通販サイトの模倣品・無断転載を毎週巡回して見つけ、申立ての資料を作る
自社の商品名・型番・登録商標を手がかりに通販サイトを毎週巡回し、疑わしい出品を出典のURLとともに一覧にします。担当者の作業は、自分で検索して見回ることから、挙がった候補を見て申立ての要否を決めることに変わります。
- 利用ツール
- ChatGPT/Claude/Gemini/Google Vertex AI/Make/n8n/Power Automate/Python
- 対象業界
- EC/小売/広告/製造
- 対象部門
- マーケティング/知財
- 対象業務
- 情報検索/比較検討
- 主な課題
- 人手が足りない/情報が見つからない/期限・対応漏れが起きる
- AIで行う処理
- エージェント
- 主な効果
- 工数削減/検索時間短縮/機会損失防止
- 導入難易度
- ★★★★☆
- 実装レベル
- 本格構成
- 費用感
- API連携(中)
- 人間の確認
- 条件付き
01導入前 / 導入後の業務フロー
- 担当者が、自社ブランド名で通販サイトを検索する
- 検索結果を上から見る
- 自社または正規代理店の出品かを確かめる
- 商品画像が自社の撮影画像かを見比べる
- 価格が正規価格から大きく外れていないかを見る
- 疑わしければ、出品ページを保存する
- 知財担当に相談する
- 権利の種類(商標・意匠・著作権)を確認する
- モールの権利者向け窓口から申立てを行う
- 対応履歴をExcelに記録する
- 自動毎週、商品マスタと監視条件から検索する語の一覧を作る
- 自動決めた条件で検索し、出品ページのURLを集める
- 自動前回の巡回結果と突き合わせ、新規に出たものと継続しているものを分ける
- 自動出品ページの内容(出品者名、価格、商品説明、画像)を取得する
- 自動自社の正規情報(正規価格、正規販売者、公式画像)と突き合わせる
- 自動食い違う点を、理由とともに挙げる
- 自動公式画像との類似が疑われる画像を挙げる
- 自動出典のURLと取得日時を記録する
- 人知財担当が、挙がった候補を見て確かめる
- 人権利の種類と侵害の成否を判断する(必要に応じて弁理士・弁護士に相談する)
- 人申立てを行うかを決める
- 自動申立ての下書きと、証拠の一覧を作る
- 自動申立て後の状態(削除されたか)を追跡する
各工程の詳しい説明を読む
- 担当者が、自社ブランド名で通販サイトを検索する
- 検索結果を上から見る
- 自社または正規代理店の出品かを確かめる
- 商品画像が自社の撮影画像かを見比べる
- 価格が正規価格から大きく外れていないかを見る
- 疑わしければ、出品ページを保存する
- 知財担当に相談する
- 権利の種類(商標・意匠・著作権)を確認する
- モールの権利者向け窓口から申立てを行う
- 対応履歴をExcelに記録する
問題は5つあります。
(a)検索が終わらない。 ブランド名だけでも複数、型番は180あります。全部を毎週見ることは、2名では物理的にできません。
(b)表記を崩されると見つからない。 「◯◯ブランド風」「◯◯タイプ」のように書かれると、ブランド名の完全一致では当たりません。
(c)見つけ方が人によって違う。 どのキーワードで、どこまで見るかが決まっていません。引き継ぐと、見る範囲が変わります。
(d)前回何を見たかが分からない。 毎回ゼロから検索しています。「先週は問題なかった出品」と「新しく出た出品」を区別できません。
(e)お客様からの問い合わせで気づく。 発見が後手に回り、すでに被害が出てから動いています。
- 【自動】 毎週、商品マスタと監視条件から検索する語の一覧を作る
- 【自動】 決めた条件で検索し、出品ページのURLを集める
- 【自動】 前回の巡回結果と突き合わせ、新規に出たものと継続しているものを分ける
- 【自動】 出品ページの内容(出品者名、価格、商品説明、画像)を取得する
- 【自動】 自社の正規情報(正規価格、正規販売者、公式画像)と突き合わせる
- 【自動】 食い違う点を、理由とともに挙げる
- 【自動】 公式画像との類似が疑われる画像を挙げる
- 【自動】 出典のURLと取得日時を記録する
- 【人】 知財担当が、挙がった候補を見て確かめる
- 【人】 権利の種類と侵害の成否を判断する(必要に応じて弁理士・弁護士に相談する)
- 【人】 申立てを行うかを決める
- 【自動】 申立ての下書きと、証拠の一覧を作る
- 【自動】 申立て後の状態(削除されたか)を追跡する
自動化されるのは「巡回」「突き合わせ」「記録」の3つです。残るのは「侵害かどうかを判断すること」と「申立てを決めること」です。
3番目が、この構成のいちばんの価値です。 「先週から続いている出品」と「今週新しく出た出品」を分けられれば、毎週見るべき件数が大きく減ります。
02今回想定するシステム構成
商品マスタ(型番・ブランド名・登録商標)+ 監視条件 │ ▼ Power Automate(週次で起動) │ ▼ Claude API + web search ツール(決めた条件で検索) │ ▼ Claude API + web fetch ツール(見つかったURLの内容を取得) │ ▼ Claude API(画像の比較・正規情報との突き合わせ) │ ├──▶ 新規に出た疑わしい出品 ├──▶ 継続している出品 └──▶ 前回から消えた出品 │ ▼ 巡回結果の一覧 ──【知財担当が確認】──【弁理士・弁護士へ相談】 │ ▼ 申立ての決定 ── 申立て下書き+証拠一覧 ── 対応履歴(SharePoint リスト) │ ▼ 削除の確認(翌週の巡回で追跡)
| 役割 | 想定する製品 | 代替候補 |
|---|---|---|
| 生成AI | Claude API(web search・web fetch ツールを有効にする) | ChatGPT、Gemini |
| 連携 | Power Automate(週次の起動と結果の保存) | Make、n8n、Python |
| 処理 | Claude API(画像の比較) | Google Vertex AI、Azure AI |
| 台帳 | SharePoint リスト | Excel、kintone |
| 通知 | Teams | Slack、メール |
検索と取得を分けている点に注意してください。 web search で候補のURLを見つけ、web fetch でそのページの内容を読みます。 web fetch は、会話の中に先に現れたURLしか取得できません。 検索結果に出たURLは取得できますが、AI自身が生成しただけのURLは取得できません(url_not_in_prior_context のエラーになります)。この制約は、意図しないURLへのアクセスを防ぐ安全装置であり、この用途では検索→取得の順で自然に満たされます。
モールのページを自前のプログラムで機械的に収集しないでください。 多くの通販サイトは、利用規約で自動収集を制限しています。この構成は、検索エンジン経由で公開されているページを読む範囲にとどめています。 web fetch は robots.txt による制限を受けたURLを url_not_allowed として返します。この挙動を回避しようとしないでください。
ブランド保護の専門サービスと比べてください。 各モールと提携し、権利者向けに監視と申立てを一括で提供する製品があります。自前で組む価値があるのは、専門サービスの対象外のサイトを見る場合と、社内の商品マスタと結びつけた記録を残したい場合です。
03どうやって実装するのか
処理の起点を決める
週に1回の定期実行が起点です。
毎日回す必要はありません。出品は毎日増えますが、対応は週単位でも十分に間に合います。 むしろ、毎日回すと確認しきれない量の候補が溜まります。
半自動化では、次の2つを追加します。
- 新商品の発売時: 発売直後は模倣品が出やすいため、その型番だけ頻度を上げる
- 申立て後: 削除されたかを翌週に確認する
2つ目を必ず入れてください。 申立てをしたまま追跡していないと、削除されていない出品が残り続けます。
入力データを集める
| データ | 中身 | 取得元 |
|---|---|---|
| 商品マスタ | 型番、商品名、ブランド名、正規価格、発売日 | 基幹システム |
| 登録している権利 | 登録商標、登録意匠、登録番号、指定商品・区分 | 知財(新しく作る) |
| 正規販売者の一覧 | 自社アカウント、正規代理店のアカウント名 | 営業(新しく作る) |
| 公式画像 | 自社が撮影・作成した商品画像 | マーケティング |
| 監視条件 | 検索する語、崩し表記、見る範囲 | 知財(新しく作る) |
| 前回の巡回結果 | 前回見つけた出品URLと判定 | 対応履歴 |
| 過去の申立て履歴 | 申立てた出品、結果、日付 | 対応履歴 |
「正規販売者の一覧」が、この構成でもっとも効く入力です。
自社と正規代理店のアカウント名が分かっていれば、それ以外の出品者はすべて確認の対象になります。この一覧がないと、正規代理店の出品を毎週「疑わしい」と挙げ続けることになります。
「監視条件」には、崩し表記を必ず入れてください。
| 種類 | 例 |
|---|---|
| 正式名称 | ブランド名そのもの |
| 表記ゆれ | カタカナ/ローマ字/全角・半角 |
| 崩し表記 | 「◯◯風」「◯◯タイプ」「◯◯互換」 |
| 型番 | 型番そのもの、ハイフンの有無 |
| 組み合わせ | ブランド名+「激安」「並行輸入」「訳あり」 |
この一覧を知財担当が作ります。AIに作らせないでください。 何を監視するかは、自社の権利範囲によって決まります。
データの取得方法を決める
候補の検索: Claude API の web search ツールを使います。監視条件の語ごとに検索するため、max_uses を条件の数に合わせて設定します。上限を超えると max_uses_exceeded が返ります。
{
"type": "web_search_20250305",
"name": "web_search",
"max_uses": 20,
"allowed_domains": ["example-mall.co.jp", "example-mall2.com"],
"user_location": {
"type": "approximate",
"country": "JP",
"timezone": "Asia/Tokyo"
}
}
allowed_domains で対象のモールに絞ります。 全Webを対象にすると、まとめサイトや掲示板の記事が大量に混ざります。 なお allowed_domains と blocked_domains は同時に指定できません。両方を含めると400エラーになります。
出品ページの取得: web fetch ツールを使います。max_content_tokens を指定して、1ページあたりに読み込む量を制限してください。 商品ページは長く、レビューまで読み込むと消費が膨らみます。
{
"type": "web_fetch_20250910",
"name": "web_fetch",
"max_uses": 40,
"max_content_tokens": 8000,
"citations": { "enabled": true }
}
web fetch は引用が既定で無効です。 web search とは違い、citations: {"enabled": true} を明示的に指定してください。 申立ての資料には、どの記載を根拠にしたかが必要です。
web fetch そのものに追加料金はありません。 取得した内容がコンテキストに入る分のトークン費用だけがかかります。平均的なWebページ(10kB)で約2,500トークンが目安です。
取得できるのはテキスト・HTML・PDFだけです。 これ以外は unsupported_content_type が返ります。また、JavaScriptで動的に描画されるページには対応していません。 主要なモールの商品ページがこれに当たる場合、その部分は人が見る運用にしてください。
公式画像との比較: 出品ページの画像URLと自社の公式画像を、同じリクエストに入れて比較させます。Claude の画像入力は、1リクエストあたり最大600枚(200kトークンのコンテキストウィンドウを持つモデルでは100枚)です。ただしリクエスト全体のサイズ上限が32MBあるため、枚数より先にこちらに当たります。
画像が20枚を超えると、1枚あたりの寸法の制限が厳しくなります。 すべてのプラットフォームで安全に収めるには、各画像のどちらの辺も2000pxを超えないようリサイズするか、画像とドキュメントのブロックを20個以下に抑えてください。 1リクエストあたりの画像上限は、直接APIを使う場合で1枚10MBです。
対応形式はJPEG・PNG・GIF・WebPです。 アニメーションには対応しておらず、最初のフレームだけが使われます。
AIへ渡す前に整形する
- 監視条件の展開 … 崩し表記を含む検索語の一覧を生成します
- 前回結果との突き合わせ … 同じURLが前回もあったかを確認します
- 正規販売者の除外 … 自社・正規代理店の出品を候補から外します
- 公式画像の縮小 … 各辺が2000pxを超えないようにリサイズします
- 画像枚数の分割 … 1リクエストあたり20枚以下になるよう分けます
- 申立て済みURLの照合 … すでに申立てた出品を別枠にします
3番目を入れないと運用が続きません。 正規代理店の出品が毎週「疑わしい」として挙がると、確認する側がリストを見なくなります。
4番目と5番目は、費用と精度の両方に効きます。 Claude は画像を28×28ピクセルのブロック(視覚トークン)単位で見ます。画像のトークン数は ⌈幅 / 28⌉ × ⌈高さ / 28⌉ です。 大きすぎる画像はモデルの上限に合わせて縮小されますが、縮小されると細かい部分が読めなくなります。 ロゴの細部を見せたい場合は、あらかじめその部分を切り出して渡してください。
AIに処理させる
| 処理 | 内容 |
|---|---|
| 巡回 | 監視条件の語で検索し、出品URLを集める |
| 差分の抽出 | 前回の結果と比べ、新規・継続・消失に分ける |
| 出品情報の取得 | 出品者名、価格、商品説明を読み取る |
| 正規情報との突き合わせ | 正規価格・正規販売者と食い違う点を挙げる |
| 画像の比較 | 公式画像と出品画像の一致・類似が疑われる点を挙げる |
| 根拠の記録 | 出典URL、取得日時、引用箇所を残す |
AIに次のことをさせないでください。
| させないこと | 理由 |
|---|---|
| 「模倣品である」という断定 | 権利侵害の判断は知財担当と弁理士が行う |
| 「権利侵害です」という判定 | 同上。誤れば相手方から反論される |
| 申立ての自動送信 | 誤った申立ては相手方に損害を与える |
| 出品者の身元の推定 | 人物の特定はさせない |
| 画像がAI生成かどうかの判定 | Claude は画像がAI生成かを判別できない |
| 出品数・在庫数の正確な集計 | 画像からの計数は概数にとどまる |
「模倣品である」と断定させないことが、この構成で最も重要な制約です。 出力は「正規販売者の一覧にない出品者が、正規価格の35%の価格で出品している。商品説明にブランド名の記載がある。出典はこのURL」までにとどめてください。そこから先は人が判断します。
画像がAI生成かどうかの判定をさせないでください。 Claude のドキュメントには、画像がAI生成かどうかは判断できず、尋ねられても誤る可能性があるため、偽造・合成画像の検出に頼らないことが明記されています。
出品者の身元を推定させないでください。 Claude は画像に写った人物の名前を答えることができず、その要求を拒否します。 出品者アカウントの実在人物を特定する用途には使えませんし、使うべきでもありません。
指示内容を固定する
あなたは、自社ブランド商品の出品を巡回して確認する担当者です。
出品ページの内容と自社の正規情報を突き合わせ、
食い違う点を出典とともに挙げてください。
【厳守事項】
- 「模倣品です」「偽物です」「権利侵害です」と書かないでください。
食い違う点と、その根拠となる記載を示すだけにしてください。
- 申立てをすべきかどうかを判断しないでください。
- 出品者が誰であるかを推定しないでください。
アカウント名を、そのまま account_name に入れてください。
- 画像がAI生成かどうかを判定しないでください。
- 挙げた点には、必ず出典のURLと引用箇所を付けてください。
出典を付けられない点は、出力しないでください。
- 出品ページに書かれていない内容を補わないでください。
記載がない項目は "記載なし" と入れてください。
- 公式画像との比較では、「同一である」と断定しないでください。
一致していると見える箇所と、異なって見える箇所の
両方を image_comparison に記述してください。
- 正規販売者の一覧にある出品者は、candidates に入れず
authorized_sellers に分けてください。
- 前回の巡回結果にあるURLは、status を "continuing" にしてください。
前回になかったものは "new" にしてください。
【自社の正規情報】
正規価格: {list_price}
正規販売者の一覧: {authorized_sellers}
登録している権利: {registered_rights}
【前回の巡回結果】
{previous_results}
【今回の出品ページ】
URL: {listing_url}
取得日時: {retrieved_at}
内容: {page_content}
「模倣品です と書かない」の1行が、この構成の安全装置です。 AIが「模倣品と判断されます」と書いた記録が社内に残り、それを根拠に申立てを行えば、正規の並行輸入品だった場合に、こちらが責任を負います。
「同一である と断定しない」も必ず入れてください。 画像の比較は、似ていることは示せても、同一であることの証明にはなりません。 一致する点と異なる点の両方を書かせてください。
出力形式を固定する
{
"crawled_at": "",
"search_conditions": [],
"candidates": [
{
"listing_url": "",
"status": "new | continuing",
"account_name": "",
"listed_price": 0,
"price_ratio_to_list": 0.0,
"title_text": "",
"description_quote": "",
"brand_mention": false,
"model_number_mention": false,
"image_comparison": {
"matching_points": [],
"differing_points": [],
"official_image_id": ""
},
"discrepancies": [],
"source_url": "",
"retrieved_at": "",
"already_reported": false
}
],
"authorized_sellers": [],
"disappeared_since_last": [],
"fetch_errors": [
{
"url": "",
"error_code": ""
}
]
}
status が new か continuing かで、確認する順番が決まります。 新規に出たものから見れば、早期に見つけるという目的に直結します。
price_ratio_to_list は、正規価格に対する比率です。 判定はしませんが、並べ替えの手がかりになります。 ただし価格が安いこと自体は侵害の根拠になりません。 正規の値引き販売、中古品、並行輸入品はいずれも安く出ます。
image_comparison に一致点と相違点の両方を持たせます。 一致点だけを記録すると、申立ての根拠として弱くなります。 相手方は「別の商品だ」と反論します。
fetch_errors を必ず残してください。 url_not_allowed(robots.txt やドメイン制限)、unsupported_content_type、url_not_accessible のいずれかで取得できなかったURLは、「見た」ことになりません。 人が目視で確認する対象として残してください。
disappeared_since_last は、前回あって今回なくなった出品です。 申立てによって削除されたのか、出品者が自分で取り下げたのかは分かりません。記録として残すだけにしてください。
システムへ連携する
最小構成では連携はありません。担当者が生成AIに監視条件と正規情報を貼って作業します。
半自動化では、次をつなぎます。
| つなぐ先 | 内容 |
|---|---|
| 基幹システム(読み取り) | 商品マスタ、正規価格 |
| SharePoint リスト(対応履歴) | 巡回結果、申立ての記録 |
| Teams | 新規候補の通知 |
| モールの管理画面 | 人が操作する(自動化しない) |
申立てを自動送信しないでください。 各モールは権利者向けの申立て窓口を用意していますが、誤った申立ては相手方の販売を不当に止めることになります。 申立ての送信は、知財担当が内容を確認して人が行ってください。
モールへの自動ログインや管理画面の自動操作も行わないでください。 利用規約で制限されていることが多く、アカウントが停止されると監視そのものができなくなります。
人が確認する
侵害の判断と申立ての決定は、必ず知財担当が行います。
| 順 | 確認する点 | 誰が |
|---|---|---|
| 1 | status: new の候補 | 知財担当(出品ページを実際に開く) |
| 2 | image_comparison の一致点・相違点 | 知財担当(画像を目で見比べる) |
| 3 | 権利の種類(商標・意匠・著作権)の特定 | 知財担当 |
| 4 | 侵害の成否 | 知財担当(必要に応じて弁理士・弁護士) |
| 5 | fetch_errors(取得できなかったURL) | 知財担当(目視で確認する) |
| 6 | 申立てを行うかの決定 | 知財担当 |
| 7 | 申立て後の削除の確認 | 知財担当(翌週の巡回結果で) |
1番目の「出品ページを実際に開く」を省かないでください。 取得した内容は、取得した時点のものです。 出品は編集されます。申立ての直前に、現在の状態を確認してください。
2番目は、人が目で見るしかありません。 画像の一致は、AIの説明だけでは判断できません。並べて見比べる画面を用意してください。
4番目で迷ったら、必ず外部に相談してください。 並行輸入品、中古品、正規品の転売は、いずれも権利侵害に当たらない場合があります。 判断を誤って申立てを行えば、相手方から損害賠償を請求されることがあります。
例外に対処する
| 起きること | 対応 |
|---|---|
| 正規代理店の出品が候補に挙がる | 正規販売者の一覧を更新する。一覧の整備が前提 |
| 並行輸入品・中古品だった | 侵害とは限らない。 弁理士に相談する |
| JavaScriptで描画されるページ | web fetch では取得できない。目視の対象にする |
robots.txt で制限されている | url_not_allowed が返る。回避しない。目視の対象にする |
| 取得した内容が古い(キャッシュ) | 申立ての直前に人が開いて現在の状態を確認する |
| 出品者が名前を変えて再出品する | URLが変われば new として挙がる。それでよい |
| 削除されたはずの出品が残っている | 翌週の巡回で continuing になる。追跡する |
| 検索回数が上限を超える | max_uses_exceeded。監視条件を分割して複数回に分ける |
| 画像が20枚を超える | 各辺2000px以下にリサイズするか、20枚以下に分ける |
| 画像が10MBを超える | 縮小してから渡す |
| アニメーションGIFの画像 | 最初のフレームしか見られない |
| 海外モールの出品 | 国ごとに権利の登録が必要。 国内の商標では対応できない |
| 自社の権利が登録されていない | 申立ての根拠がない。 先に出願を検討する |
記録を残す
- 巡回の実行日時と、使用した監視条件
- 候補として挙がった出品のURL、取得日時、取得内容
- 出品ページのスクリーンショットまたはPDF(申立ての証拠)
- 画像の比較結果(一致点・相違点)
- 知財担当の判断と、その理由
- 申立ての内容、送信日、結果
- 削除の確認日
fetch_errorsに入ったURLと、目視確認の結果
出品ページの保存が、この構成でもっとも重要な記録です。 出品は削除されます。削除された後では、何があったかを示せません。 候補として挙がった時点で、スクリーンショットまたはPDFとして保存してください。
「判断と理由」を必ず残してください。 「申立てをしなかった」判断も記録に残してください。同じ出品が翌週も挙がったときに、同じ検討を繰り返さずに済みます。
監視条件の変更履歴を残してください。 「いつからこの語を監視し始めたか」が分からないと、見つからなかった期間の意味が変わります。
04実装レベルの3段階
本格構成にしないと効果が出にくい題材です。 前回結果との差分がないと、毎週同じ出品を確認し続けることになります。 この構成を★4としているのは、半自動化の段階では労力があまり減らないためです。
05工数削減シミュレーション
導入後 300件 × 2.4分 ÷ 60 = 12 時間/月
自社条件で導入効果を整理したい方へ
このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。
06向いている企業・向いていない企業
- 自社ブランドの商品を通販サイトで販売しており、商標登録または意匠登録を済ませている企業。模倣品または商品画像の無断転載が実際に確認されており、月に数十件以上の出品を目視で見回っていること。申立ての判断ができる知財担当または顧問弁理士がいること。
- 商標・意匠の登録がなく、権利の根拠を示せない場合。模倣品の発見が年に数件で、目視で追えている場合。自社が権利者ではなく、販売代理店の立場である場合(権利者の委任が必要)。
07最小構成で試す方法
- 監視条件を20行書き出す(ブランド名、型番、崩し表記)
- 正規販売者の一覧を作る(自社アカウントと正規代理店)
- 1ブランドだけを対象に、生成AIに検索させて候補を挙げさせる
- 知財担当が、挙がった候補を実際に開いて確かめる
見るのは次の4点です。
| 見る点 | 判断 |
|---|---|
| 正規代理店を除外できているか | できていなければ、一覧を整備する |
| 「模倣品です」と書いていないか | 書いていたら、プロンプトを強める。最重要 |
| 出典のURLが付いているか | 付いていなければ、記録として使えない |
| 取得できなかったURLを残しているか | 残していなければ「見た」ことにならない |
2のステップ(正規販売者の一覧)を先に作ってください。 これがないと、候補の大半が正規の出品になります。 そして、これはこの構成をやめても残る資産です。
あわせて、次の2つの数字を出してください。
- 1ブランドあたり、確認すべき出品が何件あるか
- そのうち、正規販売者以外の出品が何件あるか
6の数字が、この構成で扱う実際の量です。 想像より多いか少ないかを、先に確かめてください。
08実装時につまずきやすいポイント
| 問題 | 対策 |
|---|---|
| AIが「模倣品です」と断定する | プロンプトで禁止する。食い違う点の提示にとどめる。最重要 |
| 正規代理店の出品が毎週挙がる | 正規販売者の一覧を整備する。これがないと運用が止まる |
| 崩し表記で見つからない | 監視条件に「◯◯風」「◯◯タイプ」を入れる |
| 前回結果との差分がない | 差分を作る。ないと毎週同じ量を確認することになる |
| 動的に描画されるページが読めない | web fetch は非対応。目視の対象として残す |
robots.txt で制限されている | url_not_allowed が返る。回避しようとしない |
| 画像が多すぎてリクエストが失敗する | 2000px以下にリサイズするか20枚以下に分ける |
| 画像の細部が縮小で読めない | ロゴ部分を切り出して渡す |
| 出品ページを保存していない | 削除されると証拠が残らない。候補の時点で保存する |
| 申立てを自動送信する | しない。誤った申立ては損害賠償の対象になりうる |
| 並行輸入品を侵害と扱う | 侵害とは限らない。弁理士に相談する |
| 海外モールを国内の権利で扱う | 国ごとに権利の登録が必要 |
| 申立て後の追跡をしていない | 翌週の巡回で削除を確認する |
09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点
この構成で扱うデータ: 自社の商品情報、登録している権利、公開されている出品ページの内容。顧客の個人情報は扱いません。
- 相手方への影響 … 申立ては相手方の販売を止めます。誤った申立ては、損害賠償の対象になりえます。 判断を自動化しないでください
- 断定を出力させない … 「模倣品である」「権利侵害である」という記述を社内文書に残すことの意味を、顧問弁理士・弁護士と事前に整理してください
- 各サイトの利用規約 … 自動収集を制限しているサイトがあります。規約を確認し、検索エンジン経由で公開されている範囲にとどめてください
robots.txtの尊重 … web fetch は制限されたURLをurl_not_allowedとして返します。この挙動を回避しようとしないでください- 外部からの入力を扱うリスク … この構成は外部のWebページの内容をAIに読ませます。Anthropic は、信頼できない入力と機微なデータを同時に扱う環境での web fetch の利用について、データ持ち出しのリスクがあると警告しています。 対策として、
allowed_domainsで取得先を限定し、max_usesで回数を制限してください - 社内の機密を同じ会話に入れない … 未発売商品の情報や原価は、この巡回の会話に入れないでください
- 人物の特定をさせない … Claude は画像の人物を特定せず、その要求を拒否します。出品者の身元調査に使わないでください
- AI生成画像の判別をさせない … 判別できないことが公式に明記されています。 画像の真贋判定に使わないでください
- 自動実行してよい範囲 … 巡回、突き合わせ、記録、通知までです。侵害の判断、申立ての決定と送信は、必ず人が行います
誤りが起きた場合のリスクは、両方向にあります。 見落とせば、模倣品が売られ続けます。取り違えれば、正規の販売者の出品を不当に止めます。 後者は相手方との紛争になります。「候補を挙げるところまで」を構成の範囲と決めて、外に出さないでください。
10まず何から始めるか
1週目:正規販売者の一覧を作る
自社アカウントと正規代理店のアカウント名を、モールごとに書き出してください。 営業部門に聞けば分かります。これがないと、この構成は動きません。
2週目:登録している権利を整理する
- 登録商標(登録番号、指定商品・区分)
- 登録意匠(登録番号)
- 著作権を主張する画像(自社で撮影・作成したもの)
権利が登録されていない商品については、申立ての根拠がありません。 この整理の過程で、出願を検討すべき商品が見つかることがあります。
3週目:監視条件を20行書く
ブランド名、型番、崩し表記を組み合わせます。現在、担当者が実際に検索している語を聞き取れば埋まります。
4週目:1ブランドで試す
生成AIに検索させ、候補を挙げさせます。「模倣品です」と書いていないか、正規代理店を除外できているか、出典が付いているかを必ず確かめてください。
2か月目:週次の巡回と差分を作る
前回結果との突き合わせを入れて、新規と継続を分けます。 ここまで作って、はじめて労力が減ります。
3か月目以降: 画像の比較と、申立て後の追跡を追加します。8分が何分になるかを実測し、あわせて「お客様からの問い合わせより先に見つけられた件数」を追ってください。 時間より、こちらの数字が本来の目的です。
あわせて、弁理士・弁護士への相談経路を決めてください。 判断に迷う案件は必ず出ます。相談先が決まっていないと、候補が挙がったまま止まります。
11関連ユースケース
12この仕組みを理解するための記事
13技術仕様の確認日・参考情報
| 確認した内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|
Claude API の web search ツールで max_uses により検索回数を制限でき、超過時に max_uses_exceeded が返ること。allowed_domains と blocked_domains を同時に指定すると400エラーになること。引用が常に有効であること。料金が1,000検索あたり10ドルであること | Claude Docs: Web search tool | 2026-09-18 |
web fetch ツールが、会話の中に先に現れたURLしか取得できず、そうでない場合に url_not_in_prior_context を返すこと。robots.txt やドメイン制限で取得できない場合に url_not_allowed を返すこと。取得できるのがテキスト・HTML・PDFのみで、それ以外は unsupported_content_type になること。JavaScriptで動的に描画されるサイトに対応していないこと。引用は既定で無効で citations: {"enabled": true} の指定が必要なこと。max_content_tokens で取得量を制限できること。追加料金がなくトークン費用のみであること。平均的なWebページ(10kB)が約2,500トークンであること。信頼できない入力と機微なデータを同時に扱う環境ではデータ持ち出しのリスクがあると警告されていること | Claude Docs: Web fetch tool | 2026-09-18 |
Claude の画像入力が1リクエストあたり最大600枚(200kトークンのコンテキストウィンドウを持つモデルでは100枚)で、リクエスト全体のサイズ上限が32MBであること。画像が20枚を超えると1枚あたりの寸法制限が厳しくなり、各辺2000px以下へのリサイズまたは20ブロック以下への抑制が必要なこと。1画像あたりの上限が直接APIで10MBであること。対応形式がJPEG・PNG・GIF・WebPで、アニメーションは最初のフレームのみ使われること。視覚トークンが ⌈幅/28⌉ × ⌈高さ/28⌉ で計算されること。画像がAI生成かどうかを判別できないこと。画像内の人物を特定できず要求を拒否すること。物体の計数は概数にとどまること | Claude Docs: Vision | 2026-09-18 |
模倣品・無断転載への対応は、商標権・意匠権・著作権・不正競争防止法のいずれに基づくかによって、取りうる手段と要件が異なります。 並行輸入品、中古品、正規品の転売は権利侵害に当たらない場合があります。侵害の成否の判断は、必ず知財部門と弁理士・弁護士が行ってください。 各通販サイトへの申立ての方法と要件は、サイトごとに定められています。権利者としての登録が必要な場合があります。 自動収集の可否についても、各サイトの利用規約を確認してください。誤った申立ては相手方の販売を不当に止めることになり、損害賠償の対象になりえます。
実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。従量課金は、自社の監視条件の数と対象サイト数から算出してください。
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