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生花店が葬儀の供花の注文を Make で受け、葬家・札名・届け先・時刻を抜き出して、式場ごとの手配の一覧を作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

Web・メール・電話で届く葬儀の供花の注文を Make で1か所に集め、Claude に葬家・式場・日時・札名・数量を抜き出させます。式場ごと・通夜の時刻ごとの手配の一覧ができ、店員は写す代わりに確かめるだけになります。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
その他/小売
対象部門
営業
対象業務
データ入力・転記/台帳・マスタ管理
主な課題
人手が足りない/入力作業が多い/確認ミスが多い
AIで行う処理
抽出
主な効果
入力漏れ削減/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
48h/月
AI導入後
18h/月
想定削減
63%
年間削減
360h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 葬儀社から取りまとめのメールが届く。Web の注文が届く。電話を受けた店員が紙にメモする
  2. 店員が注文を1件ずつ読み、手配表の行に葬家・式場・日時・札名・数量・請求先を写す
  3. 同じ葬家の行がすでにあるかを手配表で探し、あれば並べる
  4. 式場ごとの搬入の決まり(締めの時刻、持ち込みの可否、花の形の指定)を、店の覚え書きで確かめる
  5. 札名の書き方を注文と見比べ、迷うものは注文者に電話で確かめる
  6. 配達の担当が、手配表を式場と時刻で並べ替えて、配達の順番を決める
  7. 届けたあと、請求先ごとに請求の準備をする
導入後(After)
  1. 人電話を受けた店員は、紙のメモの代わりに店内用の短いフォームに打ち込む
  2. 自動Web の注文と店内用のフォームは Webhook で、葬儀社のメールは Gmail の監視で、Make のシナリオに入る
  3. 自動Make が文面を Claude API に渡し、葬家・故人・喪主・式場・日時・札名・数量・請求先を原文のまま抜き出させる
  4. 自動Make が式場の台帳を引き、締めの時刻・持ち込みの可否・花の形の指定を付ける
  5. 自動Make が手配表で同じ式場・同じ日の通夜の行を探し、葬家の候補を付ける
  6. 自動ルーターで、確かめが要らないもの・確かめが要るもの・受けられないかもしれないものに分ける
  7. 人店員が手配の一覧を開き、札名と日時を注文の原文と見比べて「確認済み」にする
  8. 人確かめが要るものは、注文者や葬儀社に電話で聞く
  9. 人配達の担当が、式場と締めの時刻で並んだ一覧から配達の順番を決める
各工程の詳しい説明を読む
  1. 葬儀社から取りまとめのメールが届く。Web の注文が届く。電話を受けた店員が紙にメモする
  2. 店員が注文を1件ずつ読み、手配表の行に葬家・式場・日時・札名・数量・請求先を写す
  3. 同じ葬家の行がすでにあるかを手配表で探し、あれば並べる
  4. 式場ごとの搬入の決まり(締めの時刻、持ち込みの可否、花の形の指定)を、店の覚え書きで確かめる
  5. 札名の書き方を注文と見比べ、迷うものは注文者に電話で確かめる
  6. 配達の担当が、手配表を式場と時刻で並べ替えて、配達の順番を決める
  7. 届けたあと、請求先ごとに請求の準備をする

(a)同じ葬家が別々の行に散らばる。 葬儀社のメールでは「◯◯家」、Web の注文では故人の名前、電話のメモでは喪主の名前で書かれていることがあります。3つの書き方を同じ葬家と見抜けないと、並びがずれ、立札の順番の相談が遅れます。

(b)札名を写すときに変わる。 「株式会社◯◯ 代表取締役社長 ◯◯ ◯◯」を手配表に写すときに、役職を略したり、「株式会社」を前後で入れ違えたりします。立札の誤りは、式場に並んでから気づかれます。

(c)日時の取り違え。 「明日の通夜」「◯日18時より」「告別式は翌日11時」と、注文の書き方はばらばらです。通夜と告別式を取り違えると、届けが1日ずれます。

(d)忙しい時間に写す作業が重なる。 通夜の前日の夕方は、電話を受け、花を組み、配達に出る時間です。写す作業がその時間に重なり、確かめる作業から省かれます。

  1. 【人】 電話を受けた店員は、紙のメモの代わりに店内用の短いフォームに打ち込む
  2. 【自動】 Web の注文と店内用のフォームは Webhook で、葬儀社のメールは Gmail の監視で、Make のシナリオに入る
  3. 【自動】 Make が文面を Claude API に渡し、葬家・故人・喪主・式場・日時・札名・数量・請求先を原文のまま抜き出させる
  4. 【自動】 Make が式場の台帳を引き、締めの時刻・持ち込みの可否・花の形の指定を付ける
  5. 【自動】 Make が手配表で同じ式場・同じ日の通夜の行を探し、葬家の候補を付ける
  6. 【自動】 ルーターで、確かめが要らないもの・確かめが要るもの・受けられないかもしれないものに分ける
  7. 【人】 店員が手配の一覧を開き、札名と日時を注文の原文と見比べて「確認済み」にする
  8. 【人】 確かめが要るものは、注文者や葬儀社に電話で聞く
  9. 【人】 配達の担当が、式場と締めの時刻で並んだ一覧から配達の順番を決める

7番目を省かないでください。全件を人が確かめます。 ただし写す作業は無くなり、原文と抜き出した結果を横に並べて見るだけになります。8分が3分になるのは、この違いです。

5番目の「葬家の候補」は、Make が付ける候補です。 同じ式場で同じ日に通夜がある葬家は普通1つなので、式場と日付で引けば多くは1つに決まります。 2つ以上あるときは、店員が故人・喪主の名前を見て決めます。

02今回想定するシステム構成

構成図
Web の注文フォーム ──┐
店内用のフォーム ────┼─▶【トリガー】Webhooks の Custom webhook
葬儀社のメール ─────┘    【トリガー】Gmail の Watch emails(送信元で絞る)
   ▼
Make(シナリオ)
   ▼
Claude API(Anthropic Claude アプリの Make an API Call で Messages API)
   │   葬家・故人・喪主・式場・通夜と告別式の日時・札名・数量・請求先
   ▼
Make ── Google スプレッドシート:式場の台帳を Search Rows で引く
   │       締めの時刻・持ち込みの可否・花の形の指定
   ▼
Make ── 手配表で同じ式場・同じ日の行を Search Rows で引く(葬家の候補)
   ▼ ルーター
   ├── そろっている ─────── 手配表に Add a Row(確認待ち)
   ├── 欠けや迷いがある ─── 手配表に Add a Row(要確認)
   └── フォールバック ───── 要確認の一覧
   ▼
【人】店員が原文と見比べて確認済みにする / 配達の順番を決める
役割想定する製品代替候補
ワークフローMake(シナリオ。Webhooks、Gmail、Google Sheets、ルーター)Zapier、n8n、Power Automate
生成AIClaude API(Messages API、構造化出力)OpenAI API、Gemini API
保管Google スプレッドシート(式場の台帳・手配表・要確認の一覧)Airtable
メールGmail(店の注文用のアドレス)Microsoft Outlook

新しく作るのは、式場の台帳と店内用のフォームです。 式場の台帳には、式場ごとに、正式な名前と通称、住所、搬入の締めの時刻(通夜の開始の何時間前か)、外の生花店からの持ち込みの可否、花の形や色の指定、連絡先の葬儀社を書きます。この台帳の中身は、店が葬儀社に確かめて持っているものです。 AI はこの台帳を読みません。

入口の1つは Make の Custom webhook です。 Custom webhook は、どんなデータでも送れる URL を作る仕組みとされています。Web の注文フォームと店内用のフォームの送り先にこの URL を設定します。 受け付けたリクエストには、Webhook response のモジュールを置かなければ、ステータス200と「Accepted」という本文が返るとされています。

Webhook には上限があります。 Make が処理できる受信は10秒あたり300件までで、超えると429が返るとされています。キューに置ける数は、月のクレジット1万あたり667件、最大で1万件です。供花の注文の数ならこの上限にはまず届きませんが、シナリオにつないでいない Webhook は5日(120時間)を過ぎると止まり、410が返るとされています。 シナリオを作り直すときは、つなぎ忘れに気をつけます。

AI の部品は Claude API です。 Make の Anthropic Claude アプリには Simple Text Prompt と Create a Prompt がありますが、公式のページに構造化出力の記載が無いため、Make an API Call で Messages API を呼び、output_config.format に JSON Schema を渡します。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

経路は3つで、入口は2つです。 Web の注文フォームと店内用のフォームは、送信と同時に Custom webhook に届きます。葬儀社の取りまとめのメールは、Gmail の Watch emails で拾います。 Watch emails のフィルターには、条件を選ぶ簡単なフィルターと、Gmail の検索の書き方で指定する方法があり、1回に扱う上限は500件以下とされています。

Watch emails は5分ごとに動かします。 通夜の当日の昼に届いた注文を、夕方の搬入に間に合わせるためです。Gmail の検索の書き方で、取引のある葬儀社の送信元のアドレスだけに絞ります。 個人からのお悔やみのメールや広告は拾いません。

拾ったメールにはラベルを付けます。 「処理済み」のラベルは、手配表への書き込みまで通ったときだけ Update email labels で付けます。既読にする設定は使いません。 店員が先にメールを開くと、「未読だけ」の設定では拾われなくなるからです。

電話の注文は、店内用のフォームに打ち込んでもらいます。 紙のメモを残すと、写す作業が残ります。項目は分けず、聞いたことをそのまま書く1つの欄と、受けた店員の名前だけにします。 電話を受けながら項目を選ぶ余裕は無く、分けるのは AI の仕事です。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
Web の注文注文者、請求先、届け先の式場、葬家、日時、札名、商品と数量、備考Custom webhook
店内用のフォーム電話で聞いた内容を書いた1つの欄、受けた店員Custom webhook
葬儀社のメール件名、送信元、受信日時、本文(表か文章)Gmail の Watch emails
式場の台帳正式な名前と通称、締めの時刻、持ち込みの可否、花の形の指定、葬儀社Google スプレッドシート
手配表葬家、式場、通夜の日時、札名、数量、状態Google スプレッドシート

質を決めるのは、式場の台帳の通称の列です。 注文には「◯◯会館」「◯◯斎場の2階」「◯◯ホール東館」のように、正式な名前ではない呼び方で書かれます。通称を並べておけば、抜き出した呼び方から式場を引けます。 台帳に無い呼び方は、要確認に回して台帳に足します。

手配表は、葬家の候補を付けるために読みます。 同じ式場・同じ日の通夜の行が手配表にあれば、それが同じ葬家の候補です。

Step3

データの取得方法を決める

Web の注文は、項目ごとに分かれたまま Webhook に届きます。 それでも Claude に渡すのは、備考の欄に札名や届けの指定が書かれることが多いからです。項目と備考を1つの文面にまとめて渡し、備考に書かれた指定も抜き出させます。

葬儀社のメールの本文は、HTML のことがあります。 Make の側で文字だけにしてから渡します。表の形の本文を文字にすると、項目名と値が離れることがあるので、改行を残す形で文字にします。 1通のメールに複数の注文が並んでいることがあるので、1通から注文の配列で返させます。

取るものどこから何に使うか
注文の文面Webhook の中身、または Watch emails の本文Claude に渡す
式場の行Search Rows(通称の列で検索)締めの時刻・持ち込みの可否・花の形の指定
同じ日の行Search Rows(式場と通夜の日付で検索)葬家の候補

締めの時刻は、Make が出します。 抜き出した通夜の開始の日時から、式場の台帳の「何時間前」を引いた時刻です。告別式だけに届ける注文は、告別式の開始から引きます。 どちらに届けるかが注文に書かれていなければ、通夜に間に合わせる前提で締めを出し、要確認の印を付けます。

Iterator は、配列を1件ずつのバンドルに分けるモジュールとされています。 Array の欄に orders を入れます。配列の中身の形を Iterator が知らないうちは、対応づけの画面に件数と順番しか出ないとされているので、作るときに一度、取りまとめのメールでシナリオを動かして形を覚えさせます。

Search Rows の Limit は1にしません。 同じ式場・同じ日の行が2つの葬家に分かれて返ったら、同じ日に同じ式場で2件の葬儀があるか、書き写しの誤りです。どちらも店員が確かめます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 送信元の確認 … メールは取引のある葬儀社の送信元か確かめます。違えば処理しません
  2. 本文を文字にする … HTML を改行つきの文字にし、署名と過去のやり取りの引用を外します
  3. 文面をまとめる … Web の注文は、項目名と値を「項目名:値」の行にして備考と一緒に1つの文面にします
  4. 受信日時を添える … 「明日の通夜」のような書き方を日付にするため、受信の日時を一緒に渡します
  5. 同じ注文の二度目を外す … Webhook の注文番号、メールの ID が処理済みの一覧にあれば処理しません

4番目が、日時の取り違えを減らします。 「明日」「今夜」を日付にするには、いつ書かれたかが要ります。受信の日時を渡し、どう読んだかを date_basis に書かせます。

注文者の電話番号は渡します。 店員が確かめの電話をかけるときに使うので、抜き出させずに、Make が元の項目から手配表に写します。 AI の出力には含めません。

Step5

AIに処理させる

させるのは、注文の文面から次の項目を原文の表記のまま抜き出すことだけです。

抜き出すもの抜き出し方書かれていないとき
葬家・故人・喪主書かれたとおり。「◯◯家」「故 ◯◯ ◯◯ 様」「喪主 ◯◯」null
式場書かれた呼び方のままnull
通夜・告別式の日時年月日と時刻にする。どの言葉から読んだかを添えるnull
届ける先の式通夜か告別式かunspecified
札名書かれたとおり一字も変えない。改行の位置も写すnull
商品と数量1基・1対、商品名、金額の指定null
請求先会社・個人の名前、葬儀社の立て替えかnull
指定と注意「白でまとめて」「名札の順は社長を先に」など空の配列

札名を整えさせない理由は、第1章のとおりです。 加えて、札名に読めない字や旧字があっても直させません。 「髙」「﨑」のような字を「高」「崎」に直すと、立札では別の名前になります。

させないこと理由
札名を整える・略す・字を直す立札は注文者の書き方が答え
式場を正式な名前に直す台帳の通称で Make が照合する
締めの時刻を出す式場の決まりから Make が出す
持ち込みの可否を判断する台帳の情報を店が確かめる
同じ葬家かを決める式場と日付で Make が候補を付け、店員が決める
宗教の形式から花を選ぶ葬儀社と式場の指定に従う
Step6

指示内容を固定する

あなたは生花店で、葬儀の供花の注文を受け付ける担当です。
渡された注文の文面から、手配に必要な項目を抜き出してください。
文面に書かれていることだけを使い、推測で埋めないでください。

【抜き出す項目】
- 葬家・故人・喪主:書かれたとおりに写す
- 式場:書かれた呼び方のまま写す。正式な名前に直さない
- 通夜・告別式の日時:YYYY-MM-DDTHH:MM にする。
  「明日」「今夜」などは受信日時を基準に日付にし、date_basis に元の言葉を写す
- 届ける先の式:wake(通夜)/funeral(告別式)/unspecified
- 札名:書かれたとおりに一字も変えずに写す。改行の位置は「/」で示す
- 商品と数量、請求先、指定と注意

【厳守事項】
- 札名を整えない。役職・敬称・「一同」・会社の種類を足したり削ったりしない。
  旧字や異体字を常用の字に直さない。
- 札名が複数あるときは、1つずつ別の要素にする。連名は1つの札名として写す。
- 1つの文面に複数の注文があれば、orders に1件ずつ分ける。
- 通夜と告別式のどちらの日時か分からない時刻は、どちらにも入れず notes に書く。
- 年が書かれていないときは、受信日時より後で最も近い日付にし、
  year_inferred を true にする。
- 締めの時刻、持ち込みの可否、花の色や形を考えない。
- 電話番号やメールアドレスは抜き出さない。

【受信日時】{received_at}
【経路】{channel}
【文面】{text}

「連名は1つの札名として写す」を入れているのは、立札の数を間違えないためです。 「◯◯・◯◯」と2人の名前が並んだ札は1基の札で、2基の注文ではありません。分けてしまうと、立札が2本になり、花の数も2倍で手配されます。

「改行の位置は『/』で示す」も効く一文です。 会社名と役職と名前を3行で書く札は、行の分け方まで注文者の指定です。

Step7

出力形式を固定する

次の形の JSON で受け取ります。

{
  "orders": [
    {
      "family": "◯◯家",
      "deceased": "故 ◯◯ ◯◯ 様",
      "chief_mourner": "◯◯ ◯◯",
      "venue_text": "◯◯会館 2階",
      "wake_at": "2026-11-05T18:00",
      "funeral_at": "2026-11-06T11:00",
      "date_basis": "明日18時より通夜",
      "year_inferred": false,
      "deliver_to": "wake",
      "card_names": ["株式会社◯◯/代表取締役社長/◯◯ ◯◯"],
      "item": "供花", "quantity": 1, "unit": "基",
      "bill_to": "株式会社◯◯",
      "instructions": ["白でまとめて"],
      "notes": ""
    }
  ]
}

1つ目の理由は、1通から複数の注文を受けられることです。 葬儀社の取りまとめのメールには、10件の注文が並ぶことがあります。orders の配列を Make の Iterator で1件ずつに分け、手配表の1行ずつにします。

2つ目は、null と unspecified でルーターを分けられることです。

条件行き先
式場が台帳に無い、または持ち込みが不可要確認の一覧(受けられないかもしれない)
card_names が空、wake_at と funeral_at が両方 null、year_inferred が true、deliver_to が unspecified手配表に「要確認」で追加
同じ式場・同じ日の行が2つの葬家に分かれている手配表に「要確認」で追加
上のどれにも当たらない手配表に「確認待ち」で追加

Make のルーターは、ルートを順に処理し、ほかのどのルートの条件にも合わないものをフォールバックのルートで処理するとされています。フォールバックは、どの条件にも当たらなかった想定外のものを要確認に落とす場所にします。

3つ目は、札名が配列で残ることです。 手配表には札名を1行に1つずつ置き、店員は原文の札名と並べて一字ずつ見比べます。

手配表の1行は次の形にします。

式場通夜締め葬家札名数量請求先経路状態
◯◯会館11/5 18:0011/5 15:00◯◯家株式会社◯◯/代表取締役社長/◯◯ ◯◯1株式会社◯◯Web確認待ち
Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Web の注文フォーム・店内用のフォームCustom webhook注文を受け取る
GmailWatch emails、Update email labels葬儀社のメールを拾い、処理済みのラベルを付ける
Claude APIAnthropic Claude アプリの Make an API Call項目を抜き出す
式場の台帳Google Sheets の Search Rows締め・持ち込みの可否・指定を引く
手配表Google Sheets の Search Rows、Add a Row葬家の候補を引き、行を足す
要確認の一覧Google Sheets の Add a Row確かめるものを並べる

手配表の列の対応は、見出しの名前で持たせます。 Google Sheets のモジュールには、見出しの名前を列の ID として使う設定があり、見出しを変えなければ列を並べ替えても対応が崩れないとされています。配達の担当が列を並べ替えることがあるので、この設定を使います。

Make an API Call の本文には、モデル名、出力の上限のトークン数、messages に指示文と注文の文面、output_config.format に第7章の形の JSON Schema を書きます。 構造化出力では、オブジェクトに additionalProperties: false を付ける必要があり、数値の範囲や文字列の長さの制約は使えないとされています。数量が1以上か、といった確かめはルーターの条件で行います。

注文者への返信は自動で送りません。 受付の確認が要る経路では、店員が手配の一覧を確かめたあとに電話かメールで伝えます。札名の誤りがある状態で「承りました」と返すと、直す機会を逃します。

Step9

人が確認する

  1. 要確認の一覧を先に見る … 台帳に無い式場、持ち込みが不可の式場。葬儀社に電話で確かめます
  2. 札名を原文と見比べる … 手配表の札名と、注文の原文(Webhook の中身かメール)を並べ、一字ずつ見ます
  3. 日時と届ける先を見る … 通夜か告別式か、締めの時刻が間に合うかを見ます
  4. 葬家の候補を決める … 2つに分かれた行は、故人・喪主の名前で決めます
  5. 「確認済み」にする … 確かめた店員の名前を状態の列に入れます

2番目を省かないでください。 札名の誤りは、式場に並んだ時点で取り返しがつきません。 抜き出しの誤りより、注文者の書き間違いのほうが多いこともあり、会社の正式な名前や役職が怪しいものは注文者に聞きます。

立札の並び順は、この構成では決めません。 式場での供花の並びは、葬儀社が喪家と相談して決めることが多く、店が手配表の順で並べると、喪家の意向と違うことがあります。 手配表には届いた順を残すだけにし、並び順の指示は葬儀社から受けます。

目標は、360件をならして1件3分です。 Web の注文は項目がそろっているので見比べるだけ、電話と葬儀社のメールは原文を読み直すので長くかかります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
式場が台帳に無い要確認へ。台帳に通称を足してから再処理
持ち込みが不可の式場要確認へ。葬儀社を通すか、受けられないかを店が決めて注文者に伝える
通夜の日時が書かれていない手配表に「要確認」。葬儀社か注文者に確かめる
締めの時刻を過ぎている手配表で印を付けて店長に知らせる。受けるかは人が決める
札名が書かれていない「要確認」。注文者の名前を札名にしない
1通のメールに日時の違う葬家が混ざるorders で分かれる。分かれていなければ要確認へ
AI の応答が形に合わない1回だけ送り直し、だめなら要確認へ
取消・変更の連絡要確認へ。手配表の行を自動で消さない
同じ札名・同じ葬家の注文が2つの経路から届く要確認へ。二重の注文か、別の人からの同じ名義かを注文者に確かめる

最後の行は、会社の注文で起きやすいものです。 総務の担当が Web で頼み、同じ会社の営業が葬儀社にも頼む、ということがあります。

上の2行が、店の判断が要るものです。 持ち込みの可否は葬儀社と式場の決まりで、変わったときに台帳を直すのは店の仕事です。

Step11

記録を残す

  • 注文の原文(Webhook の中身、メールの ID と本文)と受信の日時
  • Claude が返した JSON の全文
  • 引いた式場の台帳の行と、出した締めの時刻
  • 手配表の行に加えた変更と、確認済みにした店員
  • 注文者・葬儀社に確かめた内容
  • 要確認に回した理由

3つ目で「引いた台帳の行」を残すのは、式場の決まりが変わるためです。 搬入の締めが早まったあとで「間に合わなかった」ことが起きたら、そのとき台帳が直っていたかを行の記録で確かめられます。

最後の行は、月に一度数えます。 「台帳に無い式場」が多ければ通称の列の手入れが、「札名が無い」が多ければ Web の注文フォームの項目の見直しが要ります。

04実装レベルの3段階

最小構成:注文の文面を Claude の画面に貼り、項目を抜き出させて手配表に貼る / 1件ごとの抜き出し
半自動化:上記+Webhook と Gmail で注文を集め、式場の台帳で締めを出し、手配表に行を足す / 抜き出し・照合・一覧化
本格構成:上記+配達の順番の案と、請求先ごとの請求の下書きまで出す / 受付から請求の準備まで

本記事の想定は半自動化です。 写す作業が無くなり、見比べる作業だけが残ります。 半自動化で、写す作業が消えます。 店員が見るのは手配表の行と注文の原文だけになり、同じ葬家の行が並び、締めの時刻が式場の決まりで入った状態から確かめを始められます。 本格構成の配達の順番は、締めの時刻と式場の場所から案を出す形になります。 ただし、道の混み方や花を組む時間は店員のほうがよく知っているので、案にとどめます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
4 名
月間件数
360 件
1件あたり現在時間
8 分
1件あたり導入後時間
3 分
現在  360件 × 8分 ÷ 60 = 48 時間/月
導入後 360件 × 3分 ÷ 60 = 18 時間/月
月間削減時間
30h
削減率
63%
年間削減時間
360h
年間金額換算(時間単価2,800円)
101万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 地域の葬儀社・斎場と取引があり、供花の注文が Web・メール・電話から毎月数百件入る生花店。同じ葬家への注文が別々の経路で届き、札名の書き間違いや届けの時刻の取り違えが起きたことがある場合。葬儀社ごとに取りまとめのメールの書き方が違い、店員が手で手配表に写している場合。
向いていない
  1. 供花の注文が月に数十件で、店主が電話を受けて手配まで一人でこなせている店。葬儀社の発注の仕組みに直接入力する形で注文を受けており、写す作業が無い場合。なお、札名の書き方の最終の確認と、式場への持ち込みの可否の判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の供花の注文から30件を選ぶ(Web・電話のメモ・葬儀社のメールを10件ずつ。連名や役職の長い札名を入れる)
  2. その30件について、手配表に写した内容と、実際に立札に書いた札名を並べておく
  3. 注文者の電話番号を消し、Claude の画面に注文の文面を1件ずつ貼り、第7章の指示文を渡す
  4. 出てきた札名・日時・式場を、2番の内容と一字ずつ見比べる

電話のメモは、紙の字を打ち直して渡します。 店内用のフォームに書く前提の試しです。葬儀社のメールは、取りまとめの1通をそのまま貼り、注文が1件ずつに分かれるかも見ます。

出てきた内容判断
札名が一字も変わらずに出たWebhook と Gmail のつなぎに進む
役職が落ちる・旧字が直る指示を強める。構成は有効
日時の取り違えが多い受信日時を渡しているかを見直す

2行目が出ても、構成をあきらめる理由にはなりません。 指示文に「役職を落とさない」「旧字を直さない」の例を足し、同じ30件で試し直します。それでも直らない札名は、どんな書き方の札名かを書き出しておき、本番では店員が必ず見る印を付ける条件にします。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
札名の役職や「一同」が落ちる指示で禁じ、店員が原文と一字ずつ見比べる
旧字・異体字が常用の字に直る指示で禁じる。手配表のフォントで出るかも確かめる
連名が2基の注文に分かれる「連名は1つの札名」と指示する
「明日」を誤った日付にする受信日時を渡し、date_basis を残させる
通夜と告別式を取り違える分からない時刻は notes に回させる
式場の通称が引けない台帳に通称を足す。足すまでは要確認
同じ葬家が別の行になる式場と日付で候補を付ける
Watch emails で拾い漏れる既読ではなくラベルで処理済みを持つ
Webhook が止まるシナリオにつないでいない Webhook は5日で止まる。作り直しのときに確かめる
列の並べ替えで書き込みがずれる見出しの名前を列の ID にする
取消の連絡で行が消える自動で消さず、要確認に回す
Iterator の先の対応づけが空になる一度シナリオを動かして、配列の形を覚えさせる
同じ注文が二度入る注文番号とメールの ID で処理済みを見る

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも AI に「きれいに」させると起きます。札名は注文者の書いたとおりが正しい、と指示とスキーマの両方で守ります。

6行目の「式場の通称が引けない」は、始めてしばらくのあいだ毎日起きます。 注文の書き方は人の数だけあり、台帳を作った時点ですべての通称はそろいません。要確認に回ったら台帳に足す、を1か月続けると、ほとんど起きなくなります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 故人と喪主の名前、葬儀の日時と式場、注文者の名前と会社、請求先。亡くなった方とその家族の情報です。

  1. AI に渡すのは注文の文面だけにする … 電話番号とメールアドレスは前処理で外し、Make が元の項目から手配表に写します
  2. Claude API のデータの扱いを確かめる … 構造化出力の公式ページでは、スキーマだけが最後の利用から最大24時間キャッシュされるとされています。注文の中身の扱いは、契約と利用するモデルの条件で確かめます
  3. 注文者への返信を自動で送らない … 札名の誤りを直す機会を残します
  4. 故人と喪家の情報を、店の宣伝や他の用途に使わない … 手配表は手配と請求のためだけに使い、保存の期間を決めて、過ぎたものは消します
  5. 手配表の共有の範囲を決める … 配達の担当と店頭の担当だけにし、葬儀社や外部の人に手配表そのものを共有しない
  6. この構成は持ち込みの可否と札名の最終の確認を代替しません … 式場の決まりと注文者の意向を確かめるのは店です

誤りが起きた場合のリスクは、札名の誤りと届けの遅れの2つです。 どちらも式の場で遺族と参列者の目に入ります。抜き出しの速さよりも、原文と見比べる時間を残すことを優先した設計にしています。

10まず何から始めるか

1週目:式場の台帳を作る

取引のある式場ごとに、正式な名前と通称、締めの時刻、持ち込みの可否、花の形の指定を書きます。持ち込みの可否と締めの時刻は、葬儀社に確かめてから書きます。

2週目:30件で試す

先月の注文30件で、札名が一字も変わらずに出るかを見ます。役職が落ちる、旧字が直る、連名が分かれるの3つを最優先で見ます。

3週目:店内用のフォームを作る

電話の注文を打ち込む欄と、受けた店員の名前だけのフォームを作り、紙のメモと並べて1週間使ってもらいます。

4週目:Webhook と Gmail から手配表までをつなぐ

Make で2つの入口から Claude を呼び、式場の台帳を引いて手配表に行を足すところまで作ります。この時点では、今の手配表とは別のシートに書き、手で写した結果と見比べます。

2か月目: 手で写す作業をやめ、手配表を確かめる運用に切り替えます。要確認の理由を毎週数えます。3か月目以降: 1件8分が何分になったかを実測し、札名の直しが「注文者への確認」だけになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-29/最終更新:2026-10-29
確認した内容情報源確認日
Custom webhook が任意のデータを送れる URL を作ること。Webhook response が無いとき200と「Accepted」を返すこと。受信が10秒あたり300件までで超えると429。キューが月のクレジット1万あたり667件・最大1万件。シナリオにつないでいない Webhook が5日(120時間)で止まり410を返すことMake: Webhooks2026-10-29
Watch emails のフィルターが簡単なフィルターと Gmail の検索の書き方の2つで、1回の上限が500件以下であること。既読にする設定があること。Update email labels のモジュールMake: Gmail modules2026-10-29
Anthropic Claude アプリのモジュール(Simple Text Prompt、Create a Prompt、Make an API Call など)。構造化出力の記載が無いことMake: Anthropic Claude2026-10-29
Iterator が配列を1件ずつのバンドルに分けること。配列の形を知らないうちは件数と順番しか対応づけに出ず、一度動かすと覚えることMake: Iterator2026-10-29
ルーターがルートを順に処理し、フォールバックのルートがほかの条件に合わないものを処理することMake: Router2026-10-29
Google Sheets の Search Rows・Add a Row のモジュール。見出しの名前を列の ID として使う設定で列の並べ替えに強くなることMake: Google Sheets modules2026-10-29
構造化出力が output_config.format で使えること。スキーマが最大24時間キャッシュされることClaude: Structured outputs2026-10-29

式場への持ち込みの可否と搬入の締めは、葬儀社と式場に確かめてください。 本記事は公開仕様で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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