Salesforceに載るAIとは?|使える前提と要る準備

Salesforceに載るAIとは?|使える前提と要る準備

「顧客管理の道具にAIが付いたと聞いて有効にしたのですが、商談の要約を頼むと、返ってくるのは会社名と日付だけです」「次の一手を出す機能に期待していたのに、候補に並ぶのは半年前に止まった案件ばかりでした」。この2つは、機能の出来とは別の場所でつながっています。提供元の公式な説明を読むと、この層の答えは承認された出どころから引いてきた内容を根拠にし、取り出しの際は利用者の権限とデータへの参照範囲を保ったまま行われる、と書かれています。道具に載るAIは、記録の代わりを作る仕組みではなく、記録を読む仕組みです。この記事では、載るAIが実際に引き受ける仕事と、動かないときに欠けている前提を並べます。製品を並べる代わりに、道具に載せる・外へ渡す・自分で組むという3つの型で、データの出る先と費用のかかり方と止めやすさがどう変わるかを見ます。


カメ先生カメ先生

顧客管理の道具にAIが載ると、記録が薄いところを補ってくれると思われがちです。実際は逆で、記録が薄いところほど答えも薄くなります。


カメ子カメ子

足りない部分を推測で埋めてくれるわけではない、ということですか。


カメ先生カメ先生

埋めることもありますが、それは頼りにできない埋め方です。提供元の説明では、承認された出どころから引かせることで作り話を防ぐ、という順番になっています。引く先が空なら、引くものがありません。


カメ子カメ子

記録を読む仕組みだから、読む先が無いと動かないのですね。


この記事のポイント
  • 引き受けるのは、履歴の要約・次の一手の候補出し・入力と返信の下書きの3つに集まる
  • 動かない理由は性能ではなく、記録が入っていない項目・権限で見えない範囲・そろっていない表記の3つ
  • 比べるのは製品ではなく型。数字として社内に流す前と顧客に出す前は人が見て、記録の上書きは任せない

メール・MAにAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?

デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。

目次

顧客管理の道具の上にAIが載った。載せただけでは動かない

顧客管理の道具は、記録する場所から、記録を読んで次の作業を用意する場所へ変わりつつあります。営業支援の仕組みにも、メール配信の仕組みにも、同じ層が後から載ります。既に使っている道具の設定を開けるだけで有効になるものが多いので、導入の意思決定というより、設定の判断として現場に降りてきます。

ところが有効にした翌日に起きるのは、たいてい「答えが薄い」という体験です。要約を頼むと会社名と日付だけが返り、次の一手を頼むと古い案件が並ぶ。これを機能の未熟さだと受け取ると、次の判断が「もう少し様子を見る」になります薄い答えは、性能の評価ではなく、記録の状態の検査結果です。検査結果として読めば、次にやることが決まります。

だから最初に決めるのは「入れるか」ではありません。何が揃っていないと動かないのかを、開ける前に見ることです。揃っていない前提は3つに絞れます。記録が入っていない項目、権限で見えない範囲、そろっていない表記。この3つを順に見ていきます。

引き受けるのは、要約・候補出し・下書きの3つに集まる

道具に載る層が実際にやることは、名前の付け方はさまざまでも、3つに集まります。1つ目は履歴の要約です。ある取引先について、直近のやり取り、開いた案件、送ったメールの反応を1画面にまとめます。担当が変わったときや、久しぶりに触る取引先の前に見るのが本来の使いどころです。

2つ目は次の一手の候補出しです。止まっている案件に対して、次に取る行動の候補を並べます。ここで大事なのは、返ってくるのは判定ではなく候補であるという点です。見込みが高いか低いかの判定として受け取ると、後で数字の根拠を説明できなくなります。3つ目は入力と返信の下書きです。訪問後の記録の下書き、問い合わせへの返信の下書き、社内向けの報告の下書き。

冒頭に挙げた「候補に並ぶのは半年前に止まった案件ばかり」という声は、候補出しの仕組みを知ると説明がつきます。候補出しは、案件の状態と最後に更新された日付を読みます。そして更新が止まっている案件は、定義上いちばん「動きがない案件」として上位に出ます。半年前に実質的に終わっているのに閉じずに残してある案件があると、候補の上位はその手当てで埋まります。候補出しを使う前に、閉じるべき案件を閉じておく作業が要るのは、このためです。

この性質は、要約と候補出しで症状の出方が違うことも説明します。要約は空欄に対して黙りますが、候補出しは空欄や古い日付に対しても何かを返します。返ってきたこと自体は、記録が使える状態にある証拠になりません。候補を評価するときは、その候補が何を読んで出てきたのかを1件だけ手でたどると、台帳のどこが古いのかが同時に分かります。

  • 3つとも、人が読んで直すことを前提にした成果物です。読まずに次の工程へ流す使い方は想定されていません
  • 要約と候補出しは、記録の状態がそのまま出ます。下書きは記録が薄くても形になるため、薄さに気づきにくい種類です

記録が入っていない項目は、要約に出てこない

要約は入力欄の中身を読みます。空欄は読めません。担当者名と会社名だけが入っていて、商談の中身が空の案件を要約すると、返ってくるのは会社名と日付です。これは正しい挙動です。空になりやすい欄はだいたい決まっています。訪問後の所感、失注の理由、決裁の経路、次回の約束。どれも入力に時間がかかるので、後回しになったまま残ります

ここで、全部の欄を埋めようとするのは筋が悪い手当てです。埋める作業に時間がかかり、埋め終わる前に使うのをやめることになります。順番を逆にします。先にAIへ聞く問いを1つ決めて、その問いに答えが出るかを試すのです。たとえば「この取引先の直近3か月で、まだ決まっていないことは何か」。この問いに答えが出ないなら、答えるために要る欄が空だということです。

この使い方だと、薄い答えが診断の道具になります。5社ほど試して、返ってこなかった要素を並べると、埋めるべき欄が2つか3つに絞れます。埋める欄を先に決めるのではなく、聞く問いを先に決める。どの項目を持つべきかという設計そのものは別の話なので、登録する顧客項目の考え方は該当の記事に譲ります。

答えは、その人が見られる範囲を引き継ぐ

提供元の公式な説明には、安全な取り出しについて「利用者の権限とデータへの参照範囲を保ったまま、業務の文脈となるデータへ安全に参照できるようにする」という記述があります。読み替えると、その人が画面で見られないものは、AIの答えにも出てこないということです。これは仕様として当然ですが、試すときの手順に影響します。

実務で起きるのはこうです。管理者が試すと十分な答えが返り、現場の担当が試すと薄い答えが返る。報告は「人によって出来が違う」となり、原因の調査が性能の方向に流れます。実際の差は参照範囲です。試すときは、いちばん狭い権限の人の画面で試します。そこで足りるなら全員で足りますし、足りないなら足りない理由が権限だと分かります

逆向きの事故もあります。共有範囲を広く設定してある記録は、AIの答えを経由して読まれます。画面を1つずつたどる手間が要らないので、本来は見に行かなかった記録まで要約に混ざります。開ける前に、広く共有されている記録の一覧を見るのが順番です。共有設定の見直しは、AIを開ける作業とは別の日に、別の担当で終わらせておきます。

表記がそろっていないと、同じ会社が別々に数えられる

同じ取引先が、法人の種別の書き方や略記の違いで複数の行に分かれている状態は、どの会社の台帳にも多少はあります。件数の集計が分かれるのは以前から知られた問題ですが、AIの答えでは症状の出方が変わります。答えは1つの文章として返るので、分かれていること自体が見えなくなるのです。数が合わないのに、どこで合わないのかが画面から読み取れません。

見つけ方は単純です。同じ問いを2通りの書き方で聞いて、返ってきた件数を比べます。件数が違えば、その取引先は分かれています。3社か4社で試せば、自社の分かれ方の癖が出ます。分かれ方の癖が分かれば、直す優先順位も決まります。全部を直すのではなく、AIに聞く問いに関わる取引先から直します

なお、記録をまとめる作業そのもの、つまりどの欄を突合の鍵に置くかという設計は、顧客項目の記事とデータ基盤の記事の領域です。ここで押さえておくのは1点だけです。AIの答えは、台帳の分かれ方をそのまま引き継ぎ、しかも引き継いだことを教えてくれません。

製品ではなく、3つの型で比べる

比べる対象を製品にすると、機能表の勝ち負けになります。そして機能表は毎期更新されるので、比べた結果は次の期に使えません。決めるべきことは3つです。どこにデータが出るか、何に対して費用が増えるか、止めるときに何が残るか。この3つで並べると、製品が変わっても判断の形が残ります

型は3つに割れます。1つ目は、道具に載っているAIをそのまま使う型。2つ目は、記録を書き出して外のAIに渡す型。3つ目は、自分で助手を組む型です。実務では併用が普通に起きます。型を分けるのは、選ぶためというより、いまどの型で動いているかを社内に説明できるようにするためです。

説明できないと、社内の審査や顧客からの問い合わせに時間がかかります。「その要約はどこのAIが作りましたか」と聞かれて、どの型で動いているかを1文で答えられる状態にしておくのが、開ける前に用意しておく準備の1つです。

型1 道具に載っているAIをそのまま使う

道具の中で動く型です。提供元の説明では、入れた文と出てきた答えを外部の大きな言語モデルの学習には使わず、保存もしない、という取り決めを置いている型があります。この取り決めがあると、社内の審査で最初に問われる「入れたものが学習に使われるか」に、公表文書を示して答えられます。

向くのは、既にその道具に記録が集まっている業務です。商談の履歴、問い合わせの往復、送ったメールの反応。これらを読ませる要約や下書きは、記録の置き場所と読む場所が同じなので、渡す判断が要りません。判断が要らないことは、運用の負担として大きな違いになります。

向かないのは、道具の外にある資料を混ぜたい場合です。提案書の書式、過去の見積りの考え方、社内の商品資料。これらを合わせて読ませたいときは、載る範囲を道具の側が決めているという制約に当たります。混ぜる仕組みを別に用意することはできますが、その時点で型2か型3に移っています。

型2 外のAIに記録を渡す

記録を書き出して、外のAIに渡す型です。混ぜられる材料の自由度は高く、道具の中では手が届かない加工もできます。その代わり、決めることが増えます。何を渡すか、渡した先で学習に使われないか、どの国を通るか、そして渡した記録が消えたことをどう確かめるか。

入れてよいかどうかの判断そのものには手順があり、個人情報に当たるかどうか、取得時に伝えた使い道の中に入っているか、渡した先の扱いはどうか、置き場所が国外かという関門を順に通す形になります。この手順は顧客データを生成AIに入れてよいかを扱った記事に譲ります。ここで押さえるのは、渡す判断が1件ごとに発生するので、運用の負担が型1と桁で違うという点です。

止めやすさでは、この型がいちばん不利になります。設定を閉じれば止まる型1と違い、いったん渡した記録は戻ってきません。渡す前が唯一の関門なので、関門を通す人を決めておかないと、急ぎの案件で誰かが個人の判断で渡すことになります。

型3 自分で助手を組む

画面の操作だけで組める仕組みや、業務の手順と参照資料をあらかじめ設定した対話の相手を自分たちで作る型です。決まった手順を繰り返す業務には向きます。問い合わせの一次分類、定型の返信の下書き、日次の集計の読み上げ。手順が固まっているほど、組んだものが長く使えます。

変わるのは、作った後の持ち主の問題です。組んだ人の頭の中にあった前提が、受け取った人には引き継がれません。どの資料を正とするか、答えが見つからないときにどう振る舞うか。この2つを書き残していないと、配った翌週から答えの水準が揃わなくなります。組む手間より、引き継ぎと更新の手間のほうが後から効いてきます

費用の形も他の2つと違います。席の数でも動いた回数でもなく、作る手間と維持の手間で増えます。そして止めるときに困るのは、作った人が異動した後です。どこに設定があり、何を参照しているのかが分からないと、止め方が分かりません。組む前に、更新の担当と、動かなくなったときに直す人を決めておきます

3つの型で変わるもの:データの出る先・費用・止めやすさ

見るところ道具に載っているAIを使う外のAIに記録を渡す自分で助手を組む
データの出る先道具の中に留まる取り決めが用意されている型がある書き出した先の環境に出る。戻せない組んだ先の設定に従う。設定を書き残す必要がある
費用のかかり方席の数と、動いた回数の両方で増える形が出てきた渡した文の量で増える作る手間と維持の手間で増える
止めやすさ設定を閉じれば止まる渡した記録は戻らない。渡す前が唯一の関門作った人が居ないと止め方が分からなくなる
説明のしやすさ提供元の公表文書を示して説明できる自社で書いた線引きを示すことになる組み方を書き残していないと説明できない
向く業務記録が既にその道具に集まっている業務道具の外の資料を混ぜたい業務手順が固まって繰り返される業務

表の使い方は、勝ち負けを決めることではありません。自社がいま置かれている状況を、この5行で言えるかどうかを確かめる使い方です。言えないなら、その行がまだ決まっていません。とくに止めやすさの行が空のまま開けると、後で止められなくなります

併用しているときは、業務ごとに型を書き分けます。問い合わせの一次対応は型1、提案書の下書きは型2、日次の集計は型3、というように。書き分けておくと、事故が起きたときに調べる範囲が絞れます。書き分けていないと、全部を止めることになります。

費用は席の数ではなく、動いた回数で増える型が出てきた

顧客管理の道具の費用は、長く席の数で決まってきました。使う人が増えれば増え、使わなければ増えない形です。AIの層が載ってから、この形に別の軸が加わりました。動いた回数に対して増える形です。提供元の公式な料金の説明では、標準の1動作あたり20の単位、音声で応答する動作は1回30の単位を消費し、その単位を10万の束で先に買う形が示されています。

金額の水準よりも、増える先が変わったことのほうが実務に効きます。席の数で増える形なら、月の費用は先に読めます。動いた回数で増える形では、使われるほど費用が伸びるので、月の見込みが立てにくくなります。しかも動く回数は、開ける範囲を広げた翌月に跳ねます。問い合わせの一次対応に載せると、問い合わせの件数がそのまま費用になります。

先にやることは、業務ごとに「月に何回動くか」を数えることです。問い合わせが月400件なら、一次対応に載せれば少なくとも400回動きます。数えられない業務から始めるのは避けます。数えられないなら、開ける範囲を絞って1か月だけ動かし、実際の回数を測ってから広げる。料金の比べ方そのものは別の記事の領域なので、ここでは増える先の違いだけを押さえます。

もう1つ、公式の料金の説明には見落としやすい注記があります。示されている試算の例には、データを集めて整える側の費用は含まれていない、と書かれています。つまり動いた回数の費用と、読ませる材料をそろえる側の費用は、別の勘定で積まれます。社内で予算を通すときに動作の分だけを持ち出すと、後から材料側の費用が出てきて、増額の説明を二度することになります。見積りを作る段で、動く回数の費用と材料をそろえる費用を最初から2行に分けて書くのが、この型で最初に効く手当てです。

提供元が守りとして置いている仕組みを、言葉で確かめる

公式の説明を読むと、この層に置かれている守りは4つに整理できます。1つ目は根拠づけです。承認された出どころから引かせ、その内容を引用して答えさせることで、作り話が混ざるのを防ぐ設計になっています。引く先として挙げられているのは、データを集める側の基盤に入っている情報と、社内の知識の置き場です。つまり引かせる先は台帳の中だけとは限らず、指定できる余地があります。2つ目は伏せ字です。個人を特定できる情報や自社固有の業務データを、識別できない印に置き換えてからモデルに送ります。

1つ目の「指定できる余地」は、準備の順番を変えます。台帳の欄を埋める作業は時間がかかりますが、社内の知識の置き場に正とする資料を置く作業は、既にある資料を選ぶだけで済むことがあります。商品の説明、価格の考え方、断り方の指針。これらを正として指定しておくと、下書きの水準が先に上がります。ただし置いた資料が古いままだと、古い内容を根拠として堂々と引いてきます。正として置いた資料には、更新の担当と見直しの周期を必ず付ける

3つ目は保存しない取り決めです。入れた文と出てきた答えを、外部の大きな言語モデルの学習には使わず、保存もしないとされています。4つ目は有害な表現の検知です。生成された内容を分類して、問題があれば利用者に表示される前に止める、遮る、印を付けるという処理が入ります。この4つは「書かれていること」の確認であって、自社の業務で足りるかどうかは別の判断です

  • 根拠づけの対象になる出どころに、自社が正としたい資料が入っているか
  • 伏せ字の対象に、自社が伏せたい項目(取引先の担当者名など)が含まれるか
  • 保存しない取り決めが、使う機能のすべてに及ぶのか、一部だけなのか
  • 有害な表現の検知が止めた場合、利用者にどう見えるのか
  • この4つを社内に説明する紙が1枚あるか(機能名ではなく、どのデータがどこまで出て何が残るかで書く)

使い始める前に揃える準備

準備は多く見えますが、順番を守れば1週間から2週間で終わります。先に全部の記録を整えようとすると終わらないので、問いを1つに絞って、その問いに必要なところだけを揃えます。

STEP1
AIに聞く問いを1つ決める

「この取引先の直近3か月で、まだ決まっていないことは何か」のように、答えの形が想像できる問いにします。問いが決まると、必要な欄と必要な参照範囲が決まります。

STEP2
いちばん狭い権限の人の画面で試す

管理者の権限で試すと動いて見えます。現場の担当が実際に使う権限で試して、返ってきた答えを記録します。5社ほど試せば、足りない要素が並びます。

STEP3
薄かった箇所から、欠けている欄を洗い出す

返ってこなかった要素を書き出して、その要素が入るはずの欄を特定します。ここで出てくる欄は2つか3つに収まるはずです。多く出るなら、問いが広すぎます。

STEP4
その欄を埋める担当と、埋まる場面を決める

誰がいつ埋めるのかを、既にある作業のついでに置きます。訪問後の報告を書くときに1行足す、失注の連絡を受けたときに理由を選ぶ、という形です。独立した入力作業として置くと続きません

STEP5
数字として社内に流す前の確認者を決める

見込みや優先度の数字を社内の会議に出す前に、誰が見るかを決めます。確認者が決まっていない数字は、次の会議の前提として独り歩きします。

この5つが終わってから、開ける範囲を広げます。順番を飛ばして先に全社に開けると、薄い答えを受け取った人が「使えない」と判断し、後から準備を整えても戻ってこなくなります。

AIに渡してよい仕事と、人が決める仕事

渡してよいのは、前に挙げた3つです。履歴の要約、次の一手の候補出し、入力と返信の下書き。いずれも、人が読んで直す前提の成果物です。加えて、記録の分かれ方を見つける作業(同じ問いを2通りで聞いて件数を比べる、分かれている候補を並べる)も渡してよい作業です。

人が見る箇所は3つに絞ります。第1に、商談の見込みの判定を数字として社内に流す前に人が見ること。見込みの数字は営業と共通の物差しになるので、根拠を確かめずに流すと、次の会議から先の前提が全部動きます。第2に、顧客に出す文面は人が確認すること。下書きの精度が上がるほど、読まずに送る事故の確率が上がります。第3に、記録を書き換えさせないこと。

3つ目は設定の話です。AIが記録の欄を上書きする設定を、最初から有効にしない。追記は候補として別の場所に置き、確定は人が押す形にします。上書きを許すと、後から「元は何が書かれていたか」を追えなくなり、台帳の信頼が落ちます。台帳の信頼が落ちると、載っているAIの答えも使えなくなります。

  • 管理者の権限で試した結果を、そのまま全社で使える証拠として報告する
  • 返ってきた見込みの数字を、根拠を確かめずに営業会議の資料に載せる
  • AIが書いた記録の追記を、人の確認を通さずに台帳へ確定させる
  • 顧客に出す文面を、下書きの出来がよいことを理由に読まずに送る
  • AIに製品や機能の優劣を尋ねて、その答えを選定の根拠にする
  • 薄い答えが返ったことを性能の問題と判断し、記録の状態を見ないまま様子見にする

ミニ用語解説 載るAIの話で混ざる言葉

提供元の資料は英語の用語をそのまま訳した表現が多く、社内で話すときに意味がずれます。会話に必要な6語だけ、業務の言葉に置き直しておきます。

この記事で使った言葉の意味
  • 根拠づけ:承認した出どころから内容を引かせ、それを引用して答えさせること。引く先が空なら答えは薄くなる
  • 伏せ字:個人を特定できる情報や自社固有のデータを、識別できない印に置き換えてからモデルに送る処理
  • 保存しない取り決め:入れた文と出た答えを、外部の大きな言語モデルの学習に使わず保存もしない、という取り決め
  • 参照範囲の引き継ぎ:AIが読める記録の範囲が、使っている本人の権限と同じになること
  • 動作単位の費用:席の数ではなく、AIが1回動くごとに決まった単位を消費する費用の形
  • 助手:業務の手順と参照する資料をあらかじめ設定しておいた対話の相手

この6語のうち、社内の審査でいちばん多く聞かれるのは「保存しない取り決め」と「参照範囲の引き継ぎ」です。前者は公表文書を示して答えられますが、後者は自社の共有設定の話なので、自社で確かめて答えることになります。審査に出す前に、共有範囲の広い記録の一覧を作っておくと、往復が1回で済みます。

実務仕様 運用に入ってから月に1度見る項目

開けた後は、状態が動きます。記録の入り方も、共有設定も、動いた回数も月ごとに変わります。月に1度、次の6つだけを見る決めにしておくと、崩れる前に気づけます。

  • 薄い答えが返る問いが増えていないか(増えていれば、入力が後回しになっている欄がある)
  • 広く共有されている記録が増えていないか(AIの答え経由で読まれる範囲が広がる)
  • 同じ取引先の分かれた行が増えていないか(同じ問いを2通りで聞いて件数を比べる)
  • 動いた回数が先月と比べてどう動いたか(開ける範囲を広げた翌月は跳ねる)
  • 人が確認した記録が残っているか(数字として流す前の確認と、顧客に出す前の確認)
  • 記録を上書きする設定が、いつの間にか有効になっていないか

6つとも、見るのに10分もかかりません。10分で終わる形にしておくのが大事で、確認の作業が30分を超えると、翌月から誰も見なくなります。見る項目を増やすより、6つを毎月続けるほうが効きます。増やしたい項目が出てきたら、代わりに1つ落とします。

まとめ

顧客管理の道具に載るAIは、記録を読む仕組みです。読む先の欄が空なら答えは薄くなり、利用者の権限で見えない範囲は答えにも出てきません。そして台帳の分かれ方は、答えの中では見えなくなります。この3つを前提として押さえたうえで、比べるのは製品ではなく型にします。道具に載せる・外へ渡す・自分で組むという3つを、データの出る先と費用のかかり方と止めやすさと説明のしやすさで並べれば、製品が変わっても判断の形は残ります。渡す仕事は要約と候補出しと下書きまで。見込みを数字として社内に流す前と、顧客に文面を出す前は人が見て、記録の上書きは任せません。開ける前にやることを1つだけ選ぶなら、AIに聞く問いを1つ決めて、いちばん狭い権限の画面で5社試すことです。返ってこなかった要素が、そのまま準備の一覧になります。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

メール・MAにAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?

デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。

運営会社:株式会社デボノ

目次