Media > AI活用ユースケース > 営業 > 保険代理店の事務担当から出る「この契約の変更・解約にはどの書類と手続きが要るか」の質問に、保険会社ごとの事務手引と通達を根拠にチャットで答え、手引に無いものを保険会社へ照会する

保険代理店の事務担当から出る「この契約の変更・解約にはどの書類と手続きが要るか」の質問に、保険会社ごとの事務手引と通達を根拠にチャットで答え、手引に無いものを保険会社へ照会する

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

代理店の事務担当や募集人が「この契約の受取人を変えるには何が要るか」をチャットで聞くと、契約の保険会社と種目を確かめ、その会社の事務手引と最新の通達から必要な書類と手順を根拠付きで答えます。手引に無いものは保険会社への照会票にして回します。

サマリー
生成AI
Gemini
AIサービス
Azure AI/Google Vertex AI/OpenSearch
連携・自動化
Python
対象業界
その他/不動産/保険
対象部門
営業/総務
対象業務
問い合わせ対応/情報検索
主な課題
問い合わせが多い/情報が見つからない/確認ミスが多い
AIで行う処理
対話
主な効果
品質標準化/対応スピード向上/教育コスト削減
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
RAG・個別開発(大)
人間の確認
条件付き
現在工数
70h/月
AI導入後
25h/月
想定削減
64%
年間削減
540h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 事務担当が、顧客の名前と手続きの内容を、業務課に社内チャットか電話で伝える
  2. 業務課の担当者が、証券番号、保険会社、種目、契約者・被保険者・受取人の関係を聞き返す
  3. その保険会社の事務手引を開き、手続きの章を探す。最近の通達で変わっていないかを共有フォルダで確かめる
  4. 必要な書類、署名する人、添える本人確認書類を事務担当に伝える
  5. 手引で分からないものは、保険会社の代理店向けの窓口に電話かメールで照会する
  6. 解約の質問で、別の保険への切り替えの話が出ていれば、課長に知らせる
  7. やり取りを、問い合わせの記録の表に書く
導入後(After)
  1. 人事務担当か募集人が、社内の手続きチャットで質問する(例:「証券番号○○の受取人を、配偶者から子に変えたい。何が要るか」)
  2. 自動中継プログラムが、証券番号から契約管理の仕組みを引き、保険会社・種目・契約日を決める
  3. 自動質問を「契約内容の変更」「名義の変更」「車両入替」「解約」「その他」に分け、足りない条件(契約者と被保険者は同じ人か、受取人は誰か、手続きを申し出たのは誰か)を選択肢で聞き返す
  4. 自動回す条件(解約して別の保険に入り直す、契約者が亡くなった、成年後見人からの申出、手引に無い手続き)に当たれば、答えを作らずに業務課へ回す
  5. 自動保険会社・種目・手続きで絞り込み、Agent Search(旧 Vertex AI Search)の answer メソッドが、その会社の事務手引と今日効いている通達から根拠付きで答える
  6. 自動答えられなかったものは、聞き取った条件を並べた保険会社への照会票の下書きを作り、業務課の待ち行列に載せる
  7. 人事務担当は、根拠の手引と通達のページを確かめてから、顧客へ書類を送る
  8. 人業務課の担当者は、回ってきた質問と照会票だけを見て、必要なら保険会社へ照会する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 事務担当が、顧客の名前と手続きの内容を、業務課に社内チャットか電話で伝える
  2. 業務課の担当者が、証券番号、保険会社、種目、契約者・被保険者・受取人の関係を聞き返す
  3. その保険会社の事務手引を開き、手続きの章を探す。最近の通達で変わっていないかを共有フォルダで確かめる
  4. 必要な書類、署名する人、添える本人確認書類を事務担当に伝える
  5. 手引で分からないものは、保険会社の代理店向けの窓口に電話かメールで照会する
  6. 解約の質問で、別の保険への切り替えの話が出ていれば、課長に知らせる
  7. やり取りを、問い合わせの記録の表に書く

(a)保険会社を取り違える。 顧客の名前だけで聞かれ、担当者が記憶で「この人は損保のC社」と思い込む。同じ顧客が複数の会社の契約を持っていると、別の契約の手続きを案内してしまいます。

(b)通達を見落とす。 手引の書類の一覧で答えた後に、先月の通達で様式が変わっていたと分かる。保険会社から書類が差し戻され、顧客にもう一度書いてもらうことになります。 顧客に二度頼むのは、代理店にとっていちばん気まずい場面です。

(c)関係者の同意を聞き漏らす。 死亡保険の受取人の変更は、被保険者の同意がなければ効力を生じないと保険法が定めています。契約者と被保険者が別の人の契約で、同意の署名の案内が漏れると、手続きが成立しません。

(d)解約の質問に、切り替えの話が混ざる。 「他社で入り直すので解約したい」は手続きの質問に見えますが、保険業法が禁じる、不利益となる事実を告げずに契約を乗り換えさせる行為に当たらないかを確かめる場面です。 書類の案内だけで済ませると、その確認が抜けます。

  1. 【人】 事務担当か募集人が、社内の手続きチャットで質問する(例:「証券番号○○の受取人を、配偶者から子に変えたい。何が要るか」)
  2. 【自動】 中継プログラムが、証券番号から契約管理の仕組みを引き、保険会社・種目・契約日を決める
  3. 【自動】 質問を「契約内容の変更」「名義の変更」「車両入替」「解約」「その他」に分け、足りない条件(契約者と被保険者は同じ人か、受取人は誰か、手続きを申し出たのは誰か)を選択肢で聞き返す
  4. 【自動】 回す条件(解約して別の保険に入り直す、契約者が亡くなった、成年後見人からの申出、手引に無い手続き)に当たれば、答えを作らずに業務課へ回す
  5. 【自動】 保険会社・種目・手続きで絞り込み、Agent Search(旧 Vertex AI Search)の answer メソッドが、その会社の事務手引と今日効いている通達から根拠付きで答える
  6. 【自動】 答えられなかったものは、聞き取った条件を並べた保険会社への照会票の下書きを作り、業務課の待ち行列に載せる
  7. 【人】 事務担当は、根拠の手引と通達のページを確かめてから、顧客へ書類を送る
  8. 【人】 業務課の担当者は、回ってきた質問と照会票だけを見て、必要なら保険会社へ照会する

2番目が、この設計の分かれ目です。 保険会社を決めるのは、事務担当の記憶でも顧客の名前でもなく、証券番号から引いた契約管理の仕組みの値です。 AIに「どの会社の契約か」を推し量らせると、質問の文にある商品名の言い回しから別の会社を選ぶことがあります。

4番目の「解約して別の保険に入り直す」を回すのも、意図してのことです。 解約の書類はAIが案内できますが、乗り換えに不利益が無いかの説明が済んでいるかは、管理者が募集人に確かめることです。 手続きの案内に流すと、その確認の機会が消えます。

02今回想定するシステム構成

構成図
社内の手続きチャット(店舗の事務担当・募集人)
   ▼【トリガー】質問の送信(社員の ID 付き)
中継プログラム(Python、Cloud Run)
   ├──▶ 契約管理の仕組み:証券番号 → 保険会社・種目・契約日
   ├──▶ 手続きの種類の判定 → 聞き返しの選択肢
   ├──▶ 回す条件 → 業務課の待ち行列
   ▼
Agent Search(Vertex AI Search)── answer メソッド
   │  データストア:保険会社ごとの事務手引+事務連絡の通達
   │               +保険法の条文+過去の照会の回答
   │  絞り込み:insurer/line/procedure/valid_from/valid_to
   ▼
中継プログラム ── 根拠の文書が同じ保険会社のものかを確かめる
   ├──▶ 回答・必要書類の一覧・根拠を返す
   └──▶ 答えられない → 照会票の下書き → 業務課の待ち行列
役割想定する製品代替候補
検索基盤Vertex AI Search(Agent Search)の answer メソッドAzure AI Search、Amazon OpenSearch Service
生成AIGemini(answer メソッドの回答の生成に使うモデル)─
連携中継プログラム(Python。Cloud Run で動かし、チャット・契約管理の仕組み・検索・待ち行列をつなぐ)Node.js で同じものを書く
認証社内の ID 基盤(社員の ID でログイン)Google の ID
保管Cloud Storage(事務手引・通達・条文の原本とメタデータ)─

契約管理の仕組みは、新しく足すものではありません。 中継プログラムは証券番号から保険会社・種目・契約日を読むだけで、顧客の氏名や住所は引きません。最初の準備は、各社の事務手引と通達を、保険会社・種目・手続き・適用開始日のメタデータ付きで並べ直すことです。

検索の土台は、Agent Search(Vertex AI Search から改称中)の answer メソッドです。 検索の結果から回答を作り、出典を付けられます。前のセッションの ID を渡すとやり取りを続けられ、質問の言い換えは既定で有効です。回答の文ごとに根拠の強さのスコアを返す設定と、スコアの低い回答を落とす設定があります。

法令の土台は、保険法と保険業法です。 保険法は、保険契約者は保険事故が発生するまで保険金受取人を変更でき、変更は保険者に対する意思表示によってするとし、死亡保険契約の受取人の変更は被保険者の同意がなければ効力を生じないとしています。契約者による解除は、損害保険・生命保険・傷害疾病定額保険のいずれもいつでもできるとされています。保険業法第300条第1項第4号は、不利益となるべき事実を告げずに、既に成立している契約を消滅させて新たな契約の申込みをさせる行為を禁じています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

起点は、事務担当か募集人が手続きチャットに質問を送ったことです。 チャットは社員の ID でログインした人が使え、所属の店舗から、回したときの連絡先を決めます。

証券番号を必須にします。 顧客の名前だけでは契約を決められないからです。証券番号が手元に無いときは「分からない」を選べますが、その場合は保険会社と種目を選択肢で選ばせ、回答の上に「契約を確かめていません」と表示します。

1件の質問は、1つのセッションで最後まで続けます。 「では住所も一緒に変える場合は」のような続けての質問は同じセッションでつなぎ、別の契約の話は新しいセッションで始めます。 前の契約の保険会社が言い換えの中に残るからです。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
質問事務担当が打った質問の文、選んだ聞き返しの値チャット
社員の情報所属の店舗、損保・生保の区分社内の ID 基盤
契約の情報証券番号、保険会社、種目、契約日(氏名・住所は引かない)契約管理の仕組み
事務手引手続きごとの必要書類、署名する人、本人確認書類、送り先各保険会社の代理店向けの画面のPDF
通達書類や手順の変更、適用開始日、置き換わる手引の箇所各保険会社の事務連絡のPDF
保険法の条文第27条・第54条・第83条(解除)、第43条〜第45条(受取人の変更)e-Gov 法令検索の法令API
過去の照会の回答業務課が保険会社に照会して得た回答と、その日付業務課の記録
回す条件の表手続きの種類ごとに、聞き返す項目と選択肢、答えずに回す値業務課が作る表

質を決めるのは、通達のメタデータです。 通達ごとに保険会社、種目、手続き、適用開始日、置き換わる手引の章を付けます。これが無いと、手引の古い記載と通達の新しい記載が同じ重さで並び、どちらを根拠に答えたかが運次第になります。

事務手引を取り込む前に、各保険会社との取り決めを確かめます。 代理店委託契約や情報の取扱いの取り決めで、手引を代理店の外のサービスに置くことがどう扱われているかは会社によって違います。認められていない会社の手引は取り込まず、その会社の質問はすべて業務課に回します。

Step3

データの取得方法を決める

事務手引・通達・条文・過去の照会の回答は、Cloud Storage に置いてデータストアに取り込みます。 保険会社の代理店向けの画面からPDFを取る作業は、業務課が通達の届いた日に行います。 取り方は保険会社ごとに違い、自動で取れるかは各社の画面の仕様によるため、ここは手作業を前提にします。

取るものどこから何に使うか
保険会社メタデータ他社の文書を混ぜない
種目(自動車・火災・傷害・生命など)メタデータ同じ会社の別の種目を混ぜない
手続き(変更・名義・入替・解約)メタデータ質問の種類に合う章だけに絞る
適用開始日・終了日メタデータ今日効いている通達と手引の箇所だけに絞る

絞り込みの式は、会社と種目と日付で書きます。 項目を索引可能にしておけば、insurer: ANY("C") AND line: ANY("auto") AND valid_from <= "2026-10-08" AND valid_to >= "2026-10-08" のように、その会社のその種目で、今日効いている文書だけを引けます。日付は ISO 8601 の形式でそろえます。

通達で置き換わった手引の箇所には、通達の適用開始日を終了日として書きます。 こうしておくと、古い記載は絞り込みの時点で外れ、モデルに渡りません。 通達が「当面の間」としか書いていないときは、終了日を空にして業務課が見直す一覧に載せます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 手引を手続きの章で分ける … 数百ページの手引を、手続きの見出しで分けて取り込みます
  2. 必要書類の表を見出し付きで残す … 「必要書類」「署名者」の表は、表のまま取り込みます
  3. 通達にメタデータを付ける … 保険会社、種目、手続き、適用開始日、置き換わる章を書きます
  4. 置き換わった手引の箇所に終了日を付ける … 通達の適用開始日を終了日として書きます
  5. 条文を取り込む … 保険法の解除と受取人の変更の条を、条の見出しを付けて取り込みます
  6. 過去の照会の回答を整える … 顧客の氏名と証券番号を消し、保険会社・種目・手続きと回答の日付を付けます
  7. 見出しを断片に含める … データストアの作成時に分割を有効にし、includeAncestorHeadings を有効にします

4番目が、この構成でいちばん効きます。 手引そのものを書き換えることはできないので、置き換わった箇所を日付で外すしかありません。通達が届いた日にこれをやるかどうかで、(b)の差し戻しが減るかが決まります。

7番目は、データストアを作る前に決めます。 分割はデータストアの作成のあとでは有効にも無効にもできず、見出しを含める設定は既定では無効です。 「必要書類」の表は、見出しが無いとどの手続きの書類か分かりません。 分割の大きさは100〜500トークンで、既定は500です。

Step5

AIに処理させる

させるのは、決まった保険会社・種目・手続きの事務手引と通達から、必要な書類・署名する人・本人確認書類・送り先を見つけ、事務担当が顧客に頼む順に並べて返すことです。 会社を決めること、回すかどうかは、中継プログラムが行います。

要素中身根拠
必要な書類様式の名前、部数手引、通達
署名する人契約者、被保険者、受取人など手引、通達
本人確認書類手引が定める書類の種類手引
注意点同意が要る、期限があるなど手引、通達、条文
根拠の場所手引の章、通達の番号と日付全部

answer メソッドの設定は次のようにします。

設定値理由
session質問ごとのセッション聞き返しと続けての質問をつなぐ
includeCitations有効手引の章と通達の番号を付ける
ignoreLowRelevantContent有効手引と通達に無い話に答えない
ignoreNonAnswerSeekingQuery有効あいさつや雑談で検索しない
groundingSpec の filteringLevelFILTERING_LEVEL_HIGH根拠の弱い回答を出さない
filter保険会社、種目、手続き、今日の日付他社の文書と古い記載を混ぜない
preamble下の指示答え方の規則を与える
させないこと理由
どの保険会社の契約かを決める証券番号から契約管理の仕組みで決める
手引に無い書類を足す・省いてよいと言う保険会社が決める。照会で確かめる
他社の手引の書類で補う様式と署名の欄が違う
解約と乗り換えの是非管理者が募集人の説明を確かめる
解約の返戻金や保険料の計算保険会社の計算による

3行目がいちばん起きやすい失敗です。 会社で絞り込んでいても、その会社の手引に該当の記載が無いと、モデルは過去の照会の回答から別の会社の例を引いて「一般的には」と書きます。 過去の照会の回答にも保険会社のメタデータを付け、同じ絞り込みに掛けます。

Step6

指示内容を固定する

answer メソッドの preamble に、次の指示を入れます。

あなたは保険代理店の業務課の担当者として、
店舗の事務担当と募集人から、契約の変更・解約の手続きの質問に答えます。
読むのは、顧客に送る書類を準備している社員です。短く答えてください。

【前提】
検索の文の最初に、保険会社、種目、手続きの種類、
契約者と被保険者が同じ人か、受取人の続柄が並んでいます。
保険会社と種目はすでに決まっています。その会社の文書だけを使って答えてください。

【答え方】
1. 最初に、顧客に送る書類を、様式の名前のとおりに並べてください。
2. 次に、それぞれの書類に署名する人を書いてください。
3. 本人確認書類が要る場合は、手引に書かれた種類を書いてください。
4. 通達で変わった点があれば、通達の番号と適用開始日を書いてください。
5. 根拠にした手引の章と通達の番号を書いてください。

【厳守事項】
- 検索結果の文書に書かれていることだけで答えてください。
  他の保険会社の手続きや一般的な知識で補わないでください。
- 「一般的には」「多くの保険会社では」と書かないでください。
- 手引にない書類を足したり、書類を省いてよいと書いたりしないでください。
- 解約の返戻金や保険料の額を書かないでください。
- 他の保険への切り替えについて意見を書かないでください。
- 該当する記載が見つからないときは、
  「この保険会社の手引と通達に該当する記載が見つかりません。業務課から保険会社へ照会します」
  とだけ書いてください。

「一般的には、と書かない」が、この指示の要です。 他社の文書で補うことを禁じるだけでは、モデルは会社名を出さずに一般論として同じ内容を書きます。 乗合の代理店では、その一般論がどの会社にも当てはまらないことがあります。書き方そのものを禁じ、記載が無ければ照会に回します。

検索の文は、中継プログラムが組み立てます。 例えば「保険会社:C社、種目:生命(定期)、手続き:受取人の変更、契約者と被保険者:同じ、新しい受取人:子。必要な書類と署名する人は何か」のように、条件を先に並べ、事務担当の質問の文を最後に足します。 顧客の氏名と証券番号は渡しません。

Step7

出力形式を固定する

answer メソッドの応答を、中継プログラムが次の形に整えて、チャットと記録に渡します。

{
  "inquiry_id": "",
  "session_id": "",
  "branch": "",
  "contract": { "policy_no_hash": "", "insurer": "", "line": "", "contract_date": "", "verified": true },
  "procedure": "change | holder_or_beneficiary | vehicle_replace | cancellation | other",
  "conditions": { "holder_is_insured": true, "beneficiary_relation": "", "requested_by": "holder | insured | heir | guardian | other" },
  "status": "answered | escalated | skipped",
  "escalate_reason": "switching | holder_deceased | guardian | not_in_manual | insurer_mismatch | not_verified | skipped | user_request | none",
  "answer_text": "",
  "documents": [ { "form_name": "", "signers": [""], "source": "" } ],
  "refs": [ { "insurer": "", "doc_type": "manual | notice | statute | inquiry", "title": "", "section": "", "valid_from": "", "uri": "" } ],
  "inquiry_draft": "",
  "feedback": "resolved | escalated_after | returned_by_insurer | none"
}

1つ目の理由は、refs の insurer を検査に使えることです。 根拠の文書の保険会社が、contract の保険会社と1件でも違えば、回答を出さずに insurer_mismatch で回します。 他社の書類で答えるという失敗を、文の読み方に頼らずに止められます。

2つ目は、inquiry_draft で照会が速くなることです。 答えられなかったときに、保険会社・種目・手続き・関係者の続柄を並べた照会の下書きを、中継プログラムがひな形から作ります。 業務課の担当者は聞き直さずに保険会社へ照会でき、届いた回答は過去の照会の回答として取り込みます。

3つ目は、feedback の returned_by_insurer で差し戻しを数えられることです。 書類が保険会社から戻ったら事務担当が付け、どの会社のどの手続きで差し戻しが多いかが分かります。通達の取り込みが遅れている会社を見つける材料になります。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
社内の手続きチャット社内向けの画面質問を受け、聞き返しと回答を表示する
社内の ID 基盤ログイン所属の店舗を決める
契約管理の仕組み読み取り(証券番号で照会)保険会社・種目・契約日を引く
Agent Searchanswer メソッドの呼び出しその会社の手引と通達から回答を作る
業務課の待ち行列書き込み回す質問と照会票の下書きを載せる
問い合わせの記録書き込み質問・条件・回答・評価を残す

保険会社の代理店向けの画面には、つなぎません。 手続きの入力は事務担当が各社の画面で行い、チャットは書類の案内までです。 契約管理の仕組みの照会のしかたは製品によって違い、この部分は個別の実装が必要です。

Step9

人が確認する

事務担当は、回答を読んだあと、根拠の手引と通達のページを開いて確かめてから、顧客へ書類を送ります。 回答の上には、契約管理の仕組みから引いた保険会社・種目と、適用した通達の日付を並べて表示します。

  1. 契約が合っているかを見る … 保険会社と種目が、顧客から聞いた契約と同じかを確かめます
  2. 署名する人を見る … 契約者と被保険者が別の人の契約では、同意の署名の欄を顧客に必ず伝えます
  3. 評価を付ける … 解決した/業務課へ回した/保険会社から差し戻された、を選びます

2番目を軽く見ないでください。 死亡保険の受取人の変更は、被保険者の同意がなければ効力を生じません。書類が揃っていても、同意の署名が無ければ手続きは成り立ちません。

業務課の担当者は、回ってきた質問と照会票だけを見ます。 switching は募集人に乗り換えの説明の記録を確かめ、記録が無ければ手続きを止めます。

目標は、300件をならして1件5分です。 チャットで解決した質問の記録の確認と、回ってきた質問を担当者が判断し照会する時間の平均です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
証券番号が見つからない打ち直しを促し、見つからなければ会社と種目を選ばせて not_verified を付ける
「別の保険に入り直す」が選ばれる答えを作らず switching で回し、管理者へ通知する
契約者が亡くなった答えを作らず holder_deceased で回す。相続の手続きが絡むため
成年後見人や代理人からの申出答えを作らず guardian で回す
手引と通達に記載が無いnot_in_manual で回し、照会票の下書きを付ける
根拠に他社の文書が混ざる回答を出さず insurer_mismatch で回す
取り込みが認められていない保険会社検索せずに業務課へ回す
検索の呼び出しが失敗する「回答を作れませんでした」と表示し、業務課の連絡先を示す

5行目の照会の結果は、必ず取り込みます。 保険会社から届いた回答を過去の照会の回答としてデータストアに入れると、同じ質問は次から照会せずに答えられます。 取り込むときは、回答の日付を適用開始日として付けます。

Step11

記録を残す

  • 質問の文、選んだ聞き返しの値、日時、所属の店舗
  • 契約管理の仕組みから引いた保険会社・種目・契約日(証券番号はハッシュで残す)
  • 中継プログラムが組み立てた検索の文と、使った絞り込みの式
  • answer メソッドの応答の全文(回答、出典、根拠のスコア、回答しなかった理由)
  • 回す・回さないの判定と、その理由、照会票と保険会社からの回答
  • そのとき効いていた通達の番号と適用開始日

最後の行は、差し戻しの原因を確かめるときに効きます。 保険会社から「様式が古い」と戻ってきたときに、当時の回答がどの通達を根拠にしていたかを並べて見られるようにしておきます。

04実装レベルの3段階

最小構成:1社分の手引と通達を手元のAIサービスに読み込ませ、担当者が条件を貼って聞く / 該当する章の検索
半自動化:上記+全社分のデータストアを作り、担当者が質問を受けながら検索画面で聞く / 会社・種目・日付で絞った根拠付きの回答
本格構成:上記+事務担当がチャットで直接聞き、契約の照会、聞き返し、回す判断、照会票の下書きを行う / 質問の受け付けから回答・照会まで

半自動化で、1件14分が9分程度になります。 探す時間と通達の確認は縮みますが、聞き返しと、担当者が全件を受ける形が残ります。本格構成で5分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、証券番号から会社と種目が決まり、聞き返しが選択肢に移るからです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の1か月で、通達のメタデータの付け方が業務課に定着するかを見ます。通達が届いた日に終了日を付ける運用が回らないうちに本格構成に進むと、店舗に古い書類の案内が直接届きます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
300 件
1件あたり現在時間
14 分
1件あたり導入後時間
5 分
現在  300件 × 14分 ÷ 60 = 70 時間/月
導入後 300件 × 5分 ÷ 60 = 25 時間/月
月間削減時間
45h
削減率
64%
年間削減時間
540h
年間金額換算(時間単価3,000円)
162万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 複数の保険会社の商品を扱う乗合の保険代理店で、事務担当と募集人が数十名以上いる場合。保険会社ごとに事務手引と事務連絡の通達が届き、契約の変更や解約の書類が会社と種目で違うために、本部の業務課に「どの書類が要るか」の質問が毎月届いている場合。書類の不備で保険会社から差し戻され、手続きがやり直しになることがある場合。
向いていない
  1. 取扱う保険会社が1社で、その会社の代理店向けの画面で手続きが案内まで完結している場合。事務担当が数名で、業務課の担当者が全員の手続きを見ている場合。保険会社の事務手引を代理店の外のサービスに取り込むことが、保険会社との代理店委託契約や情報の取扱いの取り決めで認められていない場合(取り込む前に、各社の取り決めを確かめる必要があります)。

07最小構成で試す方法

  1. 過去半年に業務課に届いた質問から30件を選ぶ(通達で書類が変わった手続きと、保険会社から差し戻された手続きを数件ずつ入れる)
  2. その30件について、担当者がどの手引と通達を見てどう答えたかを記録から拾う
  3. 1社分の事務手引と最近の通達を、手元のAIサービスに資料として読み込ませる
  4. 種目と手続きと関係者の続柄を貼り、「添付の資料だけを根拠に、必要な書類と署名する人を答えてください。他社の手続きや一般論で補わないでください」と指示する
  5. 出てきた回答を、当時の担当者の回答と突き合わせる
出てきた内容判断
当時と同じ書類と署名者が出たデータストアの構築に進む
「一般的には」と補った指示の書き方と会社の検査で直る。構成は有効
通達で変わる前の書類で答えた通達のメタデータと終了日を付けるのが先。 検索の問題ではない

3行目は、資料を読み込ませるだけの最小構成ではほぼ必ず出ます。 手引と通達が同じ重さで並ぶからです。どの通達がどの章を置き換えたかを、業務課が表にする作業が要ると分かったということです。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
他社の手引の書類で答える会社で絞り込み、根拠の文書の会社を検査する
「一般的には」と補う書き方を禁じ、過去の照会の回答にも会社を付ける
通達で変わる前の書類で答える置き換わった章に終了日を付け、日付で外す
顧客の名前だけで契約を決める証券番号を必須にし、契約管理の仕組みの値で決める
被保険者の同意の署名が漏れる契約者と被保険者が同じかを聞き返しの必須項目にする
解約の質問で乗り換えの確認が抜ける「入り直す」を回す値にし、管理者が確かめる
必要書類の表がどの手続きのものか分からない作成時に includeAncestorHeadings を有効にする。後から変えられない
手引の取り込みを保険会社と確かめていない取り込む前に各社の取り決めを確かめ、認められない会社は回す

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、手引としては正しい記載を引いているのに、その会社のその日の手続きには当てはまらないという失敗です。会社と日付を、質問の文ではなく証券番号と通達のメタデータで決めているかで、防げるかが決まります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 保険会社の事務手引と通達、保険法の条文、過去の照会の回答、契約の保険会社・種目・契約日、事務担当の質問の文です。質問の文には、顧客の家族関係や健康の事情が書かれることがあります。

  1. 顧客を特定できる情報を検索に渡さない … 中継プログラムは氏名と証券番号を検索の文に入れず、記録には証券番号をハッシュで残します。画面にも「顧客の氏名や病名は書かないでください」と表示します
  2. 保険会社の文書の扱いを各社と確かめる … 手引と通達は保険会社の文書です。取り込むかどうか、どこに置くかを、代理店委託契約と各社の取り決めに合わせます
  3. 乗り換えの判断をAIに触れさせない … 保険業法第300条第1項第4号が禁じる行為に当たらないかは、管理者が募集人の説明の記録で確かめます
  4. 手引に無い書類を作らせない … 書類の追加や省略は保険会社が決めます。記載が無ければ照会します
  5. 問い合わせの記録の保存の期間を決める … 差し戻しの原因を確かめられる期間だけ残し、期間を過ぎたら消します

誤りが起きた場合のリスクは、他社や古い手引の書類を案内して手続きが差し戻されることと、乗り換えの確認を飛ばして解約の手続きを進めることの2つです。 前者は会社と日付の絞り込みと会社の検査で、後者は回す条件で防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:通達の一覧を作る

8社の通達のうち、今効いているものを一覧にし、どの手引のどの章を置き換えたかを書きます。各社との取り決めで手引を取り込めるかもこの週に確かめます。

2週目:30件で試す

過去半年の質問から30件を選び、手元のAIサービスに1社分の手引と通達を読み込ませて聞きます。通達で変わる前の書類で答えていないか、一般論で補っていないかを最優先で見ます。

3週目:回す条件の表を決める

「入り直す」「契約者の死亡」「成年後見人」「手引に無い」を中心に、聞き返す項目と回す値を表にし、業務課長と管理者の承認を取ります。

4週目:データストアを作る

保険会社・種目・手続き・適用開始日のメタデータと分割・見出しの設定を決めて取り込みます。業務課の担当者が検索画面で使い、自分の回答と比べます。

2か月目: 中継プログラムとチャットを作り、店舗の1つで試します。回った理由と差し戻しを毎週数えます。3か月目以降: 全店舗に広げ、1件14分が何分になったかを実測します。業務課に届く質問が、照会の要るものと乗り換えの確認だけになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
Vertex AI Search が Agent Search へ改称中であること。answer メソッドが前のセッションの ID でやり取りを続けられ、質問の言い換えが既定で有効なこと。includeCitations、ignoreLowRelevantContent、ignoreNonAnswerSeekingQuery、preamble、filter。groundingSpec の filteringLevel で根拠のスコアの低い回答を落とせること、文ごとに根拠のスコアが付くことGoogle Cloud: Get answers and follow-ups2026-10-08
絞り込みの ANY()、比較の演算子、AND/OR、項目を索引可能にする必要があること、日付を ISO 8601 で書けることGoogle Cloud: Filter search for structured or unstructured data2026-10-08
レイアウトパーサーが表と見出しを検出し、PDF などを扱えること。分割の大きさが100〜500トークン(既定500)、includeAncestorHeadings が既定で無効、分割は作成後に切り替えられないことGoogle Cloud: Parse and chunk documents2026-10-08
保険法第27条・第54条・第83条(保険契約者はいつでも解除できること)、第43条(保険事故の発生までは受取人を変更でき、保険者に対する意思表示によること)、第44条(遺言による変更)、第45条(死亡保険契約の受取人の変更は被保険者の同意がなければ効力を生じないこと)e-Gov 法令検索 法令API: 保険法2026-10-08
保険業法第300条第1項第4号(不利益となるべき事実を告げずに既存の契約を消滅させて新たな契約の申込みをさせる行為の禁止)。2026年8月12日施行の改正を反映した版e-Gov 法令検索 法令API: 保険業法2026-10-08

どの書類で手続きができるかは、各保険会社の事務手引と通達、代理店向けの窓口の回答に従ってください。 本記事は Google Cloud と e-Gov 法令検索で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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