資料請求に会社名が入らない原因|個人からの申込をどう扱うか

資料請求が来た。会社名の欄が空欄。連絡先は無料のメール。営業に渡すべきか、捨てるべきか、判断がつかない。この種の申込は、法人向けの事業でも一定の割合で来ます。一律に捨てると、決裁者に近い相手を取りこぼすことがあります。この記事では、空欄になる原因の切り分け、判別の手がかり、そして営業に渡す基準の作り方を整理します。
カメ先生会社名が空欄の申込をどう扱うか、という相談を受けました。
カメ子法人向けなのですから、会社名がなければ対象外ではないですか。
カメ先生それが難しいのです。会社名を書かない決裁者もいます。
カメ子決裁者が書かない、ということがあるのですか。
- 空欄になる原因は5つあり、原因ごとに対応が変わる
- 無料のメールを一律に拒否すると、社内で相談する前の担当者を失う
- 捨てるか渡すかの二択にせず、段階的に情報を足す設計にする
会社名の欄が空欄で届く
法人向けの事業では、申込のフォームに会社名の欄を置きます。営業が動くために必要な情報だからです。しかし実際には、空欄で届く申込が一定の割合で発生します。必須にしていても、意味のない文字が入っていることがあります。1文字だけ、記号だけ、あるいは「なし」と書かれている。
受け取った側は困ります。営業に渡しても、どこの会社か分からないため動けません。捨てるのも惜しい。結果として、判断されないまま名簿の中に溜まっていきます。数か月後に見返しても、何も分からない状態になります。
この滞留は、名簿の数字を歪めます。獲得の件数として報告されている中に、動かせない申込が混ざる。1件あたりの獲得の費用も、動かせる申込だけで計算しないと実態を表しません。報告の数字を分けるところから始める必要があります。
さらに、対応の遅れが印象を損ねます。本当は有望な相手だった場合、判断が遅れた分だけ機会を失います。届いた申込を数日で仕分けられる仕組みが必要です。仕組みがないと、担当者の気分で扱いが変わります。それでは、良い申込を取りこぼす確率が上がります。
空欄になる原因は5つ
原因を分けると、対応が見えてきます。現場で観察できる原因は、おおよそ5つに整理できます。原因ごとに、取るべき対応が変わります。一律の扱いをやめるところが出発点です。
1つめは、社内に知られたくない場合です。他社の道具を検討していることを、上司や同僚に知られたくない担当者がいます。会社の連絡先を使うと、社内の記録に残ると考える人もいます。この場合の相手は、むしろ真剣に検討している相手です。
2つめは、まだ検討の初期で情報を出したくない場合です。資料を見てから判断したいのに、会社名を出すと営業の連絡が来ると分かっている。連絡を受ける準備ができていない段階です。この相手も、時期が来れば有望な見込み客になります。
3つめは、個人事業主や小規模の事業者の場合です。会社名がない、あるいは屋号だけという実態があります。書くべき欄がないため空欄にしています。法人向けと銘打っていても、この層は対象になり得ます。扱いを決めておかないと、判断のたびに迷います。
4つめは、学生や研究の目的の場合です。就職の準備、論文、授業の課題。営業の対象にはなりませんが、採用の候補者としての価値はあります。5つめは、競合や情報の収集を目的とする場合です。この層への対応も、方針を決めておく必要があります。
無料のメールでの申込
会社名と並んで判断に困るのが、連絡先が無料のメールである場合です。会社の連絡先ではないため、どの会社の人なのかが分かりません。一般に、無料のメールからの申込は反応が低いとされています。
そのため、無料のメールを受け付けない設定にする会社もあります。フォームの道具に、その機能が用意されている場合があります。しかしこの設定は、有望な相手も同時に弾きます。社内に知られる前に資料だけ見たい担当者は、無料のメールを使うことが多いのです。
判断の材料になるのは、連絡先の種類ではなく行動です。資料を実際に開いたか、複数の資料を続けて取ったか、サイトのどのページを見たか。行動の記録があれば、連絡先の種類に頼る必要がなくなります。
実務的な折衷案は、受け付けるが扱いを分ける形です。無料のメールからの申込は営業に即座には渡さず、資料の配信と行動の観察を続ける。動きがあった時点で、改めて情報を足してもらう形にします。この設計なら、取りこぼしも無駄な連絡も減ります。
屋号だけ、個人名だけ
会社名の欄に屋号が書かれている場合、法人か個人事業かの判断が必要になります。法人であれば商号があり、公表されている法人番号の情報で確かめられます。見つからなければ、個人事業である可能性が高くなります。
個人事業を対象にするかは、事業の方針の問題です。対象にするなら、料金や契約の条件を法人と分ける必要があるかを確かめます。対象にしないなら、その旨を申込のページに書いておくのが誠実な形です。書いていないのに断ると、相手に不快感を与えます。
個人名だけが書かれている場合は、所属の確認が必要になります。返信の中で丁寧に尋ねるのが基本です。尋ね方によって、答えてもらえる確率が変わります。「ご所属を教えてください」より、「資料の内容をご要望に合わせたいので」と理由を添えるほうが答えが返ります。
尋ねても答えがない場合の扱いも決めます。何回まで尋ねるか、答えがなければ配信だけを続けるか。この基準がないと、担当者ごとに対応が変わります。基準を決めて、名簿の状態として記録できるようにします。
| 観察できること | 推測できること | 対応の方向 |
|---|---|---|
| 会社名が空欄で無料のメール | 社内に知られたくない検討者 | 配信と行動の観察を続ける |
| 屋号だけで所在地が分かる | 個人事業の可能性 | 対象の方針に従って判断 |
| 学校の連絡先 | 学生か研究の目的 | 採用の案内へ回す |
| 同業の会社の連絡先 | 競合の情報収集 | 公開資料のみに絞る |
| 複数の資料を続けて取った | 検討が進んでいる | 所属を尋ねて営業へ |
捨ててはいけない理由
動かせない申込を捨てたくなる気持ちは分かります。しかし、捨てると失うものが3つあります。1つめは、時期が来て有望になる相手です。検討の初期に資料を取った相手が、半年後に予算を持つことがあります。
2つめは、名簿の履歴です。同じ人が後で会社の連絡先で申し込んだとき、以前の申込との対応が取れません。履歴があれば、その相手の関心の変化が見えます。捨ててしまうと、同じ人を新規として扱うことになります。
3つめは、判断の材料です。空欄の申込がどれだけ来ているかを記録しておけば、フォームの設計を見直す根拠になります。捨てていると、そもそも何件来たのか分かりません。問題の大きさが測れないため、改善の優先順位もつけられません。
捨てる代わりに、状態を分けて保管します。営業に渡す名簿と、配信だけを続ける名簿と、対象外として記録だけ残す名簿。3つに分けるだけで、報告の数字も正確になります。分ける作業は、フォームの受信の時点で自動化できます。
法人番号での照合
会社名が書かれている場合、公表されている法人番号の情報で実在を確かめられます。商号や所在地から検索でき、法人番号、商号、本店の所在地が公表されています。国税庁が運営する仕組みで、誰でも利用できます。
照合でできることは3つです。その会社が実在するかを確かめる。正式な商号の表記を得る。所在地から規模や地域を推測する。表記の揺れを正すだけでも、名簿の質が上がります。同じ会社が複数の表記で登録されるのを防げます。
照合を自動化する道もあります。情報を提供する仕組みが公開されているため、申込の受信の時点で自動的に突き合わせられます。手作業では追いつかない件数がある会社では、この自動化の投資が見合います。
ただし、照合できないことが対象外の証明にはなりません。設立したばかりの法人、支店の名前で書かれた場合、表記が正式な商号と違う場合。見つからないことを、直ちに不適格の根拠にしないよう気をつけます。照合は判断の材料の1つとして扱います。
経路によって空欄の割合が違う
空欄の申込は、どの経路からでも同じ割合で来るわけではありません。経路ごとに集計すると、はっきり差が出ます。差が出る経路が分かれば、手を打つ場所が絞れます。まず経路ごとの空欄の割合を出すところから始めます。
一般に、広告からの流入では空欄の割合が高くなる傾向があります。たまたま目にして、興味だけで資料を取る人が混ざるためです。検索から来た相手は、課題を言葉にして探していた相手なので、記入が丁寧になります。紹介や既存の顧客からの経路では、空欄はほとんど起きません。
経路ごとの割合が分かれば、判断が変わります。広告の経路で空欄が多いなら、広告の文面や着地のページで対象を明確に示す手があります。「法人のご担当者さま向け」と書くだけで、対象外の申込が減ることがあります。
経路の記録がない場合は、まずそこを整えます。申込のページに経路を示す印を付ける仕組みを入れます。経路が分からない状態では、どの施策を直せばよいかも分かりません。この整備は、空欄の問題だけでなくすべての改善の土台になります。
電話番号の欄をどう扱うか
会社名と並んで議論になるのが電話番号の欄です。営業は欲しがりますが、入力を求めると離脱が増える項目の代表です。電話が来ることを警戒して、申込をやめる相手がいます。
偽の番号が入ることもあります。形式は正しいが、繋がらない番号。この状態は、空欄よりも扱いが厄介です。空欄なら分かりますが、偽の番号は掛けてみるまで分かりません。営業の時間を無駄にする形になります。
実務的な折衷案は、任意の欄にすることです。そのうえで、「お急ぎの場合はお電話でご連絡します」といった説明を添える。電話が来ることの利点を示すと、本当に急いでいる相手は自分から書きます。書いてくれた相手は、優先して対応する根拠にもなります。
代表の番号だけが書かれる場合もあります。会社の代表の番号では、本人に取り次いでもらえないことがあります。部署名が一緒に書かれていれば取り次げますが、書かれていなければ難しい。電話番号を聞くなら、部署名の欄も併せて置くのが実務的です。
必須にすればよいのか
会社名を必須にすれば空欄はなくなります。しかし、問題は解決しません。意味のない文字が入るようになるだけです。空欄が減った代わりに、判別できない値が増えます。
必須にすることの本当の影響は、離脱です。書きたくない相手は、申込をやめます。件数が減り、減った分の中に有望な相手が含まれていたかは分かりません。見えない損失として残ります。
欄の数と離脱の関係は、実際に測れます。必須の項目を1つ増やしたときの申込の件数の変化を見る。同じ期間、同じ経路で比べれば傾向が出ます。測らずに議論すると、営業の希望と担当者の勘のぶつかり合いになります。
測った結果を踏まえて決めます。件数がほとんど変わらないなら必須にする。大きく減るなら、任意にして後で聞く。この判断は事業や資料の内容によって変わります。他社の事例ではなく、自社で測った数字で決めます。
段階的に聞くという設計
最初の申込では最小限だけ聞き、2回目以降で情報を足していく設計があります。1回で全部を聞こうとしないという考え方です。資料を1つ取った相手には連絡先だけ、2つ目を取る段階で会社名を聞く。
この設計の利点は2つです。最初の申込のハードルが低く、件数が確保できる。そして、情報を出してくれた相手は関心が高いと分かる。情報の量そのものが、関心の強さの目安になります。聞き出す作業が、選別の作業を兼ねます。
実装には道具の支援が必要です。同じ人が2回目に来たことを判別し、すでに答えた項目を再び聞かない仕組み。名簿の管理の道具に、この機能が用意されていることがあります。なければ、手作業での運用になります。
手作業でも始められます。1回目の申込への返信の中で、追加の情報を尋ねる文面を用意する。答えが返ってきたら名簿を更新する。件数が少ないうちは、この形で十分に回ります。件数が増えた段階で自動化を検討します。
段階的に聞く設計には、注意点もあります。何回目の申込で何を聞くかを決めておかないと、同じことを繰り返し聞く形になります。一度答えたことを再び聞かれると、相手は不快に感じます。聞く項目と順番を先に決め、名簿の側で答えを保持します。この設計を、資料の種類を増やす前に済ませておきます。
資料の種類ごとに聞く項目を変える方法もあります。入門の資料では連絡先だけ、比較の資料では会社名と役職、見積りの参考になる資料では検討の時期まで聞く。資料の性質と、聞く情報の重さを揃える考え方です。検討が進んだ相手ほど、多くを答えてくれます。
5つの工程で仕分ける
届いた申込を仕分ける流れを整理します。担当者が替わっても同じ結果になる形にします。
公表されている法人番号の情報で照合します。見つかれば正式な表記に直します。
会社の連絡先か無料のメールかを記録します。判断には使わず、後の分析のために残します。
資料を開いたか、他のページを見たか、複数の資料を取ったかを確かめます。
営業に渡す、配信だけ続ける、対象外として記録だけ残すの3つに分けます。
行動があった相手を営業に渡す名簿へ移します。この見直しが取りこぼしを防ぎます。
営業に渡す基準
どの状態になったら営業に渡すのかを、文章で決めておきます。基準がないと、渡す件数が担当者の判断で上下します。営業の側も、渡ってくる申込の質を予測できません。
- 会社名が実在の法人として照合できている
- 連絡先で相手に届くことが確かめられている
- 資料を実際に開いた記録がある
- 検討の時期や課題について、何らかの記述がある
- 同業の会社ではない、または同業でも対応する方針である
- 過去に断りの意思を示していない
すべてを満たすことを条件にすると、渡す件数が極端に減ります。いくつ満たせば渡すかを、営業と相談して決めます。決めた基準は3か月ごとに見直します。受注に至った申込がどの状態から来たかを見れば、基準を調整できます。
断り方と案内の仕方
対象外と判断した申込にも、返信はします。無視すると、その相手が別の機会に顧客になる道が閉じます。断り方が、会社の印象として残ります。とくに学生からの申込は、将来の候補者への対応になります。
学生や研究の目的の申込には、公開している資料の案内と、採用の情報への案内を添えます。営業の対象ではないが、別の関係の入口になり得る相手です。この返信の文面は雛形にしておけば、手間はかかりません。
個人事業を対象としない場合は、その旨を丁寧に伝えます。理由を添え、代わりに参考になる情報を示せると印象が変わります。対象としない方針を申込のページに書いておけば、そもそもこの返信の件数が減ります。
競合と判断した場合の対応も決めます。公開している資料だけを送るのが一般的な形です。断ることも、対応しないことも選べますが、対応の方針を決めておかないと担当者が困ります。同業でも顧客になる場合があるため、一律の拒否は慎重に判断します。
個人情報としての扱い
会社名がなくても、氏名と連絡先は個人の情報です。対象外と判断した申込の情報も、預かった以上は適切に扱う義務があります。捨てると決めた場合も、消し方に手順が必要です。
保管の期間を決めておきます。対象外として記録だけ残す名簿にも、期間を設けます。目的が終われば消すのが原則です。「いつか使うかもしれない」で無期限に持つのは避けます。
利用の目的の範囲にも注意します。資料の送付のために集めた情報を、採用の案内に使うのは目的の範囲を超える可能性があります。案内を送る場合は、目的の範囲に含まれているかを確かめます。含まれていなければ、手続きが必要になります。
消す作業の担当と時期も決めます。対象外の名簿は、放置すると際限なく増えます。年に一度、期間を過ぎたものを消す作業を手順に入れておきます。消した記録も残します。いつ、何件を、どの基準で消したか。外部からの問い合わせに答える材料になります。
外部の道具に複製されている分にも注意します。配信の道具、営業の記録の道具、集計の表計算。元の名簿から消しても、複製された先に残っていることがあります。どこに複製されているかを図にして把握しておきます。把握していないものは、消したつもりでも消えていません。
よくある失敗
この領域で繰り返される失敗を挙げます。どれも基準を決めておけば防げます。
- 無料のメールを一律に拒否し、社内で相談する前の担当者を弾いた
- 会社名を必須にしたが、意味のない文字が入るようになっただけだった
- 動かせない申込を名簿に溜め、獲得の件数として報告し続けた
- 対象外と判断した申込に返信せず、印象を損ねた
- 資料の送付のために集めた情報を、確認せずに採用の案内に使った
- 捨てた申込の履歴が残らず、同じ人を後で新規として扱った
3つめの型は、報告の信頼に関わります。動かせる申込と動かせない申込を分けて報告するだけで、議論の質が上がります。分けていないと、獲得の件数を増やす施策ばかりが評価されます。件数だけを追うと、対象外の申込を増やす広告が良い施策に見えます。指標の設計が、施策の選び方を決めてしまいます。だからこそ、最初に分けて数える仕組みを作る価値があります。
最後の型は、時間が経ってから影響が出ます。同じ人が半年後に会社の連絡先で申し込んだとき、履歴がなければ関心の変化が見えません。以前の申込の記録があれば、何を検討していたかが分かります。営業の初回の会話が、それだけで変わります。捨てずに状態を分けて持つ理由がここにあります。
数字の見方を変える
この問題に取り組むと、報告する数字が変わります。獲得の総件数ではなく、営業に渡せた件数を主な指標にする。1件あたりの費用も、渡せた件数で割って計算します。この変更は、施策の評価を大きく変えます。
- 会社名の照合に使う公表の仕組みは、内容や利用の条件が変わることがあります
- 対象外と判断した申込の情報も個人の情報であり、保管の期間と消し方を決めておきます
- 集めた目的の範囲を超える利用には手続きが必要です。判断は法務に確かめてください
変更は営業と一緒に行います。渡せた件数を指標にすると、マーケティングの側の見た目の成果は下がります。下がった数字のほうが実態に近いという合意を、先に取っておきます。合意がないまま数字を変えると、評価の話で揉めます。
移行の期間は、両方の数字を並べて報告します。総件数と、営業に渡せた件数の両方です。3か月ほど並べて出せば、見る側も新しい指標に慣れます。いきなり片方だけにすると、数字が減ったことだけが記憶されます。並べる期間を決めて、移行の予定も先に共有しておきます。
まとめ
会社名が空欄になる原因は5つあり、そのうち2つは有望な検討者による意図的な空欄です。無料のメールを一律に拒否すると、この層を失います。捨てるか渡すかの二択にせず、営業に渡す名簿、配信だけ続ける名簿、記録だけ残す名簿の3つに分けます。公表されている法人番号の情報で実在を確かめ、行動の記録を見て、月に一度は配信だけの名簿を見直す。そして報告の指標を、獲得の総件数から営業に渡せた件数へ変えてください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
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