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広告代理店に届く運用開始の依頼から、広告アカウントの権限・計測タグ・素材の依頼リストを作り、足りない情報を確かめる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

広告主から届く運用開始の依頼フォームの回答を読み、媒体ごとに広告アカウントの権限・計測タグ・素材のどれがそろっていて、どれが足りないかを項目に抜き出します。そこから依頼リストを作り、足りない情報を広告主に確かめる連絡の下書きまでを用意します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
EC/IT・SaaS/広告
対象部門
営業
対象業務
データ入力・転記/書類作成
主な課題
書類作成に時間がかかる/期限・対応漏れが起きる/確認ミスが多い
AIで行う処理
抽出
主な効果
入力漏れ削減/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
60h/月
AI導入後
20h/月
想定削減
67%
年間削減
480h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 広告主の担当者が運用開始の依頼フォームに回答する
  2. 営業が回答のスプレッドシートを開き、媒体・開始希望日・予算を案件台帳に書き写す
  3. 自由記述を読み、媒体ごとにアカウントがあるか、アカウントIDが書かれているかを確かめる
  4. GA4 と GTM の状態を読み取り、権限の付与を頼むのか、設置から相談するのかを決める
  5. ロゴ・画像・動画・広告文の素材があるか、どこにあるかを読み取る
  6. 足りないものを書き出し、広告主に確かめるメールを一から書く
  7. 運用担当に、権限の付与を待っている媒体と、そろっている媒体を伝える
導入後(After)
  1. 人広告主の担当者が運用開始の依頼フォームに回答する
  2. 自動回答の送信をきっかけに Zap が動き、案件台帳から既存の広告主かを引く
  3. 自動媒体ごとの雛形表を引き、選ばれた媒体で確かめる項目の一覧を作る
  4. 自動AI が自由記述から、媒体ごとのアカウント・計測・素材の状況を項目に抜き出す
  5. 自動項目ごとの状況と雛形表から、依頼リストを機械的に組み立てる
  6. 自動足りない項目があれば、広告主に確かめる連絡の下書きを Gmail に作る
  7. 自動依頼リストを案件台帳に書き込み、担当の営業に知らせる
  8. 人営業が依頼リストと下書きを確かめ、直して広告主へ送る
  9. 人運用担当が、権限の付与を確かめてから作業に入る
各工程の詳しい説明を読む
  1. 広告主の担当者が運用開始の依頼フォームに回答する
  2. 営業が回答のスプレッドシートを開き、媒体・開始希望日・予算を案件台帳に書き写す
  3. 自由記述を読み、媒体ごとにアカウントがあるか、アカウントIDが書かれているかを確かめる
  4. GA4 と GTM の状態を読み取り、権限の付与を頼むのか、設置から相談するのかを決める
  5. ロゴ・画像・動画・広告文の素材があるか、どこにあるかを読み取る
  6. 足りないものを書き出し、広告主に確かめるメールを一から書く
  7. 運用担当に、権限の付与を待っている媒体と、そろっている媒体を伝える

(a)抜けが運用開始の直前に見つかる。 2番から6番は営業が他の商談の合間に行います。GTM の権限を頼み忘れたことが、運用担当がコンバージョンの設定に入る段で分かる、という形が典型です。開始日は広告主と約束しているので、その数日が詰まります。

(b)聞き方が営業ごとにばらばら。 権限の種類をどう伝えるか、どの宛先に付けてもらうかを、営業が自分の過去のメールから写しています。 GA4 は役割の名前で、GTM はコンテナの権限で、Google 広告はアクセスレベルで頼むという違いを、全員が覚えているわけではありません。

(c)書いてあるように見えて、情報が足りない。 「タグは制作会社が入れています」「アカウントは前の代理店のものがあります」。状況は分かるのに、依頼に要るアカウントIDや連絡先が無い回答が多く、読んだ営業が判断を先送りにしたまま次の依頼に移ります。

  1. 【人】 広告主の担当者が運用開始の依頼フォームに回答する
  2. 【自動】 回答の送信をきっかけに Zap が動き、案件台帳から既存の広告主かを引く
  3. 【自動】 媒体ごとの雛形表を引き、選ばれた媒体で確かめる項目の一覧を作る
  4. 【自動】 AI が自由記述から、媒体ごとのアカウント・計測・素材の状況を項目に抜き出す
  5. 【自動】 項目ごとの状況と雛形表から、依頼リストを機械的に組み立てる
  6. 【自動】 足りない項目があれば、広告主に確かめる連絡の下書きを Gmail に作る
  7. 【自動】 依頼リストを案件台帳に書き込み、担当の営業に知らせる
  8. 【人】 営業が依頼リストと下書きを確かめ、直して広告主へ送る
  9. 【人】 運用担当が、権限の付与を確かめてから作業に入る

8番目が、この設計の分かれ目です。 下書きを送るのは営業です。広告主のアカウントの事情は、回答に書かれていないことのほうが多いからです。前の代理店との契約が残っている、社内の別部署が GTM を持っている、といった事情を知っているのは営業だけです。

5番目を雛形表で決めているのも意図してのことです。 AI に任せるのは「回答に何が書かれているか」までで、それを依頼にどう変えるかは表の側に置きます。 権限の種類を AI に選ばせると、媒体ごとに違う呼び名を取り違えます。

02今回想定するシステム構成

構成図
広告主の担当者が Google フォームに回答
   │
   ▼【トリガー】Google Forms:New Form Response
Zapier の Zap
   ├──▶ Google Sheets:Lookup Spreadsheet Row(案件台帳で既存の広告主かを引く)
   ├──▶ Google Sheets:Lookup Spreadsheet Rows(媒体ごとの雛形表を引く)
   ├──▶ AI by Zapier(Analyze and Return Data)
   │       媒体ごとのアカウント・計測・素材の状況を項目に抜き出す
   ├──▶ Formatter:依頼リストの行を組み立てる
   ├──▶ Paths:不足あり/不足なし/読み取れない回答 に分ける
   ├──▶ Gmail:Create Draft(不足を確かめる連絡の下書き)
   └──▶ Google Sheets:案件台帳に依頼リストを書き込む
   ▼【人】営業が下書きを確かめて送る → 運用担当へ
役割想定する製品代替候補
ワークフローZapier(Google Forms、Google Sheets、Paths、Gmail)Make、Power Automate、n8n
生成AIAI by Zapier(Analyze and Return Data)ChatGPT(OpenAI)、Claude、Gemini
保管Google スプレッドシート(案件台帳、媒体ごとの雛形表)Airtable
メールGmail(営業の共有アドレス)Microsoft Outlook

新しく足すのは、Zap と媒体ごとの雛形表だけです。 フォームも案件台帳も、いまのものを使います。広告主の広告アカウントや GA4・GTM には、この構成から一切つなぎません。 権限は広告主の側で付けてもらうもので、代理店から取りに行くものではないからです。

トリガーは Google Forms の New Form Response です。 新しい回答を受け取ったときに動く即時のトリガーで、Zap ごとに見張るフォームを選びます。回答は Google スプレッドシートに保存されている必要があります。 フォームの回答先をスプレッドシートにつないでおくのが前提です。

AI の処理は AI by Zapier の Analyze and Return Data で行います。 指示を書き、返してほしい項目を名前・型・説明・必須かどうかで定義すると、その形で値を返します。「Return a list of results」を有効にすると、オブジェクトの配列で返せます。媒体ごとに1要素ずつ返させるのに使います。Zapier が用意するモデル(Standard・Advanced・Premium)のほか、OpenAI、Anthropic、Google Gemini、Azure OpenAI、Amazon Bedrock の自前のAPIキーを使う設定もできます。AI by Zapier は Professional・Team・Enterprise のプランで使えます。

依頼の宛先になる権限の種類は、媒体ごとに呼び名が違います。 Google 広告は「アクセスとセキュリティ」からメールアドレスとアクセスレベルを選んで招待し、GTM はアカウントの権限(管理者・ユーザー)とコンテナの権限(読み取り・編集・承認・公開)を分けて付け、GA4 は役割(管理者・編集者・マーケティング担当者・アナリスト・閲覧者)とデータ制限で付けます。この違いを雛形表の列に持たせます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

フォームの回答が送信されたことを起点にします。 Google Forms の New Form Response は即時に動くので、広告主が送った直後に依頼リストができます。営業が回答に気づくのを待たずに、案件台帳に行が増えます。

1日1回まとめて処理する形にはしません。運用開始の依頼は、開始日から逆算して日数が少ないものほど急ぎだからです。朝まで待つと、権限の付与を頼む日が1日遅れます。

回答の修正は別に扱います。 New or Updated Form Response という、回答が追加または変更されたときに動くトリガーもありますが、本記事では使いません。同じ回答の修正で依頼リストが二重にできるためです。広告主が回答を直したいときは、営業に連絡してもらい、営業が台帳を直します。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
フォームの回答会社名、担当者、連絡先、開始希望日、選んだ媒体、アカウントの状況(自由記述)、計測の状態(自由記述)、素材の状況(自由記述)、LPのURLGoogle フォーム
案件台帳既存の広告主か、取引中の媒体、付与済みの権限、担当の営業案件台帳(スプレッドシート)
媒体ごとの雛形表媒体名、確かめる項目、頼む権限の種類、招待先のメールアドレス、依頼の文言、素材の規定の参照先雛形表(スプレッドシート)

質を決めるのは、2つ目と3つ目です。 案件台帳に付与済みの権限が無ければ、媒体追加の依頼ですでにある権限をもう一度頼むことになります。雛形表に招待先のメールアドレスが無ければ、依頼の下書きに宛先が入りません。

フォームの設問は、自由記述を3つに分けておきます。 アカウント・計測・素材を1つの欄に書かせると、どの媒体のどの話かを AI が取り違えます。設問を分けるだけで、抜き出しの誤りの多くが消えます。

Step3

データの取得方法を決める

フォームの回答はトリガーがそのまま渡します。案件台帳と雛形表は、Google Sheets の検索のアクションで引きます。

取るものどこからどう引くか
既存の広告主か案件台帳Lookup Spreadsheet Row で会社名を検索。補助の検索列に担当者のメールアドレスのドメインを指定する
選んだ媒体の雛形雛形表Lookup Spreadsheet Rows で、媒体ごとに行を引く(最大500行)
付与済みの権限案件台帳の該当行既存の広告主のときだけ、媒体ごとの列を読む

会社名だけで引かないでください。 「株式会社」の前後や略称で一致しないことが多いからです。Lookup Spreadsheet Row は補助の検索列と値を指定して、両方に一致する行だけを探せます。 メールのドメインを補助に使うと、同名の別会社も避けられます。

一致する行が無かったときの動きは、ステップの設定で決めます。 本記事では、一致しなければ新規の広告主として扱い、行を作らずに先へ進めます。 新規の行は、最後の書き込みの段で作ります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 媒体の選択肢を正規化する … フォームの複数選択の値を、雛形表の媒体名と同じ表記に直します(Formatter の置換)
  2. 自由記述の空欄を印にする … 3つの欄のうち空のものに「記載なし」を入れ、空欄であることを AI に明示的に渡します
  3. URL を文字列のまま扱う … LPのURLは開きません。AI by Zapier は URL から情報を取ってこられないためです
  4. 開始希望日から残り日数を出す … 今日からの営業日数を計算し、急ぎの印を付けます
  5. 媒体追加の依頼かを決める … 案件台帳に一致した行があれば、付与済みの権限の列を AI への入力に加えます
  6. 重複の検知 … 同じ会社・同じ媒体の依頼が直近7日にあれば、二重送信として印を付けます

2番目を省かないでください。 空の欄をそのまま渡すと、AI は他の欄から推し量って埋めにいきます。「記載なし」と書いて渡すと、not_stated として返ってきます。

3番目は、仕様として知っておく点です。 AI by Zapier はウェブサイトや URL から情報を検索・抽出できないとされています。LPにタグが入っているかを見たいなら、それは別の仕組みの仕事です(UC-0489)。

Step5

AIに処理させる

させるのは、媒体ごとに、アカウント・計測・素材の状況を決まった区分で抜き出すことだけです。

見るもの抜き出す値区分
広告アカウントアカウントの有無、アカウントID、持ち主(広告主/前の代理店/不明)ready / exists_no_id / not_created / not_stated
計測(GA4)導入の有無、プロパティを管理している人(広告主/制作会社/不明)ready / exists_no_owner / not_installed / not_stated
計測(GTM)導入の有無、コンテナを管理している人同上
コンバージョン計測したい成果(購入・問い合わせ・資料請求など)の記載stated / not_stated
素材ロゴ・画像・動画・広告文の有無と、置き場所ready / partial / none / not_stated

区分の右端 not_stated が、この構成でいちばん大事な値です。 「書かれていない」は広告主に聞けば済みますが、「無い」は設置や制作から相談が要ります。not_stated を not_created や none に寄せると、依頼の中身が変わります。

exists_no_id と exists_no_owner も同じ考え方です。 「ある」とは書かれているが、依頼に要る情報が無い状態で、第3章の(c)そのものです。この区分があることで、聞き返すべき具体的な項目が決まります。

させないこと理由
頼む権限の種類を決める媒体ごとに呼び名が違う。雛形表から引く
アカウントIDを補う・直す桁や区切りを整えると、別のアカウントを指す
計測の状態を推し量る「LPがある」から「GTM がある」を導かない
開始日に間に合うかの判断媒体の審査や広告主の社内手続きによる。営業が決める
広告主への送信下書きまで。送るのは営業

3行目がいちばん起きやすい失敗です。 「制作会社がサイトを作っています」という回答から、GTM も制作会社が持っていると書いてしまいます。それらしいが確かめていない値が、依頼の宛先になってしまいます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは広告代理店の営業部で、新しい広告主の運用開始の依頼を受け付ける立場です。
フォームの回答に書かれていることだけを、媒体ごとに項目へ抜き出してください。
書かれていないことを推測で埋めないでください。

【媒体ごとに抜き出す項目】
1. account_status:広告アカウントの状況
   ready / exists_no_id / not_created / not_stated
2. account_id:回答に書かれたアカウントIDをそのまま写す。無ければ空
3. account_owner:advertiser / previous_agency / unknown
4. ga4_status・gtm_status:ready / exists_no_owner / not_installed / not_stated
5. conversion:計測したい成果として書かれた語をそのまま。無ければ空
6. assets_status:ready / partial / none / not_stated
7. assets_note:素材の置き場所や、足りないと書かれた素材

【区分の選び方】
- 「記載なし」と渡された欄は、その欄の項目をすべて not_stated にしてください。
- 「ある」と書かれていてもIDや管理者が書かれていなければ、
  exists_no_id または exists_no_owner にしてください。ready にしないでください。
- 「まだ無い」「これから作る」とはっきり書かれているときだけ、
  not_created・not_installed・none を選んでください。
- 迷ったときは ready を選ばないでください。

【厳守事項】
- アカウントIDは書かれた文字列をそのまま写してください。
  桁を補う、ハイフンを足す・消す、それらしい形に直すことをしないでください。
- ある媒体について書かれたことを、別の媒体に当てはめないでください。
- サイトやLPがあることから、GA4 や GTM があると判断しないでください。
- 頼む権限の種類(管理者・編集など)は書かないでください。
- 開始日に間に合うかどうかは書かないでください。
- evidence には、判定の根拠にした回答の文をそのまま写してください。

【選ばれた媒体】{media_list}
【アカウントの状況】{answer_account}
【計測の状態】{answer_measurement}
【素材の状況】{answer_assets}
【付与済みの権限(既存の広告主のみ)】{granted}

「ready を選ばないでください」を2か所に書いているのには理由があります。 回答の多くは前向きな書き方で、「入っています」「用意できます」とあります。何も言わなければ、その語感を根拠に ready を選びます。 依頼に要る情報がそろっているかで決める、と明記します。

「別の媒体に当てはめない」も要ります。 「アカウントはあります」と1回だけ書かれた回答で、選ばれた3媒体すべてを ready にする誤りが出るからです。

Step7

出力形式を固定する

Analyze and Return Data の出力項目を定義し、「Return a list of results」を有効にして、媒体ごとに1要素の配列で受け取ります。

[
  {
    "medium": "Google 広告",
    "account_status": "ready | exists_no_id | not_created | not_stated",
    "account_id": "",
    "account_owner": "advertiser | previous_agency | unknown",
    "ga4_status": "ready | exists_no_owner | not_installed | not_stated",
    "gtm_status": "ready | exists_no_owner | not_installed | not_stated",
    "conversion": "",
    "assets_status": "ready | partial | none | not_stated",
    "assets_note": "",
    "evidence": ""
  }
]

1つ目の理由は、区分の値で Paths を分けられることです。 not_stated・exists_no_id・exists_no_owner が1つでもあれば「不足あり」、すべて ready か「無い」がはっきりしていれば「不足なし」です。自由文で返させると、この分岐が書けません。

2つ目は、依頼リストを雛形表と掛け合わせて作れることです。 区分ごとに、雛形表の文言を当てはめます。

区分依頼リストに載せる行
account_status が ready雛形表の「頼む権限の種類」と「招待先」で、権限の付与を頼む行
exists_no_idアカウントIDを教えてもらう行
not_createdアカウントの開設を誰が行うかを相談する行
gtm_status が exists_no_ownerコンテナを管理している人を教えてもらう行
not_statedその項目を聞き返す行

3つ目は、evidence で営業の確認が速くなることです。 回答のどの文からその区分にしたかが並ぶので、回答全文を読み直さずに確かめられます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Google フォームZapier のトリガー(New Form Response)回答の送信を検知する
案件台帳Google Sheets の検索と行の追加・更新既存の広告主を引き、依頼リストを書き込む
雛形表Google Sheets の検索(Lookup Spreadsheet Rows)媒体ごとの権限の種類・招待先・文言を引く
AI by ZapierZap のステップ媒体ごとの状況の抜き出し
GmailCreate Draft不足を確かめる連絡の下書き

メールは Create Draft にします。 Gmail のアクションには Send Email もありますが、送信は営業が下書きを確かめてからにします。広告主にとっては代理店からの最初の実務の連絡で、宛先や敬称の誤りがそのまま印象になります。

案件台帳への書き込みは、依頼リストの列だけにします。 契約や予算の列には書き込みません。既存の広告主の行は Update Spreadsheet Row で更新しますが、1回の実行で更新できるのは1行です。 媒体ごとの行は、依頼リスト用のシートに追加する形にします。

Step9

人が確認する

営業が見るのは、依頼リストと下書きの2つです。

  1. 急ぎの印から見る … 開始希望日までの営業日が少ないものを先に開きます
  2. evidence と区分を見比べる … とくに ready の行を見ます。ready と出ていても、依頼に要るIDや管理者が本当に書かれているかを確かめます
  3. 営業だけが知る事情を足す … 前の代理店との契約、広告主の社内の担当の違いなどを下書きに書き足します
  4. 送る … 下書きを直して送ります。送信は営業が行います
  5. 区分を直したら記録する … どの項目を、どの区分からどの区分へ変えたかを台帳の列に残します

2番目で ready を見るのには理由があります。 not_stated の誤りは広告主に聞けば分かりますが、ready の誤りは権限の付与を待つ段で初めて分かります。 運用開始の直前に詰まる、第3章の(a)の形に戻ってしまいます。

運用担当は、権限が付いたことを自分で確かめてから作業に入ります。 依頼リストは「頼んだ」記録で、「付いた」記録ではありません。

Step10

例外に対処する

起きること対応
自由記述がすべて空AI を呼ばずに、全項目を聞き返す雛形の下書きを作る
雛形表に無い媒体が選ばれた依頼リストを作らずに営業へ知らせる。雛形表に行を足してから再実行
案件台帳で同名の会社が複数ある補助の検索列で絞れなければ、新規として扱わず営業へ確認を回す
二重送信同じ会社・媒体の依頼が直近7日にあれば、下書きを作らずに印だけ付ける
AI の応答が返らない・内容の規定で止まる回答の行に「未処理」と印を付け、Zap の履歴から再実行する
アカウントIDの形が媒体の形式と違う区分を exists_no_id に落とし、IDを確かめる行を依頼リストに足す
前の代理店がアカウントを持っているprevious_agency。権限の移し方は営業が広告主と相談する
開始希望日がすでに過ぎている急ぎの印を付け、日付を確かめる行を依頼リストの先頭に置く

6行目は、Formatter で桁数と区切りの形を見るだけで検知できます。 AI に直させるのではなく、形が合わないことを事実として依頼リストに載せます。

Paths は左から順に確かめられ、規則に合う枝は複数動きうるとされています。不足あり/不足なし/読み取れない回答の3つの枝の条件を、互いに重ならないように書きます。 どれにも当たらないものは Fallback の枝で営業に回します。

Step11

記録を残す

  • フォームの回答の全文と、受け取った日時
  • AI の出力(媒体ごとの区分と evidence)と、そのとき引いた雛形表の行
  • 依頼リストの各行と、下書きを作った日時
  • 営業が区分を直した記録 … どの項目を、どの区分からどの区分へ変えたか
  • 広告主へ送った日時と、権限の付与を確かめた日時
  • 媒体ごとの、依頼から付与までにかかった日数

2つ目で「そのときの雛形表の行」を残すのは、権限の種類の取り決めが後から変わるためです。 たとえば GA4 で頼む役割を変えたとき、過去の依頼がどちらの取り決めで出たかが分からないと、付与の状況を見直す範囲が決まりません。

最後の行は、媒体ごとの段取りの見直しに使います。 特定の媒体だけ付与までの日数が長いなら、依頼の文言か、招待の手順の伝え方に理由があります。

04実装レベルの3段階

最小構成:回答を手でAIの画面に貼り、媒体ごとの区分を出させる / 1件ごとの状況の整理
半自動化:上記+フォームの送信で Zap が動き、雛形表から依頼リストを作り、Gmail に下書きを作る / 整理・依頼リスト・下書き
本格構成:上記+権限の付与を確かめた結果を運用担当が台帳に返し、付与が遅れている依頼を毎朝営業に知らせる / 依頼から付与の確認までの追跡

本記事の想定は半自動化です。 1件45分のうち、回答の読み取り・状況の整理・依頼リストと下書きの作成が自動になり、営業に残るのは確かめと書き足しと送信です。 本格構成で足すのは、付与の追跡です。 頼んだ権限が付いたかを運用担当が台帳に返し、開始希望日が近いのに付いていない依頼だけを毎朝知らせます。 Zapier の Schedule で毎朝台帳を引く形が考えられます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
4 名
月間件数
80 件
1件あたり現在時間
45 分
1件あたり導入後時間
15 分
現在  80件 × 45分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 80件 × 15分 ÷ 60 = 20 時間/月
月間削減時間
40h
削減率
67%
年間削減時間
480h
年間金額換算(時間単価3,500円)
168万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 運用型広告を扱う広告代理店で、新しい広告主の受注や既存の広告主の媒体追加が毎月数十件あり、そのたびに営業が広告アカウントの権限・計測タグ・素材を広告主に聞いて回っている場合。運用開始の依頼を Google フォームで受け付けている、または受け付ける形に変えられる場合。依頼の雛形を媒体ごとに表にできる場合。Zapier の有料プランを使える場合。
向いていない
  1. 運用開始の依頼が月に数件で、営業が1件ずつ聞き取って足りる場合。広告主ごとの契約形態が大きく異なり、媒体ごとの依頼の雛形を決められない場合。広告アカウントを代理店側で開設・保有する運用に統一している場合。なお、広告主のアカウントへの権限の付与そのもの、計測タグの設置作業、配信の設計と媒体の審査への対応は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 過去3か月の運用開始の依頼から20件を選ぶ(うち数件は、後から権限の頼み忘れが分かったものを入れる)
  2. その20件について、当時の営業が送った最初のメールを集める
  3. 回答の自由記述3欄を、手元のAIサービスの画面に1件ずつ貼り付ける
  4. 「媒体ごとに、広告アカウント・GA4・GTM・素材の状況を、ready/ある が情報不足/無い/書かれていない の4つに分けてください。書かれていないことを推測しないでください。根拠にした文をそのまま写してください」と指示する
  5. 出てきた区分を、当時のメールで聞き返した項目と突き合わせる

20件は必ずやってください。 Zap を組む前に、「回答の書き方で区分が決められるのか」を確かめます。

出てきた内容判断
当時聞き返した項目が「書かれていない」と出たZap の組み立てに進む
書かれていないものを「ある」にした指示の書き方で直る。構成は有効
媒体を取り違えた区分が多いフォームの設問を分けるのが先。 AI の問題ではない

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
「入っています」だけで ready になるIDや管理者が書かれていなければ ready にしないと指示に明記する
ある媒体の記述を全媒体に当てはめる「別の媒体に当てはめない」を明記し、設問を分ける
空欄を他の欄から推し量って埋める前処理で「記載なし」と書いて渡す
アカウントIDの区切りを整えて写すそのまま写させ、形の検査は Formatter で行う
権限の種類の呼び名を取り違えるAI に選ばせない。 雛形表の列から引く
案件台帳で会社が引けない補助の検索列にメールのドメインを使う
回答の修正で依頼リストが二重になるNew or Updated Form Response を使わない
Paths の枝が2つ同時に動く枝の条件を互いに重ならないように書く
LPのURLからタグの有無を見ようとするAI by Zapier は URL から情報を取れない。別の仕組みに分ける
下書きが自動で送られるCreate Draft にする。 送信は営業

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、回答の前向きな書き方に AI が引きずられることから出ています。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 広告主の会社名、担当者の氏名とメールアドレス、広告アカウントのID、計測の状況、開始希望日と予算、素材の置き場所です。

  1. AI に渡す範囲を、区分の抜き出しに要る欄に限る … 予算や担当者の連絡先は区分の判断に要りません。AI by Zapier のステップには自由記述3欄と媒体の一覧だけを渡し、それ以外はワークフローの側で扱います
  2. 広告主のアカウントの権限を、代理店が要る分だけ頼む … GTM のコンテナには読み取り・編集・承認・公開の段階があり、GA4 には役割とデータ制限(費用指標・収益指標を見せない設定)があります。雛形表の権限の種類は、運用に要る最小のものにします。 広い権限を頼む雛形は、広告主の側の管理を難しくします
  3. 連絡を自動で送らない … 出すのは下書きまでです。宛先の誤りは、別の広告主にアカウントの情報を送る事故になります
  4. 自前のAPIキーを使うなら、契約の取り扱いを確かめる … AI by Zapier は Zapier が用意するモデルのほか、OpenAI・Anthropic・Google Gemini などのキーを使えます。どちらを使うかで、データの扱いの契約の相手が変わります
  5. 権限の付与を確かめるのは人 … この構成は「頼んだ」までを記録します。付いたかどうか、付きすぎていないかは運用担当が管理画面で確かめます

誤りが起きた場合のリスクは、頼み忘れて運用開始が遅れることと、必要以上の権限を頼むことの2つです。 前者は ready の誤りから、後者は雛形表から起きます。

10まず何から始めるか

1週目:媒体ごとの雛形表を作る

扱っている媒体ごとに、確かめる項目、頼む権限の種類、招待先のメールアドレス、依頼の文言を1枚の表にします。Google 広告・GA4・GTM の権限の種類は、運用担当と一緒に決めます。営業が過去に送ったメールから文言を集めると早く進みます。

2週目:20件で試す

過去の依頼から20件を選び、手元のAIサービスに自由記述を貼り付けて区分を出させます。当時聞き返した項目と突き合わせ、書かれていないものを ready にしていないかを最優先で見ます。

3週目:フォームの設問を分ける

自由記述をアカウント・計測・素材の3欄に分けます。あわせて、案件台帳に付与済みの権限の列を足します。既存の広告主のうち、取引の多い上位から埋めます。

4週目:Zap をつなぐ

New Form Response から AI by Zapier、Gmail の Create Draft までをつなぎます。この時点では依頼リストを台帳に書き込まず、下書きと区分の一覧だけを営業が見ます。

2か月目: 雛形表との掛け合わせと Paths を足し、依頼リストを台帳に書き込みます。ready を営業が直した件数を毎週数えます。3か月目以降: 1件45分が何分になったかを実測し、媒体ごとに依頼から付与までの日数を見て、雛形表の文言を直した時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
Google Forms のトリガーに New Form Response(新しい回答で動く即時のトリガー)と New or Updated Form Response があること。回答が Google スプレッドシートに保存されている必要があること。API の利用上限があることZapier Help: Google Forms2026-10-08
Analyze and Return Data で出力の項目を名前・型・説明・必須で定義できること。Return a list of results で配列を返せること。Standard(1タスク)・Advanced(3倍)・Premium(5倍、新しいステップの既定)のモデルがあること。OpenAI・Anthropic・Google Gemini・Azure OpenAI・Amazon Bedrock の自前のキーを使えること。Professional 以上のプランで使えること。ウェブサイトや URL から情報を検索・抽出できないことZapier Help: Use AI by Zapier to analyze and return data2026-10-08
Paths が規則に応じて別のアクションを動かすこと。1つのグループに最大10本で、左から順に確かめられること。Fallback の枝があること。条件を互いに重ならないように書くことが勧められていること。Professional 以上のプランで使えることZapier Help: Add branching logic to Zap workflows with Paths2026-10-08
Lookup Spreadsheet Row が検索列と値に加えて補助の検索列と値で絞れること。一致しないときの動きを決められること。Update Spreadsheet Row が1回の実行で1行を更新すること。Lookup Spreadsheet Rows で最大500行を取れることZapier Help: Find and update spreadsheet rows in Google Sheets2026-10-08
Gmail のアクションに Send Email と Create Draft があること。送信の上限があることZapier Help: How to get started with Gmail on Zapier2026-10-08
Google 広告で、管理者メニューの「アクセスとセキュリティ」から、メールアドレスとアクセスレベルを選んで招待することGoogle 広告ヘルプ: Google 広告アカウントへのアクセス権を管理する2026-10-08
GTM のアカウントの権限が管理者・ユーザー、コンテナの権限がアクセス権なし・読み取り・編集・承認・公開であること。それぞれでできることタグ マネージャー ヘルプ: ユーザーと権限の管理2026-10-08
GA4 の役割が管理者・編集者・マーケティング担当者・アナリスト・閲覧者であること。データ制限で費用指標・収益指標を見せない設定があることアナリティクス ヘルプ: アクセス権とデータ制限の管理2026-10-08

各媒体で頼む権限の種類は、代理店と広告主の取り決めによります。 本記事の雛形表は例で、上記の公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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