AIで書いた口コミもステマになる|表示が要る場面の線引き

ステルスマーケティングが景品表示法の不当表示として扱われるようになったのは、2023年(令和5年)10月1日からです。根拠は同法第5条第3号に基づいて指定された告示で、正式には「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」といい、令和5年3月28日内閣府告示第19号として出されました。消費者庁は同時に運用基準も公表しています。「口コミの下書きを生成AIに作らせているが、これは表示が要るのか」「社員がAIで書いたレビューを、自分の名前で出してもよいのか」——法人の広報・マーケティング担当から、施行から3年近く経った今も繰り返し届く問いです。先に結論を書くと、告示が見ているのは「何で書いたか」ではなく「誰の表示か」であって、AIを使ったかどうかは判断の軸に入っていません。この記事では、AIが書いた文に限って、表示が要る場面と要らない場面の線を引き直します。
カメ先生ステマ規制はね、AIで書かれた文を狙って作られたものだと思われがちなんだ。でも告示が出たのは2023年の春で、見ているのは書いた道具ではなく、その文が誰の表示に当たるかなんだよ。
カメ子AIが書いたかどうかは、そもそも線引きに入っていないということですか。
カメ先生入っていないね。ただ、AIを挟むと事業者が文の中身に関わりやすくなる。言い回しを指定して渡す、下書きを配る、書けた文を自社の面に載せる。関わりの度合いが上がるから、結果として表示が要る場面のほうは増えるんだ。
カメ子道具が問題なのではなく、関わり方が変わるから線をまたぎやすい、ということでしょうか。
- ステマ規制は2023年10月1日施行。判断の軸は「AIが書いたか」ではなく「事業者の表示か」
- AIを挟むと、文言を指定する・下書きを配る・投稿を自社の面に転載する導線が増え、関与が濃くなる
- 表示が要るかどうかをAIに判定させない。関与の有無を人が確かめ、判断した理由を記録に残す
AIの導入・活用、何から始めるべきかお悩みですか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
「AIで書いたからステマ」は、法令の線ではない
社内で最初に出る問いは、たいてい「AIで書いた口コミは違反になるのか」という形をしています。この問いの立て方だと、答えは出ません。告示の条文にも運用基準にも、文を書いた道具を問う言葉が入っていないからです。禁じられているのは、事業者の広告でありながら、一般消費者がそれを広告だと判別できない表示です。書き手が人かAIかは、その判別のしやすさに直接は関わりません。
消費者庁の説明でも、規制の対象となるのは商品やサービスを供給する事業者、つまり広告主だとされています。企業から広告や宣伝の依頼を受けたインフルエンサー等の第三者は、規制の対象とはならないとも明記されています。ここが出発点です。問いを「AIで書いたか」から「これは誰の表示か」に置き換えると、判断できる形になります。
逆に言えば、AIを使っていなくても線をまたぐことはあります。社員が手で書いた文であっても、事業者の表示に当たるのに広告である旨を示していなければ同じです。道具を禁じる規制ではなく、出どころを隠すことを禁じる規制だと押さえておくと、この先の判断がぶれません。
いつから、何が禁じられたのか
時期を正確に置いておきます。景品表示法第5条第3号は、内閣総理大臣が指定する不当表示について定めた条文で、ステルスマーケティングはこの指定として2023年3月28日に告示され、2023年10月1日から施行されました。施行日より前の投稿がさかのぼって違反になるわけではありませんが、投稿が今も公開され続けている場合は現在の表示として見られます。過去に作った口コミページを放置している会社は、ここが盲点になります。
告示と同時に、消費者庁は運用基準を公表しています。正式な名称は「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準です。判断の考え方はこの文書に書かれており、実務ではこちらを読むことになります。さらに、細かい場面ごとの当てはめについては、消費者庁が公表しているステルスマーケティングに関するQ&Aが手がかりになります。
違反したときの措置は措置命令です。命じられるのは表示の差止めと再発防止であって、金銭の納付を求める仕組みではありません。なお、この告示に基づく違反そのものは課徴金の対象ではなく、課徴金が問題になるのは優良誤認表示や有利誤認表示に該当する場合だとされています。措置命令に従わなかった場合には、景品表示法上の罰則が定められています。
- 施行日は2023年10月1日。告示は同年3月28日付で、準備期間が置かれていた
- 規制の名宛人は広告主である事業者。依頼を受けた第三者は規制の対象とならないとされている
- この告示に基づく違反は課徴金の対象ではないが、内容次第で別の不当表示に当たることはある
- 公開したまま残っている過去の投稿や掲載ページは、現在の表示として見られる
判断の軸は「事業者の表示」に当たるかどうか
運用基準で軸になっているのは、事業者が表示内容の決定に関与したと認められるかどうかです。弁護士による解説でも、客観的な状況に基づいて第三者の自主的な意思による表示内容と認められない場合は事業者の表示に当たる、という形で整理されています。本人が自分の意思で書いたと言っているかどうかではなく、外から見た状況で判断されます。
この軸をAIが書いた文に当てはめると、見るのは、誰が文の中身を決めたか・書き手に対価があったか・誰の面に載せたかの3つに絞られます。この3つの組み合わせで、同じAIの出力でも扱いが変わります。次の表は、社内で起きやすい場面を並べ、どちらの表示になりやすいかを整理したものです。
| AIが書いた文が出る場面 | 誰の表示になりやすいか | 表示の要否の目安 |
|---|---|---|
| 担当者がAIで下書きし、自社の名義で出す | 事業者の表示 | 自社名義なので通常は判別できる。別の表示までは要らないことが多い |
| 担当者がAIで書き、個人の名義で投稿する | 事業者の表示に当たりうる | 販売を促進する職務の立場なら表示が要る |
| 協力者にAIで書かせ、内容を指定して投稿させる | 事業者の表示 | 表示が要る |
| 協力者にAIの下書きを渡し、自由に直させて投稿させる | 関与の度合いで分かれる | 対価と依頼の有無を含めて個別に判断する |
| 依頼も対価もなく、第三者が自分でAIを使って書いた | 第三者の表示 | 通常は表示が要らない |
| 第三者の投稿をAIで要約し、自社サイトに載せる | 事業者の表示 | 自社の面での掲載として表示が要る |
表の右端は目安であって、当てはめは個別の事情で動きます。とくに4行目の「自由に直させた」は、実際には自由の度合いが幅を持ちます。迷った行に当たったときは、要らない側に寄せず、表示を付ける側で運用するほうが安全です。表示を付けたことで不利益が出る場面は、実務ではほとんどありません。
AIを挟むと、自主的な意思の側が崩れやすい
ここからが原因の話です。AIが規制の対象になるわけではないのに、AIを使い始めた会社で表示漏れが増えるのには理由があります。第一に、下書きが配れるようになったことです。以前は協力者に「書いてください」としか言えませんでしたが、今は下書きを渡せます。渡した瞬間に、文の中身を決めたのは誰かという問いが立ちます。
第二に、量が増えたことです。1件ずつ書いていた頃は、公開の前に誰かが目を通していました。数十件を一度に作れるようになると、確認は抜き取りに変わります。表示の付け忘れは、確認が抜き取りに変わった月から増えます。第三に、文の見た目が整ったことです。整った文は、書き手の素朴な感想に見えにくく、かえって出どころを疑われる方向に働くことがあります。
第四に、使い回しが起きやすいことです。ある協力者に渡した下書きを、別の協力者にも渡す。同じ言い回しが複数の投稿に現れると、外から見て自主的な意思による表示だとは読まれにくくなります。同じ文が複数のアカウントから出た時点で、関与は外から見えていると考えて設計するのが現実的です。
実際の措置命令が示したのは、2つの型
施行後、この告示に基づく措置命令が複数出ています。最初の行政処分は2024年6月で、高い評価の投稿をすることを条件に費用を割り引いていた事例でした。その後も処分は続いており、公表されている内容を並べると、問題とされた行為はおおむね2つの型に収まります。
型の1つ目は、投稿の中身を指定したうえで対価や便宜を渡すことです。星の数を指定する、使う画像や言い回しを指定する、募集要項に方針を書いて渡す。いずれも表示内容の決定に関与したと読まれます。指定が細かいほど、書き手の自主的な意思は薄くなります。AIの下書きを渡す行為は、言い回しを指定して渡す行為と構造が同じです。型として新しいことをしているわけではありません。
型の2つ目は、第三者の投稿を自社の面に持ってくることです。対価を渡して書かせた投稿を、自社サイトや通販ページに転載していた事例が複数あります。元の投稿に表示があったかどうかとは別に、転載した先の面は事業者の表示です。AIで要約したり、読みやすく整えたりして載せる場合も、同じ扱いになります。
社員がAIで書いて、個人の名義で投稿する場合
社内で判断が割れやすいのが、社員本人の投稿です。消費者庁のQ&Aでは、従業員の投稿が直ちに事業者の表示になるわけではないとしたうえで、商品や役務の販売を促進することが必要とされる地位や立場にある者の表示は対象になりうる、という整理が示されています。問われるのは所属ではなく、その人の職務上の立場です。販売を促進する立場にある人ほど、私的な投稿としては読まれにくくなります。
この線はAIの有無で動きません。ただ、実務上は動いて見えます。広報やマーケティングの担当者が、業務で使っているAIの環境で下書きを作り、それを個人の名義で投稿する。この流れは、職務としての発信と私的な発信の境目を曖昧にします。使った環境が業務のものだと、あとから見て私的な投稿だと説明するのは難しくなります。
運用としては、社員の投稿を禁止するより、線を先に引くほうが機能します。自社の商品に触れる投稿は所属を明かす、業務で使うAIの環境で作った文は個人名義で出さない、判断に迷ったら広報に回す。この3つを規程に書いておけば、個人の判断に委ねずに済みます。規程に書かれていない状態で社員に任せるのが、いちばん事故が起きる形です。
委託先や代理店にAIで書かせた場合、責任はどこに残るか
外部に任せている場合の整理もはっきりしています。規制の対象となるのは商品やサービスを供給する事業者であり、依頼を受けた第三者は対象とならない、というのが消費者庁の説明です。つまり、代理店や制作会社にAIで書かせたとしても、表示の責任は発注した側に残ります。表示の責任は、委託契約の文言で外へ移せる性質のものではありません。
そのうえで、契約や発注書に書いておくべきことは限られます。第三者の名義で出す文を作る場合は事前に共有すること、対価を伴う投稿依頼を行う場合は表示の文言と置き場所を発注側が決めること、使った素材や下書きの出どころを納品時に示すこと。細かい作業手順まで縛る必要はなく、誰の表示になるかが分かる情報を返してもらう形にします。
実務で見落とされやすいのは、委託先がさらに別の協力者に再委託している場合です。発注側から見える範囲は1段までで、その先で何が渡されているかは分かりません。再委託の可否と、再委託先にも同じ扱いを適用することを、契約の段階で確認しておきます。見えない段があるまま運用すると、問題が起きたときに事実関係すら復元できません。
協力者にAIの下書きを渡すのは、どこから関与になるか
いちばん問われるのがここです。消費者庁のQ&Aでは、第三者の表示に対して提供する対価の内容や、その主な提供理由などを総合的に考慮する、という考え方が示されています。下書きを渡したかどうかだけで決まるのではなく、対価と依頼の全体像で見られます。ただし下書きは、関与を強く示す材料になります。
段階を分けて考えると整理できます。商品だけを渡して何も言わない。商品を渡して投稿を依頼する。依頼に加えて触れてほしい点を伝える。言い回しの案を渡す。完成した文を渡して投稿してもらう。下に行くほど、書き手の自主的な意思による表示だとは読まれにくくなります。AIの下書きを渡す行為は、下の2段に位置します。
実務の線としては、完成した文を渡す形をやめるだけで、判断はかなり楽になります。伝えるのは事実関係の資料までにして、文そのものは書き手に任せる。どうしても文言の正確さが必要な箇所(成分や機能の表記など)は、事実として正しい書き方を伝え、それ以外は指定しない。この形なら、渡したものと渡していないものを後から説明できます。
集めた口コミをAIで要約して、自社の面に載せるとき
収集した感想を自社サイトに掲載する運用は、AIが入って一気に増えました。数百件の投稿を読ませて代表的な声にまとめる、共通する評価を抜き出す、読みやすい長さに整える。作業としては自然ですが、ここには明確な線があります。消費者庁のQ&Aでは、好意的な評価のみを抽出して掲載すれば事業者の表示に当たる、という考え方が示されています。
選ぶという行為そのものが、表示内容の決定です。AIに要約させた場合でも、どの投稿を読ませるか、どういう観点でまとめるかを指示したのは発注した側です。好意的なものだけを読ませれば、出てくる要約も好意的になります。掲載する面が自社サイトである以上、これは事業者の表示として扱われます。
運用上は、掲載していること自体を隠さない形にすれば足ります。自社が集めて掲載しているものだと分かる見出しを付ける、抽出の条件を書く、否定的な内容を除いているなら除いていると書く。選び方を書けば、選んだこと自体は問題にならないという設計です。要約の元になった投稿の件数と期間も併記しておくと、後から説明できます。
表示が要らない場面もある|自主的な投稿と、誤りの訂正
線を引く以上、要らない側もはっきりさせておく必要があります。消費者庁のQ&Aでは、事業者からの依頼がなく自主的な意思に基づく投稿は事業者の表示に当たらないとされ、その場合に広告である旨の記載は不要だと整理されています。第三者が自分でAIを使って感想を書いたとしても、依頼も対価もなければ扱いは変わりません。
過去に関係があった場合も、直ちに全部が対象になるわけではありません。同じQ&Aでは、以前にプロモーションの依頼を受けたことがあっても、別の商品について自主的に投稿したものは対象外だという整理が示されています。関係の有無ではなく、その投稿について依頼や対価があったかどうかで見ます。
もう1つ、誤った内容を直してほしいと伝える行為も、それ自体が規制の対象になるわけではありません。ただしここには一線があり、自社に都合のよい内容に改めるよう求めれば話が変わります。直してもらうのは事実の食い違いまでで、評価や感想の書き換えを求めないこと。依頼文には、どの記述がどの事実とどう違うかと、正しい情報の出どころだけを書きます。
表示は、何を、どこに、どの大きさで書くか
表示が要ると決まったら、次は書き方です。使う言葉は「広告」「宣伝」「PR」「プロモーション」といった、一般消費者が広告だと分かるものにします。弁護士による解説では、明瞭でない表示の例として、全く記載していない、部分的にしか表示していない、広告と書いてはいるが分かりにくい、といった形が挙げられています。書いてあるかどうかではなく、気付けるかどうかで判断されます。読み手が広告だと分かる語を、本文と同じ大きさで使う、というのが出発点になります。
置き場所の考え方は、消費者庁のQ&Aにいくつも手がかりがあります。返信の中に書いた場合は、通常、一般消費者が気付かないとされています。アフィリエイトについては、サイトの冒頭に書くだけでは足りず、文字のサイズや色なども踏まえて明瞭であることが必要だとされています。動画については、冒頭で一瞬出すだけでは足りず、画面上に常に表示することが望ましいと整理されています。
| 表示の置き場所 | 気付けるか | 示されている考え方 |
|---|---|---|
| 投稿の冒頭に、本文と同じ大きさで書く | 気付ける | 明瞭であることが必要という基準を満たしやすい |
| 返信やツリーの中に書く | 気付きにくい | 通常、一般消費者は気付かないとされている |
| 多数のハッシュタグの中に紛れ込ませる | 気付きにくい | 認識しにくい形式の例として挙げられている |
| 小さい文字や薄い色で書く | 気付きにくい | 文字のサイズや色も踏まえて明瞭かを見る |
| 動画の冒頭で一瞬だけ出す | 気付きにくい | 常に表示することが望ましいとされている |
| サイトの冒頭にまとめ、個々の記述には書かない | 気付きにくい | 冒頭の表示のみでは足りないとされている |
AIで大量に作る場合に特有の落とし穴が1つあります。表示の文言をひな形に埋め込んでおくと、同じ位置に同じ文字列が並びます。それ自体は悪くないのですが、ひな形を差し替えたときに表示だけが抜け落ちても、見た目がほとんど変わらないため気付きません。ひな形を変えた日は、出力の先頭を目で確かめる工程を入れておきます。
表示として弱くなる書き方
現場で実際に見かける、弱い形を並べておきます。いずれも書いてはいるのに気付かれにくい型で、AIに文を作らせると本文が整っている分だけ表示が埋もれやすくなります。
- 本文の最後に、改行を挟まず1文字分だけ添えて書く
- 英語や業界の言い回しで書き、広告だと分からない語を使う
- 投稿の本文ではなく、返信としてあとから付け足す
- 10個以上のハッシュタグの末尾に1つだけ混ぜる
- 背景と同系色の薄い文字で、本文より小さく書く
- 動画の冒頭1秒だけ出し、以降は画面から消す
弱い書き方の共通点は、書き手の都合で決めていることです。読む人の視線がどこを通るかではなく、投稿の見た目を崩したくないという理由で位置と大きさが決まっています。表示の位置を決めるときは、投稿を初めて見る人が最初の3秒で目にする範囲に入っているかだけを確かめます。
もう1つ、複数の面に同じ内容を出す場合は、面ごとに書き方を変える必要があります。文字数の上限が厳しい面では冒頭に置く、画像が主役の面では画像の中にも入れる、動画では常時出す。1つのひな形を全部の面に流すと、どこかの面で必ず埋もれます。
「AIが書いた」ことを開示する義務はあるのか
ここは慎重に書きます。景品表示法のステマ規制が求めているのは、事業者の表示であることが一般消費者に分かることであって、その文を誰が、あるいは何が書いたかを明かすことではありません。告示と運用基準の枠組みでは、AIで書いたこと自体の開示までは求められていないと読むのが素直です。確認した範囲では、消費者庁のQ&Aにも生成AIへの直接の言及は見当たりませんでした。
ただし、これで終わりにはできません。投稿先のサービスが利用規約で生成物の扱いを定めている場合があり、そちらに従う必要があります。また、AI以外の法令や業界の自主基準が関わる分野もあります。景品表示法の話とプラットフォームの規約の話は別の枠組みなので、混ぜて考えると線が引けなくなります。
実務として勧められるのは、義務かどうかとは別に、社内の扱いを決めておくことです。どの種類の文でAIの利用を認めるか、公開する文にどこまで人が手を入れるか、外に出す前に誰が見るか。義務がないことと、決めなくてよいことは別です。決めていない状態で運用すると、問題が起きたときに何をしていたかを説明できません。
表示が要るかどうかを、AIに判定させない
ここまでの整理を運用に落とすときに、いちばん避けたいのが判定そのものをAIに任せることです。事業者の表示に当たるかどうかは、対価の内容や提供の理由を含めた事情の総合判断です。その事情は投稿の文面には現れません。文だけを読ませて判定させると、根拠のない答えが返ってきます。
AIに任せてよいのは、判断の材料を揃えるところまでです。表示の文字列が入っているかを機械的に探す、投稿の先頭何文字に入っているかを数える、過去の投稿と同じ言い回しが使われていないかを突き合わせる。いずれも探す作業であって、当てはめの判断ではありません。次の手順は、生成から公開までの間に人を置く形を工程にしたものです。
書く前に、その文が自社名義か、社員名義か、第三者名義かを決める。名義が決まらないうちに文を作り始めない。名義が決まれば、表示が要るかどうかはこの記事の表で判断できる。
第三者に出す文は、完成形を作らせない。事実関係の材料と、書いてはいけない表現の一覧までを渡す。完成形を作ると、そのまま渡してしまう事故が起きる。
確かめるのは3点だけにする。表示の語が入っているか、本文の先頭側にあるか、本文と同じ大きさか。3点に絞れば件数が増えても続く。
自社サイトや通販の面に載せ直すときは、新しい表示として見直す。元の投稿に表示があったことは、転載先の表示にはならない。
その場で決めきれなかった件だけを残しておき、月に一度まとめて見る。都度相談にすると担当者が止まり、結局は付けずに出してしまう。
根拠を書かせ、判断した理由を記録に残す
AIを下ごしらえに使うなら、出力の形を先に決めておきます。「表示が必要です」とだけ返させても確かめようがありません。どの文字列を見てそう判断したのか、投稿のどこに当たるのかを、原文から引用させます。引用できないものは判定できずとして人の列に回す、という決まりにしておくと、静かに間違える出力が減ります。
そのうえで、判断そのものは記録に残します。記録は監督官庁のためではなく、半年後に同じ場面が来たときに迷わないために残します。似た案件で違う判断をしてしまうことが、いちばん説明しにくい状態だからです。残す項目は多くしません。
- その文の名義(自社・社員・協力者・第三者のどれか)
- 対価や便宜を渡したかどうかと、その中身
- 渡した材料(事実の資料までか、下書きまでか、完成した文か)
- 表示を付けたかどうかと、付けた位置
- 表示を付けないと判断したなら、その理由を一文で
- 公開した面と日付、そして転載した先があるか
記録の形は自由ですが、投稿1件につき1行で済む形にしておくのが続けるこつです。項目を増やすと書かれなくなり、書かれない記録は無いのと同じになります。月に一度、付けないと判断した行だけを読み返すと、判断の基準が動いていないかを確かめられます。
よくある質問
AIで書いた文に、毎回「広告」と入れておけば安全ですか
表示を付けること自体に問題はありませんが、要らない場面で付けると別の誤解が生まれます。第三者が自主的に書いた投稿に事業者が表示を付けさせると、依頼があったように読まれ、かえって関係を疑わせます。要否を判断せずに一律で付けるのではなく、名義と対価の有無で決めてください。
社内でAIを使って書いた導入事例を、自社サイトに載せる場合はどうなりますか
自社サイトに載せる時点で事業者の表示です。自社名義の面なので、広告であることは通常は判別できます。ここで問題になるのはむしろ内容のほうで、取材していない事実を書いていないか、掲載の許諾を取っているかを確かめてください。AIで文を整えること自体は、この判断に影響しません。
協力者が自分の判断でAIを使って書いた場合も、こちらの責任になりますか
依頼や対価があるなら、書いた道具に関係なく事業者の表示に当たりうる関係です。逆に依頼も対価もなければ、その人がAIを使ったかどうかは関係しません。判断の分かれ目は道具ではなく、依頼と対価の有無だと考えてください。
施行前に投稿したものは、そのままにしておいてよいですか
さかのぼって違反になるわけではありませんが、今も公開されている投稿や掲載ページは現在の表示として見られます。とくに自社サイトに転載したまま残しているものは、確認する価値があります。古い掲載を一覧にして、名義と対価の有無で仕分けるところから始めてください。
表示の文言は、日本語でなければいけませんか
法令が特定の語を指定しているわけではありませんが、一般消費者が広告だと分かることが求められます。外国語や業界の言い回しは、認識しにくい形式の例として挙げられています。読み手が日本語で読む面なら、日本語で書くのが確実です。
口コミを集めるときに、投稿してくれた人に謝礼を渡すのは避けるべきですか
渡すこと自体が禁じられているわけではありません。問題になるのは、投稿の中身を条件にした場合です。高い評価をすることを条件に割引や金券を渡した事例は、実際に措置命令の対象になっています。内容を問わずに渡す形にし、依頼した事実があるなら表示を付けてください。
まとめ
ステルスマーケティングが景品表示法の不当表示になったのは2023年10月1日からで、根拠は同法第5条第3号に基づく告示と、その運用基準です。ここで見られているのは、事業者の広告でありながら一般消費者がそれを広告だと判別できない状態であって、文を書いたのが人かAIかは判断の軸に入っていません。問いを「AIで書いたか」から「これは誰の表示か」に置き換えるところが出発点になります。
それでもAIを使い始めた会社で表示漏れが増えるのは、下書きを配れるようになり、量が増え、確認が抜き取りに変わるからです。措置命令で問題とされてきたのも、投稿の中身を指定して対価を渡す型と、第三者の投稿を自社の面に転載する型の2つでした。AIの下書きを渡す行為は前者に構造として近く、要約して自社サイトに載せる行為は後者そのものです。
打ち手は難しくありません。名義を先に決める、第三者に渡すのは材料までにする、出す前に表示の語と位置と大きさの3点だけを確かめる、転載は新しい表示として見直す。そして、表示が要るかどうかの判定はAIに任せず、判断した理由を1行で残す。生成AIが書いたこと自体の開示までは、現在の告示と運用基準の枠組みでは求められていないと読めますが、投稿先の規約は別の話です。義務の有無とは切り離して、社内の扱いを先に決めておいてください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AIの導入・活用、何から始めるべきかお悩みですか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
