Media > AI活用ユースケース > カスタマーサポート > 行政書士事務所の Web の問い合わせを、許認可・在留手続き・相続などの種類と急ぎの度合いで分類し、担当者に振り分けて初回の返信の下書きを作る

行政書士事務所の Web の問い合わせを、許認可・在留手続き・相続などの種類と急ぎの度合いで分類し、担当者に振り分けて初回の返信の下書きを作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

行政書士事務所の Web サイトに届く問い合わせを、許認可・在留手続き・相続などの種類と期限の記載で分類し、担当の行政書士へ振り分けます。受付台帳に記録し、相談者への初回の返信を Gmail の下書きにしておきます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
士業
対象部門
カスタマーサポート/営業
対象業務
分類・仕分け/問い合わせ対応
主な課題
問い合わせが多い/営業フォローが追いつかない/属人化している
AIで行う処理
分類
主な効果
対応スピード向上/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
30h/月
AI導入後
9h/月
想定削減
70%
年間削減
252h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 相談者が Web サイトの問い合わせフォームから送信し、事務所の代表アドレスに通知メールが届く
  2. 補助者が通知メールを開き、相談の内容を読む
  3. どの分野の相談かを判断し、担当表を見て担当の行政書士を決める
  4. 受付のスプレッドシートに、日時・相談者・分野・担当・期限の有無を写す
  5. 担当の行政書士にチャットで知らせる
  6. 補助者が初回の返信を書く。分野ごとのひな形を開き、相談の内容に合わせて直す
  7. 担当の行政書士に文面を見てもらってから、相談者へ送る
導入後(After)
  1. 人相談者が問い合わせフォームから送信し、通知メールが届く
  2. 自動Gmail のフィルタが通知メールに「Web問い合わせ」のラベルを付ける
  3. 自動ラベルの付与をきっかけに Zap が動き、受付台帳で同じ問い合わせが処理済みでないかを確かめる
  4. 自動AIが相談の種類・相談者の別・期限の記載・連絡先を本文から拾い、根拠の文を写す
  5. 自動受付台帳(Zapier Tables)に1件を記録する
  6. 自動種類と期限の記載で分岐し、担当の行政書士のラベルを付ける
  7. 自動売り込み以外の相談について、初回の返信を Gmail の下書きにする
  8. 人担当の行政書士か補助者が、分類と下書きを確かめ、直して送る
  9. 人分類できなかった相談は、補助者が読んで担当を決める
各工程の詳しい説明を読む
  1. 相談者が Web サイトの問い合わせフォームから送信し、事務所の代表アドレスに通知メールが届く
  2. 補助者が通知メールを開き、相談の内容を読む
  3. どの分野の相談かを判断し、担当表を見て担当の行政書士を決める
  4. 受付のスプレッドシートに、日時・相談者・分野・担当・期限の有無を写す
  5. 担当の行政書士にチャットで知らせる
  6. 補助者が初回の返信を書く。分野ごとのひな形を開き、相談の内容に合わせて直す
  7. 担当の行政書士に文面を見てもらってから、相談者へ送る

(a)分野を読み分けるのに時間がかかる。 相談者は手続きの名前を知らずに書きます。「外国人を雇いたい」は就労の在留資格の相談か、雇用の手続きの相談か。「お店を出したい」は飲食店の営業許可か、風営法の許可か、法人設立か。読み分けに経験が要り、補助者のどちらか1人に寄っています。

(b)返信が遅れると、相談者はほかの事務所に決める。 相談者は複数の事務所に同時に問い合わせていることが多く、最初に具体的な返事をくれた事務所に面談を申し込みます。 6番目と7番目に時間がかかるほど、面談につながる割合が下がります。

(c)期限のある相談が埋もれる。 「在留期限が来月末です」「許可の更新の期限が近い」と本文の後半に書かれた相談が、届いた順に並んだ問い合わせの中に埋もれます。 期限が迫った相談ほど、相談者は返事の速さで事務所を選びます。

(d)売り込みを読む時間も同じだけかかる。 売り込みかどうかは最後まで読まないと分からないことがあり、1件ずつ開いて閉じる手間が毎日あります。

  1. 【人】 相談者が問い合わせフォームから送信し、通知メールが届く
  2. 【自動】 Gmail のフィルタが通知メールに「Web問い合わせ」のラベルを付ける
  3. 【自動】 ラベルの付与をきっかけに Zap が動き、受付台帳で同じ問い合わせが処理済みでないかを確かめる
  4. 【自動】 AIが相談の種類・相談者の別・期限の記載・連絡先を本文から拾い、根拠の文を写す
  5. 【自動】 受付台帳(Zapier Tables)に1件を記録する
  6. 【自動】 種類と期限の記載で分岐し、担当の行政書士のラベルを付ける
  7. 【自動】 売り込み以外の相談について、初回の返信を Gmail の下書きにする
  8. 【人】 担当の行政書士か補助者が、分類と下書きを確かめ、直して送る
  9. 【人】 分類できなかった相談は、補助者が読んで担当を決める

8番目が、この設計の分かれ目です。 相談者へ出る返信は、すべて人が確かめてから送ります。事務所の名前で出る最初の返事を、AIの下書きのまま送らないためです。それでも、読み分けと記録と文面の下書きが先に済んでいるので、人がするのは確かめて送ることだけになります。

6番目で期限の記載のある相談を先に届けるのが、第3章の(c)への答えです。 期限が書かれた相談には「急ぎ」のラベルも付け、担当が受信トレイの上で見分けられるようにします。

02今回想定するシステム構成

構成図
Web サイトの問い合わせフォーム
   │  送信内容が事務所の代表アドレスに通知メールとして届く
   ▼ Gmail のフィルタで「Web問い合わせ」のラベルを付ける
   ▼【トリガー】Gmail:New Labeled Email
Zapier の Zap
   ├──▶ Zapier Tables:Find Records(同じ問い合わせがあれば止める)
   ├──▶ AI by Zapier(Analyze and Return Data):種類・相談者・期限・連絡先
   ├──▶ Zapier Tables:Create Record(受付台帳に記録)
   ├──▶ Paths:種類と期限の記載で分岐
   │      ├ 許認可 → 許認可の担当のラベル
   │      ├ 在留手続き・帰化 → 在留の担当のラベル
   │      ├ 相続・遺言 → 相続の担当のラベル
   │      ├ 売り込み → 「営業」のラベルのみ(下書きを作らない)
   │      └ フォールバック → 補助者のラベル
   ├──▶ AI by Zapier:初回の返信の下書き
   └──▶ Gmail:Create Draft(代表アドレスに下書き)
   ▼【人】担当か補助者が確かめて送る
役割想定する製品代替候補
ワークフローZapier(Gmail、Zapier Tables、Paths)Make、n8n、Power Automate
生成AIAI by Zapier(Analyze and Return Data)ChatGPT(OpenAI)、Claude
メールGmail(Google Workspace の事務所の代表アドレス)Microsoft Outlook

新しく足すのは、Zap と受付台帳だけです。 問い合わせフォームには手を入れません。送信内容は今までどおり代表アドレスに届き、そこから先を Zapier が引き取ります。

入口は Gmail の New Labeled Email です。 メールにラベルが付いたときに動くトリガーで、Zapier の説明では検知できる期間に制限が無いとされています(New Email や New Email Matching Search は1時間)。一方で、同じスレッドに返信が足されたときにも動くとされているので、二重の処理を台帳の側で止めます。

分類と下書きは、AI by Zapier の Analyze and Return Data で行います。 返してほしい項目を名前・型・説明・必須かどうかで決めておくと、その形で値を返します。Professional・Team・Enterprise のプランで使え、モデルは Standard(1倍)、Advanced(3倍)、Premium(5倍。新しいステップの既定)から選ぶか、OpenAI・Anthropic・Google・Azure OpenAI・Amazon Bedrock の自前のキーを使えます。前の実行から学ばず、毎回まっさらな状態で動くとされています。

受付台帳は Zapier Tables に置きます。 Zap から Find Records で探し、Create Record で記録し、Update Record で書き換えられます。分岐は Paths で、1つのグループに最大10本、どれにも当たらないときだけ動くフォールバックを1本置けます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

問い合わせの通知メールに「Web問い合わせ」のラベルが付いたことを起点にします。 ラベルは Gmail のフィルタで、通知メールの送信元のアドレスと件名の決まった文字列を条件に付けます。補助者が手でラベルを付ける運用にはしません。 手で付けると、付け忘れた問い合わせがそのまま漏れます。

New Labeled Email を選ぶ理由は、検知できる期間に制限が無いからです。 New Email と New Email Matching Search は1時間とされ、Zapier の側が一時的に止まっていたときに取りこぼす余地があります。問い合わせの取りこぼしは、そのまま相談者を失うことです。

そのかわり、同じスレッドに返信が足されたときにも動きます。 補助者が通知メールに転送やメモの返信を足すと、もう一度 Zap が動きます。Zap の最初の段で、受付台帳を Find Records で引き、同じスレッドの記録があれば止めます。

フィルタの条件は、フォームの通知メールの決まった件名にします。 「【お問い合わせ】〇〇行政書士事務所」のような件名をフォームの側で固定し、フィルタはその件名と送信元の両方で当てます。 どちらか一方だと、迷惑メールや転送が紛れ込みます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
通知メール件名、本文(フォームの入力欄が並ぶ)、受信日時、スレッドIDGmail
分野の定義相談の種類ごとの名前・典型的な書き方・含めないものAI のステップの指示に書き込む
担当表種類ごとの担当の行政書士と、その Gmail のラベル名Paths の分岐の条件
受付台帳スレッドID、受付日時、種類、期限の記載、担当、返信の状態Zapier Tables

質を決めるのは、分野の定義の「典型的な書き方」です。 相談者は手続きの名前を書きません。「外国人を雇いたい」「ビザが切れそう」「奥さんを日本に呼びたい」は在留手続き、「店を出したい」「深夜にお酒を出したい」は営業の許可、「会社を作りたい」は法人設立、と相談者の言葉と分野を結ぶ例を並べます。第3章の(a)で補助者の1人に寄っていた読み分けを、ここに書き出します。

分野の選択欄の値も渡しますが、決め手にはしません。 相談者が選んだ分野と本文が食い違うときは、本文を優先し、食い違ったことを記録します。 選択欄だけで振り分けると、「その他」がすべて補助者に戻ってきます。

Step3

データの取得方法を決める

データはすべて、トリガーが返す通知メールの中にあります。 フォームの入力欄が「氏名:」「メールアドレス:」「相談の内容:」のように本文に並んでいるので、別のシステムから取ってくるものはありません。

取るものどこからどうやって
件名・本文・受信日時・スレッドIDGmailNew Labeled Email の出力
同じスレッドの記録の有無Zapier TablesFind Records(スレッドIDで探す)
相談者の連絡先本文の「メールアドレス:」の欄AI のステップで写し出す

相談者のメールアドレスは、通知メールの送信元ではありません。 通知メールはフォームのシステムから届くので、送信元に返信すると相談者には届きません。本文の「メールアドレス」の欄から写した値を、下書きの宛先に使います。 写せなかったときは下書きを作りません。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 重複の確認 … スレッドIDで受付台帳を引き、記録があれば止めます
  2. 本文の切り出し … フォームの通知メールの決まった前置きと末尾の文言を落とし、入力欄の部分だけを渡します
  3. 電話番号を渡さない … 分類にも下書きにも電話番号は要りません。受付台帳にだけ残します
  4. 相談の分野の選択欄の値を分けて渡す … 本文と選択欄を別の入力として渡し、食い違いを見られるようにします

3番目は、渡す情報を絞るためです。 AI のステップに渡すのは、分類と下書きに要る氏名・メールアドレス・相談の内容・選択欄だけにします。在留手続きの相談では、本文に国籍や在留資格が書かれることがあり、それ自体は分類に要ります。 だからこそ、要らない項目は最初から外します。

Step5

AIに処理させる

させるのは2つです。 1つ目のステップで、本文から相談の種類・相談者の別・期限の記載・連絡先を写し出して分類します。2つ目のステップで、分類の結果を受けて初回の返信を下書きします。

項目させること判断できないときの扱い
相談の種類定義から主なものを1つ選ぶ。2つにまたがるときは副を1つ当てはまらなければ unclassified
相談者の別個人・法人・個人事業主を選ぶ書かれていなければ not_stated
期限の記載期限が書かれているかと、その原文書かれていなければ none
売り込みか営業・広告・提案のメールか迷えば false にして人が見る
連絡先本文のメールアドレスの欄を写す写せなければ空
根拠種類を選んだ根拠の文を写す写せなければ unclassified

期限は「書かれているか」と「原文」だけを写させます。 「来月末」「3月で切れる」のような書き方を日付に直させると、今日の日付の取り違えで1か月ずれた期限が台帳に載ります。 原文のまま担当に見せれば、担当が読み違えることはありません。

売り込みを迷ったら false にするのは、相談を取りこぼさないためです。 売り込みと判断した問い合わせには返信の下書きを作らないので、相談を売り込みに入れる誤りのほうが重いからです。

させないこと理由
許可や在留が認められるかの見通し行政書士が面談で判断する
報酬の額や目安事務所が決める。下書きに書くと約束になる
必要書類の一覧の案内相談の中身で変わる。面談の前に言い切らない
期限の日付の計算原文のまま担当に見せる
依頼を受けるかどうか事務所の判断。利益相反の確認もある

3行目は誤りやすいところです。 在留手続きや許認可の相談に、AIは親切に必要書類を並べがちです。相談者の事情によって要る書類は変わり、初回の返信で並べた一覧は、そのまま事務所の案内として受け取られます。

Step6

指示内容を固定する

1つ目のステップ(Analyze and Return Data)の指示:

あなたは行政書士事務所で、Web の問い合わせを受け付ける補助者です。
問い合わせの本文に書かれていることだけを使って、項目を埋めてください。
推測で埋めないでください。

【相談の種類】下の定義から、主な種類を1つ選んでください。
2つの種類にまたがる場合は、もう1つを sub_type に入れてください。
どれにも当てはまらない、または迷う場合は unclassified にしてください。
相談者が選んだ分野の値と本文が食い違う場合は、本文を優先し、
field_mismatch を true にしてください。
- 許認可:建設業・産業廃棄物・宅地建物取引業・飲食店や深夜酒類・
  風俗営業・運送業などの許可や届出。「店を出したい」「許可の更新」
- 在留手続き:在留資格の取得・変更・更新、家族の呼び寄せ、永住、帰化。
  「外国人を雇いたい」「ビザが切れそう」「家族を日本に呼びたい」
- 相続・遺言:遺産分割協議書、相続人の調査、遺言書の作成の相談
- 法人設立:会社・一般社団法人などの設立
- 売り込み:ホームページ制作・広告・人材紹介などの営業の案内

【期限の記載】
- 手続きの期限、在留期間の満了、許可の有効期間、申請の締切など、
  期限についての記述があれば deadline_stated を yes にし、
  その文を deadline_text にそのまま写してください。
- 日付への言い換えや、残りの日数の計算をしないでください。
- 書かれていなければ none にしてください。

【厳守事項】
- 許可や在留が認められるかの見通しを書かないでください。
- 売り込みかどうか迷う場合は、is_sales を false にしてください。
- reply_to には、本文の「メールアドレス」の欄の値をそのまま写して
  ください。送信元のアドレスを使わないでください。
- evidence に、種類を選んだ根拠の文を本文からそのまま写してください。

【相談者が選んだ分野】{selected_field}
【問い合わせの本文】{body}

2つ目のステップ(初回の返信の下書き)の指示:

行政書士事務所から、Web で問い合わせをくださった方への最初の返信を
書いてください。次のことだけを書いてください。
- 問い合わせのお礼と、内容を受け付けたこと
- 担当する行政書士の名前({assignee_name})
- 面談の候補日を3つ({slot1}、{slot2}、{slot3})示し、都合を尋ねること
- 面談の前に知りたいこと(下の「確認したいこと」)を2〜3点尋ねること
書かないこと:許可や在留の見通し、報酬の額、必要書類の一覧、
期限に間に合うかどうか。相談の中身に答えないでください。
期限の記載がある場合({deadline_text})は、それを受け取ったことに
触れ、面談の日程を優先して調整する旨だけを書いてください。
【相談の種類】{type} 【確認したいこと】{questions_for_type}
【相談者の氏名】{name}

2つ目で「確認したいこと」を種類ごとに外から渡すのは、聞く内容を事務所で決めるためです。 在留手続きなら「現在の在留資格と在留期間の満了日」、許認可なら「事業の所在地と、いま持っている許可」のように、種類ごとに2〜3点を担当の行政書士が決めて Zap に書き込みます。 AIに考えさせると、相談の中身に踏み込む質問が混ざります。

Step7

出力形式を固定する

1つ目のステップの出力は、Analyze and Return Data の出力項目として次のように定義します。

項目名型説明必須
typeテキスト許認可/在留手続き/相続・遺言/法人設立/売り込み/unclassifiedはい
sub_typeテキスト2つ目の種類。無ければ空いいえ
client_kindテキスト個人/法人/個人事業主/not_statedはい
deadline_statedテキストyes/noneはい
deadline_textテキスト期限の記述の原文いいえ
is_salesテキストtrue/falseはい
field_mismatchテキストtrue/falseはい
reply_toテキスト本文から写したメールアドレスいいえ
evidenceテキスト種類を選んだ根拠の文はい

項目に分けて受け取る理由の1つ目は、Paths の条件にそのまま使えることです。 分岐は type の値で決まり、AIの文章を読み解く処理を挟まずに済みます。

分岐条件動き
許認可type が許認可許認可の担当のラベル。下書きを作る
在留手続きtype が在留手続き在留の担当のラベル。下書きを作る
相続・遺言type が相続・遺言相続の担当のラベル。下書きを作る
法人設立type が法人設立法人設立の担当のラベル。下書きを作る
売り込みis_sales が true「営業」のラベルのみ。下書きを作らない
フォールバック上のどれにも当たらない補助者のラベル。下書きを作らない

期限の記載は、分岐とは別に扱います。 deadline_stated が yes なら、どの分岐でも「急ぎ」のラベルを足します。Paths のグループの外で先に判定しておくと、分岐の数を増やさずに済みます。

2つ目は、evidence と field_mismatch で確認が速くなることです。 担当は下書きを開く前に、受付台帳で種類の根拠と、選択欄との食い違いを見られます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
GmailNew Labeled Email通知メールの受け取り
Zapier TablesFind Records、Create Record、Update Record重複の確認、受付の記録、返信の状態の更新
AI by ZapierAnalyze and Return Data分類と、初回の返信の下書き
GmailAdd Label to Email担当・急ぎ・営業のラベル
GmailCreate Draft代表アドレスに初回の返信の下書き

返信は下書きまでにし、Send Email は使いません。 担当が確かめて送るので、誤った分類のまま相談者へ出ることがありません。 下書きは事務所の代表アドレスに作るので、担当が席を外していても補助者が送れます。

面談の候補日は、Zap に書き込んだ値を使います。 担当ごとの空きの枠を週に一度更新し、AIには日程を作らせません。 予定表との連携は、運用が落ち着いてから足します。

Zap の大きさにも上限があります。 Zapier の説明では、1つの Zap は分岐の中のステップも含めて全体で100ステップまで、Paths の入れ子は3段までとされています。分野ごとに下書きのステップを分けると数が増えるので、下書きのステップは分岐の外に1つだけ置き、分野ごとの「確認したいこと」を値として渡す形にします。

Step9

人が確認する

  1. 担当のラベルの付いた下書きを開く … 種類が自分の持ち分か、宛先が相談者のアドレスかを見ます
  2. 文面を確かめる … 見通しや報酬に触れていないか、候補日と確認したいことが合っているかを見て、直して送ります
  3. フォールバックの問い合わせ … 補助者が読んで担当を決め、下書きを手で作ります
  4. 「営業」のラベルの問い合わせ … 補助者が週に一度一覧で見て、相談が紛れていないかを確かめます

4番目を省かないでください。 売り込みに入った相談は、返信が作られないまま残ります。週に一度の見直しで、取りこぼしを拾います。

面談の前の確認は、これまでどおり担当が行います。 相談者の相手方が既存の依頼者でないかといった確認は、受付台帳の分類とは別に、担当が面談の日程を決める前に行います。 この構成は、そのための材料を早く届けるところまでです。

目標は、180件をならして1件3分です。 種類が正しく下書きもそのまま送れる相談は1〜2分で済み、フォールバックと文面を直す相談は数分かかります。3分を大きく超える月は、分野の定義の「典型的な書き方」が足りていません。

Step10

例外に対処する

起きること対応
同じスレッドに返信が足されて Zap が動くスレッドIDで受付台帳を引き、記録があれば止める
reply_to が写せない下書きを作らず、補助者のラベル。電話で連絡する
unclassified が返るフォールバックで補助者へ
2つの種類にまたがる主の種類の担当へ。台帳に sub_type を残し、担当が副の担当に声をかける
相談が外国語で書かれている分類はそのまま行い、下書きは作らずに在留の担当へ
売り込みと相談が判別しにくいis_sales を false にし、通常の相談として扱う
AI のステップが失敗するZap の実行履歴に残る。補助者が通知メールから手で処理する
同じ相談者が別の日にもう一度送ってくるreply_to で受付台帳を Find Records で引き、直近7日に記録があれば「再送」のラベルを足して前の担当へ

5行目は、在留手続きの相談で起きます。 外国語で書かれた相談に日本語の下書きを返すと、相談者に伝わりません。どの言語で返すかは担当が決めます。

6行目の再送は、返信が遅れたときに起きます。 相談者は返事が来ないと、もう一度フォームから送ってきます。前の受付と別の担当に振り分けると、同じ相談者に2人の行政書士から返事が届きます。 再送の印が付いたら、前の担当に寄せます。

Step11

記録を残す

  • 通知メールのスレッドID、受信日時、件名
  • AI のステップが返した項目の全文(type、deadline_text、evidence など)
  • 付けたラベル、担当、下書きを作ったかどうか
  • 担当が種類を直した記録 … どの種類からどの種類へ直したか
  • 返信を送った日時と、面談につながったかどうか

4つ目が、分野の定義を育てる材料です。 担当が直した種類を月に一度数え、多い組み合わせの「典型的な書き方」を定義に足します。

最後の行は、この構成の効果を見るための記録です。 返信までの時間と面談につながった割合を、導入前と比べます。

04実装レベルの3段階

最小構成:問い合わせの本文を手元のAIサービスに貼り、分類させる / 1件ごとの分類
半自動化:上記+ラベルの付与で Zap が動き、分類・台帳・担当のラベル・返信の下書きまでを行う / 読み分け、記録、振り分け、下書き
本格構成:上記+担当の予定表から候補日を引く、面談の予約の記録、返信の無い相談の再連絡の下書き / 面談の予約までの流れ

半自動化で、1件10分が3分になり、この段階が本記事の想定です。 読み分け、記録、ひな形を直すことが自動になり、残るのは確かめて送ることです。本格構成で減るのは、日程の調整と、返事の無い相談を追いかける手間です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化を1か月回すと、揺れる分野の組み合わせと、フォールバックに落ちる書き方が先に分かります。そこを定義に足してから予定表をつなぐほうが、誤った担当の予定で面談を案内する事故を防げます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
2 名
月間件数
180 件
1件あたり現在時間
10 分
1件あたり導入後時間
3 分
現在  180件 × 10分 ÷ 60 = 30 時間/月
導入後 180件 × 3分 ÷ 60 = 9 時間/月
月間削減時間
21h
削減率
70%
年間削減時間
252h
年間金額換算(時間単価4,000円)
101万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 許認可・在留手続き・相続と遺言など複数の分野を扱う行政書士事務所で、Web サイトの問い合わせフォームから月に百件を超える相談が届き、補助者が1件ずつ読んで担当の行政書士を決め、返信の文面を書いている場合。問い合わせの通知を Gmail(Google Workspace)で受けていて、返信が遅れたあいだに相談者がほかの事務所に決めてしまうことが気になっている場合。
向いていない
  1. 扱う分野が1つに絞られ、行政書士が1人で全件を読んで返せている場合。問い合わせの大半が電話で、Web のフォームからの相談が月に数件の場合。なお、依頼を受けるかどうか、報酬の額、手続きの見通し、許可や在留が認められるかの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の問い合わせから30件を選ぶ(うち数件は、2つの分野にまたがる相談と、期限の書かれた相談と、売り込みを入れる)
  2. 分野の定義を、相談者の言葉の例まで書く
  3. 定義と30件の本文を、手元のAIサービスに貼り付ける
  4. 「定義から相談の種類を1つ選び、根拠の文を写してください。期限についての記述があれば原文を写してください。日付に直さないでください。売り込みかどうか迷ったら相談として扱ってください」と指示する
  5. 出てきた結果を、当時の補助者の振り分けと突き合わせる

30件は必ずやってください。 Zap を組む前に、「本文から分野を読み分けられるのか」を確かめます。

出てきた内容判断
当時の振り分けとおおむね同じになったZap の組み立てに進む
特定の2つの分野で揺れる定義の「典型的な書き方」を足す。構成は有効
期限を日付に直してしまう指示の書き方で直る

2行目が出るのが普通です。 揺れる2つの分野は、補助者のあいだでも揺れていた分野です。そこで出てきた相談者の言葉を、そのまま定義の例に足してください。 定義が育つほど、フォールバックに落ちる相談が減ります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
同じ問い合わせで Zap が2回動くNew Labeled Email は返信でも動く。スレッドIDで止める
下書きの宛先がフォームのシステムになる本文の「メールアドレス」の欄から写す
期限が日付に直されて1か月ずれる原文のまま写させ、計算させない
下書きに必要書類の一覧や見通しが入る書かないことを明記し、確認したいことを外から渡す
相談が売り込みに入って返信されない迷えば相談として扱い、営業のラベルを週に一度見直す
分野の選択欄だけで振り分けて「その他」が残る本文を優先して分類する
AI の費用が想定より高い新しいステップの既定は Premium(5倍)。Standard に切り替える
分岐が増えすぎる1つのグループに最大10本。期限の判定は分岐の外で行う
Zap のステップ数が足りなくなる全体で100ステップまで。下書きのステップを分岐の外に1つにまとめる

上から2行目と3行目が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも相談者の側に直接届く誤りです。宛先は本文から写し、期限は原文で見せるという2つを守れば、運用に乗ります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 相談者の氏名、メールアドレス、会社名、相談の内容です。在留手続きの相談では国籍、在留資格、家族の事情が、相続の相談では家族関係と財産が書かれることがあります。

  1. AIに渡す項目を絞る … 電話番号は渡さず、氏名・メールアドレス・相談の内容・選択欄だけにします
  2. Zapier の外部への受け渡しを確かめる … AI by Zapier は Zapier の組み込みの接続か、自前の AI の提供元のアカウントで動きます。どちらで処理するかを事務所で決め、プライバシーポリシーの記載と合わせます
  3. 返信を自動で送らない … 事務所の名前で出る最初の返事です。下書きまでにし、人が送ります
  4. 相談の中身に答えない … 見通し、報酬、必要書類を下書きに書かせません。依頼を受ける前の段階で事務所の判断として受け取られるからです
  5. 受付台帳の閲覧範囲を絞る … 受け付けた相談の一覧は事務所の中でも扱いに気をつける情報です。Zapier Tables の共有の範囲を所員に限ります

誤りが起きた場合のリスクは、期限のある相談への返信が遅れることと、相談の中身に踏み込んだ返信を出してしまうことの2つです。 前者は期限の記載を拾い損ねると起き、後者は下書きの指示が緩いと起きます。どちらも、写させることと書かせないことを指示で分けて守ります。

10まず何から始めるか

1週目:分野の定義を書く

行政書士4名で、分野ごとに「相談者がどう書いてくるか」の例を書き出します。補助者のうち読み分けの得意な1名に、迷った問い合わせの例を出してもらいます。 あわせて、種類ごとに初回の返信で尋ねる2〜3点を決めます。

2週目:30件で試す

先月の問い合わせから30件を選び、手元のAIサービスで分類させます。当時の振り分けと突き合わせ、期限を日付に直していないかを最優先で見ます。

3週目:Gmail のフィルタと受付台帳を作る

フォームの通知メールの件名を固定し、Gmail のフィルタでラベルが付くようにします。Zapier Tables に受付台帳を作ります。

4週目:Zap をつなぐ

New Labeled Email から AI by Zapier、受付台帳、Paths、Create Draft までを作ります。最初の2週間は下書きを作らず、分類とラベルだけを補助者の振り分けと見比べます。

2か月目: 下書きを足し、担当が直した種類と文面の件数を毎週数えます。3か月目以降: 返信までの時間と面談につながった割合を導入前と比べ、フォールバックが落ち着き、定義の手入れが月1回で済むようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-13/最終更新:2026-10-14
確認した内容情報源確認日
Analyze and Return Data で出力項目を名前・型・説明・必須で定義できること。Professional・Team・Enterprise で使えること。モデルが Standard(1倍)・Advanced(3倍)・Premium(5倍、新しいステップの既定)と自前のキー(OpenAI・Anthropic・Google・Azure OpenAI・Amazon Bedrock)から選べること。前の実行から学ばないことZapier: Use AI by Zapier to analyze and return data2026-10-13
New Labeled Email がラベルの付与と、スレッドへの返信の追加で動き、検知の期間に制限が無いこと。New Email と New Email Matching Search が1時間であること。Create Draft と Add Label to Email があることZapier: How to get started with Gmail on Zapier2026-10-13
Paths が Professional・Team・Enterprise で使え、1つのグループに最大10本、フォールバックを1本置けること。Zap は全体で100ステップまでであることZapier: Add branching logic to Zap workflows with Paths2026-10-13
Zapier Tables が自動化のためのデータの保管場所で、表とレコードで成り立つことZapier: Create tables and store data with Zapier Tables2026-10-13
Zapier Tables の Zap の操作に Find Records、Create Record、Update Record があることZapier: Zapier Tables integrations2026-10-13

依頼を受けるかどうか、報酬、手続きの見通しは、担当の行政書士が面談で判断してください。 本記事は上記の公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

自社の業務に使えるAI活用候補を整理します

このユースケース(UC-1412)についてのご相談はこちらから。

AI活用について相談する
目次