広告主から提出してもらう素材の提出状況を案件ごとに追い、締切が近いのに届いていない素材の督促の文面を作る
広告主から提出してもらう素材を、案件ごとに1つの管理表で追います。毎朝、締切が近いのに届いていない素材を拾い、案件ごとに督促のメールの下書きを作って、営業と制作進行の担当者に渡します。
- 生成AI
- ChatGPT/Claude/Gemini
- 連携・自動化
- Make/n8n/Power Automate/Zapier
- 対象業界
- EC/IT・SaaS/広告
- 対象部門
- 営業
- 対象業務
- 台帳・マスタ管理/書類作成
- 主な課題
- 営業フォローが追いつかない/属人化している/期限・対応漏れが起きる
- AIで行う処理
- 生成
- 主な効果
- 対応スピード向上/工数削減/機会損失防止
- 導入難易度
- ★☆☆☆☆
- 実装レベル
- 半自動化
- 費用感
- ノーコード連携(中)
- 人間の確認
- 条件付き
01導入前 / 導入後の業務フロー
- 案件が決まると、担当者が必要な素材と締切をメールで広告主に伝える
- 素材が届くたびに、担当者がフォルダとメールを見て、自分のメモに印を付ける
- 週に数回、担当している案件のメモを見返し、締切が近いのに届いていない素材を探す
- 届いていない素材を並べ、形式とサイズの指定を書き添えて、督促のメールを書く
- 2回目、3回目の督促では、日程への影響を書き加えるか、電話をかける
- 督促したことをメモに残し、営業の上長に遅れている案件を口頭で伝える
- 人案件が決まると、担当者が素材の管理表に、素材ごとに1行(素材名、形式とサイズの指定、締切、広告主の担当者)を足す
- 自動案件の受け取りフォルダにファイルが置かれると、Zapier のワークフロー(Zap)が管理表の案件に「新着あり」の印を付ける
- 人担当者が新着のファイルを開き、使える素材なら管理表の状態を「受領」にする
- 自動毎朝、平日の始業前に、管理表の「要督促」の行を案件ごとにまとめた一覧を引く
- 自動案件ごとに、AI by Zapier が督促の回数と締切に合わせた督促の文面を作る
- 自動督促の文面を、担当者の Gmail に下書きとして作る。3回目の案件は、営業の上長あての知らせも作る
- 人担当者が下書きを確かめて送り、管理表の督促の回数を1つ増やす
各工程の詳しい説明を読む
- 案件が決まると、担当者が必要な素材と締切をメールで広告主に伝える
- 素材が届くたびに、担当者がフォルダとメールを見て、自分のメモに印を付ける
- 週に数回、担当している案件のメモを見返し、締切が近いのに届いていない素材を探す
- 届いていない素材を並べ、形式とサイズの指定を書き添えて、督促のメールを書く
- 2回目、3回目の督促では、日程への影響を書き加えるか、電話をかける
- 督促したことをメモに残し、営業の上長に遅れている案件を口頭で伝える
(a)状況が担当者のメモにしかない。 2番目と3番目は、各担当者の頭とメモの中で行われています。担当者の交代や休みのたびに、どの素材が届いていないかを調べ直します。
(b)督促のメールを1件ずつ書く。 4番目は、素材の名前と指定を案件ごとに並べ直す作業で、中身はほとんど同じなのに、案件ごとに素材の組み合わせが違います。 月の督促が100件を超えると、書くだけで担当者の時間がかなり消えます。
(c)気づいたときには締切を過ぎている。 3番目を忙しい週に省くと、締切の翌日に初めて遅れに気づきます。 そこから督促しても、制作の日程はすでに詰まっています。入稿や掲載の日は動かせないことが多く、しわ寄せは制作の残業になります。
(d)督促の調子が人によって違う。 1回目から強く書く担当者もいれば、3回目まで同じ文面を送る担当者もいます。広告主から見ると、同じ会社なのに案件ごとに対応が違います。
- 【人】 案件が決まると、担当者が素材の管理表に、素材ごとに1行(素材名、形式とサイズの指定、締切、広告主の担当者)を足す
- 【自動】 案件の受け取りフォルダにファイルが置かれると、Zapier のワークフロー(Zap)が管理表の案件に「新着あり」の印を付ける
- 【人】 担当者が新着のファイルを開き、使える素材なら管理表の状態を「受領」にする
- 【自動】 毎朝、平日の始業前に、管理表の「要督促」の行を案件ごとにまとめた一覧を引く
- 【自動】 案件ごとに、AI by Zapier が督促の回数と締切に合わせた督促の文面を作る
- 【自動】 督促の文面を、担当者の Gmail に下書きとして作る。3回目の案件は、営業の上長あての知らせも作る
- 【人】 担当者が下書きを確かめて送り、管理表の督促の回数を1つ増やす
3番目が、この設計の分かれ目です。 ファイルが置かれたことと、使える素材が届いたことは違います。解像度の足りない写真、古いロゴ、社内の確認前の原稿が置かれることがあります。 状態を「受領」にするのは、中身を見た担当者です。
4番目で、遅れているかどうかを表の数式で決めているのも、意図してのことです。 締切と状態という2つの値で決まることを、AIに読ませる必要はありません。
02今回想定するシステム構成
案件ごとの受け取りフォルダ(Google ドライブ) │ ファイルが置かれる ▼【トリガー】New File in Folder Zapier(Zap 1:新着の印) ▼ 素材の管理表(Google スプレッドシート) │ 素材ごとに1行/要督促の列は数式 │ 督促キューのシート(案件ごとに未提出の素材をまとめる数式) Schedule by Zapier(毎朝・平日) ▼ Zapier(Zap 2:督促の下書き) ├──▶ Lookup Spreadsheet Rows (Advanced) ── 督促キューの行を取り出す ├──▶ Looping by Zapier ── 案件ごとに繰り返す ▼ AI by Zapier ── 督促の回数と締切に合わせた文面 ▼ Gmail ── 担当者の下書き(3回目は上長への知らせも) ▼ 【担当者が確かめて送り、督促の回数を増やす】
| 役割 | 想定する製品 | 代替候補 |
|---|---|---|
| ワークフロー | Zapier(Google Drive、Google Sheets、Schedule、Looping、Gmail) | Make、Power Automate、n8n |
| 生成AI | AI by Zapier(Analyze and Return Data) | ChatGPT(OpenAI)、Claude、Gemini |
| 保管 | Google スプレッドシート(素材の管理表と督促キュー) | Airtable |
| 受け取り | Google ドライブ(案件ごとの受け取りフォルダ) | Box、Dropbox |
受け取りフォルダと Gmail は、今あるものをそのまま使います。 足すのは、素材の管理表と、Zapier の Zap が2本です。管理表は、これまで各担当者のメモにあったものを1か所に集めたもので、この構成でいちばん効くのは、実はこの表です。
土台になるのは、Google Sheets の Lookup Spreadsheet Rows (Advanced) です。 1行だけを探す Lookup Spreadsheet Row と違い、条件に合う行を最大500行まで取り出せます。 督促キューのシートで「要督促」の案件の行を引けば、その朝に督促が要る案件がまとめて返ります。
案件ごとの繰り返しは、Looping by Zapier で行います。 取り出した行を「line items」として渡すと、後ろの手順がループの1回ごとに動き、 案件ごとに文面と下書きが1つずつできます。Looping は Professional・Team・Enterprise のプランで使えます。
文面づくりは AI by Zapier に任せます。 Zap に生成AIの手順を足す組み込みの道具で、返してほしい項目を出力のフィールドとして定義できます。 モデルの段階で使うタスクの数が変わり(Standard は1、Advanced は3、Premium は5)、新しく足した手順の既定は Premium です。
03どうやって実装するのか
処理の起点を決める
Zap は2本に分けます。 新着の印を付ける Zap と、毎朝の督促の下書きを作る Zap です。
| Zap | トリガー | 受け取るもの |
|---|---|---|
| Zap 1:新着の印 | Google Drive の New File in Folder(親フォルダ、サブフォルダを含める) | ファイル名、置かれたフォルダ、置かれた日時 |
| Zap 2:督促の下書き | Schedule by Zapier(毎日、平日のみ) | 実行した日時 |
新着は、受け取りフォルダの親フォルダで受けます。 New File in Folder は、指定したフォルダに作られた・移された・アップロードされたファイルで動き、サブフォルダを含めることもできます。 案件ごとのフォルダを1つの親フォルダの下に置き、サブフォルダを含める設定にすると、案件が増えるたびに Zap を作り直さずに済みます。 Google Drive のトリガーはポーリングで動きます。
フォルダ名には、案件IDを先頭に入れておきます。 Zap 1 はフォルダ名から案件IDを取り出し、管理表の案件の行に「新着あり」と置かれたファイル名を書きます。素材のどれに当たるかは、Zap では決めません。 ファイル名は広告主が付けるので、「IMG_0231.jpg」のように中身が分からないことが多いからです。
督促の Zap は、平日の始業前に動かします。 Schedule by Zapier は「毎日」を選ぶと時刻を指定でき、週末を除く設定があります。 時刻は Zapier のアカウントのタイムゾーンで決まり、指定した時刻から数分の幅で動くとされています。下書きが始業時に担当者の Gmail にそろっていれば足ります。
メールに添付されて届く素材は、担当者が受け取りフォルダに移します。 メールの添付を自動でフォルダへ移す手順も足せますが、広告主の社内の転送で添付が重複することが多く、 最初は人が移すほうが確実です。
入力データを集める
| データ | 中身 | 取得元 |
|---|---|---|
| 素材の行 | 案件ID、素材名、形式とサイズの指定、締切、状態、督促の回数、最後に督促した日 | 素材の管理表 |
| 督促キューの行 | 案件ID、広告主、広告主の担当者とメールアドレス、未提出の素材の一覧(指定つき)、最も近い締切、督促の回数の最大 | 督促キューのシート |
| 日程への影響 | 制作進行が書いた、締切を過ぎたときに動く日程(「入稿日に間に合わない可能性」など) | 素材の管理表の案件の欄 |
| 担当者 | 自社の営業・制作進行の担当者、営業の上長 | 案件台帳 |
| 文面の型 | 1回目・2回目・3回目の書き出し、締めの文、受け取りフォルダの案内 | 自社で用意する文例(Zap の指示に書き込む) |
質を決めるのは、素材ごとの指定の列です。 「ロゴ」とだけ書くと、広告主は手元のJPEGを送ってきます。「ロゴ(ai または eps、アウトライン化済み)」と書いておくと、督促の文面にそのまま入り、 送り直しが減ります。
日程への影響は、制作進行が書いたものだけを使います。 「この写真が金曜までに届かないと、入稿日に間に合わない可能性があります」と書けるのは、制作の段取りを知っている人です。空欄なら、督促の文面にも影響を書きません。
データの取得方法を決める
遅れの判定と案件ごとのまとめは、スプレッドシートの数式で行います。 素材の管理表の「要督促」の列は、状態が「受領」でなく、締切まで3日以内か過ぎているときに「要督促」を返します。督促キューのシートは、案件IDごとに要督促の素材をまとめ、 素材名と指定を1つのセルに並べます。
| 取るもの | どこから | 何に使うか |
|---|---|---|
| 督促が要る案件の行 | 督促キュー(Lookup Spreadsheet Rows (Advanced)、要督促=あり) | ループに渡す案件の一覧 |
| 未提出の素材と指定 | 督促キューの行のセル | 督促の文面の中身 |
| 督促の回数の最大 | 督促キューの行のセル | 文面の調子と、上長への知らせ |
| 日程への影響 | 督促キューの行のセル | 2回目以降の文面 |
AIに素材の行をそのまま渡して「遅れているものを選んで」とはしません。 何十行もの中から締切の日付を比べさせると、日付の読み違えや、受領済みの素材の取り違えが出ます。 表が選んだものだけを渡します。
要督促の列の考え方は、次のとおりです。 数式の書き方は表計算の製品に合わせますが、決めることは3つだけです。
| 条件 | 要督促の値 |
|---|---|
| 状態が「受領」 | 空(督促しない) |
| 状態が「未提出」か「差し戻し」で、締切まで3日以内 | 「要督促」 |
| 同上で、締切を過ぎている | 「要督促(超過)」 |
「差し戻し」を督促の対象に入れておくのは、差し戻した素材の出し直しも締切に縛られるからです。 差し戻しの理由は担当者が別に伝えていますが、出し直しが来ないまま締切を迎える案件は、毎朝の一覧に出てきます。
督促の回数は、案件の中の素材の最大を使います。 ロゴは3回目、写真は1回目という案件なら、文面は3回目の調子で、写真は初めてのお願いとして書かせます。
AIへ渡す前に整形する
- 督促キューの行の確認 … 広告主の担当者のメールアドレスが空の案件は、下書きを作らずに担当者へ知らせます
- 同じ日の二重の督促を防ぐ … 最後に督促した日が今日なら、その案件を飛ばします
- 督促を止めている案件を除く … 担当者が「督促停止」の印を付けた案件(広告主と電話で話がついたもの)を除きます
- 新着ありの案件の扱い … 「新着あり」の印があり、まだ担当者が中身を見ていない案件は、督促の下書きに「新着のファイルを確認中」の注記を付けます
- 件数の確認 … その朝の督促が多すぎる(たとえば50件を超える)ときは、管理表の締切の入力誤りを疑い、担当者に知らせます
4番目を省かないでください。 広告主が昨夜フォルダに置いた写真を、担当者がまだ見ていないうちに督促すると、「送りましたが」という返事が来ます。 新着のある案件は、担当者が中身を見てから送るか決めます。
2番目と3番目は、Filter の条件で行います。 ループの中で、最後に督促した日と督促停止の印を見て、該当すれば後ろの手順を動かしません。
AIに処理させる
させるのは、督促キューの1行から、督促の回数に合わせた督促のメールの件名と本文を作ることです。 3回目の案件では、営業の上長あての短い知らせも作ります。
| 督促の回数 | 文面の中身 | 材料 |
|---|---|---|
| 0回(初めて) | 締切の確認と、未提出の素材と指定の一覧、受け取りフォルダの案内 | 督促キューの行、文面の型 |
| 1回 | 上記+締切が過ぎた、または迫っていること | 同上 |
| 2回以上 | 上記+日程への影響(書かれているときだけ)、電話で相談したい旨 | 同上+日程への影響 |
いちばん大事なのは、書かれていない影響を書かせないことです。 2回目以降の文面では、AIは「このままでは掲載日に間に合いません」と強く書きたくなります。日程への影響の欄が空なら、影響には触れず、 電話での相談をお願いするだけにします。見込みで書いた影響は、広告主から見ると脅しにも、約束にもなります。
| AIにさせないこと | 理由 |
|---|---|
| どの素材が遅れているかを選ぶ | 管理表の数式で決まる |
| 日程への影響を見込みで書く | 制作進行だけが判断できる |
| 締切を延ばす・掲載日を動かすと書く | 営業と制作の責任者が決める |
| 受け取った素材が使えるかを書く | 担当者が中身を見て決める |
| メールを送る | 下書きまで。送るのは担当者 |
指示内容を固定する
AI by Zapier の指示の欄に、次のように書きます。 出力のフィールドは、項目ごとに名前と型と説明を定義します。
あなたは広告制作会社の営業部で、広告主に素材の提出をお願いするメールを作る担当です。
次の案件について、まだ届いていない素材の督促のメールの件名と本文を作ってください。
書かれていることだけを使ってください。
【案件】{project_id} {project_name}
【広告主】{client} {client_contact} 様
【未提出の素材と指定】{missing_items} (素材名、形式とサイズの指定、締切、督促の回数)
【督促の回数の最大】{max_count}
【日程への影響】{impact} (空の場合あり)
【新着の注記】{new_file_note} (空の場合あり)
【受け取りフォルダ】{folder_url}
【自社の担当者】{owner}
【文面の型】{templates}
【厳守事項】
- 未提出の素材は、渡された一覧のとおりに並べてください。足したり減らしたりしないでください。
- 素材ごとに、形式とサイズの指定を必ず書いてください。
- 督促の回数の最大が0なら確認のお願い、1なら締切が迫っている・過ぎていることのお知らせ、
2以上なら電話での相談のお願いを入れてください。
- 日程への影響は、【日程への影響】に書かれているときだけ、その内容のとおりに書いてください。
空のときは、掲載日・入稿日・制作の遅れについて一切書かないでください。
- 締切を延ばせる、掲載日を動かせる、とは書かないでください。
- 素材ごとに督促の回数が違うときは、初めてお願いする素材を責める調子にしないでください。
- 新着の注記があるときは、「お送りいただいたファイルを確認しております」と一言入れてください。
- 督促の回数の最大が2以上のときは、manager_note に、自社の営業の上長あての
3行の知らせ(案件、未提出の素材の数、最も近い締切)を作ってください。
「空のときは一切書かない」と強く書いているのは、AIが気を利かせるからです。 2回目以降の督促と分かると、日程への影響を補って書こうとします。材料が無いときの振る舞いを、名指しで禁じます。
素材ごとの回数の違いを書いているのは、案件の中で回数が混ざるからです。 3回目のロゴと初めての写真を同じ調子で書くと、写真を担当する広告主の別の部署の人が、初めて受け取るお願いを強い督促として読みます。
出力形式を固定する
AI by Zapier の出力のフィールドを、次の項目で定義します。
{
"subject": "",
"body": "",
"tone": "first | reminder | escalation",
"items_in_body": 0,
"used_impact": false,
"manager_note": ""
}
1つ目の理由は、items_in_body で素材の数を確かめられることです。 督促キューの未提出の素材の数と比べ、食い違えば下書きを作らずに担当者へ知らせます。 素材を落とした・足したという誤りを、文面を読む前に機械で止めます。
2つ目は、used_impact で影響を書いたかが分かることです。 日程への影響の欄が空なのに used_impact が true なら、指示に反して影響を書いています。 Filter で止め、下書きにしません。
3つ目は、manager_note を別の下書きにできることです。 空でなければ、営業の上長あてに Gmail の下書きをもう1通作ります。
管理表に書き戻すのは、Zap が作ったものの記録だけです。
| 列 | 中身 | 書く者 |
|---|---|---|
| 下書きを作った日 | Zap 2 が動いた日 | Zap |
| 新着あり・ファイル名 | Zap 1 が見つけたファイル | Zap |
| 状態(未提出/受領/差し戻し) | 中身を見た結果 | 担当者 |
| 督促の回数・最後に督促した日 | 送ったとき | 担当者 |
督促の回数を Zap で増やさないのは、下書きを送らないことがあるからです。 担当者が電話で済ませた日に回数が増えると、次の督促の調子が一段強くなります。
システムへ連携する
| つなぎ先 | 方式 | 内容 |
|---|---|---|
| Google ドライブ | New File in Folder(サブフォルダを含める) | 案件の受け取りフォルダの新着を知る |
| 素材の管理表 | Lookup Spreadsheet Row、Update Spreadsheet Row | 新着の印と、下書きを作った日の記録 |
| 督促キュー | Lookup Spreadsheet Rows (Advanced) | 督促が要る案件を最大500行まで取り出す |
| Looping by Zapier | Create Loop from Line Items | 案件ごとの繰り返し |
| AI by Zapier | Analyze and Return Data | 督促の文面 |
| Gmail | Create Draft | 広告主あての督促と、上長あての知らせの下書き |
ループの後ろの手順は、ループの1回ごとに動きます。 ループの1回ごとに別の Zap の実行として履歴に残るので、どの案件の下書きで失敗したかが履歴で分かります。 Update Spreadsheet Row は1回の実行で1行を更新するので、案件ごとに1行ずつ書き戻す形と合います。
広告主へのメールは、Create Draft だけで作ります。 Send Email は置きません。督促は、広告主との関係に直接ひびくメールです。
人が確認する
担当者が見るのは、朝の Gmail の下書きと、管理表の「新着あり」の印です。
- 新着のファイルを開く … 使える素材なら状態を「受領」に、使えなければ「差し戻し」にし、理由を書きます
- 下書きの素材の一覧を見る … 受領したばかりの素材が残っていないかを確かめ、残っていれば消します
- 調子を見る … 広告主との関係で強すぎれば和らげます。電話のほうが早い相手には、送らずに電話をかけます
- 送って記録する … 督促の回数を1つ増やし、最後に督促した日を書きます
- 上長への知らせを送る … 3回目の案件は、営業の上長に知らせ、日程の相談を始めます
1番目を毎朝最初に行ってください。 新着を見ないまま督促を送ると、届いている素材をもう一度お願いすることになります。 新着の確認と督促は、同じ朝の続きの作業です。
目標は、1件あたり5分です。 下書きの確認と送信に3分、新着のファイルの確認に1分、記録をならして1分という想定です。
例外に対処する
| 起きること | 対応 |
|---|---|
| 広告主の担当者のメールアドレスが空 | 下書きを作らず、担当者へ知らせる |
| フォルダ名に案件IDが無い | 新着の印を付けられない。担当者へ「フォルダ名の確認」として知らせる |
| 素材の数がAIの出力と合わない | 下書きを作らず、担当者へ知らせる |
| 日程への影響が空なのに書いた | Filter で止め、下書きにしない |
| 使えない素材が届いた | 状態を「差し戻し」にする。差し戻しの理由を書いた依頼は担当者が手で送る |
| 締切が変わった | 担当者が管理表の締切を直す。督促の回数は戻さない |
| 案件が中止・延期になった | 担当者が「督促停止」の印を付ける |
| AI by Zapier の手順が失敗する | Zap の実行履歴に残る。担当者が文例から手で書く |
上から5行目が、運用でいちばん多い例外です。 解像度の足りない写真や、古い版のロゴは、届いたことにはなりません。 差し戻しの理由は素材の中身を見た人にしか書けないので、この構成では文面を作りません。
フォルダ名に案件IDが無い例外も、始めた直後に多く出ます。 広告主が自分でフォルダを作ってしまうことがあるためです。受け取りフォルダは自社で作ってから共有し、 広告主にはその中に置いてもらう運用にします。
記録を残す
- 素材の行ごとの状態の変化(未提出、受領、差し戻しの日時と、変えた人)
- 受け取りフォルダの新着のファイル名と、置かれた日時
- AI by Zapier に渡した督促キューの行と、返ってきた件名・本文・
items_in_body・used_impact - 担当者が実際に送った文面 と、送った日時
- 上長への知らせと、その後の日程の相談の結果
- 締切から受領までの日数(素材ごと、広告主ごと)
最後の行は、次の案件の締切を決める材料になります。 いつも原稿が1週間遅れる広告主なら、次の案件では原稿の締切を1週間早く伝えます。 督促を増やすより、締切の置き方を変えるほうが効きます。
04実装レベルの3段階
最小構成でも、管理表ができるだけで状況が見えるようになります。 どの案件のどの素材が遅れているかが、担当者以外にも分かります。ただし、文面は1件ずつ貼るので、月120件には向きません。 半自動化で、1件15分が5分になり、この段階が本記事の想定です。 確かめる・並べる・書く作業が、毎朝の下書きに置き換わります。残る5分は、新着の確認と、送るかどうかの判断です。 本格構成は、管理表の運用が定着してから考えます。 ファイルの形式やサイズで指定に合うかを先に見る手順は足せますが、写真の中身や原稿の版は、人が見ないと分かりません。
05工数削減シミュレーション
導入後 120件 × 5分 ÷ 60 = 10 時間/月
自社条件で導入効果を整理したい方へ
このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。
06向いている企業・向いていない企業
- チラシ、Webバナー、LP、動画などの制作で、ロゴのデータ、商品の写真、原稿、表示の根拠となる確認書類を広告主から提出してもらう広告制作会社・代理店。並行する案件が多く、営業や制作進行の担当者が、どの案件のどの素材が届いていないかを自分のメモで追い、督促のメールを1件ずつ書いている場合。素材の遅れで制作の日程が詰まり、入稿や掲載の日に間に合わなくなることがある場合。Zapier の有料プランを使える場合。
- 素材の多くを自社で撮影・作成し、広告主から受け取るものがほとんど無い場合。並行する案件が数件で、担当者が覚えていられる場合。なお、締切を延ばすか、掲載日を動かすかという判断と、受け取った素材が使えるかの判断は、この構成では代替できません。
07最小構成で試す方法
- 進行中の案件から10件を選び、素材ごとの締切と状態を管理表に書き出す(督促の回数が違う素材が混ざる案件を入れる)
- 要督促の数式を入れ、督促キューのシートで案件ごとにまとめる
- 社内で利用が認められている生成AIの画面に、第7章の指示と督促キューの行を1件ずつ貼る(広告主の担当者の名前は仮のものにする)
- 出てきた文面を、担当者がふだん書く督促と見比べる
- 日程への影響が空の案件で、影響が書かれていないかを見る
10件は必ずやってください。 Zap を組む前に、管理表で遅れが正しく拾えるか、文面がそのまま送れる質かを確かめます。
| 出てきた内容 | 判断 |
|---|---|
| ふだんの督促とほぼ同じ文面が出た | Zap の構築に進む |
| 空なのに日程への影響を書いた | 指示の書き方で直る。構成は有効 |
| 管理表の要督促と担当者の感覚が合わない | 締切の入れ方が先。 素材ごとの締切を見直す |
3行目が出ることは珍しくありません。 担当者は「この広告主はいつも遅れるから早めに言う」という調整を頭の中でしています。その調整を締切の日付として表に書くことが、属人化の解消です。
08実装時につまずきやすいポイント
| 問題 | 対策 |
|---|---|
| 届いた素材をもう一度督促する | 毎朝、新着の確認を先に行う。新着ありの案件に注記を付ける |
| 日程への影響を見込みで書く | 空のときは書かないと指示し、used_impact で止める |
| 素材を落とした・足した文面になる | items_in_body を督促キューの数と比べる |
| 同じ日に二度督促する | 最後に督促した日が今日なら Filter で飛ばす |
| 電話で済ませた案件に督促が出続ける | 督促停止の印を付ける運用にする |
| 新着の印が付かない | フォルダ名の先頭に案件IDを入れる |
| ループの後ろの手順が案件の数より多く動く | 上長への知らせはループの中で条件付きにする |
| メールを自動で送ってしまう | Create Draft だけを使い、Send Email を置かない |
| 担当者が管理表を更新しない | 受領と督促の記録を、毎朝の作業の一部にする |
上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、広告主から見て、事実と違うことが書かれた督促が届く失敗です。督促は、正確でないと読まれなくなります。
最後の行は、運用が始まってから効いてきます。 受領を記録しないと、受領した素材の督促が毎朝出続け、担当者が下書きを見なくなります。
09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点
この構成で扱うデータ: 広告主の会社名、担当者の氏名とメールアドレス、案件の名前と日程です。発売前の新商品や、公開前のキャンペーンの名前が含まれます。
- AI by Zapier に素材そのものを渡さない … 渡すのは素材の名前と指定、締切、回数だけです。写真や原稿のファイルは渡しません
- 案件の名前を伏せる設定を用意する … 発表前の新商品の名前が案件名になっている場合は、管理表に案件の通称の列を作り、AIにはその通称だけを渡します
- 督促のメールを自動で送らない … 下書きまでです。広告主との関係に直接ひびきます
- 受け取りフォルダの共有の範囲を案件ごとに分ける … 親フォルダを広告主に共有すると、他の広告主の素材が見えます。 共有は案件のフォルダ単位にします
- 利用するAIのサービスを社内で決めてから使う … AI by Zapier は複数のAIの提供元に対応し、自社のキーを使う設定もあるとされています
誤りが起きた場合のリスクは、届いている素材を督促することと、決まっていない日程への影響を伝えることの2つです。 前者は新着の確認を省くと起き、後者は影響を見込みで書かせると起きます。どちらも、事実を管理表と担当者の目に置くことで防ぎます。
10まず何から始めるか
1週目:素材の管理表を作る
素材ごとに1行の管理表を作り、素材名、形式とサイズの指定、締切、状態、督促の回数、最後に督促した日の列を置きます。進行中の案件を書き出し、要督促の数式と督促キューのシートを作ります。
2週目:10件で試す
督促キューの行を生成AIの画面に貼り、第7章の指示で文面を作らせます。日程への影響が空の案件で影響を書いていないか、素材の数が合っているかを最優先で見ます。
3週目:督促の Zap を組む
Schedule で毎朝動かし、督促キューを引き、ループで案件ごとに AI by Zapier と Gmail の下書きを作るところまで作ります。この時点では、下書きを送る前に管理表と見比べる作業を毎朝行います。
4週目:新着の Zap を足す
受け取りフォルダの親フォルダで新着を受け、管理表に印を付けます。フォルダ名の付け方を、営業と制作進行でそろえます。
2か月目: 担当者が直した下書きを見て、文面の型を直します。3か月目以降: 1件15分が何分になったかと、締切を過ぎてから受領した素材の数を実測します。締切の後に気づく遅れが無くなった時点で、この構成は完成です。
11関連ユースケース
12この仕組みを理解するための記事
13技術仕様の確認日・参考情報
| 確認した内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|
| Schedule by Zapier が毎時・毎日・毎週・毎月で動き、毎日では時刻と週末を除く設定を選べること。アカウントのタイムゾーンで動き、指定した時刻から数分の幅で動くこと。Schedule のトリガーがタスクを数えないこと | Zapier: Schedule Zap workflows to run at specific intervals | 2026-10-06 |
| Lookup Spreadsheet Row が検索する列と値、補助の検索列を持つこと。複数の行は Lookup Spreadsheet Rows (Advanced) で最大500行まで取り出せること。Update Spreadsheet Row は1回の実行で1行を更新すること | Zapier: Find and update spreadsheet rows in Google Sheets on Zapier | 2026-10-06 |
| Looping by Zapier に、テキスト・line items・数値からループを作る方法があること。ループの後ろの手順がループの1回ごとに動き、1回ごとに別の Zap の実行になること。Professional・Team・Enterprise のプランで使えること | Zapier: Loop your Zap actions | 2026-10-06 |
| AI by Zapier が Zap に生成AIの手順を足す組み込みの道具で、複数の提供元に対応し、自社のキーも使えること。出力のフィールドを定義できること。Standard は1タスク、Advanced は3タスク、Premium は5タスクで、新しい手順の既定が Premium であること | Zapier: Use AI by Zapier to analyze and return data | 2026-10-06 |
| Gmail のアクションに Create Draft、Send Email があること。トリガーがポーリングで動くこと | Zapier: How to get started with Gmail on Zapier | 2026-10-06 |
| Google Drive の New File in Folder が、指定したフォルダに作られた・移された・アップロードされたファイルで動き、サブフォルダを含める設定があること。Google Drive のトリガーがポーリングで動くこと | Zapier: How to get started with Google Drive on Zapier | 2026-10-06 |
締切を延ばすか、掲載日を動かすかの判断は、営業と制作の責任者が行ってください。 本記事は、製品の公開仕様で確認できた範囲だけを扱っています。
実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。
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