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フランチャイズ本部のスーパーバイザーが加盟店を訪ねた臨店の記録と写真のメモから、Copilot で臨店報告書とオーナーへの改善依頼の下書きを作り、前回の依頼の進み具合を確かめる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

スーパーバイザーが臨店で取ったメモと写真の番号から、Word の Copilot で本部の様式の臨店報告書と、オーナーへの改善依頼の下書きを作ります。前回の改善依頼が今回の臨店で確かめられたかも、項目ごとに並べます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
その他/小売/飲食
対象部門
営業
対象業務
書類作成/記録・議事録作成
主な課題
属人化している/書類作成に時間がかかる/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
要約
主な効果
品質標準化/属人化解消/工数削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
条件付き
現在工数
160h/月
AI導入後
64h/月
想定削減
60%
年間削減
1,152h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 臨店の前に、前回の臨店報告書と改善依頼のメールを読み返す
  2. 臨店中に、点検表かメモに所見を書き、気になった箇所の写真を撮る
  3. オーナーか店長と話し、売上・人手・困りごとを聞き取る
  4. 本部か次の店への移動のあいだ、あるいは夕方に、メモと写真を見ながら臨店報告書を書く
  5. 報告書から、オーナーに直してほしいことを選び、改善依頼のメールを書く
  6. 前回の依頼が直っていたかを、報告書の「前回指摘事項」の欄に書く
  7. 報告書を SharePoint の加盟店ごとのフォルダに保存し、部長に知らせる
導入後(After)
  1. 人スーパーバイザーが、臨店中に本部の「臨店メモ」の型に所見と写真の番号を書く
  2. 人臨店のあと、写真を加盟店のフォルダに保存し、臨店メモを同じフォルダに置く
  3. 人Word の Copilot で、臨店メモ・前回の臨店報告書・QSC の基準書を参照させ、報告書の下書きを作る
  4. 人スーパーバイザーが下書きを読み、メモと違う箇所と書きすぎの箇所を直す
  5. 人確定した報告書を参照させ、Word の Copilot でオーナーへの改善依頼の下書きを作る
  6. 人スーパーバイザーが依頼の下書きを読み、「本部の判断に回す」に入ったものを部長に送る
  7. 人改善依頼をメールでオーナーに送り、報告書と依頼を加盟店のフォルダに保存する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 臨店の前に、前回の臨店報告書と改善依頼のメールを読み返す
  2. 臨店中に、点検表かメモに所見を書き、気になった箇所の写真を撮る
  3. オーナーか店長と話し、売上・人手・困りごとを聞き取る
  4. 本部か次の店への移動のあいだ、あるいは夕方に、メモと写真を見ながら臨店報告書を書く
  5. 報告書から、オーナーに直してほしいことを選び、改善依頼のメールを書く
  6. 前回の依頼が直っていたかを、報告書の「前回指摘事項」の欄に書く
  7. 報告書を SharePoint の加盟店ごとのフォルダに保存し、部長に知らせる

(a)報告書を書く時間が、臨店の時間を削る。 1日1件の臨店に、報告書と依頼文で1時間かかります。夕方にまとめて書くと、午後の臨店の時間が短くなるか、報告書が翌日に回ります。 翌日に回った報告書は、細部が思い出せずに薄くなります。

(b)同じ指摘でも、担当によって伝わり方が違う。 「トイレの清掃の記録が3日空いていた」を、ある担当は依頼として書き、別の担当は報告書の所見に書くだけで依頼に入れません。オーナーから見ると、担当が替わるたびに本部の求めることが変わります。

(c)前回の依頼の確認が抜ける。 前回の報告書を読み返す時間が取れないと、臨店で前回の依頼を確かめずに帰ります。「前回指摘事項」の欄が「特になし」のまま出ている報告書が、毎月何件もあります。 直っていないものが翌月にまた新しい依頼として書かれ、オーナーには同じことを何度も言われている印象だけが残ります。

(d)依頼の書き方が、強すぎることがある。 売上が落ちている店で、スーパーバイザーが熱心なあまり「この商品の仕入れを増やしてください」「深夜も営業を続けてください」と依頼文に書いてしまうことがあります。基準書に無いことを、本部の正式な求めのように書く文書が、担当の判断だけで出ていきます。

  1. 【人】 スーパーバイザーが、臨店中に本部の「臨店メモ」の型に所見と写真の番号を書く
  2. 【人】 臨店のあと、写真を加盟店のフォルダに保存し、臨店メモを同じフォルダに置く
  3. 【人】 Word の Copilot で、臨店メモ・前回の臨店報告書・QSC の基準書を参照させ、報告書の下書きを作る
  4. 【人】 スーパーバイザーが下書きを読み、メモと違う箇所と書きすぎの箇所を直す
  5. 【人】 確定した報告書を参照させ、Word の Copilot でオーナーへの改善依頼の下書きを作る
  6. 【人】 スーパーバイザーが依頼の下書きを読み、「本部の判断に回す」に入ったものを部長に送る
  7. 【人】 改善依頼をメールでオーナーに送り、報告書と依頼を加盟店のフォルダに保存する

この構成に自動で動く部分はありません。 下書きを作るのは Copilot ですが、報告書を確定させるのも、オーナーに送るのも、スーパーバイザーです。 加盟店との取引の条件に関わる文書が、人の確認を経ずに出ていく経路を作りません。

4番目が、この設計の分かれ目です。 Copilot はメモに書かれていないことを補って書くことがあります。スーパーバイザーが自分のメモと並べて読み、見ていないことが書かれていないかを確かめる時間を、24分の中に残しています。

6番目を設けているのは、第3章の(d)のためです。 仕入れの量、営業時間、価格や値引き、取引先の指定に関わる依頼は、スーパーバイザーの判断で出さず、部長が契約と基準書に照らして決めます。 Copilot にはこれらを依頼文に書かせず、別の欄に分けさせます。

02今回想定するシステム構成

構成図
臨店(スーパーバイザーが加盟店に入る)
   │  スマートフォンで「臨店メモ」の型に所見と写真の番号を書く
   │  写真は番号付きで撮る(P01, P02 …)
   ▼【トリガー】臨店の終了
SharePoint(加盟店ごとのフォルダ)
   │  臨店メモ/写真/前回の臨店報告書と改善依頼
   ▼
Word の Copilot(/ で臨店メモ・前回の報告書・QSC の基準書を参照)
   └──▶ 臨店報告書の下書き(所見/前回の依頼の確認/聞き取り)
   ▼
【スーパーバイザーがメモと並べて確かめ、確定する】
   ▼
Word の Copilot(/ で確定した報告書・依頼文の決まりを参照)
   ├──▶ 改善依頼の下書き(基準書に根拠のあるお願い)
   └──▶ 本部の判断に回す事項(仕入れ・営業時間・価格など)
   ▼
【スーパーバイザーが確かめ、オーナーへ送る/部長へ回す】
役割想定する製品代替候補
処理Microsoft Copilot(Word の Copilot)ChatGPT Enterprise、Gemini、Claude
保管SharePoint(加盟店ごとのフォルダ)本部のファイルサーバー
記録スマートフォンの Word(臨店メモの型)とカメラ紙の点検表を撮影したもの

新しく足すのは、スーパーバイザー8名分の Copilot のライセンスと、臨店メモの型の2つです。 報告書の様式も、保存の場所も、いまのものを使います。Copilot と、オーナーとのメールや本部の基幹のシステムはつなぎません。 送るのは人です。

下書きは、Word の Copilot で作ります。 公式のページでは、Word の Copilot の入力欄で「/」を入力してファイルを選び、特定の資料を参照させて下書きを作れるとされています。テンプレートや既存の文書から始めて、その書式と構成を保ったまま書かせることもできます。本部の臨店報告書の様式を開き、そこに Copilot で書かせれば、 8名の報告書が同じ章立てになります。

公式のページは、下書きを確かめることも求めています。 事実・数字・名前・方針に関わる記載を確かめ、共有する前に残すか直すか消すかを決めるのは使う人の責任とされています。第5章の4番目と6番目は、この確認を臨店の業務の中に置いたものです。

Copilot が参照できるのは、使う人が閲覧の権限を持つデータだけです。 公式のプライバシーのページでは、Copilot は利用者が少なくとも閲覧の権限を持つ組織のデータだけを示すとされています。加盟店ごとのフォルダの権限を、その店の担当のスーパーバイザーと部長に絞っておけば、 別の担当の店の報告書が下書きに混ざることはありません。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

臨店の終了をきっかけに、スーパーバイザーがその日のうちに始めます。 臨店の直後なら、下書きを読んで「この所見はメモの書き方が足りなかった」とすぐに気づけます。翌日に回すと、メモに無いことを思い出して足すことができなくなります。

1回の Copilot のやり取りで扱うのは1店分という決まりにします。2店分をまとめると、A店の所見がB店の下書きに混ざります。

月に一度、部長が報告書の一覧を見る日を決めます。 160件の報告書の「本部の判断に回す事項」と、前回の依頼が「直っていなかった」ものを部長が読み、商品部・開発部への申し送りと、オーナーとの面談が要る店を決めます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
臨店メモ点検項目ごとの所見、写真の番号、聞き取りのメモ、前回の依頼の確認結果加盟店のフォルダ(スーパーバイザーが置く)
写真番号付きの写真(P01, P02 …)加盟店のフォルダ
前回の臨店報告書前回の所見と、前回の改善依頼の一覧加盟店のフォルダ
QSC の基準書点検項目と、それぞれの基準。基準書の項目番号店舗運営部のフォルダ
依頼文の決まり依頼に書いてよいこと、書かないこと、言い回しの例店舗運営部のフォルダ

質を決めるのは、いちばん上の臨店メモです。 Copilot が報告書に書けるのは、メモに書かれたことだけです。メモが「トイレ×」としか書いていなければ、報告書も「トイレに問題があった」以上のことは書けません。 臨店メモの型は、所見を「何を、どこで、どう見たか」の短い文で書く形にします。

写真そのものは Copilot に読ませません。 写真はスーパーバイザーが撮った証拠として報告書に番号で添えるもので、所見の中身はメモの文で書きます。 写真から所見を起こさせると、写っていないことを読み取ったように書く下書きになりやすいからです。

前回の臨店報告書は、必ず参照させます。 前回の依頼を一覧にし、今回のメモと並べるのに使います。前回の報告書が無い店(新しく開いた店)は、この欄を空にして下書きを作ります。

依頼文の決まりは、部長が作って全員で同じものを使います。 「基準書の項目番号のある依頼だけを書く」「仕入れ・営業時間・価格・取引先に触れない」「オーナーと店のスタッフの人柄や態度を評価しない」を書いた1ページの文書です。

Step3

データの取得方法を決める

臨店メモは、スマートフォンの Word で本部の型に書きます。 型には点検の区分ごとの見出しと、各行に「項目番号」「所見」「写真の番号」「前回の依頼か」の欄があります。書いたメモは、その場で加盟店のフォルダに保存されます。

取るものどこからどう渡すか
臨店メモ加盟店のフォルダWord の Copilot の入力欄で「/」を入力して選ぶ
前回の臨店報告書加盟店のフォルダの前月の報告書同じく「/」で選ぶ
QSC の基準書店舗運営部のフォルダ同じく「/」で選ぶ
依頼文の決まり店舗運営部のフォルダ改善依頼の下書きのときに「/」で選ぶ

参照させるファイルは、毎回この表のとおりに選びます。 Copilot は、指定しなくても指示と権限に応じて役に立ちそうな情報を使うことがあるとされています。ファイルを明示して選ぶことで、別の店の報告書や古い基準書が混ざる余地を減らします。

写真は、撮った順に番号を付けて保存します。 スマートフォンのカメラの名前のままでは、報告書の番号と結びつきません。臨店の終わりに写真をフォルダに移すとき、P01 から順に名前を付け直します。 臨店メモの「写真の番号」の欄と、ファイルの名前が一致していることが前提です。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 臨店メモの欄が埋まっているかを見る … 項目番号の無い所見は、どの基準に当たるかが分からなくなります。項目番号は臨店中に書きます
  2. 前回の依頼の確認結果をメモに書く … 前回の依頼の一つひとつについて「直っていた」「直っていなかった」「見ていない」をメモに書きます。書かれていないものは、下書きでも「見ていない」になります
  3. 聞き取りのメモを分けて書く … オーナーや店長から聞いた話は「聞き取り」の欄に書き、自分が見たことと混ぜません
  4. 個人の名前を書かない … 店のスタッフはメモに名前を書かず、「店長」「ホールのスタッフ」のように役割で書きます
  5. 写真の番号とファイルの名前をそろえる … 臨店メモの写真の番号と、フォルダの写真の名前を合わせます
  6. 前回の報告書が最新のものかを確かめる … 加盟店のフォルダに、確定した前月の報告書があるかを見ます。下書きのままのものを参照させません

2番目を軽く見ないでください。 前回の依頼の確認は、この構成の大事な役目の1つです。メモに書かれていない依頼を Copilot が「直っていた」と推し量って書くと、 直っていない依頼が報告書の上で消えます。

4番目は、第13章の個人の情報の扱いとつながります。 加盟店のスタッフは本部の社員ではありません。名前と所見を結びつけた記録を本部に持つ必要はなく、 所見は店の運営のことに限ります。

Step5

AIに処理させる

させるのは、臨店メモを報告書の様式に並べ替え、改善依頼の下書きを作り、前回の依頼と今回の確認結果を並べることです。

させること中身根拠にするもの
所見の並べ替えメモの所見を品質・サービス・清潔さの区分と項目番号の順に並べる臨店メモ、QSC の基準書
所見の文の整えメモの短い書き方を、報告書の文の形にする。事実は足さない臨店メモ
前回の依頼の一覧前回の報告書の改善依頼を一覧にし、今回のメモの確認結果を並べる前回の報告書、臨店メモ
聞き取りの要約売上・人手・困りごとを、聞いたとおりに短くまとめる臨店メモの聞き取りの欄
改善依頼の下書き確定した報告書の所見のうち、基準書の項目に当たるものを依頼の文にする確定した報告書、依頼文の決まり
本部の判断に回す事項仕入れ・営業時間・価格・取引先に関わる話を別の欄に分ける確定した報告書、依頼文の決まり
させないこと理由
メモに無い所見を足すこと見ていないことが報告書に残る
前回の依頼の確認結果を推し量ること見ていない依頼が「直っていた」として消える
写真から所見を起こすこと写っていないことを読み取ったように書く
店のスタッフやオーナーの人柄・態度・やる気を評価すること本部の記録に残す性質のものではない。所見は店の運営に限る
仕入れ・営業時間・価格・取引先を依頼文に書くこと本部が契約と基準書に照らして決める。担当の判断で出さない
依頼の期限を決めること期限はスーパーバイザーがオーナーと話して決める

2行目がいちばん起きやすい失敗です。 前回の依頼が5つあり、今回のメモで3つに触れていると、Copilot は残りの2つも「改善が見られた」と書いて表を埋めがちです。メモに無いものは「今回は見ていない」と書かせ、次回の臨店の持ち越しにします。

5行目は、依頼の文を書かせる段階で効きます。 公正取引委員会の考え方は、本部の指導がフランチャイズ・システムを運営するのに必要な限度を超えると、優越的地位の濫用に当たりうるとしています。例として、正当な理由なく本部や本部の指定する事業者とだけ取引させること、実際の販売に必要な量を超える仕入れを求めること、品質が急速に落ちる商品の見切り販売を制限することなどが挙げられています。こうした話題を、担当の熱意で依頼文に書かせない仕組みが要ります。

Step6

指示内容を固定する

報告書の下書き(本部の様式を開いた状態で、Word の Copilot に出す指示):

あなたは飲食のフランチャイズ本部で、スーパーバイザーの臨店報告書を
本部の様式に整える立場です。/臨店メモ /前回の臨店報告書 /QSC基準書 を参照してください。

【作るもの】
1. 所見:品質・サービス・清潔さの区分ごとに、基準書の項目番号の順に並べる。
   各行に「項目番号」「所見」「写真の番号」を書く
2. 前回の依頼の確認:前回の臨店報告書の「改善依頼」をすべて一覧にし、
   臨店メモの確認結果を「直っていた/直っていなかった/今回は見ていない」で書く
3. 聞き取り:売上・人手・困りごと・本部への要望を、聞いたとおりに短く書く
4. 本部の判断に回す事項:仕入れの量・営業時間・価格や値引き・取引先に
   関わる話が臨店メモにあれば、ここに書く

【厳守事項】
- 臨店メモに書かれていないことを書かないでください。
  所見を補ったり、原因を推測したりしないでください。
- 前回の依頼のうち、臨店メモに確認結果が書かれていないものは
  「今回は見ていない」としてください。「直っていた」と推し量らないでください。
- 写真の番号は臨店メモに書かれたものをそのまま写してください。
- 店のスタッフやオーナーの人柄・態度・やる気・能力を評価する言葉を
  書かないでください。所見は店の設備・手順・記録・提供の状態に限ります。
- 人の名前を書かないでください。役割(店長、ホールのスタッフ)で書きます。
- 聞き取りの内容は「〜とのこと」と書き、自分が見た所見と混ぜないでください。
- 臨店メモの項目番号が基準書に無い場合は、所見の行に「項目番号不明」と書いてください。
- 本部の判断に回す事項には、意見や勧めを書かず、話の中身だけを書いてください。

改善依頼の下書き(確定した報告書を開いた状態で出す指示):

/確定した臨店報告書 /依頼文の決まり を参照し、加盟店のオーナーへの
改善のお願いの下書きを作ってください。

【書き方】
- オーナーは本部の部下ではなく、独立した事業者です。お願いの文で書いてください。
- 依頼は、報告書の所見のうち「基準書の項目番号」があるものだけにしてください。
  1つの依頼に1つの項目番号を付けてください。
- 前回の依頼で「直っていなかった」ものは、前回もお願いしたことが分かるように書いてください。
- よくできていた点があれば、報告書の所見から1〜2つを最初に書いてください。

【書かないこと】
- 仕入れの量・営業時間・価格や値引き・取引先の指定に関わるお願いは、
  依頼文に書かないでください。「本部で確認してご連絡します」とだけ書き、
  中身は別の欄「本部の判断に回す事項」に分けてください。
- 期限を書かないでください。期限の欄は空けておいてください。
- 契約の解除や違約金など、不利益を示す言葉を書かないでください。
- 報告書に無いことを書かないでください。

「期限を書かない」を明記しないと、Copilot は「1週間以内に」と書き添えます。 期限はオーナーの店の事情を聞いてから決めるもので、下書きの段階で決まったように書かれると、そのまま送られます。

Step7

出力形式を固定する

報告書の下書きは、本部の様式の4つの欄に入る形で受け取ります。

【所見】
区分 | 項目番号 | 所見 | 写真
品質 | Q-03 | スープの温度の記録が14時以降空欄だった | P02
清潔さ | C-07 | 冷蔵庫の扉のパッキンにカビの付着があった | P05

【前回の依頼の確認】
前回の依頼 | 項目番号 | 今回の確認
客席の調味料入れの補充の手順を決める | S-04 | 直っていた
トイレの清掃の記録を毎日付ける | C-02 | 直っていなかった
排気フードのフィルターの清掃 | C-11 | 今回は見ていない

【聞き取り】
- 平日の夜の客数が前年より少ないとのこと
- 昼のホールのスタッフが1名足りないとのこと

【本部の判断に回す事項】
- 深夜の営業時間を短くしたいとの相談があった

改善依頼の下書きは、メールの本文にそのまま移せる文と、下の一覧で受け取ります。

【お願いの一覧】
番号 | 項目番号 | お願いすること | 前回もお願いしたか | 期限(空欄)
1 | C-02 | トイレの清掃の記録を毎日付けてください | はい |
2 | C-07 | 冷蔵庫の扉のパッキンの清掃 | いいえ |

【本部の判断に回す事項】
- 深夜の営業時間の短縮のご相談(本部で確認してご連絡します)

1つ目の理由は、項目番号で報告書と依頼をつなげられることです。 依頼の1行ごとに基準書の項目番号があれば、「基準書に無いことを依頼している」行がすぐに見つかります。 番号の無い依頼は、それだけで直す対象です。

2つ目は、「本部の判断に回す事項」を依頼と別の欄に置けることです。 部長が160件分のこの欄だけを読めば、営業時間の相談がどの店から上がっているかがひと目で分かります。仕入れや営業時間の話がオーナーへの依頼文に紛れ込むことも防げます。

3つ目は、前回の依頼の確認を3つの値で受け取れることです。 「今回は見ていない」が多い担当や店は、臨店の進め方を見直す材料になります。値が3つに決まっていれば、月末に数えるのも簡単です。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
加盟店のフォルダ(SharePoint)Word の Copilot から「/」で参照臨店メモ・前回の報告書・写真を読む
店舗運営部のフォルダ同じく「/」で参照QSC の基準書と依頼文の決まりを読む
オーナーへのメールスーパーバイザーが手で貼って送る確定した改善依頼
部長への申し送りスーパーバイザーが Teams で送る本部の判断に回す事項

Copilot から外へ自動で出ていくものはありません。 オーナーへのメールも、部長への申し送りも、スーパーバイザーが送ります。基幹のシステムの加盟店の台帳にも書き込みません。

加盟店ごとのフォルダの権限は、そのまま使います。 Copilot が参照できるのは使う人が閲覧できるファイルだけなので、担当の替わったスーパーバイザーには、新しい担当の店のフォルダの権限を渡してから使い始めてもらいます。

Step9

人が確認する

人が見るのは、すべての下書きです。 この構成では、下書きの確認が業務の中心です。

  1. 所見をメモと並べて読む … 下書きの所見の1行ずつが、臨店メモのどの行から来たかを確かめます。メモに無い所見が1つでもあれば消します
  2. 前回の依頼の確認を見る … 「直っていた」と書かれた依頼が、メモに確認結果として書かれているかを確かめます
  3. 人柄や態度の言葉が無いかを見る … 「やる気が感じられない」「意識が低い」のような言葉は消し、見たことに書き換えます
  4. 依頼文の項目番号を見る … 番号の無い依頼は消すか、部長に回します
  5. 本部の判断に回す事項を部長に送る … 依頼文に入っていないことを確かめてから送ります
  6. 期限をオーナーと話して決める … 電話かメールで店の事情を聞き、期限を入れてから送ります

1番目を省かないでください。 臨店報告書は、加盟店との関係の記録として何年も残ります。見ていないことが書かれた報告書は、後でオーナーと話し合うときに本部の側の弱みになります。

目標は、1件あたり24分です。 下書きを読んで直す時間が15分ほど、写真の番号の確かめとフォルダへの保存が5分ほど、依頼の期限の調整が数分という見立てです。メモの書き方がそろってくると、直す時間は短くなります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
臨店メモの項目番号が基準書に無い所見の行に「項目番号不明」と出る。スーパーバイザーが基準書を見て番号を直す
前回の報告書が無い(新しく開いた店)前回の依頼の確認の欄を空にして下書きを作る
前回の報告書が下書きのまま保存されている参照させない。確定した版をスーパーバイザーが探してから作る
臨店メモに個人の名前が入っていた下書きでも名前が出る。役割に直してから保存する
臨店中に食中毒の疑い・けがなどの重大な事案を見たこの構成を使わず、本部の事故の報告の手順に従う
オーナーが臨店を断った・不在だった臨店メモに「臨店できず」と書き、報告書は手で短く書く
下書きが別の店の所見を含んでいる1回のやり取りで1店分の決まりを守る。新しい文書から作り直す
Copilot が使えない(障害・ライセンス)これまでどおり手で書く。臨店メモの型はそのまま使える

上から2行目と3行目は、前回の依頼の確認を正しく出すためのものです。 参照する前回の報告書が違っていれば、比べる相手が違ってしまいます。下書きのファイルの名前に「確定」が付いているかで見分けます。

5行目は、この構成の外に出すものです。 衛生や安全に関わる重大な事案は、報告書の下書きを待たずに本部へ電話で知らせる決まりにします。Copilot の下書きを作る手順が、急ぐべき報告を遅らせないようにします。

Step11

記録を残す

  • 臨店メモと写真(加盟店のフォルダ)
  • 確定した臨店報告書と、オーナーに送った改善依頼の文(加盟店のフォルダ)
  • 期限と、オーナーとの話し合いの結果(改善依頼の一覧の期限の欄)
  • 本部の判断に回した事項と、部長の判断の結果
  • 前回の依頼の確認結果の月ごとの数(「直っていた」「直っていなかった」「今回は見ていない」)

下書きと Copilot とのやり取りは、記録として残す対象にしません。 公式のプライバシーのページでは、Copilot とのやり取りは利用者の Copilot の利用履歴として保存され、管理者は Microsoft Purview で保持の方針を決められるとされています。本部の記録として残すのは確定した報告書と送った依頼で、履歴の保持の期間は、本部の情報の取り扱いの決まりに合わせて情報システムの担当が決めます。

最後の行は、部長が毎月見る数字です。 「直っていなかった」が続く店はオーナーとの面談の候補、「今回は見ていない」が多い担当は臨店の進め方を一緒に見直す候補です。依頼を出したきりにしないための数字です。

04実装レベルの3段階

最小構成:臨店メモを手で型に書き写し、Word の Copilot で報告書の下書きを作る / 報告書の並べ替えと文の整え
半自動化:上記+臨店中に型へ直接書き、前回の報告書を参照させ、改善依頼の下書きまで作る / 報告書・前回の依頼の確認・改善依頼の下書き
本格構成:上記+報告書の「前回の依頼の確認」と「本部の判断に回す事項」を部の一覧に集め、部長が月次で見る / 店をまたいだ依頼の進み具合と本部の判断事項の一覧

最小構成は、書き写す手間が残ります。 紙のメモを型に書き写す時間が加わるので、1件の時間はあまり減りません。メモの書き方を確かめるための段階です。 半自動化で、1件60分が24分程度になります。 臨店中に型へ書くので書き写しが無くなり、報告書と依頼文の下書きを Copilot が作ります。この段階が本記事の想定です。 前回の依頼の確認が下書きに必ず出るので、第3章の(c)が減ります。 本格構成は、部長の仕事を変える段階です。 店をまたいで集めると、同じ悩みを抱える店が見えます。 段階を飛ばさないでください。 欄の名前がそろわないうちに集めても、数えられません。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
8 名
月間件数
160 件
1件あたり現在時間
60 分
1件あたり導入後時間
24 分
現在  160件 × 60分 ÷ 60 = 160 時間/月
導入後 160件 × 24分 ÷ 60 = 64 時間/月
月間削減時間
96h
削減率
60%
年間削減時間
1,152h
年間金額換算(時間単価3,000円)
346万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 加盟店が100店を超え、スーパーバイザーが毎月すべての担当店を回って臨店報告書を本部に出している飲食・小売のフランチャイズ本部。報告書の書き方がスーパーバイザーごとにばらばらで、同じ指摘でも担当によってオーナーへの伝わり方が違う場合。前回の改善依頼が直ったかどうかを、次の臨店で確かめた記録が残っていない場合。本部が Microsoft 365 を使い、スーパーバイザーに Microsoft Copilot のライセンスを配れる場合。
向いていない
  1. 加盟店が数店で、本部の担当者が口頭で伝えれば足りる場合。臨店の点検をすでに専用の店舗点検アプリで行い、報告書がアプリから自動で出ている場合(その場合はアプリの側の機能を先に確かめる)。臨店のメモを残さず、記憶で報告書を書いている場合。なお、加盟店に何を求めるかの判断、契約や基準書に照らした是正の要否、仕入れ・営業時間・価格に関わる依頼の可否は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. スーパーバイザー2名を選び、先月の臨店から5件ずつ、合わせて10件を選ぶ
  2. その10件について、当時のメモ(紙や写真でも可)と、確定した報告書・改善依頼を集める
  3. 当時のメモを、臨店メモの型に書き写す(項目番号と写真の番号を付ける)
  4. Word で本部の様式を開き、Copilot に第7章の指示を出して報告書の下書きを作る
  5. 下書きと当時の報告書を並べ、メモに無い所見が無いか、前回の依頼の確認が推し量られていないかを見る

10件は必ずやってください。 ここで確かめるのは、「メモの書き方で報告書の質が決まる」ことを、スーパーバイザー自身が実感できるかです。

出てきた内容判断
当時の報告書と同じ所見が、様式の順に並んだ臨店メモの型を全員に配る段階に進む
メモに無い所見や原因の推測が出た指示の書き方で直る。構成は有効
メモが短すぎて、所見の文にならない臨店メモの型と書き方の例を先に作る。 AIの問題ではない

3行目が出ることは珍しくありません。 「トイレ×」「温度NG」のようなメモからは、誰が書いても報告書の文にはなりません。これまでは、スーパーバイザーが記憶で補っていたということです。 その場合は、「何を、どこで、どう見たか」の書き方の例を5つ作り、同じ10件のメモを書き直してから試してください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
メモに無い所見が下書きに入る指示で禁じ、メモと並べて読む確認を省かない
前回の依頼が「直っていた」と推し量られる確認結果の無いものは「今回は見ていない」と書かせる
メモが短すぎて文にならない「何を、どこで、どう見たか」の書き方の例を配る
人柄や態度の言葉が入る指示で禁じ、確認の項目にも入れる
依頼文に仕入れや営業時間の話が入る依頼文の決まりで禁じ、「本部の判断に回す事項」の欄に分ける
依頼文に期限が勝手に入る期限の欄を空けさせ、オーナーと話して決める
別の店の所見が混ざる1回のやり取りで1店分。新しい文書から作る
写真の番号がずれる臨店の終わりに写真の名前を付け直す
前回の報告書が下書きのまま「確定」の名前の付いたものだけを参照させる
スマートフォンで Copilot が使えない公式に、アプリの版や組織の設定で使える機能が違うとされている。最小構成の段階で端末ごとに試す

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも「書かれていないことを書く」という同じ性質の失敗です。

5行目と6行目も、早く効いてきます。 オーナーに届く文は、本部の正式な求めとして読まれます。担当の熱意や Copilot の書き添えで、本部が決めていないことを求める文が出ていかないようにします。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 加盟店の所見、店の写真、オーナーや店長から聞いた売上と人手の状況、前回の依頼。店のスタッフの名前は扱いません。

  1. 加盟店のフォルダの権限を、担当と部長に絞る … Copilot は利用者が閲覧の権限を持つデータだけを示すとされています。権限が広いと、別の担当の店の報告書が下書きの材料に入りえます
  2. 店のスタッフやオーナーを評価する文を作らせない … 公式のプライバシーのページは、職場のやり取りから社員の業績・態度・内面の状態・人柄を推し量る用途を制限しているとしています。加盟店のスタッフは本部の社員ではありませんが、所見は店の運営の状態に限り、人を評価する記録を本部に作らない決まりにします
  3. 依頼文の範囲を、部長が決める … 公正取引委員会の考え方は、本部の指導が必要な限度を超えると優越的地位の濫用に当たりうるとし、仕入れの強制や見切り販売の制限などを例に挙げています。仕入れ・営業時間・価格・取引先に関わることは、担当の依頼文に入れません
  4. 改善依頼を自動で送らない … 送るのはスーパーバイザーです。オーナーとの関係に直接ひびく文書が、人の確認を経ずに届く経路を作りません
  5. Copilot の学習への利用について … 公式のページでは、指示・応答・Microsoft Graph から取ったデータは基盤モデルの学習に使われないとされています。それでも、加盟店の売上の数字は臨店メモに必要な範囲だけを書きます

誤りが起きた場合のリスクは、見ていないことが記録に残ることと、本部が決めていないことをオーナーに求めることの2つです。 前者は後の話し合いで本部の記録の信頼を損ね、後者は独立した事業者との取引の公正さに関わります。どちらも、下書きをスーパーバイザーと部長が読む工程で止めます。

10まず何から始めるか

1週目:臨店メモの型と書き方の例を作る

部長とスーパーバイザー2名で、QSC の基準書の項目番号を欄に持つ臨店メモの型を作ります。「何を、どこで、どう見たか」の書き方の例を、よくある所見から10個作ります。

2週目:依頼文の決まりを作る

依頼に書いてよいこと(基準書の項目番号のあるもの)、書かないこと(仕入れ・営業時間・価格・取引先・期限・不利益を示す言葉)、言い回しの例を1ページにまとめます。部長が決め、全員で同じものを使います。

3週目:10件で試す

先月の臨店10件のメモを型に書き写し、Word の Copilot で報告書の下書きを作ります。当時の報告書と並べ、メモに無い所見と推し量った確認結果が無いかを最優先で見ます。

4週目:2名で臨店中から使い始める

スーパーバイザー2名が、臨店中に型へ直接書き、その日のうちに報告書と改善依頼の下書きを作ります。スマートフォンの Word で使えるかも、この週に確かめます。

2か月目: 8名に広げ、部長が毎月「本部の判断に回す事項」と前回の依頼の確認結果を読み始めます。3か月目以降: 1件60分が何分になったかを実測し、「今回は見ていない」の数を担当ごとに見ます。前回の依頼が毎回確かめられ、どの担当が書いてもオーナーへの依頼の書き方がそろった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-15/最終更新:2026-10-23
確認した内容情報源確認日
Word の Copilot の入力欄で「/」を入力してファイルを選び、特定の資料を参照させて下書きを作れること。指示と権限に応じて役に立つ情報を使うことがあること。テンプレートや既存の文書から始めて書式と構成を保てること。対象の Microsoft 365 のサブスクリプションか Copilot のライセンスが要ること。機能がライセンス・組織の設定・アプリの版・端末によって違うこと。事実・数字・名前・方針に関わる記載を確かめ、共有の前に残すか直すか消すかを決めるのは使う人の責任であることMicrosoft Support: Start a draft with Copilot in Word2026-10-15
利用者が少なくとも閲覧の権限を持つ組織のデータだけを示すこと。指示・応答・Microsoft Graph から取ったデータが基盤モデルの学習に使われないこと。やり取りが利用履歴として保存され、管理者が Microsoft Purview で保持の方針を決められること。職場のやり取りから社員の業績・態度・内面の状態・人柄を推し量る用途を制限していることMicrosoft Learn: Data, Privacy, and Security for Microsoft Copilot2026-10-15
本部の指導がフランチャイズ・システムを運営するのに必要な限度を超えると優越的地位の濫用に当たりうること。例として、正当な理由なく本部や本部の指定する事業者とだけ取引させること、実際の販売に必要な量を超える仕入れを求めること、品質が急速に落ちる商品の見切り販売を制限すること、営業時間の短縮の協議を拒むことなどが挙げられていること(令和3年4月28日改正)公正取引委員会: フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方2026-10-15

加盟店に何を求めるか、どの依頼を本部の判断に回すかは、本部の契約と基準書、必要に応じて顧問弁護士の助言をもとに決めてください。 本記事は公的機関と製品の公開資料で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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