社内文書の分類はAIより先に決める|棚と呼び名を揃える

社内文書の分類はAIより先に決める|棚と呼び名を揃える

「共有フォルダを部署ごとに切っているのに、同じ資料が3か所にあります」「AIに社内文書を読ませたら、差し替えたはずの古い規程のほうを引いてきました」——社内で生成AIを使い始めた会社から、判で押したように同じ形で届く相談です。原因を探す先はたいてい検索の設定や道具の性能に向きますが、そこではありません。効かないのは、どの棚に置くかと、その棚を何と呼ぶかが決まっていないからです。この記事では、AIに読ませる前に決めておく分類体系、つまり棚と呼び名の作り方を、順番に整理します。


カメ先生カメ先生

社内文書の分類はね、AIを入れてから考えればいいと思われがちなんだ。でも実際は逆で、棚と呼び名が決まっていない状態で読ませると、AIは古い版と新しい版のどちらを出すかを自分では決められないんだよ。


カメ子カメ子

棚が決まっていないと、AIの側では選べないということですか。


カメ先生カメ先生

選べないね。人は置き場所を見て「これは前の年度のものだ」と分かるけれど、AIに渡るのは文のかたまりだけだ。だから、どの棚のどの呼び名かという情報を、先に人の側で作っておく必要がある。


カメ子カメ子

棚を作る作業そのものは、AIに任せられる部分と任せられない部分があるのでしょうか。


この記事のポイント
  • 上から割って配る作り方は形骸化しやすい。現物から積み上げ、上位だけを全社で揃える
  • 効くのは階層の深さではなく、同じものを指す呼び名が1つに寄っていること
  • 棚の名前と境目は人が決める。AIには候補出しと当てはめの下書きまでを任せ、根拠を書かせる

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目次

棚を決めないままAIに読ませると、何が起きるか

まず症状から見ます。棚が決まっていない状態で社内文書を読ませると、出てくる答えは間違いではないのに使えない、という形になります。典型は、古い版と新しい版が同じ重みで混ざることです。人は共有フォルダの階層を見て新旧を判断していますが、読ませた先に渡るのは本文だけで、置き場所の情報は落ちています。

2つ目の症状は、同じ内容が複数出てくることです。同じ資料が部署ごとのフォルダに複製されていると、それぞれが別の文書として扱われます。答えの中で同じ説明が繰り返され、どれが正なのかが読み取れません。3つ目は、探している文書に届かないことです。社内では通称で呼ばれている文書が、ファイル名では正式名称で保存されている場合、どちらの言葉でも確実には当たりません。

3つとも、原因は同じところにあります。どの棚に置くかと、その棚を何と呼ぶかが決まっていないということです。道具を入れ替えても、読ませる対象の並びが変わらなければ症状は変わりません。だから順番として、棚を決めるほうが先になります。

分類の作り方は2つある|上から割るか、下から積み上げるか

文書分類の作り方は、古くから2つの方式で整理されてきました。行政文書の管理を扱う団体の解説では、上から下へ仕事を分類していく方式をワリツケ式、現実にある文書を担当者が自分の目と手で下から上へまとめていく方式をツミアゲ式と呼んでいます。呼び名は分野によって違いますが、考え方の対立軸はこの2つしかありません

上から割る方式は、業務の全体像から大分け、中分け、小分けと降りていきます。全社で揃った形になりやすく、分類表として先に配れるのが利点です。下から積み上げる方式は、現に手元にある文書をまとめていき、小分けから中分け、大分けへと上がります。現場の実態とずれないかわりに、部署ごとに形が変わります

下から積み上げる側の具体的な進め方も、手順として整理されています。まず関連する文書を集めて小さなまとまりを作り、その小さなまとまりを集めて中くらいのまとまりにし、さらにそれを集めて大きなまとまりにする。作業の単位は常に手元の現物で、分類表は最後に出来上がります。先に表を配らないぶん、合わない棚が生まれにくい進め方です。

作り方向いている場面起きやすいこと
上から割る全社で揃った形が先に必要なとき現場の実態と合わず、使われないまま残る
下から積み上げる現にある文書を整理し直すとき部署ごとに形が変わり、横断して探せない
組み合わせるAIに読ませる準備をするとき上位と下位の切り替え位置を決める手間がかかる

表の3行目が、この記事で勧める形です。上位の階層だけを全社で揃え、その下は各部署が現物から積み上げる。どちらか一方に寄せると、必ず片方の欠点が出ます。切り替える位置をどこにするかは、後の章で扱います。

上から割った棚が、数か月で形骸化する理由

先の団体の解説では、上から割る方式について、形骸化してしまい長続きしていないという指摘がはっきり書かれています。実際に社内で起きることも同じです。分類表を作って配った直後は守られますが、数か月で「その他」と「共有」が膨らみ、半年後には棚の名前と中身が対応しなくなります

理由は3つあります。第一に、割る側が現物を見ていないことです。業務の一覧から作った棚は、実際に流れている文書の粒度と合いません。合わない文書は、いちばん近そうな棚か、その他に入ります。第二に、決めた人が運用しないことです。作った部署と使う部署が違うと、合わない箇所を直す経路がありません

第三に、直す周期が決まっていないことです。棚が合わないと気付いた人は、その場で新しいフォルダを作ります。その追加が正しいかを誰も見ないため、似た意味の棚が並びます。形骸化は一度に起きるのではなく、小さな追加の積み重ねで進みます。だから、作り方と同じくらい、直す仕組みのほうが効きます。

現実解は組み合わせ|上位だけを全社で揃える

実務で機能する形は、上位の階層を全社で揃え、下位は現物から積み上げる組み合わせです。文書管理の解説でも、上位はワリツケ式、下位はツミアゲ式という使い分けが、ハイブリッド方式として紹介されています。AIに読ませる準備という目的から見ると、この形が合う理由がもう1つあります。

横断して探すために必要なのは上位の共通性だけで、下位は各部署の言葉のままでよいからです。上位が揃っていれば、範囲を絞って読ませることができます。下位まで全社で統一しようとすると、どの部署にも少しずつ合わない棚ができ、結局は守られません。揃える範囲を狭くするほど、守られる確率は上がります。

切り替える位置の目安は、複数の部署が同じ文書を探しに来るかどうかです。規程や契約のように部署をまたいで参照されるものは上位で揃え、ある部署の中だけで回る作業資料は各部署に任せます。この線を先に引いておくと、あとで棚を足すときにどちらの領域の話かがすぐ分かります。

棚を決める5工程

手順に落とします。全体を一度に作ろうとすると、たいてい上位の設計だけで止まります。5つの工程に分け、各工程の終わりに形が残る進め方にします。着手から運用に乗るまでの期間は、対象の量によりますが、上位の合意に最も時間がかかります。

STEP1
現物を数える

どの共有フォルダに何件あるかを、部署ごとに数える。中身は読まない。件数と更新の新しさだけを出す。ここで対象から外す領域(個人の作業用、退職者の引き継ぎ待ちなど)を先に決めておく。

STEP2
いちばんよく探される文書を並べる

問い合わせや過去の依頼から、実際に探された文書を書き出す。想像で並べない。探された回数の多い順に20件ほど並べると、上位の棚の候補が自然に見えてくる。

STEP3
上位の棚だけを決める

部署をまたいで参照されるものを対象に、上位の棚を決める。数は絞る。この段階で下位まで作らない。作ると、決めた人以外が使わない棚が生まれる。

STEP4
下位は部署ごとに積み上げる

各部署が、現物をまとめながら下位の棚を作る。上位のどこにぶら下がるかだけを合わせてもらい、名前と粒度は任せる。作った人がそのまま持ち主になる。

STEP5
呼び名を1つに寄せる

同じものを指す複数の言い方を集め、どれを代表の呼び名にするかを決める。捨てるのではなく、言い換えとして代表語に結び付ける。ここが最も効く工程になる。

工程の順番には意味があります。数える前に棚を決めると、実際には数件しかない領域にも棚ができます探される文書を並べる前に上位を決めると、探されない棚が上位に来ます上位の棚は、探す人の側の言葉から作るのが原則です。

工程を進めている間、既存のフォルダはそのままにしておきます。棚を決める作業と、現物を移す作業を同時に進めると、移し終わるまで誰も探せない期間ができるからです。棚の一覧が固まってから、移す作業を部署ごとに分けて進めます。移し終わった棚から順に、AIに読ませる範囲へ入れていきます。

階層は何段まで置くか

何段が正しいという公的な基準は見当たりません。ただ、深くしたときに何が起きるかは、はっきりしています。段が増えるほど、どちらに入れるか迷う文書が増えます。迷った文書は、置いた人の判断で片方に入り、次に探す人は反対側を見ます。階層の深さは、迷う回数を増やす方向にしか働きません

もう1つ、深い階層は名前が短くなるという副作用を持ちます。上の段で文脈が付いているので、下の段は「2026」「旧」「修正」のような短い名前で済んでしまいます。ところがAIに読ませるときに渡るのは本文であって、上の段の名前は付いてきません。短い名前を頼りに人が判断していた情報は、そこで失われます。

段数そのものより、1つの棚に何件をぶら下げるかのほうが、実務では手がかりになります。文書管理の実務解説では、小分類を5から15ほど束ねて中分類を立て、中分類を最大8程度まで束ねて大分類を立てる、という目安が示されています。束ねる数に上限を置くと、段を増やさずに整理しようとする圧力がかかります。上限を超えたときは、段を足す前に、似た意味の棚を寄せられないかを先に見ます。

行政機関の分類表では、段ごとに答える問いが決められています。大分類は目的による大きな区分、中分類は職能による区分または目的の細かい区分、小分類は対象の区分または業務の過程による区分、という形です。段ごとに答える問いが違うから、置く人が迷いません。段を足すなら、その段が答える問いを先に一文で書く。問いを書けない段は、足さないほうが後で楽になります。

  • 段を増やして、同じ意味の棚を上下に分けてしまう(「契約」の下にまた「契約書」)
  • 年度や版を棚の名前にして、毎年1段ずつ増やす
  • 下の段の名前を「その他」「共有」「一時」にして、意味を持たせない
  • 1件しか入っていない棚を作り、そのまま放置する
  • 部署の略称を棚の名前にして、部署名が変わると意味が読めなくなる

実務としては、段を増やしたくなったときに、代わりに呼び名の言い換えを増やせないかを先に考えます。探しにくさの多くは、階層ではなく言葉の側に原因があります。段を増やすのは、置く人と探す人が同じ部署で完結する範囲に限ると決めておくと、上位が膨らみません。

棚の名前は、部署名ではなく業務の言葉で書く

上位の棚を部署名で切る会社は多いのですが、これは長く持ちません。組織は変わるからです。部署が統合されるたびに棚も統合され、中身の意味とは無関係に並びが変わります。棚の名前は、組織ではなく業務の言葉で付けます。契約、採用、購買、品質、規程といった、何年経っても意味が変わらない言葉です。

業務の言葉で付けると、副次的な効果があります。探す人がその言葉を自然に使うため、AIに読ませたときも当たりやすくなります。部署の略称で棚を作ると、その略称を知らない人は探せません。入社して半年の人が使える言葉かどうかが、実用的な判断基準になります

棚の名前を決めたら、その下に入るファイルの名前の付け方も、1行だけ決めておきます。公文書の管理でも、文書ファイルの名称の付け方を標準化することが検討の対象になってきました。細かい規則を作り込む必要はなく、棚の名前に使った語を、ファイルの名前にも同じ表記で入れると決めるだけで足ります。同じ語が同じ表記で並べば、棚の外から探しても届きます。

名前の付け方には、もう1つ気を付ける点があります。動詞で終わる名前を避けることです。「申請する」「承認する」のような名前は、作業の名前であって文書の種類の名前ではありません。同じ作業から複数の種類の文書が出るため、棚として使うと必ず中身が混ざります。名詞で、しかも文書の種類を指す言葉を選びます

同じものを指す呼び名を、1つに寄せる

ここがこの記事でいちばん効く部分です。社内では、同じ文書がいくつもの言い方で呼ばれています。正式名称、略称、旧名称、担当者の間だけで通じる通称、そして誤記。どれか1つだけを正として他を捨てると、捨てられた言葉で探す人が必ず出ます。捨てるのではなく、代表の呼び名を決めて、他をそこに結び付けます

結び付ける作業は、表にするだけで足ります。左に代表の呼び名、右にそこへ寄せる言い換えを並べます。難しいのは集めるほうで、社内の文書だけを見ていても言い換えは出てきません。問い合わせの本文・会議の議事・依頼の文面から、実際に使われている呼び方を拾うと集まります。

起きていることそのままにすると寄せ方
正式名称と略称が混在しているどちらか一方でしか当たらない正式名称を代表にし、略称を言い換えに入れる
旧名称のまま呼ばれ続けている古い文書だけが当たる現在の名称を代表にし、旧名称を言い換えに残す
部署ごとに違う通称がある部署をまたぐと探せない探される回数が多い語を代表にする
誤記が定着している誤記で探した人が0件になる誤記も言い換えに入れる。直させない
同じ語が別の意味で使われている関係ない文書が混ざる代表語を2つに分け、限定する語を足す

最後の行だけは扱いが逆になります。1つの言葉が2つの意味で使われている場合は、寄せるのではなく分けます。分けるときは、どちらにも同じ修飾語を足して対にすると、使う側が迷いません。片方だけに修飾語を足すと、修飾語のないほうが総称のように読まれ、また混ざります。

どちらの棚にも入る文書を、どう扱うか

必ず出てくるのが、複数の棚に当てはまる文書です。採用と法務の両方に関わる契約書、品質と製造の両方に関わる手順書。これを2か所に複製して置くと、片方だけが更新されて食い違います。先の症状のうち、同じ内容が複数出てくる問題の主な原因がこれです。

原則は、現物は1か所だけに置き、もう一方からは代表の呼び名で届くようにすることです。置く場所は、その文書を作って直す責任を持つ側にします。参照するだけの側には置きません。作る側と参照する側が同じだと感じる場合は、更新したときに誰が承認するかを考えると、たいてい片方に決まります。

決めきれないものが残ったら、決めきれないという状態のまま置いておかないことです。仮でよいので片方に置き、決めた日と決めた人を残します。保留の文書は、次に触る人がまた同じところで迷います。迷いを繰り返さないために、仮の決定でも記録として残すほうが運用は軽くなります。

決める順番も先に置いておくと早くなります。第一に、更新したときに文面を直すのはどちらの部署かを見ます。第二に、その文書について社外から問い合わせが来たとき、答えるのはどちらかを見ます。第三に、保管の責任がどちらの規程に書かれているかを見ます。3つとも同じ側を指したら、そこが置き場所です。割れたときだけ、持ち主どうしで決めます。

棚に混ぜてはいけない軸がある

棚の設計でよく壊れるのが、性質の違う軸を同じ階層に混ぜてしまうことです。文書の種類で切った棚の中に、年度で切った棚と、公開範囲で切った棚が並ぶ。こうなると棚の数は掛け合わせで増えていき、どの段で何を判断すればよいかが読めなくなります。

棚で表すのは、その文書が何についてのものかという1つの軸だけにします。年度、版、公開の範囲、保存の期間といった情報は、棚とは別の形で持たせます。これらは1件ごとに付ける情報であって、棚の名前に書き込むと、同じ内容の棚が条件の数だけ並ぶことになります。棚の設計としては、混ぜないと決めるだけで十分です。

混ざっているかどうかは、棚の名前を並べて読むと分かります。同じ段に並ぶ名前が、同じ質問に答えていれば混ざっていません。「何についての文書か」と「いつのものか」が同じ段に混在していたら、後者を棚から外します。この確認は、段ごとに1回ずつ読むだけで済みます。

棚の持ち主を決める|決める人がいない棚は崩れる

形骸化の原因のうち、直す経路がないという問題への打ち手が、棚ごとに持ち主を決めることです。持ち主の仕事は、棚の範囲を決める・代表の呼び名を決める・下に棚を足す判断をするの3つだけです。中身を全部把握する必要はありません

持ち主は、その文書を作って直す部署から出します。参照するだけの部署からは出しません。情報システムの担当者を全部の棚の持ち主にすると、範囲の判断ができないまま形だけ残ります。上位の棚は、業務を所管する部署が持つのが自然な形です

持ち主が異動したときの引き継ぎも先に決めます。棚の一覧に持ち主の役割名を書いておき、人の名前では書きません。役割名で書いておけば、異動のたびに一覧を直す必要がなくなります。持ち主が不在になった棚は、次の見直しの周期で必ず表に出るようにしておきます。

棚が増え続けるのを止める

放っておくと棚は増えます。誰かが必要だと感じた瞬間に作れてしまうからです。止めるには、増やすときの条件と、減らすときの周期を先に決めておきます。条件は難しくする必要はなく、書けるかどうかを問うだけで十分に効きます。

  • 新しい棚を作るときは、そこに入る文書を3件挙げてから作る。挙げられなければ作らない
  • 上位に棚を足すのは、複数の部署が探しに来るものだけに限る
  • 1件も入っていない棚は、次の見直しで自動的に候補に挙げる
  • 似た名前の棚が並んだら、寄せる側と残す側を持ち主が決める
  • 見直しの周期は、日付で決める。落ち着いたらという言い方にしない

減らす作業は、増やす作業よりも合意が要ります。誰かが作った棚を閉じることになるからです。閉じるという言い方を避け、寄せるという言い方にすると進みやすくなります。棚を閉じるのではなく、代表の呼び名に寄せて、元の名前を言い換えとして残す。この形なら、元の言葉で探していた人も届きます。

周期は、年に一度では長すぎます。棚は数か月で増えるので、見直しも同じ間隔にします。見直しといっても、作られた棚の一覧と、1件も入っていない棚の一覧を見るだけです。全部を見ようとすると続きません。増えた分だけを見る形にしておくと、作業量が一定に保てます。

寄せた呼び名が効いたかを、どこで確かめるか

棚と呼び名を整えたら、効いたかどうかを確かめます。感覚で判断すると、作った側は効いたと感じ、使う側は変わっていないと感じます。確かめる材料は、社内の検索やAIへの問い合わせに実際に入力された言葉です。何と入力されたかが分かれば、当たらなかった言葉も見えます。

見るのは3つだけにします。結果が0件になった言葉、同じ人が同じ日に何度も言い換えて入力した形跡、そして探した末に人に聞き直された件。3つとも、棚ではなく呼び名の問題を示します。0件になった言葉は、そのまま言い換えの候補になります。

確かめる周期は、見直しの周期に合わせます。別の日程にすると、片方だけが続いて片方が止まります。0件だった言葉を代表語に結び付ける作業まで含めて、同じ日に終わらせる形にしておくと、集めた材料が使われないまま溜まることがなくなります。

AIに任せてよいこと|候補出しと当てはめの下書き

ここまで人の作業のように書いてきましたが、AIが効く部分もはっきりしています。第一に、呼び名の候補出しです。過去の問い合わせや議事の文面を読ませて、同じものを指していそうな言い方を集めさせる。人の目では拾いきれない量を扱えるので、ここは向いています。

第二に、当てはめの下書きです。現にある文書の一覧に対して、どの棚に入りそうかの案を出させます。案であって決定ではありません。人が見るのは、案が割れたものと、どの棚にも入らなかったものだけにします。全件を見直すと、人手で分類するのと変わらなくなります。

第三に、棚の名前が重なっていないかの突き合わせです。似た意味の棚が並んでいないかを、名前の一覧から拾わせます。第四に、寄せた言い換えの表に漏れがないかの確認です。いずれも、人が決めた形に対して抜けを探す使い方で、決めさせる使い方ではありません。

AIに判断させないこと|棚の名前と境目

任せない範囲も決めます。第一に、上位の棚の名前です。名前は探す人の言葉で決めるものであり、読ませた文書の側からは出てきません。第二に、棚の境目です。どちらにも入る文書をどちらに置くかは、作って直す責任がどこにあるかで決まります。その情報は文書の本文には書かれていません。

第三に、代表の呼び名をどれにするかです。集めるのはAIでよいのですが、どれを代表にするかは、探される回数と、社内で通じる範囲で決めます。AIに判断させず、判断するための材料だけを速く揃えるという線を引いておくと、作業が止まりません。第四に、棚を閉じる判断です。

そして、任せる部分については出力の形を先に決めます。棚の名前だけを返させると確かめようがないので、その棚だと考えた根拠になる語を、文書の側から引用させます。引用できないものは判定できずとして人の列に回します。次の項目を出させる形にしておくと、確認の手間が一定になります。

当てはめの案を出させるときに必ず返させるもの
  • 当てはめた棚の名前(人が決めた一覧の中の語だけを使わせる)
  • その棚だと考えた根拠になる語を、文書の本文から引用
  • 他の棚にも当てはまると考えた場合は、その棚の名前
  • どの棚にも当てはまらない場合は、当てはまらないという答え
  • 文書の中で使われている呼び名(代表語に寄せる前の、元の言い方)

ミニ用語解説

分類体系(タクソノミー)

文書をどの棚に置くかを決めた、棚の並びそのものを指します。上位から下位へ段になっている形が一般的です。この記事で棚と呼んでいるものが、これに当たります。文書1件ごとに付ける情報とは別の層の話で、混ぜると設計が壊れます。

統制語彙

同じものを指す複数の言い方のうち、どれを代表にするかを決めて一覧にしたものです。代表語と、そこへ寄せる言い換えの対応表という形を取ります。捨てる言葉を決めるものではなく、どの言葉から入っても同じところへ届くようにする仕組みです。

軸(ファセット)

文書を切り分けるときの観点のことです。何についての文書かという軸、いつのものかという軸、誰が見てよいかという軸は、それぞれ別の軸です。棚で表すのは1つの軸だけにして、残りは別の形で持たせる、というのがこの記事の立場です。

ワリツケ式とツミアゲ式

上から下へ仕事を分類していく作り方がワリツケ式、現にある文書を下から上へまとめていく作り方がツミアゲ式です。前者は形骸化しやすいという指摘があり、実務では上位をワリツケ式、下位をツミアゲ式にする組み合わせが取られます。

代表語と言い換え

統制語彙の中で、正として使う側が代表語、そこに結び付ける他の言い方が言い換えです。旧名称や略称、定着した誤記も言い換えに含めます。言い換えを消すのではなく残すことが、探す人を取りこぼさないための要点になります。

まとめ

社内文書をAIに読ませて答えが安定しないとき、原因は道具の側ではなく、置き方の側にあります。古い版と新しい版が混ざるのも、同じ内容が複数出てくるのも、探している文書に届かないのも、どの棚に置くかと何と呼ぶかが決まっていないことから来ています。だから順番として、棚を決めるほうが先になります。

作り方は、上位だけを全社で揃え、下位は各部署が現物から積み上げる組み合わせにします。上から全部を割ると形骸化し、下から全部を積み上げると横断できません。階層は深くしても迷いが増えるだけなので、段を増やしたくなったら、代わりに呼び名の言い換えを増やせないかを先に考えます。棚で表す軸は1つに絞り、年度や公開の範囲は棚の名前に混ぜません。

運用を持たせるのは、持ち主と周期です。棚ごとに持ち主を役割名で決め、新しい棚を作るときは入る文書を3件挙げてから作る。数か月に一度、増えた棚と空の棚だけを見る。そして棚の名前と境目は人が決め、AIには候補出しと当てはめの下書きまでを任せて根拠を書かせる。この線を先に引いておけば、文書が増えても同じ形で回り続けます。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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