上半分が撮影と編集、下半分が生成です。1本の動画のなかで両方が混在するのが普通なので、着手前にカットごとにどちらかを決めます。ここを決めずに、まず生成してみるから入ると、上半分のカットを何十回も作り直すことになります。

だから工程を5つに分ける

以上を踏まえて、実務の工程を5つに分けます。生成の工程ではなく、人が決める工程として並べているのがこの分け方の要点です。生成そのものは全体の一部でしかなく、前後の判断が結果を決めます。

STEP1
用途を先に決める

何の場面で誰に見せる動画かを1行で書きます。用途が決まると必要な尺と、再現が要るカットの数が決まります。ここが曖昧なまま生成を始めると、使い道のない映像が溜まります。

STEP2
素材の線を引く

何をAIに描かせないかを列挙します。自社の製品、実在の社員、ロゴ、文字。この4つは原則として生成の対象から外し、撮影か編集に回します。

STEP3
カット単位で作る

1本を8秒から15秒のカットに割り、1カットずつ生成します。うまくいった生成の初期値を控えて次のカットに引き継ぐと、見た目のぶれを抑えられます。

STEP4
人が仕上げる

文字、音、カットのつなぎ、尺の調整は編集で行います。生成に含めようとすると品質が落ちる部分なので、最初から分けて考えます。

STEP5
公開前に確認して開示を決める

事実の誤り、権利、そして生成物であることの開示。この3つを人が確認します。判断そのものをAIに任せません。

所要の目安を言うと、3分程度の動画で工程1と2が半日、工程3が1日から2日、工程4が2日、工程5が半日です。生成の工程だけが速くなり、前後は速くなりません。ここを見誤ると、社内への説明で、AIなら1日でできるはずという期待とずれます。

工程1:用途を先に決める

最初の工程です。BtoBで動画が使われる場面は、調査結果から見ると4つに集約されます。動画共有サイトやSNSでの配信が48.6%、Web広告が46.0%、自社サイトへの掲載が31.4%、展示会やイベントでの上映が23.0%です。この4つは、必要な尺も、再現が要るカットの割合もまるで違います

展示会での上映は音声が聞こえない環境で流れることが多く、尺は30秒前後。画面に文字を大きく出す必要があるため、文字を編集で重ねる前提になります。自社サイトへの掲載は2分から3分で、製品の実物が映る必要があるので生成の出番は背景に限られます。逆に広告の素材は15秒から30秒で、案の数が要るため生成が最も効きます。

用途を1行で書くときの型を示します。誰が、どの場面で、何をした結果、見る動画か。たとえば、見込み客が展示会のブースの前を歩きながら足を止めるかどうかを決めるために見る動画。ここまで書くと、音声が要らないこと、冒頭3秒で何の会社か分かる必要があること、尺が長くできないことが自動的に決まります

この1行を関係者で合意してから次に進みます。合意しないまま作ると、完成後に、営業でも使いたいという要望が出て、尺も見せ方も作り直しになります。動画は用途を後から広げられない前提で、最初に1つに絞るのが結果的にいちばん安く済みます。

工程2:素材の線を引く

2つ目の工程が、この記事でいちばん実害を防ぐ部分です。AIに描かせないものを、着手前に列挙して文書にします。前の表で挙げた5つが基本形で、自社の製品、実在の社員、導入先の現場、ロゴや商標、そして文字と数字です。

なぜ文書にするかというと、生成の作業中に線が動くからです。何度作っても製品らしいものが出てこないとき、担当者はこれくらい似ていればと妥協したくなります。そこで通してしまうと、実物と違う形の製品が公式の動画に載るという事故になります。実物と違う映像を製品の説明に使うことは、表示の適正さの観点でも問題になり得ます。

他社の製品や第三者の著作物の扱いも、この工程で決めます。生成された背景に、他社の製品らしきものや、既存の作品に似た構図が混ざることがあります。指定していなくても出てくるので、確認は生成のたびに必要です。この確認はAIには任せられません。何が他社のものかを知っているのは人だけだからです。

線を引いたら、代わりの調達方法も同時に決めます。製品は既存の撮影素材から、社員は新規に撮影、ロゴは編集で重ねる、文字は編集で入れる。この対応表がないと、線を引いた瞬間に作業が止まります。線引きと調達をひとつの文書にまとめてください。

工程3:カット単位で作る

3つ目が生成の工程です。1本を短いカットに割ってから作ります。1カットは8秒から15秒。3分の動画なら、生成が要るカットは10本から15本程度になります。カットごとに、何を映すか、何秒か、音があるかを1行ずつ書いた表を先に作ります。

同じ見た目を保つための手立てが1つあります。生成の初期値、いわゆるシード値を固定して次のカットに引き継ぐ方法です。うまくいった生成の初期値を控えておき、同じ値で作ると連続したカットで人物や情景のぶれを抑えられます。完全に揃うわけではありませんが、作り直しの回数は目に見えて減ります。

指示文の管理も、この工程で決めておきます。うまくいった指示文をカット番号とひもづけて保存する。基盤が入れ替わったときに同じ指示文がそのまま使えるとは限りませんが、作りたい絵を言葉にした記録は残ります。指示文をその場限りで捨てている会社は、半年後に同じ映像を作り直せません。

生成の回数の目安も持っておきます。実務では1カットあたり3回から8回の生成で採用できるものが出ます。10回を超えても出ない場合は、そのカットが再現の必要な種類である可能性が高い。回数で粘らず、撮影に切り替える判断の線を先に決めておきます

工程4:人が仕上げる

4つ目は編集です。生成で作れないと分かっている3つを、ここでまとめて足します。文字、音、つなぎです。この工程を省いて生成だけで完結させようとすると、品質が一段落ちます

文字は必ず編集で重ねます。前に見たとおり生成での文字は歪むので、社名も製品名も価格も、映像の中に描かせません。編集で重ねれば、後から数字だけ差し替えることもできます。料金や仕様が変わるたびに動画を作り直さずに済むという副次的な利点もあります。

音は3つに分けます。読み上げ、効果音、背景の音楽。生成された音声をそのまま使う場合でも、聞き取りにくい箇所は人が直します。とくに固有名詞と数字の読み間違いは、生成された音声で頻発します。製品名の読みは一覧にして、収録のたびに突き合わせます

つなぎと尺の調整も編集の仕事です。生成されたカットは、単体では成立していてもつなぐと流れが不自然になります。カットの順番を入れ替える、頭と尻を切る、間を空ける。この調整に2日ほど見ておくと、後工程が詰まりません。

工程5:公開前の確認と開示

最後の工程です。確認するのは3つ。事実の誤り、権利、そして生成物であることの開示です。順番を決めておかないと、公開の直前に開示の判断だけが残って止まります

開示については、外部の動画共有サービス側の方針を押さえておく必要があります。大手の動画共有サービスでは、生成や改変を開示する方針が2024年3月に導入され、2025年の初頭から運用が始まっています。対象は現実的に改変された、または合成された内容で、通常の動画も短尺も生配信も含まれます。

分ける基準がやや独特です。AIが関与したかどうかではなく、実在の人物や場所や出来事について、信じられる偽の現実を作ったかどうかで判定されます。背景を生成した程度なら対象外で、実在の人物が言っていない発言をしているように見せるものは対象になります。判断に迷う場合は開示する側に倒すのが安全です。

2026年5月からは自動での検出も始まりました。申告がなくてもラベルが付く場合があり、そのサービス自身の生成機能で作った動画や、来歴を記録する国際的な規格の情報が付いた完全な生成物には、外せない恒久的なラベルが付きます。表示位置は、通常の動画では再生画面の直下、短尺では動画の上に重なる形です。

社内の記録も同時に残します。どのカットを生成したか、どの指示文を使ったか、誰が確認したか。後から問い合わせが来たときに答えられるのは、この記録だけです。確認をAIに代行させないという方針も、あわせて文書に書いておきます。生成物かどうかの判定も、権利の判定も、いまのAIには任せられる精度がありません。

用途別に見る(1):製品説明とデモ

ここから3章、用途別に落とします。まず製品説明です。営業の調査では、動画を使う目的の1位が複雑な商材の説明で49.0%、動画の種類では製品やサービスの紹介が46.4%、実演が34.8%でした。需要が最も大きく、そして生成AIが最も使いにくい領域でもあります。

使いにくい理由は明確で、製品そのものが映る必要があるからです。この領域で生成が担えるのは3か所に限られます。導入部の情景カット、課題を示す抽象的な映像、そして章と章のあいだのつなぎです。本体である製品のカットは撮影か、既存の素材の再利用になります

それでも効果は出ます。同じ調査で、動画の活用による具体的な効果として商談時の製品理解の促進が32.4%で挙がっています。導入部の情景カットを生成で用意できるだけでも、1本あたりの制作は軽くなります。製品説明では生成の分担を2割から3割と見積もるのが実際に近い数字です。

画面を見せるソフトウェアの説明では、注意がもう一段あります。生成された画面は本物ではないので、そのまま使うと実物と違う操作画面を見せることになります。画面は必ず実際の録画を使い、生成は周辺の演出に限ってください。

用途別に見る(2):商談と展示会

2つ目は営業の現場です。商談で動画を使う場面は、商談前が57.4%、商談中が56.4%、商談後が26.2%。事前に送って見てもらう使い方が最も多いことが分かります。この用途は尺が2分から3分で、内容の正確さが最優先です。

ここで生成が効くのは、本数を増やす方向です。営業トークのばらつきをなくすことが目的の42.8%を占めていますが、業種ごとに話す内容が違うと1本では足りません。共通の製品カットは撮影で1回作り、業種ごとの導入部の情景だけを生成で差し替える。本体を共通化し、頭だけ替えるという作り方が現実的です。

展示会は条件が変わります。調査では展示会やイベントでの活用が23.0%、効果として展示会やイベントの集客増が35.0%で1位に挙がっています。会場では音声が聞こえないため、文字が主役になります。文字は生成できないので編集で重ねる前提です。

展示会向けで生成が効くのは、遠目に目を引く抽象的な映像です。製品の細部は近づいてから説明すればよいので、ブースの前を通る人の足を止める役割だけを動画に負わせると、生成で作れる範囲に収まります。この割り切りができると、展示会ごとに新しい映像を用意できるようになります。

用途別に見る(3):採用広報と社内向け

3つ目です。採用広報は、実在の社員が映ることに意味がある領域なので、生成の出番は限られます。社員が話す場面を生成で作ると、応募者に見抜かれたときの損失が大きい。人が語る部分は撮影する、という線をここでは強く引きます

一方で、生成が効く部分もあります。会社の事業を説明する図解の背景、業界の情景、働く場所の周辺の映像。撮影の手配が重い部分を生成で埋めると、社員の撮影は1日で済みます。採用の動画は本数より鮮度が効くので、年に数回作り直せる体制のほうが、1本の完成度より価値が出ます

社内向けの動画は、外部の開示の方針が及ばない領域です。ただし、社内だから確認を省いてよいということにはなりません。手順を説明する動画に誤った操作が映っていれば、そのまま作業事故につながります。社内向けこそ、事実の確認は外部向けと同じ基準で行います

導入事例の動画は、この3つのどれとも違う扱いになります。顧客の会社と担当者が映る以上、生成の対象にできる部分はほぼありません。生成で置き換えられるのは、顧客名を出せない場合の抽象的な情景カットくらいです。

費用:安くなる部分と、安くならない部分

費用の話に移ります。冒頭で見たとおり1本あたりの予算は10万円未満が28.4%で最多でした。生成AIを入れると、この金額の中で作れる本数は確かに増えます。ただし安くなる部分と安くならない部分が、はっきり分かれています

安くなるのは3つ。情景や背景のカットの調達、企画段階の絵コンテ、そして広告の案出しです。これまで素材集から探すか撮影していた部分が、生成に置き換わります。とくに絵コンテは、外部に依頼すると数日かかっていたものが数時間になります。

安くならないのは4つ。台本の作成、製品や人の撮影、編集、そして確認です。この4つが制作費の大半を占めるため、全体の削減幅は期待より小さくなります。1本の制作費のうち生成で置き換えられるのはおおむね2割から3割と見ておくと、社内の説明で齟齬が出ません。

むしろ増える費用もあります。生成の基盤の利用料、確認の工数、そして開示の判断にかかる時間です。とくに確認は、生成のカットが増えるほど増えます。本数を2倍にすると、確認の工数も2倍になるという前提を、体制の話をする前に共有しておいてください。

  • 数値は2026年6月に実施された2件の調査によるもの。いずれも有効回答500名で、対象は動画を活用している担当者に限られる
  • 動画生成の基盤の仕様は入れ替わりが速い。尺と解像度の上限は、着手前にその時点の条件を確認する
  • 生成された映像に、指定していない他社の製品や既存の作品に似た構図が混ざることがある。確認は生成のたびに人が行う
  • 外部の動画共有サービスの開示の方針は、実在の人物や出来事について信じられる偽の現実を作ったかどうかで判定される。背景の生成だけでは対象にならない

やってはいけない使い方

最後に、実際に手戻りが起きた形を並べます。どれも、作れるはずという前提から始まっています

  • 自社の製品を生成で作らせる。似ているが違う形が出るため、実物と異なる映像を製品説明に使うことになる
  • 指示文だけで1本の動画を丸ごと作ろうとする。短い単カットが上限で、長編を一度に作る使い方は成立しない
  • 映像の中に文字を描かせる。看板も字幕も歪むため、社名や価格が読めない模様になる
  • 実在の社員が話しているように見える映像を生成する。開示の対象になり、応募者や顧客の信頼も損なう
  • うまくいった指示文と初期値を保存しない。基盤が入れ替わったときも、作り直したいときも再現できない
  • 生成物かどうかの判定や権利の確認をAIに任せる。いまの精度では判定の材料にならず、人が見るしかない
  • 用途を決めずに生成を始める。尺も見せ方も決まらないため、使い道のない映像だけが溜まる
  • 本数を増やす計画だけを立てて、確認の工数を数えない。生成が速くなっても、確認は人の時間のまま残る

よくある質問

生成した動画は商用で使えますか

主要な基盤は有料の契約であれば商用の利用を認めているものが多く、無料の枠では制限があるのが一般的です。ただし条件は基盤ごとに違い、改定もされます。着手前にその時点の利用の条件を確認し、確認した日付とともに記録に残してください。加えて、条件の上では使えても、生成された映像に他社の権利物が混ざっていれば別の問題になります。条件の確認と中身の確認は、別の作業として両方行います

何秒くらいの動画まで作れますか

1回の生成では8秒、15秒、60秒といった上限が基盤ごとに設けられています。実務では8秒から15秒のカットを積み上げて1本にするのが標準的な作り方です。3分の動画なら、生成が必要なカットは10本から15本程度になります。1回で長い動画を作ろうとするほど途中で見た目が崩れる確率が上がるので、短く割るほうが結果的に速く仕上がります。

同じ人物を複数のカットに登場させられますか

完全には揃いません。顔、服装、小物、背景、光の向き、カメラの位置をカットをまたいで保つことは今も難しいとされています。うまくいった生成の初期値を固定して引き継ぐと、ぶれをある程度は抑えられます。ただし実在の社員を登場させる用途では、この方法でも精度が足りません。人が繰り返し映る動画は、撮影するか、合成の出演者を使う前提で考えてください

生成した動画にAIで作ったと表示する必要がありますか

必ずしも全部ではありません。大手の動画共有サービスの方針では、実在の人物や場所や出来事について信じられる偽の現実を作った場合が対象で、背景や情景を生成しただけなら対象外とされています。ただし2026年5月から自動での検出も始まっており、申告がなくてもラベルが付く場合があります。判断に迷うものは開示する側に倒し、社内では生成したカットの一覧を必ず記録に残してください。

台本もAIに書かせてよいですか

下書きまでは使えます。ただし製品の仕様、価格、実績の数字は、書かれた内容をそのまま使わないでください。生成された文章はもっともらしい数字を混ぜることがあり、動画は文章より訂正が難しい媒体です。数字と固有名詞は、必ず社内の一次資料と突き合わせてから収録に回します。確認する範囲を先に決めておくと、この作業は1本あたり30分ほどで終わります。

まとめ

動画生成AIをBtoBで使えるかどうかは、性能の問題ではなく分担の問題でした。作れるものと作れないものを分けているのは尺の長さではなく、実在するものを正確に再現する必要があるかどうかです。自社の製品、実在の社員、導入先の現場、ロゴ、文字。この5つが映るカットは今も生成では作れず、撮影か編集に回ります。

だから工程を5つに分けました。用途を1行で決める、AIに描かせないものを列挙する、8秒から15秒のカット単位で作る、文字と音とつなぎを人が仕上げる、公開前に事実と権利と開示を確認する。生成そのものは3番目の工程だけで、前後は速くなりません。1本の制作費のうち生成で置き換えられるのは2割から3割、というのが実際に近い見積もりです。

数字の側も整理しておきます。BtoB企業の担当者500名の調査で動画の効果があったと答えたのは60.6%、営業の現場では74.0%。1本あたりの予算は10万円未満が28.4%で最多。商談で使う場面は事前の送付が57.4%で最も多く、展示会では集客の増加が効果の1位に挙がっていました。効くことは分かっていて、本数を増やす手立てが足りていない。生成AIが埋められるのは、この隙間の一部です。

最後に、任せない範囲について。生成物かどうかの判定、他社の権利物が混ざっていないかの確認、数字と固有名詞の照合。この3つはいまのAIには任せられる精度がなく、人が見るしかありません。動画は文章より訂正が難しい媒体なので、確認の手順を先に決めてから本数を増やしてください。作れる範囲を正しく見積もることが、結果としていちばん多くの動画を世に出す道になります。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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