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運送会社に届く法人の輸送見積の依頼をフォームとメールから拾い、運賃表で概算を出して、返信の下書きと足りない条件の確認を作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

法人の荷主からフォームとメールで届く輸送の見積依頼から、発着地・荷姿・重量・日時を取り出し、自社の運賃表と料金表で概算を出します。返信の下書きと、足りない条件を聞き返す文を添えて営業の担当に渡します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
商社/物流/製造
対象部門
営業
対象業務
データ入力・転記/書類作成
主な課題
入力作業が多い/営業フォローが追いつかない/属人化している
AIで行う処理
生成
主な効果
対応スピード向上/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
100h/月
AI導入後
40h/月
想定削減
60%
年間削減
720h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 見積窓口のアドレスとフォームの通知を担当者が開き、依頼を読む
  2. 発地・着地・日付・時間の指定・荷物の中身・荷姿・個数・重量を、手元のメモに書き出す
  3. 足りない条件があれば、荷主へ聞き返すメールを書いて送り、返事を待つ
  4. 条件がそろったら、運賃表で区間を探し、重量と荷姿から車格を決めて運賃を引く
  5. 料金表から、荷役・時間指定・休日割増などの該当する料金を拾って足す
  6. その月の燃料サーチャージの率を掛け、高速道路の利用料の扱いを書き添える
  7. 見積の金額と条件を書いた返信のメールを作り、送る
  8. 受付の一覧に、荷主・区間・金額・返信日を書き込む
導入後(After)
  1. 自動フォームの送信、または見積窓口のメールに付いたラベルをきっかけに Zap が動く
  2. 自動AI by Zapier が依頼の文面から発着地・日時・荷物・荷姿・個数・重量・付帯作業を取り出し、書かれていない条件を一覧にする
  3. 自動都道府県から地域コードを引き、区間と車格を表で決める
  4. 自動Paths で、概算を出せる依頼/聞き返しが要る依頼/特殊な条件の依頼に分ける
  5. 自動概算を出せる依頼は、運賃表と料金表を引いて、運賃・料金・燃料サーチャージを計算する
  6. 自動AI by Zapier が、計算済みの金額と前提条件を組み込んだ返信の文案を作り、Gmail の下書きにする
  7. 自動聞き返しが要る依頼は、足りない条件だけを尋ねる返信の下書きを作る
  8. 自動特殊な条件の依頼は、営業課の担当者へ転送する
  9. 人担当者が下書きを開き、配車システムで車両の空きを確かめ、条件と金額を直して送る
  10. 人受付の一覧で、返信済みと荷主の返事待ちを確かめる
各工程の詳しい説明を読む
  1. 見積窓口のアドレスとフォームの通知を担当者が開き、依頼を読む
  2. 発地・着地・日付・時間の指定・荷物の中身・荷姿・個数・重量を、手元のメモに書き出す
  3. 足りない条件があれば、荷主へ聞き返すメールを書いて送り、返事を待つ
  4. 条件がそろったら、運賃表で区間を探し、重量と荷姿から車格を決めて運賃を引く
  5. 料金表から、荷役・時間指定・休日割増などの該当する料金を拾って足す
  6. その月の燃料サーチャージの率を掛け、高速道路の利用料の扱いを書き添える
  7. 見積の金額と条件を書いた返信のメールを作り、送る
  8. 受付の一覧に、荷主・区間・金額・返信日を書き込む

(a)条件をそろえるのに時間がかかる。 2番目の書き出しは、フォームから来た依頼なら数分で済みますが、メールの依頼は本文と添付の明細を行き来しながら拾うことになります。「パレット6枚、1枚あたり約500kg」と「総重量3t」のように、同じ荷物が別の書き方で2回書かれていると、どちらを使うかで車格が変わります。

(b)聞き返しが遅れて、返信がさらに遅れる。 夕方に届いた依頼は翌朝に開かれ、聞き返しが昼に届き、荷主の返事が夕方に来る。見積まで丸1日以上かかる流れが、条件の欠けた依頼のたびに起きます。

(c)運賃と料金の組み立てが担当者ごとに違う。 手積み・手降ろしの荷役料を入れるか、着時間の指定を料金として取るか、待機を見込むかは、担当者が依頼の文面から判断しています。同じ荷主の同じ区間で、担当によって見積の金額が違うということが起き、荷主から理由を聞かれても説明できません。

  1. 【自動】 フォームの送信、または見積窓口のメールに付いたラベルをきっかけに Zap が動く
  2. 【自動】 AI by Zapier が依頼の文面から発着地・日時・荷物・荷姿・個数・重量・付帯作業を取り出し、書かれていない条件を一覧にする
  3. 【自動】 都道府県から地域コードを引き、区間と車格を表で決める
  4. 【自動】 Paths で、概算を出せる依頼/聞き返しが要る依頼/特殊な条件の依頼に分ける
  5. 【自動】 概算を出せる依頼は、運賃表と料金表を引いて、運賃・料金・燃料サーチャージを計算する
  6. 【自動】 AI by Zapier が、計算済みの金額と前提条件を組み込んだ返信の文案を作り、Gmail の下書きにする
  7. 【自動】 聞き返しが要る依頼は、足りない条件だけを尋ねる返信の下書きを作る
  8. 【自動】 特殊な条件の依頼は、営業課の担当者へ転送する
  9. 【人】 担当者が下書きを開き、配車システムで車両の空きを確かめ、条件と金額を直して送る
  10. 【人】 受付の一覧で、返信済みと荷主の返事待ちを確かめる

9番目が、この設計の分かれ目です。 下書きは送られず、車両の空き、値引き、引き受けるかどうかは担当者が決めます。

4番目で特殊な条件を早めに外すのも意図してのことです。 危険物や温度管理の輸送は、運賃表の区間と車格では金額が決まりません。

02今回想定するシステム構成

構成図
見積依頼(Webのフォーム/見積窓口へのメール)
   │  フォームは Webhook で送る/メールは Gmail のフィルタでラベルを付ける
   ▼【トリガー】Catch Hook / New Labeled Email
Zapier(Zap:経路ごとに1本ずつ、後段の手順は同じ)
   ▼
AI by Zapier(1回目:条件の取り出しと、足りない条件の一覧)
   ▼
Formatter ── Lookup Table(都道府県 → 地域コード)
   ▼
Formatter ── Spreadsheet-Style Formula(重量・パレット枚数 → 車格)
   ▼
Paths
   ├── A:概算を出せる
   │      ▼ Google Sheets ── 運賃表を区間と車格で引く/料金表と燃料サーチャージの率を引く
   │      ▼ Formatter ── 運賃・料金・サーチャージ・合計の計算
   │      ▼ AI by Zapier(2回目:返信の文案)→ Gmail の下書き
   ├── B:足りない条件がある → AI by Zapier(聞き返しの文案)→ Gmail の下書き
   └── C:特殊な条件 → 営業課の担当者へ転送
   ▼
【担当者が車両の空きを確かめ、直して送る】
役割想定する製品代替候補
ワークフローZapier(Webhooks by Zapier、Gmail、Formatter、Paths、Google Sheets)Make、Power Automate、n8n
生成AIAI by Zapier(Analyze and Return Data)ChatGPT(OpenAI)、Claude、Gemini
保管Google スプレッドシート(運賃表、料金表、地域の表、受付の一覧)Airtable
メールGmail(見積窓口の共有アドレス)Microsoft Outlook

フォーム、アドレス、運賃表と料金表は今あるものを使います。 足すのは Zap と、地域コードの表、車格の目安の表の2つです。配車システムには触れません。

土台になるのは、Zapier の AI by Zapier です。 Zap に生成AIの手順を足す組み込みの道具で、返してほしい項目を出力のフィールドとして定義できます。 使えるのは Professional・Team・Enterprise のプランで、モデルの段階によって使うタスクの数が変わります(Standard は1倍、Advanced は3倍、Premium は5倍。新しい手順の既定は Premium)。条件の取り出しのような単純で件数の多い仕事は、Standard で足りるかを先に試します。

金額の計算と車格の決定には Formatter の Spreadsheet-Style Formula(前の手順の値を差し込んだ式)を、地域コードへの置き換えには Lookup Table を使います。どちらも Professional 以上の機能です。

経路ごとに Zap を1本ずつ作るのは、Zap のトリガーが1つだからです。 2本目は1本目を複製し、トリガーだけを差し替えます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

フォームの送信は、Webhooks by Zapier の Catch Hook で受けます。 フォームの送信先に Zapier が発行する URL を設定すると、送信のたびに中身が届き、Catch Hook がそれを項目ごとのフィールドに分けて次の手順へ渡します。Webhook のトリガーは Free プランでは使えず、Professional 以上が必要です。

メールは、Gmail の New Labeled Email で受けます。 見積窓口のアドレスに届いたメールのうち、件名や送信元で見積依頼と分かるものに Gmail のフィルタでラベルを付け、そのラベルが付いたことを起点にします。 Gmail のトリガーはすべて一定の間隔で新着を確かめる方式(Polling)です。New Email は検知の範囲が直近1時間に限られますが、New Labeled Email には検知の時間の制限がありません。 ラベルを後から手で付けた依頼も拾えるので、フィルタから漏れたメールを担当者が拾い直せます。

1件ごとに動かします。 夕方に届いた依頼も、その場で下書きまで作っておけば、翌朝の担当者は空きを確かめて送るだけになります。 聞き返しの要る依頼は、夜のうちに聞き返しの下書きができているので、朝いちばんに送れば、荷主の返事がその日のうちに届きます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
見積依頼会社名、担当者、連絡先、発地・着地の住所、積み・降ろしの日時、荷物の中身、荷姿、個数、重量、付帯作業、自由記入フォーム(Webhook)/メールの本文と件名(Gmail)
地域の表都道府県(必要なら市区町村)と、自社の運賃表の地域コードの対応Formatter の Lookup Table
車格の目安車格ごとの積載重量とパレット枚数の上限(自社で決めた目安)Google スプレッドシート(設定のシート)
運賃表発地の地域コード・着地の地域コードの組み合わせごとの、車格別の貸切運賃Google スプレッドシート
料金表荷役(手積み・手降ろし)、時間指定、待機、休日の割増の単価と条件Google スプレッドシート
燃料サーチャージその月の率Google スプレッドシート(設定のシート)

質を決めるのは、車格の目安と料金表の「条件」の列です。 「2t車はパレット4枚・2,000kgまで」のような目安が担当者の頭の中にしか無いと、車格の決め方が担当者ごとに分かれたまま自動化されます。料金表の各行にも、「依頼にどう書かれていたらこの料金を入れるか」を文で書いておきます。 「手積み」「バラ積み」「パレットなし」と書かれていたら荷役料、「午前着」「10時必着」なら時間指定料、という対応です。ここを書き起こすことが、第3章(c)の担当者による違いをそろえる作業そのものです。

燃料サーチャージの率は、設定のシートの1か所にだけ置きます。 毎月の更新を忘れると、全部の見積が先月の率で出ます。率の横に「適用する月」の列を置き、Zap の側でその月と一致するかを確かめます。

Step3

データの取得方法を決める

都道府県から地域コードへの置き換えは、Formatter の Lookup Table で行います。左の列に都道府県、右の列に地域コードを並べ、AIが取り出した都道府県をキーにして引きます。見つからなかったときに使う値(fallback)を設定できるので、UNKNOWN を返すようにしておきます。 ただし、キーの欄が空のまま Zap が動くと、一致は起きず、fallback の値も使われません。 都道府県が取り出せなかった依頼は、その手前で聞き返しの扱いに回しておきます。キーは大文字と小文字を区別するので、表のほうは表記をそろえておきます。

運賃表を引くのは、Google Sheets の Lookup Spreadsheet Row の手順です。検索する列(Lookup Column)に発地の地域コード、補助の検索列(Supporting Lookup Column)に着地の地域コードを指定すれば、2つの条件で1行を引けます。 引いた行の、決まった車格の列が運賃です。

取るものどこから何に使うか
地域コードLookup Table(都道府県をキーに)運賃表の区間を決める
区間の運賃運賃表を発地・着地の地域コードで検索車格の列から運賃を取る
料金の単価料金表を料金の記号で検索荷役・時間指定・休日割増の計算
燃料サーチャージの率設定のシート運賃に掛ける

見つからなかったときの動きは設定で決められます。 行を作る設定にはせず、見つからなかったことを次の手順へ渡します。区間が運賃表に無い依頼は、表で決まらない依頼です。 担当者へ回します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 重量の単位をそろえる … 「3t」「3,000kg」「3トン」をkgの数値に直し、1枚あたりと総重量が両方書かれていれば両方を残します
  2. 個数と荷姿をそろえる … 「パレット6枚」「6PL」「6パレ」を同じ書き方に直します
  3. 日付と曜日の確かめ … 「10月20日(月)」の曜日が合わないときは、どちらが正しいかを聞き返す事項にします
  4. 過去の日付と当日の依頼 … 過去の日付や、受付の当日・翌日の積みは概算を出さず、担当者へ回します
  5. 重複の確認 … 同じ送信元から24時間以内に同じ区間・同じ日付の依頼が届いていれば、二度目は下書きを作りません
  6. 継続の荷主の振り分け … 継続契約の荷主から届いた依頼は、契約の運賃で出すため、担当者へ回します

1番目で両方を残すのは、第3章(a)の食い違いを見つけるためです。 1枚あたりの重量×枚数と総重量が合わなければ、どちらかを選ばずに聞き返す事項にします。 車格が変わる食い違いを、AIや計算の手順が勝手に片付けないようにします。

6番目は見落とされやすい項目です。 継続の荷主には契約で決めた運賃があり、運賃表の標準の金額で概算を出すと、契約より高い見積が届いて問い合わせになります。 送信元のドメインを継続の荷主の一覧と照らし、一致すれば担当者へ回します。

Step5

AIに処理させる

AI by Zapier の手順を2回に分け、それぞれ1つの仕事だけをさせます。

回させること返すもの
1回目依頼の文面から条件を取り出し、足りない条件と特殊な条件を挙げる発着地、日時、荷物、荷姿、個数、重量、付帯作業、足りない条件の一覧、特殊な条件の有無
2回目計算済みの金額と前提条件を組み込んだ返信の文案を作る件名、本文

金額を出す前に、条件がそろっているかを1回目で決めます。 概算を出すのに欠かせない条件は、発地の都道府県と市区町村、着地の都道府県と市区町村、積みの日付、重量(総重量か1個あたり×個数)、荷姿と個数の5つです。1つでも欠けていれば、missing に挙げて聞き返しに回します。付帯作業(荷役・時間指定)が書かれていない場合は、欠けとせず「入っていない前提」で見積を出し、その前提を返信に書きます。

させないこと理由
金額の計算運賃表と料金表を引いた計算の手順が行う。AIが作った金額は表と合わない
車格の決定目安の表と式で決める。AIに任せると担当者ごとの違いがAIの気まぐれに置き換わるだけ
書かれていない重量・荷姿の推測「機械1台」から重量を推し量らない。聞き返す
車両の空きの約束配車システムを見て担当者が確かめる
値引き・特別料金の提示担当者と上長が決めること

3行目がいちばん起きやすい失敗です。 「工作機械1台」と書かれた依頼を渡すと、AIは一般的な重さを推し量って重量の欄を埋めます。埋まった重量で車格が決まり、その車格で見積が出ると、実物が重かったときに見積そのものが無効になります。

Step6

指示内容を固定する

1回目(条件の取り出し)の指示の例です。

あなたは運送会社の見積窓口で、法人の荷主から届いた輸送の見積依頼を読む立場です。
依頼の文面に書かれていることだけを取り出してください。推測で埋めないでください。

【取り出す条件】
- 発地と着地:都道府県、市区町村、それ以降の住所(書かれていれば)
- 積みの日付と時刻の指定、降ろしの日付と時刻の指定
- 荷物の中身、荷姿(パレット・ケース・バラ・機械など)、個数
- 重量:総重量と、1個あたりの重量。書かれているほうだけ。単位はkgに直す
- 付帯作業:手積み・手降ろし、時間指定、待機の見込み、休日の作業

【厳守事項】
- 書かれていない条件は空にし、missing に条件の名前を入れてください。
  荷物の中身から重量や個数を推し量らないでください。
- 総重量と、1個あたり×個数が合わないときは、どちらも残し、
  conflicts にその旨を書いてください。どちらかを選ばないでください。
- 日付と曜日が合わないときも conflicts に書いてください。
- 金額を計算しないでください。金額を書かないでください。
- 車格を決めないでください。
- 次のどれかに当たると判断したら special を true にし、理由を special_reason に書いてください:
  危険物、温度管理(冷蔵・冷凍)、長さや幅が車両に収まらないおそれのある物、
  1個で数トンを超える重量物、海外への輸送、引越し。
- evidence には、重量・個数・日付の判断の根拠にした文をそのまま写してください。

【依頼の文面】{request_text}
【添付から取り出した文字】{attachment_text}

「荷物の中身から重量を推し量らない」を明記しないと、重量の欄が埋まります。 文面に重量が無くても、AIは中身の名前から一般的な数字を入れます。禁じるのは数字の正しさではなく、書かれていない数字を作ることそのものです。

2回目(返信の文案)の指示では、差し込む金額を {fare} {charges} {surcharge} {total} のような変数で渡し、「この金額以外の数字を書かない」と書きます。 返信に必ず入れる文、「車両の手配状況を確認のうえ改めてご連絡します」「高速道路の利用料は実費として別途申し受けます」「記載の条件と異なる場合は金額が変わります」も、固定の文として渡します。

Step7

出力形式を固定する

1回目の手順の出力フィールドを、次の形で定義します。

{
  "origin": { "pref": "埼玉県", "city": "川口市", "address": "" },
  "destination": { "pref": "愛知県", "city": "小牧市", "address": "" },
  "pickup": { "date": "2026-10-20", "time": "" },
  "delivery": { "date": "2026-10-21", "time": "10:00必着" },
  "cargo": { "item": "樹脂成形品", "packing": "パレット", "count": 6,
             "total_weight_kg": 3000, "unit_weight_kg": 500 },
  "accessorial": ["時間指定"],
  "missing": [],
  "conflicts": [],
  "special": false,
  "special_reason": "",
  "evidence": ""
}

1つ目の理由は、Paths の条件をフィールドで書けることです。 special が true なら C、missing か conflicts が空でなければ B、それ以外は A です。

2つ目は、accessorial で料金表の行を引けることです。 「時間指定」「手積み」のような決まった語で返させ、料金表の記号に対応させます。決まった語以外が返ったときは、料金を足さずに担当者へ回す印を付けます。

計算の手順(Formatter)が出す値は、返信と受付の一覧に合わせます。

項目式の考え方
車格総重量とパレット枚数を、車格の目安の上限と小さい順に比べ、両方に収まる最初の車格
運賃運賃表の区間の行の、車格の列の値
料金accessorial に対応する料金表の単価の合計。休日の割増は運賃に率を掛ける
燃料サーチャージ運賃 × その月の率
合計(税抜)運賃+料金+燃料サーチャージ

2回目の手順が作る返信の下書きは、次のような形になります(金額はワークフローが差し込んだもの)。

件名:輸送のお見積り(10月20日積み 埼玉県川口市→愛知県小牧市)

〇〇株式会社 物流部 〇〇様

お見積りのご依頼をいただき、ありがとうございます。
次の条件での概算をお送りします。

【前提とした条件】
積み:10月20日(月)埼玉県川口市 降ろし:10月21日(火)10時必着 愛知県小牧市
荷物:樹脂成形品 パレット6枚 総重量3,000kg 車両:4t車 貸切
荷役:フォークリフトによる積み降ろし(手積み・手降ろしなし)

【概算】
運賃(4t車 貸切)     {fare} 円
料金(時間指定)      {charges} 円
燃料サーチャージ      {surcharge} 円
合計(税抜)        {total} 円

高速道路の利用料は実費として別途申し受けます。
記載の条件と異なる場合は金額が変わります。
車両の手配状況を確認のうえ、改めてご連絡いたします。

「前提とした条件」を金額より先に書くのは、違っていたときに荷主のほうから言ってもらうためです。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
見積依頼フォームWebhooks by Zapier(Catch Hook)送信のたびに依頼の中身を受ける
見積窓口のアドレスGmail(New Labeled Email)ラベルの付いたメールを拾う
地域の表Formatter(Lookup Table)都道府県を地域コードに直す
運賃表・料金表Google Sheets(Lookup Spreadsheet Row)区間と車格の運賃、料金の単価を引く
AI by ZapierZap の手順条件の取り出しと、返信の文案
返信Gmail(Create Draft Reply/Create Draft)メールの依頼には返信の下書き、フォームの依頼には新しい下書き
受付の一覧Google Sheets依頼ごとに、経路・区間・車格・金額・分岐・下書きの作成日時を残す

Paths は Zap の最後の手順にしか置けません。 受付の一覧への記入は、A・B・C それぞれの枝の最後に同じ手順を置きます。 Paths の分岐の手順そのものはタスクの数に数えられず、動いた枝の中の手順だけがタスクを使います。

配車システムへは書き込みません。 この構成が出すのは見積の下書きまでで、車両を押さえるのは担当者の仕事です。 書き込みを足すと、送ってもいない見積で車両が押さえられます。

Step9

人が確認する

送る前に、担当者がすべての下書きを開きます。 見るのは次の4つです。

  1. 車両と乗務員の空き … 配車システムで、積みの日に決まった車格の車両が空いているかを確かめます
  2. 前提とした条件 … 依頼の文面と見比べ、車格と付帯作業が合っているかを確かめます
  3. 金額の行 … 料金の拾い方が依頼に合っているか。手積みと書かれているのに荷役料の行が無い、といった漏れを見ます
  4. 聞き返しの文 … B の枝の下書きでは、尋ねる条件が足りているか、尋ねすぎていないかを見ます

2番目を省かないでください。 車格はワークフローが目安の表で決めていますが、荷物の形が特殊で、重量が軽くても大きな車両が要ることがあります。 依頼の文面と前提の行を見比べれば、30秒で気づけます。

直した内容は受付の一覧に残します。 その件数が、目安の表と料金表のどこを直すべきかを教えてくれます。

Step10

例外に対処する

起きること対応
都道府県が取り出せないLookup Table のキーが空だと fallback も使われない。その手前で B の枝に回す
地域コードが UNKNOWN表に無い地名か表記ゆれ。担当者へ回し、地域の表に足すかを決める
運賃表に区間が無い表で決まらない区間。概算を出さず担当者へ
総重量と1個あたり×個数が合わないconflicts に書かれる。B の枝で、どちらが正しいかを聞き返す
車格の目安の上限を超える最大の車格に収まらない。複数台か特殊車両の判断なので C の枝へ
accessorial に決まった語以外が返る料金を足さず、担当者へ回す印を付ける
添付が画像だけで文字が無い本文だけで取り出し、missing が出れば聞き返す。画像の内容は担当者が見る
燃料サーチャージの適用月が今月と違う率の更新漏れ。計算を止め、担当者に率の更新を知らせる
AI by Zapier の手順が失敗するZap の実行が止まる。ラベルは残っているので、担当者が一覧から拾い直す

上から3行目までが多くを占めます。 どれもAIの問題ではなく、地域の表と運賃表の作り方の問題です。

Step11

記録を残す

  • 依頼の原文(フォームの送信内容、またはメールの本文と件名)と、受け取った日時・経路
  • 1回目の出力(取り出した条件、missing、conflicts、special)
  • 決まった地域コード・車格と、そのとき引いた運賃表・料金表の行、燃料サーチャージの率
  • 分岐(A・B・C)と、作った下書き
  • 担当者が直した内容 … 車格、料金の行、金額、文面のどこを変えたか
  • 送った日時と、荷主の返事の有無、受注に至ったか

3つ目を残すのは、運賃表と率が後から変わるためです。 「先月と金額が違う」と言われたときに根拠を示せます。

04実装レベルの3段階

最小構成:依頼の文面を手でAIの画面に貼り、条件と欠けを取り出させる / 条件の書き出しと、聞き返す条件の洗い出し
半自動化:上記+フォームとメールを起点に Zap を動かし、運賃表と料金表で概算を計算し、返信と聞き返しの下書きまで作る / 受付から下書きまで
本格構成:上記+荷主の返事を同じ依頼に結び付けて再計算し、受付の一覧で返信までの時間と受注を区間ごとに集計する / 聞き返しの往復と、見積の振り返りまで

本記事の想定は半自動化です。 1件25分が10分になり、その10分の中心は、配車システムで空きを確かめることと、前提の条件を依頼と見比べることです。本格構成は、メールの往復を1件の依頼として束ねる作り込みが要ります。 段階を飛ばさないでください。 半自動化で担当者が直した車格と料金の記録をため、目安の表と料金表の条件を直してから本格構成に進みます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
240 件
1件あたり現在時間
25 分
1件あたり導入後時間
10 分
現在  240件 × 25分 ÷ 60 = 100 時間/月
導入後 240件 × 10分 ÷ 60 = 40 時間/月
月間削減時間
60h
削減率
60%
年間削減時間
720h
年間金額換算(時間単価3,000円)
216万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 貸切(チャーター)の輸送を中心に、法人の荷主から単発・スポットの見積依頼をWebのフォームとメールで月に百件以上受けている運送会社。距離や区間ごとの運賃表と、荷役・時間指定・待機などの料金表が社内で決まっており、見積をその表から手で組み立てている場合。依頼の文面に重量や荷姿が書かれていないことが多く、聞き返しのメールに時間を取られている場合。Zapier の有料プランと Gmail・Google スプレッドシートを使える場合。
向いていない
  1. 見積の大半が継続契約の改定で、単発の依頼がほとんど無い場合。運賃表が無く、毎回原価から積み上げて見積を作っている場合。危険物・温度管理・重量物・海外輸送など、特殊な条件の依頼が多数を占める場合。なお、車両と乗務員の空きの確定、値引きの判断、運送の引受けの可否は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月届いた見積依頼から30件を選ぶ(うち数件は、重量か荷姿が書かれていなかったものを入れる)
  2. その30件について、当時どの車格で出し、どの料金を入れたかを受付の一覧と送ったメールから拾う
  3. 依頼の文面を、手元のAIサービスの画面に1件ずつ貼り付ける
  4. 「この見積依頼から、発地・着地(都道府県と市区町村)、積みの日付、荷物、荷姿、個数、重量、付帯作業を取り出してください。書かれていない条件は空にして一覧にしてください。重量を推し量らないでください」と指示する
  5. 取り出した条件を、当時担当者が書き出した条件と突き合わせる

30件は必ずやってください。 Zap を組む前に、足りない条件を正しく挙げられるかを確かめます。

出てきた内容判断
当時の書き出しと同じ条件が出て、欠けも同じだったZap の作成に進む
書かれていない重量を埋めた指示の書き方で直る。構成は有効
当時の担当者と車格や料金の拾い方が違う目安の表と料金表の条件の列が先。 AIの問題ではない

3行目が出ることは珍しくありません。 担当者の頭の中の決め方が表になっていなかったと分かったということで、車格の目安と料金の条件を文に起こしてから進めます。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
書かれていない重量が埋まる推し量りを禁じ、missing に挙げさせる。 30件の試しで最初に見る
総重量と1個あたりの重量の片方が選ばれる両方を残させ、conflicts で聞き返しに回す
AIが返信の文に金額を書き足す計算済みの変数だけを差し込み、それ以外の数字を書かないと指示する
都道府県が空で地域コードの手順が素通りするキーが空だと fallback も使われない。 手前で分岐させる
地域の表の表記ゆれで一致しないキーは大文字と小文字を区別する。「埼玉」「埼玉県」をそろえる
Paths の後に手順を足せないPaths は最後の手順。 受付の一覧への記入は各枝の最後に置く
燃料サーチャージの率が先月のまま適用する月の列で確かめ、合わなければ計算を止める
継続の荷主に標準の運賃で見積が出る送信元のドメインで振り分ける
特殊な条件の依頼に概算が出るspecial の条件を指示に列挙し、C の枝へ
下書きが自動で送られる送信の手順を作らない。 空きを確かめるのは担当者

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも足りない条件を補ってしまう失敗で、重量と荷姿を補った見積は、金額がいくら正確でも無効です。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 荷主の会社名・担当者名・連絡先、発地と着地の住所、荷物の中身と量、そして自社の運賃表と料金表です。

  1. 運賃表そのものをAIへ渡さない … 運賃表は自社の値付けそのものです。表を引くのはワークフローの手順で、AIに渡すのは計算済みの金額だけにします。 AI by Zapier のナレッジのソースに運賃表を入れる設計にはしません
  2. 返信を自動で送らない … 出すのは下書きまでです。車両の空きを確かめずに見積が届くと、受注した後に運べないことが起きます
  3. この構成は運送の引受けの判断を代替しません … 危険物や特殊な荷物を引き受けるか、どの車両で運ぶかは、営業と配車の担当が決めることです。 この構成が出すのは、表で決まる概算と、足りない条件の一覧だけです
  4. 荷物の中身の記載に気をつける … 試作品の輸送では、荷物の名前そのものが荷主の機密のことがあります
  5. 運賃と料金を分けて示す … 国土交通省は2024年3月に新たな標準的運賃を告示し、荷待ち・荷役に係る費用や燃料高騰分も荷主に適正に転嫁できるよう見直したとしています。返信の書式で運賃・料金・燃料サーチャージを分けておくと、何に対する金額かを荷主と確かめやすくなります。 約款の取り扱いは自社で確かめてください

誤りが起きた場合のリスクは、条件を補って誤った車格で見積を出すことと、空いていない日の見積を出すことの2つです。 前者は聞き返しに回すことで、後者は送信を人に残すことで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:車格の目安と料金の条件を文に起こす

3名の担当者に、どの重量・枚数ならどの車格で出すか、どう書かれていたらどの料金を入れるかを聞き取り、表の「条件」の列に書きます。答えが分かれたところが、第3章(c)の違いの正体です。

2週目:30件で試す

先月の依頼から30件を選び、手元のAIサービスに貼り付けて条件を取り出させます。当時の書き出しと突き合わせ、書かれていない重量を埋めていないかを最優先で見ます。

3週目:地域の表と運賃表を整える

都道府県と地域コードの対応表を作り、運賃表の区間を発地と着地の地域コードの2列にそろえます。

4週目:フォームから下書きまでをつなぐ

フォームの Zap を作り、条件の取り出し、車格の決定、運賃表と料金表の計算、返信の下書きまでを通します。この時点では B と C の枝は担当者への転送だけにし、A の枝の下書きの直し方を見ます。

2か月目: メールの Zap を複製して作り、B の枝の聞き返しの下書きを足します。担当者が直した車格と料金の件数を毎週数えます。3か月目以降: 返信までの時間と受注の有無を受付の一覧で区間ごとに見て、1件25分が何分になったかを実測します。直した件数が減り、目安の表と料金表の条件を見直した時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-07/最終更新:2026-10-07
確認した内容情報源確認日
AI by Zapier が Zap に生成AIの手順を足す組み込みの道具であること。Professional・Team・Enterprise で使えること。Standard(1倍)・Advanced(3倍)・Premium(5倍、新しい手順の既定)の段階があること。出力フィールドを定義できることZapier: Use AI by Zapier to analyze and return data2026-10-07
Gmail のトリガーがすべて Polling であること。New Labeled Email、Create Draft、Create Draft Reply があること。New Email の検知が直近1時間に限られ、New Labeled Email には制限が無いことZapier: How to get started with Gmail on Zapier2026-10-07
Catch Hook が本文を解析してフィールドに分けること。Webhook のトリガーが Free プランで使えないことZapier: Trigger Zaps from webhooks2026-10-07
Lookup Spreadsheet Row で検索列と値、補助の検索列と値を指定して行を探せること。見つからないときの動きを決められることZapier: Find and update spreadsheet rows in Google Sheets2026-10-07
Formatter の Lookup Table でキーと値の対応表を作れること。fallback の値を設定できること。キーの欄が空だと一致も fallback も起きないこと。大文字と小文字を区別すること。Professional 以上で使えることZapier: Create lookup tables in Zaps2026-10-07
Formatter の Spreadsheet-Style Formula で、前の手順の値を差し込んだ式を計算できること。Professional 以上で使えることZapier: Use spreadsheet-style formulas in Zaps2026-10-07
Paths が Professional 以上で使えること。1つの Path に枝は10まで。Zap の最後の手順であること。Fallback の規則があること。Paths の手順はタスクに数えられず、動いた枝の中の手順だけがタスクを使うことZapier: Add branching logic to Zaps with Paths2026-10-07
国土交通省が令和6年3月22日に新たなトラックの標準的運賃を告示し、運賃水準を8%引き上げ、荷役の対価等を加算したこと。荷待ち・荷役に係る費用、燃料高騰分等も荷主等に適正に転嫁できるよう見直したこと。新たな標準運送約款を同日付で告示し、同年6月1日から施行すること国土交通省: 新たなトラックの標準的運賃を告示しました2026-10-07

運送の引受け、車両の手配、契約と約款の取り扱いは、自社の営業と配車の担当で決めてください。 本記事は上記の公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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