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満期が近い契約者との面談の前に、前回の面談記録と契約内容から確認事項のメモを作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

満期が近い契約ごとに、過去の面談記録・契約期間中の異動・事故受付の記録を読み、更改の面談で確かめる事項のメモを作ります。メモの1行ごとに、根拠にした記録への引用が付きます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Python
対象業界
不動産/保険
対象部門
営業
対象業務
情報検索/要約
主な課題
属人化している/引き継ぎができていない/情報が見つからない
AIで行う処理
要約
主な効果
属人化解消/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
80h/月
AI導入後
20h/月
想定削減
75%
年間削減
720h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 月初に満期一覧から、翌々月に満期を迎える契約を担当者ごとに割り振る
  2. 担当者が代理店システムで契約の内容を開き、補償・特約・運転者の範囲・保険金額などを確かめる
  3. 同じ顧客の面談記録を新しい順に開いて読み、前回の約束や顧客の事情を探す
  4. 異動の履歴と事故受付の記録を開き、期間中に何があったかを確かめる
  5. 気づいたことを手帳か表計算ソフトにメモして、面談に持っていく
  6. 面談の後、代理店システムに面談記録を書く。このメモは、次の更改で読み返す材料になる
導入後(After)
  1. 自動毎週月曜の朝、満期日が60日後から66日後に入る契約を代理店システムから抜き出す
  2. 自動契約ごとに、契約の内容、過去3年分の面談記録、異動の履歴、事故受付の記録を集める
  3. 自動スクリプトが記録を1件ずつの区切りに整え、個人の番号や口座番号など要らない項目を落とす
  4. 自動Claude API が、記録への引用付きで確認事項のメモを作る
  5. 自動スクリプトが、引用の付いていない行を落とし、引用を記録の日付と担当者名に置き換える
  6. 自動スクリプトが、「前回までに聞けていない項目」を、必ず聞く項目の一覧と照らして決める
  7. 人担当者が面談の前にメモを読み、引用をたどって気になる記録を開く
  8. 人面談の後、メモの役に立たなかった行と、足りなかった行に印を付ける
各工程の詳しい説明を読む
  1. 月初に満期一覧から、翌々月に満期を迎える契約を担当者ごとに割り振る
  2. 担当者が代理店システムで契約の内容を開き、補償・特約・運転者の範囲・保険金額などを確かめる
  3. 同じ顧客の面談記録を新しい順に開いて読み、前回の約束や顧客の事情を探す
  4. 異動の履歴と事故受付の記録を開き、期間中に何があったかを確かめる
  5. 気づいたことを手帳か表計算ソフトにメモして、面談に持っていく
  6. 面談の後、代理店システムに面談記録を書く。このメモは、次の更改で読み返す材料になる

(a)読み返す時間が取れない。 1件16分でも、月30件で8時間です。忙しい月は3番と4番を省き、契約の画面だけを見て面談に行きます。

(b)前回の約束が面談で出てこない。 「子どもが来年免許を取る」「来春に店舗を移転する」。記録には書いてあるのに、読み返さなかったせいで顧客に先に言われます。 顧客にとっては「前にも話したのに」です。

(c)引き継いだ顧客の事情が分からない。 前任者の記録は略語や独自の書き方が多く、どこに何が書いてあるかを探すところから始まります。

(d)記録に無いことに気づけない。 前回までに何を聞けていないかは、記録を全部読んで初めて分かります。読み返しを省いた月ほど、同じ項目が何年も聞けないまま残ります。

  1. 【自動】 毎週月曜の朝、満期日が60日後から66日後に入る契約を代理店システムから抜き出す
  2. 【自動】 契約ごとに、契約の内容、過去3年分の面談記録、異動の履歴、事故受付の記録を集める
  3. 【自動】 スクリプトが記録を1件ずつの区切りに整え、個人の番号や口座番号など要らない項目を落とす
  4. 【自動】 Claude API が、記録への引用付きで確認事項のメモを作る
  5. 【自動】 スクリプトが、引用の付いていない行を落とし、引用を記録の日付と担当者名に置き換える
  6. 【自動】 スクリプトが、「前回までに聞けていない項目」を、必ず聞く項目の一覧と照らして決める
  7. 【人】 担当者が面談の前にメモを読み、引用をたどって気になる記録を開く
  8. 【人】 面談の後、メモの役に立たなかった行と、足りなかった行に印を付ける

5番目が、この設計の分かれ目です。 引用の付かない行は、記録に根拠が無い行です。AIが一般論から付け足した「確認事項」を、機械的に落とします。 担当者は、メモに載っている行はすべて記録のどこかに書いてあると信じて読めます。

3番目で項目を落とすのは、メモに要らないからです。 面談の準備に口座番号は使いません。渡さないものは、AIが誤って書くこともありません。

6番目をAIにさせていないのも意図してのことです。 「運転者の範囲を確かめたか」のような必ず聞く項目は代理店が決める一覧で、その項目が記録に出てくるかどうかは、AIの引用の結果から機械的に数えられます。

02今回想定するシステム構成

構成図
代理店システム(契約・異動・面談記録)+ 事故受付の記録
   │
   ▼【トリガー】毎週月曜の朝
Python ── 満期日が60〜66日後の契約を抜き出す
   ▼
Python ── 契約ごとに記録を集め、1件ずつの区切りに整える
   │        要らない項目(個人の番号・口座など)を落とす
   ▼
Claude API(引用の機能を有効にした文書として渡す)
   │   前回の約束/期間中の変化/確かめること を引用付きで返す
   ▼
Python ── 引用の無い行を落とす、引用を記録の日付・担当者に置き換える
   │        必ず聞く項目の一覧と照らして「聞けていない項目」を決める
   ▼
担当者ごとの面談メモ(面談の前に読む)
   ▼
【人】面談の後、役に立たなかった行・足りなかった行に印
役割想定する製品代替候補
処理Claude API(引用付きの確認事項のメモ)OpenAI API、Gemini API
連携Python(記録の抜き出しと区切り、引用の置き換え、メモの配布)代理店システム側の連携機能
集計Python(必ず聞く項目の照合、役に立たなかった行の集計)表計算ソフト
保管代理店システムの顧客メモ欄、または共有フォルダ社内のファイルサーバー

代理店システムは、新しく足すものではありません。 この構成は代理店システムから読み、メモを担当者に渡すまでです。契約の内容を書き換える操作は、一切しません。

生成AIに Claude API を選ぶのは、引用の機能のためです。 文書を渡すときに citations を有効にすると、返ってくる文の区切りごとに、根拠にした文書の場所と、その部分の本文(cited_text)が付きます。 引用はAPIが解析して返すため、渡した文書の中を正しく指していることが保証されています。 cited_text は出力のトークン数に数えられません。

文書の種類には、プレーンテキスト、PDF、カスタムコンテンツの3つがあります。 プレーンテキストとPDFは文単位に自動で区切られます。カスタムコンテンツは、渡した区切りをそのまま使い、それ以上区切りません。 引用は、何番目の区切りから何番目までかという番号で返ります。面談記録を1件ずつ1つの区切りにして渡せば、引用がそのまま記録の番号になります。

注意が1つあります。引用の機能は、構造化出力(JSONの形を固定する機能)と一緒には使えません。 両方を指定すると、APIはエラーを返します。この構成では引用を優先し、メモの形は指示と後段のスクリプトで固めます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

毎週月曜の朝に、満期日が60日後から66日後に入る契約を抜き出します。 週ごとに7日分ずつ区切るので、同じ契約が2回抜き出されることも、抜け落ちることもありません。 担当者は週の初めに、その週に面談の予約を入れる顧客のメモを受け取ります。

月初にまとめて作らないのは、記録が古くなるためです。 月初に作ったメモは、面談までの間に入った異動や事故の受付を含みません。面談の予約が決まった後に記録が増えたら、その契約だけを作り直せるようにします。

同じ顧客の契約が同じ週に複数あるときは、顧客で1つのメモにまとめます。 法人の顧客では、自動車保険の複数台と火災保険が同じ月に満期を迎えることがよくあります。契約ごとにメモを分けると、同じ面談記録が何度も引用され、担当者は同じ話を3回読むことになります。 抜き出しの段階で顧客の番号で名寄せし、メモの中で契約ごとの見出しを立てます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
契約の内容種目、補償と特約、保険金額、運転者の範囲、満期日代理店システム
面談記録過去3年分。日付、担当者名、記録の本文代理店システム
異動の履歴契約期間中の変更の日付と内容(車両の入れ替え、住所、所在地など)代理店システム
事故受付の記録期間中の事故の受付日と、受付の概要事故受付の記録
必ず聞く項目の一覧種目ごとに、更改の面談で毎回確かめる項目代理店が決める一覧

質を決めるのは、面談記録の区切り方です。 1件の記録を1つの区切りにすると、引用が「2025年10月の田中の記録」のように記録の単位で返ります。全部を1つの長い文章にして渡すと、どの記録のことか分からなくなります。

事故受付の記録は、概要だけを渡します。 過失の割合や支払額はメモに要りません。「期間中に事故の受付が1件あった」ことが分かれば足ります。

Step3

データの取得方法を決める

代理店システムから、契約ごとに次のものを抜き出します。抜き出しの方法は、代理店システムが出せる形(画面からの書き出し、連携の機能など)に合わせます。

取るもの絞り込み渡し方
面談記録同じ顧客の過去3年分1件=1つの区切り
異動の履歴現在の契約期間の分1件=1つの区切り
事故受付の記録現在の契約期間の分1件=1つの区切り
契約の内容現在の契約引用させない参考情報として渡す

文書は3つに分けて渡します。 面談記録、異動の履歴、事故受付の記録を、それぞれ別のカスタムコンテンツの文書にします。引用には何番目の文書かを示す番号も付くので、どの種類の記録が根拠かも分かります。

契約の内容は、引用の対象にしません。 文書には本文とは別に title と context という項目があり、どちらもモデルに渡されますが、引用される本文には含まれません。 契約の内容は面談記録の文書の context に入れ、「今の補償はこうなっている」という前提として読ませます。

区切りの順番と記録の番号の対応表を、スクリプトが持っておきます。 引用は区切りの番号で返るので、この表で記録の日付・担当者名に置き換えます。

渡す文書は、次のような形になります。

{
  "type": "document",
  "source": {
    "type": "content",
    "content": [
      { "type": "text", "text": "2024-10-08 佐藤 更改手続き。長男が来年免許取得予定と話あり。" },
      { "type": "text", "text": "2025-03-21 佐藤 車両入替の相談。見積もり依頼あり。" },
      { "type": "text", "text": "2025-10-14 田中 担当交代のあいさつ。次回更改時に車両保険ありなし2案を持参と約束。" }
    ]
  },
  "title": "面談記録",
  "context": "現在の契約:自動車保険、運転者の範囲は本人・配偶者限定、車両保険なし、満期日2026-12-01",
  "citations": { "enabled": true }
}

content の並びの1つ目が0番です。 3つ目の記録が引用されれば、区切りの番号は2から3まで(3は含まない)で返ります。対応表で「2025-10-14 田中」に置き換えます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 要らない項目を落とす … マイナンバー、口座番号、健康に関する記載はメモに要りません。抜き出しの段階で列ごと落とします
  2. 定型の文を落とす … 「特記事項なし」「連絡済み」だけの記録は区切りにしません
  3. 記録の頭に日付と担当者名を付ける … 区切りの本文の先頭に「2025-10-14 田中」のように入れます。引用の本文だけを見ても、いつの記録か分かります
  4. 長すぎる記録を分ける … 1件が長い記録は段落で分け、同じ記録の番号を持たせます
  5. 3年より前の記録を落とす … 古い事情はかえって誤解を招きます。必要なら担当者が代理店システムで読みます
  6. 略語を展開する一覧を当てる … 担当者ごとの略語(「車入替」「記被」など)を、代理店で決めた一覧で書き足します。元の文字は残し、括弧で補います

6番目を軽く見ないでください。 略語のままだと、AIは「記被」を読めずにその記録を使いません。引き継いだ顧客で特に効きます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、記録を読んで、次の3つの区分でメモの行を書くことだけです。 すべての行に引用が付くように書かせます。

区分書くこと例
前回の約束担当者が約束したこと、顧客に頼まれたこと「更改時に車両保険の見積もりを2案出す」
期間中の変化異動、事故の受付、顧客が話した生活や事業の変化「5月に車両を入れ替え」「来春に店舗を移転予定と話した」
確かめること記録の内容から、今回の面談で確かめる必要があること「子どもが免許を取ったか(運転者の範囲に関わる)」

3つ目の「確かめること」が、いちばん気を付ける区分です。 ここに一般論が混ざりやすくなります。「地震保険の付帯を確認」は、どの顧客にも言えることで、記録から出たものではありません。記録に書かれたことから出てくる確認だけを書かせ、引用の無い行は後段で落とします。

させないこと理由
商品や補償の提案提案は募集人の仕事。意向を確かめる前に案を決めない
保険料の見込み計算は保険会社のシステムで行う
顧客の意向の推測「車両保険は要らないはず」と決めつけない
記録に無い事情の補完年齢や家族構成から事情を想像しない
事故の過失や支払の評価メモの目的外で、誤れば顧客との関係に響く

食い違いの例も書いておきます。 2024年の記録に「長男が来年免許取得予定」、2025年の記録に「長男は就職で県外へ」とあれば、運転者の範囲について確かめることは変わります。AIにはどちらかを選ばせず、両方を引用して「記録が食い違う」と書かせます。 面談で顧客に確かめるのは担当者です。

3行目がいちばん起きやすい失敗です。 「前回、保険料が高いと言っていた」という記録から、AIは「補償を減らしたい意向」と書きたくなります。記録にあるのは「高いと言った」ことだけです。 そのまま書かせ、意向の判断は担当者に返します。

Step6

指示内容を固定する

あなたは損害保険代理店で、更改の面談の前に担当者が読むメモを作る立場です。
渡した記録に書かれていることだけを使ってください。

【渡すもの】
- 文書0:面談記録(1件ずつ区切ってあります。先頭に日付と担当者名)
- 文書1:契約期間中の異動の履歴
- 文書2:契約期間中の事故受付の記録
- 文書0の context:現在の契約の内容(参考。引用しないでください)

【書き方】
次の3つの見出しの下に、1行に1つずつ書いてください。
■ 前回の約束
■ 期間中の変化
■ 確かめること
各行は、記録のどこかを根拠にして書き、必ず引用を付けてください。
根拠にできる記録が無い行は、書かないでください。

【厳守事項】
- 記録に書かれていないことを補わないでください。
  顧客の年齢や家族構成から、事情を想像しないでください。
- 顧客の意向を推測しないでください。
  「高いと言っていた」は、そのとおりに書き、「減らしたい」と言い換えないでください。
- 商品、補償の変更、保険料について提案しないでください。
- どの顧客にも当てはまる一般的な確認(地震保険の付帯など)を書かないでください。
- 同じことが複数の記録にあるときは、いちばん新しい記録を根拠にしてください。
- 記録どうしが食い違うときは、両方を引用し、「記録が食い違う」と書いてください。
  どちらが正しいかを決めないでください。
- 1行は60字以内にしてください。
- 見出しの下に書くことが無ければ、「該当なし」とだけ書いてください。

「根拠にできる記録が無い行は、書かない」だけでは足りません。 AIは引用を付けられない一般論も、よかれと思って書きます。だから後段のスクリプトで、引用の無い行を機械的に落とします。 指示は落とす行を減らすため、スクリプトは残った行を保証するため、と役割を分けます。

「食い違いは両方を引用する」を入れているのは、記録の誤りを消さないためです。 3年分の記録には、異動の書き漏れや担当者の聞き違いが混ざります。片方に寄せて書くと、どちらかの記録が間違っているという事実がメモから消えます。

Step7

出力形式を固定する

引用の機能は構造化出力と一緒に使えないため、返ってくるのは引用の付いた文章です。 文章は複数の区切りで返り、根拠のある区切りには citations が付きます。

{
  "content": [
    { "type": "text", "text": "■ 前回の約束\n" },
    {
      "type": "text",
      "text": "更改時に車両保険の見積もりを2案出す",
      "citations": [
        {
          "type": "content_block_location",
          "cited_text": "2025-10-14 田中 次回更改時に車両保険ありなし2案の見積もりを持参すると約束",
          "document_index": 0,
          "document_title": "面談記録",
          "start_block_index": 3,
          "end_block_index": 4
        }
      ]
    }
  ]
}

スクリプトはこれを、次の形の行データに直します。

項目中身
sectionpromise / change / to_confirm / not_asked
textメモの1行
sources引用した記録の種類・日付・担当者名(区切りの番号から置き換え)
cited_text引用された記録の本文
statuskept(引用あり)/ dropped_no_citation(引用なしで落とした)

1つ目の理由は、根拠の有無を機械で決められることです。 citations が空の区切りは dropped_no_citation にし、メモには載せず、ログにだけ残します。 落とした行の数が多い月は、指示の書き方を見直す合図です。

行の切り分けは、見出しの記号と改行で行います。 応答の区切りは文の途中で切れることがあり、1行が複数の区切りにまたがります。スクリプトは区切りを順につなぎ、改行ごとに1行とし、その行にかかった区切りの引用をすべてその行の sources に集めます。 見出しの「■」で section を決め、見出しの無い行は捨てます。

2つ目は、not_asked をAIに書かせずに済むことです。 必ず聞く項目の一覧(運転者の範囲、車両の使用目的、所在地の変化など)について、その項目の言葉が引用された記録に出てくるかをスクリプトが調べ、出てこなければ not_asked の行を足します。 これは記録を数えるだけの仕事なので、AIには任せません。

3つ目は、担当者が根拠をすぐたどれることです。 メモの行の後ろに「(2025-10-14 田中)」と付き、気になれば代理店システムでその記録を開けます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
代理店システム書き出し、または連携の機能満期の契約、面談記録、異動の履歴を読む
事故受付の記録書き出し期間中の受付の概要を読む
Claude APIAPI呼び出し(引用を有効にした文書)引用付きの確認事項のメモ
面談メモの置き場所代理店システムの顧客メモ欄、または共有フォルダ担当者ごとのメモを置く
印の集計表計算ソフト役に立たなかった行・足りなかった行を数える

代理店システムの契約の内容へは書き込みません。 メモを顧客メモ欄に置く場合も、「AIが作った面談前のメモ」と分かる見出しを付け、面談記録とは別の欄にします。 面談記録と混ざると、翌年のメモの材料にAIの文章が入り込みます。

Step9

人が確認する

メモを読むのは担当者本人で、面談の前に必ず目を通します。 メモを顧客に見せたり、そのまま読み上げたりはしません。

  1. 「確かめること」を先に読む … 面談で聞く順番を決めます
  2. 気になる行は引用をたどる … 記録の本文を読み、メモの言い換えが正しいかを確かめます
  3. 「記録が食い違う」行は、面談の前に社内で確かめる … 異動の書き漏れなら、先に手続きの状況を調べます
  4. 面談の後に印を付ける … 役に立たなかった行、面談で分かったのにメモに無かった事柄に印を付けます

担当者が受け取るメモは、次のような形です。

区分メモ根拠
前回の約束車両保険ありなしの2案を持参する2025-10-14 田中
期間中の変化3月に車両を入れ替えた異動 2025-03-28
確かめること長男が免許を取ったか(運転者の範囲は本人・配偶者限定)2024-10-08 佐藤
聞けていない項目車両の使用目的(通勤・業務)の確認の記録なし必ず聞く項目の一覧

2番目を省かないでください。 引用は記録の場所を正しく指しますが、メモの1行がその記録を正しく言い換えているかは、保証されていません。 「約束した」と「検討すると言った」は、顧客にとって別のことです。

目標は、300件をならして1件4分です。 記録が少ない顧客は1〜2分で読み終わり、長い付き合いの法人では引用をたどって10分近くかかります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
面談記録が1件も無いメモは作らず、「記録なし」と必ず聞く項目の一覧だけを渡す
記録が多すぎて入りきらない新しい順に3年分まで。それでも多ければ、直近2回の更改の記録に絞る
引用の無い行ばかり返る指示の書き方を見直す合図。落とした行はログで見る
記録どうしが食い違う両方を引用して「記録が食い違う」と出す。どちらが正しいかは社内で確かめる
異動の手続きが途中異動の履歴に「手続き中」として載せ、完了を確かめる行を足す
担当者が交代した直後前任者の記録であることを引用の担当者名で示す。前任者に確かめられるなら確かめる
満期日が変わった(中途更改など)抜き出しを翌週に回さず、その契約だけを作り直す
記録に「他社に切り替えを検討」とあるそのまま「期間中の変化」に載せる。引き止めの文句をAIに考えさせない
解約・満期での終了の手続きが済んでいるメモを作らない。抜き出しの条件で除く
APIが応答しないその契約は翌朝にもう一度作る。面談の前日までに作れなければ担当者に知らせる

上から2行目までが大半を占めます。 記録の量は顧客によって大きく違い、少なすぎても多すぎてもメモの質が下がります。

Step11

記録を残す

  • 抜き出した記録と、区切りの番号と記録の対応表
  • AIに渡した文書と指示、返ってきた応答の全文(引用を含む)
  • 引用が無くて落とした行 … どの契約で、何を書いていたか
  • 担当者に渡したメモの最終版と、渡した日時
  • 面談の後の印 … 役に立たなかった行、足りなかった事柄
  • 必ず聞く項目のうち、何年も not_asked が続いている顧客の一覧

3つ目の「落とした行」は、指示を直す材料になります。 同じ一般論が何度も落ちているなら、指示にその例を書き足します。

最後の行は、担当者の育成の材料になります。 何年も聞けていない項目がある顧客は、担当者の聞き方の癖か、その顧客との関係のどちらかに理由があります。

04実装レベルの3段階

最小構成:記録を手でAIの画面に貼り、確認事項を箇条書きにさせる / 1件ごとのメモの下書き
半自動化:上記+Claude API を引用付きで呼び、引用の無い行を落としてメモにする / 記録の読み返しとメモ作り
本格構成:上記+満期の契約の抜き出し、記録の区切り、必ず聞く項目の照合、担当者への配布まで行う / 面談の準備の全体

最小構成では件数がさばけません。 1件ずつ貼り付けるので、月300件には使えません。確かめるための段階です。 半自動化で、②の読み返しがほぼメモを読む時間に変わります。 ただし記録を集めて渡すのは担当者の手に残ります。本格構成で①③④も自動になり、この段階が本記事の想定です。 半自動化の段階では、記録の書き出しを担当者が手で行っても構いません。 代理店システムの画面から顧客の記録を書き出してフォルダに置けば、スクリプトがそれを拾ってメモを返す形にできます。抜き出しを自動にするのは、メモの質が安定してからで十分です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化で1か月使うと、落とされる行の傾向と、略語の多い担当者が先に分かります。そこを直してから本格構成に進むほうが、メモの質がそろいます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
10 名
月間件数
300 件
1件あたり現在時間
16 分
1件あたり導入後時間
4 分
現在  300件 × 16分 ÷ 60 = 80 時間/月
導入後 300件 × 4分 ÷ 60 = 20 時間/月
月間削減時間
60h
削減率
75%
年間削減時間
720h
年間金額換算(時間単価3,000円)
216万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 自動車保険・火災保険などの損害保険を扱い、満期を迎える契約が毎月数百件ある保険代理店。面談の記録が代理店システムや顧客管理の画面に文章で残っているが、担当者が面談の前に読み返す時間が取れていない場合。担当者の異動や退職で、前任者の約束や顧客の事情が引き継がれずに更改の面談を迎えることがある場合。賃貸物件の家財保険の更新を扱う不動産会社にも当てはまります。
向いていない
  1. 面談の記録がほとんど残っておらず、読み返す材料が無い場合。満期の契約が月に数十件で、担当者が顧客の事情を覚えていられる場合。どの補償を勧めるか、保険料がいくらになるかを自動で決めたい場合は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 来月満期の契約から10件を選ぶ(うち2件は、担当者を引き継いだ顧客を入れる)
  2. 代理店システムから、その顧客の過去3年分の面談記録を書き出す。個人の番号や口座番号の列は消す
  3. 手元のAIサービスに記録を貼り付ける
  4. 「この面談記録から、前回の約束、期間中の変化、今回確かめることを箇条書きにしてください。各行の後ろに、根拠にした記録の日付を括弧で付けてください。記録に書かれていないことを補わず、商品を提案しないでください」と指示する
  5. 担当者本人が、自分で読み返して作ったメモと見比べる

10件は必ず担当者本人に見比べてもらってください。 確かめたいのは、「自分では拾えなかった行」と「記録に無いのに書かれた行」の数です。

出てきた内容判断
自分では拾えなかった約束や変化が出たAPI連携と引用の機能に進む
記録に無い一般論が混ざった引用の無い行を落とす仕組みで直る。構成は有効
記録が略語だらけで読めていない略語の一覧が先。 AIの問題ではない

3行目が出ることは珍しくありません。 失敗ではなく、引き継ぎがうまくいかなかった理由が1つ分かったということです。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
一般論の「確認事項」が混ざる引用の無い行を機械的に落とす
顧客の意向を推測して書く「言ったこと」をそのまま書かせ、言い換えを禁じる
記録を1つの長い文章で渡す1件=1区切りのカスタムコンテンツにする。引用が記録の単位になる
引用と構造化出力を一緒に指定する一緒には使えずエラーになる。形は指示とスクリプトで固める
契約の内容が引用されてしまうcontext に入れる。引用される本文には含まれない
略語が読めずに記録が使われない略語の一覧で補う。元の文字は残す
記録どうしの食い違いを片方に寄せる両方を引用させ、「食い違う」と書かせる
メモが面談記録の欄に混ざる別の欄にし、翌年の材料に入れない
引用の言い換えを信じすぎる引用の場所は正しいが、言い換えの正しさは担当者が見る
not_asked をAIに書かせる必ず聞く項目の一覧と照らし、スクリプトで決める
同じ顧客のメモが契約の数だけ届く顧客の番号で名寄せし、1つのメモにまとめる
古い記録の事情をそのまま信じる3年で区切り、引用の日付を必ず表示する

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも「記録に無いことが、記録にあるような顔でメモに載る」という同じ所から出ています。引用の有無という機械で判定できる基準を置いてあるかどうかで、担当者がメモを信じて読めるかが決まります。

「引用の言い換えを信じすぎる」も、同じくらい早く効いてきます。 引用が付いていると、担当者は安心して言い換えまで信じます。場所の正しさと中身の正しさは別であることを、運用の最初に伝えてください。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 契約者の氏名、住所、車両や建物の情報、そして面談記録に書かれた家族の事情、事業の計画、事故の概要です。面談記録には、担当者が雑談で聞いた家族の病気や、法人の資金繰りの話が書かれていることもあります。

  1. 外部へ渡す範囲を絞る … 個人の番号、口座番号、健康に関する記載は、抜き出しの段階で落とします。面談の準備に要らない項目は、AIに渡しません
  2. メモを顧客に見せない … メモは担当者が読むためのもので、AIが言い換えた文を顧客への説明に使わないでください
  3. この構成は募集の判断を代替しません … 顧客の意向を確かめ、比較して説明するのは募集人の仕事です。 メモは意向を推測せず、記録にあることを並べるだけです
  4. AIの文章を面談記録に混ぜない … 面談記録は、担当者が面談で見聞きしたことの記録です。AIのメモが記録の欄に入ると、何が事実だったかが後から分からなくなります
  5. 保存期間を決める … 渡した記録、応答の全文、メモを、いつまで残すかを代理店の規程で決めます。 途中の結果を無期限に残さないでください
  6. 閲覧の権限を分ける … メモは担当者と上長だけが見られるようにし、ほかの担当者の顧客の事情が広く見えないようにします
  7. 外部のサービスに渡すことを、取り扱いの方針に照らす … 面談記録を生成AIのサービスに渡すことが、代理店の個人情報の取り扱いの方針と、委託元の保険会社との取り決めの範囲に収まるかを先に確かめます。収まらない顧客の記録は、この構成に流しません

誤りが起きた場合のリスクは、記録に無いことを事実として面談で話すことと、顧客の意向を取り違えることの2つです。 前者は引用の無い行を残すと起き、後者は意向の推測を許すと起きます。どちらも「記録に書かれていること」の外にAIが出ることから起きるので、そこだけは設計で守ります。

10まず何から始めるか

1週目:必ず聞く項目の一覧を作る

自動車保険と火災保険のそれぞれについて、更改の面談で毎回確かめる項目を書き出します。運転者の範囲、車両の使用目的、建物の所在地や用途の変化などです。担当者ごとに違っていた「いつも聞くこと」が、ここで見えます。

2週目:10件で試す

第8章のとおり、来月満期の10件で、手元のAIサービスにメモを作らせます。引き継いだ顧客を必ず含め、前任者に確かめられるなら、メモの内容が当時の事情と合っているかも聞きます。担当者本人に、自分のメモと見比べてもらい、拾えなかった行と、記録に無いのに書かれた行を数えます。

3週目:略語の一覧を作る

10件の記録から、担当者ごとの略語と独自の書き方を集め、一覧にします。引き継いだ顧客の記録を中心に集めると、効果が早く出ます。

4週目:引用付きの呼び出しを組む

スクリプトで記録を1件ずつ区切り、Claude API を引用付きで呼び、引用の無い行を落とすところまで作ります。この時点では not_asked を出さず、引用付きのメモだけを担当者に渡します。

2か月目: 満期の契約の抜き出しと、必ず聞く項目の照合を足します。面談の後の印を毎週数えます。3か月目以降: 全担当者に広げ、1件16分が何分になったかを実測します。役に立たなかった行と足りなかった事柄の印を見て、指示と一覧を直した時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-09-29/最終更新:2026-09-29
確認した内容情報源確認日
文書に citations を有効にすると、応答が複数の文の区切りで返り、根拠のある区切りに引用が付くこと。引用がAPIで解析され、渡した文書の中を正しく指すことが保証されること。cited_text が出力のトークン数に数えられず、入力が少し増えること。文書の種類がプレーンテキスト・PDF・カスタムコンテンツの3つで、プレーンテキストとPDFは文単位に区切られ、カスタムコンテンツは渡した区切りのまま使われること。カスタムコンテンツの引用が content_block_location として区切りの番号(0始まり、終わりは含まない)で返ること。title と context がモデルに渡されるが引用される本文には含まれないこと。引用の機能と構造化出力を一緒に使うとエラーになることClaude Docs: Citations2026-09-29
構造化出力が output_config.format に type: "json_schema" とスキーマを渡して使う機能であることClaude Docs: Structured outputs2026-09-29

顧客の意向の確認と、補償・商品の説明は、募集人が行ってください。 本記事は Claude の公式ドキュメントで確認できた範囲だけを扱っています。代理店システムからの記録の抜き出し方は、利用しているシステムに応じた個別の実装が必要です。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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