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社内マニュアルから新人研修の教材と理解度テストを作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

すでに社内にある業務マニュアルや作業手順書を入力にして、研修1コマ分の教材一式を下書きさせます。出てくるのは、講義の筋書き、現場で起きやすい失敗の例、演習の課題、そして理解度テストの設問と正解・解説です。

サマリー
利用ツール
ChatGPT/Claude/Gemini/Google Apps Script/Microsoft Copilot/Power Automate
対象業界
その他/介護/小売/製造
対象部門
人事
対象業務
書類作成/要約
主な課題
属人化している/引き継ぎができていない/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
生成
主な効果
品質標準化/工数削減/教育コスト削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
最小構成
費用感
既存ツールのみ(小)
人間の確認
必須
現在工数
48h/月
AI導入後
14h/月
想定削減
71%
年間削減
408h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 教育担当が、その回の研修テーマに該当するマニュアルの章を探す
  2. 該当箇所を読み込み、研修で扱う範囲を決める
  3. 講義用のスライドまたは配布資料を書き起こす
  4. 現場でよくある失敗例を、自分の経験や店舗への聞き取りから足す
  5. 理解度テストの設問を5問つくり、正解と解説を書く
  6. Google フォームに設問を1問ずつ手で入力し、正解と配点を設定する
  7. 現場の責任者にレビューを依頼し、指摘を反映する
  8. 研修当日に使い、受講者の理解度テストの結果を集計する
導入後(After)
  1. 教育担当が、研修テーマと対象マニュアルのファイル、扱う章を指定する
  2. 自動指定した章を読み、研修1コマ分の講義草案を作る
  3. 自動各段落に、根拠にしたマニュアルのページ番号を付ける
  4. 自動理解度テストの設問5問と、正解・誤答の選択肢・解説を作る
  5. 自動マニュアルに書かれていない事項を `not_in_source` として別に並べる
  6. 教育担当が、根拠ページを開いて草案と突き合わせ、直す
  7. 現場の責任者が、実務と合っているかを確認する
  8. 自動確定した設問を Google フォームの理解度テストとして作る
各工程の詳しい説明を読む
  1. 教育担当が、その回の研修テーマに該当するマニュアルの章を探す
  2. 該当箇所を読み込み、研修で扱う範囲を決める
  3. 講義用のスライドまたは配布資料を書き起こす
  4. 現場でよくある失敗例を、自分の経験や店舗への聞き取りから足す
  5. 理解度テストの設問を5問つくり、正解と解説を書く
  6. Google フォームに設問を1問ずつ手で入力し、正解と配点を設定する
  7. 現場の責任者にレビューを依頼し、指摘を反映する
  8. 研修当日に使い、受講者の理解度テストの結果を集計する

問題は4つあります。

(a)マニュアルの改訂に教材が追いつかない。 マニュアルは年に数回改訂されますが、教材は作った時点で止まります。改訂箇所と教材の対応表がないため、どの教材を直せばよいかを探すところから始まります。

(b)担当者ごとに教材の粒度が違う。 同じ「レジ締め」の研修でも、担当者Aは手順を細かく分けて説明し、担当者Bは要点だけを話します。受講者が受け取る情報量が変わります。

(c)設問づくりに時間がかかる。 「正しいものを1つ選べ」の設問は、誤答の選択肢をどう作るかが難しい部分です。明らかに間違っている選択肢を並べると、読まなくても正解できてしまいます。

(d)教材の中身がマニュアルと食い違うことがある。 担当者が記憶で書いた手順が、現行のマニュアルと違っていることがあります。研修で教わったとおりにやったら現場で注意された、という状態が起きます。

  1. 教育担当が、研修テーマと対象マニュアルのファイル、扱う章を指定する
  2. 【自動】 指定した章を読み、研修1コマ分の講義草案を作る
  3. 【自動】 各段落に、根拠にしたマニュアルのページ番号を付ける
  4. 【自動】 理解度テストの設問5問と、正解・誤答の選択肢・解説を作る
  5. 【自動】 マニュアルに書かれていない事項を not_in_source として別に並べる
  6. 【人】 教育担当が、根拠ページを開いて草案と突き合わせ、直す
  7. 【人】 現場の責任者が、実務と合っているかを確認する
  8. 【自動】 確定した設問を Google フォームの理解度テストとして作る

自動化されるのは「読む」「書き起こす」「設問の形に整える」「フォームに入力する」の4つです。残るのは「この教え方でよいかを決める」ことだけになります。

マニュアルに書かれていないことを、AIが一般論で補って書いてしまうのが最大のリスクです。 手順5で、原本に根拠がない記述を別枠に追い出しておくと、確認する人はそこだけを重点的に見ればよくなります。

02今回想定するシステム構成

構成図
業務マニュアル(PDF・600ページ)
   │
   ▼ ① 章単位に分けて保管
Google ドライブ の「教材の元ネタ」フォルダ
   │
   ▼ ②【人】研修テーマと対象の章を指定
生成AI(citations を有効にする)
   │
   ├──▶ 講義草案(段落ごとに根拠ページ付き)
   ├──▶ 演習課題と模範解答
   ├──▶ 理解度テスト5問(設問・選択肢・正解・解説)
   └──▶ not_in_source(原本に根拠がない記述の一覧)
   │
   ▼
確認シート(草案と根拠ページを並べる)──【人が修正・承認】
   │
   ├──▶ 講義資料・配布資料
   └──▶ Google Apps Script ──▶ Google フォームの理解度テスト
役割想定する製品代替候補
生成AIClaudeChatGPT、Gemini、Microsoft Copilot
実行環境Google Apps ScriptPower Automate、手作業でのコピー
保管Google ドライブSharePoint、Box
出力先Google フォームMicrosoft Forms、紙の配布テスト

最小構成では、実行環境もフォーム自動作成も不要です。 ブラウザ上の生成AIにマニュアルのPDFを添付し、草案を出させてコピーするだけで始められます。Apps Script が効いてくるのは、月20本を超えて手入力の負担が無視できなくなってからです。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

教育担当が「研修テーマ」と「対象マニュアルの章」を指定したことを起点にします。フォルダ監視や定時実行にはしません。

理由は、どのマニュアルのどの範囲を教材にするかが、研修計画に依存する判断だからです。ここを自動化すると、まだ改訂中の章や、店舗によって運用が違う章まで教材化されてしまいます。起点は人が置きます。

改訂への追随だけは自動化の余地があります。マニュアルのファイルが更新されたことを検知して、「この章を根拠にしている教材が3本あります」と担当者に知らせる形にします。教材を作り直すかどうかは人が決めます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
業務マニュアル章単位に分割したPDFGoogle ドライブ
作業手順書店舗の実作業の手順(写真付き)Google ドライブ
研修の型1コマの時間配分、講義と演習の比率、テストの問題数教育担当が定義した文書
過去の教材既存の教材(粒度と語り口の見本として渡す)Google ドライブ
よくある失敗例店舗から集めたヒヤリハット・クレームの記録社内の報告フォームの回答

過去の教材を渡すのは、出力の粒度と語り口をそろえるためです。「新人向けに書いて」という指示だけでは、丁寧すぎる文章と要点だけの箇条書きが混ざります。見本を2〜3本渡すほうが確実です。

Step3

データの取得方法を決める

マニュアル: PDFをそのまま渡します。生成AIにPDFを送ると、各ページが画像に変換され、そのページから抽出したテキストと画像の両方が渡ります。図や作業写真の入ったマニュアルでも、レイアウトを含めて扱えます。1ページあたりのトークン消費は、内容の密度によって1,500〜3,000トークン程度が目安です。

ただし1リクエストの上限があります。 リクエスト全体で32MB、ページ数は100ページ(大きなコンテキストを使える設定では600ページ)が上限です。600ページのマニュアルを一度に渡すことはできません。章単位に分割して保管する前処理が必須になります。

よくある失敗例: 店舗からの報告フォームの回答をスプレッドシートに集め、研修テーマに関係する行だけを抜き出して渡します。全件を渡す必要はありません。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 章単位への分割 … 600ページのマニュアルを、章ごとに10〜40ページのPDFに分けます。ページ数の上限に収めるためと、根拠ページの指し示しを分かりやすくするためです
  2. ページ番号の対応表 … 分割後のPDFの1ページ目が、原本の何ページにあたるかの対応表を作ります。これがないと、根拠ページを言われても原本を開けません
  3. 改訂日の記録 … 各章のファイル名に改訂日を入れます。教材にも同じ日付を残し、どの版から作った教材かを追えるようにします
  4. 写真のみのページの扱い … 作業写真だけでテキストのないページは、根拠として引用できません。該当ページには短い説明文を追記しておきます
Step5

AIに処理させる

処理内容
講義草案の作成指定した章の内容を、研修1コマ(45分想定)の流れに並べ直す
根拠ページの付与各段落について、もとにしたマニュアルのページ番号を示す
失敗例の紐づけ渡したヒヤリハットのうち、この章に関係するものを選んで配置する
演習課題の作成章の内容を使わないと答えられない課題を作る
設問の作成理解度テスト5問。設問・選択肢4つ・正解・解説
誤答選択肢の設計実際に新人が誤解しやすい内容を誤答にする(明らかな間違いを並べない)
原本外の記述の申告マニュアルに根拠がない記述を not_in_source に列挙する

誤答の選択肢づくりが、この用途でもっとも人の手間を減らす部分です。 「よくある誤解を誤答にしてください」という指示を明示的に与えないと、正解以外が明らかに不自然な選択肢になり、テストとして機能しません。

Step6

指示内容を固定する

あなたは小売業の店舗運営を教える研修担当者です。
添付したマニュアルの指定範囲だけを根拠に、研修1コマ分の教材を作ってください。

【厳守事項】
- マニュアルに書かれていないことを書かないでください。
  業界の一般論、他社の事例、あなたの推測を混ぜないでください。
- 補足したほうがよいと判断した内容は、本文には入れず
  not_in_source に「補いたい内容」と「なぜ必要と考えたか」を書いてください。
- 各段落の末尾に、根拠にしたマニュアルのページ番号を示してください。
- 手順の順序を入れ替えないでください。マニュアルの記載順に従ってください。
- 数値(時間、温度、回数、金額)は、マニュアルの表記をそのまま写してください。
  丸めたり単位を変えたりしないでください。
- 理解度テストの誤答選択肢は、新人が実際に誤解しやすい内容にしてください。
  明らかに不自然な選択肢を作らないでください。
- 判断に迷った箇所は needs_review に列挙してください。

【研修の型】
1コマ45分。導入5分/講義20分/演習15分/まとめ5分。
理解度テストは4択5問。合格ラインは4問正解。

【教材の見本】(粒度と語り口をこれに合わせる)
{past_material}

【この章に関係する現場の失敗例】
{incident_records}

【対象範囲】
{manual_pdf} の第3章「レジ締めと現金管理」

「数値をそのまま写す」の1行が重要です。 「20分以内」を「およそ20分」と書き換えられると、教材としての意味が変わります。時間・温度・回数・金額は、書き換えを明示的に禁じます。

Step7

出力形式を固定する

{
  "lesson_title": "",
  "duration_min": 45,
  "sections": [
    {
      "heading": "",
      "body": "",
      "source_pages": [12, 13],
      "minutes": 5
    }
  ],
  "exercise": {
    "task": "",
    "model_answer": "",
    "source_pages": []
  },
  "quiz": [
    {
      "question": "",
      "choices": ["", "", "", ""],
      "correct_index": 0,
      "explanation": "",
      "misconception": "",
      "source_pages": []
    }
  ],
  "not_in_source": [
    { "content": "", "reason": "" }
  ],
  "needs_review": []
}

misconception に「この誤答を選ぶ人は何を誤解しているか」を書かせると、解説の質が上がります。また、Google フォームの誤答時フィードバックにそのまま使えます。

ここで一点、実装上の制約があります。 根拠を機械的に扱いたい場合、生成AIのcitations機能を使うと、引用元のページ番号(PDFでは1始まり)と引用された原文が構造化された形で返ります。ただしcitationsと、JSONスキーマを強制する構造化出力は同時に使えません。両方を指定すると400エラーになります。

どちらを取るかは、次のように分けます。

やりたいこと選ぶ方式
根拠の原文まで機械的に取り出したいcitations を使い、JSONスキーマの強制はあきらめる
後段のフォーム自動作成に確実に流したい構造化出力を使い、根拠ページは上記のように本文の項目として書かせる

最小構成では前者、Apps Script でフォームを自動生成する半自動化では後者を選ぶことになります。

Step8

システムへ連携する

確定した設問を Google フォームの理解度テストにします。Apps Script の FormApp を使うと、次の操作ができます。

やること使う機能
テスト形式にするsetIsQuiz(true)
4択の設問を追加するaddMultipleChoiceItem()
正解を指定するcreateChoice(value, isCorrect) の第2引数を true にする
配点を設定するsetPoints(points)
誤答時の解説を出すsetFeedbackForIncorrect(feedback)
正答時の補足を出すsetFeedbackForCorrect(feedback)
回答の保存先を指定するsetDestination(type, id)
受講者に配る URL を取るgetPublishedUrl()

setPoints の既定値は0点です。設定を忘れると、全問正解でも0点のテストができます。 生成した設問JSONをそのまま流し込む処理を書くときは、配点の指定を必ず含めてください。

講義資料そのものは、Google ドキュメントまたはスライドに流し込みます。ここは体裁の問題なので、既存の教材テンプレートに差し込む形が扱いやすくなります。

Step9

人が確認する

全件、人が確認します。公開前の確認を省く運用にはしません。

理由は、教材が「新人がそのとおりに行動するための文書」だからです。誤った手順が載れば、そのとおりに実行されます。特に、現金の取り扱い、食品の温度管理、機械の操作手順は、誤りがそのまま事故や損失になります。

確認を速くするための設計が重要です。

  • 確認シートで、生成された段落と根拠ページのマニュアル本文を左右に並べる
  • not_in_source の項目を最上部に、色を変えて表示する
  • 数値(時間・温度・回数・金額)を含む文を自動で強調する
  • 前回版からの変更箇所だけを表示する切り替えを付ける(改訂時に効きます)

確認は2段階にします。 教育担当が原本との突き合わせを行い、現場の責任者が実務との整合を見ます。前者は「書いてあるとおりか」、後者は「実際にそうしているか」を見ます。この2つは別の確認です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
指定した章にテスト5問分の内容がない作れた分だけ返し、needs_review に不足を書く。無理に5問作らせない
マニュアルの記述が古く、現場と違う教材の生成を止め、マニュアルの改訂を先に行う。教材側でつじつまを合わせない
同じ手順が複数の章に別々に書かれている両方の根拠ページを示し、どちらが現行かを人に判断させる
写真だけで説明されている手順テキストがないため引用できない。needs_review に入れ、人が文章化する
章のPDFが100ページを超える前処理で分割する。分割できていない場合はエラーで止める
not_in_source が10件以上出たマニュアル側の記述が不足している合図。教材化より先にマニュアルを補う
生成した設問の正解が2つある人が確認して修正する。フォーム化の前に、正解が1つかを機械的に検査する
改訂前の版から作った教材が残っている教材に記録した改訂日と、現行マニュアルの改訂日を突き合わせて警告する
Step11

記録を残す

  • 元にしたマニュアルのファイル名と改訂日
  • 生成した草案(修正前の状態)
  • 人が修正した箇所と、修正前後の内容
  • not_in_source に出た項目と、採否の判断
  • 確認した教育担当と現場責任者、確認日
  • 受講者の理解度テストの結果(設問ごとの正答率)

最後の項目が、教材の質を測る材料になります。特定の設問だけ正答率が極端に低い場合、受講者の理解不足ではなく、設問か教材の説明に問題があることが多くあります。 半年に一度、正答率の低い設問を洗い出して見直す運用にします。

04実装レベルの3段階

最小構成:ブラウザ上の生成AIにPDFを添付し、出てきた草案をコピーして整える / 草案づくり
半自動化:章の指定 → API経由で草案とテストJSONを生成 → Apps Script でGoogle フォームを自動作成 / 草案づくりとテストの作成
本格構成:上記+マニュアル改訂の検知+影響する教材の洗い出し+受講結果の集計と設問の見直し / 確認以外のほぼすべて

最小構成の時点で、120分が50分程度になります。 書き起こしの時間が消えるためです。半自動化まで進めると、フォームへの手入力(1本あたり約15分)がなくなり35分程度になります。本格構成で減るのは、改訂のたびに「どの教材を直すか」を探す時間です。これは月単位ではなく、改訂が起きた月にまとめて効きます。 多くの企業では、半自動化で十分です。 本格構成が見合うのは、マニュアルの改訂が頻繁で、教材の本数が100本を超えてから追随が難しくなっている場合です。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
24 件
1件あたり現在時間
120 分
1件あたり導入後時間
35 分
現在  24件 × 120分 ÷ 60 = 48 時間/月
導入後 24件 × 35分 ÷ 60 = 14 時間/月
月間削減時間
34h
削減率
71%
年間削減時間
408h
年間金額換算(時間単価3,000円)
122万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 業務マニュアルや作業手順書が文書として存在していて、新人・中途入社が年間50名以上いる企業。研修の内容が担当者ごとに違ってしまっている、または教材の改訂が追いついていない状態。教材の中身が正しいかを判断できる現場の担当者が確認工程に入れること。
向いていない
  1. マニュアルそのものが存在しない、または内容が古くて実務と合っていない場合(先にマニュアルを直すほうが効果が大きい)。研修が年に数回で教材の改訂もほとんど発生しない場合。資格試験や法定研修のように、設問と配点が外部の基準で決められている教材。

07最小構成で試す方法

  1. 直近で作った研修教材を1本選ぶ(できれば苦労して作ったもの)
  2. その教材のもとになったマニュアルの章をPDFで用意する(20〜40ページ)
  3. ブラウザ上の生成AIにPDFを添付し、第7章のプロンプト例をもとに草案を出させる
  4. 出てきた草案と、人が作った既存の教材を並べて比べる
  5. 根拠ページが実際に合っているかを、5か所抜き取って確認する

手順4の比較だけは必ずやってください。 「それらしい教材が出た」で判断すると失敗します。すでにある教材と並べると、抜けている論点、粒度の違い、誤解が具体的に見えます。

判断の目安は次のとおりです。

状態判断
修正が2〜3割で済むこのまま進める価値がある
修正が5割前後プロンプトに見本教材と研修の型を追加して再試行する。それでも改善しなければマニュアル側の記述を疑う
ほぼ書き直しになるマニュアルの内容が薄いか古い。教材化より先にマニュアルを直す
根拠ページが合っていないPDFの分割単位を小さくする。ページ番号の対応表を作り直す

理解度テストの設問だけを試すこともできます。マニュアルの1章を貼り付けて「新人が誤解しやすい点を誤答にした4択を5問作って」と指示すれば、追加の準備なしで質を確かめられます。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
マニュアルにない一般論が混ざるnot_in_source に追い出させる指示を必ず入れる。本文に混ぜさせない
数値が丸められる・単位が変わる「数値はそのまま写す」を明示的に禁じる。確認シートで数値を含む文を強調する
根拠ページがずれているPDFの分割単位を小さくする。分割後と原本のページ番号の対応表を作る
誤答選択肢が明らかに不自然「新人が実際に誤解しやすい内容にする」と指示し、misconception を書かせる
100ページを超えて処理できない前処理で章単位に分割する。リクエスト全体で32MB・100ページの上限がある
写真だけのページを引用できない該当ページに説明文を追記する。引用できない旨を needs_review で返させる
citations と構造化出力を同時に指定して400エラー併用できない。根拠の原文が必要か、後段への機械連携が必要かで使い分ける
Google フォームの設問が全問0点になるsetPoints の既定値は0。流し込み処理に配点の指定を必ず含める
教材の粒度が担当者の期待と合わない見本教材を2〜3本渡す。「新人向けに」だけでは揃わない
古いマニュアルから教材を作ってしまうファイル名に改訂日を入れ、教材にも記録する。現行版との突き合わせを自動で警告する
同じ設問ばかり出てくる過去に出した設問を渡し、重複を避けるよう指示する。設問だけを別の依頼に分ける

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 社内の業務マニュアル、作業手順書、現場のヒヤリハット記録。個人情報は原則として含みませんが、ヒヤリハットの記録には従業員名や店舗名が入っていることがあります。

  1. ヒヤリハット記録の匿名化 … 研修教材の材料として渡す前に、従業員名を外します。教材に「◯◯店の△△さんの失敗」として載ると、当人が特定できる形で社内に配られることになります
  2. マニュアルの機密度の確認 … 業務マニュアルには、原価率、仕入先、防犯手順など、社外に出せない情報が含まれることがあります。外部の生成AIに渡してよいかを、自社の情報管理規程で確認してください
  3. 学習利用 … 入力を学習に使わないことが契約で保証されるサービスを選びます
  4. 自動実行してよい範囲 … 教材の公開は必ず人が承認します。運用が安定しても変えません。特に、安全・衛生・現金取扱いに関する教材を、人の確認なしで配布する構成にしないでください
  5. 教材にAIが関与したことの扱い … 社内教材であれば表示義務はありませんが、根拠ページと確認者を教材の末尾に残す運用を推奨します。後から「この手順はどこから来たのか」を追えるようにするためです

誤りが起きた場合のリスクは、誤った手順の伝達と、それに起因する現場の事故・損失です。金銭に直結する場面(現金管理、返品処理)と、安全に直結する場面(食品の温度管理、機械操作)については、確認の工程を省かないでください。

10まず何から始めるか

1週目:1本だけ作って比べる

直近で作った教材を1本選び、同じ章から草案を生成させます。人が作ったものと並べて比べてください。 ここで「使える水準か」の見当がつきます。抜けている論点があれば、それはプロンプトに足りない指示です。

2週目:マニュアルの分割と対応表を作る

600ページのマニュアルを章単位に分けます。地味な作業ですが、ここを飛ばすと根拠ページが機能しません。 分割後のページ番号と原本のページ番号の対応表を、スプレッドシート1枚で作ります。

3〜4週目:教育担当1名が5本作る

実際の研修に使う教材を5本作り、1本あたりの所要時間を実測します。120分が何分になるかを測ります。フォームの自動作成はまだ作りません。

2か月目以降: 削減効果が確認できたら、Apps Script によるフォーム自動作成を入れます。並行して、理解度テストの結果を設問ごとに集計する仕組みを用意し、正答率の低い設問を見直す運用を始めてください。教材づくりを速くすることより、教材が実際に理解につながっているかを測るほうが、長期的な効果は大きくなります。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-09-10/最終更新:2026-09-10
確認した内容情報源確認日
生成AIのcitations機能が、PDFについてページ番号(1始まり)と引用原文を構造化して返すこと。citationsと構造化出力(output_config.format)は併用できず、両方を指定すると400エラーになることAnthropic: Citations2026-09-10
PDFを送るとページごとに画像化され、抽出テキストと併せて処理されること。1リクエストあたり最大32MB・100ページ(大きなコンテキストでは600ページ)の上限があること。1ページあたり1,500〜3,000トークンが目安であることAnthropic: PDF support2026-09-10
プロンプトキャッシュの保持時間が既定5分・指定で1時間であること。キャッシュ書き込みが1.25倍(1時間は2倍)、読み取りが0.1倍であること。最小キャッシュ長がモデルにより512〜4,096トークンであることAnthropic: Prompt caching2026-09-10
Google Apps Script の FormApp で setIsQuiz によりテスト形式にでき、getPublishedUrl setDestination submitGrades が使えることGoogle: Apps Script Form class2026-09-10
createChoice(value, isCorrect) で正解を指定でき、setPoints(既定0点)で配点、setFeedbackForIncorrect / setFeedbackForCorrect でフィードバックを設定できることGoogle: MultipleChoiceItem2026-09-10

研修の運営方法、教材の承認フロー、法定研修の要件は企業によって異なります。この部分は利用環境に応じた個別確認が必要です。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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