建物や像が写る写真は使える?|屋外にある作品の決まり

建物や像が写る写真は使える?|屋外にある作品の決まり

会社案内に載せる写真を撮りに、自社の建物の前に立つ。背後には隣のビル、駅前の彫刻、特徴のある屋根。これらが写り込んだ写真を、資料やサイトに載せてよいのか屋外に恒常的に置かれた作品には、専用の決まりが用意されています。この記事では、原則として使える範囲と、例外になる使い方を整理します。


カメ先生カメ先生

屋外に置かれた彫刻や建物には、写真に使うための決まりがあります。


カメ子カメ子

写り込んだら許可が要るのだと思って、いつも避けていました。


カメ先生カメ先生

原則は逆です。屋外に恒常的に置かれたものは、広く使えるとされています。


カメ子カメ子

原則が逆なのですね。では例外はどんな場合でしょうか。


この記事のポイント
  • 屋外に恒常的に置かれた美術の作品と建築の作品は、原則として自由に利用できる
  • 例外は、彫刻を作って売る場合や、建築を建築として再現する場合など
  • 著作権とは別に、施設の管理者の決まりや商標の問題が残ることがある

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目次

写り込みを恐れて撮れない

会社案内、採用の頁、催しの報告。法人の発信では、建物や街の風景を撮る機会が多くあります。

そのときに手が止まるのが、写り込みの扱いです。近くのビル、駅前の彫刻、商業施設の外観。これらに権利があるなら、許可が要るのではないかと考えてしまいます

結果として、背景をぼかす、画角を狭める、屋内だけで撮る。必要以上に窮屈な撮り方になっている現場は少なくありません

実際には、屋外に恒常的に置かれた作品については、広く使えるようにする決まりが用意されています。原則と例外を知れば、撮れる範囲は大きく広がります。

この決まりの背景にあるのは、公開された場所に置かれた作品への権利の主張を無制限に認めると、一般の人の行動の自由を過度に抑えてしまう、という考え方です。

以下では、原則として使える範囲、例外になる使い方、そして著作権以外に残る論点を順に見ていきます。なお、実際の判断は事案によるため、弁護士に確かめてください。

先に結論を書いておくと、法人の発信で通常行う使い方は、ほとんどが原則の範囲に収まります。会社案内、採用の頁、催しの報告、所在地の案内。これらで写り込みを恐れる必要は、ほとんどありません。

屋外に恒常的に置かれたものは使える

決まりの中心は単純です。美術の作品で、その原作品が屋外に恒常的に設置されているもの。そして、建築の作品。これらは、いくつかの例外を除き、方法を問わず利用できるとされています

「方法を問わず」というのが要点です。写真に撮る、資料に載せる、サイトに掲載する、動画に映す。使い方の種類で線を引いているのではありません

要件は3つに整理できます。第一に、美術の作品または建築の作品であること。第二に、屋外の場所に恒常的に設置されていること。第三に、定められた例外に当たらないこと。

第二の要件でいう屋外の場所とは、街路や公園のように一般に開放されている屋外の場所、または建物の外壁のように一般の人が見やすい屋外の場所とされています。

恒常的に、という点も要件です。期間を限って展示されているものは、恒常的とは言いにくい。催しの期間だけ置かれた作品は、この決まりの対象になりにくいと考えられます。

屋内は対象外です。美術館の中、商業施設の内部、駅の構内。屋根のある空間に置かれた作品は、この決まりでは扱えません。

ただし、屋内だから一律に使えない、というわけでもありません。そもそも保護の対象になる作品かどうかから検討することになります。内装や什器のように、美的な創作性が問題にならないものも多くあります。

例外になる4つの使い方

原則として使えるとはいえ、使えない場合が定められています。この例外を知っておくことが、実務では重要です。

例外にあたる使い方考え方
彫刻を作り、その複製物を譲渡して公衆に提供する作品そのものを複製して配る行為
建築の作品を、建築によって複製する同じ建物を建てる行為
屋外に恒常的に設置するために複製する別の場所に同じものを置く行為
専ら複製物の販売を目的として複製し、または販売する作品の複製物を売ることが主たる目的

法人の発信で関わる可能性があるのは、4つ目です。複製物の販売そのものを目的とする場合が、これにあたります

たとえば、駅前の彫刻を撮った写真を絵はがきにして売る。この使い方は、専ら複製物の販売を目的とする場合にあたり得ます

一方、会社案内に街の風景として載せる、サイトの背景として使う、採用の資料に周辺の環境として載せる。こうした使い方は、複製物の販売を目的とするものではありません。

境目が問題になるのは、写真そのものを商品として売る場合です。写真の素材として提供する、写真集として販売する。こうした場面では、個別の検討が要ります。

販促の資料に使うことは、商品として写真を売ることとは違います。資料そのものを販売しているわけではないためです。有料の書籍として販売する資料であれば、検討の余地が出てきます。

建築の作品にあたるか

もうひとつの論点が、そもそも対象になる作品かどうかです。すべての建物が、建築の作品として保護されるわけではありません。

一般的な理解では、建築の作品として保護されるのは、美的な創作性が認められるものに限られます。ありふれた設計の事務所や倉庫は、そもそも保護の対象にならないことが多い。

そうであれば、多くの建物についてはこの決まりを持ち出すまでもありません。保護の対象でないものは、著作権の問題そのものが生じません

問題になるのは、著名な建築家が手がけた建物、意匠性の高い公共の施設、特徴的な外観を持つ商業施設です。

こうした建物についても、屋外に恒常的に設置されている以上、原則として利用できることに変わりはありません。例外に当たらない限り、写真に撮って載せることはできます。

ただし、その建物を主題として大きく扱い、写真集や絵はがきとして販売する場合は、例外の検討が要ります。実際の判断は事案によるため、弁護士に確かめてください。

著作権とは別に残る論点

著作権の面で問題がなくても、写真を使えるとは限りません。別の論点が残ります。

ひとつは、施設の管理者の決まりです。商業施設や私有地では、撮影そのものを制限していることがあります。敷地に入って撮る場合は、その場の決まりに従います。

公道から撮る分には、施設の決まりは及びません。ただし、公道であっても、三脚を立てるなど場所を占有する撮影には別の手続きが要る場合があります

もうひとつは、商標の問題です。建物の外壁に掲げられた社名や記号は、商標として登録されていることがあります。

風景として写り込む分には、商標を使ったことにはならないのが通常です。問題になるのは、その記号を自社の宣伝に使ったと受け取られる場合です。

たとえば、取引先のビルを大きく写して「この会社と取引があります」と示す。これは、写真の権利とは別に、相手の許諾を取るべき場面です。

人が写り込む場合は別の話

屋外で撮ると、通行人が写り込みます。建物や彫刻の決まりは、人には及びません。

人の姿を無断で撮影し公表することについては、肖像に関する利益として保護されると考えられています。建物とは別の枠組みで判断されます。

風景の一部として小さく写る程度なら、問題になりにくい。個人が特定できる大きさで写り、その人が主題であるかのように見える場合は、配慮が要ります

実務としては、人が少ない時間に撮る、後ろ姿だけにする、顔が判別できない処理をする。この3つで、多くの場面は解決します。

自社の社員が写る場合も、本人の了解を取ります。業務中の撮影だから当然、とは考えないほうがよい。退職後の扱いも、撮影の時点で決めておきます。

催しの会場での撮影は、参加者に事前に知らせます。申込のときに撮影の予定を伝え、写りたくない人が避けられる仕組みを用意します。

写りたくない人には、目印を渡す方法がよく使われます。色の違う名札、配布する記章。目印があれば、撮影の担当が現場で判断できます。後から写真を1枚ずつ確かめるより、撮る段階で避けるほうが確実です。

街の風景を撮るときの実務

自社の建物だけでなく、周辺の環境を撮ることもあります。所在地の雰囲気を伝える、アクセスを案内する、採用の頁で働く街を見せる。

こうした写真は、特定の建物を主題にしていません。街並みの一部として写る建物は、多くの場合そのまま使えます

注意するのは、1つの建物を大きく主題として扱う場合です。駅前のよく知られた建物を大写しにして自社の資料の表紙にする。主題として使うなら、その建物との関係を説明できる必要があります

関係のない建物を表紙に使うと、権利の問題とは別に、誤解を招きます。その建物に自社が入居していると受け取られる可能性があります。

アクセスの案内では、目印になる建物を写すことがあります。この用途は、案内という目的が明確で、問題になりにくい使い方です。

撮る時間帯も考えます。人通りの少ない早朝なら、人の写り込みを避けられます。光の条件もよく、撮り直しが減ります。

動画や図に描く場合

写真だけでなく、動画や図でも同じ論点が出ます。扱いは、基本的に写真と変わりません。

屋外に恒常的に置かれた作品を動画に映すことも、原則として利用できる範囲に含まれます。方法を問わず利用できる、という決まりだからです。

図やイラストとして描く場合は、少し考え方が変わります。特徴を強調して描くと、その建物を主題とした作品を新たに作ったことになり得ます

案内の地図に建物の形を簡略化して描く程度なら、問題になりにくい。細部まで再現したイラストを商品として販売する場合は、例外の検討が要ります。

なお、地図そのものにも権利があります。既存の地図を写して案内図を作るのは、別の問題です。利用の条件が定められた地図の仕組みを使います。

動画の場合は、音の権利も同時に関わります。街で撮影すると、店舗から流れる音楽が入ることがあります。屋外の作品とは別に、確認が要ります。

工場や設備を撮るとき

製造業の発信では、工場や設備の写真が中心になります。ここでは、権利とは別の観点が重要になります。

設備の配置、使っている機械の型、工程の順序。これらは、競合に見せたくない情報であることが多い

写真を1枚公開するだけで、生産の能力や工程の特徴が推測されます。権利の確認より、この観点のほうが実害は大きい

撮る前に、技術や製造の担当と一緒に画角を決めます。「この装置は写さない」「この掲示は外す」。現場で決めるより、先に決めるほうが早い。

納入先の名前が書かれた製品や梱包が写り込むこともあります。取引の事実そのものが秘密にあたる場合があります。写り込みを消すか、撮る場所を変えます。

他社から借りている設備が写る場合は、貸主の意向も確かめます。契約に、公開に関する条項が入っていることがあります。

撮影の前に画角を決めておくと、現場での作業も速くなります。止められる工程は限られており、撮り直しのたびに生産が止まります。下見をして構図を決めてから、本番の撮影に入ります

社内で判断の基準を持つ

撮影のたびに一から考えるのは、現実的ではありません。判断の基準を1枚にまとめておきます。

  • 屋外か屋内か(屋内は別の検討が要る)
  • 主題として扱うのか、背景として写るだけか
  • 使い道は何か(資料・サイト・広告・販売する素材)
  • 私有地に入るか、公道から撮るか
  • 人が特定できる大きさで写らないか
  • 取引先や納入先が推測できる情報が写っていないか

この6項目を、撮影の依頼書に入れておきます。外注する場合も、同じ項目を伝えれば認識が揃います

判断に迷った写真は、使わないという選択もあります。1枚のために時間を使うより、撮り直すほうが早いことが多い

基準を作ったら、年に一度は見直します。使い道が広がったり、新しい媒体を使い始めたりすると、前提が変わります。

なお、この基準は判断の手がかりであって、法的な結論を保証するものではありません。重要な用途では、弁護士に確かめてください。

撮影の前に確かめること

現場に行く前に確かめておくと、撮り直しが減ります。手順にしておきます。

STEP1
撮る場所が公道か私有地かを調べる

私有地なら、管理者の決まりに従います。商業施設や駅の構内は、撮影の可否が掲示されていることがあります。分からなければ、事前に問い合わせます。

STEP2
主題にする対象を決める

何を主題として撮るのかを決めます。自社の建物が主題なら、周囲は背景です。他社の建物を主題にするなら、別の検討が要ります。

STEP3
使い道を決める

会社案内に載せるのか、素材として販売するのか。使い道によって、例外に当たるかどうかが変わります。撮る前に決めておきます。

STEP4
人の写り込みへの備えを決める

時間帯を選ぶ、画角を工夫する、後から処理する。撮ってから考えると、使えない写真ばかりになります。

STEP5
撮影の記録を残す

いつ、どこで、誰が撮ったかを残します。後から使い回すときに、条件を確かめられます。許可を得た場合は、その記録も一緒に残します。

3つ目が要点です。同じ写真でも、使い道によって判断が変わります。後から使い道が広がることを見込んで、撮影の時点で幅を持たせておきます。

素材として買った写真の場合

自社で撮らず、写真の素材を購入して使うこともあります。この場合の確認は、また別の観点になります。

素材の提供元は、写真の権利については処理しています。しかし、写り込んだ建物や作品の権利まで保証しているとは限りません

規約には、「写り込んだ第三者の権利については利用者の責任」という趣旨の条項が置かれていることがあります。買ったから何にでも使える、という理解は危うい

特に、特徴的な建物や著名な彫刻が大きく写っている素材は注意が要ります。背景として使うのか、主題として使うのか。

商用の利用が認められているかも確かめます。販促の資料に使う、広告として配信する、商品の包装に使う。用途によって条件が違うことがあります。

迷うなら、自社で撮るほうが確実です。撮影の条件を自分で決められるため、後から使い道が広がっても対応できます。

海外で撮った写真の扱い

海外の展示会や拠点で撮った写真を国内の資料に使うこともあります。このときは、国内の考え方をそのまま当てはめられません。

屋外に置かれた作品の扱いは、国によって大きく違います。広く自由に使える国もあれば、商業目的の利用を認めていない国もあります。

認めていない国で撮った建物の写真を販促の資料に使うと、撮った場所の決まりに触れる可能性があります

公開する場所によっても変わり得ます。国内向けのサイトに載せるのか、現地でも見られる形で出すのか。この点は判断が難しく、重要な用途では専門家に確かめます。

実務としては、海外で撮った建物の写真は背景として小さく使うにとどめるのが無難です。主題として大きく扱うなら、現地の事情を調べます。

展示会の会場内は屋内であることが多く、そもそもこの決まりの対象外です。会場の撮影の規定に従うのが基本になります。

やりがちな失敗

現場で見かける失敗を挙げます。多くは、確認の順番を誤ったことから起きます。

  • 撮ってから使い道を決め、結果として使えない写真になる
  • 私有地に入って撮り、管理者の決まりを確かめていない
  • 取引先のビルを大きく写し、取引の証拠のように見せる
  • 購入した素材を、規約を読まずに広告に転用する
  • 人が特定できる大きさで写り込んだまま公開する
  • 撮影の記録を残さず、数年後に条件が分からなくなる

1つ目が、いちばん多く見かけます。使い道が決まらないまま撮ると、判断の基準が持てません

6つ目も、後から効いてきます。3年前に撮った写真を使い回そうとしたときに、どこで撮ったか、許可を取ったかが分からない。記録が1行あれば済む話です。

  • 屋外に恒常的に置かれた美術と建築の作品は、原則として利用できる
  • 複製物の販売を目的とする場合など、定められた例外にあたる使い方には注意する
  • 著作権とは別に、施設の管理者の決まりや人の写り込みへの配慮が残る
  • 実際の判断は事案によるため、弁護士に確かめる

使い回すときの確認

一度撮った写真は、何年も使い回されます。撮ったときの前提が変わっていることに、誰も気づきません。

よくあるのが、背景の建物が建て替わっている、看板の会社が入れ替わっている、取引が終わった相手の名前が写っている。権利の問題ではなく、事実として古い写真になっています

採用の頁で古い写真を使い続けると、訪ねてきた人が場所を間違えます。会社案内の写真は、内容の正しさそのものが信頼に関わります

使い回すときは、撮影の記録を見ます。いつ撮ったか、どこで撮ったか、許可を取ったか。記録があれば、数分で判断できます。

記録がない写真は、使い回しの候補から外すのが安全です。撮り直す手間と、後から問題が起きたときの手間を比べます。

素材の一覧を作り、年に一度は見直します。使わなくなった写真は整理し、残すものには記録を添える。この習慣があると、判断のたびに悩まずに済みます。

よくある質問

屋内に置かれた作品はどうなりますか

この決まりの対象は屋外です。屋内の作品については、別の枠組みで検討します。施設の撮影の決まりも確かめます。

期間限定で置かれた作品は使えますか

恒常的に設置されているとは言いにくいため、この決まりの対象になりにくいと考えられます。個別の検討が要ります。

自社のビルなら自由に撮れますか

敷地の管理は自社なので撮影自体は自由ですが、設計を委託した建築家の権利が関わることがあります。資料に大きく使うなら、契約の内容を確かめます。

看板の文字が写り込むのは問題ですか

風景として写り込む程度なら、通常は問題になりにくい。その記号を自社の宣伝に使ったと見える形は避けます。

判断に迷ったらどうしますか

主題として大きく扱わず、背景にとどめるのが安全です。そのうえで、実際の判断は事案によるため、弁護士に確かめてください。

生成した画像に建物を描かせる場合は

実在の建物を再現するよう指示すると、描いた結果が主題として扱われる可能性があります。特定の建物を指定せず、一般的な街並みとして作らせるほうが無難です。

催しの会場で撮った写真はどうですか

会場が屋内なら、この決まりの対象外です。会場の撮影の規定に従います。主催者が撮影の可否を定めていることが多いので、出展の手引きで確かめます。

まとめ

屋外に恒常的に置かれた美術の作品と建築の作品は、原則として方法を問わず利用できるとされています。写り込みを恐れて撮り方を狭める必要は、多くの場面でありません。例外として定められているのは、彫刻を作って複製物を配る場合、建築を建築として再現する場合、屋外に恒常的に設置するために複製する場合、そして専ら複製物の販売を目的とする場合です。会社案内や採用の頁に街の風景として載せる使い方は、これらにあたりません。そもそも、ありふれた設計の建物は保護の対象にならないことが多く、論点が生じない場面も多くあります。注意すべきは、著作権とは別に残る論点です。私有地での撮影は管理者の決まりに従い、他社の建物を主題にするなら相手の意向を確かめ、人が特定できる大きさで写る場合は配慮する。そして、撮る前に使い道を決めておく。同じ写真でも使い道によって判断が変わるため、ここを決めずに撮ると使えない写真が増えます。実際の判断は事案によるため、弁護士に確かめてください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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