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社員から届く在職証明書・給与の証明・源泉徴収票の再発行の依頼メールを種類で分類し、人事のデータから必要な情報を集めて、書類の下書きと送付の準備をする

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

社員から人事に届く証明書の依頼メールを、在職証明書・給与の証明・源泉徴収票の再発行などの種類で分類します。人事のデータから書類の下書きを作り、担当者の確認を経て送付の準備まで進めます。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/Claude
連携・自動化
Make/Power Automate/Zapier
対象業界
その他/人材/介護/小売/製造
対象部門
人事/総務
対象業務
分類・仕分け/書類作成
主な課題
入力作業が多い/問い合わせが多い/属人化している
AIで行う処理
分類
主な効果
品質標準化/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
60h/月
AI導入後
16h/月
想定削減
73%
年間削減
528h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 共有メールボックスで依頼のメールを開き、何の書類が要るのかを読む
  2. 提出先、部数、対象の年、英文の要否、受け取り方が書かれていなければ、本人に聞き返す
  3. 人事システムで在籍の状態・入社日・所属・雇用の形態を、給与システムで支給額を調べる
  4. Word の様式に値を写し、社印の押印の申請をする
  5. PDFにして本人の会社のアドレスへ送るか、紙を拠点へ社内便で送る
  6. 依頼の管理表に、受付日・種類・送付日を書く
導入後(After)
  1. 自動共有メールボックスに依頼のメールが届くと、フローが動く
  2. 自動差出人のアドレスを社員のデータと照らし、在籍している社員かを確かめる
  3. 自動プロンプトがメールを証明書の種類で分類し、提出先・部数・対象の年・英文の要否・受け取り方を取り出す
  4. 自動足りない情報があれば、聞き返しのメールの下書きを作る
  5. 自動種類ごとに、人事と給与のデータから値を引き、Word の様式に差し込んで下書きを作る
  6. 自動源泉徴収票の再発行は、給与システムが出した写しを社員のフォルダーから探す
  7. 自動下書きと集めた値を付けて、担当者に承認の依頼を出す
  8. 人担当者が値と書類を確かめ、承認・修正・差し戻しを選ぶ
  9. 【人/自動】 承認したものを、受け取り方に応じて送付する(PDFは会社のアドレスへ、紙は拠点へ)
  10. 自動管理表に、種類・受付日・承認日・送付日を記録する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 共有メールボックスで依頼のメールを開き、何の書類が要るのかを読む
  2. 提出先、部数、対象の年、英文の要否、受け取り方が書かれていなければ、本人に聞き返す
  3. 人事システムで在籍の状態・入社日・所属・雇用の形態を、給与システムで支給額を調べる
  4. Word の様式に値を写し、社印の押印の申請をする
  5. PDFにして本人の会社のアドレスへ送るか、紙を拠点へ社内便で送る
  6. 依頼の管理表に、受付日・種類・送付日を書く

(a)何が要るのかを読む時間が長い。 「ローンの審査で収入証明を」とあっても、要るのが源泉徴収票なのか、会社の様式の給与証明なのかは、提出先によって違います。担当者は、提出先の名前から経験で判断しています。

(b)聞き返しの往復で日が延びる。 対象の年が書かれていない、部数が書かれていない、受け取り方が書かれていない。1回の往復で2〜3日が消え、社員の手続きの期限に間に合わなくなることがあります。

(c)値を写すところで誤る。 入社日を前の雇用の形態のときの日にする、所属を異動の前のままにする。2つのシステムの画面を見比べて写すので、異動の多い月ほど誤りが出ます。

(d)作り方が人によって違う。 給与の証明に通勤手当を含めるか、賞与を含めるか。担当者ごとに違い、同じ社員が2回頼むと違う金額の書類が出ることがあります。

  1. 【自動】 共有メールボックスに依頼のメールが届くと、フローが動く
  2. 【自動】 差出人のアドレスを社員のデータと照らし、在籍している社員かを確かめる
  3. 【自動】 プロンプトがメールを証明書の種類で分類し、提出先・部数・対象の年・英文の要否・受け取り方を取り出す
  4. 【自動】 足りない情報があれば、聞き返しのメールの下書きを作る
  5. 【自動】 種類ごとに、人事と給与のデータから値を引き、Word の様式に差し込んで下書きを作る
  6. 【自動】 源泉徴収票の再発行は、給与システムが出した写しを社員のフォルダーから探す
  7. 【自動】 下書きと集めた値を付けて、担当者に承認の依頼を出す
  8. 【人】 担当者が値と書類を確かめ、承認・修正・差し戻しを選ぶ
  9. 【人/自動】 承認したものを、受け取り方に応じて送付する(PDFは会社のアドレスへ、紙は拠点へ)
  10. 【自動】 管理表に、種類・受付日・承認日・送付日を記録する

8番目を外さないのが、この設計の前提です。 証明書は社外へ出る書類で、会社が内容を証明するものです。下書きがどれだけ正しくても、出すのは担当者が確かめてからです。

3番目と5番目を分けているのも、意図してのことです。 分類と取り出しは生成AIの仕事、値の差し込みはフローの仕事です。生成AIに渡すのはメールの文だけで、給与の金額は渡しません。

02今回想定するシステム構成

構成図
社員(人事の共有メールボックスへ依頼のメール)
   ▼【トリガー】新しいメールが届いたとき(共有メールボックス)
Power Automate(受付のフロー)
   ├──▶ 差出人と社員のデータの照合(在籍の確認)
   ├──▶ AI Builder のプロンプト:種類の分類と、要る情報の取り出し(JSON)
   ├──▶ 足りない情報 → 聞き返しの下書き
   ├──▶ 社員のデータ・支給額の一覧(SharePoint のリスト)から値を引く
   ├──▶ Word Online:Microsoft Word テンプレートを設定する → PDF に変換する
   ├──▶ 源泉徴収票の写しを社員のフォルダーから探す
   └──▶ 担当者へ承認の依頼(開始して承認を待機)
【担当者が確かめて承認】
   ▼
送付(会社のアドレスへ PDF / 拠点へ紙)と管理表への記録
役割想定する製品代替候補
ワークフローPower Automate(クラウド フロー)Make、Zapier
生成AIAI Builder のプロンプト(「プロンプトを実行する」アクション、JSON 出力)Azure OpenAI(Microsoft Foundry)、Claude
書類の作成Word Online(Business)コネクタ(テンプレートの設定、PDF への変換)―
受信と送付Office 365 Outlook(共有メールボックス)―
保管SharePoint(社員のデータ、支給額の一覧、管理表、社員ごとのフォルダー)Dataverse

人事システムと給与システムには、直接つなぎません。 毎日、人事システムから在籍の状態・入社日・所属・雇用の形態を、毎月、給与システムから支給額の一覧を出力し、人事の担当だけが見られる SharePoint の場所に置きます。 源泉徴収票の写しも、給与システムが出した PDF を社員ごとのフォルダーに置く運用にします。

書類の作成には、Word Online(Business)コネクタを使います。 公式ドキュメントでは、Word で開発タブからコンテンツ コントロールを置いた様式を作り、「Microsoft Word テンプレートを設定する」アクションで値を差し込んで文書を作れるとされています。使えるコントロールは、プレーン テキスト、コンボ ボックス、ドロップダウン リスト、イメージ、繰り返しセクションで、日付選択やチェック ボックスは使えないとされています。

このコネクタは Power Automate ではプレミアムの区分です。 また公式ドキュメントでは、多要素認証(MFA)の条件付きアクセス ポリシーが有効な場合、「Microsoft Word テンプレートを設定する」アクションは使用できないとされています。フローの接続に使うアカウントの扱いを、情報システム部門と先に決めておきます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

人事の共有メールボックスに依頼のメールが届いたことを起点にします。 Office 365 Outlook コネクタのトリガー「新しいメールが届いたとき (V3)」で、「元のメールボックス アドレス」に共有メールボックスを入れます。フォルダーは「証明書の依頼」用に分け、受信の規則で件名や宛先から振り分けておきます。 給与の問い合わせや勤怠の連絡まで同じフローに入れると、分類の対象が広がりすぎます。

公式ドキュメントでは、まれにトリガーが起動するまで最大1時間かかることがあるとされています。証明書の依頼は即時の応答を求めるものではないので、この遅れは問題になりません。ただし、その日のうちに受付の返事が出るよう、受付の自動返信だけはトリガーの直後に置きます。

1日に1回まとめて処理する形にはしません。 聞き返しが必要な依頼ほど、早く返したほうが往復の日数が短くなります。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
依頼のメール差出人、件名、本文、受信日時、添付(提出先の様式など)共有メールボックス
社員のデータ社員番号、氏名、生年月日、会社のアドレス、在籍の状態、入社日、所属、雇用の形態、勤務の拠点SharePoint のリスト(人事システムから毎日出力)
支給額の一覧社員番号ごとの月の支給額と、前年の年収(含める手当の区分ごと)SharePoint のリスト(給与システムから毎月出力)
源泉徴収票の写し年分ごとの PDFSharePoint の社員ごとのフォルダー
電子交付の承諾の記録社員ごとの、源泉徴収票の電子交付の承諾の有無SharePoint のリスト
様式種類ごとの Word の様式SharePoint のライブラリ

質を決めるのは、支給額の一覧の「含める手当の区分」です。 給与の証明に通勤手当を含めるか、賞与を含めるかで金額が変わります。区分ごとの列を持たせ、どの列を使うかを人事の取り決めとして先に決めます。 第3章の(d)が起きていたのは、この取り決めが無かったからです。

電子交付の承諾の記録は、源泉徴収票の送り方を決めるために持ちます。 国税庁のQ&Aでは、源泉徴収票を電子交付するには、あらかじめ電磁的方法の種類と内容を示して承諾を得ることが必要で、承諾を得ていても書面での交付の請求があれば書面で交付しなければならないとされています。

Step3

データの取得方法を決める

メールはトリガーの出力から本文と添付を取ります。社員のデータは、差出人のアドレスで SharePoint のリストを引きます。 引けた社員の社員番号を、以降のすべての検索の鍵にします。

取るものどう引くか何に使うか
社員のデータ差出人のアドレスで「複数の項目の取得」在籍の確認、在職証明書の値
支給額社員番号と対象の期間で絞る給与の証明の値
源泉徴収票の写し社員番号のフォルダーから年分のファイル名で探す再発行
承諾の記録社員番号で引く源泉徴収票の送り方

差出人のアドレスで社員が引けない依頼は、プロンプトにかける前に人へ回します。 退職した社員、個人のアドレスから送った社員、社外の第三者(金融機関などからの在籍の確認)がここに入ります。本人かどうかを確かめられない相手に、在籍や収入の情報を出さないためです。

支給額は、フローが直接 Word の様式に差し込みます。 生成AIを通さない値は、ほかに入社日・生年月日・所属です。生成AIの出力から取るのは、種類・提出先・部数・対象の年・英文の要否・受け取り方だけです。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 差出人の確認 … 会社のアドレスで社員が引けるか、在籍の状態が在籍か休職かを見ます。引けなければ人へ
  2. 本文の掃除 … 署名、転送の履歴、引用の部分を落とします。転送のメールは、元の依頼者が別にいることがあるので印を付けます
  3. 添付の確認 … 提出先の指定の様式が付いているかを見ます。付いていれば、会社の様式では出さず人へ回します
  4. 重複の確認 … 同じ社員から同じ種類の依頼が直近7日にあれば、再送か追加の依頼かを人が確かめます
  5. 対象の年の目安 … 依頼の受信日を渡し、「去年」「前年分」のような書き方を年に直す手がかりにします

3番目の「提出先の指定の様式」は、自動の対象から外します。 自治体の保育の就労証明書や、金融機関の指定の書式は、項目の並びも書き方も提出先が決めています。会社の様式に差し込む構成では作れないので、最初から人の作業に分けます。

Step5

AIに処理させる

生成AIの仕事は、分類と取り出しです。 1通のメールに複数の書類の依頼が入っていることがあるので、種類は複数を返させます。

種類のコード書類自動で下書きを作るか
employment_cert在職証明書作る
salary_cert給与(収入)の証明作る
withholding_reissue源泉徴収票の再発行写しを探す(作らない)
resignation_cert退職証明書作らない(人へ)
designated_form提出先の指定の様式への記入作らない(人へ)
other証明書以外の問い合わせ作らない(窓口へ回す)

取り出す項目は、種類ごとに決めています。

項目中身書かれていないとき
提出先金融機関、不動産会社、自治体、大使館など聞き返す
部数1部、2部1部とせず聞き返す
対象の年・期間源泉徴収票の年分、給与の証明の期間聞き返す
英文の要否日本語/英語日本語として扱い、assumed を付ける
受け取り方PDF/紙(拠点へ)/紙(自宅へ郵送)聞き返す

英文の要否だけは、書かれていなければ日本語として扱います。 依頼の大半が日本語で足り、英文が要る社員はほぼ必ずそう書くからです。ただし assumed の印を付け、担当者が承認のときに気づけるようにします。

させないことも決めています。

させないこと理由
証明書を出すかどうかの判断会社が証明する書類。担当者が決める
金額・入社日などの値の作成データから差し込む。生成AIを通さない
書かれていない部数・期間の補完聞き返す。推測で出すと作り直しになる
依頼の理由の詳しい書き写し住宅ローンや在留の事情は、記録に要らない
Step6

指示内容を固定する

あなたは人事部の証明書の窓口で、社員から届いた依頼のメールを読む立場です。
渡されたメールの本文だけを読み、依頼されている書類の種類と、作成に要る情報を取り出してください。

【書類の種類】
- employment_cert ...... 在職証明書(在籍していることの証明)
- salary_cert .......... 給与・収入の証明(会社の様式による支給額の証明)
- withholding_reissue .. 源泉徴収票の再発行
- resignation_cert ..... 退職証明書
- designated_form ...... 提出先が指定した様式への記入
- other ................ 証明書の依頼ではない問い合わせ
1通に複数の書類の依頼があれば、すべてを requests に並べてください。

【取り出す項目(書類ごと)】
- submit_to:提出先(例:金融機関、不動産会社、自治体、大使館)
- copies:部数
- period:対象の年または期間(受信日 {received_date} を基準に、「去年」などは年に直す)
- language:ja / en
- delivery:pdf / paper_site / paper_home

【厳守事項】
- 書かれていない項目は空にし、missing に項目名を入れてください。推測で埋めないでください。
- 部数が書かれていない場合に 1 としないでください。
- language が書かれていない場合だけ ja とし、language_assumed を true にしてください。
- 「収入の分かるもの」のように書類が特定できない場合は、候補の種類を candidates に並べ、
  type を空にしてください。
- 金額、入社日、所属などの値を書かないでください。
- 依頼の理由(ローン、在留の手続きなど)は reason_category に区分だけを書き、
  詳しい事情を書き写さないでください。
- 証明書を出すべきかどうかを書かないでください。
- 回答に JSON マークダウンを含めないでください。

【メールの本文】{mail_body}

「書類が特定できない場合は候補を並べて type を空にする」を入れているのは、第3章の(a)のためです。 「収入の分かるもの」は、源泉徴収票でも給与の証明でもありえます。どちらかに決めさせると、もっともらしいほうを選んで下書きが作られます。 空にしておけば、聞き返しの下書きに候補が並びます。

「部数を1としない」も同じ考えです。 書かれていない部数を1とすると、2部要る社員に1部が届き、もう一度依頼してもらうことになります。 聞き返しの1往復のほうが、作り直しより早く終わります。

聞き返しの下書きは、missing と candidates から定型の文で組み立てます。 生成AIに聞き返しの文を自由に書かせず、項目ごとの定型の質問を並べることで、社員に届く文の書き方をそろえます。

Step7

出力形式を固定する

プロンプトの出力は、JSON のカスタム形式で固定します。 公式ドキュメントでは、JSON の例を更新すると形式がカスタムになり、保存すると形式がロックされるとされています。テスト中に「JSON を生成できませんでした」と出るときは、指示に「回答に JSON マークダウンを含めないでください」を加える対処が示されています。

{
  "mail_id": "HR-20261007-0412",
  "employee_no": "E021834",
  "requests": [
    { "type": "employment_cert", "candidates": [], "submit_to": "金融機関",
      "copies": "2", "period": "", "language": "ja", "language_assumed": true,
      "delivery": "pdf", "missing": [] },
    { "type": "", "candidates": [ { "code": "withholding_reissue" }, { "code": "salary_cert" } ],
      "submit_to": "金融機関", "copies": "", "period": "2025", "language": "ja",
      "language_assumed": true, "delivery": "", "missing": [ { "item": "copies" }, { "item": "delivery" } ] }
  ],
  "reason_category": "housing_loan"
}

1つ目の理由は、1通に複数の依頼が入る形をそのまま扱えることです。 在職証明書は作れるが、もう1つは聞き返しが要る、という状態を、書類ごとに別々に進められます。 公式ドキュメントでは、フィールド キーの無い配列はサポートされないとされているため、candidates や missing もキーを持つ要素の配列にしています。

2つ目は、missing と candidates から聞き返しを機械的に作れることです。 生成AIの自由文に頼らずに、社員に何を聞くかが決まります。

3つ目は、reason_category で依頼の傾向を数えられることです。 住宅ローンの時期、在留の手続きの時期に依頼が増えるかが分かれば、窓口の人の配置を前もって決められます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
共有メールボックスOffice 365 Outlook のトリガーと送信依頼の受信、聞き返し・送付のメール
社員のデータ・支給額SharePoint コネクタ在籍の確認と、差し込む値の取得
様式Word Online(Business)コネクタテンプレートの設定と PDF への変換
担当者Power Automate の承認「開始してテキストの承認を待機」などの承認のアクション
管理表SharePoint のリスト受付から送付までの記録

様式は、コンテンツ コントロールに一意の名前を付けて作ります。 公式ドキュメントでは、ドキュメント テンプレート内のコンテンツ コントローラー名は一意である必要があるとされています。「入社日」「所属」「支給額_1月」のように名前を決め、フローの値と1対1に結びつけます。日付選択のコントロールは使えないので、日付もプレーン テキストで置きます。

PDF への変換には、「Word 文書を PDF に変換する」アクションを使います。 公式ドキュメントでは、秘密度ラベルが「社外秘」「高機密」のファイルはこのアクションで扱えないとされています。給与の証明の様式に秘密度ラベルを自動で付ける設定がある会社は、変換の前後のどこでラベルを付けるかを決めておきます。

承認には、Power Automate の承認のアクションを使います。 公式ドキュメントでは、プロンプトの後に「開始してテキストの承認を待機」を置き、レビュー担当者が承認のメニューから内容を確かめて編集できるとされています。承認の依頼には、作った PDF と、差し込んだ値の一覧と、元のメールを付けます。

Step9

人が確認する

担当者は、すべての下書きを承認の前に確かめます。 見るところは決めておきます。

  1. 種類が合っているか … 元のメールを読み、要る書類と下書きの種類が一致しているかを見ます
  2. 差し込んだ値が今の状態か … 所属と雇用の形態は、異動や雇用の形態の変更の直後に古いことがあります。 社員のデータの更新日を一覧に出しておきます
  3. language_assumed が付いていないか … 付いていて、提出先が大使館や外国の機関なら、英文が要るかを本人に確かめます
  4. 送り方が承諾の記録と合っているか … 源泉徴収票を PDF で送るなら、電子交付の承諾があるかを見ます

目標は、240件をならして1件4分です。 値が正しく、種類がはっきりしている依頼は1〜2分で承認でき、聞き返しや指定の様式のものに時間を残せます。

Step10

例外に対処する

起きること対応
差出人で社員が引けない自動の処理をせず人へ。退職者、個人のアドレス、社外の第三者を本人確認の手順に回す
社外の機関からの在籍の確認自動で答えない。本人の同意の取り方を含め、人事の決まりで扱う
提出先の指定の様式が添付されている人が記入する。会社の様式では出さない
書類の種類が特定できない候補を並べて聞き返す
退職証明書の依頼人が作る。記載する事項は本人の請求の内容に沿って担当者が決める
源泉徴収票の写しがフォルダーに無い給与の担当に再出力を頼む。フローで作り直さない
PDF で送りたいが電子交付の承諾が無い紙で拠点へ送るか、承諾の手続きを案内する
承諾があっても紙を希望している紙で交付する
Word のテンプレートの設定が失敗する接続のアカウントと条件付きアクセスの設定を確かめる。復旧まで担当者が手で作る
休職中の社員からの在職証明書の依頼下書きは作るが、休職の記載の要否を担当者が決める

上の2行は、本人かどうかの確認の問題です。 在職や収入の証明は、社外の第三者が本人になりすまして手に入れようとすることがある情報です。 会社のアドレスで社員が引けたときだけ自動で進め、それ以外は必ず人の手順に乗せます。

Step11

記録を残す

  • 依頼のメールのIDと受信日時、差出人
  • プロンプトの出力(requests、reason_category)
  • 差し込んだ値と、そのとき使った社員のデータと支給額の一覧の更新日
  • 作った書類の PDF と、承認した担当者・承認日時・修正の有無
  • 送付の方法、宛先、送付日時
  • 聞き返しの回数と、聞き返した項目

3つ目の「更新日」は、後から書類の値を問われたときのために残します。 異動の直後に作った在職証明書の所属が古かった、と言われたとき、どの時点のデータで作ったかが分かれば、どこで食い違ったかを説明できます。

聞き返した項目は、毎月数えます。 部数と受け取り方の聞き返しが多いなら、依頼の案内に「部数と受け取り方を書いてください」と一行足すだけで往復が減ります。

04実装レベルの3段階

最小構成:手元のAIサービスにメールを貼り、種類と要る情報を取り出させる / 分類と取り出しの確かめ
半自動化:上記+Power Automate で依頼を受け、分類と足りない情報を管理表に書き出す / メールを読む作業と聞き返しの下書き
本格構成:上記+社員のデータからの差し込み、Word の様式での下書き、承認、送付、記録 / 受付から送付の準備まで

最小構成では件数はさばけません。 確かめるための段階です。 半自動化で、1件15分が10分程度になります。 読む作業と聞き返しは軽くなりますが、2つのシステムから値を写す作業が残ります。本格構成で4分になり、この段階が本記事の想定です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の管理表を1か月見ると、どの種類の依頼が多いか、どの項目の聞き返しが多いかが分かります。多い種類から様式を整え、値の差し込みを足すほうが、早く効きます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
240 件
1件あたり現在時間
15 分
1件あたり導入後時間
4 分
現在  240件 × 15分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 240件 × 4分 ÷ 60 = 16 時間/月
月間削減時間
44h
削減率
73%
年間削減時間
528h
年間金額換算(時間単価2,800円)
148万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 社員が数千名いて、住宅ローン・賃貸の契約・保育園の申込み・ビザの手続きなどのための在職証明書や給与の証明、源泉徴収票の再発行の依頼が、人事の共有メールボックスに毎月数百件届く会社。依頼の種類ごとに書式と集める項目が決まっているのに、担当者が1件ずつメールを読み、人事システムと給与システムを開いて手で書類を作っている場合。Microsoft 365 と Power Automate を使える場合。
向いていない
  1. 社員が数十名で、依頼が月に数件の場合。人事システムに社員が自分で証明書を出せる機能があり、ほとんどの依頼がそこで済んでいる場合。証明書の書式が提出先ごとに毎回違い、決まった様式で出せない場合。なお、証明書を出すかどうか、記載の内容をどこまで書くかの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の依頼のメールから30件を選ぶ(種類がはっきりしないものと、複数の書類を頼んでいるものを入れる)
  2. 30件それぞれについて、当時の担当者が作った書類の種類と、聞き返した項目を書き出す
  3. 手元のAIサービスに、メールの本文(氏名とアドレスを伏せたもの)を貼る
  4. 「このメールで依頼されている書類の種類と、提出先・部数・対象の年・英文の要否・受け取り方を取り出してください。書かれていない項目は空にし、推測で埋めないでください」と指示する
  5. 出てきた結果を、当時の担当者の判断と突き合わせる

30件は必ずやってください。 フローを組む前に、種類の分け方が担当者の見方と合うかを確かめます。

出てきた内容判断
当時と同じ種類と聞き返しの項目が出たフローに進む
書かれていない部数を1と埋めた指示の書き方で直る。構成は有効
「収入の分かるもの」をどの種類にするかが担当者ごとに違った提出先ごとの書類の決まりを作るのが先。 AIの問題ではない

3行目が出たら、窓口の決まりを1枚にまとめる機会です。 「金融機関の住宅ローンには源泉徴収票の写し、賃貸の契約には会社の様式の給与の証明」のような決まりを作り、プロンプトの入力に渡します。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
「収入の分かるもの」を勝手に1つの種類に決める候補を並べて type を空にさせ、聞き返す
書かれていない部数を1とする埋めることを禁じ、聞き返す
生成AIの出力から金額を取ってしまう金額はデータから直接差し込む。 プロンプトに金額を渡さない
個人のアドレスからの依頼に自動で応える差出人で社員が引けなければ人へ
様式のコントロールの名前が重複している名前を一意にする
日付選択のコントロールを使った様式が動かない日付もプレーン テキストで置く
MFA の条件付きアクセスでテンプレートの設定が使えない接続のアカウントの扱いを情報システム部門と決める
秘密度ラベルの付いた文書が PDF にならないラベルを付ける時点を変換の後にする
異動の直後の所属が古いデータの更新日を承認の一覧に出す
源泉徴収票をフローで作り直そうとする給与システムが出した写しを送る
電子交付の承諾の無い社員に PDF で送る承諾の記録を引き、無ければ紙にする
承認を省いて自動で送りたくなる証明書は担当者が確かめてから出す

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、生成AIに「決めさせてはいけないもの」を決めさせてしまうところから起きています。種類が決まらないときは決めさせない、金額は通さない、と設計の段階で線を引きます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 社員の氏名、生年月日、入社日、所属、雇用の形態、給与の支給額と年収、源泉徴収票、そして依頼の理由に書かれた住宅ローン・在留の手続き・保育の申込みなどの事情です。

  1. 生成AIに金額を渡さない … プロンプトに渡すのはメールの本文だけです。支給額と源泉徴収票は、フローが直接扱います
  2. 本人であることを確かめてから出す … 会社のアドレスで社員が引けたときだけ自動で進めます。社外からの在籍や収入の照会には、自動で答えません
  3. 送付先を会社のアドレスか拠点に限る … 依頼のメールに別の宛先が書かれていても、自動では送りません
  4. 依頼の理由を記録に残しすぎない … 区分だけを残し、事情の詳細は元のメールで見ます
  5. データの置き場所の権限を絞る … 支給額の一覧と源泉徴収票のフォルダーは、人事の担当とフローの接続のアカウントだけが見られるようにします
  6. この構成は、証明書を出すかどうかの判断を代替しません … 休職中・退職予定の社員の記載、社外の照会への対応は、人事の担当と責任者が決めることです

誤りが起きた場合のリスクは、誤った内容の証明書を出すことと、本人以外に情報を出すことの2つです。 前者は生成AIに値を作らせると起き、後者は差出人の確認を省くと起きます。どちらも、生成AIに任せる範囲を分類と取り出しに限ることで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:種類と様式を決める

依頼の多い書類(在職証明書、給与の証明)の様式を、Word のコンテンツ コントロールで作り直します。給与の証明に含める手当の区分を人事の責任者と決めます。

2週目:30件で試す

先月の依頼から30件を選び、手元のAIサービスで種類と要る情報を取り出させます。書かれていない部数や期間を埋めていないか、種類が特定できないときに決めてしまっていないかを最優先で見ます。

3週目:データの置き場所を作る

人事システムから社員のデータを、給与システムから支給額の一覧を出力し、権限を絞った SharePoint の場所に置く運用を作ります。源泉徴収票の写しを社員ごとのフォルダーに置く運用も決めます。

4週目:受付から分類までをつなぐ

Power Automate で共有メールボックスを見張り、分類と足りない情報を管理表に書き出すところまで作ります。この時点では下書きを作らず、分類の精度と聞き返しの項目だけを見ます。

2か月目: Word の様式への差し込みと承認を足し、在職証明書から始めます。3か月目以降: 給与の証明と源泉徴収票の再発行を足し、1件15分が何分になったかを実測します。聞き返しの多い項目を依頼の案内に反映し、往復の回数が下がった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-07/最終更新:2026-10-07
確認した内容情報源確認日
給与所得の源泉徴収票は、受給者の承諾を得ることで電磁的方法により提供(電子交付)できること。あらかじめ電磁的方法の種類及び内容を示し、電磁的方法又は書面で承諾を得ること。承諾を得ていても書面による交付の請求があるときは書面で交付しなければならないこと。「期限までに回答がない時は承諾があったものとみなす」旨の通知の扱い国税庁: 源泉徴収票等の電子交付に関するQ&A(基本的な事項)2026-10-07
「Microsoft Word テンプレートを設定する」「Word 文書を PDF に変換する」アクション。サポートされるコンテンツ コントロール(プレーン テキスト、コンボ ボックス、ドロップダウン リスト、イメージ、繰り返しセクション)と、サポートされないもの(日付選択、チェック ボックスなど)。コンテンツ コントローラー名が一意である必要があること。MFA の条件付きアクセス ポリシーが有効な場合にテンプレートの設定が使用できないこと。「社外秘」「高機密」のファイルが PDF 変換で扱えないこと。Power Automate でプレミアムの区分であることMicrosoft Learn: Word Online (ビジネス) コネクタ2026-10-07
「プロンプトを実行する」アクションでプロンプトを使えること。プロンプトの後に「開始してテキストの承認を待機」を置き、レビュー担当者が内容を確かめて編集できること。AI Builder が一部の地域に限定されることMicrosoft Learn: Power Automate でプロンプトを使用する2026-10-07
JSON の例を更新すると形式がカスタムになり、保存すると形式がロックされること。「回答に JSON マークダウンを含めないでください」の対処。フィールド キーの無い配列がサポートされないことMicrosoft Learn: JSON 出力2026-10-07
トリガー「新しいメールが届いたとき (V3)」で共有メールボックスを指定できること。まれに起動まで最大1時間かかることMicrosoft Learn: Office 365 Outlook コネクタ2026-10-07

給与の証明に含める手当の区分、提出先ごとの書類の決まり、退職証明書の記載の扱いは、自社の人事の決まりと労務の専門家に確かめてください。 本記事は、国税庁と Microsoft の公開ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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