広告制作はAIにどこまで任せる?|工程ごとに引く線

「もう広告はAIで作れる時代ですよね」「制作費を半分にできないかと言われています」——広告の制作にAIを入れる話は、たいていこの2つの言い方から始まります。ただ、ここには小さな取り違えが混ざっています。広告制作は1つの作業ではありません。企画から入稿までを実務の単位で割ると7つの工程があり、任せてよいかどうかの答えは工程ごとに違います。まとめて任せるか任せないかで考えると、任せてよい工程が手作業のまま残り、任せてはいけない工程が先に自動化されます。この記事では、広告制作の全工程を並べ、工程ごとにどこへ線を引くと差し戻しが減るのかを整理します。
カメ先生広告制作をAIに任せるって、作業をまとめて渡すことだと思われがちなんだけど、本当は「どの判断を渡さないか」を決める作業なんだ。
カメ子渡さないほうを先に決める、ということですか。
カメ先生そう。事実の主張が入る工程は渡せない。効能や価格の言い方は、根拠を持っている側が決めるものだからね。
カメ子速く作る話だと思っていましたが、決める場所の話なんですね。
- 広告制作は企画と訴求、素材、文言、表示の確認、権利、入稿と審査、効果の検証の7工程。線は工程ごとに違う位置に引く
- 事実の主張が入る工程は渡さない。根拠を示す責任は出す側に残り、AIは主張の出所を持てない
- 作り方の記録がないと入稿の段で申告の要否に答えられない。工程2の記録が工程6で効く
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「AIで広告が作れる」は、どこで取り違えているのか
制作費が半分になるという話が出るとき、頭に浮かんでいるのはたいてい素材を作る作業です。画像を1枚作る、見出しを10本出す、動画の尺を詰める。ここは確かに速くなります。ただ、広告1本にかかった時間を工程ごとに並べてみると、大きい順に並ぶのは決めることと確認することで、素材を作る手そのものはその次です。生成が速くなっても、決める工程と確認する工程は自動では短くなりません。
実務の記録にも出ています。広告の審査に機械を使っている事業者が2025年12月に公開した記事では、単純に指示を投げただけの状態では「月額料金の二重価格表示やバナー全体のトンマナ、人物素材については言及がない」と書かれていました。作れることと出せることは別です。出せる状態にするには、何を見るのかを先に与える必要があります。
だから「AIに任せるか、任せないか」を1つの問いにすると答えが出ません。実際に起きるのは、素材の生成だけが速くなり、確認の列に順番待ちが積み上がる状態です。順番として正しいのは、まず制作を工程に割り、工程ごとに「渡す作業」と「渡さない判断」を分けることです。
この記事では個別の作り方には踏み込みません。コピーの書き方、バナーの量産、検索広告の文言、入札や配信の自動化については別に整理しています。ここで扱うのは全体像です。7つの工程を並べ、それぞれで任せられる根拠と任せない理由を言葉にしていきます。
広告制作を7つの工程に分けて眺める
線を引く前に、対象を分けます。媒体や商材で細部は変わりますが、企画から検証までを実務の単位で割ると次の7つになります。企画と訴求の決定、素材の生成、文言の作成、表示の確認、権利の確認、入稿と媒体の審査、効果の検証です。工程の名前は社内の呼び方で構いませんが、7つとも表に並べることが条件です。並んでいない工程は、たいてい誰も見ていない工程になります。
| 工程 | AIに寄せられる作業 | 人が持つ判断 | 残す記録 |
|---|---|---|---|
| 1 企画と訴求の決定 | 候補の洗い出し、言い換え、対象の整理 | どの主張を出すか | 主張の根拠資料の所在 |
| 2 素材の生成 | 案の量産、加工、形をそろえる | 実物と一致しているか | 使った指示文と採用案 |
| 3 文言の作成 | 下書き、言い換え、字数の調整 | 数字と条件の記載 | 数値の出典 |
| 4 表示の確認 | 一次確認、抜け漏れの拾い出し | 出してよいかの可否 | 確認者と確認日 |
| 5 権利の確認 | 規約の読み解きの補助 | 使ってよいかの判断 | 許諾と規約の版 |
| 6 入稿と媒体の審査 | 入稿作業の下準備、書式の変換 | 申告の要否 | 申告した内容 |
| 7 効果の検証 | 集計、傾向の整理、要約 | 次に何を変えるか | 変更の履歴 |
表にすると、人が持つ判断が3つの性質に集まっていることが見えます。事実であるかどうか、権利があるかどうか、出してよいかどうかです。この3つはいずれも、外から問われたときに根拠を示す責任が出す側に残ります。責任が残る判断を機械に渡すと、問われたときに答える材料が誰の手元にもありません。
逆に、AIに寄せられる作業も3つの性質にまとまります。候補を増やす、形をそろえる、抜けを拾う。どれも間違っても取り消せる範囲にとどまる作業です。取り消せるかどうかは、線を引くときのいちばん分かりやすい目印になります。
工程1:企画と訴求の決定は渡さない
訴求とは、商品の何を良いことだと言うかの選択です。ここで選んだ言い方が、そのまま表示になります。景品表示法が見ているのは表示そのものなので、実際より優れていると誤認させる表示や、取引条件が実際より有利だと誤認させる表示に当たれば、作った人ではなく出した事業者が問われます。根拠を持っているのは出す側だけです。
AIは主張の根拠を持てません。学習した文章の傾向からもっともらしい言い方を組み立てるので、その言い方の出所を示すことができないからです。「業界最速」と書ける文章を作ることはできますが、何と比べて最速なのか、いつ時点の話なのかを答えることはできません。訴求の決定を渡すとは、答えられない状態を出荷することを意味します。
実務では候補出しに使ってよい工程です。有効なのは、候補の一覧に「この主張の根拠は何か」を1行で書く欄を足すことです。書けない候補はその場で落とします。落とした数を月ごとに数えておくと、生成の使いどころと危なさが同時に見えるようになります。
落とし穴は、強い言い方に引きずられることです。生成された案は語調がそろっていて読みやすいので、根拠のない言い方でも通りやすくなります。会議で候補を見る順番を、強い順ではなく根拠が書けた順に変えるだけで、この引力は弱まります。
工程2:素材の生成は寄せられる。条件は実物と一致すること
素材の生成は、7工程のなかでもっともAIに寄せやすい工程です。理由は2つあります。候補が多いほど選べる幅が広がること、そしてやり直しの費用が小さいことです。取り消せる作業で、量が効く。この2つがそろう工程は任せてよい候補になります。
ただし条件が1つあります。実物と違うものを作らないことです。実物と異なる商品の見た目を出すと、優良誤認の表示に当たる可能性があります。気をつける対象は具体的で、容量の見え方、付属品の有無、素材の質感、使ったあとの状態です。BtoBの商材でも同じで、画面の見た目や導入後の姿を実際より整えて描くと同じ問題になります。
そこで確認の担当を先に決めます。実物と突き合わせる人を、生成した人とは別に置くのが基本です。撮影素材を管理している担当か、商品を扱っている部署が向いています。生成した本人が確認すると、作った過程を知っているため、実物との差が見えにくくなります。
記録も工程2で取ります。どの指示文で作り、どの案を採用したか。これは後の工程6で必要になります。主要な被写体を生成したのか、色の補正にとどまるのかで媒体への申告の要否が変わるため、作り方を思い出せない素材は、入稿の段で止まります。
工程3:文言は下書きまで。数字と条件は人が埋める
見出しと本文の下書きは寄せられます。表現の幅を出す作業であり、やり直しがきくからです。落としてはいけないのは、下書きの中に数字と条件が混ざる点です。数字と条件は表現ではなく事実なので、生成の対象から外します。
危ないのは4つあります。二重価格表示、順位で優位を示す第1位の表示、注釈で例外を伝える打消し表示、そして期間や対象の限定です。第1位の表示には比較の根拠となる調査と期間の記載が必要で、打消し表示は注釈が本文と同程度に認識しやすいかが見られます。いずれも、書き方の巧拙ではなく事実の裏付けの話です。
実務の形はひとつです。数値と条件を空欄にしたひな形を生成させ、人が埋める。空欄のまま出させると、確認者は「ここは人が入れる場所だ」と分かります。逆に生成が数字を書いてしまうと、それらしい桁と単位が並ぶため、確認者が通してしまいます。空欄で出す運用は、確認者の注意力に頼らないための仕掛けです。
もう1つの落とし穴は、過去の広告を材料に生成させる場合です。前年の価格や旧仕様が混ざった文言が出てきます。材料に使う資料は、いま有効な版だけに絞るのが安全です。古い資料を混ぜないことは、指示文の工夫よりも効きます。
工程4:表示の確認は一次だけ任せて、可否は人が決める
表示の確認は、AIを入れる効果が出やすい工程です。ただし入れ方に形があります。広告の審査に機械を使っている事業者の記事では、まず単純に投げてみる段から始め、次に審査の基準と顧客ごとのルールを教えてから投げる段に進む、という順序が示されています。運用の形は、明らかに問題ないものと明らかに駄目なものは機械が処理し、判断が難しい部分だけを人がじっくり見るという分け方です。
何を見るのかは項目にしておきます。2026年7月に公開された整理では、確認すべき点として次の7つが挙げられていました。
- 品質や効果を実際より優れていると見せていないか(優良誤認)
- 価格や取引条件が実際より有利だと見せていないか(有利誤認)
- 広告であることが読み手に分かる形になっているか
- 注釈や注意書きが本文と同程度に認識しやすいか(打消し表示)
- 生成した画像に実物と異なる誇張が入っていないか
- 順位の表示や二重価格に、比較の根拠となる調査と期間があるか
- AIで作ったことの表示が必要な場面かどうかを判断できているか
この7項目のうち3つ目には、法の定めが直接かかっています。消費者庁は令和5年10月1日から「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」を指定し、同じ名前の運用基準を示しました。広告であるにもかかわらず広告であることを隠す表示が対象で、企業がインフルエンサーなどの第三者に依頼・指示するものも含まれます。規制の対象になるのは商品やサービスを供給する事業者、つまり広告主です。個人の感想のように広告でないものや、テレビの広告のように広告だと分かるものは対象外です。生成AIで感想風の文面や投稿風の画像を作る場面は、この線に触れやすいため、工程4で拾うのではなく工程1の企画の段で扱いを決めておきます。
可否を人が持つ理由は、間違えたときの重さにあります。同じ整理によると、課徴金の算定率は過去10年以内に納付命令を受けた事業者について3パーセントから4.5パーセントに引き上げられました(2024年10月施行)。故意の違反には100万円以下の罰金という定めもあります。行政処分の実績も公表されており、令和5年度は優良誤認40件、有利誤認5件の措置命令が出ています。
この重さを引き受けられるのは事業者だけです。だから機械の役割は「見落としを拾うこと」に限り、出してよいという判断は人の署名で残します。確認者と確認日を記録に残す運用は、この署名を形にしたものです。
工程5:権利の確認は、工程ではなく素材1点ごとに付いてくる
権利の確認は、他の工程と性質が違います。制作の流れのどこかで1回済ませるものではなく、素材1点ごとに付いてくるからです。国の資料も整理を進めていて、文化庁は令和6年3月15日に「AIと著作権に関する考え方について」を取りまとめ、令和6年7月31日には立場ごとの「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」を公開しています。
整理の枠組みは、学習の段階と生成・利用の段階を分けるところにあります。学習の段階は著作権法第30条の4という柔軟な権利制限の規定により原則として許諾なく利用できますが、享受を目的とする利用が併存する場合や権利者の利益を不当に害する場合は、ただし書きにより対象から外れます。広告制作の実務が関わるのは、主に生成と利用の段階です。
生成と利用の段階で見られるのは、既存の作品に依拠しているかと、似ているかの2点です。同じ資料では、指示文に特定の作家名やキャラクター名を含める行為はリスクが高いとされています。制作の現場では、参考にしたい雰囲気を伝えたくて固有名を書きたくなりますが、固有名を書かずに、色・構図・光の方向で伝えるのが実務的な回避になります。
著作権とは別の枠の論点もあります。人物の肖像や声には、著作権とは別に人格や商業的な価値を保護する考え方があり、実在の人物に似た顔や声を作る場合は個別に許諾の有無を確かめる必要があります。さらに素材の規約も重なります。生成に使った道具の利用規約、ストック素材の規約、二次利用の範囲。この3つは道具や契約ごとに違うため、素材の一覧に「出どころ」と「規約の版」を書く列を足すのが確実です。
工程6:入稿と媒体の審査が、作り方の前提を決める
入稿は最後の工程ですが、実は作り方の前提を決める工程です。大手SNSの広告媒体では、画像・動画・音声の主要な視覚被写体、つまり人物・商品・場面などを生成AIで作った、または実質的に改変・合成した広告について、広告管理の画面から自己申告する仕組みが置かれています。守らなかった場合は広告の拒否、規約違反の記録、累積した場合のアカウントの制限といった扱いになります。
対象外の線も引かれています。色の補正、切り抜き、見出しの最適化、軽微な背景の補正など、AIの支援に分類される範囲は申告の対象になりません。検索の広告媒体では、すべてのAI生成広告に開示ラベルを求める形にはなっておらず、選挙に関わる広告で合成や改変を使う場合の明示が定められています。媒体によって、また広告の種類によって線が違うということです。
地域差も無視できません。米国のある州では2026年1月から、AIで作られたかどうかを判定する道具を無償で提供する義務や、学習に使ったデータの公表の義務が動きます。EUの規則では透明性の条項が2026年8月からAI生成・改変コンテンツの開示を求めます。日本では2026年時点でAI生成広告に特化した開示義務の法は整備されていませんが、出す地域が増えるほど確認する規約の数も増えます。
国内の指針も動いています。AI事業者ガイドラインは2026年2月16日に令和7年度の更新内容の案が示され、リスク評価の手法や利用場面の追加によるリスクに応じた進め方の具体化、AIエージェントなどの動向を踏まえた事項の追加が盛り込まれました。方向は「使うな」ではなく「用途ごとに測って扱いを分ける」です。広告制作の線引きも、この考え方と同じ形になります。
同じ更新の案には、事実と異なる内容が生成される問題、社内の資料を検索して組み合わせる使い方、文章と画像を同時に扱う使い方について、個人に関する情報が漏れる論点が新たに書き加えられました。広告制作でも、過去の顧客資料や未公開の商品情報を材料として投げる場面が該当します。材料に何を入れるかは、出力の良し悪しより先に決める部分です。
工程7:効果の検証は、増えた本数に耐える形にする
制作が速くなると本数が増えます。本数が増えると、1本あたりの検証が薄くなります。5本を1週間見ていた体制で50本を回すと、どれが効いたのかを説明できなくなる。これはAIを入れたことで新しく生まれる問題で、制作の工程だけを見ていると気づけません。
測る対象を先に決めます。効果の指標に加えて、制作の工程そのものを測るのが要点です。差し戻しの割合、媒体審査で否認された割合、1本あたりの制作にかかった時間、確認にかかった時間。この4つは線引きが正しかったかを教えてくれる指標です。差し戻しが減らないなら、線の位置が違います。
AIの寄与の測り方には注意があります。生成した本数は成果ではありません。数えるべきは採用に至った本数と、確認で落ちた理由の内訳です。理由の内訳を見ると、根拠が書けなかった、実物と違った、数字が違った、権利が確かめられなかった、のどれで落ちているかが分かります。落ちた理由の分布が、次に手を入れる工程を指し示します。
落とし穴は報告の仕方です。生成本数を成果として報告すると、確認の負荷が数字から消えます。すると経営から見て「速くなったのに、なぜ人手が減らないのか」という話になり、確認の工程が圧縮されます。報告には必ず確認にかかった時間を並べることにしておくと、この誤解は起きません。
任せる/任せないを分ける3つの物差し
工程ごとの話をまとめると、線を引く物差しは3つに絞れます。新しい工程や新しい媒体が増えたときも、この3つで判断できます。
- 事実の主張が入るか。入るなら渡さない(訴求、数字、条件、効能)
- 取り消せない形で外に出るか。出るなら渡さない(入稿、申告、公開、送信)
- 根拠を人が示せるか。示せないなら渡さない(出どころ不明の素材、根拠の書けない主張)
この3つで当ててみます。見出しの言い換えは、事実の主張が入らず、取り消せる範囲にとどまり、根拠も要りません。だから渡せます。効能の表現は事実の主張が入るので渡せません。入稿の実行は取り消せない外への出力なので渡せません。素材の生成は「実物と一致するか」の確認と組み合わせれば渡せます。物差しが同じでも、工程によって答えが変わるのはこのためです。
この物差しを使うと、AIを万能に扱う話にも歯止めがかかります。判断させないと決めた工程では、AIの出力は「候補」であって「結論」ではありません。候補として扱うために、出力に必ず「これは候補である」という扱いを与える。具体的には、生成物を保存する場所を採用済みの場所と分ける、という運用の形になります。
例外もあります。社内向けの検討資料のように、外に出ない素材は3つ目の物差しを緩めてよい場面です。ただし社内資料が転用されて外に出る事故は頻繁に起きます。外に出ない前提の素材にも、出どころの記録だけは残すのが無難です。
AIに任せた工程で必ず残す6つの記録
線を引いたら、記録を決めます。記録は監査のためだけではなく、後から聞かれたときに答えるためにあります。媒体からの申告の確認、権利者からの問い合わせ、表示の根拠の照会。この3つは実際に来る問いです。
- 生成に使った指示文と、使った道具の名前と日付
- 生成された候補のうち、採用した案と落とした案
- 実物との突き合わせを誰がいつ行ったか
- 数値と条件の出典(資料名と版)
- 素材の出どころと規約の版、許諾の有無
- 媒体に申告した内容と、申告した日
6つとも、後から作り直せない情報です。特に指示文と採用案は、時間が経つと本人でも思い出せません。保存の場所は制作物と同じ場所にするのが実務の要点で、別の台帳に書く運用は必ず途切れます。素材の隣に置くと、素材を探した人が記録にも行き当たります。
保管の期間は、商材の性質で決めます。継続して出す広告なら次の改定まで、期間限定の広告なら公開の終了から一定期間。決めておかないと、記録が残っているのに探せない状態になります。記録は残す期間まで決めて初めて記録になります。
やってしまいがちな進め方
線引きに失敗した進め方には型があります。どれも悪意なく起きるもので、順番の問題です。
- 素材の生成から始めて、確認の仕組みを後から作る(差し戻しの列ができる)
- 確認を公開の直前に一括で行う(直す時間がなく、そのまま出る)
- 指示文に作家名やキャラクター名を書いて雰囲気を伝える
- 数値をAIに書かせて、確認者が桁と単位だけを見る
- 媒体への申告の要否を、担当者の記憶で判断する
- 生成した本数を成果として報告し、確認の時間を報告しない
立て直し方は共通しています。工程を紙に並べ、渡さない判断を1行で書く。これだけで多くは直ります。順番を変えるだけなので費用もかかりません。逆に、道具を入れ替えても順番が同じなら結果は変わりません。
もう1つ、組織の側の落とし穴があります。制作の担当と確認の担当が同じ人になっている場合です。生成で本数が増えると、この構造では確認が形式になります。本数を増やす前に、確認する人を分ける。増やしてから分けようとすると、増えた本数のまま人が足りない状態が続きます。
用語のミニ解説:現場で混ざりやすい5語
線引きの議論では、似た言葉が混ざります。混ざると会議で結論が出ないので、5つだけ意味を固定しておきます。
| 語 | 意味 | 工程での効き方 |
|---|---|---|
| 優良誤認表示 | 品質や効果を実際より優れていると誤認させる表示 | 工程1と工程2で防ぐ。素材の誇張もここに入る |
| 打消し表示 | 本文の内容の例外や条件を注釈で伝える表示 | 工程3。本文と同程度に認識しやすいかが見られる |
| 依拠性と類似性 | 既存の作品に基づいて作られたか、似ているか | 工程5。指示文に固有名を書かない理由になる |
| 実質的な改変 | 主要な被写体を作り替える程度の加工 | 工程6。申告の要否がこの線で分かれる |
| 一次確認 | 明らかな問題と明らかな適合だけを機械が仕分ける工程 | 工程4。可否の判断そのものは含まない |
この5語のうち、実務でいちばん揉めるのは「実質的な改変」です。背景を差し替えたのは改変か、人物の表情を変えたのは改変か。判断が分かれる場合は、改変ありとして申告する側に寄せるのが安全です。申告して不利益になる場面は限られますが、申告漏れは規約違反の記録として残ります。
30日で線を引く進め方
最後に手順です。道具の選定から始めないのが要点です。線を引くまでは、既にある道具の範囲で足ります。
企画から検証まで、自社の制作の流れを7前後の工程に割ります。工程の名前は社内の呼び方でよく、抜けている工程がないかだけを見ます。権利の確認と媒体の申告は、たいてい抜けています。
工程ごとに、渡さない判断を1行だけ書きます。長い規程は作りません。1行で書けない工程は、まだ分け方が粗い証拠なので、その工程だけ2つに割ります。
6つの記録を、制作物と同じ場所に置ける形にします。新しい台帳は作らず、いま使っているフォルダや管理表に列を足すだけにします。
1つの商材で運用し、差し戻しの件数と理由を数えます。理由の分布が偏っていれば、その工程の線の位置が違います。数え終わったら線を1か所だけ動かします。
4週目で「線を1か所だけ動かす」と決めているのは、同時に複数を動かすと何が効いたのか分からなくなるからです。制作の工程は、改善そのものを検証できる形にしておくほうが長く持ちます。
商材が変わると、線の位置も動く
同じ7工程でも、商材によって線の位置は動きます。化粧品や医薬部外品、健康に関わる商材では、言ってよい効能の範囲が定められているため、文言の工程で生成に渡せる余地が狭くなります。実務的には、言ってよい範囲の一覧を先に渡さないと使えない工程になります。
金融や不動産のように、表示すべき項目が多い商材では、打消し表示の扱いが重くなります。注釈の量が多いため、生成が本文だけを整えて注釈を落とす事故が起きやすい。この場合は、注釈を本文とは別の枠で管理し、注釈だけは生成の対象から完全に外す運用が向いています。
BtoBの商材では、実績の数値と導入先の名前が焦点になります。導入事例の文言をAIで整えるとき、相手先の許諾の範囲を超えた表現になりやすいためです。許諾の範囲は契約書か了承のやり取りに書かれているので、素材の一覧に許諾の範囲を書く列を足すのが確実です。
共通するのは、商材のリスクが高いほど「渡さない工程」が増えるということです。逆に言えば、同じ社内でも商材ごとに線を引き直す必要がある。1本の規程で全商材を縛ると、厳しすぎて使われないか、緩すぎて事故が起きるかのどちらかになります。
まとめ
広告制作をAIに任せる話は、任せるか任せないかの二択ではありません。7つの工程に割り、工程ごとに渡す作業と渡さない判断を分ける作業です。渡せるのは、取り消せて、量が効いて、根拠を要さない作業。渡せないのは、事実の主張が入る判断、取り消せない外への出力、根拠を示す必要がある判断です。
実務で効くのは3つです。数値と条件は空欄のひな形で生成させて人が埋めること。表示の確認は一次だけ機械に任せ、出してよいという判断は人の署名で残すこと。そして作り方の記録を素材の隣に置き、入稿の段で申告の要否に答えられる状態にしておくことです。線を引いたあとは、差し戻しの件数と理由を数えて、線を1か所ずつ動かしていけば足ります。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
広告運用にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?
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