社内AIの利用率は何を見れば足りる?|回数では測れない

社内AIの利用率は何を見れば足りる?|回数では測れない

「毎月、生成AIの利用回数を集計して報告しているのですが、その数字が増えたから何なのか、と聞かれると答えられません」「利用率は8割と出ているのに、現場に聞くと実際に使っているのは数人だと言われます」——社内にAIを配ったあとの情報システム部門やAI推進担当から、繰り返し出てくる言葉です。二つは別の悩みに見えて、行き着く先は同じところにあります。利用率という1つの数字は社内のどこにも存在せず、何を1回と数え、何で割ったかによって別の数字になるからです。この記事では、社内に配ったAIが使われているかを測る数字の作り方と、読み違いを防ぐ見方を整理します。


カメ先生カメ先生

社内AIの利用状況はね、利用率という物差しが1本あれば足りると思われがちなんだ。でも同じ月の同じ記録から、8割にも2割にも見える数字を作れてしまうんだよ。


カメ子カメ子

同じ記録から、違う数字が出てくるということですか。


カメ先生カメ先生

そうなるね。数える単位と、割る相手を変えるだけで動く。数字が変わった理由を説明できなくなるのは、たいていここが原因なんだ。


カメ子カメ子

数字を出す前に、数え方のほうを先に決める必要があるということでしょうか。


この記事のポイント
  • 利用率は1つの数字ではない。何を1回と数え、何を分母に置くかで値が変わる
  • 1人あたりの平均回数は少数の人に引っ張られる。人数・分布・段階の3つを並べて見る
  • AIに任せるのは集計と分類まで。数の定義と、増減をどう読むかは人が決める

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目次

社内の「利用率」という1つの数字は、どこにも存在しない

最初につまずくのは、利用率という言葉が指すものが社内でそろっていないことです。同じ月の同じ記録でも、配ったライセンスの数で割れば高く出て、在籍している人の数で割れば下がり、対象業務に就いている人の数で割ればまた別の値になります。数字が動いたのではなく、割り方が変わっただけという場面が、報告の場では頻繁に起きます

公表されている調査でも同じことが起きています。総務省の令和7年版情報通信白書では、2024年度の調査時点で個人の生成AI利用経験率が26.7%、企業の業務利用が55.2%(回答442社のうち244社)と示されています。片方は一度でも使った経験、片方は業務で使用中であり、測っている行動も母集団も違うため、そのまま並べて比べることはできません。社内の数字も、この点はまったく同じです。

推計値も同じ性質を持ちます。パーソル総合研究所が2026年2月に公表した推計では、国内で生成AIを業務に使っている人は約1,840万人とされています。この種の数字も、何をもって業務利用とみなすかの定義があってはじめて成り立ちます。外部の数字を社内の目標に持ち込むときは、その調査が何を1回と数え、誰を母集団にしたのかを必ず確かめてください。定義を確かめずに借りた水準は、達成しても未達でも意味を持ちません。

だから最初にやることは、集計ではなく定義です。何を1回と数えるか、誰を分母に置くか、どの期間を1区切りにするかを短い文章にして、報告書の同じ場所に毎回載せる。定義が先に決まっていれば、翌月に数字が動いたときに、動いたのが実態なのか数え方なのかを切り分けられます。

何を1回と数えるかを、ログを開く前に決める

記録の1行が1回ではありません。1つの用件を仕上げるために利用者は何度も投げ直しますし、うまく返ってこなかったときの自動の再試行や、拡張機能が裏側で呼び出した分も同じ形で記録に残ります。この状態のまま行数を数えると、投げ直しの多い不慣れな人ほど、熱心に使っているように見えてしまいます

実務では、数え方の候補は大きく二つです。1回の送信を1回と数える方法は、集計が単純で機械的に取れますが、上の歪みをそのまま抱えます。もう一つは、一定の間が空くまでのやり取りをひとまとまりと見て1件と数える方法で、用件の数に近づきますが、区切りの時間を自分たちで決める必要があります。どちらが正解ということはなく、決めて書き残すことが要点です。

もう一つ決めておきたいのが、人が起動した分と、仕組みが自動で動かした分の切り分けです。2026年に公表された国内企業の調査では、生成AIを活用している企業のうち67.1%が、いまだ人が起動する形での利用にとどまると報告されています。裏を返せば、自動で動く仕組みを入れ始めた組織では、記録の中に人の操作でない行が混ざり出しているということです。呼び出し元の識別子で列を分けておかないと、連携を1つ増やした月に人の利用が急増したように見えます

  • 投げ直しを含めるかどうかを決める。含めないなら、何分空いたら別件と見るかを数字で決める
  • 自動処理・検証用のアカウント・管理者の動作確認は、人の利用とは別の列で持つ
  • 1回の定義を変えたら、過去の月も同じ定義で数え直してから比べる

分母は3通り持ち、どれで割ったかを必ず添える

分母を1つに決めようとすると、必ずどこかで無理が出ます。おすすめは3通りを並べて出し、それぞれが何を答えているかを添えるやり方です。配った席で割った値は投資の使われ方を、在籍者で割った値は社内への広がりを、対象業務に就いている人で割った値は本来届くべき人に届いたかを答えます。

3つのうち、報告で誤解が起きやすいのは配った席で割った値です。席を絞って配れば分母が小さくなるため、使われ方が変わらなくても率は上がります。逆に全社に一斉配布した直後は分母が跳ね上がり、率が落ちたように見えます。席の増減があった月は、率の変化と席の変化を必ず同じ行に並べて示すと、読み違いが起きにくくなります。

もう一つ、分母には必ず基準の日付を付けてください。月末の在籍者で割るのか、月初なのか、期中の平均なのかで値が変わります。日付の基準を変えた月は、率の変化のほとんどが実態と無関係になります。基準の日付は一度決めたら、担当者が替わっても変えない項目として書き残しておいてください。

分母この割り方が答えること気をつけること
配ったライセンスの数払っている費用が使われているか配る数を絞るだけで率が上がる
在籍している人の数社内にどこまで広がったか対象外の職種を含むと低く出続ける
対象業務に就いている人の数届くべき人に届いているか対象の定義を毎月そろえないと比べられない

使った人の数と、使った回数は、別の数字として置く

回数と人数を1つの指標に混ぜると、何が起きたのかが読めなくなります。回数だけが増えて人数が動かないのは、すでに使っている人が用途を広げた状態です。逆に人数が増えて1人あたりの回数が下がるのは、初めて触った人が増えた直後に必ず起きる形で、悪い兆候ではありません。

この二つを分けて持っておくと、翌月の見方が変わります。人数が伸びている月は、初めて使った人が二度目に戻ってくるかを次に見ればよく、回数が伸びている月は、どの用途で伸びたのかを見ればよい。1つの数字にまとめてしまうと、この分岐そのものが消えます。

どちらを先に見るかで議論が分かれたときは、人数を先に置いてください。回数は用途と職種によって桁が変わるため、部署をまたいだ比較には使えません。人数と割合は、定義さえそろえば横に並べられます。比べられる数字を上に、比べられない数字を下に置くという並べ方を報告書の型として固定しておくと、担当が替わっても形が崩れません。

報告に載せるときも、率だけでなく実数を添えてください。「利用率62%」よりも「対象1,480人のうち918人」のほうが、母集団の変化を後から追えます。率は分母が動いた瞬間に意味が変わる数字であり、実数はそれ自体が変わりません。

1人あたりの平均回数は、少数の人に引っ張られる

社内の利用回数は、ほぼ必ず偏った分布になります。参考になるのが、社内に横断検索と対話型のAIを配った企業が公開している実績です。2024年3月から8月までの6か月間、期間中に在籍した1,270名を対象に集計したところ、全社で130万回、1人あたり平均およそ1,000回(1か月167回、1日9回)という数字が出ています。

ただし同じ公開資料では、1日20回以上使っている人は全体の8%、6か月で4,000回以上という層が33名という内訳も示されています。全体の平均値は、この上位の人たちに強く引っ張られた数字です。平均だけを見て「1日9回も使っている」と読むと、実態から離れます。

同じ公開資料では、週あたりの業務時間の削減が全社平均で31分、社員の8割が週15分以上という分布も示されています。平均だけでなく、どの水準を何割が超えたかという形で出すと、偏りがあっても実態が伝わります。利用回数についても同じで、週に1回以上使った人が何割か、という出し方は平均より読み違いが起きません。

ですから平均と一緒に、中央値と、上位1割が全体の何割を占めているか(占有率)を出してください。中央値は真ん中の人の実感に近く、占有率は偏りの強さをそのまま表します。この2つを添えるだけで、平均値のひとり歩きは止まります。

広がっているのか、同じ人が深めているのかを見分ける

同じ「利用回数が増えた」でも、中身は二通りあります。使う人が増えたことによる増加と、すでに使っている人がさらに使ったことによる増加です。見分けるのに一番手早いのは、上位1割の占有率が前の月と比べて上がったか下がったかを見ることです。占有率が上がりながら総数が増えていれば深化、占有率が下がりながら総数が増えていれば広がりです。

先ほどの公開事例では、対象1,270名のうち期間中に一度でも使った人の割合が97%に達しており、広がりとしてはすでに上限近くまで来ています。この段階に入った組織で総数が伸びるのは、ほぼ深化によるものです。組織がどちらの段階にいるかで、次に見るべき数字が変わります

広がりの途中にある組織なら、見るのは新しく使い始めた人の数です。広がりきった組織なら、見るのは用途の幅と、深く使っている層以外の中央値です。段階を確かめずに同じ指標を追い続けると、数字は動いているのに何も分からない報告になります。

月をまたいで比べるときに、数字を狂わせるもの

前月比は便利ですが、そのままでは比べられません。まず営業日数が違います。20日の月と22日の月では、同じ使われ方でも総数が1割違います。長い連休が入る月、決算や監査で通常業務が止まる月も同じです。総数ではなく、1人1営業日あたりに直してから比べるのが基本の形になります。

次に効くのが分母側の変動です。新卒の配属月、組織改編、席の追加購入は、いずれも率を大きく動かします。さらに見落としやすいのが提供している機能そのものの変更で、扱えるファイル形式が増えた月や、社内データを参照できるようになった月は、行動が変わっていなくても記録の量が変わります。

これらは全部は防げないので、月ごとに「この月にあったこと」を3行だけ書き残す欄を作っておくと実務が楽になります。半年後に数字を振り返るとき、この3行があるかないかで、説明にかかる時間がまったく変わります。

初めて使った人・戻ってきた人・離れた人を分けて数える

使った人数の総数だけを追っていると、同じ人数の裏で入れ替わりが起きていても気づけません。先月100人、今月も100人。しかし中身は、継続60人・新規40人・離脱40人ということがあります。この状態は、総数が安定して見えるぶん、対処が遅れます。

そこで、毎月の利用者を継続・新規・復帰・離脱の4つに分けて数えます。継続は先月も今月も使った人、新規は今月が初めての人、復帰は間が空いて戻ってきた人、離脱は先月使ったが今月は使わなかった人です。4つを足すと総数に戻るので、集計の整合も確かめられます。

4区分を出すときは、判定に使う期間も決めておきます。月単位で切ると、長期休暇や出張で1か月空いた人が離脱に見えるため、離脱の数が実態より膨らみます。直近8週間のうち一度でも使ったかどうかで判定する形もよく使われます。期間を変えると離脱の数は大きく動くので、変えたときは過去分も同じ期間で数え直します

この4区分でとくに見る価値があるのは、初めて使った人が翌月も使っているかどうかです。初回だけで止まる人が多い月は、広がりの数字が伸びていても実質は増えていません。初回の翌月に残った割合は、総数よりも早く変化が出る数字として置いておくと役に立ちます。

「使った」を段階で持つ(開いた・投げた・出力を使った)

記録に残る「使った」には深さの差があります。画面を開いただけ、質問を投げた、返ってきた内容を実際の仕事に使った——この3つは同じ1回として記録されますが、意味はまったく違います。段階を分けずに1本の率にまとめると、開いただけの人が多い組織ほど数字が良く見えます

1段目と2段目は記録から取れます。3段目、つまり出力を実際の成果物に使ったかどうかは、多くの環境で記録からは取れません。ここを無理に推定しようとすると、根拠のない数字ができあがります。取れないものは取れないものとして扱い、別の方法で補うのが誠実なやり方です。

段階を分けるもう一つの利点は、投資の説明が変わることです。1段目だけが伸びている状態は、配ったものが触られてはいるが仕事には入っていない状態で、次に打つ手も変わります。3段目に届いた割合が低いまま総数だけが伸びる月は、数字としては好調に見えて実態は動いていません

補い方は次の項目で扱いますが、先に決めておくべきは、経営に出す率がどの段階の率なのかです。1段目の率を出しているのに3段目の話として受け取られると、あとで必ず食い違いが起きます。段階の名前を数字の横に書いておくだけで防げます。

記録から取れる数と、聞かないと分からない数

記録に基づく数と、本人に尋ねて得る数は、同じ対象を測っていても値がずれます。一般に、自己申告のほうが高く出る傾向があります。一度でも使った経験を答える設問と、直近1週間の実際の日数を答える設問では、後者のほうが実態に近い値になります。

参考として、パーソル総合研究所が2026年に公表した「生成AIとはたらき方に関する実態調査」では、業務で週4日以上使っている人は11.7%と報告されています。「使ったことがある」と「週に何日使っている」を混ぜないことが、自己申告を使ううえでの最低条件です。設問は頻度を日数で聞く形にしてください。

あわせて、全社を1つの数字にまとめないでください。同じ白書では、個人の利用経験率が全体で26.7%であるのに対し、20代では44.7%と示されています。社内でも同じ形の差が出ます。全社の率は、差がいちばん大きく出る切り口で分けて、はじめて意味を持ちます。年代、部署、職種のうち自社で差が出やすい切り口を1つ決め、毎月その内訳まで出す形にしてください。

尋ねる頻度は四半期に一度、設問は3問までに抑えるのが現実的です。直近1週間の利用日数、主な用途、出力を仕事にそのまま使えたかどうか。この3問があれば、記録では取れない3段目をおおよそ補えます。回答率が低い部署は、その事実自体が読み取れる情報になります。

数字が動かないときに、疑う順番

利用の数字が前月から動かないとき、いきなり現場の使い方を調べに行くのは順番が違います。測り方と届き方に原因があることが多く、そこを先に潰したほうが早く片づきます。次の順で確かめてください。

STEP1
集計そのものを疑う

集計対象の期間、除外した条件、名寄せの失敗を確かめます。部署異動で識別子が変わった人が別人として数えられ、継続が離脱と新規に割れているだけ、という事例は珍しくありません。

STEP2
席が届いているかを疑う

購入した席が個人に割り当てられているか、割り当て後に初回のログインまで到達しているかを見ます。割り当て済みで一度もログインしていない人数は、それだけで独立した指標になります。

STEP3
入口を疑う

どの画面から開く設計になっているか、初回に追加の設定や同意が要る状態のまま止まっていないかを確認します。ここで止まっている人は、記録上は完全な未利用として現れます。

STEP4
分母の中身を疑う

分母に入れている人が、そもそもAIを使う業務に就いているかを確かめます。対象外の職種を含んだままの分母は、何をしても率が上がりません。

STEP5
それでも動かなければ範囲の外へ

ここまでで原因が出ないなら、測り方の問題ではなく使われ方そのものの問題です。その先は本記事の範囲を超えるため、原因の切り分けと打ち手は別に整理してください。

この順で確かめると、多くの場合は2段目か3段目で原因が見つかります。席を割り当てただけで初回のログインに到達していない人が2割いる、という状態も珍しくありません。届いていない人を未利用として数え続けている限り、率は上がりません。順番を守るのは、いちばん安く直せるところから当たるためです。

数え方を歪める測り方をしない

測り方には、悪意がなくても数字を実態から引き離す型があります。報告を受ける側からは見えないため、出す側が自分で避けるしかありません。

  • 推進担当や管理者自身の利用を全社の数字に混ぜる:人数の少ない組織ほど、数人の熱心な利用で率が跳ね上がる
  • 自動処理や検証用アカウントの呼び出しを人の利用と同じ列で数える:連携を増やした月だけ不自然に伸びる
  • 月ごとに分母を使い分ける:都合のよい月だけ席で割ると、時系列がつながらなくなる
  • 1件の用件での投げ直しを回数として積み上げる:慣れていない人ほど数字が大きく出る
  • 利用回数そのものを部署の目標に置く:意味のない呼び出しが増え、数字と実態が別方向に動き出す

最後の項目はとくに注意が必要です。回数を目標として配った瞬間から、その数字は実態を測る道具ではなくなります。目標に置くなら、回数ではなく段階や継続の側に置くほうが、まだ歪みが小さくなります。

AIに数えさせてよい範囲と、人が確認する範囲

集計そのものをAIに手伝わせるのは有効ですが、任せる範囲を先に線引きしてください。任せてよいのは、記録の下ごしらえ、用途の分類、外れ値の洗い出し、報告文の下書きまでです。何を1回と数えるか、どの分母を使うか、増減の理由をどう説明するかは、AIに判断させない領域として残します。

分類を頼むときは、結果だけでなく根拠を書かせてください。どの文言を手がかりにその用途に分けたのか、判断に迷った件はどれかを一緒に出させると、人が見るべき場所が自動的に絞られます。根拠のない分類表は、見た目が整っているぶん危険です。

人が確認する範囲も、作業を始める前に決めます。全件を見るのは現実的ではないので、上位と下位の各10件、前月差の大きい部署の上位3つ、分類に迷ったと出力された件の全部、という具合に固定します。確認する範囲を先に決めておくと、月が変わっても同じ品質で数字を出せます

もう一つ、AIに渡す前に個人が特定できる情報を落とすかどうかも先に決めておきます。分布を作るだけなら、氏名も社員番号も要りません。集計の下ごしらえに個人の情報を含めないと決めておけば、依頼先や使う道具が変わっても手順を組み替えずに済みます

経営に出すときに並べる数

経営に出す資料に載せる数は、多くても5つで足ります。多いほど伝わらなくなりますし、翌月に同じ形で出せなくなります。選ぶ基準は、毎月同じ定義で出せること、増減の理由を1行で説明できること、そして打ち手につながることの3つです。

並べる数何を答えるか添える一文の例
使った人の実数と割合どこまで広がったか分母は在籍者。席は先月から30増
1人あたりの中央値真ん中の人の使い方平均ではなく中央値。単位は1営業日あたり
上位1割の占有率偏りの強さ上がれば深化、下がれば広がり
初回の翌月に残った割合定着の早期の兆し先月に初めて使った人が母数
出力を仕事に使えた割合実務に届いたか記録では取れないため四半期の設問から

時間の節約を数字に入れるかどうかは、よく議論になります。外部の調査では、生成AIを使ったときの所要時間が平均で16.7%、週あたり26.4分ほど短くなったという推計が2026年に公表されています。用途別では企画や思考整理で36.9分、文書や資料の作成で35.1分、データの分析や報告で33.6分と、いずれも週30分を超える短縮が示されています。

ただし社内の数字として出すときは、この種の値が本人の見積もりにもとづく推計であることを必ず添えてください。記録から出た数字と並べて置くと、同じ精度のものとして読まれます。同じく2026年の調査では、生成AIの成果を事業の指標と結びつけて把握できている企業は14.8%にとどまると報告されています。時間の数字は、出せることよりも、どう作ったかを説明できることのほうが重要です

この表をそのまま毎月使い、変えるのは数字と添える一文だけにします。指標を入れ替えた月から時系列は切れます。どうしても入れ替えるときは、過去分も新しい定義で数え直したうえで差し替えてください。

測ること自体が、測られる行動を変える

数字を配ると、その数字を上げる動きが自然に生まれます。これは悪いことばかりではありませんが、回数のように上げやすい数字を配ると、上げやすい方法で上げられます。意味のない呼び出しが増え、記録の総数だけが伸びる状態です。

避けるには、配る数字と、内部で見る数字を分けるのが実務的です。部署に配るのは継続や段階のように簡単には作れない数字にして、回数は推進側の内部指標として持っておく。上げやすい数字を外に配らないというだけで、多くの歪みは起きなくなります。

数字の使い道を先に公開しておくことも効きます。何のために測っているのか、誰が見るのか、個人単位で見ることがあるのかを最初に伝えておくと、余計な警戒が減ります。測る目的が伝わらないまま記録だけが取られていると分かった時点で、数字の精度そのものが下がります

もう一つ、個人単位の順位を配らないことも大切です。利用の多い少ないは業務内容に強く依存するため、順位は評価として受け取られやすく、実態を隠す動きにつながります。個人の数字は分布を作るためだけに使い、外には出さない前提で扱ってください。

よくある質問

利用率は何パーセントあれば合格ですか

外から借りられる合格線はありません。配り方、対象職種、扱えるデータの範囲で妥当な水準が変わるためです。見るのは自社の前月比と分布の形です。どうしても基準が要る場合は、対象業務に就いている人の分母で、初回の翌月に残った割合が過半を超えているかを一つの目安にしてください。

個人ごとの利用回数を見てもよいのですか

目的と公開範囲を先に決めるなら問題ありません。分布を作るためだけに使い、個人名がつく形では外に出さない、という線をあらかじめ文書にしておきます。労務上の受け取られ方にも配慮が要るため、導入時に利用記録をどう扱うかを周知しておくほうが安全です。

ツールが複数あるとき、数字は合算してよいですか

回数は合算しないでください。1回の重さがツールごとに違うため、足すと意味を失います。合算してよいのは人数だけで、それも同じ人が複数のツールを使っている分を名寄せしてから数えます。率はツールごとに出し、人数だけを全社で1本にするのが扱いやすい形です。なお、2026年の国内調査では、AIの利用を組織として横断的に追跡できている企業は13.0%と報告されています。つながっていないのが普通の状態であり、無理に合算するより、ツールごとに並べて人数だけをそろえるほうが実務に合います。

まとめ

社内AIが使われているかを測る作業は、集計の前の定義でほとんど決まります。何を1回と数え、どの分母で割り、どの段階の話をしているのかを書き残す。そのうえで人数・分布・段階の3つを並べ、平均ではなく中央値と占有率で偏りを見る。月をまたぐときは1人1営業日あたりに直し、分母が動いた事実を同じ行に添える。数字が動かないときは、現場より先に測り方と届き方を疑う。そして、数える作業はAIに任せてよくても、数の定義と読み方は人が持ち続けてください。まずは今月の報告書に、分母が何かを1行書き足すところから始められます。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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