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採用担当が求人票を、日本に住む外国籍の応募者向けに英語とやさしい日本語に訳し、明示すべき労働条件が訳から抜けていないかと数字の食い違いを確かめる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

求人票を、日本に住む外国籍の応募者向けに英語とやさしい日本語の2つに訳します。明示すべき労働条件を項目ごとに訳し、訳から抜けた項目や、金額・時刻・日数の食い違いを拾ってから担当者に回します。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/Claude
連携・自動化
Power Automate
対象業界
IT・SaaS/人材/小売
対象部門
人事/採用
対象業務
内容確認・チェック/書類作成
主な課題
属人化している/書類作成に時間がかかる/確認ミスが多い
AIで行う処理
翻訳
主な効果
入力漏れ削減/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
60h/月
AI導入後
21h/月
想定削減
65%
年間削減
468h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 採用の担当者が、求人票の原文を開く
  2. 英語の求人票を、項目ごとに訳して書く。給与・時間・休日は原文を見ながら写す
  3. やさしい日本語の求人票を、原文を短い文に書き換えて作る。難しい言葉を言い換え、ふりがなを付ける
  4. 別の担当者が、英語とやさしい日本語の求人票を原文と見比べる
  5. 直したものを、求人の媒体と自社の採用ページに載せる
  6. 条件が変わったら、原文を直し、英語とやさしい日本語も同じところを直す
導入後(After)
  1. 人採用の担当者が、求人票の原文を「訳す」のフォルダに保存する
  2. 自動Power Automate が保存をきっかけに動き、Azure Functions に原文を渡す
  3. 自動Functions が原文の表を項目ごとに分け、明示事項の一覧と突き合わせて、原文に無い項目を印にする
  4. 自動Functions が項目ごとに、金額・時刻・日数・期間などの数字を取り出す
  5. 自動Azure OpenAI が項目ごとに、訳語の表を使って英語とやさしい日本語に訳す
  6. 自動Functions が、2つの訳に全部の項目がそろっているか、数字が原文と同じか、訳語の表の語が使われているかを確かめる
  7. 自動確かめた結果を、原文・英語・やさしい日本語の3列の対応表にして、担当者に知らせる
  8. 人担当者が対応表を見て、印の付いた項目から直す。やさしい日本語は読み手の立場で読み直す
  9. 人担当者が承認し、媒体と採用ページに載せる
各工程の詳しい説明を読む
  1. 採用の担当者が、求人票の原文を開く
  2. 英語の求人票を、項目ごとに訳して書く。給与・時間・休日は原文を見ながら写す
  3. やさしい日本語の求人票を、原文を短い文に書き換えて作る。難しい言葉を言い換え、ふりがなを付ける
  4. 別の担当者が、英語とやさしい日本語の求人票を原文と見比べる
  5. 直したものを、求人の媒体と自社の採用ページに載せる
  6. 条件が変わったら、原文を直し、英語とやさしい日本語も同じところを直す

(a)項目が訳から抜ける。 2番目と3番目で、原文の「業務の変更の範囲」「就業の場所の変更の範囲」の欄を訳し落とすことがあります。どちらも2024年4月から明示が求められる項目で、原文には書いてあるのに、訳の側に無い求人票が載ります。

(b)数字の写し間違い。 「280,000円」を「28,000円」と写す、「9:30〜18:30」を「9:00〜18:30」と書く。4番目の見比べでも、文章の量が多いと見落とします。

(c)条件が変わったときに、片方だけ直す。 6番目で、原文と英語は直したのに、やさしい日本語を直し忘れることがあります。3つの求人票のうち1つだけが古い給与のまま載っています。

(d)やさしい日本語の書き方が人によって違う。 「固定残業代」をどう言い換えるか、ふりがなをどこまで付けるか。担当者によって書き方が違うと、同じ会社の求人票なのに読みやすさが違います。

  1. 【人】 採用の担当者が、求人票の原文を「訳す」のフォルダに保存する
  2. 【自動】 Power Automate が保存をきっかけに動き、Azure Functions に原文を渡す
  3. 【自動】 Functions が原文の表を項目ごとに分け、明示事項の一覧と突き合わせて、原文に無い項目を印にする
  4. 【自動】 Functions が項目ごとに、金額・時刻・日数・期間などの数字を取り出す
  5. 【自動】 Azure OpenAI が項目ごとに、訳語の表を使って英語とやさしい日本語に訳す
  6. 【自動】 Functions が、2つの訳に全部の項目がそろっているか、数字が原文と同じか、訳語の表の語が使われているかを確かめる
  7. 【自動】 確かめた結果を、原文・英語・やさしい日本語の3列の対応表にして、担当者に知らせる
  8. 【人】 担当者が対応表を見て、印の付いた項目から直す。やさしい日本語は読み手の立場で読み直す
  9. 【人】 担当者が承認し、媒体と採用ページに載せる

3番目で、原文に無い項目を先に印にします。 訳の前に、原文の側で明示事項が欠けていないかを担当者に知らせるためです。原文に無い項目は訳にも出てきません。ただし、欠けているかどうかの判断は担当者が行います。 この構成は、一覧の項目の欄が空かどうかを見るだけです。

8番目の読み直しを省かないでください。 やさしい日本語は、言い換えが正しくても伝わらないことがあります。伝わるかを確かめられるのは人です。

02今回想定するシステム構成

構成図
求人票の原文(SharePoint の文書ライブラリ、項目ごとの表)
   ▼【トリガー】「訳す」のフォルダに保存
Power Automate ── ファイルの中身を取り、Functions を呼ぶ
   ▼
Azure Functions
   ├──▶ 表を項目に分ける/明示事項の一覧と突き合わせる
   ├──▶ 項目ごとに数字を取り出す(金額・時刻・日数・期間)
   ├──▶ 訳語の表を読む(英語・やさしい日本語)
   ▼
Azure OpenAI(構造化出力、store=false)
   │   項目ごとの英語の訳/やさしい日本語の訳/使った訳語/ふりがなの候補
   ▼
Azure Functions ── 項目のそろい・数字・訳語の照合
   ▼
対応表(原文・英語・やさしい日本語の3列)── Teams で担当者に知らせる
   ▼
【人】直して承認 ── 媒体と採用ページへ
役割想定する製品代替候補
生成AIAzure OpenAI(Microsoft Foundry)Claude API
連携Power Automate(文書ライブラリのトリガー、ファイルの中身の取得、Teams への通知)Azure Logic Apps
連携Azure Functions(項目の分割、数字の取り出し、照合、対応表の作成)AWS Lambda
訳語の表SharePoint のリスト(日本語・英語・やさしい日本語の言い換え)共有の表計算のファイル
文書の保管SharePoint の文書ライブラリ(原文・訳・対応表)社内のファイルサーバー

求人の媒体と採用ページへの掲載は、これまでどおり担当者が行います。 この構成から媒体へ直接載せません。承認の前の訳が、応募者の目に触れることが無いようにするためです。

採用管理の仕組みにもつなぎません。 求人票の原文と訳だけを扱い、応募者の情報には触れません。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

起点は、求人票の原文を「訳す」のフォルダに保存したときです。 新しい求人のときも、条件を変えたときも、同じフォルダに保存します。条件を変えたときは、変えた版を保存すれば、英語とやさしい日本語の両方を作り直します。 第3章の(c)の、片方だけを直す状態を作らないためです。

同じ求人の前の版があれば、前の版との差分も対応表に出します。 変わった項目に印を付け、担当者がまずそこを見られるようにします。ファイル名に求人の番号を入れる決まりにし、番号で前の版を探します。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
求人票の原文項目ごとの表(項目の名前と本文)SharePoint の文書ライブラリ
前の版同じ求人の番号の、直前の原文と訳SharePoint の文書ライブラリ
明示事項の一覧法令の明示事項と、原文の項目の名前の対応人事部で作る表
訳語の表「固定残業代」「試用期間」「賞与」「社会保険」などの英語とやさしい日本語の言い換えSharePoint のリスト
書き方の決まりやさしい日本語の決まり(一文の長さ、敬語、日付の書き方など)指示に入れる

質を決めるのは、明示事項の一覧です。 職業安定法施行規則の第4条の2第3項は、募集のときに明示する事項として、次のものを挙げています。

明示事項原文の項目の例
従事すべき業務の内容(変更の範囲を含む)業務の内容、業務の変更の範囲
労働契約の期間雇用の形態、契約の期間
試みの使用期間試用期間
有期労働契約を更新する場合の基準(上限を含む)契約の更新
就業の場所(変更の範囲を含む)勤務地、勤務地の変更の範囲
始業と終業の時刻、所定の時間を超える労働の有無、休憩、休日勤務時間、残業、休憩、休日
賃金の額給与、手当
健康保険・厚生年金・労災保険・雇用保険の適用保険
雇用しようとする者の氏名または名称会社名
就業の場所における受動喫煙の防止の措置受動喫煙の対策

更新の基準は、更新のある有期の契約のときだけ、派遣の旨は派遣労働者として雇うときだけの事項とされています。同じ条の第6項は、試用期間中とその後で条件が違うときは、それぞれを示すことを求めています。原文の「試用期間」の欄に、期間中の給与が別に書かれていれば、訳でも期間中と期間後の両方が出ているかを確かめます。

一覧は、法令の文と原文の項目の名前を結ぶ表として、人事部で作ります。 一覧そのものが法令に照らして正しいかは、社会保険労務士に一度見てもらいます。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこからどう取るか
原文のファイル文書ライブラリPower Automate のトリガーとファイルの中身の取得
項目と本文原文の表Functions で Word の表を読む
前の版文書ライブラリ求人の番号で探す
訳語の表SharePoint のリスト起動時に読む

Word の表は、Functions で読みます。 生成AIに Word のファイルを渡して読ませるより、表の行を項目の名前と本文の組にしてから渡すほうが、項目の取り違えが起きません。 表の形でない原文(段落だけで書かれた求人票)は、この構成では受けずに担当者へ戻します。

訳語の表は、3列で持ちます。

日本語英語やさしい日本語
固定残業代Fixed overtime allowance決まった時間の残業の分として、毎月払うお金
試用期間Probation periodためしに働く期間
賞与Bonusボーナス(年に何回か払うお金)
社会保険完備Health insurance, employees' pension, employment insurance and workers' accident compensation insurance健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険に入ります

「社会保険完備」を英語で4つの保険に開くのは、明示事項が保険ごとの適用を求めているからです。 「Full social insurance」と訳すと、どの保険かが訳から消えます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 項目に分ける … 原文の表を、項目の名前と本文の組にします
  2. 明示事項の一覧と突き合わせる … 一覧の事項ごとに、原文の項目があるか、本文が空でないかを見ます。空の事項は「原文に無い」と印を付けます
  3. 数字を取り出す … 本文から金額(「280,000円」「28万円」)、時刻(「9:30」「9時30分」)、日数(「125日」)、期間(「3か月」「1年」)を取り出し、形をそろえて項目ごとの一覧にします
  4. 日付をそろえる … 元号の日付は西暦にそろえた値も持ちます
  5. 前の版と比べる … 同じ求人の前の版があれば、項目ごとに本文の差を取ります

3番目で「28万円」を「280000」にそろえるのは、照合を形の違いで外さないためです。 英語の訳では「JPY 280,000」、やさしい日本語では「28万円」と書かれることがあります。どちらも同じ値に直してから比べます。

4番目は、やさしい日本語の決まりから来ています。 出入国在留管理庁と文化庁の「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」は、元号を使わずに西暦を使うこと、年月日の表記に「/」を使わないことを挙げています。原文の日付が元号なら、訳では西暦にし、照合も西暦の値で行います。

Step5

AIに処理させる

させるのは、項目ごとに英語とやさしい日本語に訳し、使った訳語と、ふりがなの候補を返すことだけです。

させることさせないこと
項目ごとに、原文の意味を変えずに英語に訳す原文に無い条件や説明を足すこと
項目ごとに、やさしい日本語に書き換える金額・時刻・日数・期間を変えること、計算すること
訳語の表の語を使う。使った語を返す訳語の表と違う訳語を使うこと
やさしい日本語の漢字の語と読みの候補を返す「外国籍の方歓迎」「ビザのサポートあり」など原文に無い言葉を足すこと
原文の意味が分からない箇所を返す分からない箇所を推し量って訳すこと

原文に無い言葉を足させないのが、この構成でいちばん大事な線です。 外国籍の応募者向けと伝えると、AIは親切のつもりで「在留資格のサポートがあります」「日本語が苦手でも大丈夫です」と書き足すことがあります。どちらも、会社が決めていなければ書いてはいけない条件です。

計算させないのも同じ理由です。 時給と月の時間から月給を書き足したり、年収を月給に割ったりすると、原文に無い数字が求人票に載ります。

やさしい日本語の決まりは、指示に書きます。 ガイドラインは、一文を短くして一文に言いたいことを1つだけにすること、外来語(カタカナ語)はほかに適切な言葉が無いときだけ使うこと、二重否定を使わないこと、尊敬語と謙譲語を使わず丁寧語だけにすること、漢字の量に注意してふりがなを付けることを挙げています。

Step6

指示内容を固定する

あなたは企業の採用担当で、求人票を外国籍の応募者向けに訳す立場です。
【項目】ごとに、英語の訳(en)と、やさしい日本語の訳(easy_ja)を作ってください。

【英語の訳の決まり】
- 原文の意味を変えずに訳してください。
- 【訳語の表】にある語は、表の英語を使ってください。

【やさしい日本語の決まり】
- 一文は短くし、一文で言いたいことは1つだけにしてください。
- 外来語(カタカナ語)は、ほかに適切な言葉が無いときだけ使ってください。
- 二重否定を使わないでください。
- 尊敬語と謙譲語は使わず、「です」「ます」で書いてください。
- 日付は西暦で書き、「/」を使わないでください。
- 【訳語の表】にある語は、表のやさしい日本語を使ってください。
- 漢字を含む語と、その読みを ruby に入れてください。

【厳守事項】
- 原文に無い条件・説明・言葉を足さないでください。
  「外国籍の方歓迎」「ビザのサポートあり」「日本語が苦手でも大丈夫」などを
  原文に無いのに書かないでください。
- 金額・時刻・日数・期間・回数は、原文の値を変えずに書いてください。
  計算・換算・丸めをしないでください。
- 原文の意味が分からない箇所は、訳さずに unclear に原文のまま入れてください。
- 項目を1つも飛ばさないでください。原文の本文が空の項目は、訳も空にしてください。
- used_terms に、【訳語の表】から使った日本語の語を入れてください。

【訳語の表】{glossary}
【項目】{items}

「原文の本文が空の項目は、訳も空に」を書かないと、AIは空の項目を埋めます。 「勤務地の変更の範囲」が空なら、「会社の定める場所」のように、それらしい文を自分で書きます。 空のまま返させ、空であることを対応表に出します。

「意味が分からない箇所は unclear に」も外せません。 社内の略語や、職種に固有の言い回しを、AIは推し量って訳します。推し量った訳は、照合では見つけられません。 訳さずに返させれば、担当者がそこだけ見ます。

Step7

出力形式を固定する

構造化出力で、次の形で受け取ります。

{
  "job_no": "",
  "items": [
    { "item_key": "salary",
      "source": "月給 280,000円〜350,000円(固定残業代 月20時間分 35,000円を含む)",
      "en": "",
      "easy_ja": "",
      "ruby": [ { "word": "", "reading": "" } ],
      "used_terms": [""] } ],
  "unclear": [ { "item_key": "", "text": "" } ]
}

item_key は明示事項の一覧のキー(job_content・job_change_scope・contract_period・probation・renewal・workplace・workplace_change_scope・hours・overtime・break・holidays・salary・insurance・employer・smoking)と、それ以外の項目(company_intro・selection など)です。

Microsoft の公式ページでは、構造化出力はすべての項目を必須にし、オブジェクトに常に additionalProperties: false を付けるとされ、文字列の minLength・maxLength・pattern・format、配列の minItems・maxItems は使えないとされています。スキーマは最大100個のプロパティ・5段の入れ子までとされているので、項目を固定のキーで並べず、items の配列にしています。

給与の項目は、たとえば次のように返ってくる想定です。

{ "item_key": "salary",
  "source": "月給 280,000円〜350,000円(固定残業代 月20時間分 35,000円を含む)",
  "en": "Monthly salary: JPY 280,000 to 350,000 (including a fixed overtime allowance of JPY 35,000 for 20 hours of overtime per month)",
  "easy_ja": "1か月の給料は、28万円から35万円です。この中に、決まった時間の残業の分として、毎月払うお金(20時間分で3万5千円)が入っています。",
  "ruby": [ { "word": "給料", "reading": "きゅうりょう" },
            { "word": "残業", "reading": "ざんぎょう" } ],
  "used_terms": ["固定残業代"] }

この例では、照合で「数字が違う」が出ます。 原文の「35,000」がやさしい日本語では「3万5千円」になっていて、数字の形をそろえる規則に「万」と「千」の組み合わせが無いと、同じ値と読めません。 前処理の数字の取り出しは、訳の側にも同じ規則で当てます。それでも読めない書き方は、指示で「金額は『3万5000円』の形で書く」と決めておくほうが早く片付きます。

1つ目の理由は、項目のそろいを機械で数えられることです。 Functions は、明示事項の一覧のキーが items に全部あるか、source が空でない項目で en と easy_ja が空でないかを確かめます。

確かめること対応表の印
一覧のキーが items に無い訳から抜けた
source が空原文に無い(担当者が判断)
source があるのに en か easy_ja が空訳が空
source の数字が en か easy_ja に無い数字が違う(原文・訳の数字を並べる)
訳に、source に無い数字がある数字が足された
訳語の表の語が source にあるのに used_terms に無い訳語が違う
unclear がある意味が分からない

2つ目は、ruby でふりがなを担当者が確かめられることです。 媒体によってふりがなの付け方が違うので、ふりがなは本文に埋め込ませず、語と読みの組で返させます。 読みの誤りは人が直し、Functions がその媒体の形(かっこ書きなど)にします。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
SharePoint の文書ライブラリPower Automate のトリガーと中身の取得原文の受け取り、訳と対応表の保存
Azure FunctionsPower Automate から呼ぶ項目の分割・数字・照合・対応表
SharePoint のリスト読み取り訳語の表と明示事項の一覧
Azure OpenAIResponses API(store=false)項目ごとの訳
Microsoft Teams担当者への通知対応表の場所と、印の数

応答は Azure OpenAI の側に残しません。 公式ページでは、Responses API の応答は既定で30日保持されるとされているので、store=false にします。原文と訳は SharePoint に残します。

Step9

人が確認する

  1. 印の付いた項目から見る … 「訳から抜けた」「数字が違う」「数字が足された」を先に直します
  2. 「原文に無い」を判断する … 明示が要る事項かを担当者が判断し、要るなら原文を直してから訳し直します
  3. やさしい日本語を読み直す … 意味が伝わるか、言い換えが不自然でないかを読みます。できれば外国籍の社員に読んでもらいます
  4. ふりがなを確かめる … ruby の読みを確かめます
  5. 承認する … 承認した版だけを媒体と採用ページに載せます

2番目を担当者が判断するのは、明示が要るかどうかが求人の形で変わるからです。 更新の基準は有期の契約のときだけの事項で、正社員の求人なら空で構いません。この構成は空を知らせるだけで、要否は決めません。

Step10

例外に対処する

起きること対応
原文が表の形でない訳さずに担当者へ戻す
項目の名前が明示事項の一覧に無い「その他の項目」として訳し、一覧に足すかを担当者に聞く
数字の形が読み取れない(「応相談」「経験による」)数字として扱わず、文として訳す
訳で項目が抜けたその項目だけ訳し直す。2回抜けたら担当者へ
unclear がある訳さずに対応表に出し、担当者が原文を直す
前の版が見つからない差分を出さずに、全部の項目を新しいものとして扱う
構造化出力が返らない対応表を作らず、担当者に知らせる

3行目の「応相談」は、訳でいちばん崩れやすい箇所です。 英語で「Negotiable」とだけ書くと、何を相談できるのかが消えます。 原文の文をそのまま訳させ、数字の照合からは外します。

Step11

記録を残す

  • 原文の版と、明示事項の一覧との突き合わせの結果
  • 項目ごとの数字の一覧
  • AIの応答の JSON(英語・やさしい日本語・使った訳語・ふりがなの候補・unclear)
  • 対応表と、印の一覧
  • 担当者が直した箇所と、承認した版
  • 媒体と採用ページに載せた日

承認した版を残すのは、明示した条件の記録として要るからです。 職業安定法施行規則の第4条の2第7項は、明示した業務の内容等の記録を、募集が終わる日(その後に契約を結ぶならその日)まで保存することを求めています。英語とやさしい日本語で示した内容も、同じ期間残します。

04実装レベルの3段階

最小構成:AIの画面に項目ごとに貼り、英語とやさしい日本語に訳させる / 訳の下書き
半自動化:上記+フォルダへの保存で訳を作り、原文・英語・やさしい日本語の3列の表にする / 訳と対応表
本格構成:上記+明示事項の一覧との突き合わせ、数字と訳語の照合、前の版との差分 / 抜けと食い違いの点検まで

最小構成でも、訳の時間は減ります。 ただし、抜けと数字の違いは担当者が見比べて探すので、③の時間は減りません。 半自動化で、1件100分が60分程度になります。 訳は自動になりますが、対応表を上から読んで抜けと数字を探す時間が残ります。 本格構成で35分になり、この段階が本記事の想定です。差が大きいのは、印の付いた項目だけを見ればよくなるからです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の対応表を1か月見ると、AIが足しがちな言葉と、訳語の表に足りない語が先に分かります。それを指示と表に入れてから照合を作るほうが、印の数が減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
4 名
月間件数
36 件
1件あたり現在時間
100 分
1件あたり導入後時間
35 分
現在  36件 × 100分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 36件 × 35分 ÷ 60 = 21 時間/月
月間削減時間
39h
削減率
65%
年間削減時間
468h
年間金額換算(時間単価3,000円)
140万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 外国籍の社員を職種を問わず採用していて、新しい求人と条件を変えた求人が毎月数十件ある企業。日本に住んでいる外国籍の応募者が多く、英語の求人票だけでは届かない応募者(日本語は日常会話ができる程度で、英語も母語ではない人)がいる場合。英語の求人票を担当者が自分で訳していて、訳すたびに給与や時間の書き方が人によって違う場合。求人票の原文が項目ごとに分かれた形で作られている場合。
向いていない
  1. 外国籍の応募者がほとんどいない場合。求人が年に数件で、その都度専門の翻訳者に頼める場合。海外に住む候補者向けで、在留の資格や渡航の手配まで書く必要がある場合(別の設計になります)。なお、労働条件そのものを決めること、求人票の記載が法令に照らして足りているかの判断、在留の資格で働けるかの判断は、この構成では代替できません。原文に書かれたことを2つの形に訳し、抜けと食い違いを拾うまでです。

07最小構成で試す方法

  1. 先月載せた求人票から10件を選ぶ(うち数件は、試用期間中の条件が違うものや、固定残業代のあるものを入れる)
  2. その10件の英語の求人票と、作っていればやさしい日本語の求人票を用意する
  3. 手元のAIサービスの画面に、求人票の原文を項目ごとに貼り、「英語とやさしい日本語に訳す。原文に無い言葉を足さない。数字を変えない。空の項目は空のまま」と指示する
  4. 出てきた訳を、担当者が作った訳と見比べ、項目の抜けと数字の違いを数える
  5. やさしい日本語を、外国籍の社員に読んでもらう

10件は必ずやってください。 仕組みを作る前に、「項目ごとに訳せば抜けと数字の違いが減るのか」を確かめます。

出てきた内容判断
項目がそろい、数字も原文どおりだった照合と対応表の作り込みに進む
原文に無い言葉を足した指示の書き方で直る。構成は有効
項目の分け方が求人票ごとに違い、そろわない原文の形をそろえるのが先。 AIの問題ではない

3行目が出ることは珍しくありません。 担当者ごとに原文の項目の名前や並びが違うと、明示事項の一覧と突き合わせられません。原文のひな形をそろえてから、同じ10件で試してください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
訳から項目が抜ける項目ごとに訳し、一覧のキーで数える
「28万円」と「280,000円」で照合が外れる数字を同じ形にそろえてから比べる
空の項目をAIが埋める空なら訳も空にと書き、対応表に「原文に無い」と出す
原文に無い「ビザのサポートあり」が足される足してはいけない言葉の例を指示に書き、訳にだけある語を印にする
「社会保険完備」で保険の種類が消える訳語の表で4つの保険に開く
試用期間中の条件が訳に出ない期間中と期間後の両方が訳にあるかを確かめる
元号の日付が訳にそのまま出る西暦にそろえた値を持ち、やさしい日本語では西暦で書かせる
「応相談」が「Negotiable」だけになる数字として扱わず、文として訳す
ふりがなが媒体の形と合わない語と読みの組で返させ、媒体の形は後から付ける
条件を変えたのに片方だけ直す原文を保存すれば2つとも作り直す。前の版との差分を出す
スキーマが大きすぎる項目を配列にする。プロパティは最大100個・入れ子は5段まで
応答が30日残るstore=false にする

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも「訳はあるのに、原文と同じことが書かれていない」ところから出ています。項目と数字を、文章としてではなく値として比べているかどうかで、点検の意味が決まります。

4行目も、早いうちに効いてきます。 外国籍の応募者向けと伝えると、AIは善意で条件を足します。足された条件は、応募者にとっては会社の約束に見えます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 求人票の原文、訳、訳語の表です。応募者の情報は扱いません。 公開する前の求人票には、まだ公にしていない新しい事業や、給与の水準が書かれています。

  1. 公開前の求人票を外へ出さない … 承認の前の訳を媒体に載せる経路を作りません。応答は store=false にして Azure OpenAI の側に残しません
  2. 処理の場所を決める … 公式ページでは、プロンプトと応答は Global か DataZone の展開を除いて、指定した地域の中で処理されるとされています。標準の展開で日本の地域を選びます
  3. 条件を足させない … 在留の資格の支援や、日本語の力の要件を、会社が決めていないのに訳に書かせません。応募者にとっては、書かれたことが会社の約束です
  4. 法令に照らした判断を任せない … 明示事項がそろっているか、記載が足りているかの判断は、担当者と社会保険労務士が行います。この構成は、一覧の欄が空かどうかを見るだけです
  5. 国籍で応募の条件を分けない … やさしい日本語の求人票は、日本語の求人票と同じ条件を示すものです。国籍で選考の扱いを変える書き方を、訳に入れません
  6. 明示した内容の記録を残す … 英語とやさしい日本語で示した内容も、明示した条件として、募集が終わるまで残します

誤りが起きた場合のリスクは、明示すべき条件が訳から抜けることと、原文と違う条件が訳に載ることの2つです。 前者は項目の数え上げで、後者は数字の照合と足された語の印で防ぎます。どちらもAIの訳の出来ではなく、項目と値を比べる設計で守ります。

10まず何から始めるか

1週目:原文のひな形をそろえる

求人票の原文の項目の名前と並びを、明示事項の一覧に合わせて1つのひな形にそろえます。 「業務の変更の範囲」「勤務地の変更の範囲」の欄が無いひな形は、ここで足します。

2週目:10件で試す

先月の求人票から10件を選び、手元のAIサービスで項目ごとに訳させます。項目の抜けと数字の違い、原文に無い言葉が足されていないかを最優先で見ます。

3週目:訳語の表と明示事項の一覧を作る

「固定残業代」「試用期間」「賞与」「社会保険」などの訳語を、英語とやさしい日本語で決めます。 明示事項の一覧は、社会保険労務士に見てもらいます。やさしい日本語の訳語は、外国籍の社員にも読んでもらいます。

4週目:保存から対応表までをつなぐ

Power Automate と Functions と Azure OpenAI をつなぎ、原文を保存すると3列の対応表が出るところまで作ります。この時点では照合を入れず、対応表を担当者が読みます。

2か月目: 明示事項の一覧との突き合わせ、数字と訳語の照合、前の版との差分を足し、印を出します。3か月目以降: 1件100分が何分になったかを実測し、AIが足しがちな言葉を指示に足します。すべての求人でやさしい日本語の求人票を出せるようになり、印の「数字が違う」が月に数件まで減った時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-29/最終更新:2026-10-29
確認した内容情報源確認日
職業安定法施行規則第4条の2第3項が、募集のときの明示事項として、業務の内容(変更の範囲を含む)、契約の期間、試用期間、更新の基準(上限を含む)、就業の場所(変更の範囲を含む)、始業と終業の時刻・時間外の労働の有無・休憩・休日、賃金の額、健康保険・厚生年金・労災保険・雇用保険の適用、雇用しようとする者の名称、派遣労働者として雇う旨、受動喫煙の防止の措置を挙げること。更新の基準は更新のある有期の契約、派遣の旨は派遣労働者として雇うときに限ること。第6項が試用期間中と後で条件が違うときにそれぞれを示すことを求め、第7項が明示した内容の記録の保存を求めること(2026-10-01 施行の版)e-Gov 法令API: 職業安定法施行規則2026-10-29
やさしい日本語を3つのステップで作ること。一文を短くし一文に言いたいことを1つにすること、外来語はほかに適切な言葉が無いときだけ使うこと、二重否定を使わないこと、尊敬語・謙譲語を使わず丁寧語にすること、漢字の量に注意しふりがなを付けること、元号を使わず西暦を使い年月日に「/」を使わないこと出入国在留管理庁・文化庁: 在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン2026-10-29
構造化出力ですべての項目を必須にし、オブジェクトに additionalProperties: false を付けること。文字列の minLength・maxLength・pattern・format、配列の minItems・maxItems が使えないこと。最大100個のプロパティ・5段の入れ子までMicrosoft Learn: 構造化された出力2026-10-29
プロンプトと応答が、Global か DataZone の展開を除いて、指定した地域の中で処理されることMicrosoft Learn: Data, privacy, and security for Models sold by Azure2026-10-29
Responses API の応答が既定で30日保持され、store=false で状態を持たない呼び出しにできることMicrosoft Learn: Azure OpenAI Responses API2026-10-29

求人票の記載が法令に照らして足りているかは、社会保険労務士と自社の人事で確かめてください。 本記事は e-Gov の法令の本文と公開されている資料で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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